警察


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警察での人工知能利用


 22世紀初頭では、警察が犯罪の取り締まりのため人工知能を利用しています。
 警察が持つ莫大な過去の犯罪データを基にして、人工知能によって24時間体勢で予測が続けられています。新しい犯罪が起こるたびこの基礎データベースに加えられ、更なる予測が人工知能によって立てられるようになっています。
 警官によるパトロールコースは、この予測に従って決まっています。
 下見段階の空き巣が見付かる、発生した通り魔や強盗が近くにいた警官に現行犯で取り押さえられる、麻薬取引の検挙率が上昇するなど、人工知能導入の効果は格段にあがっています。

 人工知能は、こうした日々の警邏だけではなく、重大事件が発生したときの捜査にも用いられています。
 もっとも一般的に使われるのは、現場検証したデータから、犯行状況を精密に自動シミュレーションすることです。
 これは、容疑者になり得る人物が絞られている状況ならば、人工知能のみで容疑者を自動的に導くことができるほど高精度です。
 まるで物語の中の名探偵の推理のように、容疑者を導き出すことができます。

 こうした人工知能による容疑者の絞り込みは、「機械の指示によって人間を逮捕する」ということでもあり、問題視もされています。
 ただ、その反面、実際には人工知能による絞り込みはよく使われています。これは、「人工知能が論だって容疑者を絞り込んだその論理は、裁判でもそのまま使えるほど強い」ためです。特に、豊富に証拠が揃っているときには、もはや起訴から公判にかけて人間が必要ないのではと疑われるほど、人工知能による立証は強固です。

 このため、人工知能の普及後、日本の警察は証拠を多く集めることを捜査の基本方針としています。これによって、批判の多かった取り調べの密室化がようやく完全に撤廃されることになりました。
 警察は捜査のとき、人工知能にかける可能性を考えて、非常に多くのデータを記録しています。これは捜査データベースを拡充することにも繋がっており、警察の人工知能はそれだけの性能を求められることになっています。
 この人工知能化の影響が、もっとも大きく現れたのが、データを膨大に集めるようになったことです。これは、証拠を万全かつ大量に揃えてしまえば、弁護側がどれほど高性能な人工知能を用意しようと公判を覆すことは至難だからです。

 警察は、超高度AIこそ持っていませんが、高度AIは潤沢に扱っています。警視庁が2基、警察庁は3基もの高度AIを持っています。その他、日本全国で各管区の警察本部にも合計3基の高度AIがあります。
 このうち警視庁と管区の高度AIは合計五基によるネットワークを組んでおり、非常に強力な計算力を常時駆使することができます。

 ただ、日本も移民が増えて社会が複雑になったことや、全体的に貧しくなったこと、hIEや人工知能など社会の変化によって、犯罪が増えているのも実情です。
 日本の場合は、本来格段に増えているはずの犯罪を、人工知能利用によっておさえている状態であると考えられています。


警察でのhIE利用


 警察でのhIE利用は、窓口業務から始まりました。
 hIE以前にも窓口にロボットは導入されており、その延長から警察でのhIE利用はスタートしています。hIEによる窓口対応は人間がやるよりも優秀なケースも多々あり、たくさんの警官にパトロールなど様々な業務に出る自由を広げました。

 その後、hIEは派出所によく置かれることになりました。警察の警邏の仕事は常に人が足りず、派出所が無人になる時間があったためです。このため、hIE警官が派出所に待機するようになりました。
 これによって派出所勤務の警官の労働環境は大きく改善されることになりました。hIE警官は所轄署のシステムと接続しており、派出所に人が多い時間にはシステムからの自動判断で手薄な派出所へとパトカーの全自動モードで移動します。このためのパトカーを所轄署はかならず数台確保しています。

 その後、繁華街などの限られたコースを巡回して周囲を監視する仕事へとhIE警官の仕事は広がりました。
 22世紀初頭では、パトカーでの巡回や事情聴取など、警官二人組で行う仕事を、人間ひとりとhIE一体の一組で行うように広がっています。(※)
 これは、今もってhIE警官に単体で複雑な仕事させることはないということでもあります。実際、hIEを一体で行動させると、市民が情報提供を渋るケースがままあるのです。

(※)警官ひとりとhIE一体のバディで行動するのは、この時代の警官にはよくあるかたちです。hIEが人々の関心事になっているため、さまざまなエンタテインメントでもこうした人間+hIEのチームが登場するものはよく描かれます。

