夢現聖杯儀典:re@ ウィキ

斎祀&ライダー

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匿名ユーザー

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…………ガシュン…………ガシュン…………ガシュン…………。

夜の廃工場に無機質な音だけが木霊する。

ピピピピピピピピピピピ…………。

何かを探しているのだろうか。キャタピラ音と共に車体の頂上部にある髑髏が周囲を見回している。
灰色を基調としたボディに、前輪後輪に分かれたキャタピラ、そして殺戮を象徴するかのような頭部の髑髏。
そう、『それ』は戦車だった。その名も『電光戦車』。

月明かりだけが頼りになるような暗さにも関わらず、電光戦車は器用に障害物を避けて廃工場を進む。
ただ、何とはなしにここへ来たわけではない。ある任務を遂行するためだ。
もちろん、電光戦車は意思を持っていない。ゆえに電光戦車は与えられた任務なしには行動しない。
その任務とはいたって単純、「対象の抹殺」である。

「あ……ああ……」

その対象は人間の男であった。鉄橋の残骸の山に隠れており、恐れからか自然と吐息に震え声が混じってしまう。
男は残骸の隙間から様子を窺う。恐怖の象徴となる電光戦車がもうすぐで通り過ぎようとしているところだ。
頼む、このまま気付かないでくれ…!そんな思いも空しく、頭部の髑髏がこちらを見たときに、視線が合ってしまう。
するとどうだろう、無機質であった電光戦車の髑髏の目の部分が突如光り出した。殲滅対象を捕捉したのだ。

「う、うわあああああ!!!」

男は居ても立ってもいられず、残骸を押しのけて電光戦車から少しでも遠ざかろうと走り出す。
しかし、電光戦車はそこから1センチも動くことなく髑髏の目から光線を発射。
人間が足で逃げようとも電光戦車の兵器から逃れられるなど不可能だからだ。
自律駆動で動く電光戦車はそれを理解し、自我を持たないながらも戦闘や破壊行動においては適切な判断を下していた。
男はレーザーに背中から胸部を貫かれ、倒れる。それから二度と動くことはなかった。

『キュラキュラキュラ…………』

電光戦車は周囲の生命反応がなくなったことを確認し、主の元へ帰るため、踵もといキャタピラを返す。


◆ ◆ ◆


「……おい、戦車。遅ぇんだよ。たかがNPC1人狩るのにどんだけ時間食ってんだよ?ああ?」
『………………………』

廃工場を出ると、そこに待っていたのは電光戦車の、電光戦車達のマスター。
任務から帰還して早々に吐かれた言葉に対し、電光戦車は何も反応しない。
マスターの傍らには他の電光戦車2体が待機しており、マスターはその内の一体に腕を組みながらもたれている。
長く降ろした白めの金髪や白い肌に白一色の服装。白で固めた容姿が特徴的なマスターであった。
――彼の名は斎祀(さいき)。人外種族『遥けし彼の地より出ずる者達』のリーダーである。

電光戦車が複数体いるのには斎祀のサーヴァントの宝具が関係している。
『電光戦車師団』。電光戦車を無尽蔵に作り出す宝具。
ただでさえ強力な能力を持つ自律駆動の電光戦車を量産できる強力なものだ。
現在は3体存在し、その内の一体が先ほどのNPCの抹殺に駆り出された。
もっとも、斎祀が『俺の顔をジロジロと見てきやがったから』という理不尽な理由により命じたものだが。

「はぁ…お前って本当にポンコツなのな」
『…………』
「いざ『殺れ』って命令したらトロいキャタピラであのカスNPCを追うわ、コイツ含めお前らが出す音はうるせーわ…」
『…………』

斎祀は自らが背を預けている電光戦車を親指で指しながら戦車を罵倒し、
それを戦車達は無言で聞き続ける。

「…ポンコツっつーか、ゴミだな。いや、ゴミの人間共に作られたんだろうからお前らゴミ以下だ」

戦車達は自我を持たず、反発しないのをいいことに、斎祀は自分の気分を晴らすためだけに戦車達を貶す。

「…なぁ、そこの戦車。……自爆しろよ」
『……………』
「聞こえなかったか?自爆しろっつったんだよ。てめぇら1体いなくなったってどうってこたぁねぇからよ。ゴミ以下でも俺のサーヴァントなんだからそんくらいできんだろ?」

任務を終えて帰還した電光戦車に下される、無慈悲な命令。
…しかし。『それ』は十数メートル下がり――

『ピ……ピピピピピピピピピピピ………』

それを実行に移す。自我や感情を持ち合わせていない戦車達にとって、斎祀の命令は絶対。――故に。
自害の指示ですら令呪なしで従ってしまうのだ。

『ピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピ…』

けたたましい機械音の後に、轟音と共に電光戦車は爆発した。
自爆の前に斎祀に爆発が及ばぬよう後退したのはマスターに従い、守ることを最優先とする自律駆動機能が下した判断だろうか。

