サウス・サタン

サウス・サタン -- 情報屋ジョー・シリーズ

新潟県援助交際白書

      

第一景 プラーカ

 サングラスの男がたった今滑り込んだ新幹線から降り立った。  エレーベーターで続々降りてくるがほとんどセゾンのある万代口に向かい、反対の弁天口に向かうものは少ない。  迷わず弁天口に向かったから目的の男に違いない。浅黒い肌、白いTシャツ、年代モノの上下ブルージーン、女は自分の高校の先輩にそんな男がいたのかと疑った。彼は三十前後、たしか彼が女の高校に入学した時は、せいぜい幼稚園に入った頃だろう。顔を見たってわかるはずがない。  ホームからエレベーターで降り私が張り込んでいる「子供の広場」の前を通り過ぎた。五分前に上りが出発し十分後、彼が到着し、そして私は三十分後の上りに乗るような化粧をしてずっと見張っていた。オトコに「オマエと同じ高校だそうだ」と言われてやってきたが校内ですれ違ったわけでなし、出て来るんではなかった。ただ私の父が依頼した今度のデクノボウをどうやって料理してやろうかと手ぐすねひいている。

「最後に適任者を送ります、娘さんと同じ高校の卒業生です、土地感があるから適任でしょう、彼は外人部隊経験があり銃器も扱えますから」  ランダン探偵事務所の営業はいつもこの調子である。  依頼人は校内の入ったばかりのパソコンで探偵事務所のネットにアクセスして経過を知ろうとしたが、ついにつなげずしまい。相手の事務所はこちらの心配を見すかしたようにそれだけ依頼人に電話で告げた・・・私たちはいつものようにその電話を盗聴していた。

 連絡橋を降りプラーカ3の手前まで人を三人挟んでつけた。三台つながる電話ボックスの一番プラーカ寄りに身を隠し電話をするふりをして男を見守った。設置する駐車場から白いクラウンに乗り込んだ。  上着を脱ぎ捨てた彼の胸にスタンガンのホルダーが見えた。自分の仲間のビラ張り達も粋がってそんなものをつけている。私のオトコが電波雑誌の通販の広告で買ったものだがあんなオモチャを平気で持ち歩いている彼はペテン師かよほどの臆病者なのだろう。

 父が雇った新しい探偵の人相の顔を見定めた私に小太りの中年が話しかけた。 「失礼ですがワシントンホテルはどこでしょうか? 」  私は南口には通路が二つあり一つがワシントンホテルにつながっている事、そして相手の男が出てきた通路はそれとは違う事を丁寧に説明した。男は五十にさしかかるほどの年齢でこの土地ではあまり見れないパープル系のスーツを着ていた。「ああ、今日も間違えてしまった、電話ボックスが六つ並んでいる方だと聞いていたのに、お嬢さん、どうもありがとう」

 私はどうもその目が気になった。一人だけ佐渡から出てきた女子高生のマギーが鳥屋野潟のホテルで売春現行犯でパクられた時、プラーカ3の前の私たちの「待機所」に一人の中年が降りてきて「今日は一人でアキナイかい?金が欲しいのはわかるが、佐渡からわざわざ出てくるほどの商売じゃないぜ」と通り過ぎたそうだ。その男がいま道を聞いてきた男だとしたら、尾行されていたのは私の方なのだ! (注意)  SADOの女子高生がなぜ県警にねらわれたかは定かではない。純情で人を疑わない彼女らがマスコミに操られ警察も含めた「大人社会」にねらわれたのは確かである。

 どうやらつけられていたのは私の方だ、私は駅通路の下の駐車場に走った。側溝を越え道路に飛び降りる。彼が走り去った道だ。赤いポルシェのドアを閉じ終わらないうちにエンジンをかけ発進させた。昼寝していた運転席の私のオトコは吃驚している。  尾行車はどうやらないようだ。杞憂に終わりそうだが彼らは接触してきた・・・中年のサムはその車を連絡橋の窓から確かめていた。「ひょっとするとオレが新潟に入るとき誰か現れるかも知れない」というジョーの予感があたったわけだ。  

第二景 東急イン、シャングリラ

 ランダン探偵事務所第三分室構成員 J 情報屋ジョー   年齢不詳 推定30歳 フランスか  ら帰国 S 事件屋サム   年齢不詳 推定55歳 元広域暴力  団トップのうわさ R ル ン 年齢18歳             パソコン少女 分室秘書

 ホテルのフロントには渋谷事務所のルンから通信端末機とファイルが届けられていた。ジョーというファィルはジョー専用書類という意味である。テキ屋の名古屋の春日井一家(ツーショット・クラブの全国展開業者)がしぶしぶ提出した情報によれば駅周辺に関してテレクラは北口に二軒、南口に二軒。北の一軒は古町に売春婦を泊めている。南のボックスにマジックインキで「おこずかいの欲しい高校生」とその下に電話番号を書くほどの大胆な組織である。掃除人はせっせと風俗ビラは捨てるが電話機の落書きは一ケ月も無視し放置する。それでも利用者から苦情が出るとしぶしぶシンナーを持って消しに出てくるがその怠慢さは組織にありがたがられている。 (注意)   新潟の電話会社の電話ボックス掃除予算は全国でも最低 水準。

 電話会社が直接雇用している掃除人は皆無で、ボランティアだという横柄な態度は仕事に出てしまう。勇敢にテレクラに直接抗議電話すると店長が出てきて「つぶれた売春クラブの人間がウチをつぶそうとしてわざと落書きしている」といつも弁解する。チンピラの常だが話を広げて相手をケムに巻く。警察は金曜日だけの堅実な投函をするテレクラを検挙してトップと組み売春組織の秩序関係を維持しようとしているだけだ。つまりこの町の主要な産業が新潟奉行の時代から売春であることを気づいている。

 そのファイルにたったいまサウスで撮影された玲子のデジタル写真が追加された。渋谷からダウンロードされたその写真には顔をいじっているというルンの参考意見がついていた。瓜実顔で色白、典型的な新潟美人で地元の観光産業主催の大会でミスをとったが、道玄坂あたりへ行けばいくらでも転がっている顔である。

 市内全域のボックスに軽自動車二台でビラとステッカーを貼っているのが「たぬき」。広告代理店あがりの男が参謀でバイトの巻いたチラシ・チェックでホンダプレリュードを走らせている。キツネのように用心深い男で続けて電話ボックスには入らず何時間でも時間をかけて一つ一つチェックしている。受話器をひっかけるフックに小さなステッカーを貼っているので点検のために中に入る必要があるのだ。自分でも貼っているというわけだ。サムにホンダをマークされてからは「軽」を指揮車にしている。

