夢現聖杯儀典:re@ ウィキ

ケン&バーサーカー

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匿名ユーザー

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この偽の冬木にも、現実世界と同じように東から朝日が昇り、西へ夕日が沈む。
太陽が空を惜しむように沈もうとしていた頃、古風なアパートの一室からマッシュルームカットの男が出てきた。

「チャコ。少し、ドライブに行ってくる」
「わかった。ご飯作っておくから、7時までには帰ってね」

恋人のチャコに外出を告げ、男はポケットから愛車のキーを取り出して部屋を出る。
7時までどれくらいあるかを腕時計で確認しながら、コツコツと階段を降り、アパートの玄関の扉を開いた。
その男は自分を照らす夕日へ振り返り、眼鏡の奥で何かを懐かしむような遠い目をしていた。

「……夕焼けは人を振り返らせる」

かつて日本を20世紀へと戻すために活動していた男、イエスタデイ・ワンスモアのリーダー・ケンはそう呟く。
駐車場へ赴き、愛車のトヨタ2000GTに乗り込む。
エンジンを作動させてから、ケンは道路に愛車のタイヤを乗せ、走った。

ケンの耳には愛車のエンジン音が響くのに、夕日の照らす冬木を見ているとどことなく静かな心地よさを感じる。
胸に秘めている20世紀への郷愁がその姿を心に映し出すからだろうか。
ケンはふと思い立ち、運転しながら傍らにある8トラック・カートリッジ・テープを備え付けのカーステレオに挿入する。
そこから流れてきた音楽は、吉田拓郎の「今日までそして明日から」だった。


   ◆


私は今日まで生きてみました



ときには誰かの力を借りて



ときには誰かにしがみついて



私は今日まで生きてみました



そしていま私は思っています



明日からもこうして生きていくんだろうと


   ◆


懐かしいメロディと共に車内に流れる歌声。
この歌を聞いていると、20世紀に縋っていた自分も21世紀の今を生きていることが改めて実感できる。
ケンは夕日の下をトヨタ2000GTで駆りながら、偽の冬木に来る前のことを思い返す。
全国で開かれた20世紀博を利用したイエスタデイ・ワンスモアの計画はあと1歩で達成されるはずであった。
大人を虜にして洗脳してしまう「懐かしいにおい」を利用した、日本をありし20世紀の姿へと戻す計画。
その計画はある5歳児とその家族によって未然に防がれた。

あの時、ケンとチャコは21世紀の日本に絶望し、まだ人々が「心」を持っていた20世紀をやり直さなければならないと信じていた。
しかし、20世紀に憑りつかれた大人達は、満身創痍になりながらも未来を手に入れようとするその一家の姿を見たことで21世紀を生きたくなったのだ。
それにより、懐かしいにおいは効力を失い、ケンは負けを悟った。

『オレの人生はつまらなくなんかない!家族がいる幸せを、アンタ達にも分けてあげたいくらいだぜ……!』

懐かしいにおいを克服した一家の父がかつて自分に放った言葉だ。
彼は、過去の自分よりも家族と共に未来を生きることを選んだ。

『オラ、オトナになりたいから!!』
『オトナになって、おねいさんみたいなキレイなおねいさんといっぱいおつきあいしたいからっ!!!』

未来を手に入れるために、その5歳児はボロボロになってタワーを駆け上がってきた。
オトナになりたい…。そこには、子どもの21世紀を生きる意志があった。

「俺も…21世紀を生きたくなったのかもしれないな…チャコと共に」

ケンの理想に共感し、一緒にいてくれた女性・チャコ。
アパートで待ってくれているのはNPCのチャコだが、彼女の存在はケンにとってかけがえのない存在であった。



しばらく運転を続けていると、金色の点が群がっている場所が次第に見えてきた。
夕日の光を反射して輝いている海であった。
ケンはそれを見据えると、アクセルを踏む足に力を籠めてスピードを上げる。
だが、それを妨害するように助手席の方向からケンの左肩が女性のような華奢な手で叩かれる。
ケンは1人でドライブに出かけたはずだったが――

「…なんだ。バーサーカー」

トヨタ2000GTの助手席に座っていたのはいつの間にやら実体化していたケンのサーヴァントであった。
ほとんど下着といっても過言ではない露出度の高い外見にコートを羽織ったショートカットの女性だ。
しかし、彼女の息は常に荒く、所々で呻き声を漏らしている。傍から見れば異様な雰囲気だ。
彼女の名はエクスイ。兵器の強化に長けるロボット「エレメントドール」の内の一体。
相棒のパイロットと共に月面の戦争で勝利したが、ある理由で発狂してその相棒を殺し、結果破棄された悲劇のエレメントドール。
バーサーカーといっても狂化のランクが低いためか、最低限の理性を維持しており、ケンとはそれなりに意思疎通ができる。
ケンの肩を叩いたのも、エクスイなりのケンへの呼びかけなのだ。