「…最期までうるせェんだな、こいつら。まぁ、自爆して特攻できたり何でも言うこと聞く分、無界みたいな無能なヤツらよりはマシか。ゴミ以下なのは変わりねぇがな」


◆ ◆ ◆ 


――――正体不明の種族、『遥けし彼の地より出ずる者達』。
彼らは完璧な人外であると共に、人智を超える能力を持っていた。
斎祀は自らの種族が人間を支配し、全生物の頂点にあるべきことを信じて疑わなかった。
しかし、稀有な惑星配置状況を利用した時間跳躍現象により過去から現代に降り立った彼が見たのは、人間の影から隠れてひっそりと生きる、落ちぶれた同族の姿だった。

こんな歴史は間違っている。自分が頂点たる玉座に座していない未来など。
きっと未来に至る過程で同族が些細なミスを積み重ねたに違いない。
もう一度過去に戻り、歴史をやり直さねばならない。

そう考えた斎祀は格闘技大会・KOFを利用し、地球意思・オロチを復活させ、
その力で時空の扉を開いて過去へ戻り、未来を自由自在に作り変えようとしたのだが……。

気が付けば聖杯に招かれ、偽りの冬木市にいた。
斎祀の記憶が一部欠落した状態で。
記憶がどうも曖昧なのだ。斎祀はその企みを実行に移そうとしたのは覚えているが、それがどんな結果になったのかは全くの不明瞭。
成功したかもしれないし、失敗したかもしれない。
KOFが順調に進んでいたかどうかも覚えていない。

だが、確実なことが1つある。

(人間の虫ケラ共がまだ這いずり回ってやがる)

それは未だに未来を作り変えることは叶っていないということだ。
しかも、時空の扉はこの世界にはなく、悲願を遂げるためには聖杯を手にするしかないという。
斎祀は内心で舌打ちをしながらも、焦ることはなかった。
聖杯をこの手で勝ち取ればいい。
参加者も大抵は人間だろう。仮にオロチ四天王のような人外がいたとしても――

(そんな人間と変わらない連中がこの俺に敵うわけがない)

――そんな斎祀に与えられたサーヴァントは、量産できる戦車だった。
ライダークラスのサーヴァントらしい。操縦士はいないようだが、そんなことなど斎祀はどうでもよかった。

無駄な意思がなく、何でも言うことを聞いて、おまけに量産できる。

――本当に使えそうな駒だ。そのことだけが斎祀にとって重要だった。


◆ ◆ ◆


……


…………


……………………


………………………………


…………………………――ナイ。


………………………――クナイ。


……………………シニタク………ナイ。


電光戦車。かつて秘密結社ゲセルシャフトで量産された『それ』は生きた人間…それも負傷して戦えなくなった兵を材料として開発されていた。
電光機関の電力源にするために四肢を、内臓を。自律駆動を実現するために脳を。
禁断の決戦兵器・電光戦車を製造するために幾千もの人がその犠牲となった。

ある者は家族との再会を願い。ある者は神による救済を願い。
ある者は材料にされることに憤り。ある者は耐えがたい激痛に嘆いた。

自分たちを駒としか思わない傲慢な斎祀に召喚されたサーヴァント・ライダー。

その正体は電光戦車などではない。

その幾千人の負の感情―――嘆き、悲しみ、憎しみ、絶望―――それ自体がライダーというサーヴァントなのだ。

誰もライダーの正体を知ることはない。電光戦車の自我が目覚めるその時まで―――。

【クラス】
ライダー

【真名】
???@アカツキ電光戦記

【パラメータ】
筋力- 耐久- 敏捷- 魔力B 幸運E 宝具A

【属性】
秩序・悪(暴走によって変動する可能性有り)

【クラス別スキル】
対魔力:E
魔力に対する守り。無効化はせず、ダメージ数値を多少軽減する。

騎乗:-
ライダークラスにあるまじきことだが騎乗スキルを所有しない。
厳密にはライダーは乗っているというよりも『組み込まれている』からである。

【保有スキル】

攻性防禦:B-
敵の攻撃を無効化できる技術。
身体の周囲へ『電光機関』からの電磁波と電気による衝撃波を瞬時に放つことで、敵の攻撃と相殺させる。
うまくいけば敵の隙を作ることができるが、タイミングを外せば自分が隙を晒すことになるので注意。

無我:A
ライダーは自我を持たず、マスターの指示に疑問を抱かずただ従う。
言葉すら発することはなく、聞くことができるのは『電光戦車』の駆動音だけである。
Aランクならば令呪なしでNPCの殺害や自害を実行してしまう。
また、あらゆる精神干渉を完全に無効化する。
しかし、自我に目覚める例が多数報告されており、その場合このスキルは失われる。

単独行動:B
マスター不在・魔力供給なしでも長時間現界していられる能力。ランクBならば二日程度活動可能。

【宝具】

『電光機関』
ランク:B 種別:対人宝具 レンジ:―― 最大捕捉:1人
電光戦車に組み込まれている特殊機関。
装備することで無尽蔵に電気を生み出すことができる。
チベットの秘境で発掘された古代文明アガルタの超科学技術を元に開発された。
強力な電力で敵の装甲を溶かし、発生する電磁波により電子兵器を一切無効化する。
他にも高圧な電気をレーザー状に放ったり、機体の周囲に電気を放電するなど、様々な応用が可能。
電光機関の電気は生体エネルギー(ATP)を変換して得られるものであり、
使い続けた者は死んでしまうという欠点を持つ。
いわば人間爆弾、つまり一種の特攻兵器であり、動物兵器であるといえる。