 新興ベットタウンT市は西に一時間ほど車を走らすと到着する。駅を確認してサムはジョーを郊外の一軒屋に連れていった。最終の電柱から五十回線分のケーブルがその家屋に確かにひかれていた。烏がその上を飛んでいる。空地をはさみ玉ツバキの垣根で車両は隠れていたがワゴン車が止まり一人の男が家に入った。どうやらサムは相手を捕捉しているようだ。赤いポルシェが到着する。玲子は付近を不安そうに観察したがすでにジョーの車は新潟ナンバーのマツダになっている。先行尾行されていたのだ。 「ツーショット倶楽部の本拠地はアレなの?」  ジョーは遠くの家を顎でしゃくった。 「たぶん」 「ヤクザ?」 「北海道本籍で流れモン」  サムは薄くなった頭髪をかきながら事務的に言った。 「盗聴もやつら?」 「無線機を車に積んでます、735Kヘルツに固定して、盗聴器をつけてると自白してるようなもんです」  月五千万が高校生を含めた売春婦にわたっており地方都市としては多すぎる。売春産業をメイン観光業としているのだろうか。 「やはり日焼けサロンや洋服のため?」  ジョーは高校生のカセギの使い道を聞いている。 「都会と違って自分に投資しない・・・事務所もないようなミュージシャンに貢いでいるのが多いんですよ、向こうのウリ専の中学生がこちらの高校生のオツムと考えて下さい」 「いったい、どうなってるんだ、ここの警察は?」 (注意)   このあたりの事情は「財界新潟」に詳しい。

 今回の探偵事務所依頼事件はレイプ事件。被害者は私立M高校在学生。古町の芸者に産ませた娘で中学まで母親と同居、本妻が事故死した時点でひとまず娘だけ引き取った。その娘が高校入学直後失踪、直前、伝言ダイヤルで会った男にレイプされたことを告げていた。  犯人は告発せずに発見し相応の処分、そのテレクラをつぶす事、それから家出した娘の保護だ。くだらない事件を引き受けた背景には所長とこの父親のクサレ縁があるようだ。数件の事件を抱えていたジョーチームからルンが名乗り出てサムが応援、続いてジョーまでひき吊りこまれこの依頼者の電話を受ける羽目になった。 「金のことはいわん!但し時間がかかるのは困るんだ、相手を生かしておくわけにはいかない」 「殺せということですか」  ジョーはこの男の言い方が気にくわない。 「・・・もちろん殺したい位だ!私のたった一人の娘なんだ」 「一応、その方向で行きます」  相手は、「なにもそこまで」と打ち消そうとしたがジョーは電話を切ってしまった。依頼人と初めてジョーは話した。ルンは長い足をジョーにむけその会話を聞いていた。どことなく新潟に行く事をイヤなような投げやりな会話だ。ルンは相手の電話にしかけられた盗聴器の品番は調べていたので、ジョーに会話の内容に注意するように言った。ジョーは盗聴されていることを承知で自分が新潟に入る日を依頼人に告げた。ルンは「休暇明け」のジョーが新潟に行ってくれることを知りうれしくなった。

 ジョーはホテルの部屋のベットの上で長い足を投げ出している。  薄い紫のスーツでサムが傍らのイスに腰掛けている。三ヶ月見ない間にずいぶん健康的な顔色になっている。  九十万で物件を借りて百五十万で八室の内装をさせて二百五十万で電話をひいてサムはテレクラを一軒でっちあげていた。名前はマイケル、場所は北口、雀荘の二階、駅から歩いて十分はかかり便が悪い。アルバイトにボックスに入れさせていたビラは全部同業者に捨てられ、妨害電話は十分おき、男の客のサクラのサムはフリーダイヤルでイタズラ電話を掛けてくるダミ声の同業者の男を誘ってオカマ遊びでもしようと思っていたくらいだ。相手は料金がかからず直接、客を脅かす方法を取っている。田舎モンにしては賢いが品のないいやがらせだ。せいぜい男用の電話にかかってくるくらいだと思っていたサムもあきれていた。フリーダイヤルにイタ電して客を脅し、新しいテレクラをつぶそうとしているからだ。 (注意)   このやり方は所得税法違反で摘発された「電話魔王」や 新潟の田舎業者が得意だった。

 ジョーと久しぶりに会ったというのに持っていた携帯電話にひっきりなしにかかってくるフリーダイヤル、援助交際の申込みにサムはまんざらでもないような顔をして応対していた。サムはすでに小遣いをつかませたサクラから玲子が新潟にまだいることを聞いている。  サムの舌づかいで相手の女はイッタらしい。趣味と実益をかねているはずだ。  しかしサムにとって都合のいいことにまもなく熊倉と名乗る男から脅しの電話があり彼が新潟中のテレクラに電話を入れてボックスのビラの位置まで指示していることがわかった。警察は彼と組んで情報を得る方法を選んでいたのだ。黒幕の正体はたぬき、この男がどうやらボックスのステッカーの位置を調整し警察の小間使をやっているようだ。 「おい、オレは警察の**にも小遣いをつかませてるんだ。ボックスに入れたきゃ毎月10万振り込め!」 「テレクラをつぶせといわれているのに、もう一軒つくるとはどういうことよ!」  ルンはカンカンであるが熊倉は仲間だと思って飛び込んできた。成果は早かったわけだ。

 水の都市を思わせる柳並木だが駅方向の一方通行にしてしまいこの通りの商売は左巻きの客しか集まらず開店休業、バス会社の予定通り駅のバスターミナルのためバス待機所になってしまった。大型バスは時間調整のため三台も並び、エンジンをとめないので音はマンションの上まで上がり、赤ん坊は眠れず柳は大量の排気ガスで顔色を変えている。サムの造った「おとりテレクラ」はこんな道路のハジに位置していた。  援助にはまり家出した高校生達はどこに消えているのか。新潟のツーショット・クラブの熊倉が丸抱えしているはずがない。風俗に売り飛ばしているのは間違いないとしても、どこに供給されているのだろう。ルンが東京で芸能プロから興味深い話を仕入れてきた。  新宿のAVプロダクションで新潟から二名スカウトされマンションに軟禁されデビューを待っていたがスカウトマンをつかまえると熊倉の紹介だという。プロダクションから上客を紹介され顔、胸の整形をほどこされエステに通い夢にまで見た生活を手に入れている。オーナーは禿薬、冬虫夏草、拳銃にまで手を出している輸入商である。新宿のワシントン・ホテルでオーナー自身のいかがわしい最終面接で彼女らのデビューが決まる。この地方都市はやはり都心とつながっていることは確かだ。都心への欲望供給都市であることは間違いない。

第三景 イタリア軒

 ジョーは上の階のレストランで朝食を取り依頼人の校長が警察から事情聴取されたことを知った。売春から抜けた高校生を仲間が学校まで脅しにきて拉致しようとしたのを生活指導担当の教頭が元教え子の準構成員に頼んで校外で話をつけさせたのが真実だが、市民がそのやり方に疑問をはさんだ。同時に校長は自分がねらわれていると思った。元から外部に出せない事件はチンピラに頼んでいたし、このたびばかりそういう話が外に漏れるのは準構成員が漏らしたからに違いないというわけだ。  いつのまにか教頭の背後関係追求が消えて校長の責任論に問題がすり替わって報道されていた。娘に家出された校長は相手が意外に力を持っていることに気づきだしていた。

 依頼人は焦って電話をかけてきたが彼も自分の配下の教頭がまだヤツラと仲間だと信じていないようだ。いつも彼は自分の地位を守るために教頭の暗い人間関係を使い教育界でのし上がってきた。校内でしつこく二人組の女を暴れさせたものは依頼人への揺さぶりのつもりだったのだが彼はまだ部下が自分の仲間だと思っていた。

