凛として散る戦士の如く ◆DpgFZhamPE


《act3. 決戦》

「まずは一つ───初の槌ッ!」
「フェニックスウイングッ!」

ギィンッ!と。
弾かれた槍と、腕の中で光が灯る。
魔力と魔力がぶつかり合い、行き場をなくした魔力が光となっているのだ。

「次いで二つ───中つ槍ッ!」
「効かんッ!カラミティエンド!」

そして。
再び放たれた槍は、手刀により叩き落とされる。
それだけでは、済まなかった。
振り下ろされた手刀は槍を叩き落とすだけでなく、ランサーの肉体をも斬り裂いたのだ。
致命傷ではない。
が、深い一撃だった。

「が、アッ……」

ボタボタ、と。
バケツをひっくり返したような量の血液が地面を彩る。
しかし、槍兵は倒れない。

「まだ倒れぬか……ならばこれはどうだ?
カラミティウォールッ!」

バーンが振り抜いた腕から、闘気の壁が出現する。
全範囲攻撃。避ける隙はない。
ならば───打ち破るのみ。

「だァァァァァァァッ!」

槍の連続刺突。
神速とまで言えるソレは、闘気の壁を薄くするが、突き破ることは叶わなかった。
闘気の壁で全身を余しすことなく痛めつけられたが、ランサーは倒れない。
その槍を支えに、立つ。
その姿を見て、キャスターは言い放つ。

「ランサーのサーヴァントよ。
貴様───余の仲間にならぬか」

そんな、おかしなことを。

「余に真の姿を使わせた……それだけでない。
余にも劣らぬその槍術……あんなマスター、小娘のために使い切るのは惜しかろう。
余の元へ来い。そうすれば新しく陣地を作った後、今迄とは比にならぬ魔力を授けよう。
そして余の槍として戦うのだ……聖杯を取った暁には、余を追い詰め共に戦った仲間として魔界にその名を刻んでやってもいい。」

それは、勧誘だった
大魔王が力を認め、そして共に戦おうという。
クー・フーリンから見れば、それはどんなに輝かしい勧誘だっただろう。
戦いに必要な魔力を存分に渡され。
戦士としてやり甲斐のある戦いに身を置くことができる。
他のことなど考えなくてもいい……戦士として、存分に力を振るえるのだ。

だが。

「───ああ、無理だなそりゃ」

クー・フーリンは、その提案を蹴った。

「……お前のためだ。
矮小で醜い人間に仕えてどうする?
余のマスターは今頃どうなっているかは知らぬが……およそ襲撃されて魔力炉を守りきれず痛めつけられ、それで余に令呪を使ったのだろう。
人間など弱く醜い存在だ……自分のことしか頭になく、繁栄するに値しない。
貴様は、何故そこ迄してあの少女に仕える?」

それは、バーンの単純な興味。
生前、自分を打ち滅ぼした勇者は、全ての人間と心を一つにした。
その時は、バーンすらも驚愕した───もしや人間は、全員このような諦めない意思を持っているのかと。
しかし、死後に召喚された時、そのような思考は完全に消え去った。
バーンの召喚者の足立は、弱く醜く自己中心的で───バーンの嫌う、人間そのものだった。
だから、バーンは問う。
同じ英霊の立場として、強敵と認めたランサーにこそ、問う。
何故人間なぞに仕えるのか───と。

「……はっ。醜いとかな、弱いとかそんな小さいことなんかどうでもいいんだよ。
本当に、小さいことだ」

ランサーは、地面から槍を抜き、再び構える。
その身体は至る所が焼け、裂けていた。

「理由は一つだ───あの小娘がな、俺の力を信じて召喚したからだ。
召喚者の意志に答えるならば、この槍に敗走は許されない」

彼女は───遠坂凛は、ランサーの召喚当時に泣いていたのだ。
その涙が悲しみから来たものか、恐怖から来たものかはわからない。
だが、そんな中でも彼女は言ったのだ。
『これからはよろしくねランサー……辛い戦いになると思うから』と。
クー・フーリンを己の槍として認め、その力を頼ったのだ。
ならば、敗北は許されない。
───この槍が最強である証を、ここに示し続けねばならない。

