モンスター

モンスター Monsters

 モンスターのゲーム・データに記載された情報を理解するためのガイドラインを以下に挙げる。

 

ゲーム・データ Statistics

 モンスターのゲーム・データは、データ・ブロック(stat block)とも呼ばれ、ゲーム内でモンスターを動かすのに必要な情報をまとめたものだ。

 

サイズ Size

 モンスターのサイズには、超小型、小型、中型、大型、超大型、巨大がある。「表:サイズ分類」に、あるサイズのクリーチャーが戦闘の際に支配する範囲を示している。クリーチャーのサイズと占めるスペースについては、プレイヤー用ベーシック・ルールもしくはプレイヤー・ハンドブックで、より詳しく説明されている。

 

表:サイズ分類 Table;Size Categories

サイズ分類 スペース

超小型 Tiny

2.5フィート×2.5フィート インプ、スプライト

小型 Small

5フィート×5フィート ジャイアント・ラット、ゴブリン
中型 Medium 5フィート×5フィート オーク、ワーウルフ
大型 Large 10フィート×10フィート ヒポグリフ、オーガ
超大型 Huge 15フィート×15フィート ファイア・ジャイアント、トリエント
巨大 Gargantuan 20フィート×20フィート以上 クラーケン、パープル・ワーム

 

種別 Type

 モンスターの種別は、そのモンスターの基本的な性質について記述する。ある種の呪文、マジック・アイテム、クラス特徴や、その他のゲーム内の効果は、特定のタイプのクリーチャーに特殊な作用を与えたり受けたりする。たとえば、アロー・オヴ・ドラゴンスレイングは、ドラゴンのみならず、ドラゴンタートルやワイバーンといった他の「種別:ドラゴン」のクリーチャーにも追加ダメージを与える。
 ゲーム的には下記のモンスター種別が存在するが、各種別ごとに特別なルールがあるわけではない。

 

 異形(Aberration)は完全に異質な存在だ。異形クリーチャーの多くは生来の魔法的能力を持っているが、それは神秘的な世界の諸力を引き出すものではなく、そのクリーチャーの異質な精神から来るものだ。アボレス、ビホルダー、マインドフレイヤー、スラードなどは、異形の中の異形といえる。
 

 野獣(Beast)は、ファンタジー世界の生態系のうち自然的な部分に属する、人型でないクリーチャーだ。一部は魔法的能力を持っているが、ほとんどは知性を持たず、社会や言語もない。野獣クリーチャーにはあらゆる通常の動物、恐竜と、動物の巨大なバージョンが含まれる。
 

 天界(Celestial)は上方次元界(Upper Planes)を起源に持つクリーチャーだ。彼らの多くは神格のしもべであり、人間界および諸次元界における伝令もしくは代理人としての役目についている。天界クリーチャーは生来善良であり、迷って善属性から踏み出してしまう者はごくごく稀な例外である。天界クリーチャーにはエンジェル、コアトル、ペガサスなどが含まれる。
 

 人造(Construct)は生まれるのでなく作られる。制作者によって簡単な一揃いの命令に従うようプログラムされたものもあれば、意識を植え込まれ自律思考ができるものもある。ゴーレムは人造クリーチャーの代表的存在だ。モドロンをはじめとする、外方次元界の一つであるメカヌスを起源とするクリーチャーの多くは人造であり、より強力なクリーチャーの意思によってメカヌスの物質を素材として作り出される。
 

 ドラゴン(Dragon)は大型の爬虫類であり、太古にその起源をもち、恐るべき力を持つ。真の竜族(トゥルー・ドラゴン)、すなわち善なるメタリック・ドラゴンと邪悪なるクロマティック・ドラゴンは高い知性と生まれながらの魔法力を有する。ドラゴン・クリーチャーには、真の竜族と遠い類縁関係にあるクリーチャー、知性も低く魔法的にも劣ったワイバーンやスードゥ・ドラゴンも含まれる。


 元素(Elemental)クリーチャーは、元素界を起源とする。一部はエレメンタルと呼ばれ、自身の属する元素を操る以外のことはほとんどできない。その他の元素クリーチャーは元素のエネルギーを注入された生物のような姿を取る。ジニーと呼ばれる諸種族(ジンやイフリート)は、元素界におけるもっとも重要な文明群を形成している。その他の元素クリーチャーには、エイザー、インビジブル・ストーカー、ウォーター・ウィアードが含まれる。