 サムは入口で給仕に挨拶しながらレストランに入ってきた。片手に新聞を持ちやはり暗い表情だ。サムはこのホテルに泊まっていた。いずれもカウンターの前を通らず客室に出入りできるホテルだと売春婦に聞いていたからだ。 「ジョー、顔が連中にバレてよかったのかい?」

 サムは新潟駅で玲子に探偵が顔を見られたことを責めている。

「いいのさ、盗聴器はあのままでいいよ」

 最初は保安器の故障だと思ったのだが念のため、依頼人の家に深夜行くとヒューズに見せかけた盗聴器が玄関脇のボックスの中から出てきた。サムはそれをそのままT市の彼らの牙城に設置することを進言したがジョーは首を縦にふらなかった。  サムはため息をついた。相手が相変わらず攻勢を保ち、こちらは依頼人との会話を盗聴されたままにして劣勢なのだ。依頼人まで新聞沙汰になっているのだ。   ジョーは貝料理にフォークを差した。サムはウェイターを呼び同じものをくれと注文した。

「依頼人の高校がたいへんらしいね」 「ああ、生徒がヤクザから足抜けしようとしたんで、仲間が学校まで連れ戻しにいったらしい・・・今回は熊倉がマスコミに流したんだろう」 「学校はなんか生徒に不祥事があると地回りにいつも頼んでいたの?」 「ジョー、そんなもんだよ、依頼人はいつも部下の教頭に闇の仕事をやらせていたんだ。定年したら自分の私立高校にひっぱろうとしていた」 「タレこんだのは依頼人に対する挑戦かい?」

ジョーは地方都市のさわぎに関心をもっていた。 少年ヤクザにも恩師がいて地元の高校を卒業していてそれを教師が使っているというたわいない話なのだが、今回は依頼人に熊倉から当方に警告が来たかたちだ。ブン屋の代理人をよこしたわたけだ。

「オレに対する牽制かも知れない、玲子の親方は十九のガキの頃、ヤクザから売春クラブをまかせられている、そして古町のカフェバーを昼間、時間かりして金をためた。それからツーショット・クラブで大儲けしたんだ」 「警察に玲子を保護させても学校は退学になるだろう、単位が取れない、新宿から逃げだした女がいたろう、あれの後がまで玲子は上京するかもしれない」  「ルンの情報だな」 「サウスのホテルには行かないの?」 「あそこは仕事場だよ、毎日行っていたから、住まいと仕事場が一緒というのはどうも困るんだ」  サムは笑った。たしかにうなづける。サウスのホテル、ワシントンホテルのすぐ下は女子高生がクラブの客をつかむ南口の六連ボックスがある。売春のメッカだ。そろそろ、新潟の状況をサムから聞くときだ。

第四景 ワシントンホテル

 このホテルからはサウス・ジャングルの様子が丸見えだ。中央に茂み、丘。

(南口の一日)

 朝五時  清掃人が右まわりでボックス清掃、パートの婦人。
 朝九時  たぬきが出現。ビラとステッカー。
 正 午  たぬき ビラ点検。
 午後三時 北口テレクラビラ入れ
 午後四時 たぬき ビラ点検
 午後六時 ホテトルがビラ入れ
 午後八時 ホテトル二回目点検 
 午後九時 たぬき ビラ最終点検
 その他にビラはり多数入場。

 最強の熊倉のクラブは一日に三回まで市内全域をビラ巻きで廻れる体制になっている。自転車でゴミ箱と電話ボックスをのぞき込みながら南口をゆっくり自転車で巡回している男は、ホテトルのビラ入れのための駆逐艦で当日の様子を点検している。池袋あたりの浮浪者と同じスエた匂い、ウス汚れた労務服を着た五十前後の男である。彼は熊倉の下で働きながら偽造テレカの材料の使用済みテレカの回収といったアルバイトもやっている。  この男は古町モールにも現れる。白山神社方向からマサヤコウジ方向に走り万代橋手前のボックスまでマメにのぞき込んでいる。  南口プラーカ1前の六連ボックスを通り過ぎる。耳にはいつものようにイヤホンをつっこんでいる。人通りのないプラーカ2の横道まで来て胸ポケットから取りだした小型受信機をサムは見逃さなかった。どうやら警察無線を傍受しているらしい。なかなか侮れない男のようだ。サムは千葉県で乞食に化けて調査活動をやっていたがこのキャラクターを奪われた思いだ。

 平日、北口ロータリーにはタクシーの苦情もなんのその六時にホテトルビラ巻きが集まる。サーファーのようなチンピラ三名、取り仕切る中年は三連ボックスから一定の距離を保ち監視している。終わってからもワルびれず世間話して逃げ去るようなそぶりは見せない。この三連の一番先のボックスで朝、五時、すべてのボックスの残りのビラの枚数を報告する男もいる。感心なことに責任者柴犬は本署から自分を捕まえに来ていることを知っていながらわざわざ出かけてくるのだ。通行人に化けている警官は得意になって柴犬の入ったボックスに合流するがどっちが役者なのかわからない。  検挙自体は数日前、PTAが20人でサウスをうろつき警察に「お願い」していたからサムも柴犬も知っていたのだ。  小遣いをつかませている警官が駅前の交番にいると彼らは邪魔者を排除するために警官を使う。キツネの指示でバイトの女に110番させ、ビラ掃除のボランティアを「わたし、痴漢されました」とその男を逮捕させるのである。案の定その警官が最近もキツネに挨拶しながら善良なボランティアの腕をねじ上げて交番に連れていったとのうわさだ。  ホテトルのビラはりはその後サウスにに現れる。  和食屋や寿司屋の職人のような短髪でスポーツタイプが土日は自転車で南口にビラを貼りに来る。通称、柴犬。自営業者が持つような小さな写真の大きさのビラを一枚一枚ガラスに貼っていく。前日のものは大切にバックに戻し持ち帰る。  古町キャブストリート四カ所については白い乗用車で四人の男が一気に飛び降りて貼っていく。売り上げの上がらない彼らのおかかえの売春婦はサウスで一本釣りに切り替える。高校生と一緒だからシャレにならない。

 サムは県庁にも出向いていた。児童福祉の課長は児童保護のために年に一度街頭でビラを撤去していると胸をはった。一日に一回の間違いではないか、と相手にするのをよして警視庁の知人に相談した。  ある日、新潟県青少年健全育成条例の改正陳情書が野党事務所に届けられたがすでに他県で成立した改正条例が不勉強な議員のために添付されていた。もちろんおとり捜査もどきで高校生をホテル連れ込む警官の写真もおまけにつけていた。サムの嫌いな共産党は岐阜県条例案を独自入手し少しは尊敬する気になっていた。 (注意)   平成7年9月19日滋賀県議会提出。日本で初めてのテ レクラ規制条例。新潟県では共産党がイチバン早く取り寄 せていた。

 警察・県の体質を打開するために議会を動かしあとは「長年の売春業者との癒着」をどう壊していくかが事務所の主眼となっていた。サムにとって「パチンコ業者」との癒着よりたちが悪く難儀な仕事となった。相手は意外に警察と仲良しなのだ。新人警官を駅前のパチンコ屋に「挨拶」にいかす習慣は市民に目撃されていた。 「サム、あんたが持ち込んだんだろう」  岐阜の春日井一家は県条例改正ではなく「風営法」改正を陳情していたが県条例改正でお茶を濁され不安だった。そのことをジョーは知っていた。見方を変えると春日井のような業者にとってテレクラが許認可事業になるいいチャンスだったのだ。 「いったい、いつからオレはこんないい人間になったんだい」  サムは市民グループをそそのかして陳情させたことを認めず苦笑していた。結果的に新潟は他県との便乗改正に成功した。

