ガードマンといえば

 シニアの行先は棺桶と孤独死だが・・・仕事は、介護と旗振り(ガードマン)以外にはない.

孫の顔でも見て、15日の年金支払い日に玩具と寿司とワインを買って二か月に一回の贅沢をするのが、まわりの生き様だ.

さて、この旗振りは、雑踏警備・交通軽微という(警備業法§2).

食うものがなく、母親と娘に仕送りをしなければならなくなり、「旗振り」を志願して・・・高倉健のようにドーランを顔に塗られたとき、一筋の涙が流れた(高倉健の 最後の手記 文芸春秋2015年1月号 P96)・・・人生が終わったとあきらめ面接にいった.

これがなかなか大変な会社だった.

制服代2万円、講習してやるから時給は最低賃金以下の700円、30時間、日払いは当日ではなく翌週の○曜日、ネット銀行はダメで、当社のつかっている××銀行(県の金を出し入れしている痴呆銀行のようだ)に口座を設けろ、ただし手数料で15%ひく、異存はあるか・・・てな具合.

人をダシにして骨までしゃぶる気だから、おちおち遺骨を残して死ねない.敵は骨までしゃぶるつもりで商売しているのだ.

「あんたねぇ、(履歴書に)電話番号書いてないけど、携帯ももってないのかね」

「はぁ、必要ないもんで」

「必要ないってアータ、採用不採用の電話もいらんのかね」

「手紙でいいですよ」

「手紙って、アータ、ああ、第一、携帯ないと、現場が変わったという連絡も当日できないだろ!」

工事現場の交通警備で、しょっちゅう、工区・工事現場が移動して、道路使用許可書に書かれている現場を無視するといっているのだ.「いまどき、携帯ももっていないヤツをウチみたいなちゃんとした警備会社は雇わないよ・・・」

「さいですか」

魅せる警備

この県(国)には警備会社が205社ある(全国では9133社).警備員は7895人、程度はかなり低いのは、イオンとかの大型店舗の駐車場警備を見れば諸君にもわかるであろう.

こうした大型ショッピングモールとか地方のサッカー大会とかの雑踏警備でも需要はけっこうあるのだ. しかし、この国では雑踏警備の失敗で弥彦事件(死者124名、昭和31年1月)を起こし、明石市花火大会事件でも死者11名で、この輝かしい記録は全国で破られていない. (その他にこの県では「万代橋欄干落下事件」もおこしている.川開き、欄干にまたがった見物人が欄干こと川に落下.10人死亡.その後一方通行にした.)

こんな会社の労働基準法無視の姿勢とか、安全に金がいるという感覚のない神社のような環境でオチオチと旗振りなんかできるものではない・・・と採用されなかったボヤキである.

さて、さきのテレビドラマ「ザ・ガードマン」が放映されていたころ、自分たちは警備のバイトにあけくれていた・・・

ビートカー(警備車)をあてがわれ、機械警備をおこなっている学校・港湾施設・工場などをたえまなく監視に向かい、朝になると、ほとんどとらなかった工事現場の警備の人員配置が間違いないか確認し、欠員ができると自分たちで穴埋めをしたものだ.

警視庁--日本警備保障退職がエリートで管理職についていた.よくいわれていたことは「見せる警備」をやれということだ.泥棒も含めて人に警備をしているということを積極的に見せろ・・・つまり立っていろということだ.

交通・雑踏警備などはクソ会社が受ける仕事で、そんな現場を一つでももてば、三流、翌日から求人には誰もこなかった.

そこで主流は大きく機械警備にシフトした.現在警察官は26万人いるが、当時から警察官の学歴より警備会社の学歴のほうが高くなった.

ちゃんとした警備をしようすればそれは当然のことで、「オイコラ警備・捜査」ができない以上、民間は彼ら以上の人格・能力・学力が求められたのは当然だ.

ある日、社の役員となっていた警視庁の元幹部にいわれたことがある. 昭和47年警備業法成立に尽力した人である.

