か行


■カガミ・ドージョー

ミリオポリス第二十五区東部にある剣道場。市内で唯一本物の「カタナ」を扱いことが許可された日本系スポーツ施設。サムライ作法やゼンの精神修養のふれこみで人気を博し、著名人や政治家も訪れる国際交流の場になっている。

■拡大的混乱の演出

クローネンブルグ文書内に記されていた犯罪手法。一人の人間を始末する必要があるとき、関係のない不特定多数を巻き添えにして意図的に混乱を作り出すことで動機を隠す。

■カタナ

日本刀の通称。もっぱら室町時代中期以降に広まった打刀を指すものと思われる。(※現代において一般的に知られる日本刀は江戸時代以降に武器としてではなく「美術品」として精錬されていった新刀であり、海外貿易などで諸外国から評価されたのもこちらである)

■〈カプリコーン〉

米軍が開発したサテュロス・サテュリスキー型アームスーツの特注モデル。イギリス軍SAS(特殊空挺部隊)がミリオポリス市内での作戦用に導入し、駆動音の99%をシールドし隠密性が高められている。純白にカラーリングされ、甲冑や騎士に例えられている。名前の由来は山羊座の英名。

■ガラテア・コンプレックス

特甲児童の設計開発顧問メンデル博士が考案した理論。ユニット同士がつながりあうことでターミナル・ユニットを構築する。元は市の交通管理局から依頼された数百万台の車両AIをつなぐ多重システムであったが、博士の死によって未完成となった。(※ガラテア・コンプレックスが特甲児童を襲うフロー状態を解消する鍵であるらしい)

■〈カロン〉 NEW!

三台のグライアイのうち〈意地悪(バムブレー)〉号に搭載されている犠脳ユニット。その正体はオイレン髭で死亡した秋水の生首から回収された大脳である。名前の由来はギリシャ神話に登場する冥府の河の渡し守から。

■機械化児童

四肢を機械化された子どもを指す。いわゆるサイボーグ。超少子高齢化による労働力不足を解消するため、2016年のオーストリアでは11歳以上の児童に労働の権利が与えられており、身体障害児の機械化手術を国が無償で行うことで優れた労働力としている。ただし、代わりに機械化児童は市の所有物とみなされ、画一化のもと親から引き離され〈子供工場〉で訓練を受けたのち、社会福祉に従事することとなる。

■犠脳体

マスターサーバーによる電子干渉に対抗するため、人間の脳を機械の制御ユニットとして用いる技術。犠脳体ユニットを組み込んだ兵器を「犠脳体兵器」と呼ぶ。また犠脳体を作るため生きたまま脳を摘出された人間は「犠脳者」と呼ばれ、犠脳者の生体活動が停止することで犠脳体は一個のユニットとして活動を開始する。

■〈希望の会〉

日本人青年会。オーストリアに移民し、ミリオポリスの市民権を得た日本人によって構成される。ミリオポリスで暮らす日本人の生活支援を行っている組織だが、〈アンタレス事件〉以降、日本人がテロに加担したことからBVTにマークされるようになってしまった。

■〈キャラバン〉

〈アンタレス事件〉に関わった七つのテログループのひとつ。プリンチップ社をスポンサーとする傭兵的戦術指導集団で、他のテロ組織を指揮して暗躍する。元はCIAがアフリカの紛争地域に干渉するために作ったダミーのテログループだったが、プリンチップ社に操作され国際的なテロ集団化してしまった。事件後も活動を続け、〈戦犯法廷事件〉〈空港占拠事件〉においても複数のテロ組織を指揮する。

■旧市街

ミリオポリス第一区を指す。第一区はウィーン時代からの歴史的地区であり、環状道路〈環(リンク)〉の周囲に多くの歴史建造物が並ぶ。これら旧市街は世界遺産にも登録される観光名所となっている。また、国会議事堂や市庁舎などミリオポリス及びオーストリアの行政の中心でもある。BVT本部や各国大使館も第一区内に存在する。

■子供工場(キンダーヴェルク)

児童福祉局の所有する「132養護施設」の通称。ミリオポリス第十一区に存在する。機械化児童専門の教育・医療・研究・育成のための総合施設であり、特甲児童はみなこの施設出身。その建物はかつては古いガソメーター(ガスタンク)であり、ショッピングタウンとして改装されたが不況で倒産し、市が買い取って児童福祉局の所有物になった。施設内では男子・女子に別れて育成され、それぞれ初等・中等・高等の三クラスが存在する。成績が優秀な者は軍や治安組織からスカウトされ、専門職コースの訓練学校へ進み特甲児童となる。

