「ゴメン斗貴子さん――その約束 守れない」








――本当に ゴメン












俺はあの時、斗貴子さんとの約束を破った。
一心同体だと言ったその言葉を踏みにじったんだ。

あの時の斗貴子さんの絶望した顔を、今でも忘れられない。

そうだ、忘れちゃいけない。
自分のやったことを。

俺――武藤カズキはあの時、自身の武装錬金、サンライトハートの力でヴィクターを押し上げ月へと向かった。
月ならば生命は存在せず、周囲から無差別に生命力を吸収するエネルギードレインは意味をなさない。
俺とヴィクター、両方が地上から消えれば罪もない人たちの命を吸わずに済む。
ヴィクターとの決着は月面でつける――筈だった。

だけど――月には人が、居たんだ。
正確にはその近くにある方舟。
俺とヴィクターはそこで聖杯戦争に巻き込まれた。

「畜生……どうして! 俺は――」

「何故泣く、少年よ……私の死を悲しむ間柄でもあるまい」

「駄目だヴィクター! もう戦う意思がないのなら生きろ!!
 ヴィクトリアが待っているんだ!!」

俺たちが記憶を失い、ただの一市民として生活していたこの町。
そんな街の路地裏で俺の業敵・ヴィクターは血にまみれて倒れていた。
赤銅色の肌、蛍火の髪、見間違える筈もない人をホムンクルスをも超えたヴィクターという存在。

その姿が俺の記憶を今呼び起こしたんだ。

「そうか……娘はまだ……」
「そうだ、だからヴィクター!」
「無駄、だ。フェイタルアトラクションを完全に破壊された。
 もはや今まだ話せるだけで奇蹟のようなものなのだ……コハッ」

ヴィクターの吐血が俺の服を赤に染める。
だがそんなものは気にしちゃいられない。

「少年、カズキ……だったか。覚悟を決めろ、ここはもう戦場なのだ――
 戦わなければ――生きてお前の想う者たちの元へは帰りつけない」

その言葉に俺は、何も言えず、ただ頷いた。

「そう、だな。お前は私を月に連れてきた時から覚悟していたのだった。
 あの時点では私に勝っても負けてもお前は生きて帰れない筈だったのだ。
 ――その覚悟、一体……何処から……」

「もちろん――あの地球(ほし)から――」


いろいろ悲しい思い出もあった筈だった。
でも、あの星にいる斗貴子さんやまひろや、仲間たち。
皆との楽しい思い出が俺に覚悟を決めさせたんだ。

「フッ――持っていけ」

そういってヴィクターが差し出したのは俺が地球で埋め込んだ筈の白い核金だった。

「……ヴィク……ター」

「娘を……頼…む――」

その言葉を最期に――ヴィクターは灰になって消えた。

粉々に砕けた黒い核金を残して。

 俺は――哭いた。

戦いあった敵だったけど憎しみはなかった。
同じヴィクター化した存在として誰よりも共感を持っていたんだ。

これが結果だった。

俺が斗貴子さんの気持ちを裏切って得た成果がこの涙だった。

「――兄ちゃん」
「ケッ、辛気臭ぇったらねぇな。コイツがワシの「ますたぁ」かよ」

どれだけの時間が過ぎたのか解らない。
だけどいつしか哭くのをやめていた俺の背後からそんな声が聞こえた。

振り向いた先に居たのは一人の少年と――なんだろう虎のような隈取と
ライオンのような鬣を持った動物だった。

「なんか今ワシの方を見て失礼なこと考えなかったこんガキャ」
「しゃ、喋った!?」

人の言葉を話す動物になんて初めて会った。
同時にピンとくる。

これが、サーヴァントなんだ。
となりにいる短髪の少年がマスターということなんだろうか?
ならヴィクターを殺したのは――

俺が武装錬金を取り出そうとすると少年は慌てたように両手を突き出した。

「うわわわわ、待った待った! 兄ちゃん違うよ、俺もサーヴァントなんだって!」
「サーヴァントだって!? じゃあマスターは何処にいるんだ?」
「兄ちゃんがそうだよ、手に令呪ってのが出てるだろ? そっから繋がりとか感じないかな?」
「え――」

言われてみると確かに俺の左手の甲には三画の紋様が浮かび上がっていた。
そこから確かに感覚的に繋がっているのが解る。
それも目の前の少年にだけじゃなくて――

「そんなそっちのライオンにも?」
「『らいおん』じゃねぇ! ワシは『とら』よ! 覚えとくんだな」
「と、とら? いやでもオカシイ。 サーヴァントは一人につき一体だった筈じゃ?」

