夢現聖杯儀典:re@ ウィキ

奪うのも、与えるのも

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匿名ユーザー

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――何となくだけれど、もう二度とみんなと踊る機会は来ないんじゃないかという気がしていた。






「みんなお疲れー!」
「今日のステージは大成功だったな!!」

今日は冬木市にあるいくつかのダンスチームの一つ、チーム鎧武のステージイベントだった。
もちろんインベスゲームなんてものは「この世界」には存在しないし、喧嘩でステージを取り合うようなこともない。
平和的にステージで踊る権利を分け合う、夢のような世界だった。まあ、実際夢なのだけれど。

「舞さん、ちょっと良いですか?話したいことが…」
「?うん、別に大丈夫だけど…どうしたのミッチ?何か悩み事?」
「いえ、そういうわけじゃないんですけど…」

僕はチーム鎧武のガレージの裏に舞さんを呼び出した。
別にここで皆に話しても良いんだけど、最後は舞さんと二人きりで話をしたかった。
この人が聖杯が再現したデータに過ぎないとしても、それでも舞さんには違いないから。

「実は学校の方がそろそろテスト期間に入るんです。
今回はいつもより難易度が高いらしくて、しばらくこっちには顔を出せないと思います」
「そっか……。寂しくなるけど、学校のことなら仕方ないよね」

こちらの世界でも裕也さんと紘汰さんはチームからいなくなっていた。
裕也さんは質の悪い食中毒で運悪く亡くなってしまい、紘汰さんは元の世界と同じように就職活動のためにチームから抜けた。
ようやくチームの皆が立ち直り、ステージを成功させただけに舞さんの落胆は当然だった。
けれど、僕がここにいられるのも今日が最後なんだ、仕方ない。

「でも終わったらまた一緒に踊れると思いますよ」
「当たり前でしょ?ミッチまでいなくなったらチームが回らなくなっちゃうんだから。
あ、そうだ。今度市内のチームを集めて合同イベントをやらないかって話が出てるの。
まだ予定は未定って感じなんだけど、ミッチが戻ってくるまでにバッチリ話進めとくから!」

そうか。この世界でも合同イベントは起こるのか。
ヘルヘイムの森やユグドラシルが関わらなくてもビートライダーズが協調していく。
こんなにも優しい世界が現実だったならどれほど良かっただろう。
心にこみ上げるものを抑えて最後に出来る限りの笑顔を作った。

「はい、楽しみにしてます」





――あなたのためなら、僕はどんなことだって出来る。






猶予期間は今日で終わる。
だというのに自分のマスターはダンスなどに興じている。
アーチャーはビルの屋上から双眼鏡でステージでNPCと踊るマスターを眺めながら嘆息した。
本当ならすぐ近くで見張っていたかったがついて来るなと言われているためこういう形に留めている。

自分を召喚したマスター、呉島光実が別段考えなしの人間ではないことは知っている。
魔力供給量の少なさを弁えた上で、アーチャーの魔力をなるべく温存し光実がマスターを仕留める策を立てた。
戦極ドライバーによって変身するアーマードライダー。それが光実の言うマスター殺しの切り札だった。
なるほどあれならば携行火器で武装した程度の人間や経験の浅い魔法少女では相手にもならない。
決定力の弱いアーチャーだが時間停止を駆使すればどうとでもアドバンテージは稼げる。
こういう方策を考えられるあたり光実は決してマスターとして外れというわけではないのだろうが――

「どうも、信用しきれないのよね」

アーチャーの光実への評価は一言で表して「胡散臭い」。
あの男の弁論はどこかインキュベーターを彷彿とさせるのだ。つまり生理的に受け入れにくい。
それにアーチャー自身年齢の近い男性と行動したことがないので今一つ距離感を測りかねる。
このためか方針や作戦においては弁の立つ光実に主導権が寄っているのが現状だ。