『電光戦車師団』
ランク:A+ 種別:対軍宝具 レンジ:1~100 最大捕捉:1~50人
「禁断の決戦兵器」の異名を持つ自律駆動の戦車『電光戦車』。電光機関を動力源とする。
ゲセルシャフトで量産され、世界侵攻の切り札として運用されたそれらの存在自体が宝具となったもの。
魔力が許す限りマスターの意思で量産することができるが、
数が多すぎると魔力が行き届かず、パラメータの低下は免れない。
電光戦車が一体でも残っている限り、ライダーが消滅したことにはならない。
電光機関による強力な電磁波での電子機器の無力化、光学兵器での誘導弾の撃墜が可能であり、
戦争形態を戦車が最強であった第一次世界大戦前後まで逆行させる事ができる兵器である。

以下のパラメータを持つ。
筋力A 耐久A 敏捷E

電光機関の動力源は生物の生体エネルギーである。自立駆動で動く戦車へのエネルギー源は電光機関の電気を生み出す『人間』でなければならない。
……そう、電光戦車は生きた人間を材料にして開発されていたのだ。
戦争で負傷した兵が主に材料に使われており、1機体につき数人の人間が電光戦車に組み込まれている。
自律駆動のために脳までもが材料にされている。
前述のように材料の人間達の人格が暴走し、自我を持つことがあるが、複数人の人格が混濁した状態で、理性を保っているとは言い難い。
ゲセルシャフトで量産される以前に大戦末期に軍の研究機関によって開発・製作されていたが、暴走が相次いだため、その不安定さから本格生産を前に破棄される。

電光戦車はあくまで宝具であり、ライダーというサーヴァントは別にいる。
ライダーの正体。それは電光戦車という『宝具』ではなく、電光戦車の材料にされた人間の負の感情がサーヴァントになった存在なのだ。

【weapon】
  • 電光機関を動力源とした武装
機関銃、火炎放射といった対人武装から、絶大な威力を誇るレーザー砲まで幅広く搭載している。
前輪のキャタピラで人を轢いたり頭部の骸骨で頭突きといった直接攻撃も可能。

【人物背景】
電光戦車の材料にされた負傷兵の無念、怨念といった感情がサーヴァントとなったもの。
その有り様が『電光戦車に乗っている』と曲解され、ライダークラスとして召喚された。
本体は電光戦車の各機体に内蔵されている人間(だったもの)。
肉体を持たないため、筋力、耐久、敏捷のパラメータは存在しない。電光戦車の機体が肉体の代わりとなる。
実質的に電光戦車と同化しているため、誰もが電光戦車をサーヴァントと信じて疑わないだろう。
彼らの悲痛な叫びは誰にも聞こえることはない。
――彼らが覚醒し、暴走しない限り。

【サーヴァントとしての願い】
……………………………………………………。

【マスター】
斎祀@THE KING OF FIGHTERS XIII

【マスターとしての願い】
過去に戻り、自分に都合のいいように未来を作り変える。

【weapon】
特になし

【能力・技能】
  • テレポート
一瞬で別の場所に移動できる。
ただし、移動できる距離は短い。

  • 黒い炎を操る能力
禍々しい色をしたドス黒い炎。相手を燃やすのが主な用途。
飛び道具として飛ばすこともできる。

  • 変身
元々のアッシュ・クリムゾンに似た姿から真の姿へと変身する。
容姿は赤黒い肌をした全裸の巨人で、手足や顔を黒い炎で纏っている。
本来の実力が出せる。黒い炎で相手を拘束することも可能となる。
他に、敵から魔力を吸収することができる。
この姿で無界から力を吸い取り、ミイラのような状態にして殺害した。

【人物背景】
「遥けし彼の地より出ずる者達」の一人であり、彼らのリーダー格。
見た目は色白で細面の男性。
顔立ちや服装は主人公のアッシュ・クリムゾンに瓜二つ。

本編の三年前、過去から未来にやって来た斎祀は、人間を支配した同属の上に君臨することを期待していたが、
実際の未来では人間が幅を利かせ、同属は絶滅寸前にまで追い込まれていた。
同属の零落を「些細なミスの積み重ね」と考えた斎祀はオロチの力を利用し、
時空の扉を開いて元の過去に帰還し未来を思いのままに作りかえようとした。

非常に傲慢な性格で、味方ですら「無能」「虫ケラ」呼ばわりするように、自分以外の全てを見下している。
口調も全体的に乱暴で、気遣って進言した無界を「命令に従わなかった」という難癖を付けて殺害するほどの短気でもある。

【方針】
聖杯狙い。
まずは手駒の電光戦車を利用し、他の主従の戦力を削る。

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