夢現聖杯儀典:re@ ウィキ

カテジナ・ルース&バーサーカー

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「岩本虎眼、バーサーカーのサーヴァント……やってくれた喃、『ますたあ』よ」



封建社会の完成形は少数のサディストと多数のマゾヒストによって構成されるのだ。



――――失うことから全ては始まる、正気にては大業ならず―――







カテジナ・ルースという少女は、すでに正気と呼べるものを失っていた。
本来の少女性を失い、激しい負の感情が胸の内を暴れまわっている状態だ。
金色の艶やかな髪も、どこか傷んで見え、目も暗く沈んでいる。
正気であった頃の想い出は、遠い過去どころか別の人間の記憶のような、虚無感を抱いていた。
カテジナは安らげる居場所を求めていただけだったのかもしれない。
本当は、そういった居場所は、崩壊した家庭であって欲しかったのかもしれない。
幸福になりたいと、誰もが願うように願っていただけだった。

「……」

カテジナの背中に、冬風を連想させるような、冷たい悪寒が走った。
理由もなく寂しくなる。
この家には、カテジナだけしか居なかった。
自身の両親は、この家には居ない。
死んでいるわけではない。
父は仕事で、母は男だ。
カテジナにとって、ここは巣ではない。
孤独な邸宅から逃げ出すように、カテジナは自宅の廊下から外を見た。

「あ~……あぁっ………」

そんな外、つまりカテジナが住む自宅の庭の中に、一人の老人が蹲っていた。
ガリガリと土を食べている。
乱れた総髪を、さらに振り乱している。
おかしなことだが、カテジナにとっては日常へと変化しつつある光景だった。
先日は珍しく寝入ったかと思えばそのまま脱糞し、カテジナが寝付いた頃に布団を抜けだして生肉を食らっていた。
あらゆる奇行は、この老人の頭がおかしくなっていることを意味していた。
カテジナは目を反らし、自室へと向かう。
その姿を見て見ぬふりをする程度の思いやりは、カテジナの中にも残されていた。

「いぐぅ……いぐぅ……」

痴呆症の老人にして虎の異名を持つ剣豪、岩本虎眼。
それが自身が召喚したバーサーカーのサーヴァントであった。
かつて栄光を誇ったであろう英霊も、老齢時ではこのザマだ。
バーサーカー、狂戦士のクラスに施される強化と狂化は老人の痴呆によって無効化されている。
召喚時、カテジナの前に現れた岩本虎眼ははっきりとした状態だった。
カテジナの魂を震わせる恐ろしさがあった。
しかし、泥を食むあいまいな状態の、今の虎眼の姿はそれとは程遠い。
もちろん、そんな状態でもカテジナでは手も足も出ないだろう。
老醜の極みであるあいまいな虎眼を連想し、カテジナは舌打ちを鳴らした。
それでも、深い絶望はなかった。

「……」

カテジナは自室へと踏み入れ、自身の業務机においた『とっくり』を抱え上げるように持った。
とっくりは何の変哲もないそれだが、不可思議な穴があった。
綺麗な円を描く穴ではなく、歪な破壊痕であった。
本来ならば、このような破壊痕は出来ない。
小さな円を書くような破壊を行おうと思えば、とっくりの頭まで壊れてしまうからだ。
神速を持って、最小の打撃を行わなければいけない。
虎眼が行った、虎眼の身体に染み付いた魔技の片鱗。
カテジナは薄く嘲笑い、口を開いた。





「むーざん……むーざん……」



『むーざん むーざん
 とーらの かーこいもの

 まーしろないぬ ころころ
 "かてじな"に か~し も~ろたら
 あ~かいはな さいた
 むーざん むーざん

 ごふくやのい~なずけ てくてく
 "かてじな"に な~まえ よ~ばれたら
 あ~かいけ~さ さいた
 むーざん むーざん

 ぶ~ぎょしょのか~みそり ずんずん
 "かてじな"のおおだな たずねたら
 あ~かいまえだれ さ~いた

 むーこからくるは"かてじな"
 とーらの かこいもの』


夢の中で見た童歌を、カテジナは狂ったように歌い始める。
外では未だにバーサーカーとなった岩本虎眼が泥をはんでいた。
狂気とは異なる、人間がいずれ迎えてしまうであろう老醜の極みだった。
バーサーカーのサーヴァント。
恐らく、曖昧な状態が長く続くであろうこのサーヴァントでは勝ちの目は薄い。
それでも、カテジナは笑った。
個人の善意を利用した世界の悪意が生む、狂気に侵されていた。
個人によって集団は作られ、集団によって社会は作られる。
しかし、個人とは社会ではないのだ。

