~後編~「奇皇后」チ・チャンウク「ジウォンさんとはお付き合いは…」

韓国で大ヒットとなり、現在NHK-BSプレミアムで放送中のドラマ「奇皇后―ふたつの愛 涙の誓い―」(以下、「奇皇后 DVD」)。その人気は、“守りたくなる男”チ・チャンウクと、“かっこよくて強い女性”ハ・ジウォンの息の合った演技によるものだろう。

「初めての撮影の時が一番記憶に残っています…本当に大変だったんです。これ以上はないというくらい大変でした(笑)。ジウォンさんも人見知りをするほうで、僕もそうなのに、ずっと一緒にあれこれ言い合うシーンの撮影が続きました。初めての撮影が、スンニャンと浜辺で言い合いをするシーンだったんですよ。現場でジウォンさんに会っても、どんなことをどうやって話したらいいか全くわからなくて。女性の先輩だから余計に悩みました。それでやっと「僕はジウォンさんの学校の後輩なんです」と初めて声をかけたら、ジウォンさんは「あっそう? 」と言って、僕も「はい」とだけ答えて本番に入りました。すごく困ったし、どんな話をして親しくなったらいいかわかりませんでした。 

それから二人は、撮影をしながら親しくなっていった。タファン役のチ・チャンウクは、ほとんどのシーンがスンニャン役のハ・ジウォンと言い合うシーンだったため、カメラの前でふざけているうちに、いつの間にか気楽に話せるようになっていた。すると自然に話すことも多くなり、作品についても話したりした。ハ・ジウォンについて「すごく気楽な先輩で、お姉さんで、女優さんだった気がします」と話すチ・チャンウクは、スタッフに「お似合いだ。付き合えば? 」とからかわれると、「丁重にお断りします」とふざけて返した。

実際、初めての出会いでハ・ジウォンとの会話がぎこちなかった理由は他にあった。チ・チャンウクは中学校、高校と男子校を卒業しているので、女性に対して控えめなところがあるという。意外な理由だった。このような面からもわかるように、チ・チャンウクという人間は、軟弱な皇帝タファンとは大違いだ。男の中で育ってきただけあって、男らしい魅力があった。また「兄さん」と呼ぶ俳優の名前がたくさん出てきた。親しい一人はKBSドラマ「ソル薬局の息子たち」で知り合った俳優チョ・ジヌンだ。ちょうどデビューしたばかりのチ・チャンウクは、先輩であり兄のようなチョ・ジヌンと演技について多く語って友情を育み、現在も固い縁で結ばれている。

「今考えてみれば、あんなに演技も上手で、年の差が10もある先輩が僕のような若造とよく話をしてくださったなと思います。ジヌン兄さんには、演技についてたくさん質問しました。その度に一緒に悩んでくれたり『演じるのは大変だ』と言いながらクッパの店でお酒を飲みながら泣いたこともあったり…本当にジヌン兄さんは一緒に泣いてくださったんです。『ソル薬局の息子たち』の時も、イ・ピルモ兄さんやソン・ヒョンジュ兄さん、ハン・サンジン兄さん、ユソン姉さん、パク・ソニョン姉さんといった多くの先輩が僕の手本になってくださいました。そんな先輩方の姿を見ながら僕も成長してきたと思うし、本当にたくさんのいいお手本に出会いました」

チ・チャンウクは多様な作品オファーがあり、最近になって以前にチョ・ジヌンから言われたことをよく思い出すという 

「ジヌン兄さんがこう言ったんです。『どんな作品でも断る時は、自分の身を削る思いで丁重に断りなさい』と。その時はよくわかりませんでした…そんなにたくさんのオファーがあったわけではなかったので。でも今はわかる気がします。僕には一つの役にすぎないけど、作品を企画したり、脚本を書いたりする人にとってはそれが全てなんです。大切な価値ある作品について、連絡をくださったことに感謝しなければならないと思います。最近になって、それをすごく感じます」

再び「奇皇后」の話に戻ると、やはりエンディングについて語らないわけにはいかない。チ・チャンウクは最終話の内容について、台本があがるまで知らなかったようだ。誰も結末を知らない状況で、様々なウワサが飛び交って混乱したとも語った。しかし彼は脚本家との話の中で提案のようなものをしたという。

「脚本家の先生がエンディングはどうしたらいいかとおっしゃったんです。僕は、こうしたらどうかとお話しました。これまでのストーリーの経緯を考えると、そうするしかないかと。だから単なるハッピーエンドではダメな気がしました。でも実際にそうなると複雑な気持ちになりました」

「奇皇后」で一番記憶に残っているシーンはやはり、テファンが少しずつ狂気じみた姿を見せる後半のシーンだ。撮影前に常に演技に対して細かな計算をしたり、悩んだりして最善を尽くすチ・チャンウクは、重要なシーンを前に脚本家から「180度変わった姿を強く表現してほしい」と注文され、まるで舞台公演のように撮影した。

「すごくたくさんの計算が必要だったシーンなのに、時間が飛んだ時がありました。タファンが半狂乱のようになって将軍を一人殺すんですが、5年前に戻ったシーンがその日の最後でした。どうしたらインパクトを出せるか悩みました。その時は楽しい撮影でしたが、すごく長いシーンなのにロングテイクで一発でできました。まさに舞台公演のようでしたね」

チ・チャンウクは5月17日に日本でファンミーティングを行なった。出演作品が日本でも放映され、日本でも多くのファンから愛されている。また映画やミュージカルのスケジュールも続いている。休みたい気持ちは山々だが、「奇皇后」を終えた自然人チ・チャンウクの一番の望みは何か?

「旅行にも行きたいし、ただ何日も家でゴロゴロしたいし、友達とも酒を思い切り飲みたいです。テラスがあるカフェで友達としゃべって過ごしたりもしたいですね。余裕がほしいです。時には仕事のことも考えず、計画もなしに過ごしてみたいです。8か月の間、撮影で感情の消耗が激しかったので、終わったら何もしたくなくなります。だけどそんなに長く暇な時間は過ごせないものなんですよね。長くて3週間かな。休んでいると演技をしたくなってムズムズするんです」