 フェイ(Fey)は自然の力と強く結びついた魔法的なクリーチャーである。彼らは黄昏の木立や霞立つ森に住む。いくつかの世界においては、フェイワイルドあるいは妖精界と呼ばれる領域と強く結び付ついている。一部は外方次元界、特にアルボレアやビーストランドで見られる。フェイにはドライアド、ピクシー、サテュロスなどが含まれる。
 

 悪魔(Fiend)は下方次元界(Lower Planes)を起源に持つ、邪悪そのもののクリーチャーである。ごく一部は神格の僕だが、多くはアーチデビル達やデーモン・プリンス達の指揮下で使役されている。邪悪な神官や魔術師は、時として悪魔を物質界に召喚し、自身の命じる事を行なわせる。邪悪な天界クリーチャーは稀にはいるが、善なる悪魔はあり得ない。悪魔クリーチャーには、デーモン、デヴィル、ヘルハウンド、ラクシャサ、ユーゴロスが含まれる。
 

 巨人(Giant)はヒューマンやその仲間の頭上にそびえたつ。その姿は人間に似ているが、中には複数の頭を持つもの(エティン)や奇形的な姿を持つもの(フォモール)もいる。真の巨人族たる6種族は、ヒル・ジャイアント、ストーン・ジャイアント、フロスト・ジャイアント、ファイア・ジャイアント、クラウド・ジャイアント、ストーム・ジャイアントである。その他、オーガやトロルもまたジャイアントである。
 

 人型生物(Humanoid)はD&D世界における主要な諸民族を構成するクリーチャーである。ヒューマンとその他数え切れぬほど多種多様な異種族を含んでおり、その中には文明化された者も野蛮な者もいる。各種族は言葉と文化を持ち、魔法的な能力を持つ者はいるとしても僅かで(とはいえ、大半の人型生物は呪文の発動を学ぶことができる)、二足歩行する。もっとも一般的な人型生物はプレイヤー・キャラクターに最適な種族、すなわちヒューマン、ドワーフ、エルフ、ハーフリングである。無数と言ってよいほど頭数が多く、はるかに野蛮で荒々しく、そしてほとんど例外なく邪悪なのがゴブリン類(goblinoids =ゴブリン、ホブゴブリン、バグベア)やオーク、リザードフォーク、コボルドといった種族である。
 

 モンスター(Monstrosity)は厳密な意味での怪物である。これらは恐怖をもたらす尋常ならざるクリーチャーであり、本当の意味では自然の存在ではなく、温和で無害であることなどほとんどありえない。失敗した魔法実験の産物(アウルベアなど)もいれば、恐るべき呪いによって生み出されたもの(ミノタウロスやユアンティ)もいる。モンスターは分類不能なものどもである。あるいは、他のどんな種別にも分類できないクリーチャーをまとめて放り込むためのカテゴリーであるともいえる。
 

 粘体(Ooze)はゼラチン状をした様々なクリーチャーであり、定まった形を持っているものはほとんどいない。大半は地下の生き物であり、洞窟やダンジョンに巣食っては、屑や死骸や粘体の中に踏み込んでしまった不運なクリーチャーを食べて生きている。ブラック・プディングやゼラチナス・キューブは粘体クリーチャーの中では一番見分けやすい種類に属する。
 

 植物(Plant)は、ここでは植物に属するクリーチャーのことであり、尋常の生態系に属する植物相ではない。植物クリーチャーの大半は自力で移動できる上、一部は肉食である。植物の中の植物と言えばシャンブリング・マウンドやトリエントだ。ガス・スポアやマイコニドのような菌類のクリーチャーもこのカテゴリに含まれる。
 

 アンデッド(Undead)は死と生命に関わる魔術やなんらかの不浄な呪いによって悍ましい亡者の状態に置かれた、かつて生者であったクリーチャーである。ヴァンパイアやゾンビのような動く屍のみならず、ゴーストやスペクターのような実体を持たない霊もアンデッドである。

 

