――それは温泉であった。

 夕暮れの空を背景に、巨大な岩に囲まれた、
 湖と遜色ない面積の大温泉が、少年の眼前に広がっていた。

「何をしている。脱げ」

 天より響くような声がした。
 湯に半身を浸けながら、声は少年に促した。
 少年は、巨大温泉のおよそ三分の一の面積を埋めているその声の主を、見上げる。

「どうした――小さき者(マスター)よ。俺と一緒の湯は嫌か」

 声の主は、竜であった。
 温泉に入った竜であった。

 V字に伸びた二対の角に、緑の鬣がゆらめく。
 尖った顎部に、竜鬚。その表情は老獪の笑み。歴戦を知る者の佇まいがある。
 胸部は機械装甲で覆われており、段になった肩の外装は武者を思わせる。
 そこから伸びる両の手は、左が盾付きの手甲、右は大剣となり、肩へと直接接続されている。
 背中からもV字に突き出るような機構。そして肉体を機械と融和させた竜は、
 生物的な緑翼とその背部機構から広がる二枚の白翼を合わせ、四枚の羽根を持っていた。

 ある世界では、このような姿をした竜は「竜機」と呼ばれる。
 そして少年の前で温泉に浸かるこの竜は、伝説である「無双」の名を冠する「竜機」だった。

「櫂トシキだ」

 少年は服を脱ぎ、温泉へと足を踏み入れながら真っ直ぐな眼で竜へ名を告げた。
 湯は熱かった。火傷するかと思う様な、逃げ出したくなる、熱さだった。
 しかし少年は逃げない。求めているからだ。強さを、勝利を。友を止められるだけの力を。

「お前は――」
「無双竜機ボルバルザーク。クラスは、セイバー」

 竜は少年を見下ろしながら真名を告げた。

「よく喚んでくれた。殿堂に送られてしまってから死ぬまで、暇を持て余していたからな。どうだ、いい湯だろう」
「ああ」
「それで。おまえの願いは、勝利だな」
「そうだ」
「ならば俺はおまえの剣に成れよう。ただ」
「ただ?」
「俺を使いながら勝利できなかった場合は。その代償は、高くつくぞ」



|無双竜機ボルバルザーク

|マナコスト7 火/自然文明 クリーチャー パワー6000
|アーマード・ドラゴン/アース・ドラゴン
|■マナゾーンに置く時、このカードはタップして置く。
|■このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、他のパワー6000のクリーチャーをすべて破壊する。
|  その後、このターンの後にもう一度自分のターンを行う。そのターンの終わりに、自分はゲームに負ける。
|■スピードアタッカー(このクリーチャーは召喚酔いしない)
|■W・ブレイカー


 このターンの後にもう一度自分のターンを行う。
 そのターンの終わりに、自分はゲームに負ける。

 ボルバルザークは勝利のための時間をマスターに授ける。
 しかし、その時間を使っても勝利できなければ、マスターには死が待っている。


「勝利を約束せよ。

        さもなくば、おまえの負けだ」


 右の大剣を、湯から揚げて、喉元に突き付けながら。
 無双竜機ボルバルザークは櫂トシキに突き放すような口調でそう言った。
 負けなど論外。勝てなければ、殺す。
 令呪によりそれを防げるのも二回まで。
 この竜と契約を交わした時点で勝利以外を許されなくなる必然を、竜は暗に少年に提示していた。

「約束する」

 櫂は動じずに強い意志を持って答えると、右手に持っていた一枚のカードをかざした。
 ゴフェルの木を加工して作られた紙が使われていたらしいそのカードは、
 彼がこの聖杯戦争に呼ばれた原因でもあり、そして彼にとって最も思い出深いカードでもあった。

「――ライド。ブラスターブレード」

 カード名を宣言した次の瞬間、水平に突きだされた巨大な大剣の上に、一人の騎士が立っていた。
 白青の鎧に身を包んだ騎士は、此度の聖杯戦争が行われる“この場所”を、
 自分がいつもカードファイトをするときにイメージしていた遠き惑星に近い場所だと認識した。
 ならば、それに応じたイメージをする。
 イメージしていた場所が存在し、その場所にたどり着いたのであれば、
 イメージが現実になるというイメージをすることで、想像を現実に降ろすこともできる。