「───そうか、どうやら余は貴様を見くびっていたようだ。
認めよう、強敵だと……余の奥義を見せるに値する存在だと……!」

キャスターが、ゆっくりと手を動かす。
右手を天に。
左手を地に。
そして、中央に魔を。
───天地魔闘。

「これが余の奥義……最大の技だ」

それは、構えだった。
相手の攻撃が来て初めて発動する、受けの構え。

「ああ、そうかよ。
そっちがそうなら、こっちもそれ相応のでいかねぇとな。
───ならば大魔王よ、我が最大の一撃を喰らうがいい」

対するランサーは、槍を構えた。
刃を下に。
末端を上に。
ランサーが誇る、槍の一撃。
朱槍に、魔力が籠められる。

両者の間で、互いの身体から放出された魔力が衝突する。
ジリジリと。
互いの存在を消すために、魔力が衝突し、鬩ぎ合う。

天よ叫べ。
地よ唸れ。
今ここに───魔の時代、来たる。

「さあッ!!刮目せよ!!」

穿つは心臓。
謳うは必中。
因果逆転の槍が、唸りを上げる。

「その心臓、貰い受ける!!」

ドンッ!と。
赤い魔力を帯びた朱槍を構え、ランサーが疾走する。

両者の距離、40m。

対してバーンは動かない。
その構えは完全無欠。
真っ向の打ち合いならば、負けるはずはない。

───30m。

しかし、それはクー・フーリンの槍とて同じこと。
因果を捻じ曲げる槍は、心臓を確実に喰らう。

───20m。

故に、両者の関係は矛盾となる。
最強の矛と最強の盾。
その二つの、激突。

───10m。

生き残るのは、戦士の意地か。
大魔王のプライドか。
ただ一つの勝者の席を狙い、二人の英雄が相見える。

───5m。

両者の視線が交差する。
目に宿る意思は必殺。
取り逃がすことなど、有りはしない。

───2m。

そして。
両者の、間合いに入った。

「『刺し穿つ───!!』」
「───奥義!!」

瞬間。
互いの中心に、閃光が迸る。
互いの存在は要らぬと鬩ぎ合う。

「天地魔闘───!!!」
「『───死棘の槍』!!!」

最強の矛と最強の盾。
衝突し殺しあった瞬間激しい光が辺りを照らし───決着は、一瞬だった。










◆ ◆ ◆




ズサリ、と。
大きな物が地に堕ちる、そんな音がした。

「チッ───派手にやりやがったな、キャスターめ」

そうぼやくランサーは───既に、左半身が抉り取られていた。
ランサーの必殺の一撃は、フェニックスウイングで弾かれ。
ランサーのその身体は、カラミティエンドで斬り取られ。
ランサーの無防備になったその瞬間、カイザーフェニックスにより、業火に焼かれた。
既に、致命傷だ。
今は戦闘続行のおかげで何とかその身体を保っているだけであり、遠くない未来にランサーは消滅する。
そう。
───ランサーは、負けたのだ。
全力の一撃を放って尚、バーンには届かなかった。

「でもよ」

もはや感覚はない。
喋るごとに激痛が走るはずなのに、もう痛みすら感じない。
ああ、限界が近いのか。
それでも、クー・フーリンは言い放つ。

「───心臓、確かに貰い受けたぞ、大魔王さんよ」

その、自らの槍が成し遂げた成果を。

「ぐうぅぅぅぅっ……!!」

ボトリ、ボトリと。
穿たれた胸の穴から、血液が流れ落ちる。
『刺し穿つ死棘の槍』を防ぐ方法は、三つ。
一つ、因果の呪いすら上回るほどの幸運で槍を逸らすか。
一つ、槍の範囲の外にまで遠く離れるか。
最後の一つは槍を超える魔力で防ぐか、である。
そして。
大魔王バーンは、偶然か、最後の方法を取った。
天地魔闘の一つ、フェニックスウイングで防いだ。
しかし。槍の呪いはそれだけでは止まらなかった。
弾かれた槍は───槍ならざる軌道を描き、心臓へと向かって行ったのだ。
この世の理を捻じ曲げ、因果を逆転し心の臓へと向かうその槍は、バーンの一つ目の心臓を貫き続く二つの心臓を貫き───そして、三度目に傷をつけて、静止した。
三つ目の心臓を貫く前に、バーンの天地魔闘が因果の槍の魔力を上回り、カラミティエンドで叩き落としたのだ。
ギリギリのところで。
因果逆転の槍の魔力を、天地魔闘の防御の魔力が上回ったのだ。