「きみなんか、やっぱり、テレビのガードマンにあこがれてこの業界にはいったのかね?」

「いや、そのドラマ知りませんでした」

怪訝な顔をされたが、このドラマを見ていた優秀な警察官や学生が宇津井健のようになりたくて警備業界に入ってきたとこは否めない.自分はただのバイトである.人材は常に不足しており居心地がよかったし、なにより警視庁あがりの社長が好きだったから長居した.

あのドラマは最初から犯人がわかりつまらなかったが、車両の装備・機械などは参考にしたし、あのモデルはいつも飲みすぎで神田でひっくりかえって部下が迎えに行っていた飯田サンの会社がモデルだったのである.

彼ら、テレビ人間の熱をさましたのは、氷川事件(連続殺人事件)である.二人巡回が基本なのに一人ででかけて傲慢な態度で氷川少年に接したためいいとこ出の警備員が殺されたのである.

警備とはなんぞや

これが悪かったのではないかとおもうが、業法を改正して種類を明記して個別の認定をおこなうようになった. つまり 警備業務を①交通誘導警備②殺到警備③貴重品運搬警備④機械警備 にわけて、おのおの1,2級認定、その上に警備員指導教育責任者をおいた(§22). その他はたくさんあるわけだが、線路警備などでもうけようというのが現れた. *1

いいがけんな線路工事警備(列車見張員)で、下向きで夢中で作業させた踏切工事人を何人も電車でなで切りにしたらしい.

その反省らしい.

踏切警備などを整備して麻原彰晃みたいに紫色の制服を着せ相撲部屋を首になったような若秩父に列車時刻表のガバンを首からぶらさげさせ一日中立たせている会社もいる.ブタが踏切の陰でイジメにあってるようにしか見(魅せない警備)えない.

たいていそうなんだが、いい加減な警備員のいる県に限って、こういう認定試験が理屈といじめで難しくするのがこの県の特徴.

音楽大学の守衛さんがふられた理由

施設警備というわけであろうが、道路に面している守衛小屋ではそれだけではすまない. 本社なんかで、バイトしているとここの常駐警備場所に行くことはないんだが、休みの日、大学の知人が音大女子寮の守衛にもぐりこんだというウワサを聞き、遊びに来いというので訪問した. よく、隊員同士がなれあい、派遣場所に招待することがあるが、まともな警備会社はやらない.警備体制が外部に漏れるからだ.ホテルにしろ官公署にしろ同じ会社の社員が訪ねてきてもポスト数、巡回時間、経路など絶対にしゃべらない.

この県では、某社が「警備員教育」をやる団体に利便を図りあるトンネル警備現場を素人失業者に見せているが警備というものの考え方がわかる.つまりなめているのだ.

音大、女子寮、田園風景の残る東京郊外の駅と魅力たっぷりの訪問は夕方実践された.お茶の水あたりの居酒屋であう田原さんとは違い、紺色ヨレヨレの制服は違和感があったが、説得力のある低温ボイス、大きな精悍な目、痩せたイタリア人を彷彿させる要望はまんまだった.

とにかくこの田原サンはもともとエロイのか意識してエロくなったのかは知らないが下宿先も西オギで知る人ぞ知るトンジョ(東京女子大学)学生とは肩触れ合って街を徘徊していた.

森閑とした二階建ての女子寮のベランダには、黄金の七色パンティがほされており、道路沿いの木造平屋の守衛小屋は出入り口ゲートの横にポツンとあった.女子寮は中の通路を挟み一段高くなっているようにみえ、地上の自分たちからは一段高くなっているように感じた・・・

守衛室は奥が茶色の畳が敷かれた六畳間、ここに見たこともないような法律図書が座り机のまわりに雑然とつくまれていた.

そうか、田原さんは、法律書生、司法試験受験生なのか・・・

「先輩、当社でもっとも人気のある女子寮警備にようこそ、なんぞ、問題がありますか?」

「それがよぉ、泥棒が多くて困る.」 泥棒というのは、下着泥棒だ.鶏の糞のにおいを察知して七里四方のタヌキ・テン・ハクビシン・キツネが集まってくるようなものだ. 大切な七色パンティを盗まれた思えば遠くへ来たもんだの女子学生は競い合って被害報告に太った老年寮母のところへ報告にくるのだ.

