有田春雪&キャスター ◆r1IIRkiESQ


 目覚める。
 両親と朝食を共にして。
 一人で中学校に登校して。
 勉学に励み、学び。
 帰宅してからはゲームにのめり込み。
 そして、寝る。


 幾度も繰り返されるルーチンワーク。
 不幸も不安も無い、穏やかな日常。
 疑いようもない日々。


 けれど、彼の心には違和感が積もる。


   ▼


 目覚める。
 両親と朝食を共にして。

――朝はいつも一人じゃなかったか?


 目覚める。
 両親と朝食を共にして。
 一人で中学校に登校して。

――誰かと一緒に登校していなかったか?


 目覚める。
 両親と朝食を共にして。
 一人で中学校に登校して。
 勉学に励み、学び。

――ペーパーブックやノートなんて使っていたか?


 目覚める。
 両親と朝食を共にして。
 一人で中学校に登校して。
 勉学に励み、学び。
 帰宅してからはゲームにのめり込み。

――もっと面白いゲームがあったんじゃないのか?


 目覚める。
 両親と朝食を共にして。
 一人で中学校に登校して。
 勉学に励み、学び。
 帰宅してからはゲームにのめり込み。
 そして、寝る。


   ▼


 幾度も繰り返されるルーチンワーク。
 不幸も不安も無い、穏やかな日常。
 疑いようもない日々。


 だがしかし。
 変化の無い日々は唐突に終わり、少年は月に寄り添う方舟にて覚醒(めざ)めた。



「タクやチユ、それに先輩が何処にもいなかったのが決め手だったんだと思います。
 父さんはうちにはいないし、母さんは遅くまで働いてたり出張で何日も帰ってこないから、朝に顔を合わせることなんて稀だし。
 タクやチユとは、部活の朝練が無ければ……それにクラスも一緒だから朝から夕方までは四六時中顔を合わせていたし。
 勉強にしたって、僕の時代じゃペーパーブックで読み書きなんてしません。殆どはニューロリンカーを介したAR(拡張現実)で代用してます。
 ゲームは……《ブレイン・バースト》があれば、こんな期限ギリギリじゃなく、もっと早く記憶が戻ってたかも。
 でも――」

 言葉を区切る。
 そして、寂しさを吐き出すかのように少年・有田春雪は口を開く。

「皆が。先輩が、何処にもいないんです。
 代わり映えの無い日常を送っている内に、ふとした弾みで誰かを探すようになって。けれど視線の先には誰もいなくて。
 何かがおかしい。何かが足りないと思うようになってからは、学校をサボって色々な所に行きました。
 誰かがいない。誰かに会いたい。そんな期待と願望を持って、行ける範囲で行ける所まで歩いて、探して。
 そして気付いた時には……黒雪姫先輩のことを思い出したんです」

 涙。
 人目に憚ることなく、泣きながらハルユキは言葉を続ける。

「それから、失くしてた記憶を思い出して……聖杯戦争に関する知識も頭に入ってきました。
 万物の願いを叶える“聖杯”を巡って、殺し合う。そんなの、そんなの僕には――」

 一拍置き、叫ぶ。

「できっこありません!
 確かに《ブレイン・バースト》も突き詰めれば奪い合いだし、僕にだって望みはあるけれど、誰かをリアルに殺してまで叶えようとは思わない!
 その誰かだって、叶えたい願いがあるし帰りたい場所があるはずだ! そんな人達を殺すなんて無理だよ!」

 過去、数々の戦いを経て、心身共に強くなっていったハルユキ。
 だが未だ精神年齢は――加速世界で膨大な年月を過ごしていない心は、14歳のまま。
 バーストリンカーになって一年目である彼の心は、聖杯戦争が与える重圧には耐えられなかった。