俺の疑問に少年ととら、と名乗ったライオンは顔を顰めた。

「それがさぁ、何だかオレたち二体で一体扱いで召喚されたんだよね」
「ケェーッ、こんなウスラトンカチと同列に扱われていい迷惑だぜ!!」
「なんだとーーーっ、とらーーーー!」
「やるかよ、うしおーーーーっ!」

「わーーッ! やめろって!!」

急に喧嘩を始めた二人の間に入ってなんとか宥める。

「解った! お前たち二人とも俺のサーヴァントなんだな?」
「ああ!」
「ワシらは「らんさぁ」よ」

そう言ったとらの言葉に頷いてうしお、と呼ばれた少年は槍を取り出した。
彼がずっと持っていた布にくるまれた長い棒は槍だったみたいだ。

「俺の獣の槍があれば百人力さ!」
「そんなチビガキよりもワシの稲妻の方がよっぽど強いぜ」

「待てって! それにしてもランサーか、俺も突撃槍(ランス)を使うんだ!奇遇だな」

「ヘヘ、俺たちいいコンビになれるぜ」
「ワシはどうでもいいけどな」

ふと気づくとヴィクターが死んだ時のあの重たい気持ちは何処かへ吹き飛んでいた。
これも二人のおかげなのだろうか。

「解った二人ともヨロシク!」
「ああ!」「おおよ!!」

俺に二人もサーヴァントができたのはもしかしたらヴィクターが自分の分もくれたのかもしれない。
受け取った白い核金を見ながら俺はそう思った。

聖杯戦争。
俺たちの戦いに横槍を入れたこの戦争を俺は許さない。
その内容も、絶対に許容なんてできない。

見ててくれヴィクター。俺はこの聖杯戦争を絶対に止めてみせる。

俺は新たな決意と共に核金を握りしめた。







【CLASS】ランサー

【真名】うしおととら@うしおととら

【パラメーター】
 筋力B+ 耐久C 敏捷A+ 魔力B+ 幸運C 宝具A+

【属性】
 中立・中庸

【クラススキル】
 対魔力:C
  第二節以下の詠唱による魔術を無効化する。
  大魔術、儀礼呪法など大掛かりな魔術は防げない。

【保有スキル】

戦闘続行:A
 瀕死の傷でも戦闘を可能とし、決定的な致命傷を受けない限り生き延びる。

穿芯の心得:C
 戦闘時において集中力を高める心得。
 敵の防御スキル効果を無効化するが、使用者の精神が安定を欠いていた場合発動しない。

雷と炎の化生:B
 風と炎と雷を操る字伏の能力。
 大風を巻き起こし、稲妻の雨を降らせ、あらゆるものを焼き尽くす炎を吐く。

二身一体:EX
 蒼月潮ととらは単独でサーヴァント足り得ず、2体で1体のサーヴァントとして成立している。
 そのため、制限として2人は別行動をとることができない。
 常に喧嘩の絶えない両者だが、戦闘時には抜群の呼吸で互いを補い合う。
 このスキルの効果によって彼らは1体のサーヴァントとして現界しているため
 何らかの理由でこのスキルを失った場合、かれらは英霊の座へと帰還することになる。

対妖魔:A
 妖怪・魔物の類を相手にする時、相手のステータスを1ランク下げる。

【宝具】
『獣の槍(スピアー・オブ・ビースト)』
ランク:B 種別:対人宝具 レンジ:1 最大補足:10

春秋・戦国期の中国で、白面の者に両親を殺された兄妹が、白面の者を倒すべく身命を賭して作り上げた武器。
妹が炉に身を捧げることで妖怪を討つ力を得た鉄塊を、刀剣鍛冶である兄が刀剣に鍛え上げ、兄自身も白面への
底知れぬ怨念と憎悪から槍の柄へと変化(へんげ)した。
そうして出来た“獣の槍”は意思を持ち、どんなに妖(バケモノ)を切り刻んでも刃こぼれせず、錆びもしない“妖器物”となる。
槍に選ばれた人間が手にして戦うと、槍は使用者に囁きかけ、魂と引換えに妖を滅する力を与えるために、
使用者の身体能力は著しく向上する。また使用者は空中の妖気を頭から吸収し、
髪が異様に伸びた外見となり(戦い終えると妖気の吸収が途絶え、元の姿に戻る)、
その姿では治癒能力は異常とも言える程向上、加えてこの状態は妖怪と同じ存在と化している。
変化した際には、蓄積された槍の使用者達の戦いの記憶と経験を、現在の使用者が瞬時に自らのものとして戦う事が可能となっている。」
また結界や人にとり憑いた妖、呪いなど、通常の視界には映らないものを悉く斬り裂く能力を持っている。
槍についている布は封印された時の赤い織布が千切れた物であり、完全にとはいかないまでも獣の槍の力を封じる力が残っている。
そのため、この布を取り除く事によって、獣の槍の力は一層強くなるが、それに比例して魂の削られる量も増大するため、
使用者の余命を縮める事になる。


