夢現聖杯儀典:re@ ウィキ

ラカム&ライダー

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日が昇り始める明朝。
とあるマンションの屋上にて、二人の男が立っていた。
カジュアルな装いの若い男。銀色の騎士。
周囲の大気を、穏やかな風が支配している。
どこか冷たく、それでいて肌を撫でるような暖かさの風が吹く。
まるで、大空の中にいるような感覚に囚われる。


「俺はかつて、空に憧れてたんだ」


ラカムは、空を目指した男だった。
そして、空を棄てた操舵士でもあった。

彼にとっての全ての始まりは幼少期。
幼かったラカムは、町外れに打ち捨てられていた騎空挺『グランサイファー』に心を奪われた。
雲を裂き、空を駆ける船に憧れたのだ。
故に彼は、空への挑戦を決心した。
幼き日の彼は無垢な夢を抱いた。


「必死こいて操舵士のノウハウを学んだり、オッサン共と一緒に船の整備したり……
 空を目指して色々やってきたさ。懐かしい思い出だぜ、全く」


まだ幼かったラカムは、それをきっかけに操舵士としての技術を学び始めた。
街の技術者の協力を得て、グランサイファーの整備と修復を行った。
自らの駆る船によって空を駆けることを夢見て。
ラカムは、長い年月を費やした。
彼の夢は現実へと近付き、それにつれて自信と技術も自然に身に付き始めた。
自分なら行ける――――――そんな確信を持っていた。


「だけど、俺は駄目だった」


そんな夢の結末は呆気ないものだった。
ラカムは、空に敗れた。
技術者の監修と協力を得たことによる確かな修復。
ラカムが積み重ねてきた操舵士になるための地道な修練。
長い年月をかけ、それらを積み重ねてきた。
ラカムの技術が在れば、今の騎空挺グランサイファーは確実に飛行出来る。
技術者からもそう断言されていた。


それでも、ラカムは空へと飛ぶことが出来なかった。


余りにも呆気ない墜落。
それが騎空挺グランサイファーの末路だったのだから。
幸いラカムは大事に至らなかったものの、彼の夢はグランサイファーの墜落と共に途絶えた。
空へと飛ぶ為に、必死に挺の操縦技術を磨いてきた。
船を飛ばす為に、長い月日を費やして修復に臨んだ。
島の守り神の加護によって、気候も最適だった。
にも拘らず、グランサイファーを飛ばすことは出来なかった。
完璧なコンディションだったにも関わらず、失敗した。
それ以来、ラカムは空を棄てた。
『空に裏切られた』という思いを抱え、己の夢を喪った。
傍に立つ従者に対し、ラカムは己の経緯の全てを、募らせてきた思いを語った。


「……空、か」


ラカムの傍に立つのは、白い髭を靡かせる老騎士。
彼はマスターの語る言葉を何も言わずに聞き届けていた。
決して邪魔をせず、彼の過去を受け止めていた。
そして、騎士は初めてその口を開く。


「おぬしが空に想いを馳せていた様に、我々も『大地』に想いを馳せていた」


ラカムの夢を否定も肯定もせず、騎士はどこかしみじみと語るように呟く。
操舵士が空に憧れていた様に、騎士は大地“ヴァース”に憧れていた。
空に浮かぶ雲で構成された島において、存在し得ない『土による大地』。
鉄やカボチャといった空には無い資源を生み出す、幻の土地。
空の民達はそんな大地に永遠の憧れを抱いた。
地を歩く人が空を目指した様に、空に住まう人は地に憧れたのだ。


「青海であろうと、空島であろうと…やはり人は変わらぬものだな。
 未知への憧れは、人々に大いなる夢を与えてくれる」
「…ああ。あんたの言う通りだろうな」


静かにそう語る騎士に対し、ラカムは少しの間のを開けて同意するように呟く。
未知への憧れ―――――それは人々が何かに『挑戦』する為の原動力。
ラカムは艇に魅せられ、空に憧れた。
故に彼は見果てぬ領域である空へと挑戦したのだ。
未知への憧れが、自分を空へと駆り立てた。
空に裏切られたと感じていたラカムにとっても、それは理解出来ていた。


「だからこそ、ふとした時に『やり直したい』って思っちまってたのさ。
 あの頃のように、もう一度空へと挑みたい―――――――――ってな」


夢を棄てたラカムは、ある時ほんの少しの願いを胸の内に抱いてしまった。
『空への挑戦をやり直したい』『グランサイファーに乗って、また空へと挑みたい』。
僅かに芽生えた思いが、彼をこの聖杯戦争へと導いた。


「こんなクソッタレな殺し合いに巻き込まれて、ようやく気付いたんだよ。
 『空に裏切られた』だの何だのと御託を並べてたが、結局の所……俺は夢を諦め切れてねえんだってさ」


