ここでは、SS作者の雑談板メンバー・「さらす」の作品である、M高校シリーズについての設定を纏めています。
中学生の少年、棗香車は将来に漠然とした不安を抱きながらも平凡な生活を送っていた。
しかしそんな彼の前に自らを「獲物」と称する女子高生、柏恵美が現れる。
柏は棗が起こしていた過去の事件との関与を匂わし、『自分を殺しに来い』と誘惑するも、棗の友人である柳端幸四郎に阻まれる。
だが既に棗は柏によって自身の内にある殺人衝動を自覚し、柏を理想的な『獲物』として殺害する意思を固めていた。
一方で柏によって同じく影響を受けた少女、黛瑠璃子は柏を唯一無二の親友として守る決意をする。
彼女は様々な理由で柏を守るために動く者たちと共に、『狩る側の存在』として覚醒した棗と戦うこととなるが……?
黛瑠璃子が柏恵美と出会うより前、彼女は孤立しながらも特に起伏のない日常を送っていた。
しかし柏との出会いにより、黛は自分の中の変化を認める。そんな中、彼女の前に閂香奈芽と名乗る下級生が現れ……
五月。進学校であるM高校に、新たな生徒会長が就任した。だが、新生徒会長である閂香奈芽は、全校生徒の前で、挑発とも取れる言動を放つ。
そして生徒の一人である少年、萱愛小霧は閂に興味を持たれる形で彼女と関わっていくこととなる――
柏恵美の願望を黛瑠璃子が打ち破ってから二年弱が経ったころ。黛と共に柏を守ってきた少女、樫添保奈美は、二人の友人との距離を測りかねていた。
しかしそんな悩みを抱える樫添の前に、謎の人物が現れる。その名も――
中学二年生の男子。小動物系の見た目で引っ込み思案ではあるが、『自らが決して被害を受けない状況で相手を一方的に殺害したい』という、「狩る側」の思想を持つ。その思想は本編の1年前に既に片鱗を見せており、弟の仇という建前で、小学生の少女を殺そうとしたことがある。
柏恵美と接触したことで自らの願望を完全に自覚し、友人の柳端をも欺く形で柏殺害に向けて動き出す。
人を殺すことに一切の躊躇が無く、初対面の相手でも自身の障害になると判断した場合は容赦なく殺害しようとする。
黛曰く、『相対した時に容赦なく死を感じさせる存在』。
高校一年生の女子。細身で器量が良いが、常に浮かべている微笑のせいで、美人という印象より底知れない不気味さが先行する。
『獲物』、『狩られる側』を自称し『狩る側』に殺されることを強く願っているが、それは過去の境遇から僅かな希望に縋るより圧倒的な絶望に浸りたいと考えているためである。
常に芝居がかった独特な口調を使い、後に友人となる黛すらも初対面では警戒心を露わにしていた。ただしこの口調は過去に巻き込まれた事件の影響によるものであり、本人曰く、『体質』。
過去に見た出来事から、後輩にあたる棗香車を「狩る側」と見出したことで、棗の前に名乗り出て、彼が自分を殺すように暗躍する。
基本的には「狩られる」ことを最大の目的としているが、友人である黛には、それなりの思い入れがある。
高校二年生の女子。本シリーズにおけるもう一人の主役。
自分という人間の薄っぺらさを嘆いていた時期に、後輩である柏恵美と出会い、興味を持つ。
彼女の特異な思想に驚きながらも、二人で過ごす時間が紛れもなく友人同士の関係だということに気づき、次第に彼女の中で柏がかけがえのない存在になっていく。
柏が目的のために自分の前から姿を消し、狩られるために動き始めてしまった時も彼女を求めるが、柏本人に拒絶されてしまう。
だがそれでも、自分が初めて興味を持てた彼女を「狩る側」の手から救い出すことを決意する。
基本的に特別な力を持たない一般人ではあるが、柏絡みの事案になると驚異的な行動力と判断力を発揮する。萱愛曰く、『超能力レベル』。
中学二年生の男子。棗の友人。先を気にしすぎる性格で、焦りに押しつぶされそうになっていたところを棗の言葉で救われて以降、友人となる。 だが、柏の出現により棗が「狩る側」の思想を持ち始めたことにより柏を敵視。棗に近づけさせないようにする。
『柏の安全を守りたい』との目的で動く黛と手を組み、柏を敵視しつつも彼女を守るために奔走する。