『二体で一体の妖(うしおととら)』
ランク:A+ 種別:- レンジ:- 最大補足:-

相棒 PARTNERS
護るべき者 THE PEOPLE THEY PROTECT
強大な敵 ENEMY

そして蒼月潮と妖怪・とら

その全ての条件がそろった時、一匹の妖怪が生まれる。

「二体で最強。それがあやつら」




【weapon】『獣の槍』:上述

【人物背景】

 蒼月潮(あおつき うしお)
本作の主人公。中学2年生。6月生まれ。東京都みかど市在住。
14歳のある日、妖にとって天敵と呼ばれる霊槍「獣の槍」と、その槍に封じられていた妖怪を
自宅の蔵の地下室で見つけ、その槍を引き抜いてしまった事で宿命付けられた妖との戦いに巻き込まれていく。
父は光覇明宗の法力僧・蒼月紫暮、母は三代目お役目・日崎(蒼月)須磨子。家業は寺で、父と2人暮らし。
性格は曲がったことや嘘が大嫌いで良くも悪くも真っ直ぐな性格の好男子。
正義感が非常に強く、他人の幸福のためなら自身が傷つくことも厭わない献身的な面を持つ。
また、そういった傾向は人間のみならず、妖にも隔たりなく向けられていた。
しかし、私生活は結構だらしなく過食で腹を壊すなど、年相応にいい加減でズボラなところもある。
妖との戦闘時には槍の力によって自身も妖と化す為、髪が長く伸び、瞳は細く、牙や爪が鋭くなるなど
容姿に変化が現れるが基本的に人の姿をしたままである。
跳躍力や腕力、治癒能力等は人の時とは比較にならないほど著しく増し、
高い空中から地上に落下しても強い打撲程度のダメージで大きな傷を負う事はなく、白面の火炎や、
とらの雷を受けても致命傷には至らない程の耐久力がある。
(とらも変化した潮に対しては妖と認識しており、雷を以てして獣化した潮の暴走を止めようとした事もあった)
初期の頃は、獣の槍の力に頼った力任せの戦い方が目立ったが、
様々な戦いを通じて機転を利かせた戦法を編み出していくようになる。
絵を描くのが趣味のため美術部に所属している。ただし絵心は皆無で本人以外には何を描いたかすら判らないほど。
とらと共に数々の妖を相手に戦い抜く中、互いに信頼が生まれてゆくが、それでも幾度となく衝突する事もあり、
離別の危機を迎えそうな局面もあった。
それらを全て乗り越えた事で周囲に「2体で1体の妖」と称される程、深い絆で結ばれた最強のパートナーとなっていく。

とら
500年間、獣の槍に封じられていた大妖怪。虎にも似た金色の大きな体躯に鋭い爪と牙を持つ。
その実力や800年前の戦で見せた勇猛な戦いぶりから妖怪の中でも一目置かれる存在で、
その名を聞いただけで震え上がる妖怪も多い。年齢は2000歳を優に超え、
他の妖怪に対しては大妖怪らしい威厳ある態度で接しているが、その一方で、潮といると退屈しない。
と云っている通り、潮と一緒の時は喧嘩をしたり無邪気にはしゃいだりムキになったりする子供のような面も見せる。
最初は潮を喰う為に取り憑いたのだが、自ら厄介事に首を突っ込んでいく潮と共に
結果的には他の妖と闘ったり関わっていく事になる。潮とは始めはいがみ合い衝突していたものの、
背を預け闘っていく内に強い心の繋がりと絆を深めていき、白面との戦いを「わしらとヤツ(白面)のタイマン」
と言い切る程、最終的には潮に対して2体で1体の片割れのような感情を持つようになる。
とらの戦闘能力は高く、飛行機を持ち上げるほどの怪力を持ち、鋭い爪と牙、口から吐き出す火炎、
身体から発する雷など多彩かつ強力な武器を持つ。また、空を飛ぶことができ、人間そっくりに化ける、
髪の毛を自在に変化させるといった能力や、身体を真っ二つに斬られたり手足を切断されても死なず、
そのまま動ける強い生命力を持つ。
2000年以上もの間、一人で生き抜き様々な強敵と闘い修羅場を潜り抜けてきただけあって、その精神力も強靭である。
戦闘経験や知識は豊富で、妖怪や様々な術に関する深い知識を披露することも少なくない。
力押しで勝てる相手は力押しで行くが、一筋縄でいかない相手は戦いながら長年の経験を活かして弱点を見極め、
そこを突くといった高度な戦い方もできる。又、未知の武器や術を駆使する人間との闘いでは
妖怪相手より苦戦することが多いが、相手の戦法を見抜いた後は反撃に転じており
結果的に人間相手に完敗した事はなかった。自分の実力にはプライドがあり最強妖怪を自負しているが、
一方でシュムナなどの面倒な相手からはあっさりと逃げ出すこともあり、あまり勝負にこだわる性格ではない。