 そしてその叫びを聞き、疑問に思うキャスター。
 方舟に来た以上は、何らかの願いを抱いて『ゴフェルの木片』を手にしたはずだ。

「じゃあハルユキはどうやってここに?」
「判りません。気がついたら方舟の中で生活を送ってました」
「お、おう……」

 空を仰ぐキャスター。
 過去の事例にもあるが、聖杯戦争には一般人が巻き込まれることが多々ある。
 結果としてその多くは、訳も判らないまま死ぬか、周囲に混乱を撒き散らして死ぬか。どちらかしかないのだが――



「ハルユキはどうしたいお?」
「……キャスターには悪いけど、できれば誰も殺――傷つけることなく帰りたいです。
 聖杯に叶えてほしい願いは、今の僕には無いから」

 《親》である少女を、レベル10に押し上げること。それがハルユキの望みではあった。
 しかし《ブレイン・バースト》とは無関係の人間を殺してまで叶えようとは、彼自身が望まないし、少女も望まないだろう。
 だからハルユキは、現実世界への帰還を望む。

「いいんじゃないかお?」

 え? と顔を上げるハルユキ。

「でもキャスター。あなたにだって叶えたい願いとかが――」
「それがなーんにも。ただ、人の願望によって生まれた英霊としては、“叶えたい願いを見つける”ことこそが願いなんだけど」

 ハルユキに手を差し伸べるキャスター。
 白い相貌に、愛嬌のある笑顔を張り付かせて、彼は言う。

「マスター一人くらい守れなくて、何がサーヴァントかお。
 それに、ハルユキを守ることで叶えたい願いが見つかるかもしれねーし」

 おっおっ、と奇妙な笑い声。

「サーヴァント・キャスター。こと、ニュー速でやる夫。
 我、マスター・有田春雪を守り抜き、現実世界への脱出方法を見つけ、帰すことをここに誓うお。
 だからハルユキ。一つだけ約束してほしいお」
「約束、ですか?」

 その表情に、他人を安心させるような何かがあったのか、ハルユキは差し伸べられた手を掴み、立ち上がる。

「恐れててもいい。泣いてもいいし、逃げてもいいお。
 けれど落ち着いたらでいいから、マスターとしてサーヴァントであるやる夫のことを……信じてほしいお。
 それが創作物を出自としたやる夫にとっては力となるから」






 幾万もの顔を持つ、記号より生まれた英雄。
 従者となった彼が主と共に紡ぐ物語は、悲劇か喜劇か、はたまた英雄譚か。






   ▼


「……ま、メタボ同士、仲良くやるおwww
 それと、やる夫にはタメ口でも全然問題ねぇおwww」

 シリアスで通し切るには、少し努力が足りなかったらしい。






【クラス】
キャスター

【真名】
ニュー速でやる夫@アスキーアート

【パラメーター】
筋力:D 耐久:D 敏捷:D 魔力:B 幸運:A+ 宝具:B

【属性】
混沌・中庸

【クラススキル】
陣地作成:B
 魔術師として、自らに有利な陣地を作り上げる。
 陣地内では、宝具『願いにて生まれた主役』使用時にランクアップするパラメーターが一つ増える(詳しくは宝具の欄を参照)。

道具作成:C
 魔力を帯びた器具を作成できる。
 視認した武器の贋作を作り出すことができる。
 作り出された武器は、神秘を宿していない。

【保有スキル】
単独行動:E
 マスターからの魔力供給を断ってもしばらくは自立できる能力。
 観測者がいる限り消えることは無い存在であるため、マスターを失っても数時間は現界可能。

魔力放出:B
 武器、ないし自身の肉体に魔力を帯びさせ、
 瞬間的に放出する事によって能力を向上させる。

話術:C
 言論にて人を動かせる才。
 国政から詐略・口論まで幅広く有利な補正が与えられる。
 敵対者に苛立ちを与え、冷静さを奪うことに長ける。

運命の加護:E-
 主役となることを約束された運命。
 逆境に陥れば陥るほど、幸運を用いる判定の成功率が上昇する。
 但しこの場での主役はサーヴァントではなくマスターであるため、大幅にランクダウンしている。