「まあ、パートナーとしてまっとうに動けるなら問題ないわ」

サーヴァントとして現界した今のアーチャーは世界の理を歪めた悪魔とは程遠く非力だ。
そもそも二面性を持つとはいえ、魔法少女として現界したのだから当然だが。
アーチャーが聖杯にかける願いは一つ。「物語」の完成だ。
鹿目まどかを円環の理から完全に引き剥がし、概念ではなく個人として安定させるには万能の願望器の力が必要だ。
このアーチャーは聖杯を得るべく数多の世界に伸ばされた暁美ほむらの端末、ないし分霊の一つ。

「…終わったわね」

考え事をしている間に、ダンスイベントは終了したようだった。
懸念していたサーヴァントの襲撃もなかったらしい。
光実が主張していた通りになったのが少々腹立たしいが。
それでも万一に備え、迎えに行くことにした。






「ついて来なくていいって言ったよね?」
「人目の多いステージならともかく、帰りは危険でしょう。
猶予期間も終わらないうちに死ぬなんて無様は許さないわ」

チーム鎧武のガレージから出た僕を待っていたのはアーチャーだった。
チームの皆(正確には舞さんだ)にアーチャーと一緒にいるところを見られたくないから来るなと言っていたのに……。
まあ、今日が最後なんだし我慢してやってもいいさ。

「わかっていると思うけど明日から本格的に聖杯戦争が始まるわ。
まさか、明日からもまだダンスに精を出すつもりじゃないでしょうね?」
「そんなわけないだろ、息抜きは今日で終わりにするさ」

本音を言えばもう少し続けていたかった。
ヘルヘイムやユグドラシルに振り回されることもなく、皆と踊っていられる日々。
本当はわかっていた。元の世界でこれから僕がどんなに上手く立ち回っても本当の意味であの時間は帰ってこないことぐらい。
だからだろう、アーチャーの言う通り無駄とわかっていても今日までチームに顔を出し続けたのは。

「その言葉、今は信じておくわ。今日はゆっくり休んでおきなさい」
「わかってるよ、明日から忙しくなるからね」

さて、僕が立てた作戦の問題点はアーマードライダーのような強敵がマスターにいた場合だ。
城乃内や初瀬レベルならともかく、紘汰さん並の使い手がいれば戦極ドライバーでは厳しいだろう。
本当の切り札としてゲネシスドライバーがあるが……それは今のところアーチャーには秘匿している。
いくら令呪があっても考え方も性別も違う人間相手にいきなり自分の武器全てを教えるなんて馬鹿のやることだ。
とにかく、ゲネシスの使いどころとアーチャーへの言い訳はよく考えておく必要がある。

僕は必ず勝つ。聖杯を手にすれば、もう誰も僕に指図はできない。
誰から奪い、誰に与えるのか。世界でただ一人、僕だけがそれを決める立場になれる。
聖杯がアーチャーのように時間にさえ干渉できるのなら過去に戻りつつ、僕に不都合なもの全てを消してしまえるかもしれない。
そう考えれば今までの紘汰さんの突飛で無責任な振る舞いも許してやろうという気にもなる。
今、元の世界で破滅しかけている舞さんを救えるのは紘汰さん、あなたじゃない。
この僕だけなんだ。


【クラス】
アーチャー

【真名】
暁美ほむら@魔法少女まどか☆マギカ 叛逆の物語

【パラメータ】
筋力:E 耐久:E敏捷:D 魔力:C 幸運:C 宝具:B

【属性】
秩序・悪

【クラス別スキル】
対魔力:D
魔術への耐性。一工程の魔術なら無効化できる、魔力避けのアミュレット程度のもの。

単独行動:C
マスター不在・魔力供給なしでも長時間現界していられる能力。マスターを失っても一日は現界可能。


【保有スキル】
道具作成:E
材料があれば爆薬の調合・爆弾の製作ができる。
アーチャーが作成した爆弾は他人が使ってもサーヴァントにダメージを与えられる。

自己暗示:E
自身にかける暗示。精神攻撃に対する耐性を上げるスキル。
……が、アーチャーの場合どちらかと言うと自分に無理やり言い聞かせているといったほうが正しく、効果は低い。