 そうでなくても、警察はhIEの有用性を認識しながら、その取扱に常に注意をしています。
 これはhIEがセンサーのかたまりで、録画や録音を常時行うことができるためです。
 ただ、このhIEによる常時記録は、市民からのウケが大層悪く、警察hIEを見ると嫌な顔をする人は少なくありません。
 後ろ暗くなくともhIEでの記録を拒否する市民は多く、hIEそのものの評判を下げているのは警察用hIEだという意見もあります。
 ただし、hIE警官が、それでも多くの犯罪で証拠を記録し市民を守る役に立っていることも事実です。

 日本では、警察用hIEは人間の警察官と違って警棒や拳銃のたぐいを持っていません。また、日本では警察用hIEは人間の警官とは違う専用制服を着用させることを義務づけられています。(※)
 武装はしていなくても、警察hIEはAASC-4規格(アスリート相当)の性能を持つため、身体能力で人間が勝利するのは困難です。警察hIEに追いかけられた犯人が走って逃げ切るのは、hIEが疲労しないことからも相当難しいです。

(※)警察hIEは世界中で個々の社会の事情に合ったかたちで運用されています。たとえば、市民の密告を推奨するような社会では、警察hIEが私服を着せてそうだと分からないよう使われています。

 アメリカなどでは、hIE警官は銃器を扱うことを求められます。軍隊の無人機がそうであるように、撃ち合いの場でhIEが危険な先行役を果たし、その後に人間の警官が進む用途があるためです。
 このため、hIEの行動を制御するAASC(参照「行動の一般化(AASC)-基準としての行動適応基準レベル」)には警察使用のために、銃器が扱えて徒手での制圧もでき警察で用いる動作が可能なAASC-5PO(PoliceOfficer)という規格も存在します。AASC-5PO規格の警察hIEともなると、条件がよくない限り人間が戦って勝利するのは不可能です。(※1)
 ただし、これは警官が銃器を持っているのが当たり前の国以外では導入されておらず、日本ではAASC-5PO機を導入できません。(※2)

(※1)hIEは静止した状態ならハンドガンで15m以内の静止標的にはほぼ必中させます。また、AASC-5PO規格は「銃弾を受ける」ことが前提の作りになっていて、もっとも一般的に普及している9ミリ弾が命中してもそうそう停止しません。AASC-5PO規格のhIEを一撃で停止させるためには、最低でも38口径なら強装弾以上が必要です。
 このため、5PO配備地域の強盗は大型ハンドガンやショットガンを持っていることがよくあり、襲われた被害者が死亡する確率はかつてより高くなっています。

(※2)-5PO機の大きな問題となっているのは、hIEの認識能力では相手の脅威度をはかる正確さに限界があることです。たとえば、おもちゃの銃を向けられても-5PO機は銃を抜き、その後の反応次第では相手を射殺します。これはおもちゃと同じ材質で殺傷力のある銃を作ることが実際に可能であり、それが危険である可能性を基にhIEが行動するためです。このため、-5PO機の配備は、「おもちゃの銃を向けられたことで警官が相手を射殺すること」を社会が許容できるかが大きな分水嶺になっています。



警察庁と警視庁


 22世紀初頭でも日本の警察は、警視庁をはじめとする各管区の巨大な警察組織と、それを含めた警察組織を監督し警察行政を調整する警察庁との二重の構造を持っています。
 警察は、地域に密着した所轄の警察が中央からの監督を受ける構造を持っていましたが、これがシステムの高度化と人工知能化によって、より顕著になっています。

 22世紀の警察では、ありとあらゆるデータを中央が吸い上げ、それに地域警察がアクセスするかたちをとっています。所轄の警察署が集めたデータを持つのは県の警察本であり、それは管区の警察本部に吸い上げられ、最終的には警察庁によって管理されます。
 警察庁は特にこのデータを集めることに固執しており、国ではなく各自治体の首長が給与を支払うところの地方警察官の個人データを詳細に追跡するよう要求しています。このため、警視庁をはじめとする警察組織から、大きな反発を受けています。
 警察庁の描く警察の未来図は強固に管理された社会で、ここでは警官が人間である必要性すらないように見えるためです。