(注意)   改正条例は平成8年10月1日施行。新潟県警はまだこ れをもてあましている。もっともその前に信販会社が手を うっていた。ツーショットクラブの料金回収システムは解 決済み。

 テレクラは未成年の女や中年主婦を好んでビラ巻きにつかう。生活、貧困、仕事のキーワードに警官は弱いようで摘発を少なくする方法である。  ドーベルマンが出資したボランティアは何度も警察官に痛い目にあった。米山踏切の手前の靴屋の主人は居場所が通りに向いているので女がビラをおいていくのを毎日見ていた。「貼ることは違法だが貼ってあることは違法でない」と沼垂交番移動中の警官はカカワリを避けて走り去った。 (注意)   軽犯罪法第1項33号後段。警官グループはこれを自分 のさぼりの根拠にしていた。県警少年課は新潟駅構内に観 光パンフと一緒に紛れ込ませていたテレクラビラを廃棄し たボランティアに対して「元に戻せ」と叫ぴ失笑をかった。

 笹出線のパトカーは新幹線が縦断している手前で休憩していたが目の前のボックスにビラを貼りながらパトカーとデートしている車を現認できなかった。ボランティアの追跡車の邪魔をしたたけだった。警察が共犯なのだ。  ネズミを取らない猫は黒い猫でも白い猫でも悪い猫だ。その猫が全員、事務所の手によって特定されていった。  鉄道機動隊の巡回はプラーカ3入口から入り途中、連絡橋から電話ボックスを覗いているが五十メーター離れているので逮捕は無理。ビラを確認しようとせず今度は物陰から女子高生を覗き、高校生の喫煙を見つけて女子校生に近づいた。得意になって学校名と名前を聞き手帳に書取りプラーカ1へは回らずプラーカ3と接するけやき通りを左折して北口に戻る。プラーカ地下室で遊んでいる民間警備員と同じ散歩である。サウスの見張り番は巡回警官に撤去ビラを渡して逮捕活動に参加させようとしたら彼はそのビラをコソコソとサウス中央のゴミ箱に捨てて立ち去った。   ジョーは渋谷で「小学生拉致事件」がこのサウスで起きたことを知った。ロリーター専門の犯人が亀田刑務所からどうしてこの重要警備地区と当局が宣言している南口を犯行現場にできたか気になっていたが、サムファイルでボックスの様子と警備状況を知り納得した。おまけに売春クラブのビラはその小学校前のボックスまで見事に入れられている。犯人はサウスの放つ匂いに呼び寄せられたのである。

県警はマスコミの記者会見で「事態はいたちゴッコ、取り締まる法律はない」と居直った。ジョーはさすがにこの県の状況にあきれはてた。都下の警察のように道場に全経営者を集め能書きを垂れ自主規制させるか、電話でビラ規制を警告すればすむ話だ。逆らったら検挙する体制に入ればすむ。業者はボックスの場所を決めたり総合案内のパンフを刷って自主規制する、それで終わりだ。取締りにセンスがないだけの話だ。  ドーベルマンはたぬきラインの伝言を全部解明して、回線停止を進言したがジョーはそれを却下。開発者に罪はない。 「しかし、全部売春の申し込みですよ。ヤツラは削除する気がないんだ」 「あと何台、田舎者に機械は売れたの?」  ジョーは健全な大人の遊びならつぶす気はさらさらないのだ。 「今年になって長岡と新潟に二台」 ジョーは窓の外の246号を見つめた。  朝、九時、娘達の午前の商いが一斉に始まる。サウス六連のボックスにずらりと入った中高校生が伝言で売春の申込をしたあと、ポケベルを全開し、ツーショットに電話をかけ出す。投網を放っておいて一本釣りもするわけだ。伝言、ツーショットを併用するもの、どれか一つしか使わないもの、それをサムは教えてくれた。別々のボックスに入っていても仲間のことがあること、約束の出来た高校生からプラーカ1の非常階段の影に移動して目的の車がけやき通りに入ってくるのを待っている。「お前みたいなのに五万も払えるか」と逃げ帰る自営業者もいるが、遊廓の顔見せでも見物に来ているつもりでしょっちゅうそれを繰り返している。  縄張りは別れていてプラーカ2の三連には専業売春婦、車に男を見張らせて北口テレクラに当日の客数を確認しアポを取り、引き続き受付にその男が出たかどうか聞いている。店は売春してくれる女を全部覚えていて柔らかい管理体制に入っている。

このサウスの環境を死守しているのがプラーカ・グループである。彼らが雇っている警備会社のモニターには電話する高校生が一日中モニターされている。まず、店前でこんな商売をさせているデパートにはまともな客は入らない。客が減り、またへんなのが集まる。悪循環の繰り返しだ。まともな女はまずこんなボックスには入らないだろう。しかし、売春婦の運ぶ金でアキナイになるとこのビル管理会社は錯覚している。

 サムは六連ボックスにビラを入れていた。ジョーは遊び半分の巡回をしている警官を見つめている。携帯電話にフリーダイヤル転送がかかり出す。ジョーは試しにとってみた。サムがとらなければ渋谷に転送になる。目の前の高校生が自分に電話をしているのだ。 「ねえ、少し援助してくれる? ウン南口、私の服装は下が黒のキュロットで・・・」  やがてボックスのどの口パク女と自分が話しているのかわかってくる。援助交際の中高生がポケベルとピッチ(PHS)で武装しているのは事実だが、探偵事務所のネットワークが応用されれば彼女らの後ろで電話を受けることくらい容易なことなのだ。  サムが駅前の事務所で女からのフリーダイヤルを受けていたことなど一度だってないのだ。サウス六連の中の一人と自分がつながっていることにまもなく気づく。 「ウソつけ、赤だろう、上が黒だ」  サムが電話をとって怒鳴っている。女は振り向く。ジョーは笑っている。  目の前のボックスで服装を指摘された女は狼狽している。サムはこんな遊びで暇をつぶしていたわけだ。  そして深夜一時すぎ、すべての在来線が終了し、商いが終わる。常時ナンパ車、三時、五時にはパトカーが右まわりでタクシーレーン、バスレーンと眼鏡フレームの軌跡を描き、最後の売れ残った女のダボハゼをそれぞれの目的で漁るわけだ。売春の客がつかめなかった女、また一仕事終えた高校生が彼らの車に乗る。

第五景 渋 谷

 話は少し昔になる。  ジョーはルンと事務所で向かい合っていた。第三分室はビルの高層階にあるがエレベーターはとまらない。脇を通る246号と同じように眠らない部屋である。  ミニスカートのルンが時々、京都弁のようになまるのはどうしてだろうと考えていた。 「*と四桁の暗唱ダイヤルで外部アルバイトの女が伝言を吹き込んでいるのよ」 ルンから報告があった。雇用関係のある女が「売春の申込」をしているので「管理売春」を立証しようとしている。そんなことは警察の仕事なのだ。探偵事務所は真実がわかればいいのだ。  シブカジにとってもらったせいで新潟の田舎女のコールはどんどん増えている。売春高校生にはサムは必ず小遣いを渡して情報を得ていたから、ほぼ全員に「お金持ちのおじさん」は知れ渡り客の職業を連絡してくる女もいる。