「『ベホマ』ッ!」

バーンが唱えるは、回復の呪文。
超魔力を持つバーンのみが、この呪文により全負傷を回復できる。
だが。
他の傷は治っても、槍につけられた傷は治らなかった。

「無駄だ。俺の槍で破壊された心臓はそう簡単には治らん」

バーンのその身体から、魔力が漏れている。
完全に貫かれてはいないとはいえ、力の源である心臓を破壊されたのだ。
最早、バーンの命もそう長くない。

「ああ……見事だったぞ。ここまで余を追い詰めたのはダイ以来だ。
光の御子、クー・フーリンよ」
「……ああ、テメェも中々だったぜ、大魔王バーン」
「ああ……ありがとう……」

それを最後に、バーンはフラフラと歩いて陣地の奥へと姿を消した。


◆ ◆ ◆

『───マスター、坊主。俺だ』

エリザと共に戦線離脱した自分と凛に入ってきた念話は、ランサーのものだった。
その声は、掠れている。

「ランサー!?大丈夫なの、今すぐ令呪で呼ぶから───」
『無駄だ。もう身体の半分持ってかれちまった、そう長くは持たん。
その令呪は……そうだな、大事に使え。』
「え……?」
『キャスターは仕留め損なっちまったが……アイツもそう長くは持たんだろう』

ランサーから放たれたのは、別れとその戦果。
凛の瞳に、涙が溜まる。
ああ───ランサー、君は。

『なあ、凛』

今にも涙が溢れそうな凛に、ランサーの念話が届く。
そんな凛に、ランサーは。

『俺の槍は、強かったろ』

そんな事を、口にした。
涙が、溢れる。
凛は自分とパスが繋がっている。
だからランサーが消えても凛が消えることはない……だからこそ、辛いのだろう。
ランサーは決死の覚悟で努力したのに。
私は共に死んであげることすら出来ずのうのうと生き延びるの、と。
だからこそ。
凛は涙を拭き、言う。

「ええ……あなたは強いわ。
あんな大勢の使い魔を使うキャスターを倒したんだもの。
あなたはっ、私っの、最強の、槍よっ……」
『ああ。俺はお前のサーヴァントだからな。
お前が呼び出したサーヴァントが、弱いはずがない』

しかし、抑えた涙は溢れてしまった。
嗚咽を漏らしながら途切れながらでも、凛は最後まで言い切った。

『坊主。凛を頼んだ』

そして、ランサーは自分に言葉を放ってきた。
ランサー、君は……

『気にすんな。戦場じゃよくある話だ。
できるやつができることをする、それだけの話だ』

その言葉を聞いた瞬間。
またもや、痛烈な既視感を感じたのだ。
あの、矢と化した剣を見た時と、同じように。
もしや、自分は。
一度、ランサーと会ったことがあるのではないか───?

『もっとも、これからのマスターを護るのは坊主に任せた。
頼んだぜ』

ああ、ランサー。任せてくれ、と。
自分の既視感を仕舞い込み、そう言った。

『じゃあな、凛。
また出会えたら、そんときゃまた存分に戦場を駆け巡ろうや』

それを最後に。
ランサーの念話は、途絶えた。

「……行くわよ、マスター。凛」

エリザは短く、そう言った。
彼女の唇には、血が滲んでいた。
彼女も自分の無力さに、腹立たさに耐えているのだ。
ああ。
自分たちは、今。
───大切な仲間を、失ったのだ。