【サーヴァントとしての願い】
 特になし

【基本戦術、方針、運用法】
 二体で戦う。



【マスター】武藤カズキ@武装錬金

【参加方法】
 ヴィクターとの決戦で月に降り立った時に巻き込まれる

【マスターとしての願い】
 この戦いを止めるため、聖杯を壊す

【weapon】
 『サンライト・ハート+』
 ヴィクター化したカズキの影響を受け、形状と特性が変化したサンライトハート。
 小型化して取り回しやすくなった(槍先を閉じた形態はどちらかと言うと剣に酷似しており、
 基本は突撃槍だが剣の能力も得たと言える)と同時に、新たな特性として創造者の意思に応じてエネルギーが発動、
 槍先を分解し、槍先のサイズを自由自在に変化させることが可能となった。そのため機動力が大幅に向上し、
 旧サンライトハートの弱点であった接近戦にも対応できるなど、戦闘のバリエーションが非常に豊富となっている。
 エネルギーは創造者の体内で常時蓄積されている生命エネルギーそのものであり、
 ヴィクター化した際は周りの生命エネルギーを取り込んで使えるので、
 その出力はヴィクター諸共地球から月まで飛んでいけるほど絶大なものになる
 (カズキ自身もこの力を危惧していたため、ヴィクター戦で一度きりしか使わなかった)。
 旧サンライトハートと同様、刀身と柄が分離可能である。石突(槍の尻の部分)は
 旧サンライトハートの穂先部分と同じ形状になっており、さらに石突の方からもエネルギー放出が可能。
 ちなみに「武装錬金の完全破壊(または長時間の離別)」はカズキに死をもたらすが、
 石突のみの状態でも生存は可能である。

【能力・技能】
 『ヴィクター化』
 蛍火の髪と赤銅色の肌を持つ。ヴィクター化した人間は、ホムンクルスを超える圧倒的なパワー
 ・驚異の再生能力・飛行能力・宇宙空間での活動能力などを得る反面、
 周囲の生物から生命力(エネルギーだけの場合と、切断された腕部などの物質をエネルギーに変換して吸収する場合がある)
 を自動的に吸い取り、自身のエネルギーとする「エネルギードレイン」という生態を得てしまう
 (ドレイン自体は「生態」であるため自身の意志で止めることは不可能だが、
  程度の調整は可能。自身のエネルギーが十分な場合は発動しないこともある)。

【人物背景】
12月1日生まれ。身長170cm、体重59kg。血液型O型。
かなりの熱血漢・正義漢で、人好きされやすい明るく朗らかな性格の少年。
敵から「偽善者」と言われるほど誰かを守るために自分を投げ出す強さを持ち、
たとえそれが敵であろうとも情けをかけ、時に自らの命を賭けて救おうともする。
とはいえ、元はごく普通に暮らす高校生の少年であり、
守るべき日常から離れた孤独な戦いにおいては弱さと脆さを見せることもある。
核鉄を心臓代わりに移植されたことで、後に「ヴィクター」と呼ばれる超生命体に覚醒する。
覚醒直後は暴走するも、斗貴子の呼びかけに応えて心を取り戻した。
その後は錬金戦団に半ば裏切りに近い形で、人類の敵「ヴィクターIII(スリー)」と呼ばれて命を狙われることになる。
最終決戦にて「白い核鉄」を使ってヴィクターを人間に戻す計画が失敗したことから、
皆を守るためにヴィクターを道連れに月へ飛んだ。

【方針】
聖杯戦争を止める。