【宝具】
願いにて生まれた主役(ダカラニューソクデヤルオ)
 ランク:B 種別:対人宝具 レンジ:- 最大補足:1人
 電子掲示板上にて様々なスレッドの主役を演じたことにより、それらの作品で培われた戦闘技術・身体能力を限定的に再現することが可能。
 宝具使用時は、筋力・耐久・敏捷いずれかのランクを、任意で2ランク上昇させる。
 また陣地内では、筋力・耐久・敏捷・魔力・幸運いずれかのランクを、ランダムで1ランク上昇させる。
 制限時間は30分、再使用可能までのクールタイムは2時間。

30歳の童貞男(ザ・サーティ・イヤー・オールド・ヴァージン)
 ランク:B 種別:対人宝具 レンジ:- 最大補足:1人
 使用者をキャスターのクラス足らしめる逸話が由来。常時発動タイプ。
 宝具発動中は、ランクB以下の魔術・宝具によるステータスダウンは発生しない。
 使用者が童貞を失った時は宝具の効果が切れ、クラススキルが使用不能、魔力・幸運が2ランクダウンする。
 (異性との騎乗または同性との連結が、童貞を失ったと判断されるラインである)

【weapon】
なし

【人物背景】
21世紀初頭の電子掲示板にて生まれたアスキーアート。白饅頭、白メタボの異名を持つ。
アスキーアートとしての汎用性の高さより、多種多様の一次・二次創作作品の主役として当て嵌められる。
僅か10年も経たない内に、数え切れないほどの作品が描かれ、いつしか人の願望より生み出された英霊へと昇華した。
人の願望より生み出された存在であるため自己というものが薄く、観測者達(書き手)により性格を変えられてしまうことも。
だが主従契約という概念に引っ張られることで、どのような性格に変わろうとも召喚者を守ろうと動く。
作品により性格や能力が異なるため、召喚者によっては反英雄として現界することもある。
また、「30歳まで童貞だったら魔法を使える」という逸話を宿すため、クラスを指定しなければキャスターとして召喚される。

【サーヴァントとしての願い】
叶えたい願いを見つける。

【基本戦術、方針、運用法】
基本的には逃げの一手。
電柱に犬の小便でマーキングするくらいの気軽さで陣地を作り戦い易い環境を増やしていく。
戦闘が避けられない場合は宝具を開帳し、スキルを駆使した短期決戦を行う。


【マスター】
有田春雪@アクセル・ワールド

【参加方法】
現実世界または加速世界のどこかで木片に触れたことで参戦。

【マスターとしての願い】
現実世界への帰還

【weapon】
なし

【能力・技能】
加速コマンド
 ニューロリンカーにインストールされた《ブレイン・バースト》により、以下コマンドを使用することが可能。
 ・バースト・リンク
 ・フィジカル・バースト

アバター変更
 霊子虚構世界であるSE.RA.PH内では、以下のアバターに変更することが可能。
 またアバター変更時には、その姿で身につけたスキル・アビリティも使用可能となる。
 ・ローカルネットアバター
 ・デュエルアバター(アバター変更後、加速コマンドは使用不能)

【人物背景】
梅郷中学に通う。中学2年生。
小柄かつ肥満な体型と内向的な性格により苛めを受けていたが、上級生である「黒雪姫」と呼ばれる少女の誘いにより、
ソーシャルカメラの映像から再構成された加速世界と、そこを舞台とした対戦格闘ゲーム《ブレイン・バースト》を知ることとなる。
加速世界で「シルバー・クロウ」となった彼は、黒雪姫の騎士として、また《ブレイン・バースト》の1プレイヤーとして、様々な敵と戦いを繰り広げる。

原作16巻以降からの参戦であり、彼自身もメンタルは高くなっているのだが、聖杯戦争のルールを理解し萎縮している。
メタトロンとのリンクについては、シルバー・クロウのアバターに変わっていないため未確認。

【方針】
現実世界への帰還。できるなら戦いたくない。