◆ ◆ ◆


「あーあ……静かに消えられると思ったらそうはいかないのかねぇ」

凛らと念話を切ったランサーの前に現れたのは、仮面のバーサーカーだった。
無言で、ランサーの前に立ち尽くしている。

「戦え……ってか?
武器を取るまで待つとは随分と礼儀正しいバーサーカーだな」

カタリ、と。
落ちていた槍を拾い、ランサーは槍を杖代わりにして立ち上がる。

「そうだな───最強とまで言われちまったんだ。
最後の死に様が、無抵抗なんて格好がつかねぇ」

足はガクガクと震え、右腕でしか槍を支えられない。
失った左の代償は、大きかった。
そして。
戦意を見せたことにより、仮面のバーサーカーは、黒刀を構える。

「行くぜ───バーサーカー。
数分と持たねぇ身体だが、その命、幾らか貰っていくぜ」
「■■■■■■■■■■■■■■■────────────!!!!!」

ランサーの戦意に、バーサーカーが反応する。
そうして二つの獲物が、交差した。













分かりきった結末を語るつもりはない。
瀕死のランサーは、バーサーカーの一太刀を受け、消え去った。
まるで、生前と同じように戦いの中で消えていった。
一つだけ、強く言えることがあるとすれば。
ケルトの大英雄、クー・フーリンは。
紛れもなく、その最後まで英雄として散っていったということだけだ。


【クー・フーリン@Fate/stay night 死亡】

◆ ◆ ◆


「───で、どうするよウェイバーちゃん、完全に俺ちゃん達置いてきぼりだけど」
「……引き返そう。アサシンの助けはもう十分にしただろ。
あのランサーのマスター達が逃げて行ったってことはそれだけ危険なやつがいるってことだと思う。
僕たちがしてやれることはもう終わったよ。
後一つ残ってるけどさ」

そう言い終えて、ウェイバーはカレン───監督役に、目線を向ける。
聞き逃した通達。
ここで、聞いておこうと。

「……私に何か?バーサーカーのマスター」

監督役のカレンが、視線に気づいたのか、そう呟く。
ルール違反のペナルティ施行は終了した。
ならば、監督役がここにいつまでも留まる必要はない───自らの居場所、教会へと戻るべきなのだ。

「ルーラー、彼等が何か用があるらし……ルーラー?」

ルーラーからの、返事が返ってこないことにカレンは疑問の言葉を投げかける。
興味の無い話だったのか、つまらなそうにしていたバーサーカーが振り返ったのも、同じタイミングだった。

「この魔力は、まさか……!?」

ゴゴゴゴゴと、地面が震える。
ウェイバーが戸惑い、バーサーカーが跳ねる。

「まさか───!」








◆ ◆ ◆



「『マガツイザナギ』!」
「グワーッ!」

赤黒く禍々しい、その身に走る神経の如き紋様。
アクマめいたアトモスフィアを醸し出すその姿───マガツイザナギは、その手に持つ巨大な剣を振り回す。
足立、いやミストバーンはマガツイザナギの能力は使わない。
無駄な魔力の消費を抑えるためだ。
しかしアサシン・ニンジャスレイヤーは次々と振るわれる斬撃を躱すことで精一杯……いや、既に押され始めていた。
元のマスターからも魔力を存分に供給されていなかったのだ。
そこでマスターを失ったニンジャスレイヤーは、弱体化の一途を辿るしかない。
もはやニンジャ動体視力を持たないものでも目で追えるほどに、ニンジャスレイヤーは弱体化していた。

「いい……いいぞこの体ッ!」

足立の肉体を奪い取り、マガツイザナギでニンジャスレイヤーを殺す。
かつて大魔王バーンの肉体を護り、使用していたミストバーンだからこその戦略。
実体を持たないミストバーンを、ニンジャスレイヤーに倒す道はない。

(グググ……フジキドよ、なんと無様な!
以前の貴様ならばこのような相手、即座に縊り殺していた!
堕落、堕落、堕落の極み!!
ワシに体を渡せ……さすれば即座にあの奇怪なジツを砕き、セプクさせよう)
「黙れ……」

身体の奥、その更に奥から───ナラクの誘惑が響く。
だがフジキドは、その言葉を蹴る。

(フジキド……キサマはフートンに包まれているだけでよいのだ……。
復讐を果たせずして、消えてもよいのか)
「黙れ……!!キサマが殺すのではない、ワタシが殺すのだ!
この復讐は、ワタシのものだ」

キャスター=サンはワタシが殺す。アサシン=サンもワタシが殺す。
これはニンジャスレイヤー・フジキドの戦いなのだ───この怨みは彼のものなのだ。
それを、誰かに預けるなどできない。

(((グググ……ならばヤツに勝ってみせろ。
ヤツには実体がない、故に特定の方法でしかダメージを与えられぬ……
しかしヤツの残存魔力は少ない…サーヴァントから送られている魔力が僅かなのだ)))
「そうか……ならば」