「…………未来……生きるなら…何……願うの…?」

バーサーカーは呻き声をなんとか言葉に変えてケンに問いかける。
恐らく、「やり直しを願っていたケンが未来を生きたくなったのなら、聖杯にどんな願いをかけるのか」と聞きたいのだろう。
話の前後を把握していればエクスイの真意は容易に読み取れた。

「…そうだな」

ケンは顎に右手を置き、考える素振りを見せる。

「他の奴らが、どんな思いを胸に生きているのかを確かめてみたい」

聖杯を奪い合う者たちは、少なからずとも願いを持っていることだろう。
かつての自分のようにやり直すか、あるいは欲望を満たすか、あるいは聖杯戦争からの離脱か。
ケン達を阻止した一家のように、彼らには歩んできた人生がある。
聖杯にかける願いも、彼らの生き様もその過程で生まれるものだ。
だからこそ、21世紀を生きると決めたケンは知りたくなった。今を生きる者達の「心」を。

「……思い……」

エクスイはケンの言葉を繰り返す。
頭の中では深く考えるも、狂化のせいで考えを纏めようとしてはそれが霧散してしまい、憤慨するかのように呻き声を強くする。

「着いたぞ」

そうこうしている内に、ケンの愛車は冬木の某所にある防波堤の近辺に来ていた。
ケンとエクスイは車を適当な場所に止めて、防波堤に登る。
そこから先はオレンジ色の海が広がっていた。
視界を横にずらすと、港から貨物船が出港して旅立つところが映る。

「…バーサーカー。さっき言った俺の願いのことだが」

ケンは首をエクスイの方に向ける。
地平線から吹く強い風が2人を揺らす。
エクスイはというと、小さな呻き声とともにただ前を凝視している。

「詰まる所、それの達成には他の参加者とのコンタクトが不可欠だ。それは場合によってはかなり危険な行為になるだろう」

ケンの眼鏡の奥に潜む目は真剣そのものだった。

「だから、少しでも助けになる力が必要だ。そのために力を貸してほしい…頼む」
「…………」

エクスイは何も言わず、まるで寝落ちしそうな様子で首を上下に振った。
首を縦に振ったのだから肯定の意を表したと見ていいだろう。…そう思っておこう。
ケンは再び海へ顔を向ける。
丁度、夕日が地平線に沈もうとしているところだった。

エクスイはケンの元に来てからも多くを語らない。
狂化しているせいもあるが、彼女は都合の悪いことに対しては――たまに彼女の気まぐれでも――返答しないらしい。
そのため、今もエクスイの詳しい願いはケンにも分かっていない。
……ただ、かつてのケンと同じ願いを持っていたであろうことだけはなんとなく理解できた。
今にも沈みそうな夕日を見る彼女は、ケンの眼鏡にはどこか悲しげに映ったのだ。

……夕焼けは人を振り返らせる。

【クラス】
バーサーカー

【真名】
エクスイ@怒首領蜂大往生

【パラメータ】
筋力C 耐久D 敏捷D 魔力C 幸運E 宝具A+

【属性】
混沌・善

【クラス別スキル】
狂化:D
筋力と魔力が上昇するが、言語能力が不自由になり、複雑な思考が難しくなる。

【保有スキル】
エンチャント:EX
物品を強化する能力。
バーサーカーは兵器を強化するエレメントドールである性質から、
武装・艤装などの人工兵器の強化に特化しており、それ以外の物品は強化できない。
このスキルの効果は単なる武器だけでなく、人工兵器に属する他サーヴァントの宝具にまで及び、
基本性能の向上と機能の拡張が容易にできる。
宝具を強化した場合、その宝具のランクが1ランク上昇する。

心眼(真):E-
エレメントドールとしてパイロットと共に戦場を潜り抜けた経験によって培った洞察力。
窮地において自身の状況と敵の能力を冷静に把握し、その場で残された活路を導き出す戦闘論理。
狂化により、ランクが著しく低下している。

変形:-(B)
トランスフォーム能力。自らのカタチを変えるスキル。
『大往生したなどと誰が決めたのか』発動後に使用可能。
エレメントドーターとなったことにより、人型の他、巨大な水上戦艦や戦闘機へ変形することができ、
形態を変えて戦闘することができる。
巨大兵器に変形している間はその巨体に見合う分の魔力が必要になるので魔力の燃費が悪い。
なお、人型の場合でも射撃攻撃で応戦できる。サイズの違いから火力は低くなる分、他の形態より魔力消費が軽い。