 泰平橋をわたったコンビニ待ち合わせの女がバイト代八万の振込があり、会社に悪いからたまに会って売春するようになったとペラペラ喋った内容も渋谷で録音された。どうやら田舎の高校生はサクラもできないらしい。

 T市の未成年が売春現行犯でパクられたのだがプラーカ3の前で他二名とまた商売をやりはじめていた。彼女とサウス・ベンチで会話していた男がどうも警察官らしいこともわかった。取調室でやるべき聴取を彼はなぜ東署管轄のベンチでやっていたか。ジョーは暗闇で取られた写真の引き延ばしを事務所でいつまでも見ていた。アサマラ巡査部長に違いなかった。 (サムだけでは新潟は無理だ)

下級警察官は現状を把握していて余ろくにあずかろうとしているのだ。 ジョーはこの写真で探偵として新潟行きを決心している。それまでは現地のサムに指示を出すだけだった。 「ルン、警察を動かすのは無理だ、張り付けにしてサウスにボランティアを入れよう。その方が早い。警察はのんびり利権の発生するチャンスをねらっているだけだ。これは君らの仕事だけど手伝ってやろう、新潟へ行ってもいいよ、上のチーフに第三分室受託事件に切り替えると伝えてくれ」 「ホントー、あんなにイヤがっていたじゃない」 「君の給料が上がるいい機会だよ」  ルンは感激して涙ぐんでいる。ジョーの机の上にはむこう五年分の仕事がのっているのを知っていた。彼女の出身地の事件で強引にチーフからもらい受けてきた仕事。総額で500万程度のチンケな仕事なのにだ。 「ツーショットはみんなおかしいけど、たぬきは売春クラブそのものよ、儲けるだけ儲け、どんなこともやるって感じよ、警察に遠慮がないわ、経営者はヤクザじゃないわね」  まともなヤクザなら警察に遠慮するというわけだ。 「サムに援軍を頼むよ。人間じゃないネットワーク、テレクラの回線の増設だよ」  ジョーは深夜、新宿のドーベルマン(日本で最初にツーショット機のプログラムを書いた男)を呼びルンも交えて細かい指示を出した。 「たぬきのは安物の機械で232Cからいつでも外線で停止にできる」  ドーベルマンはルンに機械の細かい仕様を説明した。彼は機械を全国に売り渡す条件に「電話ボックスに宣伝チラシを入れるな」という条件を出していた。彼は開発当初から機械が無能な経営者にわたると社会に実害が及ぶことに気づいていたのだ。

 ルンは数日後新潟のジョーを追いかけてホテルに現れた。  戦前のクロスバー交換機のままの市街地に五十回線を渋谷局で購入して一週間以内に移転して引き込むと笑った。 「ジョー、マイケルには入らないから新発田に引いたわ、頼まれたプログラムもOKよ」

 伝言ダイヤル 4回線  ツーショット 16×2回線  マイケルの限度は回線が増設できないことであった。  この他に新発田に50回線。  有能な秘書は新発田にテレクラでも作るつもりなのだろうか。サムが偽装テレクラを造ったときあれほど怒っていたのに。ルンは受付の電話を渋谷に転送しているので熊倉のイヤガラセ電話に嫌気がさしていた。  ジョーの支配下になり一気に勝負を掛けてきている。  ルンはもう容赦しなかった。ヒサシの長い帽子を反対に被り縦長のヘソを出してバストの下のラインが見えそうな短いTシャツで万代口に降りてきたときサムも思わず口笛を吹いた。 「スッゲエ、新潟のネエちゃんとはやっぱり違うねぇ!」  ルンもまんざらでもない顔をした。  最初はアルバイトを雇って「たぬき」の伝言つぶしをやっていたが、しまいには面倒くさくなり「リダイヤル10秒設定」のプログラムを書きモデムに自動電話させて漫画を読んでいた。ほっておくと一日で8,640回、たぬきに電話が可能である。50回線で432,000回、フリーダイヤルは封鎖される。しかも助平な客がそれをとり続ければ一日で四百万円の通話料の請求がくる計算だ。  定期的に電話に出る男もわかった。相手の声は録音され常連・経営者周辺と波形が照らしあわされている。音が悪く波形を一致して特定することは困難であった。ねっとりと間延びした声、どうやら耳に頼った方がよい。いつも客の少ない時間帯に取る男、これはキツネと熊倉の声であった。  109の待ち合わせが古町、ハチ公が新幹線通路のタマ公と言い替えればいいわけだ。ルンは笑いをこらえながら田舎の男の相手をしていた。玲子の声が伝言のサクラに使われるのをひたすら待っていた。

 南口に姿を現したサムは知らない男に話しかけられた。警察学校入学のギリギリ身長で、底意地の悪い目は警官そのものだ。熊倉に聞いた新しいテレクラ「マイケル」のビラ巻きの顔を確かめたくなったのだ。二階にあたるプラーカ2,3の連絡通路から六連ボックスを見つめている。 「旦那、菓子おりも賄賂ですぜ!」 「・・・」   上には上がいるもの。アサマラはサウスでは誰にも見られていないはずであるがワシントンホテルの窓から彼の姿はよく見える。  頬がピクンと動いた。他ならぬ熊倉が脅迫電話で自慢していた話なのだ。キャリアの遵法精神にアキアキし親しい犯罪者と二度三度調書を取っていた間に彼と組んだ方が仕事がやりやすいとふんだ並みの田舎巡査なのだ。 「貴様はマイケルだな、どこの組だ、たぬきにイタズラしてるらしいな」 「ボックスにビラを巻いて電話しろと宣伝してるから電話してやっただけでさあ」 「イタズラ電話だろ!」 「テレクラに都合のいい売春の勧誘以外は全部イタズラ電話になってしまいますぜ、それとも女にいって売春のお誘いでもさせますか?そっの方が警察好みかな。ダンナ、楽ばかりしてると首が飛びますゼ」  過去数カ月収拾したビラの枚数の数字、売春婦のリストを鼻先に突きつけた。アサマラはその用紙の匂いをかいでいる。 「どこのテレクラから金をもらってるんだ」 「用事があったらいつでもどうぞ」  サムは顎で巨大なワシントンホテルを顎でしゃくった。アサマラは自分のポジションが丸見えだったことを知った。たぬきのビラ巻きを黙認してPをパクらせたことも彼は見ているに違いない。熊倉に東京からの進出テレクラの情報を流させていたこともだ。

 チップを大目にやっていたフロントからアサマラが宿泊者名簿の内容、いつからいつまで部屋を予約しているのかと聞いてきたと報告があった。「帰りの新幹線のキップを取ったらオレに連絡しろ」といっていたとつけ加えた。ランダン探偵事務所にキャリアOBがかかわっていることを知らず彼は動きすぎていた。彼はサムたちが東京に帰る日をつかんでどうする気なのだろう。

