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■バスティーユ文書

フランス情報局員ピエール・バスティーユがミリオポリスの各機関に送った二百通を超える文書。その内容は〈ルフトハンザ航空391便ハイジャック事件〉におけるBVTの怠慢捜査への批判と警告。〝フランス野郎のいけ好かない迷惑メール〟として全機関から無視された。

■ハンヴィー NEW!

アメリカ製の汎用軍用車両。アメリカ陸軍をはじめ世界各地の軍隊で使用されているポピュラーな軍用ジープ。作中ではオーストリア軍及び第二作戦部隊がハンヴィーを使用している。(なお、現実のオーストリア陸軍に採用されているのはハンヴィーと同等性能のイタリア製軽装輪装甲車イヴェコであり、ハンヴィーの方は特に配備されてない模様…)

■氷結装甲

主に儀脳体兵器に使用されている特殊装甲。凍結剤との親和作用で硬化を強めた氷により装甲を構成する技術。破壊されても水分を供給することによって修復可能。

■〈ヒドラ〉

ギリシャ神話に登場する複数の頭を持つ蛇で、頭を切り落としてもすぐに再生する怪物。〈ヒドラ〉はそれと同様の変成複写プログラムであり、一つの経路を遮断されても別経路が発生することで遮断不可能な通信ルートを構築する。

■〈燐晶羽(フェデール)〉

特甲レベル2に採用されている空中機動ユニット。昆虫の羽をモデルに開発された多機能装備であり、抗磁圧によって飛翔するだけでなく高度な探査装置としても機能する。〈羽〉は主に四種類の成分によって構成され、割合を変更することで発揮される機能を調整可能。電子探査用の羽A(アー)、飛行用の羽B(ベー)、電子戦用の羽C(ツェー)、特甲レベル3用の羽D(デー)の四種類が登場している。しかし、〈羽〉は本来人体に存在しない構造体であり、その代償として味覚異常が引き起こされている。ただしこれらは一時的な反応であり、成長し〈羽〉の構造体を脳が受け入れれば自然に解消するものとされる。

■フォルクマール整備会社

ミリオポリス第二十五区に本社を置く整備会社。市内のタクシーや運送トラックから、遊覧船の整備まで一手に引き受けるメカニックマンの旗手。社長は元軍人であったマルティン・フォルクマール氏。

■〈魂(プシケー)〉理論

特甲児童の心理開発顧問ポラック博士が研究していた理論。プシケーとはギリシャ神話の登場人物で、その名は古代ギリシャ語で心・魂を意味する言葉である。脳の夢をみる機能を応用して、脳内チップによる接続能力を拡張するプラン。その成果のひとつにより、空中機動型特甲児童は本来人体に存在しない〈羽〉を接続可能となった。

■フリーゲ(ハエ)

MSSの使用する小型無線偵察機。特甲児童の使用する〈羽〉の開発時に生まれた副産物であり、〈羽〉を装備した円盤に搭載された各種観測装置によって様々な情報を取得する。フリーゲは通信車両等から無線操作可能であり、小型で隠密性も高いため要撃前の現場偵察にも有効である。

■フリック・ポイント NEW!

脳内チップ所有者における自我の存在点。接続能力により曖昧になった自他の境界性を明確化するために設定されているものと考えられる。フリック・ポイントの設定によっては自身の肉体以外の依り代を自我の存在点として認識できる模様。(螢は皇の左腕をフリック・ポイントに設定していた)

■ブリリアント暗号

兵器開発局で用いられる専門用語。サーバー用暗号のうち58を法としたものを指す。名の由来はダイヤモンドのブリリアントカットが58面体であることから。

■ブリリアントカット

ダイヤモンドを最も美しく輝かせるカット法のひとつ。20世紀にベルギーの数学者によって理論的に見出された。表面を58面体にカットすることで、進入した光が全て内部で反射し全面から放出される。

■ブリリアント・ナンバー

人間の頭蓋骨を構成する骨の数え方のひとつ。骨の数え方は何種類か存在するが、そのうち29個とカウントするものを兵器開発局ではブリリアント・ナンバーと呼んでいる。29の倍数である58は人の頭部マッピングを行う際の基礎数値であり、脳内チップ移植時にも重要となる。

■ブリリアント・モデル

特甲児童の脳内チップにかかわる理念。ブリリアントとはダイヤモンドを最も美しく輝かせる〝ブリリアントカット〟に由来する。転送兵器及び特甲児童の発案研究顧問テオ・カラス博士によって提唱されたが、三人の顧問の死によってブラックボックス化してしまった。ブリリアントモデルを解明することによってレベル3及び脳内チップに関わる問題は解消され、転送兵器の完成形である特甲レベル4へ到達できると考えられている。

■プリンチップ株式会社

テロリストや犯罪者たちに武器を提供するダミー会社。オーストリアの法律では企業は刑事罰の対象にならないことを利用した支援型テロ組織とされる。その名はかつてオーストリア皇太子を暗殺したことによって第一次世界大戦を引き起こしたセルビアの青年ガブリロ・プリンチップに由来し、彼と同様〝歴史的な一撃〟を起こす可能性を秘めた人間に最適な武器を提供することを信条としている。現在、そして過去にミリオポリス内で起こった様々な事件の黒幕とみられている。

■フロー状態

人格改変プログラムによって生じる心理現象のひとつ。人格改変化が他方向であれば、砂時計の砂が一杯になってもひっくり返すことで再び時間を刻み始めるように問題はない。しかし砂時計がひっくり返されず、改変化が一方向に限定された場合は〝時間面の停止〟が起こり、いっぱいとなった器にさらに砂が押し込められる状態となる。これをフロー状態といい、この状態が進行すればやがて限界を超えた器が内部から破裂――つまり人格崩壊をまねく。

