赤木信夫&キャプテン ◆CKro7V0jEc



 ────かつて、地球の平和と、人々の笑顔を守り続けてきた、34のスーパー戦隊。
 ────宇宙帝国ザンギャックとの戦いで失われたその力を受け継いだのは、とんでもない奴らだった!



 ……というのは、テレビの中だけのお話。



◆  ◆  ◆  ◆  ◆



 少し昔、テレビから幽霊が這い出してくる映画があった。髪が長く、白い衣服に身を包んだ綺麗な女性であるが、井戸に突き落とされて死んでおり、爪は剥がれ落ちている。
 この赤木信夫という男もそれを怖がった一人だ。
 しかし、同時に、その映画を見た時には「テレビの中から人間が這い出してくる」というシチュエーションに、どこか夢も抱いていた。
 テレビの中の世界に憧れていた。
 テレビの中にいるヒーローが、自分と出会う日が来ないかと思っていた。

 ……そう、彼はオタクだ。
 それも、スーパー戦隊オタクだ。土曜にどれだけ夜更かししても、日曜の朝7時半までには必ず目が覚めてしまう体質なのである。
 そんなスーパー戦隊オタクである彼は、いつかテレビの中から抜け出してきたヒーローと会うのが夢だった。
 ついでに、『にじよめ学園ズギューーン葵』というテレビアニメの少女がテレビから抜け出てくるのも密かに期待しているが、やはり今でもスーパー戦隊と会いたい。

 ──29年間、ずっと抱き続けた、スーパー戦隊への熱い想いが彼の胸の中にはあった。
 子供の頃からの夢のヒーロー。
 スーツアクターも子供に夢を与えるヒーローだが、それよりもっと会いたいのは、正真正銘のテレビの中のヒーロー──。

 そして、それが妄想世界で叶ったのは、また別の話。
 確かに、非公認戦隊アキバレンジャーとしてスカウトされた彼は、あらゆる公認戦隊の大それた力を受けてきた。

 特捜戦隊デカレンジャー。
 轟轟戦隊ボウケンジャー。
 鳥人戦隊ジェットマン。
 五星戦隊ダイレンジャー。
 恐竜戦隊ジュウレンジャー。
 忍風戦隊ハリケンジャー。

 あらゆるスーパー戦隊の力を受け、今も赤木信夫はこうして、この世界で非公認戦隊アキバレンジャーのアキバレッドとして活躍している。
 そう、それは全て──「妄想」という電脳世界での話だ。
 しかし、今は、どういうわけか、この現実に存在するはずの空間──赤木自身の部屋で……赤木は、テレビの世界のヒーローと対面している。

「……そうか、つまり、お前にとって俺たちゴーカイジャーはテレビの中のヒーローってわけか」

 こうして、よりによって現実世界で海賊戦隊ゴーカイジャーのゴーカイレッド、キャプテン・マーベラスが自分の部屋にいる事がどういう原理であるのか、赤木信夫にはわからない。
 また、葉加瀬博世の常軌を逸した発明による物だろうか。


「ええ、そういう事です」

 ともかく、赤木も思わず萎縮して、こうして敬語を使って返事をする事になった。
 サーヴァントが堂々と立っているのに対し、マスターはかしこまって正座、というのも珍妙な光景だろう。

 赤木としても、「ウル●●●●●イア」の劇場版とかで、まあこういうシチュエーション自体はたまーに見かけるし慣れてもいるので、それを受け入れるくらいはできる。
 それが現実の物となった事に、原理への疑問点を上回る嬉しさが赤木には込み上げている。
 どうやら、マーベラスを演じた小澤亮太さんではなく、本物のマーベラスらしい。ドッキリカメラでも、何でもなく、目の前にいるのは本物のマーベラスだ。