奇跡の願望器を巡る戦争。
最後の一組になるまで殺し合う闘争。
参加者足り得るのは『聖杯に託す願いを持つ者』。
そんな聖杯戦争に、ラカムは召還された。
巻き込まれてから、彼はようやく気付いてしまった。


自分は、奇跡に縋りたかったということに。
奇跡に縋ってでも、空への夢を棄て切れなかったということに。


皮肉なことだとラカムは自嘲する。
こんな殺し合いに巻き込まれて、ようやくそれを理解したのだから。
己の性を噛み締めたラカムを見据え、騎士は再び口を開く。



「おぬしはその夢の為に聖杯を取るか」



聖杯を得る為に戦うか。
騎士の問いは、実に単純なものだった。



「いいや、俺は奇跡なんかに頼らねえ」



ラカムの答えは、否。
無言で真っ直ぐに見据えてくる騎士に対し、ラカムは続けて言葉を紡ぐ。


「俺は、俺の意志でまた空に挑戦したい。
 今度こそ俺の手でグランサイファーを飛ばしてやる為に。
 聖杯なんて代物に頼っちまったら、それこそ本当の臆病者になっちまう」


ラカムの望みは、再び空へと挑戦すること。
自らの手で騎空挺を空へと飛ばすこと。
この聖杯戦争に巻き込まれ、彼はようやく己の夢を取り戻したのだ。
既に己の願いを見つめ直した。
故にラカムは奇跡の願望器に頼るつもりなど無い。
己の意志で艇と向き合わなければ、空に挑まなければ、何の意味も無いのだから。


「俺はまず此処から脱出する手段を探す。
 例え勝つこと以外に手段が無くても、可能な限り諦めたくはねぇ」


ラカムの選んだ方針は脱出。
聖杯戦争そのものを否定するつもりはない。
だが、肯定もしない。
だからこそラカムは戦いに囚われぬ生還を目指す。
自分が勝ち残って聖杯を手にした所で、意味など無いのだから。
最悪、勝つことしか手段が無かったとしたら――――――その時はその時だ。


「だからよ……悪ィな、じいさん。俺はあんたの望みを―――――――」


俺はあんたの望みをきっと叶えられない。
聖杯を手に入れることより、生きて帰ることを優先するのだから。
ラカムは騎士に対し、そう言おうとした。



「よかろう。おぬしの望み、しかと受け取った」



だが、騎士は何の迷いも無く口を開く。
聖杯を手にする機会を放棄するも同然。
だというのに、彼はきっぱりと言ったのだ。


「じ、じいさん…?」
「元よりこの老体に『願い』はない。
 おぬしのような若き力を助ける為に此処に参じたのだから」


意外そうな表情を浮かべるラカムに対し、騎士は告げる。
元より願いなど無かった。
ただ彼は、ラカムの存在に導かれただけに過ぎなかった。
願いを持つ若き意志を助ける為に召還に応じた。

そして出会ったマスターは、空に憧れる男だった。
空に再び挑戦することを望む、活気溢れる若者だった。
そんな彼は、聖杯への願いを持たなかった。
己の意志で願いを叶える。その為に生き延びる。
奇跡に頼らずとも、自らの力で空へと挑戦する。

騎士は己のマスターに感心を抱いたのだ。
同時に自身が此処へ導かれたのは正解だった―――――と。
そう思ったのだ。


「…ありがとな、じいさん」


フッと笑みを浮かべながら礼を言うラカム。
騎士もまた、僅かな微笑を口元に浮かべる。
このような若者の為に槍を振るえるのなら、本望だ。
騎士はそう思っていた。

同時に、ラカムもまた騎士を早くから信頼していた。
騎士は己の経緯を真摯に聞き届け、何の縁もない自分の為の戦いに尽くすことを宣言した。
故に、この老騎士は信じられる。
半ば確信のようにラカムはそう感じていたのだ。


