あの日少年は兄を救う事が出来ず己の無力を痛感してしまった。
 全ての電脳を支配し世界を闇に染める犯罪者達と戦いを続けてきた少年と兄。
 一度は彼らの野望を打ち砕き世界から脅威は去り、彼らは英雄として讃えられた。
 平和な生活を送ってきたが犯罪者達は再度結集し世界と電脳を手中に収めようとしていたのだ。
 少年達は再び仲間と共に立ち上がり犯罪者達と世界のために戦ってきた。

 そして犯罪者達のアジトを突き止め少年達は決着のために乗り込んだ。
 電脳世界だけではなく現実世界にも危害を加えてくる犯罪者達、孤立する少年達。
 一人、また一人数が減っていきながらも少年と兄は親玉の元へ辿り着いたのだ。
 決着を着けるために少年は電脳世界に意識をリンクし――彼らは世界を救うことに成功した。

 崩壊を始める電脳、意識を現実世界に戻すためには始まりの場所に元へ戻らなければならなかった。
 道中を引き返す少年と兄、目の前に辿り着いた時、電脳のバグが少年を引きずり込まんと足掻き始める。
 救ったのは兄、囚われたのは兄だった。
 兄は少年を助けるためにその身を犠牲にしたのだ、そして告げる『ありがとう』と。
 少年は拒んだ。嫌だ、別れたくない。『また』別れたくない、と。
 されど現実は非常。バグは兄を飲み込み少年は現実世界へ意識を戻した。
 救われたはずの少年の心には永遠の闇が蔓り太陽が昇ることはなく、深く深く……否。

 少年は兄の分も生きなくてはならないのだ。
 兄は二度目の死を迎えたが少年は生きている、託された者は夢を描く権利がある。
 彼は変わった。一人で朝起きるようになり、宿題も毎日こなし……立派に成長していた。
 だが……心に空いた穴は塞がらず……その時電脳世界でひとつの噂を手に入れた。

『願望の器『聖杯』を争う一つの噂』を。

 最初は信じることが出来なかった、願いが叶う軌跡なんて存在しない、と。
 ムーンセル・オートマトン、方舟、サーヴァント……裏の世界にも書き込まれていた言葉。
 裏の掲示板で確信した、これは存在するゲーム。触れてはいけない禁忌の遊びだ。
 少年は闇から世界を救った少年だ。こんな闇のゲームを潰す……普段ならそうしていた。
『願いが叶う』この言葉は少年の心に空いた穴を塞ぐように浸透し彼は決意した、参加すると。

 参加の資格を得るために少年は必死に情報を集めた。
 ネットナビがいない今、ハッキングを行うには自力で突破するしか無い。
 彼の父親は世界を代表する科学者だが頼めば確実に止められるため頼ることは出来ない。

 かつて悪の犯罪者だったとある店長に情報を求めるも拒まれた。
 君が闇に染まる必要はない、考え直せ、止める。全てを拒まれた少年は店を後にする。

 最後に辿り着いたのは好敵手とも呼べる存在の元だった。
 彼は同じ小学生でありながら世界を守る国際組織に身を置いている、設備や情報なら一般人の遥か上をいく。
 必死に頼み込むも少年は彼を拒んだ、『俺の知っているお前はこんな奴じゃない』無常にも言葉を吐き捨てる。
 それでも彼は諦めずに頼み込むが少年は彼を殴り……それから彼らが言葉を交わす事は無かった。

 少年は全ての可能性を絶たれ聖杯を諦めざるを得なかった。
 元々在りもしない奇跡に縋るのが間違いであり少年は心を入れ替える、開いた穴を放置したまま。
 そして少年が小学六年生に進学する前日。一つの荷物が送られてきた。

 送り主は不明だが少年宛に送られた、何かのサプライズだと思い少年は箱を開ける。
 そこには見たこともないノートパソコンが一つ。
 もう一つが――聖杯戦争に参加する資格である『木片』が少年に送られていた。







 少年の心臓は鼓動を止めない、それも短い感覚で鼓動を鳴らし続ける。
 何故、誰が、どうして、自分に、どのように、目的は……全てが謎に包まれているが言える事は一つ。
 少年は願いを叶える権利を得た、それさえ分かれば充分でありもう一つの物体、ノートパソコンを立ち上げる。