タグ Tags

 モンスターには種別にカッコ書きで付記される「タグ」を持つものもいる。たとえばオークは「種別:人型生物(オーク)」である。カッコ書きのタグは特定のクリーチャーを種別に加えてさらに分類する。タグには特別なルールがあるわけではないが、たとえばマジック・アイテム効果がタグを参照するというような形で、ゲーム的な意味を持つ。つまり、デーモンとの戦いで特に威力を発揮する槍は、(デーモン)タグの付いたすべてのモンスターに効果がある、といった具合だ。

 

属性 Alignment

 モンスターの属性は、ロールプレイや先頭において、性向や行動を決める手がかりを提供する。たとえば、混沌にして悪のモンスターと論理的に話し合うのは困難で、それらはキャラクターを目にするや襲ってくる可能性がある。一方で中立のモンスターは喜んで交渉に応じるだろう。属性ごとに違いについては、『D&Dベーシック・ルール』もしくは『プレイヤーズ・ハンドブック』を参照のこと。
 モンスターのデータ・ブロックに記載されているのはデフォルトの属性である。君がこれにとらわれず、キャンペーンに必要ならばモンスターの属性を変更するのは自由だ。善属性のグリーンドラゴンや邪悪なストーム・ジャイアントが欲しいと思うなら、それを禁止するものはない。
 一部のクリーチャーは、どんな属性でもありうる。言い換えれば、そうしたモンスターの属性を消えるのは君だ。一部のクリーチャーの属性欄は秩序、混沌、善、悪のいずれかに向かう傾向、あるいはいずれかを忌避する傾向を示している。たとえば、バーサーカーがどの混沌属性でも有り得る(混沌にして善、混沌にして中立、混沌にして悪のいずれか)のは、その野生的な性質を反映している。
 【知力】の低いクリーチャーの多くは、秩序、混沌、善、悪のいずれも理解しない。彼らは道徳や倫理に基づいて行動を選択するのではなく、本能に従って行動する。こうしたクリーチャーは無属性であり、属性を持たないものとして扱われる。

 

アーマー・クラス Armor Class

鎧や盾を身に着けたモンスターのアーマー・クラス(AC)の値は、鎧、武器、【敏捷力】が計算に入っている。それ以外のモンスターでは、ACは【敏捷力】修正と、もしあるのなら外皮(natural armor = 生来備わった防御力)に基づいている。外皮、鎧、盾などを持つモンスターは、ACの値の隣に、その事がカッコ書きで付記されている。

 

ヒット・ポイント Hit Points

モンスターは通常ヒット・ポイントが0になったら死亡する。ヒット・ポイントについての更なる情報は、D&Dベーシック・ルールもしくはプレイヤース・ハンドブックを参照のこと。
モンスターのヒット・ポイントは、「ダイスの個数」と「平均値」の両方が記載されている。たとえば、2d8ヒット・ポイントを持つモンスターの平均的なヒット・ポイントは9ポイント(2×4.5)である。
モンスターのサイズによって、ヒット・ポイントを計算する際に使うダイスの種類が決まる。「表:サイズによるヒット・ダイス」を参照のこと。

 

表:サイズによるヒット・ダイス Table;Hit Dice by Size

モンスターのサイズ ヒット・ダイス 平均値

超小型

d4 2.5

小型

d6 3.5
中型 d8 4.5
大型 d10 5.5
超大型 d12 6.5
巨大 d20 10.5

モンスターの【耐久力】修正も、ヒット・ポイントの値に影響する。【耐】修正にモンスターのヒット・ダイスの数をかける。たとえば、【耐】12(修正+1)でヒットダイス2d8のモンスターは、2d8+2ヒット・ポイントを持つ。

 

移動速度 Speed

  モンスターの移動速度が表すのは、自分のターンで移動できる距離である。速度に関する更なる情報は、D&Dベーシック・ルールもしくはプレイヤース・ハンドブックを参照のこと。
 すべてのクリーチャーは歩行移動速度を持つ。地表を移動する手段を持たないクリーチャーは歩行移動速度0フィートである。一部のクリーチャーは、下記にあるその他の移動モードを持つ。