第六景 ホテル・アクアピア

 サムは春日井一家(テキ屋)に新潟進出のチャンスを与えて、マイケルを格安の一千万で売却した。ルンの他店売り上げ管理プログラムはおまけだ。条例改正はM新聞のTは阻止しようとがんばっているが世の中の人は正論が好きだから議会は通すだろう。もっとも県警記者会見にたった一人つきあい「ちょうちん記事」を取材記事として書いていた地元紙よりはましだ。 「援助交際をそんなに悪いと考えていない」ブン屋は「条例を改正すればすべてが解決するのか」と結果的に熊倉を驚喜させるコメントを発表した。

春日井は自分が譲り受けるテレクラにフリーダイヤルが一回線しか入ってないとわかり激怒していたが、後の祭というべきだ。玲子の所在が確認されたいま、渋谷転送をやめ、サムの個人用の一回線しかないのだから。しかしサムの功績で女からの電話は鳴りっぱなしだから彼は得な買い物をしたはずだ。

スキャンダル雑誌記者は、チンピラをそそのかして記事を書く。  彼もまた「売春取材」でサウスを毎日取材していた。ビラ撤去の最中、アサマラに逮捕されたボランティアに無理を言って「告訴状」を提出させて記事ネタをつくったが、警察は口裏をあわせて身を守ろうとした。アサマラはでっちあげの痴漢の現行犯でこの熊倉の商売の邪魔をする男を威嚇しておくつもりだった。しかし、雑誌記者の手はず通り、「マスコミ」にリークされテレクラに甘い顔をできなくなったことは事実だ。肝心の女の「証言書」は記者がこの男に届け「キツネに頼まれた」ことを立証してやったが彼も使う気はないらしい。この県の行政機構が完全にさび付いていることを彼は目の前で見ることができたし、第一彼は交番に連れ込まれたあと、このアサマラ巡査を特別公務員暴行陵辱罪の現行犯で逮捕している。気はすんでいるのだ。もちろん、警官が交番で一般人に現行犯逮捕された前代未聞の話など書くわけにはいかない。せいぜいこの警官と業者の癒着をにおわす程度の記事しか書かなかった。

(注意)「財界新潟」に詳しい。記事は「訴えられた東署巡査   の謎」。

このボランティアの中心人物は数回駅前で目撃しているが、ビラ撤去のバイトをやるような男には見えなかった。ついに最後まで正体をあかさなかった。告訴はしたものの最初から裁判に勝つ気はなく「警察官」を訴えたのは他の目的があるとあとからわかった。警察が殺人の捜査一課をつかって駅前の違法逮捕の証人つぶしをやったのが逆にこの男の恐ろしさを増幅させた。 「何かあったのか? 何も見ていないだろう」 「ハイ、何も見ていません」

捜査一課の名刺はこうして駅前にばらまかれ目撃者は消えた。 雑誌記者には警察が組織を守るためにはなんでもやることを目の前で勉強できた。

 警察を張り付けにして動けないようにして、議会をそそのかし新潟市のやる気のある下級役人と組んで条例改正を押し進め熊倉をこれ以上動けないようにするのがジョーの方針だった。  市民はその後、警察に「条例改正」を渡して得意になったがまだ彼らはそれを使わないだろう。ツーショットNO1の熊倉を守り、NO2のDを「所得税法違反」で摘発したくらいだ。春日井は自販機のなくなった田舎業者のためにすでにアメリカをいったん経由してカード決済できるシステムの売り込みに成功。援助交際はますます電脳化し高校しか出ていないMS・DOSのコマンドも知らない下級警察官にはパソコンの理解すらままならない。どうやって市民の教育水準に追いつかせるのか。うっとおしいくらい長い時間がかかるはずだ。  しかし、委託事件は解決した。  この事件はジョーが新潟駅に到着しエレベーターを降りた時、解決していたといえる。依頼人が一年も捜していた娘は自分から現れたし、熊倉の名前で使用者登録されているポルシェに彼女が乗り込んで謎が解けた。依頼人が加害者と考えていた男が被害者と一緒に住んでいたのだ。サムのやったことは警察が協力しないことを見届けることだった。  熊倉が伝言ダイヤル遊びを覚えた高校一年の玲子のあとをしつこくつきまとっていたことは売春仲間の女からサムが聞いていたし、彼が援助交際の電話の内容を聞き「おいしい」ものには自分が飛びついていたこともやめたサクラから情報が入った。  春日井のような全国チェーンで億単位の売り上げがあるテレクラならいちいちそんなション便臭い娘をいただこうという気はおきない。田舎テレクラの経営者は商売モノに手を出してしまうのだ。春日井がいくら女好きでも売り手市場オンリーの女体市場にはでかけない。きちんと古町の「クラブハウス」で新潟用の愛人を漁っている。  レイプされた男に女が惚れてくっつくのはよくある話だ。玲子のホンの遊び心の伝言を聞いた熊倉はイチバン最初に彼女にあいにいったというわけだ。依頼人は難しく考えていた。109をぶらついていた玲子を見たという目撃情報を信じ日本でイチバン高い探偵事務所に電話をかけてきたというわけだ。

 この機会に依頼人の意向通り、間に警察を入れ地方都市最大級の高校生売春婦を取り除こうとしたが他ならぬ警察に邪魔された。彼らは彼らで長年の順風・利権を守ろうと目的をもったボランティアをテレクラ軍団とのトラブル回避を名目に確実にサウスから排除しようと試みた。 死に至る老人から最後の仕事を取り上げるような苦労の多い「引導渡し」だった。  一年に一度テレビ局を呼んで「当局も努力している。いたちごっこで困る」と少年課課長に発言させあとは市民グループの陳情に一年に一度くらいビラはがしごっこに協力すれば事足りると考えていたわけだ。  パソコンを知らない彼らは熊倉の事務所で、発売10年後やっとツーショット機を見てテレクラ100軒分の回線が入ることに気がついている。その結果全国ネットの業者には自分たちは無能であることを思い知らされた。善良なる東京の業者が新潟県に関してアクセス線をはれず、田舎テレクラと組んで高校生の援助交際希望者の高い回線占拠率を死守している新潟県警をなんとかしろと警察庁・警視庁に泣きつく結果になった。  田舎の電話会社はビラはがしの委託書を容易には発行しなかったし、県の役人は二名以上で電話ボックスをまわれとテレクラ業者の恐ろしさをことさら宣伝し自分は快適な信濃川脇の役所から町にでようとしなかった。

(注意)   NTT新潟は公的機関の管理下にある青少年保護グルー プ8団体以外の民間ボランティアに対しては自分の電話ボ ックスの風俗ビラ撤去許可の委託書を発行しなかった。逆 に貼ってあるビラを無断で撤去すると軽犯罪法にふれると 脅かしていた。テレクラの利権を守った理由は自分で考え られたし。ヒントはフリーダイヤル回線収入。

 サムは市内ホテルのシングルルームを渡り歩き、イタリヤ軒にも飽きて駅前に戻ってきた。  東急インは最後には同じ料金でダブルを用意していたが、的をえている。世の中でイチバンの「援助交際」の理解者はそのベットをいろんなことにつかったはずだ。