■〈クーデター事件〉

七年前にミリオポリス市内で起こった軍によるクーデター事件。軍と警察が都市治安を巡って対立し、暴走した一部の軍人による武装占拠騒ぎにまで発展した。プリンチップ社の関与も疑われているが、主犯格であるカール・クラウス元少佐の〈リストを焼け〉というメッセージを受け取った側近たちはすべて死亡しており、事件の真相は謎に包まれている。

■〈空港占拠事件〉

2016年5月1日にウィーン国際空港で起こったテロ事件。パレスチナ系武装組織〈赤いハヤブサ〉によるイスラエル航空機ハイジャックに始まり、〈赤いハヤブサ〉本隊及び〈キャラバン〉によって空港施設と管制塔が武装占拠された。そこへ中国から亡命してきた戦闘機とそれを追う暗殺部隊〈蟲(チオン)〉、さらに軍から脱走した特甲猟兵が加わったことで事態は一挙に複雑化し、同日に起こった〈戦犯法廷事件〉とも密接に関わる大事件に発展した。詳細はオイレンシュピーゲル肆を読んでね♪

■〈九姉妹〉 NEW!

三台のグライアイのうち〈戦いを好む者(エニューオー)〉号に搭載されている犠脳ユニット。AP爆弾の爆発と共に息絶えた八人の犠脳少女たちの大脳が使用された最新式のユニット。なお九姉妹に対応するAP爆弾に付けられたコードネームはワグナーの舞台劇『ニーベルングの指環』に登場する九人のワルキューレから取られている。

■〈九姉妹〉コード NEW!

特甲児童たちの脳内チップに用いられる〈501コード〉から抜き取られた4つの欠損数位に31を加えた、人格の時間面の回転に関る五つの素数。2、3、5、19、31で総和が時間面の座である60になる。カラス博士の手によって密かに〈九姉妹〉ユニットに割り振られていた。

■〈グライアイ〉 NEW!

〈ローデシア〉の所有する電子戦ユニット・トレーラー。トラクルとハンス・クラインが乗る〈戦いを好む者(エニューオー)〉号、サードアイとシャーリーンの乗る〈意地悪(バムバレー)〉号、カラス博士の乗る〈恐ろしい(デイノー)〉号の三台が存在する。三台に搭載された犠脳ユニットがレベル4に到達することで〈外典〉の監視機構として機能するらしい。名前の由来はギリシャ神話に登場する怪物ゴルゴンの妹である魔女三姉妹から。

■黒いダイヤ

ある超高速チップの俗称。世界最高の集積回路で、アメリカの超長距離弾道ミサイルに搭載されている。

■黒手組

イタリアの秘密結社。国際的なゆすりと脅迫のプロで、かつてバルカン半島のセルビア内にも同名の組織が存在していた。最初から二つの組織が存在したのか、ひとつだったものが二つに分かれたのか、両者の関係は不明。イタリア黒手組内には〈アルレッキーノ〉と呼ばれる過激派集団が存在し、〈リスト〉に関係した人間を抹殺している。(※セルビア黒手組は実在したテロ組織で、サラエヴォ事件を起こし第一次世界大戦を招いた黒幕とされている)

■黒天使ピクリーン

荒廃した二十五番街に突如舞い降りた天使。ねえ、正気ってなんだろう? それはピクリーンにも分かんない!

■クローネンブルク文書

かつて国際法学研究メンバーの逸材ヨハン・レオナルト・クローネンブルグが残した意見書。テロ支援組織プリンチップ社の実在と国内テロ行為への関連を警告する内容であったが、BVTには無視された。

■幸運の弾よけ王子

イギリス第三皇太子ヘンリー王子についた異名。軍に入隊しアフガニスタンへと派兵された王子を護るため、王室が傭兵を雇ってつゆ払いを行ったため王子の参加する作戦では被害が減少したことで現地の兵士から密かに異名で噂されることとなった。王子のつゆ払いを行っていたのはミハエルら〈赤のジャック〉部隊で、王室から非公式に感謝状を贈られている。

■国連都市(uno-CITY)

ミリオポリス第二十二区に存在する国連ウィーン事務局のほか、複数の国連施設や関係者の宿泊設備が集合した地区を指す。作中ではさらに国際司法裁判所が存在し、エルファシル紛争の戦犯法廷が開廷された。世界的VIPが集う地であり、〈特憲〉によって厳重な警備体制が敷かれている。しかし、施設はドナウ川とアルテ・ドナウ川の中洲にあり、河川が増水し橋が通行不能になると陸の孤島と化してしまう。

■国連都市広場の革命事件 NEW!