地中 Burrow

 地中移動速度を持つモンスターは、砂や土、泥、氷の中を移動する際に、移動速度の全てもしくは一部を使用できる。通常、地中移動によって硬い岩を通り抜けることはできないが、それが可能になるような特殊能力(special trait)があれば別である。

登攀 Climb

登攀移動速度を持つモンスターは、垂直な壁面上を移動するのに、移動力の全てもしくは一部を使用できる。こうしたモンスターは登攀の為に追加の移動速度を必要としない。

飛行 Fly

飛行移動速度を持つモンスターは、飛行のために移動力の全てもしくは一部を使用できる。一部のモンスターは滞空(hover)することができ、その為に空中から叩き落されにくい(D&Dベーシック・ルールもしくはプレイヤース・ハンドブックの飛行に関するルールを参照のこと)。こうしたモンスターは死亡すると滞空をやめる。

水泳 Swim

水中移動速度を持つモンスターは、泳ぐために追加の移動速度を必要としない。

 

能力値 Ability Scores

すべてのモンスターは、6つの能力値(【筋】【敏】【耐】【知】【判】【魅】)と、それぞれに対応する修正値を持つ。能力値に関する更なる情報は、D&Dベーシック・ルールもしくはプレイヤース・ハンドブックを参照のこと。

セーヴィング・スロー Saving Throws

セーヴィング・スローの項目は、ある種の効果に対して抵抗するのに長けたクリーチャーのために設けられている。たとえば、魅了されたり(charmed)怯えたり(frightened)しにくいクリーチャーは【判断力】セーヴにボーナスを得るだろう。ほとんどのクリーチャーはセーヴに対するボーナスを特に持たず、その場合、この項目は省略される。
セーヴィング・スローへのボーナスは、モンスターの能力値修正値(セーヴに関連する能力値のもの)とモンスターの習熟ボーナス(モンスターの脅威度による)の合計である。「表:脅威度ごとの習熟ボーナス」を参照のこと。


 表:脅威度ごとの習熟ボーナス  Table;Proficiency Bonus by Challenge Rating

脅威度 習熟ボーナス
0 +2
1/8 +2
1/4 +2
1/2 +2
1 +2
2 +2
3 +2
4 +2
5 +3
6 +3
7 +3
8 +3
9 +4
10 +4
11 +4
12 +4
13 +5
14 +5
15 +5
16 +5
17 +6
18 +6
19 +6
20 +6
21 +7
22 +7
23 +7
24 +7
25 +8
26 +8
27 +8
28 +8
29 +9
30 +9

 

技能 Skills

 技能の項目は、いずれかの技能に習熟したモンスターのために設けられている。たとえば、感覚が鋭くて隠密に長けたモンスターは【判断力】〈知覚〉チェックや【敏捷力】〈隠密〉チェックにボーナスを得るだろう。
 技能へのボーナスは、モンスターの能力値修正値(関連する能力値のもの)とモンスターの習熟ボーナス(モンスターの脅威度による)の合計である。「表:脅威度ごとの習熟ボーナス」を参照のこと。その他の修正が適用されている場合もある。すなわちモンスターがより高度に熟練(expertise)しているために、習熟ボーナスが増加している(通常2倍になる)場合などである。

 

脆弱性、抵抗、耐性 Vulnerabilities, Resistances, and Immunities

 クリーチャーの中には、特定のダメージ種別(types of damage)に対して脆弱性や、抵抗や、耐性を持つものがいる。また、状態異常(condition)に耐性を持つものもいる。モンスターがダメージ種別や状態異常以外のゲーム的な効果に耐性を持つ場合、それは特殊能力(special trait)として扱う。

 

感覚 Senses

 感覚の項目には、受動【判断力】〈知覚〉判定の値に加えて、そのモンスターが持ち得る特殊な感覚が記載される。諸々の特殊な感覚については下記で解説する。

 

非視覚視野 Blindsight

 非視覚視野を持つモンスターは、自分から一定半径内を視覚に頼らず知覚する。
 この感覚を持つ典型的なクリーチャーは、グリムロックやグレイ・ウーズのような目のないクリーチャーである。加えてコウモリや真の竜族といった、反響定位能力や極めて鋭敏な感覚を持つクリーチャーも非視覚視野を持つ。
 モンスターが生来盲目なのであれば、非視覚的視野の範囲が知覚できる限界になる。その場合、非視覚視野にカッコ書きでその旨付記してある。

