SPRITE SPIEGEL【スプライトシュピーゲル】
――英:sprite 民間伝承における伝説の生物。妖精の一種。
――独:spiegel 鏡。物語の意。
――難業を運命づけられ、自ら選んだ者たちの記憶。妖精たちの物語。
『スプライトシュピーゲル』 著/冲方丁 イラスト/はいむらきよたか
富士見ファンタジア文庫より発売されているシリーズ。近未来のウィーン=ミリオポリスを舞台に、
「紫の少女」「青の少女」「黄の少女」混沌な中で生きる三人の少女《焱の妖精(フォイエルスプライト)》たちと公安特殊部隊MSSの活躍を描く近未来SFアクション小説。
機械化された体を持ち、最新の官給品として敵を貫く三人の弾丸に命令が下る。敵を貫け! 破砕せよ!
これは天に唾しながら、未来をあざけり日々を生きる、妖精と呼ばれた少女たちの物語――スプライトシュピーゲル。
概要
著者・冲方丁がスニーカー大賞10周年企画「オイレンシュピーゲル 三匹のタンタン・タカタカ・タンタンタン」を発表後、世界観を見つめ直す過程でその世界に生きる〝別の三人〟の存在に気づき誕生したのが本作品である。
「オイレンシュピーゲル」の三人の少女たちと本作の三人の少女たちは、微妙に絡み合いながらも全く別の物語を生きている――この構想が角川書店「ザ・スニーカー」と富士見書房「ドラゴンマガジン」での二誌同時連載という形で実現したのが〝シュピーゲルシリーズ〟である。
本シリーズでは〝複数の視点から物語を見つめる〟というコンセプトをより前面に押し出しており、MSSに所属する三人の主人公「鳳」「乙」「雛」ら三者の視点のみならず、組織を牽引する大人たちの視点や、一般人の視点から狂言回しを務めるもう一人の主人公「冬真」の存在によって、多数の登場人物たちによって物語が語られる群像劇スタイルとなっている。
そのためもう一つのシリーズである「オイレンシュピーゲル」に比べ世界背景・事件背景・社会背景についてより俯瞰的に物語の全体像を把握しやすい。またラブコメ要素やヒロイズムを重視した作風になっているのも特徴である。
シリーズの特色であるクランチ文体の使用は他シリーズに比べやや控えめになっており、その意味でもよりライトノベルらしい作品になっている。
スプライトシュピーゲルⅣあとがきの段階では単独でシリーズが完結する予定であったが、「オイレンシュピーゲル」との兼ね合いから二つの物語を一つの作品に合流されることになり、主人公たちの物語は「テスタメントシュピーゲル」へと続く形となった。
既刊一覧
- スプライトシュピーゲルI Butterfly & Dragonfly & Honeybee(2007年2月5日初版発行)
- スプライトシュピーゲルII Seven Angels Coming(2007年7月25日初版発行)
- スプライトシュピーゲルIII いかづちの日と自由の朝(2007年11月5日初版発行)
- スプライトシュピーゲルIV テンペスト(2008年4月25日初版発行)
最終更新:2015年08月25日 23:48