 部屋中に、スーパー戦隊のフィギュア、DVD、ロボット、ポスター……などなど、スーパー戦隊グッズが置かれているので、それを見て、このキャプテン・マーベラスの方も自分がこの世界で「役者」に演じられている事を理解した。
 ゴーカイジャーの姿もその中には見受けられる。モバイレーツの玩具、レンジャーキーの玩具、ゴーカイジャーのフィギュア……。
 自分たちの所有物、宝具の模造品がこうして置いてあるのは不思議な感覚であった。
 何より、マーベラスが怪訝そうに見つめているのは目の前の赤木信夫の事である。

「なんだか、お前……」
「鎧みたいな奴だな、……って言いたいんですよね?」
「……」

 マーベラスは自分が言いたかった事を赤木に先に言われて押し黙った。
 伊狩鎧。マーベラスの仲間たちゴーカイジャーで唯一の地球人であり、ゴーカイシルバーの異名を持つ男。
 自分たちの地球を守って来たスーパー戦隊について、殆どオタクと言っていい知識を有している。

 赤木はその男をテレビで知っている。
 歴代スーパー戦隊への愛が強い、という性格設定は、赤木ら戦隊ファンにとっては共感しやすい立場のキャラクターである。
 赤木を見て、マーベラスがそいつを思い出す事も計算ずくだ。赤木の口から彼の名前が出てくるのは仕方のない事だろう。

「とにかく聖杯の話だが、俺もそれを手に入れる方針で行く。ただ、俺は普通に聖杯を手に入れるつもりはない」
「海賊らしく、手に入れるんですよね?」
「さっきから、人の台詞を横取りするなッ! 全部見透かされているようで腹が立つ……」
「あ、すみません……」

 赤木には、マーベラスの次の台詞がわかってしまうのだから仕方ない。
 テレビでマーベラスを見ていたのだから、彼がどんな事を言うのか感づいてしまう。

 マーベラスが聖杯を欲さないわけがない。
 しかし、同時に、マーベラスが「聖杯を正攻法で得ようとする」という手段を取るわけがない。
 彼は海賊。奪うのが上等。つまり、彼はサーヴァントを倒さず、聖杯の現在の持ち主から奪い取り、お宝として回収するのが目的だ。

 海賊である自分が自分の台詞を盗まれた事を、マーベラスは相当不快にも思っていた。
 だが、やれやれと肩を竦めて、すぐに落ち着いた。

「信夫。俺が考えている事がわかるなら、これ以上の説明はいらないな」

 赤木も、まだ話してほしいところはあるが、聖杯戦争に関するルールはおおよそ頭に入っている。


 ──赤木には、願いはない。
 いや、願いなんてもう、ここにマーベラスが来た時点で叶ったような物なのだ。
 確かに、赤木もできれば歴代スーパー戦隊全員に会いたいくらいだが、それでも、そんなに大きな欲を持つつもりはない。

「……じゃあ、俺の次の台詞は取るなよ」
「あっ、はい」

 最低でも、この台詞だけは自分の口から言ってやろう、と。
 マーベラスはこの狭い赤木の部屋で叫んだ。




「よし、今回も……派手に行くぜっ!!」







【クラス】
キャプテン(エクストラ)

【真名】
キャプテン・マーベラス@海賊戦隊ゴーカイジャー

【パラメーター】
筋力D 耐久D 敏捷D 魔力E 幸運A 宝具B

【属性】
混沌・中立

【クラススキル】
対魔力:E
 無効化は出来ない。ダメージ数値を多少削減する。

【保有スキル】
騎乗:B
 魔獣・聖獣ランク以外を乗りこなす。
嵐の航海者:A+
 「船」と認識されるものを駆る才能を示すスキル。
 船員・船団を対象とする集団のリーダーも表すため、軍略、カリスマを兼ね備える特殊スキル。

【宝具】
『戦隊魂を受け継ぐ器(モバイレーツ)』
ランク:B 種別:対人宝具 レンジ:1~99 最大補足:1人
 キャプテン・マーベラスをゴーカイレッドや歴代レッドへと変身させる為の携帯電話型の変身道具。
 『赤き戦士の魂の鍵(レンジャーキー)』を通す事によって、マーベラスを深紅のスーツに包む。
 これを使用し、ゴーカイレッドやその他の歴代レッドに事で一時的にパラメーターが底上げされ、スキルが付与される事がある。