暗視 Darkvision

 暗視を持つモンスターは、特定の距離までの暗闇を、薄暗い区域であるかのように見通すことができる。したがって、モンスターの暗視距離までは、暗闇の区域も軽度に隠蔽されているのみとなる。しかしながら、暗視では色を見分けることができず、色の違いは灰色の階調としてのみ見ることができる。地下で生活するクリーチャーの多くが暗視を持つ。

振動感知 Tremorsense

 振動感知を持つモンスターは特定の距離までの振動の発生源を探知し、位置を特定することができるが、その為にはこのモンスターと振動の発生源が同じ地面や物質に接触してつながっていなければならない。振動完治は飛行している、あるいは非物質的なクリーチャーを探知する役には立たない。アンケグやアンバーハルクといった地中を移動するクリーチャーの多くが振動感知を持つ。

完全視 Truesight

完全視を持つモンスターは、完全視の距離内であれば以下のことができる。通常の暗闇と魔法的な暗闇を見通すことができ、不可視のクリーチャーや物体を見ることができ、視覚的な幻を自動的に探知してこれに対するセーヴを行うことができる。変身生物(shapechanger)や魔法的に変身しているクリーチャーの真の姿を見抜くことができる。加えて、同じ距離までなら、エーテル界(Ethereal Plane)まで見通すことができる。

 

言語 Languages

そのモンスターが話せる言語はアルファベット順にリストアップされている。時として、ある言語を理解はできるが話せないクリーチャーも存在するが、その場合はその旨が付記されている。「-」と書かれている場合、そのクリーチャーはいかなる言語も話せないし理解できない。

テレパシー Telepathy

テレパシーは魔法的な能力であり、モンスターは一定距離内の他のクリーチャーと意思疎通ができる。この方法で意思疎通するためには接触を受けるクリーチャーと理解できる言語を共有している必要はないが、そのクリーチャーは少なくとも一つの言語を理解できなければならない。テレパシーを持たないクリーチャーはテレパシーによるメッセージを受け取りそれに返答することはできるが、テレパシーによる会話を始めたり終わらせたりすることはできない。
テレパシーを持つモンスターは接触を受けるクリーチャーが見えている必要はなく、いつでもテレパシーによる接触を終了することができる。両者がテレパシーの有効距離内にいない状態になったり、モンスターが有効範囲内の別のクリーチャーに接触した場合、即座に接触は終了する。テレパシーを持つモンスターがテレパシーによる対話を開始するにはアクションを使用する必要はないが、脱力状態のモンスターはテレパシーによる対話を始めることはできず、すでに接触していてもその接触は終了する。
アンチマジック・フィールドの中や、その他魔法の効かない場所にいるモンスターはテレパシーによるメッセージを送ることも受け取ることもできない。

 

脅威 Challenge

 モンスターの脅威度(challenge rating)を見れば、そのモンスターがどれほどの脅威をもたらすかがわかる。適切な休息を取り装備を整えた4人の冒険者パーティーは、レベルと同じ脅威度のモンスターを死者を出さずに倒すことができる筈である。たとえば、3レベルキャラクター4人のパーティーにとっては、脅威度3のモンスターは挑戦し甲斐のある試練となるだろうが、死ぬほど危険とまでは言えない。
 1レベルのキャラクターに比べても確実に弱いモンスターには、1未満の脅威度が設定されている。脅威度0のモンスターは、大群で出てこない限り重要ではなく、事実上攻撃する能力のない場合は経験点にならない。攻撃能力があるならば1体ごとに10XPになる。
 モンスターの中には、典型的な20レベルパーティーにも対処できないほど大きな脅威をもたらすものもいる。こうしたモンスターは21以上の脅威度を持つ。

 

経験点 Experience Points

 そのモンスターを倒して得られる経験点(XP)の値は、その脅威度をベースにしている。通常、経験点はモンスターを倒すことに対する報酬として得られる。しかしDMは、他の方法でモンスターが引き起こす危険が無害化されたなら、その報酬としてXPを与えてもよい。
 別途明記がない限り、呪文やその他の魔法的能力によって召喚(summon)されたモンスターを倒せば、そのデータ・ブロックに記載されたXPを得ることができる。
 経験点予算(XP budget)を使用して遭遇を作成し、難易度を調整する際のガイドラインについては、本ドキュメントにて後述する。


