月海原学園 調理室

現在この場所で調理実習が行われていた。
題材となる料理はパンであり生徒達はそれぞれパン生地を一生懸命にこねていた。

「~♪」

そんな中、ああ~心がぴょんぴょんするんじゃ~と思わず言いたくなるような鼻歌を歌いながら
手慣れた手つきでパン生地をこねる少女がいた。

少女の名前は保登 心愛(ほと ここあ)

天然でドジな所もあるが、笑顔を絶やさずフレンドリーで優しく明るい少女である。
彼女の実家はパン屋であり、自慢の腕を披露するべく張り切っていた。
そしてパンを焼き、オーブンから香ばしい匂いが漂う。
その時、ココアの身に異変が起きた。

『――――さん……』

脳裏から見たことも無い少女の顔と声がフラッシュバックした。

(誰……なの……?)

思い出そうとしても激しいノイズが頭の中を掻き乱し
少女の顔がよくわからないほどぼやけていた。
酷い頭痛がする。

思い出そうとすればするほど頭が軋むような激痛が起こる。
何も考えずにいればそんな苦しい思いはせずに済むのだろう。
だがこの記憶は絶対に忘れてはならない、とても大切な記憶
胸の内から語り掛ける強い意志が少女を後押しさせた。

『――ココアさん……』

水色のロングヘアーの少女の姿がより強く映し出された、と同時に
ココアの意識は闇へと沈んだ。

「……んっ あれ……?」
「気が付きましたか?ここは保健室です、調理実習中に意識を失って倒れたんですよ」

目が覚めたココアは白いベッドで寝かされていた。
記憶を取り戻そうとする頭痛に耐えられず、そのまま倒れたのだと理解した。

「ごめんね桜ちゃん、迷惑かけちゃって…」
「いえ、これが私のお仕事ですから」
「……ありがとう、そろそろ行くね」

もう少しゆっくり休んだ方がいい、とココアの身を案じた桜が引き留めようとするが
ココアは一刻も早く記憶を取り戻すべく保健室から出て行った。

(もう少し……あともう少しで思い出せる)

あと一つ、何かきっかけがあれば思い出せる。
だけどそれが分からないココアはモヤモヤとした気持ちを抑えつけながら
特に行く当ても無く、学園内を歩き続けた。

音楽室、美術室、実験室、どれも違う。
歩き続ける内に喉が渇いたココアは売店へと向かった時
ついに見つけた。

売店に設置されてある自販機で飲み物を購入する男子生徒
彼の持つ紙コップに入っているのはコーヒーだった。
コーヒーのほろ苦い香りが一人の少女の姿を鮮明に映し描いた。

「……チノちゃん」

喫茶店ラビットハウスのマスターを父に持つ、頭にうさぎのティッピーを乗せた女の子。
私の事をココアお姉ちゃんと呼んで甘えてくるとっても可愛い私の妹。

『……そんなことしてません』

(もう、テレ屋なんだから♪)

脳内イメージのチノと会話を弾ませるココア、重度のシスコンもここまで行くともはや見事である。
チノを思い出した事により
頭の中のもやが完全に晴れ上がり、封印されていた記憶がココアの脳内へと流れ込む。

(そうか……私は……)

最初の出来事はアンティーク屋へ寄って行った時に始まった。
ココアの目に飛び込んだのは木彫りで出来た犬の像。
普段はウサギをモフモフしているココアだが他の動物をモフモフするのも勿論好きである。

「か~わいい~♪これ買っちゃお~♪」

ハイテンションで木彫りの像を購入したココア
この像こそが『ゴフェルの木片』であり
ムーンセルへ誘うパスポートだった。

(ここに来て私は聖杯戦争を知った……そして願った……)

聖杯戦争が始まれば沢山の命が失われる。
そうなれば死んでいった人達の家族や友人達は悲しむ。
ココアはそれを止める為に聖杯戦争へ身を投じた。

「熱っ!?右手が……」

願いを完全に思い出したその時、右手の甲から火傷したような熱さを感じた。
何が起きたのか確認すると右手の甲に赤い紋章のような物が浮かび上がっている。
ココアにはそれが何なのか理解した。
これこそがサーヴァントとの契約の証である令呪だという事を

「あっ……」

令呪の出現を合図とするようにココアの目の前で一体のサーヴァントが姿を現した。
その姿にココアは思わず、言葉を失ってしまう。
なぜなら英霊が召喚されると聞いて物凄く強そうな人物を想像していたからだ。
ココアが呼び出した英霊の姿はなんと……

