エンカウンターの設計

戦闘遭遇の設計  Building Combat Encounters

 戦闘遭遇を組み立てるにあたっては、想像力を十分に駆使して、プレイヤーたちが楽しめる物を作ろう。まずはデティールを描いた後で、このセクションを使って遭遇の困難さを調節するのだ。

戦闘遭遇の難易度 Combat Encounter Difficulty

 遭遇の難易度は4段階に分かれる。
 簡単 簡単な遭遇は、キャラクターのリソースを削ったり、深刻な危険にさらすことはない。ヒットポイントを何点か失うかもしれないが、勝利はほぼ確実に保証されている。
 普通 普通の遭遇は、通常、プレイヤーたちが一回か二回は恐怖を感じるような瞬間があるものの、死者なしで勝利を得られるべき遭遇である。何人かは回復のためのリソースを使用する必要があるだろう。
 困難 困難な遭遇は、冒険者たちにとってひどい結果に終わる可能性がある。弱いキャラクターが戦闘中に脱落するかもしれず、可能性は低いものの一人か二人の死者を出すかもしれない。
 危険 危険な遭遇はプレイヤー・キャラクターにとって致死的なものとなり得る。生き残るためには優れた戦術と素早い思考が頻繁に必要となるし、パーティーが敗北する可能性もある。
 

表:キャラクターレベルごとのXP閾値 Table;XP Thresholds by Character Level

レベル —— 遭遇難易度 ——
   簡単 普通 困難 危険
1st   25 50 75 100
2nd  50 100 150 200
3rd  75 150 225 400
4th  125 250 375 500
5th  250 500 750 1,100
6th  300 600 900 1,400
7th  350 750 1,100 1,700
8th  450 900 1,400 2,100
9th  550 1,100 1,600 2,400
10th  600 1,200 1,900 2,800
11th  800 1,600 2,400 3,600
12th  1,000 2,000 3,000 4,500
13th  1,100 2,200 3,400 5,100
14th  1,250 2,500 3,800 5,700
15th  1,400 2,800 4,300 6,400
16th  1,600 3,200 4,800 7,200
17th  2,000 3,900 5,900 8,800
18th  2,100 4,200 6,300 9,500
19th  2,400 4,900 7,300 10,900
20th  2,800 5,700 8,500 12,700

 

遭遇難易度を評価する Evaluating Encounter Difficulty

 以下の手順を使えば、戦闘遭遇の難易度を精査することができる。
 手順1.XP閾値を算定する まず、パーティーの各キャラクターに対応するXP閾値(しきいち)を算定する。「表:キャラクターレベルごとのXP閾値」には、キャラクターのレベルごとに、4段階の遭遇難易度に対応して4つのXP閾値が記載されている。キャラクターごとにレベルからXP閾値が決まるので、これをパーティーのキャラクター全員について繰り返す。
 手順2.パーティーのXP閾値を算定する 4段階の各遭遇難易度に対応するXP閾値を、難易度ごとにキャラクター全員分だけ合計する。これによってパーティーのXP閾値が決まる。算出された4つの数字は、それぞれが1つの遭遇難易度に対応する。
 たとえば、パーティーに3人の3レベルキャラクターと1人の2レベルキャラクターが含まれる場合、パーティーの合計XP閾値は下記の通りとなる。

簡単: 275 XP (75 + 75 + 75 + 50)
普通: 550 XP (150 + 150 + 150 + 100)
困難: 825 XP (225 + 225 + 225 + 150)
危険: 1,400 XP (400 + 400 + 400 + 200)

4つの合計XP閾値を記録しておくこと。なぜなら、冒険におけるすべての遭遇について同じ値を用いることができるからである。

 手順3.モンスターのXPを合計する  その遭遇における全モンスターのXPを合計する。各モンスターのXPはデータ・ブロックに記載されている。
 手順4.モンスターの数によって合計XPを修正する 遭遇に複数のモンスターが含まれるなら、モンスターのXP合計に一定の係数を掛ける。モンスターの数が増えれば、ラウンドごとに行うキャラクターへの攻撃判定の回数も増えるので、遭遇はより危険になる。遭遇の難易度を正確に測るため、遭遇中の全モンスターのXP合計に「表:遭遇係数」から得られる係数を掛けあわせる。
 たとえば、遭遇に含まれるモンスターが4体で合計XPが500なら、モンスターの合計XPに2を掛け、修正XP合計は1000になる。修正後のこの値がモンスターのXPとなるわけではない。修正XP合計は、遭遇難易度の正確な評価検討を補助するためだけの数字である。この計算を行なう際は、モンスターの一団の中で他に比べて脅威度が際立って低いモンスターは数に入れないこと(ただしそのモンスターが戦闘の難易度に大きく貢献すると考えられる場合は、数に入れる)。
 

表:遭遇係数 Table;Encounter Multipliers

モンスターの数 係数
1体 ×1
2体 ×1.5
3体-6体 ×2
7体-10体 ×2.5
11体-14体 ×3
15体以上 ×4

手順5.XPを比較する モンスターの修正XP合計とパーティーのXP閾値を比較する。4つの閾値のうち、修正XP合計以下となる最大のものが遭遇の難易度を決定する。
 たとえば、バグベア1体とホブゴブリン3体からなる遭遇の修正XP合計は1000であり、3レベルキャラクター3人と2レベルキャラクター1人のパーティーにとっては困難な遭遇となる(このパーティーにとって困難な遭遇のXP閾値は825、危険な遭遇のXP閾値は1400である)。
 (訳注:アペンディクスによれば、バグベア1体のXPは200、ホブゴブリン1体のXPは100)