 睨んだ通りパソコンのスペックは少年が知るどのパソコンよりも圧倒的に高く科学省のレベルを軽く超えていた。
 初めて行うハッキングだが詰まることはなくプログラムを次々と解析していた。
 これなら出来る、兄さんに会うことが出来る……最後のプログラムを解析すると少年の意識は電脳世界に吸い込まれるように消えた。


「……ん、ここは……?」

 見知らな公園のベンチ、少年が気付いた時辺りは暗い夜の野外だった。
 何故自分が寝ていた事も覚えておらず、それまでの行動も思い出せない。
 場所も分からなければ時間も分からず少年は少し考え込む。
 けれど答えは出て来なく、悩んでいてもしょうがないため歩き出す。
 行き先は分からない。まずは人と出会い場所を聞く、それから後の先を考えればいい。

「……っ…………と…………」

 声が聞こえる、それも聞いた事のある懐かしい声。
 場所は見知らなぬが声は知っている。しかし何故この声が今聞こえてくるのか。

「……ね……っ……」

 この声の持ち主を知っている、それも確実にだ。聞き間違える筈がないのだ。
 だが理由が解らない、何故だ、何故この声が、この持ち主が此処に居るのか。
 腕を見れば令呪と呼ばれる紋章が描かれている、奇跡が起きた。

「と……っ……ねっと」

 そんな事は問題ない、少年はこの声が聞ければそれでいい。
 もう一度。二度と名前を呼んで貰えるとは思ってもいなかった、奇跡に涙腺が緩む。
 振り向けば君が居る。会いたかった彼が。聖杯に懸ける願いが叶ってしまう。


「熱斗!!」


「兄さん……彩斗兄さんッ!!」

 そこには永遠の別れを告げた兄が確かに存在していた。


 全速力で熱斗は走る、その先には二度目の死を迎えた自分の兄である彩斗。
 ロックマンと呼ばれるネットナビに再度転生を果たした兄が再び自分を迎えてくれた。
 そのまま抱きついた熱斗は涙を流しながらその感覚を、彩斗の存在を感じていた。
 ネットナビとして長い時間を共に過ごしていたが生の実体として触れ合うのはとても久しい。
 この感覚を忘れたくない、永久に――熱斗の願いはこの瞬間叶っていた。

「僕も会えて嬉しい……嬉しいよ熱斗」

「うぅ……兄さん、俺……辛かった……」

「ごめんね熱斗……でも聖杯戦争に参加何て君は何をしているんだい?
 パパやママには言ってないよね? ……僕が熱斗を守るよ、でもこれ以上無茶は駄目だからね」

 聖杯戦争は遊びなどではない。『戦争』。その文字通りである。
 参加をした熱斗に途中退場何て存在しなくこれから待っているのは血を流す戦争だけ。
 彩斗は熱斗に辛い想いを味あわせたくは無く再び彼を守るために戦う決意をする。

「ごめんなさい兄さん……でも俺も戦う……俺だって兄さんのマスターだ……逃げるわけにはいかない!」

「熱斗……分かった。なら僕も再びロックマンとして君と一緒に戦う……よろしくね! 熱斗くん!!」 

 この言葉が熱斗を再びネットバトラーとして覚醒させる。
 この電脳は自分も一緒だ、もうロックマン一人を危険に遭わせる必要がない。
 出来る、今度は一緒に。もう一度兄さんと一緒に戦える。

「よろしくなロックマン! やるからには頂点を目指そうぜ!」

 願いが叶った少年は前を向く。
 その行き先は頂点、兄さんとなら何処までだって進める、誰にも止められない。
 この思い――兄弟の絆は誰にも断ち切れない。





【マスター】光熱斗@ロックマンエグゼ

【参加方法】ハッキングを行い自らの意思で参加(木片は何処からか送られてきた)

【マスターとしての願い】ロックマンと共に優勝を目指す。願いはそれまでに決める。

【weapon】ペット……PErsonal Terminal(パーソナルターミナル)の略で、いわゆる携帯情報端末。
          普段はネットナビが入っているのだが聖杯戦争ではロックマンがサーヴァントのため中にナビはいない。
          宝具の連携でバトルチップの転送やナビカスを起動することにより戦闘をサポートする。

【能力・技能】小学六年生の少年に特別な力はない。だが人一倍の勇気と類稀なるバスティング能力を持っている。  
       少年ながらロックマン共に何度も電脳世界と現実世界を救ってきた。

【人物背景】科学者の父を持ち双子の兄がいたが心臓病で他界してしまう。後にネットナビであるロックマンが兄の人格データを受け継いでいると知る。
      悪の組織であるWWWや秘密結社ゴスペルと戦いながら何度も世界を救い、その存在は英雄として讃えられている。