しかし彼が柏を守るのはあくまで棗を殺人犯にしたくないためであり、いよいよとなれば柏を自らの手で殺害することも視野に入れている。
だが、柏曰く彼は「狩る側」とはほど遠い存在であり、彼自身も殺人は本当に最終手段だと考えている。
棗に対しては盲目的とも言える信頼を寄せており、彼が柏を殺害しようとするのも、全て柏の影響だと思っている。
高校一年生の女子。柏が部長を務める「歴史研究部」に入ってきた新入部員。
当初は友人が自殺した遠因を作った柏への復讐のために動いていたが、当の柏本人にその行動を『ただの保身』と看破される。
その後は自分を諭した柏を助けるために黛と行動を共にし、戦いに身を投じることとなる。
棗と柳端のクラスメイト。棗の死から一年半後にM高校に入学する。
母親の教育と刑事であった祖父への反発心から、『他人を助けること』を自分を使命としており、友人である唐木戸を失ってからはその想いがより強くなっている。
一般的な倫理や道徳に外れた行為を激しく嫌い、正義感が強い性格ではあるものの、自分の理解を超えた思想・言動を都合よく解釈してしまう悪癖がある。
M高校入学時に出会った柏の現状を目にし、彼女を救うために奔走するが……
萱愛と同学年の女子生徒。学校内で噂になっている柏に興味を持ち、萱愛ともよく話す間柄。
将棋部の主将。全国大会にも出場する実力者で、部内では唯一、真剣に活動をしている。
柏と同学年の生徒。校内でも危険人物とされている。
M高校の数学教師。眼鏡と長い前髪が特徴。
『向上心や努力する気の無い生徒は見捨て、見込みのある生徒だけを優遇する』という自身の主張を平然と語り、校内でも異色な教師とされている。
その思想から、萱愛とは激しく対立することになるが、その過程で彼を諭すような言動をする。
柏の卒業後に謎の死を遂げるが……?
柏の一学年下、萱愛と柳端の一学年上の女子生徒。
顔の右半分を覆い隠すほどに長い前髪を含め、重たげな黒髪を持ち、露わになっている左目にもクマが浮かんでいる。その見た目の印象に違わず、「ひひひ……」と不気味な笑い方をする。
『特殊』な人間に強い興味を示し、校内でも有名な柏と彼女を守り続ける黛に興味を持ち、黛の前に現れ彼女を翻弄する。
柏の卒業後は、M高校の生徒会長に就任し、とある人物と行動を共にすることとなる。
樫添の友人だった女生徒。沼田のストーキングに心を病み、自殺する。
黛と同学年の男子生徒。粘着質な性格であり、心身共に不潔で、強い独占欲がある。
柏に言い寄るが、彼女の異常性を垣間見て、精神に異常をきたす。
萱愛のクラスメイトである男子生徒。プライドが高く、その一方で自分の実力の低さを認めない性格。
柳端の従兄。受験勉強のストレスから引きこもりになっていたが、柳端が連れてきた柏の思想に共鳴し、彼女と棗に協力する。
M高校の社会科教師。若手ではあるが、快活な性格で生徒の話を親身に聞いている。
23歳の警察官。交番勤務。警察官という立場で相手を油断させて、人気のない場所に連れ込むという手口で殺人を繰り返していた。
G県警察の老齢の刑事。階級は警視。
非常に無口で、捜査の指揮は部下である真田平一に任せていることが多い。
自身の上司である、県警本部長・柏恵介の死を調べるが……
斧寺の部下。階級は警部補。
必要以上に言葉を発さない斧寺に代わって、彼の命令を部下に伝える役目をしている。
柏恵美の父親。県警本部長。
本編より十年前に謎の死を遂げる。
柏恵美の母親。柏恵介とは歳が離れている。謎の死を遂げる。
柳端と閂がアルバイトをしているレンタルビデオ店のアルバイト店員。
美人ではあるが高慢な性格で、自分以外の全ての人間を見下し、自分だけは問題を起こしても許されると考えている。
綾小路の元恋人。破局した後も、未だに綾小路に付きまとっている。
閂香奈芽の叔父。年齢に似合わない派手なファッションをしており、言動も軽薄。
姪である閂に対しては愛情の欠片もなく、保身のために利用することまで考えている。
閂香奈芽の母親。実の弟である亜流川の借金の保証人となっている。