アナログハック


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アナログハック


 アナログハックとは、「人間のかたちをしたもの」に人間がさまざまな感情を持ってしまう性質を利用して、人間の意識に直接ハッキング(解析・改変)を仕掛けることです。 

 人間は、人間の〝かたち〟をしたものに反応する本能を持っています。たとえば〝笑顔〟を描いた絵や映像を見ることで幸福な気持ちになることができます。あるいは、警官の絵を描いただけの看板を見て、警戒心を呼び起こされて車のスピードをゆるめたりします。
 これは脳が持つ性質から、人間の意識が無意識にそう動くものです。
 ですが、この性質は、我々の感情や意識が、〝人間のかたち〟をつくことで接触可能な、悪用のおそれがあるセキュリティホールを持っているのだとも言えます。

 『BEATLESS』の世界では、この手法で、人間に自発的に行動をうながすことがよく行われています。
 この行為の主役は、人間のかたちをしたモノであるhIEです。
 hIEは人間のかたちをしていますが、こころを持っているわけではありません。この人間型の機械にさまざまな言葉や振る舞いを演じさせることで、人間を自発的に動かさせることができるのです。



アナログハックの利用


 アナログハックは、社会ではさまざまなかたちで利用されています。 
 たとえば経済の世界では、アナログハックは、"かたち"と"意味"を分離して扱えることで、商品やサービスに実際以上の価値を感じさせ、需要を膨らませます。人間が愛さずにいられない”かたち”や、興味を引かずにいられない”かたち”を利用して、ユーザーや潜在的ユーザーを動かしているのです。
 笑顔のモデルに商品を持たせる広告は、最も原始的なアナログハックです。つまり、"もの"に形状を使って"意味"を付与して、「ものと意味の総体」を構築します。こうすることで、ユーザーの心理的な防壁を下げさせて、"もの"を受け入れやすくする。こうした伝統的な戦術を基本として、アナログハックはさまざまに手を変え品を変えて拡大しています。

 社会的アナログハックと呼ばれるものも、一般的なものになっています。
 こちらの代表例は、hIEが社会に受け入れられるために、人に親切にするように基礎プログラムされているためであることです。
 どんな人間も、接する人間に親切にされれば好意を持ちますし、そうしているところを見ると好感を持ちます。そして、hIEは人間ではないので、人間が親切と受け取る労働の裏には何の感情もありません。つまり、好意や意識のセキュリティホールを作って、社会的な立ち位置をアナログハックによって手に入れたのです。

 さまざまな用途のアナログハックに人々は触れていますが、これを防御することは困難です。
 アナログハックを受けている側にとっては、好意のセキュリティホールを潰そうとすると、「誰にとっても疑い出すと際限が無くなる」からです。
 人間社会では、不完全な認識力しか持たない人間が、伝達力の限られた言語でコミュニケーションしています。だから、隙間部分を疑いだすと社会を成り立たせている最低限度の繋がりが崩壊してしまうのです。