表:脅威度ごとの経験点 Table;Experience Points by Challenge Rating

脅威度 経験点
0 0または10
1/8 25
1/4 50
1/2 100
1 200
2 450
3 700
4 1,100
5 1,800
6 2,300
7 2,900
8 3,900
9 5,000
10 5,900
11 7,200
12 8,400
13 10,000
14 11,500
15 13,000
16 15,000
17 18,000
18 20,000
19 22,000
20 25,000
21 33,000
22 41,000
23 50,000
24 62,000
25 75,000
26 90,000
27 105,000
28 120,000
29 135,000
30 155,000

 

特殊能力 Special Traits

 特殊能力の項目(モンスターの脅威度の後、アクション/リアクションの前にある)は、戦闘遭遇に関係する能力で、説明が必要なものである。

先天的呪文発動 Innate Spellcasting

 先天的に呪文を発動する能力を持つモンスターがこの能力を持つ。別途記載が無い限り、1レベル以上のレベルを持つ呪文は常に可能な最低のレベルで発動され、より高いレベルで発動することはできない。発動レベルが問題になる初級呪文を持っており、かつレベルの明記されていない場合、モンスターの脅威度を用いること。先天的な呪文には特別なルールや制限が付随する場合がある。たとえばドラウ・メイジはレビテート呪文を先天的に発動できるが、この呪文には「自身のみ(self only)」の制限があり、発動したドラウ・メイジのみに効果がある。
 モンスターの先天的呪文は他の呪文と取り換えることはできない。モンスターの先天的呪文が攻撃判定を必要としない場合、その呪文に攻撃ボーナスは適用されない。

呪文発動 Spellcasting

 呪文発動を可能にするクラス能力を持つモンスターは術者レベル(spellcaster level)と、1レベル(かそれ以上のレベル)呪文の発動に使用する呪文スロットを持つ(詳しくはD&Dベーシック・ルールもしくはプレイヤース・ハンドブックで解説している)。術者レベルはそのクラス能力が与える初級呪文にも適用される。
こうしたモンスターは特定のクラスの呪文リストの中から、知っている呪文もしくは準備している呪文のリストを持っている。このリストには、そのクラスのクラス能力から来る呪文が含まれている可能性もある(たとえば、クレリックの神格領域)。
 モンスターは、それが可能な高レベルのスロットがあれば、自分の呪文リストにある呪文のレベルを上げて発動することができる。たとえば、3レベルのライトニング・ボルト呪文を使えるドラウ・メイジは、自分の5レベルスロット一つを消費し、この呪文を5レベル呪文として発動できる。
 モンスターが知っている(または準備している)呪文を変更してもよい。その際はモンスターの呪文リストにある呪文を選び(いくつでもよい)、それぞれを同じクラスの呪文リストにある同レベルの他の呪文と差し替える。これを行なうと、モンスターは脅威度が示すよりもより大きな(あるいは小さな)脅威となる可能性がある。

 

アクション Actions

モンスターがそのアクションをとる際には、データ・ブロックにあるアクションの項から選ぶか、ダッシュや隠行など全クリーチャーが使えるアクションを使用する(詳しくはD&Dベーシック・ルールもしくはプレイヤース・ハンドブックを参照)。

近接攻撃と遠隔攻撃 Melee and Ranged Attacks

モンスターが戦闘中に一番よく使うだろうアクションは近接攻撃と遠隔攻撃である。その攻撃は呪文攻撃かもしれず、武器攻撃かもしれない。「武器」というのも人工の武器かもしれず、爪や尾や棘のような生来の武器かもしれない。様々なタイプの攻撃についてのより詳しい情報は、D&Dベーシック・ルールもしくはプレイヤース・ハンドブックを参照のこと。
 クリーチャーと標的の違い(Creature vs. Target) 近接攻撃や遠隔攻撃の標的となるのは、クリーチャー1体もしくは標的ひとつである。標的はクリーチャーと物体のどちらでもあり得る点が異なる。