【宝具】
『やり直しの願い(コネクト)』
ランク:C 種別:対界宝具 レンジ:なし 最大捕捉:1
かつての願いを元にした時間停止能力の発現。本来は砂時計の砂を傾ける事による能力。
アーチャーに触れている者に対しては時間停止が働かない。
本聖杯戦争では再現の都合上で単に魔力を消費するだけで使用できる宝具になっており魔力消費・持続力も悪化している。
マスターである光実から供給される魔力が少ないため戦闘の度に時間停止に頼ることは難しい。
それに伴い、時間遡行の能力は消滅した。
また、付随する能力として盾の中に色んなものを収納することが可能だが、サーヴァントである以上武器は自由に取り出せるので意味がない。
時間操作という魔法を操る対界宝具にも関わらずランクが低いのは元は一人の少女の願いから生まれた宝具であるため。

『穢された願い(まどか・マギカ)』
ランク:B 種別:対人(自身)宝具 レンジ:なし 最大捕捉:1
鹿目まどかによって改変された世界での魔法少女・暁美ほむらの再現。
『やり直しの願い』との同時使用はできず、アーチャーはこの宝具と『やり直しの願い』の二つの形態を使い分けて戦うことになる。
改変以前の世界で鹿目まどかが使っていた弓矢を用いた戦い方に変化し、時間停止及び銃火器は使用できなくなる。
またこの形態でのみアーチャー本来の力を攻撃能力を持った黒翼という形で、ごく僅かながら行使できる。
神を穢しその手に収めた逸話から、黒翼による攻撃は神の恩寵を打ち破る。


【weapon】
「各種銃火器・爆弾」
かつてアーチャーが自作したり、自衛隊などの組織から盗んで使用していた武器の数々。
これらの使用に魔力消費は発生しないが、爆弾類を除き消費した銃火器・弾薬は現地調達しない限り二度と補充できない。
また、これら現代の兵器は霊体であるサーヴァントとの相性が悪くサーヴァントへのダメージにマイナスの補正が掛かる。

「弓」
魔法の矢を撃ち出す黒塗りの弓。
銃火器に比べサーヴァントへ与えるダメージが高い。


【人物背景】
とある時間軸で魔法少女だった鹿目まどかに憧れ、そしてその死を否定するべくインキュベーターと契約して魔法少女になった少女。
能力は特定期間内限定の時間停止と、一定期間の時間遡行。
魔法少女となった事で自信がつき、弱気だった性格は明るくなった。
だが魔法少女の契約には裏があり、魔法少女はやがて魔女となって人々に害をなす運命にある。
魔女化によって相転移する感情のエネルギーを回収する、というのがインキュベーターの真の狙いだった。
それに気付いたほむらは時間遡行を繰り返しまどかを魔女化させないように試みたが、何度やっても上手くいかない。
最終的にほむらはもう誰にも頼らないことを決め、人との接触や説明を避ける人物になった。
しかし単独では最強の魔女・ワルプルギスの夜にどうやっても勝利できず、本編の時間軸におけるまどかは「全ての魔女を消す」ことを願いにして契約。
ほむらの時間遡行により集まった因果の力で世界を改変して願いを叶えたまどかだが、その代わりに魔女を消す概念「円環の理」となって消滅した。
世界から魔女は消えたものの、エネルギーを求めるインキュベーターはほむらを魔女にして円環の理の掌握を試みる。
まどか達の力でこの実験は失敗したが、ほむらは円環の理として迎えに来たまどかを『愛』の力で捕獲。
再度世界を改変して鹿目まどかという人間を取り戻した。
神にも等しい存在となっていたまどかを、更に因果律を書き換えることで取り戻したほむら。
だがまどかの存在は不安定で、ふとした切欠で「円環の理」に戻る危うい状態にある。