アダー・ガウス神父率いる二十五番街のデモが進路を変え〝一触即発通り〟を北上。国連都市広場へ到達したところで〈ローデシア〉の襲撃に遭い、武装した黒人グループとの戦闘に発展した事件。詳細はテスタメントシュピーゲル1及び2を読んでね♪

■国家憲兵隊

オーストリア全土の治安を守る警察組織。国家警察に相当し、各州警察や市警など地方警察では対応できない事案に対処する。国境検問所、国境監視所をはじめ四万人規模の職員がいる。MPBはミリオポリスの凶悪犯罪対処のため国家憲兵隊内に編成された組織である。

■ケーフェル

正式名称、ツェンタオアーAⅡ型(アーツヴァイ)。MSS地上戦術班が使用する軍用機体。〝ケーフェル(カブトムシ)〟の通称は、機体から伸びる情報用アンテナがカブトムシの角のように見えることから。機体下部の装甲タイヤによる走行ほか、四本の脚部による歩行も可能。二本の腕には雷撃器を装備している。

■接続官(コーラス)

特甲児童のうち、マスターサーバーに脳を接続し〈特甲〉の転送支援を行う転送要員を指す。接続官には接続時に意識を失う〝無意識型〟と意識を保ったままの〝有意識型〟が存在する。特甲児童は訓練時代に接続官の適性検査を行っているようで、適性が高ければ実行部隊員として配属された後でも、接続官として電子捜査に参加することが可能。

■〈五O一コード〉

特甲児童の脳内チップに用いられているインプラント指数。由来は最初の18個の素数の和が501であることから。素数は電子的セキュリティにおいて重要な鍵となるが、特甲児童の脳内チップからは何者かによってそのうち四つ(2、3、5、19。総和が29になる数字)が引き去られている。

■特殊憲兵部隊(コブラ・ユニット)

国家憲兵隊から内務大臣直轄の部隊として独立した特殊部隊。〈特憲〉と略される場合もある。軍用機体のほか強力な兵科を有し、国連都市や空港など重要施設の警備、各国大使など要人警護を主な任務とする。緑のベレー帽がトレードマーク。(※オイレン参&スプライトⅢ巻まではBVT直属の特殊部隊とされていた。4巻以降は上記の内務大臣直轄部隊となっている。大臣交代により指揮系統が変更されたのか、設定そのものが変更されたのかは不明)

さ行


■座

〈魂〉理論においてポラック博士が提唱した脳内チップに関わる専門用語のひとつ。脳 内チップにおけるブロードマン脳地図でいう〝野〟に相当し、脳内チップの機能と それに係る各コードに素数を割り振り意味付けしたもの。

■サイバネ種

新構造を受け入れた人間の総称。その定義は脳内チップなどによる〝接続能力〟の進化によって、自在に肉体を変化・延長・統合することが可能となった新人類であるとされる。兵器開発局員のクラリッサによると特甲児童こそサイバネ種であるらしい。(※しかし、作中にこの言葉を用いる人間がクラリッサしかいないため、一般的な考え方であるのか不明)

■〈サテュロス〉

米軍が開発したアームスーツ。高度な人工知能を搭載し、対空機関砲と近接戦用の溶断機付きアームを装備した着るロボット。速度重視のシレンティ型と装甲重視のサテュリスキー型の二種類が存在する。黒色で山羊のような外見から〝黒山羊〟と表現される。また機体色を赤くした指揮官用と思われる機体も存在し、こちらは〝赤鹿〟と表現されている。〈戦犯法廷事件〉以降、テロリストたちが兵力として使用しているが、対抗して〈第二作戦部隊〉も同型アームスーツをシュタイア社から購入している。名前の由来はギリシャ神話に登場する半人半獣の精霊。

■〈時間面の回転〉

ポラック博士が〈魂〉理論のレポートで提唱していた概念。脳内チップにおける時間面に関係し、2・3・5・19・31の和が60になる各素数が時間面の進行を司っているとされる。60は時計の進行に使われる六十進数に関係し、これらの数位が脳内チップ移植者における精神・肉体的な調和をもたらすとされる。

■児童福祉局

児童にかかわる福祉業務を行う行政機関。マスターサーバー〈羴(ヨウ)〉を所有し、〈子供工場〉をはじめ機械化児童及び特甲児童の育成にも携わっている。福祉局の目の前にあるビルでは、貧しい親が子供を身投げさせることであえて肉体を破壊し機械化児童とする「捨て子」が度々行われている。

■シュタイア社

オーストリア国内の軍需企業。幅広い銃器を製造する銃器メーカーとして広く世界中で商業展開している。モデルはオーストリアに実在する銃器メーカー、シュタイヤー・マンリヒャー社。作中ではより大規模な複合企業グループとして設定され、グループ会社のひとつであるマグナ・シュタイア社は銃器の他に蒸気機関・軍事車両・民間用自動車など幅広い分野に展開、さらに米軍のアームスーツもライセンス生産している。