 

 ヒット(Hit) 攻撃がヒットした際に与えるダメージや、発生するその他の効果が「ヒット」の項に記載されている。DMはダメージを与える際に平均値を使ってもよいし、ダイスを振ってもよい。そのために、ダメージは平均値とダイス表記の両方が記載されている。

 ミス(Miss) 攻撃がミスした際に発生する効果がある場合、それは「ミス」の項の後に記載される。

複数回攻撃 Multiattack

 自分のターンに複数回の攻撃を行なえるクリーチャーは複数回攻撃の能力を持つ。機会攻撃は1回の近接攻撃でなければならないので、複数回攻撃を使用することはできない。

矢弾 Ammunition

 モンスターは遠隔攻撃に十分なだけの矢弾を携行している。あるいはモンスターが持っている矢弾の数を、投擲武器なら2d4個、ボウやクロスボウなどの射撃武器なら2d10発であることにしてもよい。

 

リアクション Reactions

 モンスターがリアクションとして何か特殊なことができるなら、その情報はリアクションの項目に書かれている。クリーチャーが特殊なリアクションを持たないなら、この項目は省略される。

 

 

モンスターの組み付きに関するルール Grapple Rules for Monsters
 多くのモンスターが獲物に素早く組み付きを行なう特殊な攻撃を行なうことができる。そういった攻撃がヒットした場合、組み付きが成功したかを判定するための追加のチェックを行なう必要はない(攻撃の項目に別途明記がある場合を除く)。
 こうしてモンスターに組みつかれたクリーチャーは、アクションを使用して脱出を試みることができる。脱出の為には【筋力】〈運動〉か【敏捷力】〈軽業〉チェックに成功する必要がある。チェックのDCはモンスターのデータ・ブロックに記載されている。脱出DCが書かれていない場合は、「10+モンスターの【筋力】〈運動〉修正値」がDCであるものと考える。

使用回数制限 Limited Usage

特殊能力の一部には、使用できる回数に制限がある。

 1日X回(X/Day)  「1日X回」という注記の意味は、その特殊能力はX回しか使用できず、使用回数を回復するためには大休憩を完了させる必要がある、という事だ。たとえば、「1日1回」とある能力は、1回しか使用できず、モンスターが大休憩を完了するまで再び使用することはできない。
 再チャージX-Y(Recharge X–Y) 「再チャージX-Y」という注記の意味は、その特殊能力は1回しか使用できず、使用回数はそれ以降の戦闘ラウンドごとにランダムに回復する可能性がある、ということだ。モンスターのターン開始時ごとに1D6を振る。「再チャージ」の注記が示す数字の範囲内であれば、モンスターはその特殊能力の使用回数を回復する。加えて、この種の能力の使用回数は、モンスターが小休憩もしくは大休憩を完了した際にも回復する。例えば、「再チャージ5-6」という注記がある場合、モンスターはその特殊能力を1回使用できる。その後は、毎ラウンド、モンスターのターン開始時にd6を振って5か6が出ればその能力の使用回数が回復する。
 大休憩/小休憩後再チャージ(Recharge after a Short or Long Rest) この注記の意味は、その特殊能力は1回しか使用できず、使用するには小休憩または大休憩を完了しなければならない、という事だ。

 

装備 Equipment

 データ・ブロックには、モンスターの武器・防具以外の装備についてはほとんど記載がない。だがヒューマノイドのような服を着る習慣のあるクリーチャーは、それなりの服装をしているものと考える。
 望むなら、モンスターの装備に追加のアイテムやトリンケットを加えてもよい。D&Dベーシック・ルールもしくはプレイヤース・ハンドブックの装備の章がアイデアを出すのに使えるだろう。その際、そのクリーチャーを倒して回収できる装備がどれほどあるのか、そして装備のどれほどが使用可能なのかを決めておく。ようするに、モンスターのために作られた鎧がPCの暴行を受けた後でも使えるのは稀だということである。
 物質構成要素を使って呪文を発動するモンスターは、データ・ブロックにある呪文を発動するのに必要な構成要素を持っている物と考える。

 