 いま、イメージは現実に変わる。

「このイメージで、俺も戦う」
「ほう……自らカードの精霊を身体に降ろし、先導者(ヴァンガード)となるか。
 そういう戦い方をする者と出会うのは初めてだな……面白い。面白いぞ、小さき者(マスター)」
「セイバー。お前は聖杯に何を願う」
「ふはは、当然、“解放”よ。殿堂などという退屈に縛られた場所からのな」
「そうか」
「おまえは聖杯には何も願わないのか?」
「願いは、勝利は、何かに頼って手に入れるものではない」
「その意気やよし」

 答えに頷くと、竜は騎士が運びやすくなるように、カードの姿を取った。
 櫂は騎士へのライドを解きそのカードを手に取る。
 カードの姿を取れるのは、今回の聖杯がすべての異世界の記録をもとにサーヴァントを召喚するからに他ならない。
 カードゲームとそのモチーフとなる星の歴史がシンクロするのはカードゲームでは常識。
 おそらくこの竜はカードゲームの土俵で英雄となり、
 それが本来の星でも反映されて英雄となり、そして英霊の座に登録されたのだ。

「……アイチ。……レン」

 湯から出て服を着ながら、少年は自らが守り救うべき親友たちの名を呟く。
 少年は聖杯に願うことなどない。ただ、勝利を重ね力をつけたいだけ。
 竜はその勝利を手伝い、そして勝利できなければペナルティを与えてくれる存在。
 さらに聖杯に願うべきことも持ち合わせている。ここに、二人の利害は一致していた。

 温泉を出ると、少年と竜は街へと向かった。

【クラス】セイバー
【真名】無双竜機ボルバルザーク@デュエルマスターズ
【パラメーター】
筋力B 耐久B 敏捷B 魔力C 幸運C 宝具B+
【属性】中立・中庸
【クラススキル】
騎乗:-…どちらかといえば騎乗される側、幻獣・神獣の類である。騎乗Aでも乗りこなせない。
対魔力:A+ 最強の幻想種である竜、それも二種の混竜なので、現代の魔術師では当然傷をつけることはできない。

【保有スキル】
奇襲:B…どんな体勢からでも、召喚後すぐにでも攻撃態勢に移ることができるスキル。
カードの効果ではスピードアタッカーに当たる。
攻撃拡張:D…攻撃時にその攻撃範囲または回数を2倍に拡張する。
カードの効果ではW・ブレイカーに当たる。ちなみにランクAになると5倍拡張が可能らしい。
呪符変化:C…自らの意思でカードの姿とドラゴンの姿を行き来できる。
カードの姿で居る時は、現界にかかるマスターの魔力消費がほとんどゼロになり、感知されにくくなる。

【宝具】
『勝利を約束せよ(ファイナルターン)』
ランク:B 種別:対人宝具 レンジ:25 最大補足:3
‐ボルバルザークが持つ「ゲームを終わらせる効果」が宝具になったもの。
 マスターが敵の前でファイナルターン宣言を行うことで発動する。
‐レンジ内に居た敵(最大捕捉3名)の全ての撤退行動が精神・行動ともに封じられ、戦いを余儀なくされる。
 対象者はこの宝具の使い手およびマスターに対しての敗北を認めない限り、この宝具の効果を消せない。

『勝利せよ(エクストラ・ファイナルターン)』
ランク:B+ 種別:対人宝具 レンジ:25 最大補足:3
‐上の宝具の発動中に1度だけ発動できる宝具。
‐ボルバルザークが持つ「エクストラターンを付加する効果」が宝具になったもの。
 マスターがエクストラファイナルターン宣言を行うことで発動する。
‐すべての物・人の位置、背景の破壊状況を上の宝具発動時に戻して、戦闘を最初からやり直す。
 ただし、敵は消費した魔力や受けた傷など前回の戦闘で失ったものを引き継いだまま位置だけが戻り、
 逆にマスターとボルバルザークは全ての要素が全回復した状態で初期位置に戻る。
‐これによりとてつもない有利を得ることができるが、宣言してから30分以内に決着をつけられなかった場合、
 (令呪を使い宝具を強制停止させない限り)マスターは死亡する。

【weapon】
右腕の機械大剣と左手の籠手。そして何よりその巨大さ。
それでも聖杯によって小さなビルくらいの大きさまでたぶん大きさ制限されてる。
竜なのでブレスとかも吐くのかもしれない。