警察庁電算局


 電算局は、警察庁の部局のひとつで、AIの関わる犯罪を担当しています。
 この電算局は、その管掌する仕事の特殊性から、高度AI《マクレーン》を擁しています。
 AI犯罪を取り締まるためには、量的に膨大なデータチェックや、人間の注意力では発見不可能な違和感から辿ることが必要になります。このため、どうしても警察側もAIを扱わざるを得ないのです。

 警視庁および地方警察も電子犯罪対策を行っています。
 ただ、AI犯罪は機材とAI能力差、データ量の差といったAI側の能力を、人力が埋めることができない分野です。このため、高度なものになるとお手上げになり、警察庁電算局に事件を移管することがしばしばあります。

 電算局はそうした仕事の集中を受け入れるだけの規模が与えられています。

 電算局は電算一課、電算二課の二つの課に別れています。


電算一課


 AIを利用した犯罪(人間が主体でAIを利用している犯罪)を担当するのが電算一課です。
 従来の犯罪も、特に組織的な犯罪はAIの利用によって格段に高度化しています。これを担当する対AI犯罪のスペシャリストが電算一課です。

 22世紀初頭では犯罪へのAI利用はよくあることであり、特に組織犯罪や知能犯にはかなりの割合でAIが関わっています。
 このため、電算一課には多くの優秀なスタッフが集められています。

 電算局の電算一課は、日本の警察組織では最高の対AI犯罪の専門家であると考えられています。実際、電算一課はAI犯罪と戦う最前線です。
 このため、応援に駆り出されることが多い組織でもあり、大事件ではAIに関する部分だけを電算一課からの応援スタッフが担当しているケースがままあります。

 慢性的に人材と計算力の不測に悩まされているため、電算二課の《メイトリクス》を自分たちに使わせるよう何度も要求しています。
 ただ、この要求は受け入れられたことがありません。



電算二課


 AIによる犯罪(AIが主体となって行う犯罪)を担当するのが電算二課です。
 これには電算一課のそれと違って、犯罪のかたちをしていないものも担当に含まれます。つまり、AIには自動的に犯罪をおかすよう指示されているものがあるのです。こうしたものは、平時でも他国家やテロリストからのサイバー攻撃として行われるものもありますし、集金を指示してAIを放流するケースもあります。
 こうした「AI自体に違法性があるもの」を摘発する至難な任務を担当する部署です。

 犯罪として発覚していない犯罪の調査は、AIから調査要求が入ることによってスタートします。
 人間には犯罪であると認識できないものが存在するためです。

 電算二課への調査要求は電算局の高度AI《マクレーン》から行われます。ただ、調査要求は警察庁、警視庁や警察本部から、ときには日本政府の超高度AI《たかちほ》からであるケースもあります。
 人類未到産物(レッドボックス)が社会に悪影響を及ぼす産物漏出災害も電算二課の担当になります。

 このため、電算二課には《マクレーン》のほかに支援AI《メイトリクス》を特別に使用しています。
 この《マクレーン》-《メイトリクス》のラインこそが電算二課の本質であり、人間の人員はおまけであると警察内部でも揶揄されることがあるほどです。そして、それは真実を突いています。

 ただし、電算二課のスタッフが飾りというわけではありません。
 仕事の大半は《マクレーン》と《メイトリクス》が片付けてしまいます。AIが主体になる犯罪で、人間の捜査員がやらなければならないことはそれほど多くありません。
 それでも、電算二課スタッフという人間が必要なケースはままあり、このために優秀なプロフェッショナルが少数精鋭で揃えられています。



公安警察


 22世紀初頭の公安警察は、日本をめぐる国情が21世紀初頭より遥かに複雑であるため、大幅に増強されています。

 移民の増加によって、民族運動がテロに繋がるケースが増えています。
 また、宗教や民族に関わる国際的なテロの標的にも、かつてよりなりやすくなっています。これは日本が再軍備により多くの複雑なパワーゲームで敵を増やしたためです。

 そして、抗体ネットワークをはじめとするhIE排斥運動や、人工知能への排除運動には、過激なテロに繋がるものもあります。
 社会に対する不満運動は、旧来の過激派と合流しがちです。これは、過激派がこうした社会不満を持つ層を取り込もうと運動するためであり、不満層にもノウハウを求めてこうした集団に接触する者がいるためです。