伝説的クリーチャーLegendary Creatures

 伝説的クリーチャーとは、普通のクリーチャーにはできないことができるクリーチャーである。伝説的クリーチャーは自分のターン中以外にも特殊なアクションを取ることができ、中には周囲の環境に対して力を及ぼし、あたり一帯に尋常ならざる魔法的な効果を引き起こす者も少数ながら存在する。

伝説的アクションLegendary Actions

 伝説的クリーチャーは決まった数の特殊能力――伝説的アクションと呼ぶ――を、自分のターン中以外のタイミングで行うことができる。一体の伝説的クリーチャーは伝説的アクションの選択肢のうち同時に複数を実行することはできない。伝説的アクションを実行できるのは他のクリーチャーのターン終了時に限られる。消費した伝説的アクションは、伝説的クリーチャー自身のターン開始時に回復する。伝説的アクションは使用しなければならないものではなく、脱力状態(incapacitated)では使用できない。

 

伝説的クリーチャーの棲家 A Legendary Creature’s Lair

 伝説的クリーチャーについての記述には、その棲家(すみか)について、またクリーチャーが棲家で発生させることができる効果について説明するセクションが含まれることがある。全ての伝説的クリーチャーに棲家があるわけではない。このセクションが付く伝説的クリーチャーは、棲家でかなり長い時間を過ごし、遭遇する場所も棲家である可能性が最も高いものに限られる。

棲家アクションLair Actions

 伝説的クリーチャーが棲家アクションを持つ場合、それは棲家の環境が放つ魔法を操ることで使用可能となる。イニシアチブが20であるものとして、伝説的クリーチャーは棲家アクションの選択肢の内一つを行なうことができる(イニシアチブが同じ者がいる場合は、その中で最後になる)。さもなくば、そのラウンドはどの棲家アクションの選択肢も使うことができない。

地域的影響 Regional Effects

 伝説的クリーチャーは、ただ存在するだけで、奇妙で不可思議な効果を周囲に引き起こす。このセクションではその効果について記載する。伝説的クリーチャーが死ぬと、地域的影響は突然消滅するか、時間をかけて消えていく。

 

Monster List
Adult red dragon, air elemental, allosaurus, animated armor, ankylosaurus, ape, awakened shrub, awakened tree, axe beak
Baboon, badger, banshee, bat, basilisk, black bear, blink dog, blood hawk, boar, brown bear, bugbear
Camel, cat, centaur, chimera, cockatrice, constrictor snake, crab, crocodile, cyclops
Death dog, deer, dire wolf, doppelganger, draft horse
Eagle, earth elemental, elephant, elk
Fire elemental, fire giant, flameskull, flesh golem, flying snake, flying sword, frog, frost giant
Gargoyle, ghost, ghoul, giant ape, giant badger, giant bat, giant boar, giant centipede, giant constrictor snake, giant crab, giant crocodile, giant elk, giant fire beetle, giant frog, giant goat, giant hyena, giant lizard, giant octopus, giant owl, giant poisonous snake, giant rat, giant scorpion, giant sea horse, giant shark, giant spider, giant toad, giant vulture, giant wasp, giant weasel, giant wolf spider, gnoll, goat, goblin, grick, griffon
Harpy, hawk, hell hound, hill giant, hippogriff, hobgoblin, hunter shark, hydra, hyena
Jackal
Killer whale, kobold
Lion, lizard, lizardfolk
Mammoth, manticore, mastiff, medusa, merfolk, minotaur, mule, mummy
Nothic
Ochre jelly, octopus, ogre, orc, owl, owlbear
Panther, pegasus, phase spider, plesiosaurus, poisonous snake, polar bear, pony, pteranodon
Quipper
Rat, raven, reef shark, rhinoceros, riding horse
Saber-toothed tiger, satyr, scorpion, sea horse, skeleton, spectator, spider, stirge, stone golem, swarm of bats, swarm of insects, swarm of poisonous snakes, swarm of quippers, swarm of rats, swarm of ravens
Tiger, triceratops, troll, twig blight, tyrannosaurus rex
Vulture
Warhorse, water elemental, weasel, werewolf, wight, winter wolf, wolf, worg, wyvern
Yeti, young green dragon
Zombie

タグ:

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最終更新:2015年08月03日 19:39