ニンジャスレイヤーのその手に無数のスリケンが生まれる。
この戦法は、一か八かの大きな勝負。
しかしニンジャスレイヤー───フジキドにとっては窮地など日常茶飯事。
復讐のために動き続ける彼に、危険だからと止まる選択肢などありはしない。

「イヤーッ!」

投擲するのは、スリケン。
しかし、一つや二つではない───その量はミストバーンの視界を塞ぐほど。

「グッ!」

それをマガツイザナギは剣を回転させ、シールドとして活用する。
ニンジャスレイヤーの投擲速度は遅い。
マスター不在の彼では全力には程遠い───それ故にマガツイザナギに防がれている。

「本気できたか……だが」

マガツイザナギの回転が増す。
もはやバーンからミストバーンに渡された魔力は極僅か。
だが、しかし。

「一度朽ちたこの命、もう一度拾うことができたのだ。
バーン様の為に働くことができるのだ───まだまだ消える訳にはいかんッ!!」

ミストバーンがマガツイザナギに魔力を回す。
足立の魔力はバーンが使用している───バーンの邪魔をしないためにも、ミストバーンは自らの身体を犠牲にしていた。
己が主人がこの場に戻ってくるまで、何としても耐え抜いてみせる。
そして。
スリケンとマガツイザナギの攻防が、続く。

「イィィィヤアァァーッ!」
「ぐぅぅぅあああああッ!」

湯水のように失われていく魔力。
消えていく己の意思。
それでもこの、不名誉で忌々しいこの霧の身体は、バーン様のために。
そして───ついに、崩壊が始まった。
霧の身体が空気に溶けていく。
今は足立の身体を使っているのだ、魔力を吸い上げればまだ存在できるだろう───だが、バーンは自らの手での全力の戦いを望んでいるのだ。
そのための足立の魔力を、自分が使うことなどミストバーンに出来るだろうか。
そして。
長く続いた戦闘は、ついに終結を迎えた。
マガツイザナギが消え、スリケンの投擲が終わる。

「グゥ……!」

ニンジャスレイヤーは、その場に膝をつく。
魔力を使い過ぎた。
元より少ない物を、更に。
ミストバーンは消えかかっているが、未だ健在だ。
早く補給せねば、と考えた───その瞬間。

「……貴様、であったか、アサシンよ」

大魔王バーンが、帰還した。
最初は誰だかわからなかったが───魔力の質が、キャスターであることをニンジャスレイヤーに伝えていた。

「……ミストよ」
「───バー、ン、様」

その瞳に映るのは、事を成し遂げて、守り通して消えていく臣下。

「───良くぞ、守り通してくれた」

その臣下に、短く送られた言葉。
それは、ミストバーンにとってどれだけの価値を持つ言葉だったのか。

「有り難き、幸せ───」

霧の魔物は最後に満ち足りたような言葉を発し、消滅した。
そして。
バーンはひょいと足立を持ち上げる。
くるか、とニンジャスレイヤーは即座に反応し宙に飛び上がり距離を取るが、バーンはニンジャスレイヤーを追いすらしない。

「……え?」

意識が戻った足立が、素っ頓狂な声をあげる。

「ふ、ハハ……足立よ、貴様には最後の仕事をしてもらう」
「最、後……?おい、最後って何だよ」

バーンの魔力に当てられて意識を取り戻したのか。
途切れ途切れに喋る足立に、大魔王バーンは見下したように目線を向ける。

「最早貴様は用済みだ……余の中で魔力を供給するだけの存在として生きるがいい」
「な……ッ!」

そして、己がマスターの足立を懐に抱え込み。
キャスターは、半壊した魔力炉へと腕を差し込む。
ルーラーの令呪により、既に機能を停止した魔力炉へ。

「アサシンよ……丁度いい、貴様に見せてやろう……。
余の、最後の姿を───!!」
「キャスター=サン、キサマ───」

機能を停止した魔力炉に残った僅かな魔力を右腕で吸い取り。
その左腕で───額の瞳を、抉り取った。
その額の瞳……鬼眼が光を放つ。

「これは、最後まで使うつもりはなかったのだがな───」

その言葉を最後に、バーンの肉体を硬い何かが覆っていく。
足立も共に、覆われていく。
ゴゴゴゴ、と。
段々と巨大になっていく。
アサシンは、困惑していた。
まさかここにキャスター=サンが戻ってきたということはランサー=サンが勝ったのか。
だとしたら、もはや再契約の相手は足立=サンしかいなくなる。
だが足立=サンは既にキャスター=サンの姿の一部に……。