 依頼人は二度目の銀行借り入れをせざるを得なくなってしまった。地方公務員の退職金を前取りして娘を守らなければならなかったわけだ。娘を取り返すためにテレクラを一軒つくったと報告されたが納得のいかないことであった。おまけにルンはそよ風のような声で新宿のAVプロには娘の玲子の整形費用400万を振り込み彼女のデビュー権を勝ったと告げた。依頼人は探偵事務所というもっとよくない組織に娘を渡してしまったのかと悩んで校長室を二十回も歩きまわってしまった。  玲子のデビューの前にプロダクションは彼女の目と胸と鼻の整形を条件にしてすでに300万円を出資し借用証を書かせ自分の事務所登録と向こう一年のAV出演の条件があとから書き加えられていた。デビューまでは系列の新宿のランパブで働く予定であった。熊倉は玲子の性器も直したかったが、モデルは当局の協力でボカシが入り性器は自前でいいのである。  ルンはプロダクションにその金を振り込み、手を引いてもらった。そうしないと高校生からAV女優をリーチし卒業と同時にデビューさせている青田刈りがバレるからだ。ルンがもともと手がけていた事件だが依頼人最後の要求、熊倉の処分が彼女には出来なかった。  金で雇われている少女売春婦は金で寝返るだろうが最後まで熊倉と玲子はこの世界に残るはずだ。 (注意)   老婆心で玲子以外の女のことを述べておくが彼女は家出 してAVプロの新宿住吉町のマンションでエステに通いデ ビューに備えていた。「田舎に逃げ帰れば彼女は立ち直るか も知れない」とデビューまでプロダクションの上客の接待 をさせられていた彼女をルンは新潟に逃がした。しかし女 はまたソシアルビルの飲み屋のつとめでは飽きたらず上京 するだろう。彼女は自分の後、玲子という女がエステ通い することになっているという情報をもたらしたので事務所 は多少の逃亡資金を渡す気になった。

 サムとジョーがプールのわきで紙コップのドリンクを飲んでいる。二人とも水着に着替えている。  NTTのATE30の空箱には調度一千万が入る。勢いよくジョーのコークの前に置かれたので、現金がテーブルに滑り落ちた。佐渡観光旅行帰りの白いもののまじる短い髪は春日井のものだった。連れの愛人はジョーのサングラスを見つめている。長い髪、引き締まった胸の筋肉は自分の好みなので最後の目を確かめたがっていた。 「おやおや、ジョーさんまでお越しでしたか」  春日井は立ったまま意外な顔でジョーに挨拶する。「あの節はお世話になりまして、よっぽどの事件なんですね。新潟のテレクラ規制はわしらが考えてたより一年早かった・・・この物件は買いです。ナンセ、学校から200メーター内にできないんですから。テレクラも許可制になりやっとわしらにも陽があたりましたよ、事務所探しの手間がはぶけましたて」  ジョーは苦笑した。その後倒産するアクアピアの最上階の一泊5万の部屋の様子をひとしきり述べ若い愛人がどんな体位を好んでどんな声を出したかジョーに披露した。若い男に興味を示した愛人に仕返しをしたわけだ。二十歳になろうかという愛人はビキニの花柄のように顔を赤くしている。  新しいテレクラのカギを二本、サムから受取りもう一度礼をして立ち去った。サムは春日井に頼んでいた北雪の極上酒の方が経理に渡す現金より嬉しそうであった。彼は高校生の吹き込む伝言を全部聞いて、女がホテルで客から巻き上げたロレックスを自分で返しに行く男だからテレクラの経営をまかせておいても大丈夫である。  ジョーは彼が気に入っている。

第七景 新潟駅サウス

 あさひ334号、グリーン席乗り口の手前では、ジョーを「刺そう」と熊倉と玲子が待ちかまえていた。熊倉は買ったばかりの赤い柄のナイフを赤いポルシェから胸ポケットに隠し持っていた。生活に疲れていた私の母の躯を買ったあの男に仕返しの出来る唯一のオトコだ。フリーダイヤルは四コール目に着信するようにプログラムを改変してイタ電攻撃に対抗したが女のコールがめっきり減っていた。

(注意)   同型ナイフがなぜか新潟サウス交番にランダン探偵事務 所から任意提出されている。

「玲子、いつまでもオレについてこいよ、今度、長岡でもツーショット・クラブを出すから、またヤラセ女を集めろよ」 「でもその前にトモダチのプロダクションをちょっと手伝いにいくんでしょ」 「ああ、オレは今日おまえを送るから、ちょっと見てきたらどうだ」 「ホントにグラビアだけでしょうね」  熊倉はまだ玲子を東京のプロダクションに売ったことを秘密にしていた。事務所に遊びにいってこいといって連中に引き渡せば連中もプロだから玲子を籠絡するだろう。 「わかったわ、でも、今日はやめにしない? 相手はスタンガンを持っているの、今度は少し勝手が違うわ、あのサングラスの男、私恐いのよ」  笑うと右目が三重になったが駅前で二重に整形された玲子は、ジョーに興味をもったことをそんな風に表現した。自分が熊倉に捨てられることくらい知っている。新幹線で彼が降りて来たとき一瞬自分の前であの男は確かに自分の方に顔を向けた。彼らが全員今日を限りに東京に引き上げることも父親の家の盗聴で知ったがわざと盗聴させている気がしている。 「かえろう!お願い、女のカンよ、アンタ、あのオトコにはかなわないわ」 「バカ!あんなものおもちゃだ、オレにはホンモノがあるんだ、フリーダイヤル攻撃をやめさせないと冷え上がってしまうんだ、ホンモノで脅せば燕三条あたりで泣きつくさ、切符はもってるだろうな?オレが東京に一泊してやるから、ヤツラが全員そろうんだ、最後のチャンスだ!」 「わかったわ」  ジョーらの帰京の連絡を受けていた依頼人がまもなくエレベーターを上り親子の再会がホームで行われるだろう。家出人を保護するために検察庁の監視下に入った県警の捜査員が依頼人に従っていた。若いT検察官は不起訴処分にしたが必ずアサマラは何かまたやることを知っていた。 「ハンニン特定。レイプ犯と娘さんの両人とも新潟駅に現れる可能性有り」  と、ルンから学校の代表番号に連絡を受けていた。自宅の盗聴機はそのままにしていたからだ。  サムはジョーの方が逆に鉄道公安官に所持品検査をされていることを確認しグリーン車に乗り込んだ。アサマラが鉄道機動隊の制服を来て現れたのだ。  ジョーは自分たちの車のタイヤに熊倉がナイフを刺したことを知っていたから今日も何か持っていることを知っていた。その凶器が玲子にわたる十分な時間があったことも。