脅威度
 戦闘遭遇を組み立てる際、特に低レベルでは、パーティーの平均レベルより脅威度の高いモンスターを出すには注意が必要である。そういった脅威度の高いモンスターは、より低レベルのキャラクターを脱落させるに十分なダメージを1アクションで与えることができるからである。たとえば、オーガの脅威度は2だが、一撃で1レベルのウィザードを殺すことができる。
 

 

パーティーの規模 Party Size

 上記のガイドラインは、パーティーの冒険者が3人から5人であることを想定している。
 パーティーの人数が2人以下の場合、遭遇係数表で得られる係数が1段階高くなる。たとえばパーティーが1体のモンスターと戦う場合の係数は1.5となり、15体以上のグループと戦うなら係数は5となる。
 パーティーの人数が6人以上の場合、遭遇係数表で得られる係数が1段階低くなる。1体のモンスターと戦う場合は、係数を0.5とすること。The

経験点予算から遭遇を組み立てる Building Encounters on a Budget

 必要な遭遇難易度がわかれば、そこから逆算して遭遇を組み立てることができる。パーティの簡単、普通、困難、危険の各遭遇難易度に対応するXP閾値は、そのまま登場させるモンスターのための経験点予算となる。複数のモンスターからなるグループは、各モンスターの項に記載されているXPよりも多くのXP予算を消費することに注意する事(上記の手順4を参照)。
 例えば、上記の手順2で見たパーティーを使って難易度普通の遭遇を組み立てるには、修正XP合計が最低550XPP(このパーティーの普通な遭遇のXP閾値)、最大825XP(困難な遭遇のXP閾値)となるよう注意すればよい。脅威度3のモンスター1体(マンティコアやアウルベアのような)は700XPなので選択肢の1つとなる。モンスターは2体が良いと思うなら、各モンスターのXPを基本値の1.5倍として数える。ダイア・ウルフ2体(各200XP)なら修正XP合計は600となり、これも難易度普通の遭遇となる。
 この方式に役立つように「ダンジョン・マスターズ・ガイド」のアペンディクスBには脅威度順にすべてのモンスターが並んでいる。本ドキュメントのアペンディクス(収録モンスターの脅威度順一覧)も参照のこと。

一日分の冒険  The Adventuring Day

 冒険の状況がそう極端でなく普通で、かつ平均的な運に恵まれると仮定すると、冒険者パーティーの大半はおおむね6~8回の難易度普通もしくは困難な遭遇に対処することができる。より簡単な遭遇が多い冒険であれば、より多くの遭遇をこなせる。より危険な遭遇が多ければ、対処できる遭遇の数は減る。
 遭遇難易度を計算したのと同じ方法で、冒険に登場するモンスターやその他の敵のXP値を計算すれば、パーティーがどこまで進めるかの目安として使える。
 「表:1日分の経験点」を使用すれば、パーティーのキャラクターそれぞれについて、1日にどの程度の経験点を獲得すると期待できるかを見積もることができる。パーティーメンバー全員の分を合計してパーティー全体の1日分の経験点を算出する。この値が、各キャラクターが大休憩を取る必要が出てくるまでに対処できる遭遇の修正XP合計の目安になる。

 

表:1日分の経験点 Table;Adventuring Day XP

レベル 一日分の経験点(キャラクター1人分)
1st 300
2nd 600
3rd 1,200
4th 1,700
5th 3,500
6th 4,000
7th 5,000
8th 6,000
9th 7,500
10th 9,000
11th 10,500
12th 11,500
13th 13,500
14th 15,000
15th 18,000
16th 20,000
17th 25,000
18th 27,000
19th 30,000
20th 40,000

小休憩 Short Rests

  一般に、まる一日冒険すると、その間のおおむねその日の進捗の1/3と2/3の時点で、パーティーは2回の小休憩を取る必要が出てくるだろう。

遭遇難易度を調整する

  場所や状況次第で、遭遇はより簡単になったり難しくなったりする。
 もしキャラクターたちが何らかの不利を被っていて敵はその不利益を受けないなら、遭遇は1段階難しくなる(例えば難易度簡単から普通になる)。キャラクターたちの側に何か有利な点があり、敵にはそれがないのであれば、遭遇は1段階簡単になる。どんな有利や不利が重なっても、遭遇の難易度は適切な方向に1段階ずれる。有利な点が1つと不利な点が1つあるなら、それらは互いに打ち消し合う。
 状況的な不利には以下のようなものがある。パーティー全体が不意打ちを受ける(が、敵は受けない)。敵には遮蔽があるが、パーティーにはない。キャラクターたちが敵を見ることができない。キャラクターたちは周囲の環境による効果や魔法的原因によって毎ラウンドダメージを受けるが、敵は受けない。キャラクターがロープで吊られていたり、急な壁や崖をよじ登っている途中であったり、地面に貼り付けられていたり、その他移動が大きく妨げられる状況や無防備な状況にある。
 状況的な有利は状況的な不利によく似たものだが、違うのは敵ではなくキャラクターたちが有利になる点である。

 

楽しい戦闘遭遇 Fun Combat Encounters

 以下のような工夫は、戦闘遭遇をより面白くスリルのあるものにすることができる。キャラクターにも敵にも同様にリスクをもたらす地形(ほつれた吊り橋やグリーン・スライムのプールなど)、高度変化をもたらす地形(落とし穴、空の木箱の山など、岩棚や壁の張り出し、バルコニーなど)、キャラクターも敵も迂回したくなるような(または迂回を強いる)地形(シャンデリア、火薬や油の樽、回転鋸の罠など)、到達しにくい場所や防御に有利な位置を占めた敵(通常飛び道具で攻撃するキャラクターは戦場を迂回しなければならない)、異なるタイプのモンスターが協力する、などだ。

 

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最終更新:2015年08月06日 18:39