【方針】ロックマンと共に優勝(ゲームの意味合い)を目指す。



【クラス】アーチャー

【真名】光彩斗@ロックマンエグゼ

【パラメータ】筋力D 耐久D 敏捷C 魔力C 幸運C 宝具A+

【属性】秩序・善

【クラス別スキル】
 対魔力:E…魔術に対する守り。無効化は出来ず、ダメージ数値を多少削減する。
 単独行動:B…マスターからの魔力供給を断ってもしばらくは自立できる能力。ランクBならば、マスターを失っても二日間現界可能。

【保有スキル】
 連携攻撃:C…複数人による攻撃に長けていることを示す能力。他の人物と同時に行う攻撃判定に有利な修正を得る。
 魔力放出:C… 武器、ないし自身の肉体に魔力を帯びさせ、瞬間的に放出する事によって能力を向上させる。
 心眼(真):D…修行・鍛錬によって培った洞察力。窮地において自身の状況と敵の能力を冷静に把握し、その場で残された活路を導き出す“戦闘論理”。
 ラーニング:EX…戦闘において撃破した相手の有用なスキル及び技を自分の物にする。その媒体はバトルチップ。また、共鳴を超す場合もある。

【宝具】

『永遠に断ち切れぬ兄弟の絆(バトルオペレーション)』
 ランク:E~A+ 種別:対軍宝具 レンジ:??? 最大捕捉:???
 兄弟の絆を限界まで同調させた宝具。
 その能力はマスターの持つPETを通してサーヴァントに武器や癒やしを供給する。
 バトルチップの種類によってランクが変わり攻撃、回復、守りなど多様な戦術を可能にする。
 宝具のランクが上がる程実体にラグが発生する。
 またマスターとフルシンクロと呼ばれる同調状態になってしまった場合は受けたダメージがマスターにも連動する危険がある。

『電脳にて培った戦闘の記憶(スタイルチェンジ)』
 ランク:C 種別:対人宝具 レンジ:― 最大捕捉:―
 戦闘の積み重ねで得た経験を元に己の姿を具現化する宝具。
 変身するスタイルは以下の通り派生する。

 『ヒートガッツ』…攻撃に特化したスタイル。筋力のランクが一段階上昇し炎の属性を操ることが出来る。
 『アクアカスタム』…戦術に特化したスタイル。宝具による魔力減少を普段よりも少くする事が可能。水属性の力を得る。
 『エレキブラザー』…思い出に馳せるスタイル。幸運のランクが一段階上昇し電気属性を帯びた攻撃が可能になる。
 『ウッドシールド』…防衛に特化したスタイル。耐久が一段階上昇。シールドで相手の攻撃を軽減、無効、跳ね返すことが可能。木枯らしを発生させることも可能。
 『エレキグラウンド』…大地の恩恵を受けるスタイル。耐久が一段階上昇。全ての地形で全力を出し切ることが可能となる。電気属性を帯びた攻撃が可能になる。
 『ヒートシャドー』…暗殺に特化したスタイル。敏捷が一段階上昇。空中を蹴ることが可能になり炎の力を得る。


『戦場の果てに共鳴する魂(ソウルユニゾン)』
 ランク:B 種別:対軍宝具 レンジ:― 最大捕捉:―
 心の優しい兄弟の愛を体現した宝具。
 マスター、サーヴァント問わず戦いを通して共鳴した相手の力を自分の物にする力。
 共鳴すると己の姿も相手を意識した姿になり一部力が開放される。

【weapon】
『ロックバスター』…ロックマンと呼ばれる英雄の代名詞。溜める事で強力な一撃を放つ事も可能。

【人物背景】
 熱斗と共に双子の兄として生まれるが心臓病により幼いまま他界してしまった。  
 その後科学者である父の尽力もあり人格データをネットナビに移植し世界初の心を持ったナビとしてロックマンに転生を果たす。
 その後はネットナビとして弟である熱斗のサポートを行ってきた。

【サーヴァントとしての願い】
 熱斗を安全に現実世界へ生還させる。

【基本戦術、方針、運用法】
 マスターの指示に従うか兄として弟を守る。戦闘では熱斗から供給されるバトルチップを中心に戦う。

【備考】
 イメージとしてはロックマンエグゼ3終了後。

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最終更新:2014年07月08日 14:06