そしてそう思案する内に。
巨大化していくバーンは、陣地と異次元すら貫き、その姿を外へと飛び出していく。




◆ ◆ ◆


その時。
離れた場所にいる、遠坂凛と岸波白野、エリザベートは見た。
マンションを破壊し、飛び出してくるその巨大な腕を。

その時。
ランサーを翳しマンションから離れ、己がマスターの元へ急ぐ黒崎一護は見た。
マンションを破壊し、大きな一歩を踏み出すその巨大な足を。

その時。
崩壊するマンションに驚愕するバーサーカー、ウェイバーとカレン、ルーラーは見た。
マンションを破壊し、突き出してくるその巨大な頭部を。

その時。
必死の思いで陣地から離脱したニンジャスレイヤーは見た。
マンションを破壊し現れる、その巨大な胴体を。

太陽が沈む。
辺りが闇に包まれる。
それと同時に───巨大な人形が、方舟に作られた街に影を落とす。
ある世界を、滅亡寸前にまで追い込み、その最後に発動した王の最終形態。
その姿が、再びこの方舟にて誕生する。





───大魔王バーン、その最終形態。
───鬼眼王・爆誕。



【B-4/高層マンション跡地/一日目/夕方】

※鬼眼王が出現しました。
三つの内二つの心臓を破壊され、最後の一つを傷つけられているため長いことは現界できません。
※高層マンションが倒壊しました。

【足立透@ペルソナ4 THE ANIMATION】
[状態]両膝破壊、身体の至る所に裂傷、鬼眼王取り込まれている(バーンと同じように上半身露出)
[令呪]残り二画
[装備]なし
[道具]なし
[所持金]刑事としての給金(総額は不明)
[思考・状況]
基本行動方針:聖杯を手に入れる。
0.キャスター───
[備考]
※ニンジャスレイヤーの裏切りを把握しました。
※野原しんのすけをマスターと認識しました、また、自宅を把握しています。
※バーンの鬼眼王に取り込まれました。
バーンと同じように上半身が露出しています。

【キャスター(大魔王バーン)@DRAGON QUEST -ダイの大冒険-】
[状態]魔力消耗(大)、心臓二つ破壊一つ傷付
[装備]なし
[道具]なし
[思考・状況]
基本行動方針:あらゆる手を用い、聖杯を手に入れる。
0.もはやこれまで。全てを破壊する
[備考]
※狭間&鏡子ペアを脅威として認識しました。
※陣地は破壊されました
※NPCに擬態したマネマネを含む全ての魔物が消滅しました。
これにより、どう影響が出るかは未知数です。

【ウェイバー・ベルベット@Fate/zero】
[状態]魔力消費(大)、心労(中)
[令呪]残り2画
[装備]デッドプール手作りバット
[道具]仕事道具
[所持金]通勤に困らない程度
[思考・状況]
基本行動方針:現状把握を優先したい
0.何だこの巨大な人形は───
1.バーサーカーの対応を最優先でどうにかするが、これ以上、令呪を使用するのは……
2.バーサーカーはやっぱり理解できない
[備考]
※勤務先の英会話教室は月海原学園の近くにあります。
※シャア・アズナブルの名前はTVか新聞のどちらかで知っていたようです。
※バーサーカー(デッドプール)の情報により、シャアがマスターだと聞かされましたが半信半疑です。
※午前の授業を欠勤しました。他のNPCが代わりに授業を行いました。
※野原しんのすけ組について把握しました。
※アサシンからキャスター(大魔王バーン)とそのマスター(足立)、あくまのめだま・きめんどうし・オーク・マドハンド・うごくせきぞうの外見・能力を聞きました(じんめんちょうについては知りません)
  また、B-4倉庫の一件がきめんどうしをニンジャが倒したときの話だと理解しました。
※キャスター(大魔王バーン)の『陣地構成』を『魔力を元に使い魔(モンスター)の量産を行う場所を生成する』であると推察しています。
  また、『時間が経てば経つほど陣地が強固になる』というキャスターの性質上、時間経過によってさらに強靭なモンスターが生み出されるのではとも考えています。
  結果としてキャスター(大魔王バーン)を『できる限り早いうちに倒す・陣地を崩す必要がある存在』と認識しました。
※アサシン(ベルク・カッツェ)の外見と能力をニンジャスレイヤーから聞きました。
※ランサー(クーフーリン)が。令呪で「日が変わるまでにキャスター、足立透を殺さなければ自害」という命令がされていることを知りました
※足立透とキャスターの陣地の住所を聞きました。
※バーサーカーから『モンスターを倒せば魔力が回復する』と聞きましたが半信半疑です。
※放送を聞き逃しました