【人物背景】
‐TCG「デュエル・マスターズ」にて登場し、2年もの間環境トップに居座り続け、
 デュエル・マスターズの環境をボルバル一色に染めつづけた伝説のカード。
‐かつての漫画主人公・切札勝舞もアニメなどで使用しており、世界を救ったカードでもある。
‐最終的には当カードゲームで初めて「プレミアム殿堂」と呼ばれる禁止カード措置を取られ、表舞台から隠居。
‐その後は他のカードのフレーバーテキストにて隠居生活を嘆いたり、
 温泉でくつろいでいる姿がカードとしてプレミアムパックに収録されたりした。
‐なお数世代の時を越え「ボルバルザーク・エクス」や「ボルバルザーク・紫電・ドラゴン」などの
 派生モンスターが登場している。このとき、ボルバルザークの名が舞台の星でも伝説になっていることが確認できる。

【サーヴァントとしての願い】
プレミアム殿堂から解放され、再び戦いの世界に降りること。

【基本戦術、方針、運用法】
ドラゴン体はマスターの魔力消費が非常に大きい。
奇襲性などを考慮しても、勝ちが見えた状態でなければドラゴン体にするのはやめておくのが無難。
また、ボルバルザーク自体の能力値はサーヴァントとしては質実剛健、優秀だが飛びぬけてはいないので、
ドラゴン体にすると同時に宝具も発動していくスタイルで望むのが良いと思われる。


【マスター】
櫂トシキ@カードファイト!!ヴァンガード(一期)

【参加方法】
ブラスター・ブレードの台紙にゴフェルの木片が使われていた

【マスターとしての願い】
聖杯への願いはなし。望みは自らの力で叶える。外部の力に頼ることを嫌う。

【weapon】
『「ロイヤルパラディン」のヴァンガードデッキ』
‐高いイメージ力を持つ櫂トシキは今回の舞台を惑星クレイのようなものと認識したため、
 ヴァンガードファイトの要領で自らの身体にヴァンガードユニットをライドさせ、リアガードをコールし、戦うことが出来る。
‐ただしライドできるのはブラスター・ブレードのみに固定とし、コールできるのはグレード2以下に限定。
 カードゲームをするわけではないのでライドとコール以外の行動は基本的に行えない。
‐ライドやコールには魔力を消費する。使いすぎてボルバルザークが出せないなんてことは無いようにしよう。
《主なカード》
‐ブラスター・ブレード
 かつて先導アイチに渡した彼との思い出のカード。
 彼が闇堕ちした時間軸から来たので、櫂が再び所有者となっていた。
 パワーはボルバルザークより数値上では高いが、
 サーヴァント補正がかかっていない分こちらの方が当然ながら弱い。
 ライド時のステータスをサーヴァントのパラメーターに無理やり換算するなら、
 筋力D 耐久E 敏捷E 魔力D 幸運D 宝具E といったところだろう。
‐沈黙の騎士ギャラティン 沈黙なのに叫ぶ。無難に強いのでコールしよう
‐ういんがる かわいいわんこ。後ろに置いて支援させよう
‐幸運の運び手エポナ ガード役。あぶなくなったらコールしよう 

【能力・技能】
‐イメージ力
「イメージしろ」の言葉に代表される高いイメージ力こそが櫂トシキの能力と言えるだろう。
ときにそのイメージ力は対戦相手にまで効果を及ぼす。所謂イメージの押し付け行為。
‐料理へのこだわり
カレー、伊勢エビなどの料理に異常な執着を見せ、手間暇をかけて高水準の物を仕上げてくる。

【人物背景】
‐後江(ひつえ)高校に通う、高校1年生。誕生日は8月28日の乙女座、血液型はA型。
‐ヴァンガードファイトにおいて圧倒的な実力を持つが、冷徹で他人にあまり関わろうとせず、
 大会などには一切出場しないため「孤高のヴァンガードファイター」と呼ばれる。本作におけるもう一人の主人公。
‐かつては明るい性格だったが、友人が不思議な力「PSYクオリア」の影響に飲みこまれていくのを
 止められなかった悔しさからそれを封殺できるほどの強さ、力、勝利を求めるようになった。
‐今回はかつての親友雀ヶ森レンと同様、PSYクオリアに飲みこまれた仲間の先導アイチを正気に戻すため、
 アイチの使っていたロイヤルパラディンのデッキを手にしたあたり(一期40~50話あたり)から参戦。
 聖杯戦争を、またしても彼の前に立ちはだかるPSYクオリアに対抗できる力があるかどうかの腕試しと捉えたようだ。

【方針】
優勝狙い。殺人などは推奨せず、相手に負けを認めさせるかサーヴァント狙いでいく。
優勝できなければアイチやレンをもとに戻せないと考えている。
戦法としては、自らライドして前線に出て、相手に自分をサーヴァントと誤解させてから、
真打ちのボルバルザーク召喚&宝具発動でハメ殺す奇襲作戦を取るのが必勝パターンだろうか。