アシスト機器


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アシスト機器


 人間を拡張する手段のうち、もっとも良く用いられるのは、外付けの「アシスト機器」にアウトソースする方法です。

 アシスト機器が使われるのは利点が三つあるためです。

・使用に痛みや危険をほとんど伴わない。

 埋め込み機器には、位置発進用のガイドビーコンを皮下に注射で埋め込むようなものを除いては手術が必要になります。これは簡便とはいっても限度があり、技術は上がってもリスクがゼロではありません。
 埋め込み後、埋め込み機器が故障や破損した場合など、人体に影響が出ないとは言い切れません。
 手軽さにおいて、パワーアシストは埋め込み機器に勝ります。

・安価である。

 埋め込み機器はどうしても人体に合わせる必要があり、アシスト機器ほど大量生産ができません。
 また、埋め込み機器は、小型を追求する必要があり、埋め込み手術を頻繁に行えないことや破損時のリスクから耐久性も高い必要があります。要求品質を適切に下げることができるため、パワーアシスト機器のほうが安価で頻繁に買い換えることもできます。
 埋め込み機器とアシスト機器は、性能に対して二倍以上価格が違うことも珍しくありません。

・整備性が高い。

 アシスト機器も中古やよほど信用おけないものを買わない限り簡単に故障はしないのですが、故障したときに手術が必要ないことは大きなアドバンテージです。



 アシスト機器の魅力は、ユーザーが自分を変える必要がないということです。
 hIEが様々な道具をユーザーのかわりに使うエージェント機能を持つのも、ユーザーが自分を変えることなく高度な道具を使うアウトソースの流れのうちにあります。

 アシスト機器には、20世紀からある自転車のパワーアシストのような、機器自体に使用者の能力を拡大する機能が付いているものもあります。こうした機器は22世紀にも数多くあります。たとえば、手回しのコーヒーミルなのに、わざわざハンドルにパワーアシストをつけるような例はよくあるのです。
 ですが、狭い意味で「アシスト機器」という場合は、歩行補助機のような人体に外付けするものを指します。

 アシスト機器として普及しているものには、以下のカテゴリのものがあります。


パワーアシスト


 パワーアシストは、身体の主に筋力をアシストするための機器です。頑強なフレームと、筋肉の働きをする各種機器によって構成されています。
 電源にあたるものは、アシスト機器に内蔵されている場合も外付けである場合もあります。一般的な出力のものは内蔵電源ですが、著しく大きなパワーを扱うものは外部電源を使ってコードをアシスト機器に接続している(※)ケースもあります。

(※)外部電源で扱われるほどの電力を使う機器は、一般的に無線電源で電力供給を行いません。危険であるためです。

 パワーアシスト機器は、肉体を使う労働者によく使われています。
 たとえば、高所作業をする作業員は、常に足場を監視しているオートバランサーつきの歩行補助具を腰と太腿につけています。これは命綱に接続して巻き上げる機能も持っていて、命綱がついていないと警告を発します。
 工場のような作業場が、雇った労働者にアシスト機器を備品として使わせるケースもよくあります。これは、hIEを使う場合は高額な特殊機体を使わねばならない職場でよく行われます。それなりに高額の報酬を得ることが出来ますが、hIEを(予算的に)入れられない作業場で人間を働かせるということであり、評判はよくありません。

 宇宙労働者もパワーアシスト機器をよく使っています。これは宇宙服がどうしても安全のため嵩張って重いものになりがちであるせいです。宇宙服には、生命維持のみに特化した緊急避難用のものですらAR機器がついています。
 特に飛行士の船外活動用の宇宙服などには、特別な理由がない限りかならずパワーアシストがついています。特に手には、分厚い宇宙服で強い握力を要求されるケースがあるため、たいていパワーアシストがついています。

 医療や介護用のパワーアシストもよく使われています。
 特に人体を持ち上げるケースが多い看護士や福祉士は、日常業務でパワーアシスト機器を使っています。
 医療用のパワーアシストは、体力の衰えた老人や病人にもよく使用されます。こうした医療用機器は、量が生産されているため比較的安価でデザインも豊富です。