【バーサーカー(デッドプール)@X-MEN】
[状態]魔力消費(小)、満腹
[装備]ライフゲージとスパコンゲージ(直った)
[道具]なし
[思考・状況]
基本行動方針: 一応優勝狙いなんだけどウェイバーたんがなぁー
0.ワーオ、デカくなりやがった。アントマンかよ
[備考]
※真玉橋孝一組、シャア・アズナブル組、野原しんのすけ組を把握しました。
※『機動戦士ガンダム』のファンらしいですが、真相は不明です。嘘の可能性も。
※『クレヨンしんちゃん』を知っているようです。
※モンスターを倒したので魔力が回復しました。本人が気づいているかどうかは不明です。
※悪魔の目玉はその場のノリ(地の文を読んだ結果)話しかけてからブチ殺しました。
 しかし宝具の性質と彼の性格上話しかけた理由を後々の話で覚えてない可能性は高いです。
※作中特定の人物を示唆するような発言をしましたが実際に知っているかどうかは不明です。
※放送を聞き逃しました。

【ルーラー(ジャンヌ・ダルク)@Fate/Apocrypha】
[状態]:健康
[装備]:聖旗
[道具]:???
[思考・状況]
基本行動方針:聖杯戦争の恙ない進行。
0. 大魔王バーン……!
1. ???
[備考]
※カレンと同様にリターンクリスタルを持っているかは不明。
※Apocryphaと違い誰かの身体に憑依しているわけではないため、霊体化などに関する制約はありません。
※遠坂凛の要請をどうするか決定したのか、決めたとすればその内容はどうなのか、カレンはどう動いているかなど放送後の詳細な動向は後続の方にお任せします。
※カッツェに対するペナルティとして令呪の剥奪を決定しました。後に何らかの形でれんげに対して執行します。
※バーンに対するペナルティとして令呪を使いました。二画の剥奪も決定しましたが、未だ施行できていません。

【カレン・オルテンシア@Fate/hollow ataraxia】
[状態]:健康
[令呪]:不明
[装備]:マグダラの聖骸布
[道具]:リターンクリスタル(無駄遣いしても問題ない程度の個数、もしくは使用回数)、???
[思考・状況]
基本行動方針:聖杯戦争の恙ない進行時々趣味。
0. ……!
1. ルーラーの裁定者としての仮面を剥がしてみたい。
[備考]
※聖杯が望むのは偽りの聖杯戦争、繰り返す四日間ではないようです。
 そのため、時間遡行に関する能力には制限がかかり、万一に備えてその状況を解決しうるカレンが監督役に選ばれたようです。他に理由があるのかは不明。

【アサシン(ニンジャスレイヤー)@ニンジャスレイヤー】
[状態]魔力消耗(大)、全身に擦り傷、マスター喪失
[装備]なし
[道具]なし
[思考・状況]
基本行動方針:しんのすけを弔うためにキャスター=サン(バーン)アサシン=サン(ベルク・カッツェ)殺すべし
0.キャスター=サンは一体……!?
[備考]
※放送を聞き逃しています。
※ウェイバーからNPCの携帯電話を借りました。
※ランサーがキャスターを撃退したものだと思っています。