■〈シュリンクスの葦笛〉

接続者に催眠誘導と共に仮想現実を体験させる装置、およびそれによって独自サーバーに構築される仮想現実空間。仮想空間は電子追跡を逃れてネットを介した通信が行えるため、犯罪者たちの情報伝達に悪用されている。

■〈自由戦士団〉

〈アンタレス事件〉に関わった七つのテログループのひとつ。キプロス島から追放されたトルコ人過激派組織で、正式名称は〈キプロス=トルコ自由戦士団〉。アンタレス事件以前からキプロス独立を承認した国連を敵視し、儀脳体兵器を使用して国連都市へのテロ活動を行っていた。〈待望の会〉から原子炉を引継ぎ、駅を占拠して列車による運搬を行うが、指揮を執る〈キャラバン〉からは捨て駒にされてしまった。

■〈ジョハルの手〉

〈アンタレス事件〉に関わった七つのテログループのひとつ。チェチェン人による武装報復集団。名前はチェチェン独立を指揮したジョハル空軍少佐に由来する。〈キャラバン〉から原子炉を引き継ぎ第十九区の旧第二浄水場に籠城、玉砕する。が、時間を稼ぎの間に核弾頭〈666〉を完成させ、〈白き盾〉へ渡していた。

■シラヌイ文書

現MSS長官ヘルガ・不知火・クローネングルクが国法研時代に書いた論文。テーマは〝仮定されるうる他国間の密約形態とその実効性〟であり、二十世紀末に先進各国が極秘裏にテロ・ネットワークと行った可能性がある取り引きついての考察が記されている。

■人格改変プログラム

正式名称は〈人格改変化・変通抑制プログラム〉。特甲児童の心と体を無(オフ)モードにより守り、また無(オフ)状態へ過剰に適応することを防ぐため使用される。本来は特甲児童を守るための処置だったが、製造・設計・心理・発案の四部門の成果を統合する過程で未知の影響が起こり、過剰な無モードを誘発する事態となった。問題発覚後は使用が中止されていたが、特甲レベル3の使用によって再び異常を招く。

■人格の時間面

人間の人格は様々な情報(記憶)を取り込むことで変化し続けている。これは人格改変化と呼ばれ日常的に起こる変化である。〝人格の時間面〟とは人格改変化におけるいわば方向性であり、人格を砂時計・情報を砂に例えるなら、人格の時間面は落ちた砂が刻む時間に相当する。

■ステアーGB

オーストリアのシュタイア社が1981年に開発した自動拳銃。同社の名銃P-38の後継として開発されたが、国内グロック社が開発したグロック17との競争に敗れ1988年に開発が中止された。(※ステアーはもっぱら日本の遊戯銃関係のみで使われる呼称であり、一般的にはドイツ語読みのシュタイアー、もしくは英語読みのステイアーが使われているので注意)

■身代わり(ズュンデンボック)

人格改変プログラムにより生じる心理現象のひとつ。トラウマを回避するために発生し、心の一部を〝盾〟とすることで本来の心を守る。この際に盾として現れる心が〝身代わり〟である。〝身代わり〟はあくまでも心の一部であり、破壊されることで特甲児童の心に耐久力をもたらす。〝身代わり〟で破壊された心(=記憶)は心全体に吸収され消える訳ではない。そのため一時的に記憶喪失を起こしても、心の成長によって忘れた記憶を再び取り戻すことができるとされる。

■聖週間

キリスト教における枝の主日(日曜日)からイースター(復活祭)前日までの一週間を指す。本来はイエス・キリストの受けた苦難を観想する受難の週であり、娯楽を禁じて静粛に過ごす期間であったが、いつしか春を祝う丸一週間のお祭りとなっている。期間中はほとんどの企業や行政機関も休みに入り、ミリオポリス市内では聖水曜日の停電デー、聖木曜日の獅子祭など様々なイベントが開催されている。

■戦況影響力

特甲児童の設計開発顧問メンデル博士が、高度な戦術・戦略情報学を統合するため独自に創案した思想。

■〈戦犯法廷事件〉

2016年5月1日に国連都市で起こったテロ事件。都市内の国際司法裁判所で開かれるスーダン共和国で起こったエルファシル紛争の戦犯法廷に反対する二つのアフリカ系過激派組織が、国連都市及び召集された証人たちを襲撃。それを〈キャラバン〉が指揮し、さらに軍から脱走した特甲猟兵が加わったことで事態は複雑化し、同日に起こった〈空港占拠事件〉とも密接に関わる大事件となった。詳細はスプライトシュピーゲルⅣを読んでね♪

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最終更新:2017年01月27日 01:48