 警察官は、警邏中の警官は日本ではパワーアシストを使ってはいません。これは取り押さえるときに大怪我をさせると問題になるためです。パワーアシストの配備初期、えん罪の市民や微罪の逃走犯を大怪我させた事例が相次ぎ、大問題になりました。
 拳銃と警棒を装備しているため、パワーアシスト機器を日常装備するのは過剰であると考えられています。警察用のパワーアシスト機器は、基本的にパワーアシスト機器を使用している人間を取り押さえるための装備なので、生身の人間と格闘すると簡単に骨折させてしまうくらいの出力があります。
 通報などによって急行する場合、犯人の危険度によっては装備をすることがあるため、派出所には装備があります。
 機動隊のような出動自体が特殊な自体である警官は、パワーアシスト機器を使用しています。

 パワーアシストは、基本的にはアシストしたい場所に装着します。たとえば、ものを持ち上げる工場労働者であれば、腰と背中、腕に装着します。
 全身装着が必要な場合のみ全身装着を行います。
 全身装着の場合も、いわゆるパワードスーツのような全身をすっぽり覆うものはごく限られています。身体を防護する必要が特にある場合は、最低限度のフレームが露出しているもののほうが主流です。

 パワードスーツのようなものもパワーアシスト機器に含まれます。
 パワードスーツの場合は、感覚アシストとパワーアシストが両方含まれており、これが連動するようになっています。

 パワーアシスト機器は一般的に操作が簡単です。つまり、人間が身体を動かすように動かせばよいようになっています。
 基本的には、パワーアシスト機器は説明書を読まずにすぐ使えるようになっているのです。



感覚強化機器


 補聴器のような感覚器をアシストする機器もよく使われています。
 たとえば22世紀の眼鏡は、コンピュータ画像を単純に重ね合わせるだけでなく、望遠や虫眼鏡、あるいは暗視機能をつけたものがあります。
 視界にコンピュータ画像を重ね合わせるAR機器も、アシスト機器にカテゴリされます。ゴーグル型や眼鏡型の携帯端末は数多く出回っています。

 感覚強化機器でもっともよく使われているのはAR機器です。携帯端末をハンズフリーで扱えるようにするだけで、非常に大きな利得があります。

 外付けの感覚強化機器の中には、「外部脳」と呼ばれる脳強化機器も含まれます。(参照「人体補助機器と人工知能」)
 埋め込み機器の脳強化機器とは違い、外付けの脳強化機器は、脳波や神経信号を外から読み取って携帯端末や各種機器を起動させるくらいの「便利な道具」としての位置付けになります。
 便利な道具とは、人格などを拡張前提で変化させる可能性が低いということで、ライフスタイルなどには大きな影響があります。特に、明示的な操作なしで機器を使用できるのは、自分の体の延長として道具を使えるような圧倒的な操作感をもたらします。
 外部脳は、一般的には耳にかけたり、リング状の端末を頭につけるなど頭部の脳に近い位置に接触させる必要があります。

 感覚強化機器は、日常的に使われることが多いアシスト機器です。
 パワーアシスト機器は劇場など公共の場所では、病人など特殊な場合を除いて使用を禁止されることもあるのですが、感覚強化機器でそれを求められることはほとんどありません。




純粋拡張機器


 アシスト機器は基本的に身体の拡張を行うものですが、人体が持っていない機能を持たせるものもあります。
 たとえば三本目四本目の腕を動かすようなもの、翼を背負って空を飛べるようにするものなどです。
 こうしたカテゴリのアシスト機器は、純粋拡張機器と呼ばれます。

 非常に広範ですが、他のアシスト機器は認可が出力のよほど大きなもの以外はおりるのに対して、純粋拡張機器はそれが困難です。
 たとえば強力な粘着力の粘液が出る手袋のようなものを、身体アシストの範疇として認可を求めて、おりるものなのかということです。
 ものによっては所持が違法になるものもありますが、労働のさまざまな現場で使われているものもあります。