■ブロードマンの脳地図

コルビニアン・ブロードマンによる大脳の構築学的区分の通称。人間の大脳新皮質組織を機能ごとに52の部位に区分したもの。各部位は〝野〟と呼ばれ、第一・二・三野=一次体性感覚野、第四野=一次運動野のようにそれぞれの野が人体の各機能を司っている。

■文化委託制度

ミリオポリスで行われている政策のひとつ。戦争や災害で保全困難になった国の文化や建造物を維持することで、国連から莫大な保全予算を得ている。文化委託局によって管理されていて、代表的なものとして市民が名乗る漢字名(キャラクター)や世界各地から移設された歴史建造物などがある。

■文化保全地域

ミリオポリス第二十六区に広がる文化委託された歴史建造物群が密集する地域。「東京タワー」「金閣寺」「マチュピチュ」「アンコールワット」「マーライオン」などが移設され、観光地としても市の重要な財源になっている。

■兵器開発局

ミリオポリス第二十二区に存在する軍施設。特甲児童をはじめとした転送兵器の開発のほか都市内で使用される軍兵器の管理にも関わっている。マスターサーバー〈叒(カムキ)〉の基幹ユニットを所有している。

■〈ボーマン・ユニット〉 NEW!

雛が犠脳体兵器に搭載されていた犠脳ユニットを回収し、自身の戦力としたもの。名前の由来は犠脳となった元ローデシアの上級団員ボーマンから。

■包括的国防体制

オーストリアのとる国防体制。その内容は国防省(実行部門)・内務省(民間部門)・教育文化省(心理部門)・通産産業省(経済部門)の四つの省がそれぞれ独自の国防計画を立案し、それを首相官房が統括管理するというもの。

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■マスターサーバー

都市の管理を司る演算装置。都市防衛の要であり、高度な演算能力によって市内のあらゆる情報網を監視し、電子干渉を行える。これによって都市内で大規模破壊兵器を使用することは事実上不可能とされる(この対抗手段が儀脳体である)。ミリオポリス内には複数のマスターサーバーが存在し、オリジナルである行政局の〈アマタ〉の他、作中で確認できるなかでも憲兵隊(MPB)の〈刕(レイ)〉、公安局(MSS)の〈瞐(バク)〉、児童福祉局の〈羴(ヨウ)〉、兵器開発局の〈叒(カムキ)〉が登場している。

■万華鏡的手法

バスティーユ文書に記されていた名言。一人の人間を殺害する際、複数の〝鏡合わせの死者〟を用意することによって無意味な情報を映し合い、捜査をかく乱させるという犯罪手法。

■〈マンシャフト〉

ミリオポリス第二十五区二十五番街の黒人青年組合。フォルクマール整備会社のマルティン社長と元ギャングの整備員モルノーが中心となり、黒人ギャングたちの厚生と社会復帰を支援している。

■道連れ爆弾

設置された乗り物に、設定された重量が加わることによって炸裂する仕掛け爆弾。<クーデター事件>の際には七つの道連れ爆弾が使用された。

■〈ミノタウロス〉

米軍が開発したアームスーツの最新鋭機。サテュロス型に比べ防御力・機動力・運搬力が強化されている。青い装甲と二本の角から水牛に例えられる。<戦犯法廷事件>後にMSSが新兵科として一機だけシュタイア社から購入している。名前の由来はギリシャ神話に登場する牛頭人身の怪物。

■ミリオポリス市

かつてはウィーン市と呼ばれていたオーストリアの首都。州境の拡大によって行政区がウィーン時代の23区から全35区になっている。国連都市を擁する国際都市であり、多くの音楽家を輩出したことから「音楽の都」とも呼ばれる。しかし、近年ではテロや凶悪犯罪の増加に悩まされており、〈ロケットの街〉とも呼ばれるようになった。

■ミレニアム・タワー NEW!

ミリオポリス第二十区にある高さ202mの超高層ビル。ショッピングセンターのミレニアム・シティが併設されている。高さ約50mの電波塔があり、テスタメント3の戦いで都市を襲う電波障害に対抗するためMPBが臨時の通信プラットフォームとして利用する。

■無線通信

伝送線を使わない電気通信の総称。特甲児童の使用する無線通信はMPBでは〝いぬぶえ〟、MSSでは〝ウィスパー〟と呼ばれ、脳内チップと顎骨に移植された無線機によって携帯機器を使用せずに通信を行うことが出来る。慣れれば〝発声による会話〟と〝無線による建前〟と〝心の中の本音〟を使い分けることが可能であるらしい。

■メッセージ・ゲーム

〈クーデター事件〉の主犯格カール・クラウスが行う情報戦略。多くの人間にとって象徴的な言葉と、ある個人にとって強い意味を持つ言葉を織り交ぜることによって人心を操り、自身は行動せずに望ましい状況を作り出す人心操作術。

■メリアー体

〈特甲〉や転送塔の構成素材となる物質。メリアーとはギリシャ神話に登場するトネリコの木の精霊のこと。トネリコは神話で槍の柄に使われた素材であることから、兵器の始祖ともいえるため、この名が転送兵器の素材に用いられた。全ての特甲児童には同一種類のメリアー体が使用されており、脳が耐えられるなら理論上は何種類もの特甲を使い回すことも可能とされる。

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最終更新:2017年01月27日 00:22