 公安警察は、産業スパイの取締もその職掌に含んでいます。
 産業スパイは非常に高度化されています。

 こうしたテロや擾乱に対して、警察は公安警察の増強で対応しています。
 政府の諜報機関や情報軍をはじめとする軍情報機関も、テロに対して目を光らせています。けれど、その中で、もっとも手広い活動で市民の暮らしを守っているのは公安警察なのです。(※)

(※)そしてこれら機関ではもっとも穏当な仕事をするのが公安警察です。これは公安警察が手ぬるいということではありません。公安警察はスパイを送り込んだり、証拠品を潜入して集めたりするのが常套手段ですし、関係者を拘束して脅迫することも少なくありません。
 ただ、情報軍や政府諜報機関のように、人間を闇から闇に葬ることはありません。公安警察は、裁判にかけることを前提に、被疑者を逮捕する警察組織なのです。

 東京警視庁以外でも、福岡、沖縄、広島、北海道、新潟、大阪の外事課は精鋭で知られています。



機動隊と警察特殊部隊


 各管区の警察あるいは自治体警察は、治安出動のための機動隊と、おもに対テロ対策のために特殊部隊を持っています。
 これは、日本でもテロ事件が21世紀を通して増加したためです。警察特殊部隊は重武装で、軍特殊部隊と性質は違うものの高い練度を維持しています。
 ただ、警察と軍の仲は、伝統的に悪いままです。これは日本軍が自衛隊から改組される前から変わっていません。

 このため、警察は特殊部隊の訓練のため、軍ではなくPMC(民間軍事会社)を使います。
 特に日本型PMCは、警察をクライアントにして作戦行動を行うことがあるため、PMC側もこの訓練を重要視しています。(参照:「日本型PMC-日本型PMCの出動」)

 機動隊と警察特殊部隊は、どちらもhIEではなく、それぞれの個体もしくは指令機に人工知能を搭載した無人機を配備している部署です。

 この無人機は、機動隊なら盾を装備して人間の壁を作れる重量のある人間型無人機がよく使われています。
 機動隊がこうした無人機を使うのは、hIEが侵入できない無線遮断処理のある建造物に入ることを想定しているためです。政府施設には情報を守るためこうした処理を施された施設が数多くあるのです。

 警察特殊部隊の無人機は、人間型の無人機もあれば非人間型の無人機もあります。特殊部隊の無人機は、重武装した犯人や無人機と戦闘になることを想定して、軍用無人機とほぼ同等の仕様です。
 警察特殊部隊がhIEよりも軍用に近い無人機を好むのは、世界的な傾向です。





NOTE:普通の人はやらない迷惑行為と、違法行為とのレベルについて


 合法の範疇の迷惑行為と違法行為との区切りは、生活に関わる非常に複雑な問題です。この境界の部分に、一貫した法則性はありません。刑事罰となる行為には、公共の利益に反する法律の根拠が存在するのですが、実際のところ現実社会との関係の中で適法と違法が振り分けられています。
以下、例をいくつか挙げます。

無線電源からの盗電や違法コピーは、子供の窃盗としてはよく行われています。

少年が矯正施設に入れられることは、よほど悪質ではない限りありませんが、おとなが行うと窃盗として刑事罰で裁かれます。

22世紀初頭では街頭のさまざまな場所に監視カメラが仕掛けられています。この「監視の目をくらます」のは、不良集団がよくやり、犯罪行為の第一歩であると考えられています。

22世紀初頭社会は、hIEだけではなく、人間を常に監視をし続け、そのデータの恩恵を共有するのが社会常識です。このため、センシングから逃れること自体が迷惑行為であり、疑われる行為です。ただ、人間監視され続けると息が詰まるのはいっしょで、監視の目をくらますことだけでは刑事罰には問われません。ただし、監視装置を破壊するなど、目くらましの手段によっては民事裁判で罰金になることはあります。
 監視前提の社会に適応できない人々がドロップアウトしてアウトローになってゆくことを、法律が止めることはありません。そういう陰に対する憧れのようなものは、22世紀の人々には、特に息詰まる若い世代にはおうおうにしてあります。

街中での透明化については、違法ではありません。

ただ、透明化に用いられる道具は「限定された環境下以外での使用禁止」「限定された状況下以外での使用禁止」「取扱認可を受けた者以外の使用禁止」の取扱危険物として分類されています。そして、この危険物取扱禁止法規の違反によって逮捕されることになります。
裏を返すと、そうした明確な不許可の物品でないものは使っても刑事罰を受けません。