【サーヴァントとしての願い】
聖杯の力で自らの世界の改変を完全なものにする。


【マスター】
呉島光実@仮面ライダー鎧武
(参戦時期は34話終了後)

【マスターとしての願い】
誰にも、何にも脅かされない絶対の権力を手に入れる。

【weapon】
「戦極ドライバー」
アーマードライダー・龍玄に変身するために必要なベルト。
イニシャライズ機能があり光実以外の人間には使用できない。

「ブドウロックシード」
戦極ドライバーに対応するクラスAのロックシード。
これを使うことで龍玄・ブドウアームズに変身する。
専用アームズはエネルギー弾を発射するブドウ型の銃「ブドウ龍砲」。

「キウイロックシード」
戦極ドライバーに対応するクラスAのロックシード。
これを使うことで龍玄・キウイアームズに変身する。
専用アームズは輪切りのキウイを模した二つの撃輪「キウイ撃輪」。

「ローズアタッカー」
バイク型のロックビークルに変化するロックシード。
速度を上げることでヘルヘイムの森への行き来が可能だが本聖杯戦争では不可能になっている。

「ゲネシスドライバー」
アーマードライダー・斬月真に変身するために必要な次世代型ベルト。
こちらは誰でも使用可能であり、光実はこの性質を悪用して本来の変身者である兄・貴虎になりすましていた。
ちなみにコア部分は取り外し可能で、戦極ドライバーの拡張ユニットとしても利用できる。

「メロンエナジーロックシード」
ゲネシスドライバーに対応するクラスSのロックシード。
これを使うことで斬月真・メロンエナジーアームズに変身する。
斬撃武器としても使用可能な弓矢型の武器「創生弓ソニックアロー」をアームズウェポンの代わりとして扱う。
あらゆる性能が旧世代のアーマードライダーを上回る。

「クレジットカード」
富豪レベルの買い物ができるゴールドカード。

【能力・技能】
アーマードライダーとしての技量は可もなく不可もなくといったところ。
また、明晰な頭脳を持ち大人相手にも弁論で立ち回ることができる。
ただし本人の幼稚な精神性が足を引っ張ることも多々ある。



【人物背景】
沢芽市のダンスチーム「鎧武」に所属する高校生。チームメイトからの愛称は「ミッチ」。
ユグドラシルコーポレーションの重役を父に持つ御曹司でもあり、兄である貴虎からは将来を強く期待されている。
しかし本人はそんな期待を重荷に感じており、兄に秘密で放課後の時間をチーム鎧武で過ごすという二重生活を送っていた。
葛葉紘汰をヒーローとして強く尊敬し、高司舞に異性として憧れを抱いている。
紘汰が斬月(貴虎)に敗北し心を折られたことを切っ掛けにチームを守るためアーマードライダー龍玄に変身し、戦いを始める。
次々と真実が明かされ状況が変化していく中波風を立たせないようユグドラシル側とビートライダーズ側の二つの立場を使い立ち回る。
しかし次第に紘汰が思い通りに動かなくなり、紘汰に対して苛立ちを覚えはじめる。
そして紘汰が舞を沢芽市で起こっている異変と陰謀に巻き込んだことが原因でついに怒りが爆発。
以降紘汰を邪魔者と見做し命を狙うようになり、戦極凌馬らに裏切られた貴虎も見殺しにする。(ゲネシスドライバーはこの時入手)
一時シドと行動を共にするも彼の死後はオーバーロード・レデュエの右腕に収まる。
しばらくは寝首を掻くことも考えていたが後にオーバーロードの圧倒的な力を見たことで心が折れる。
本聖杯戦争の光実はその時点から参戦している。
能力は高いものの自分の判断を過信し、自己を客観視できないなど精神的には未熟で幼稚な面がある。

【方針】
使える魔力に限りがあるので戦闘を行う時は好機を見極めてから。
また状況次第で他のチームに取り入ることも考える。

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