そして、騎士は槍を掲げる。
主の為に戦うことを宣言する様に、名乗りの口上を上げる―――――




「我輩はライダーのサーヴァント、ガン・フォール!
 主君の為に槍を振るう『空の騎士』となろう!!」




――――――空を駆ける騎士。空を望む操舵士。
――――――空へと想いを馳せる主従の契約が、此処に結ばれる。



【クラス】
ライダー

【真名】
ガン・フォール@ONE PIECE

【パラメータ】
筋力C 耐久C 敏捷C+ 魔力D 幸運C 宝具C

【属性】
秩序・善

【クラス別スキル】
騎乗:B
騎乗の才能。
大抵の乗り物なら人並み以上に乗りこなせるが、魔獣・聖獣ランクの獣は乗りこなせない。

対魔力:D
一工程(シングルアクション)によるものを無効化する。
魔力避けのアミュレット程度の対魔力。

【保有スキル】
空の騎士:B
天空を駆る騎士。
宝具『蒼空の騎士鳥』に騎乗中、パラメータにプラス補正が掛かる。

神性:E-
生前に空島の神として君臨していた逸話が神性へと昇華されたもの。
しかし本人が『神』の概念を否定したため、ランクは極めて低い。

戦闘続行:D
往生際が悪い。
致命傷を受けない限り生き延び、僅かな治癒のみで次なる戦いへ挑むことが出来る。

【宝具】
『蒼空の騎士鳥(サー・ピエール)』
ランク:C 種別:対人宝具 レンジ:- 最大捕捉:-
鳥にして動物系悪魔の実『ウマウマの実』の能力者・ピエールを召還する。
生前よりガン・フォールに付き従いし相棒であり、彼がライダーとして現界した所以。
ガン・フォールはこのピエールに騎乗して戦う。
悪魔の実の能力を解放することで翼を持った馬(ペガサス)の姿に変身することが可能。
能力解放中はピエールの飛行能力・身体能力が向上する。
悪魔の実の能力者は例外無く海に忌避され、泳ぐことが出来なくなるという弱点を持つ。

『碧天の騎空槍(スカイピア・ジャベリン)』
ランク:E 種別:対人宝具 レンジ:2~4 最大捕捉:1人
ガン・フォールが振るう騎士の槍。所謂ランスの形状をしている。
特殊な能力こそ持たないが、サーヴァントにも通用する切れ味を持つ。
『“空の騎士”ガン・フォール』の象徴として宝具にカテゴライズされた。

【Weapon】
『衝撃貝(インパクト・ダイアル)』
空島に存在する『衝撃を蓄積する貝』。
ガン・フォールはこれを掌の部分に装備して使用する。
物理的な衝撃を受け止めることで吸収・蓄積し、殻頂を押すことで吸収した衝撃を放出する。
鈍器などで事前に衝撃を蓄えてからの使用、あるいは敵の物理攻撃への防御と反撃を兼ねた手段として用いられる。
単純な打撃とは違い肉体の内側からダメージを響かせる為、物理防御を貫通することが可能。
ただし衝撃の蓄積量に応じて放出時に受ける反動も大きくなる。
また、一度衝撃を放出すれば再度の吸収が必要となる。

【人物背景】
『空の騎士』を名乗る老傭兵。
空島にて単身でゴッド・エネルの悪政に立ち向かっていた。
その正体はエネルが現れる前の先代の神。
アッパーヤードにて麦わら一味、神の軍団、シャンディアの三つ巴の戦いが勃発した際には
相棒であるピエールと共に行動を開始し、神の軍団との戦いに身を投じる。
しかし神官であるシュラやオームとの戦闘で疲弊し、最後はエネルの攻撃によって再起不能に陥る。
麦わらの一味によるエネル撃破後には再び神の座に納まった。

【サーヴァントとしての願い】
マスターの為に戦うのみ。

【基本戦術・運用】
基本的な能力値は並程度であり、突出した強みも無い。
彼が真価を発揮するのは宝具『蒼空の騎士鳥』に騎乗している最中。
騎乗中は飛行による優れた機動力を獲得する他、パラメータにも補正が掛かる。
更に宝具そのものの燃費が軽く、積極的に使っていけるのも強み。
リーチが短く扱いづらいが物理防御を無視できる『衝撃貝』は、宝具ではないものの貴重な火力源。
『蒼空の騎士鳥』の機動力を駆使して敵を攻め立て、ここぞという時に『衝撃貝』を叩き込もう。

【方針】
マスターを護る。



【マスター】
ラカム@グランブルーファンタジー

【マスターとしての願い】
あの頃の様に、また空へと挑みたい。
奇跡の力ではなく、自分の意志で。

【weapon】
銃剣付きマスケット銃

【能力・技能】
騎空挺の操舵士としては一流。
しかし今の彼は空を捨てている。
射撃の腕前も優れている。

【人物背景】
凄腕の操舵士。29歳、種族はヒューマン(人間)。
ぶっきらぼうだが面倒見の良い性格。
幼少期、放置されていた騎空挺グランサイファーの操縦を夢見て操舵士を目指す様になる。
しかし修理したグランサイファーを乗りこなせず墜落させてしまい、それ以来空への夢を諦めてしまう。

夢現聖杯においては主人公一行と出会うよりも前に冬木へと召還されている。

【方針】
脱出の手段を探す。その為に情報を集める。
勝ち残る以外の方法がなければ、その時はその時で方針を練る。
襲ってくる相手には容赦しない。



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