『赤き戦士の魂の鍵(レンジャーキー)』
ランク:EX 種別:対人宝具 レンジ:1~99 最大補足:1人
 35のスーパー戦隊の力を封じ込めた鍵。
 これを『戦隊魂を受け継ぐ器(モバイレーツ)』に挿しこむ事によって各レッド戦士に変身可能。
 各スーパー戦隊のレッドは、変身時に各々異なる能力やスキルを保有しているが、変身した際にそれを発揮する事ができる。
 本来はレッド戦士以外のレンジャーキーも使用できるが、今回はゴレンジャー~ゴセイジャーのレッド戦士(タイムファイヤー、姫シンケンレッド等除く)の鍵しか召喚できない。
 史実では本来の力の持ち主に返還されているとされるが、後の大戦で再度使用したという説もあり、今回はそれに基づいている。

【weapon】
  『戦隊魂を受け継ぐ器(モバイレーツ)』、『赤き戦士の魂の鍵(レンジャーキー)』

【人物背景】
 海賊戦隊ゴーカイジャーのレッド。
 かつては宇宙をまたにかける「赤き海賊団」の一員であり、アカレッド、バスコと共に旅していたが、バスコの裏切りによって壊滅し、ゴーカイガレオンを受け継いで新たな仲間を探し始めた。
 その目的は、「宇宙最大のお宝」を得る事であり、そのために四人の仲間を見つけて地球へ。
 宇宙でかき集めたレンジャーキーを使って歴代スーパー戦隊の戦士の姿へと変身しながら、宇宙帝国ザンギャックと戦う。
 後に地球における35番目のスーパー戦隊として認められ、レジェンド戦士の一員となった。

【サーヴァントとしての願い】
 聖杯を「お宝」として持ち帰りたい。
 願いはいくらでもあるが、欲しけりゃ自分で手に入れる。

【方針】
 正攻法ではなく、「海賊らしく」聖杯を得る。


【マスター】
赤木信夫@非公認戦隊アキバレンジャー

【マスターとしての願い】
 不明。

【weapon】
 モエモエズギューーン

【能力・技能】
 妄想空間でアキバレッドへと「重妄想」する事ができる(強い意志や想いを発現させて現実世界で変身する事もある)。
 スーパー戦隊に関する知識やオタク知識が非常に深く、シリーズについてやたらと細かい部分まで把握している。

【人物背景】
 秋葉原にある「S.P.D.(佐々木ポンポコデリバリー)」の運送員。実家暮らし独身29歳。
 重度のスーパー戦隊オタクであり、歴代スーパー戦隊を誰よりも愛する男。
 ある時、秋葉原にある「戦隊カフェひみつきち」店長の葉加瀬博世によって、モエモエズギューンを受け取った赤木は、青柳美月・萌黄ゆめりあと共に「非公認戦隊アキバレンジャー」として「邪団法人ステマ乙」と戦う事になった。
 邪団法人ステマ乙との戦いは全て妄想世界での出来事であり、現実世界には何の影響も及ぼさない、いわば仮想的な闘いだったが、その戦いはやがて現実世界を巻き込む戦いに発展していく。
 その果てに、彼らは、「八手三郎」というあまりにも巨大な存在が彼らの運命を操っている事に気づき、テコ入れや打ち切りへの反逆を開始した。
 二期では八手三郎による記憶の改変が行われており、最終回の内容などがねつ造されている。
 二期最終回で太陽に突っ込んで死亡したはずだが、今回また記憶の改変が行われているようで、自分が死んだ事も八手三郎の事も完全に忘れてまた普通に秋葉原で暮らしている。

【方針】
 キャプテンと共に、正攻法ではなく、「海賊らしく」聖杯を得る。

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最終更新:2014年12月23日 06:06