関係あるとみられるもの

比那名居天子(東方緋想天)

住所

名居神社 三重県名張市下比奈知2092(近鉄大阪線「名張駅」より徒歩30分)

名居神社


三重県名張市の下比奈知(しもひなち)に鎮座する神社。「三丁目の夕日」を彷彿とさせるような、隘路(あいろ)の一角にたたずむ。
日常生活の体現とも言える商店や住宅の中にごくごく自然に溶け込む姿は、典型的な「片田舎の氏神神社」の装いである。褒めてます。

名居神社の歴史は古く、一説では西暦927年に完成した『延喜式』に記載されている式内小社「名居神社」の後裔にも比定されている。
大巳貴命(オオナムチ。オオクニヌシの別名。)を主祭神とするのをはじめ、少彦名命(スクナビコナ)や天児屋根命(アメノコヤネ)、
事代主命(コトシロヌシ)、市杵嶋姫命(イチキシマヒメ)などなぜか出雲系の神々を多く祀っている。あと蛭子命(ヒルコ)も祀る。
江戸時代には「国津大明神」という名前で呼ばれており、比奈知川上流に散在していた国津神社の総社という位置づけであったらしい。
その「国津大明神」がいつ、なぜ名居神社の名に"改め直された"のかは、境内の由緒書きにも一切説明がなかったのでよくわからない。
延喜式にあやかる意図があったのかもしれないが、人気者の大黒一派を連想できる神社名から名居に改めた選択は、マニアックである。

なゐの神

『日本書紀』に登場する地震の神。「なゐ」は地震の古語なので、「なゐの神」は「地震の神」という意味になる。実にひねりが無い。
ヤオヨロズの自然現象を神として崇拝することに定評のある我が国の先人達にかんがみ、恐らくは地震そのものを神格化した神だろう。
『日本書紀』巻第二十二の伝える所によれば、西暦599年の夏に大和地方で大規模な地震が発生し、家屋倒壊等の被害を生んだという。
そしてこの震災後、時の推古天皇の指示で「なゐの神」を祀る神社が諸国に建てられた。二度と災害が起きぬようにと願ったのだろう。

つまりこの記事に挙げる名居神社は、上述の伝承で「諸国に建てられた」とされる「なゐの神を祀る神社」の一つである可能性がある。
またもし仮にそうならば、名居神社は西暦599年に起きた大地震に記憶を伝える神社の、唯一の生き残りと言えるのではないだろうか。

『東方茨歌仙』第3巻「見えるご神体」において、博麗神社の先代巫女が人気集めのために天神様を勧請していた事が明かされたように、
神社の名前や祭神、相殿神等がその時々の人間の勝手な都合で変えられてしまうことはざらにある。むしろその方が多いくらいかもしれん。
今まで祀られてきた神さまサイドから言えば、ある日突然オワコン扱いを受けるようなもので、とても容認できる仕打ちではないと思う。
ただ一方で、地震被害の抑制という日頃そう役立ちそうもないご利益の神さまが、真っ先にリストラ候補に挙がるのも仕方ない話である。
そんな中、主祭神こそ替わっても名居神社が「なゐの神」の記憶を現代まで留めてきたと言うならば、それだけで特筆すべきことだろう。

東方projectの世界観では、まず地震の高位神に大村神=息速別命(イコハヤワケ)がおり、その下に名居(なゐ)という一族が仕えていたとされている。
さらに名居一族の下に、比那名居(ひななゐ)という一族が仕えていたという。すごくざっくり言えば大村守の部下の部下が比那名居である。タテ社会。
そしてこの比那名居一族の一人こそ『東方緋想天』で博麗神社の乗っ取りを企てフルボッコされる人気キャラ、比那名居天子(ひなないてんし)である。

本項に挙げる「名居神社」及び「なゐの神」は、作中の名居一族やその神霊である名居守(なゐのかみ)の着想に直接影響したのではないかと考えられる。
一方で、「名居一族の部下に比那名居一族がいた」という着想はどこから来たのかは正直よく分からないし、「比那名居」の語源はもっとよく分からない。
『三国志』の烏丸鮮卑東夷伝倭人条、通称『魏志倭人伝』には対馬や壱岐の統治官の副官に「卑奴母離(ひなもり)」という役職があると記されており、
もしかして古代「比奈」には"補佐役"という意があったのかもしれない。とすると比那名居とは、「名居の補佐役」という意味の名字なのかも知れないね。

また異説としては、本項の名居神社が「下比奈知(しもひなち)」と呼ばれる場所に建てられていることから、比那名居姓の着想に至ったとも考えられよう。
もしそうならば「名居神社」は、より直接的に「比那名居」の姓の元ネタであり、いっそう名居及び比那名居一族にゆかりの深い場所だと考えられる。

  • 石の宝殿 - 名無しさん 2015-12-26 08:51:39
  • 個人的にはすごく良い場所だと思ったな - 名無しさん 2017-02-11 23:37:04
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最終更新:2015年03月27日 20:48
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