「か……かわいい~!!」

ココアが呼び出した英霊はシベリアン・ハスキーという犬種のワンちゃんだった。
その愛くるしい姿を見てココアはたまらずモフモフしまくっていた。

「よく見ると木彫りのワンちゃんとそっくりだよ~、きっとモフモフの神様が私の為に連れてきてくれたんだ~」

賢い子なのか犬は、ココアにモフられまくってても落ち着いてお座りをしており
周囲をキョロキョロと確認して大人しくしていた。

「ねえ、私はこの聖杯戦争を止めて争いを無くしたいの、だから協力してほしいの……お願い!」
「ワン!」

ココアの願いを肯定するように犬は吠えるとココアは安堵とした表情を見せて
再びに犬をモフりはじめた。

「ありがとう!一緒に頑張ろうね!」
「わん!わん!」

争いを止めるという事は誰の願いも叶わなくなるかもしれない。
そしたら私のサーヴァントは起こって反対するかも、と内心は不安だった。
だけどこの犬はそんな事無く協力してくれた。
このサーヴァントが本当に戦えるのかは分からない。
それでもココアにとってこのサーヴァントは掛け替えのない大切なパートナーだと心の底から思えた。


この犬のサーヴァントはココアの心情とは遥かに違う考えを持っていた。
犬は人間に懐き忠誠を誓う生き物である……と『それ』は理解していた。
だからマスターに懐いた犬として行動していた。
『それ』は犬ではない。
犬の姿に擬態した『それ』は一つの目的の為に行動をしている。

その目的とは、他の生命体との同化それだけである。



【マスター】保登心愛@ご注文はうさぎですか?

【参加方法】『ゴフェルの木片』による召喚(犬の木彫りの像)

【マスターとしての願い】聖杯戦争を止める。

【weapon】無し

【能力・技能】パン作り

【人物背景】
 下宿先である喫茶店『ラビットハウス』で働く女子高生。
 とても前向きで明るく朗らかな性格をしているが、少々ドジなところがあるためチノやリゼにフォローされることも多い。
 可愛い物やモフモフしたものが大好き。
 実家では4人兄妹の末っ子だったことから自分より年下の妹に憧れており、チノのことを実の妹のように可愛がっている。
 家業がパン屋のためパン作りに懸ける情熱は誰よりも強く
 また知識や技術も持ち合わせているため、ラビットハウスの看板メニューとしてティッピーパンを焼き上げた。

【方針】協力者を探して、一緒に聖杯戦争を止める仲間を作る。


【クラス】ライダー

【真名】X@遊星からの物体X

【パラメータ】筋力E 耐久E 敏捷E 魔力E 幸運E 宝具A

【属性】混沌・中庸

【保有スキル】
 戦闘続行:A++…名称通り戦闘を続行する為の能力。細胞単位で独立して生きている為、肉片や血液だけの状態でも活動が可能

 仕切り直し:C…戦闘から離脱する能力。見切りが早く、戦闘中でも即座に離脱行動に移ることが可能。

 変身:C…自らのカタチを変えるスキル。異形の怪物となり強大な力を得るが宿主の自我は消滅、知性を失い本能でしか行動出来なくなる代償を払う。

【宝具】

 浸食:A…他の生物と同化する能力。Xの皮膚や体液に接触すると感染し徐々に同化する。
      寄生した人物の自我を消して肉体を奪う事も、乗っ取られた事に気づかないまま自我を残す事も可能

 学習能力:D…寄生した人物の記憶を読み取り学習する能力。宿主が持つ知識や技術を利用する事が可能。

【weapon】無し

【人物背景】
 洋画、遊星からの物体Xに登場するクリーチャー
 約10万年前に寄生した宇宙人と共に南極へ墜落し氷漬けになっていたが1982年にノルウェー隊に発見され
 基地まで回収された所で目を覚ます。
 ノルウェー隊の人間達を次々と感染させるが必死の抵抗によりシベリアン・ハスキー一匹を除いて駆逐され
 アメリカ南極基地まで逃走した。
 試算によれば、人間社会に辿り着いたそれが全人類を同化するまでに必要な時間はおよそ2万7000時間とされている。

【サーヴァントとしての願い】
 他の生命体との同化、Xには理性が無いので願いというより本能と言った方が正しい。

【基本戦術、方針、運用法】
 隙を見て他のマスターやサーヴァントと同化する。
 暗がりなので、主に夜や室内で活動を開始する。