接骨院(柔道整復師)と整形外科の保険診療費用の比較

接骨院(柔道整復師)と整形外科の保険診療費用の比較

接骨院(柔道整復師)の療養費(健康保険で支払われた医療費)は平成21年度で約4000億円です。

接骨院では骨折、脱臼、打撲、捻挫の施術が保険請求できますが、骨折脱臼の請求は1%未満です。

ですから、4000億円はほとんどが打撲、捻挫の施術に対する費用と考えられます。

一方で、整形外科での医療費は平成21年度で約8000億円です。

どうでしょう?整形外科が多いように見えます。

ところが、整形外科は入院、手術の費用を含みます。そして骨粗鬆症や骨軟部腫瘍など、急性外傷だけでなく慢性疾患を含め、全身の治療をした総額が8000億円です。

整形外科の統計では、外来における打撲、捻挫の割合は約6%です。単純に掛け算では比較できませんが、8000億の6%はわずか480億円になります。

一方で、打撲、捻挫の外来での処置だけで約4000億円もの膨大な額が健康保険から接骨院に支払われているのです。

平成21年の医療費、小児科が約3400億円、皮膚科が約2900億円、耳鼻科が約2700億円、産婦人科が約2400億円です。

接骨院(柔道整復師)の打撲捻挫に対する外来の処置が、小児科や皮膚科、耳鼻科、産婦人科の入院や手術を含む全医療費より高額なのです。

これは不自然ではないでしょうか?

なぜなら、前述のように、接骨院(柔道整復師)では加齢性疾患や筋肉痛などに対する、本来保険請求できない処置も保険請求しているからです。

 

柔道整復療養費の推移(リンク先PDF)

「1.請求の見直し 左の調査結果を踏まえ、過剰診療による不適切な請求を是正するため、部位数に関係なく施術1回あたりの料金を定額とする算定方法に見直すことや、受領委任払いの施術期間及び施術回数の上限を定めることも検討すべきである。また、公的保険の対象を真に必要なニーズに限定していくため、受領委任払いが実施可能な施術所を限定することについても検討すべきである。
2.療養費の抑制柔道整復師数が、今後も著しく増加し続けた場合、過剰な提供体制となり、国民医療費の更なる増加につながる可能性があることから、柔道整復師数及び施術所数の急増を抑制するための検討を開始する必要がある。」

至極もっともな提言ですが、全く実現していませんね。

最終更新:2014年12月04日 08:33