「むーざん、むーざん」

意味もわからず、カテジナは笑いながら口ずさみ続けた。



【クラス】
バーサーカー

【真名】
岩本虎眼@シグルイ 駿河城御前試合

【パラメーター】
筋力:C+ 耐久:D 敏捷:C 魔力:E 幸運:C 宝具:-

【属性】
秩序・中庸

【クラススキル】
狂化:-
岩本虎眼は後述のスキルと狂化スキルと複合している。

【保有スキル】
痴呆:A
曖昧な状態・明瞭な状態・そのどちらでもない戦闘機能が鋭敏化された『魔神』状態がアトランダムに入れ替わる。
曖昧な状態では筋力・耐久・敏捷が1ランクダウンし、知能が大幅に下る。
明瞭な状態では通常のステータスに変更なし、魔人では筋力・耐久・敏捷が1ランクアップする。
明瞭な状態は長く続かず、曖昧な状態が一週間続くことも珍しくはない。
本来持つべき心眼(真)と宗和の心得がこのスキルによって消去されている。

死狂:C
被虐の誉れと同種のスキル。
肉体を魔術的な手法で治療する場合、それに要する魔力の消費量は通常の1/2で済む。
また、魔術の行使が無くても、一定時間経過するごとに傷は自動的に治癒されていく。
老齢時の虎眼と時代を共にする武士は、全てこのスキルを所有している。

【宝具】
『秘剣・星流れ』
ランク:- 種別:対人魔剣 レンジ:1-10 最大捕捉:1人
対人魔剣、厳密には宝具ではない。
六本ある右手指の間に刀を納め、左手の人差し指と中指で刀身を挟みこむように握る。
空間自体を裂くかのような、高速で繰り出される一文字の斬撃は、何人たりとも逃れることが出来ない。

【weapon】
通常の日本刀

【人物背景】
若き日には「濃尾無双」と謳われる剣の達人であり、かの柳生但馬守宗矩と互角以上の勝負を繰り広げた。
また「無双」の看板を掲げる剣術道場を訪れ、無双を名乗ることの許可と剣術の教授という名目と引き換えに、道場破りに及ばずして金品を獲得するという「無双許し虎参り」で路銀を稼いだとされている。

ストーリ上では伊良子清玄の虎眼流への入門儀式の際に初登場するが、老耄が激しく正気を失った曖昧な状態と化して描かれる。
白目をむき指が震えた状態で現れ、一瞬正気となり伊良子の額に付着させた小豆を抜刀で十文字に切り裂いた直後、また曖昧となり失禁している。

時折正気に戻るがその時見せる気性は曖昧の状態とは打って変わって苛烈そのもの。
勝負に勝った相手にでもその内容に不満があれば強い憎悪を抱き続ける。
また嫉妬心も非常に強く、妾のいくが少しでも親しくしたものは容赦なく斬り殺す。
いくが菓子を与えた子犬、いくが声をかけた呉服屋の亭主などは内臓をぶちまけることになったと童歌に謳われている。
また虎眼流道場内で死人が出た場合、真っ先に容疑者として挙げられ、しかも何が彼の逆鱗に触れるのかは古株の高弟にすらわからない。

ひとり娘である三重の結婚相手として、三重を敬っている人物だからという理由で藤木源之助を推挙した高弟(牛股)の口を顎関節まで真剣で切り裂いた。
己の強い「種」を残すことにのみ関心を集中させており、三重が女として生まれたことにも不満を見せている。
そのため三重の心中を思いやる描写はなく、種受けとしか考えていない。
多くの門弟が見守る道場内で、「種」のために伊良子に娘を強姦させようとしたこともある。

【サーヴァントとしての願い】
不明。

【基本戦術、方針、運用法】
虎眼自体が曖昧な状態からでは指示を聞き入れないため、明確な作戦を立てることが出来ない。



【マスター】
カテジナ・ルース@機動戦士Vガンダム

【マスターとしての願い】
巣を手に入れる

【weapon】
仕込みナイフ、拳銃など。

【能力・技能】
優れたモビルスーツの操縦技能を持つ。

【人物背景】
ポイント・カサレリア近くの街ウーイッグで商店を営むテングラシー・ルースの娘。
家庭を顧みない父、それにかこつけて愛人を作っていた母に幻滅していた。
戦災に巻き込まれ、レジスタンス機関である『リガ・ミリティア』と行動を共にすることになる。
しかし、子供であるウッソ・エヴィンをパイロットにするリガ・ミリティアの大人たちには嫌悪感を抱いていた。

その後、クロノクル・アシャーに人質として誘拐されるも、やがてザンスカール帝国の理念に賛同し、入隊。
尋常ならざる速度でモビルスーツパイロットとして実力を身に付ける。
最終決戦ではゴトラタンに乗り込み、クロノクルの駆るリグ・コンティオと共に、ウッソにとって最後の強敵として立ちはだかった。

小説版ではザンスカールのモビルスーツ操縦研修と並行して、スーパーサイコ研究所により強化人間としての処置を受けている。
テレビシリーズでも、作中トップレベルのパイロットであるウッソやクロノクルに比肩するモビルスーツ操縦技術の短期間での習得、
精神的干渉による会話描写、オールドタイプを見下す発言、ウッソに対する歪んだ執着と嫌悪、手段を選ばない卑劣ぶりなど、
強化人間にみられる情緒不安定性や狂気に近い行動が多くなったことから、強化人間の処置を受けている可能性がある。

【方針】
願いを叶える。

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