 捜査員に名前を確認されている娘は自分の父親が捜査員の横でおびえた顔でこちらを見ていることに気がついた。玲子は一年ぶりで父親の顔を見て動揺している。 「どうなんだい?この女が娘さんなのか、写真とは似てイネエぞ!」  検察庁の事務員を押しのけてアサマラは現場をしきろうとしている。  くっきりした二重瞼・小さくなった小鼻・薄着にピッタリはりついた大きい胸、古町で買った都会のハヤリを真似た服・・・どれをとっても自分が思い描いた娘ではなかった。  鉄道機動隊に配置換えになったアサマラ巡査部長は熊倉の横の女は全然家出した女に似ていないと叫んだ。彼の頭もパニックになっていた。  彼の頭はどうしてあの男・・・どうして交番で腕をねじ上げられて「田舎オマワリ!逮捕は利き腕をねじ上げるんだよ!」と耳元でささやいたあの男・・とどうしてジョーがそっくりなのかと気が動転している。ジョーを不審人物としてヨドバシカメラの横の鉄動機動隊の陣地に引き吊りこんでスタンガンの使い道をネチネチ聞いて熊倉と玲子を上京させようと思い気楽な気持ちでやってきたのだ。  彼はまた一瞬のうちに熊倉を救うタチのよくない計略を思いついた。父親は娘の変化に動揺している。しかも彼女は「高橋玲子」ではなくすでに「青木 栞」という芸名がついた女なのだ。 「名前はなんというんだい?」  アサマラ巡査部長は賭に出た。「お父さん、今朝、娘さんが都内に拉致されるとたれ込みがあったんだが、娘さんに間違いないの!写真とまったく別人じゃないか」  熊倉に尻を押された玲子は、うつむいたままつぶやく。 「私の名前は青木しおりです」  アサマラはことさら大げさに中学時代の三つ編みの写真を検察庁の事務員にかざした。 「ち、ちがいます!娘とは別人でした、申し訳ありませんでした」  父親は唇を噛みしめている。勝ち誇ったように鉄道機動隊の二名はジョーの姿を追ったが、その姿はホームにはなかった。  熊倉と玲子は勝ち胸を張り大いばりでグリーンに乗り込んだ。

ジョーを逃がしたサムはグリーン車の中で、サム・ファイルを眺めている。未成年拉致の児童福祉法違反容疑の筋書きが崩れたのだ。玲子は父親に保護され、熊倉に手錠がかかる。アサマラの「適法な捜査」でジョーとサムの調査は振り出しに戻った。玲子は「保護すべき未成年ではない」、ジョーの予感が当たってしまったのだ。

サムは携帯電話をとり某所に電話し、ため息をついた・・・

第八景 笹口バイパス

 そして二人のツーショット・クラブには来月には一千万の電話代の請求が来るだろう。彼は翌月の請求をまだ受け取っていなかった。次の月も、そしてそのまた次の月も。彼が巻いたビラの数だけフリーダイヤルがかかるのだ。

(注意)

新潟の電話会社は熊倉に荷担して「いたずら電話撃退サ ービス」を売り込んだ。しかしこれは七ツの番号しか撃退 できずさらに戦前のクロスバー交換機を使ったイタズラに は無力であった。もっとも春日井はそんな機械をはずして しまった。

春日井のその後の報告によるとイタ電に疑心暗鬼になっ た「たぬき」はサウスの公衆電話もイタ電防止登録をして しまい女子高生からの電話までつながらなくなったという。

 そのうち春日井一家の全国ツーショットも結構な人気になるだろう。女が掛けていない空き回線でたぬきを責めるルンが取り組んだ改造ツーショットシステムもある。たぬきのつながり具合をマーケティングしながら売上を延ばしていくはずだ。フリーダイヤルから#の四桁で忍び込みオペレーターの売春の勧誘も全部録音されるだろう。春日井は自分のネットに売春目的で電話を掛けてくる学生や生徒を見つけだし半殺しにするが、「ホテトルとテレクラの区別もつかないガキは更正させてやりまサア」と頼もしい。

 ルンはマツダ新潟駅前店で、新宿から契約してきていた車のヘッドライトを出したり入れたりしながら待っていた。サムとジョーが同時に移動することはない。これがこのチームの約束だ。同じ電車で移動することなど庶民ではいざ知らず、皇室でも考えられないことなのだ。  依頼人が娘に再会したものの家に連れもどって卒業式に出席させることをあきらめた連絡が入っていた。依頼人は成功報酬を本日中に振り込むという。春日井一家にテレクラを売った代金が校長には入るのでジョーとサムとルンを派遣したわりには安い費用であがるはずだ。  水洗いをしてくれたマツダの若い男は「新宿ではこんないい車を貸しているのか」と驚いていた。新潟は東京から見ればただの田舎町だ。メーカーはガラクタしかよこさない。住んでる人間もガラクタだから仕方がない。  ただ唯一の救いは新幹線が東京につながっていることだ。

 東跨線橋をぬけ笹出線に入り右折してバイパスに入った。運転はルンである。 「もう、田舎の仕事はしないからね、渋谷もいそがしいのよ。ったく!」  ルンは自分がこの仕事をジョー・チームにねじこんだことを忘れていた。それともう一つ、途中、笹出線にあった小学校が自分の母校であったことをジョーに説明するのも忘れていた。ジョーがその小学校の前を減速しながら走ったことに気づき珍しくその校舎を見つめて、そして、ルンにあの青い目を向けた。ルンは自分がこの小学校に通う頃からジョーのような男と巡り会いたかったのだと告げようと思った。この私が愛している男が自分のふるさとを愛していないことを知っているから黙っていたのだ。  渋谷にたどり着くわずか二時間の間はジョーはルンのものだ。160キロを出そうというのにジョーは安心しきっている。 「ジョー、駅前のビラ撤去のボランティアの一人がアナタに似ていたという人がいるの・・・ジョー、本当に新潟へ行ったのは私がキップを渡した一度だけ?休暇だといって事務所から消えたけど早い時期に新潟のサムと合流してたでしょ?」 「サムはなんて?」 「なにも・・・、大宮でサムと合流ヨ、事件はちょっと、変化したの」  ジョーは微笑んだ。 「君が産まれたSADOの海で泳いでいたかもしれない・・・」  変化・・・よくある話だ。ルンもわざわざ報告することもない事後処理だと思っていた。  田舎モノが東京に来てしまう、それは間違いだ。まもなく彼らはそれを思い知るだろう。

 ジョーは私のふるさとをSADOにしろといっている。父親が役人で産まれるとすぐに新潟に来たことを知っている。  ジョーは助手席のシートを倒した。サングラスをはずしてこれから眠ろうとしている。  ルンの一番好きな顔だ。                 

                                (完)                           

後記

 聡明な読者のために一言付加するが、上越新幹線で祝杯をあげていた熊倉と玲子は列車が大宮に滑り込んだ時点で乗り込んできた埼玉県警と警視庁捜査員に逮捕・補導された。玲子は「青木 栞」という名前で。芸能プロダクションへの借用書には「青木 栞」、その保証人には「熊倉」の名前が明記されていた。未成年有害職業斡旋の証拠がルンからジョーへ、そしてサムからいま警視庁捜査員にわたっていた。 「私は青木 栞です!」  馬鹿の一つ覚えのように自分の芸名を叫び玲子は腕を引きづられながら大宮のホームをあとにした。  腐った国は腐った警察しかもてない・・・サムは新潟県警に渡さずに都会の仲間に託したに過ぎない。鼠を捕らない猫は悪い猫である。  青木栞は公表されれば未成年者が売春管理を行ったことによる逮捕者の第一号であったが、このたびは神奈川県警に第一号を譲ったことは記憶に新しい。  玲子が新潟に戻ったという記録はない。      

      本編は小説であることをお断りしておく。

               通信パソコン仕様 Ver6・03

追記


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