【B-4 /跡地より少し離れた場所(北)/1日目/夕方】

【岸波白野@Fate/EXTRA CCC】
[状態]:健康、強い決意、右腕に痺れ
[令呪]:残り三画
[装備]:なし
[道具]:携帯端末機
[所持金] 普通の学生程度
[思考・状況]
基本行動方針:「 」(CCC本編での自分のサーヴァント)の記憶を取り戻したい。
0.アレ(鬼眼王)は、一体───?
1.ランサー(クー・フーリン)から託されたものへの強い決意。
2. 機会があれば、ルーラーたちにアークセルの事を訊いてみる。
3. 狙撃とライダー(鏡子)を警戒。
4. 聖杯戦争を見極める。
5. 自分は、あのアーチャーを知っている───?
[備考]
※遠坂凛と同盟を結びました。
※エリザベートとある程度まで、遠坂凛と最後までいたしました。その事に罪悪感に似た感情を懐いています。
※遠坂凛とパスを通し、魔力の融通が可能となりました。またそれにより、遠坂凛の記憶の一部と同調しました。
※クー・フーリン、ジャンヌ・ダルクのパラメーターを確認済み。クー・フーリンの宝具、スキルを確認済み。
※アーチャー(エミヤ)の遠距離狙撃による攻撃を受けましたが、姿は確認できませんでした。
※アーチャー(エミヤ)が行った「剣を矢として放つ攻撃」、およびランサーから聞いたアーチャーの特徴に、どこか既視感を感じています。
 しかしこれにより「 」がアーチャー(無銘)だと決まったわけではありません。
※足立透と大魔王バーンの人相と住所を聞きました。

【ランサー(エリザベート・バートリー)@Fate/EXTRA CCC】
[状態]:火傷多数、魔力消費(大)
[装備]:監獄城チェイテ
[道具]:なし
[思考・状況]
基本行動方針:岸波白野に協力し、少しでも贖罪を。
0. 何よ、アレ……!
1. 岸波白野のついでに、遠坂凛も守る。
2. 撤退に屈辱感。
[備考]
※岸波白野、遠坂凛と、ある程度までいたしました。そのため、遠坂凛と仮契約が結ばれました。
※アーチャー(エミヤ)の遠距離狙撃による襲撃を受けましたが、姿は確認できませんでした。
※カフェテラスのサンドイッチを食したことにより、インスピレーションが湧きました。彼女の手料理に何か変化がある……かもしれません。

【遠坂凛@Fate/Zero】
[状態]:健康、魔力消費(大)、強い決意 、強い悲しみ、サーヴァント消失
[令呪]:残り二画
[装備]:アゾット剣
[道具]:なし
[所持金]:地主の娘のお小遣いとして、一千万単位(詳しい額は不明)
[思考・状況]
基本行動方針:遠坂家の魔術師として聖杯を得る。
0.何なの、アレ……!
1.ランサー……
2. 岸波白野から、聖杯戦争の経験を学ぶ。
3. ルーラー達からの連絡を待つ。
4. 勝利するために何でもする。
5. カレンの言葉が気にかかる。
[備考]
※岸波白野と同盟を結びました。
※エリザベートとある程度まで、岸波白野と最後までいたしました。そのため、エリザベートと仮契約が結ばれました。
※岸波白野とパスを通し、魔力の融通が可能となりました。またそれにより、岸波白野の記憶が流入しています。
 どの記憶が、どこまで流入しているかは、後の書き手にお任せします。
※鏡子、ニンジャスレイヤー、エリザベート、ジャンヌ・ダルクのパラメーターを確認済み。エリザベートの宝具、スキルを確認済み。
※足立透と大魔王バーンの人相と住所を聞きました。


【B-4 /跡地より東に少し離れた場所/1日目 夕方】

【バーサーカー(黒崎一護)@BLEACH】
[状態]疲労(中)、魔力消費(大)
[装備]斬魄刀
[道具]不明
[所持金]無し
[思考・状況]
基本行動方針:美遊を守る
1.速やかに美遊の元へ戻る
[備考]
※エミヤの霊圧を認識しました
※ランサーを殺害したため、令呪の強制力は消えました。



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116-a:導火線に火が灯る 投下順 117:DANGEROUS
116-a:導火線に火が灯る 時系列順 117:DANGEROUS

BACK 登場キャラ:追跡表 NEXT
116-a:導火線に火が灯る ランサー(クー・フーリン GAME OVER
遠坂凜 121:selector infected N.A.R.A.K.U
岸波白野&ランサー(エリザベート・バートリー
ウェイバー・ベルベット&バーサーカー(デッドプール
アサシン(ニンジャスレイヤー
足立透&キャスター(大魔王バーン
バーサーカー(黒崎一護
ルーラー(ジャンヌ・ダルク
カレン・オルテンシア