【宝具】
『大往生したなどと誰が決めたのか(エレメントドーター・ネクスィ)』
ランク:A+ 種別:対軍宝具 レンジ:1~200 最大捕捉:1000人
バーサーカーが消滅した際に自動で発動する宝具。
一度はパイロットを殺害したことで破棄され、大往生したエクスイが、
エレメントドールから巨大ロボット「エレメントドーター」へと進化して大復活を遂げたエピソードの具現。
消滅した後に、バーサーカーの姿を模した「エレメントドーター」として一度だけ復活する。
外見は発動前とあまり変わらないが、上半身と下半身が分離した外見が特徴的。
復活した際、変形スキルが使用可能になり、武装が追加され広範囲を攻撃できるようになる。
パラメータは以下のように変化する。

筋力B 耐久C 敏捷B 魔力B 幸運E

本来、エレメントドーターは高層ビル並に巨大なのだが、英霊という枠に当てはめた為に人間並のサイズでしか顕現できない。
だが、それは人型の場合のみで、巨大兵器に変形した際はその限りではない。

【weapon】
  • 『変形』での各形態に搭載された武装
『大往生したなどと誰が決めたのか』発動後、エレメントドーターになることで追加される。
搭載された武装によって射撃を展開する、圧倒的な弾幕攻撃が脅威。

【人物背景】
弾幕STGゲーム「怒首領蜂大往生」に登場する、戦闘機の専用ナビゲータであり、知性や感情を持つ兵器強化用人型ロボット「エレメントドール」。
主人公(パイロット)のパートナーとして選択できるエレメントドールのうちの一体。
露出度が非常に高い服装に灰色のコートを羽織っている。
数世代前の旧式エレメントドールで、パイロットの安全性よりも機能及び武装面を重視して作られた。
そのため、搭乗するパイロットに対しての配慮に欠ける面が多いが、上級パイロットには大変好まれていた。

地球を侵攻しようとしている月の機械兵団との最終決戦にて、
エクスイはマザーコンピューターに飛び込みコンピューター内に負荷をかけ、敵の演算能力を落とすことでパイロットと共に勝利をつかんだ。
しかしマザーコンピューター内で月の兵器が動き出した真実を知り発狂、パイロットを殺害する。
人間に手をかけたことでエクスイは破棄されてしまうが、
その時にエクスイが流した血の涙は、「本当の敵は人間だったのだ」という彼女の悲しみを伝えるものであった。

その6年後、続編「怒首領蜂大復活」においては巨大兵器への変形能力を持つ巨大少女ロボット「エレメントドーター」として登場。
同作で起きた事件の張本人で、他のエレメントドーターも彼女を主人として従っている。
ちなみに本作では『ネクスィ』という名義で登場しているが正式名称は『ネクストエクスイ』。
最終ボスではなく2面ボスとなり主人公を襲う。
「やり直さなければ」という思いの元、未来の争いの元を断つために過去にもどり、
切欠を無くして争いのない歴史へと書き換えようと試みる。
使命の為に追跡者は許さない厳しい態度をとるが、仲間や自然には優しい。

【サーヴァントとしての願い】
不明。

【基本戦術、方針、運用法】
初期状態ではバーサーカーの癖にパラメータが平均より低く、これといった武器もないのでエンチャントによるサポートしか期待できない。
この状態では狂化と固有能力が全く噛み合っていないといえるだろう。
一方で『大往生したなどと誰が決めたのか』が発動すると武装と変形スキルが使用可能になり、自力で戦闘ができ大分マシになる。

【マスター】
ケン@クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲

【マスターとしての願い】
他の参加者がどんな思いを胸に生きているのかを確かめてみたい。

【weapon】
  • トヨタ2000GT
ケン曰く、「俺の魂」。
20世紀を代表する名車。移動手段に使える。

【能力・技能】
特になし。
「におい」を使った洗脳は20世紀博の施設がないためできない。

【人物背景】
クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲に登場する。
秘密結社「イエスタディ・ワンスモア」のリーダー。恋人兼協力者兼同居人にチャコという女性がいる。
「懐かしいにおい」を利用して大人達を子供に戻し、ひろしやみさえを連れ去った張本人。
本編では「汚い金」や「燃えないゴミ」ばかりがあふれる21世紀の日本を憂いており、まだ人々が「心」を持って生きていた20世紀への逆戻り及びやり直しを企てる。
大人達の懐古心を原動力とした計画の最終段階において、大人達はタワーでの野原一家の奮闘をテレビを通して視聴したことで懐古心が収まり、21世紀を生きたいと思うようになる。
そして、計画を進めることができなくなり「未来を返す」と敗北を認めた後、大人達を解放する。
解放後、タワーの大展望台の屋上からチャコと共に飛び降り自殺を図ったが、
しんのすけの叫びと偶然足元に位置していた巣を守ろうとした鳩の抵抗で機を逸してしまう。
そしてチャコを労わりつつ何処かへ去っていった。

【方針】
他の参加者と会って、話を聞きたい。

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