深夜、全館電気がともり、全女性がナギナタ・モップをもってパンティ泥棒を探し回って追いかけていたのに、事態を一向に把握せずグーグーと熟睡していたのは、 田原サンだけだったといことだ.

泥棒は複数か…色の好みはあるようだが、どんな美貌の学生なのだろうか.醜女の下着だったらありがたみもなくなるというもんだ.

「おまえ、ブスがピアノなんか弾くか、良家の子女ってのは昔から美人にきまってる…今日は、何曜日だ?くくくくっ金曜日だ」とひげ面の顔に不気味な薄ら笑い・・・

金曜日だとなんかあるのか、パンティ泥棒が無地・白色を狙って今日も出没するというのか.なら、つかまえてやろうか、幸い二人いるから、私人の現行犯逮捕ってやつだ.寮中の評判になり、女子学生にもてるかもしれない.

「おまえ、今日泊まっていけ」

「えっ、泊まるんですか?」

とおろろいて見てるがまんざらでもない.この部屋にはカップラーメン・コメと自炊の施設もあるし、独身男性としては、このような禁断の聖地に一泊でも泊まってみたい 気はあるし、下宿先としては最高なのではないか.

金曜日の午後9時過ぎは大変だった.門が閉鎖されたので、門限までに帰還できなかった娘たちが守衛室の裏口に一列に並んでいた.

「ほぅら、七色パンティが来たぞ、前から一番目が赤、三番が黄色・・・」

べっピンだった.田原さんは守衛室で個別に座らせて遅れた理由と何をしていたか報告書に書いていた・・・そこは、年ごろ、酒と男で遅れていた・・・ 個別に恋愛相談になる娘もいた.普段は深層の森に隠れていた美女たちが、築50年のようなすすけた日本家屋でいろんな世間話・郷里の事、男を連れこめないとの相談やらもろもろキャバクラみたいになっていた.

本社に給料を取りに来た時、管制室を田原さんが訪ねてきた.現行法の田原サンも自分も警備員指導教育責任者待遇だから社内に立入禁止区域はないのでどこでも入ってきた.

「おい、こないだはどうも」

「ようこそ 田原さん、寮母さんの件、どうなりました」 スーパーの赤外線警報器、深夜何者かがふれて停めても停めても発報すると相談を受けて、監視カメラをグルグルまわし,工大の学生バイトを連れて、今度発報したら現場急行する矢先だった.

今日はこっちが制服だ、田原さんは、Gパンに白シャツで髭はあいかわらず.

「それがよぉ、門限破りの職務質問は禁止だとさ、ゲートも2時まであいてねようになった…個別に名前を書かすのも中止になったんだけど、理由はなんだと思う」

「さあ、なんでしょうか」

「守衛とこれを機会に親しくなると困るんだってさ」

「なーるほど、田原さんのような虫がつくと娘さんを預かっている学校側としても困るわけだ・・・」

卒業まで男と口をきかせないというのが教育方針のようだ.

諸事色事相談は寮母の聞きつけるところとなり、中止となった.

ビデオ店に赤外線発報システム導入

さて、工大のバイトと連れだって10回目の誤報をスーパーまで見に行った・・・ 全面ガラスの奥は店舗の商品ダナがビッチリ、ややあいている空間、その上に天井、赤外線警報機が見える.ガラスもわれていない、当然不審者の来場はない.なぜ、発砲するのか? 二人は外の店舗駐車場で考え込んだ.足が痛い、早く帰りたい・・・ ちょっょっと・・・まて!!!あの黒いものはなんだ・・・警備車両のサーチライトで店内は照らされている。その光の帯の中に黒く小さな影がたしかに浮かんだ. 答えは・・・ハエ・・・ 以上解散.

合鴨をタヌキから守りとおした有人警護

新警備業法によれば貴重品警備、貴重品警備には「トラ」も入る.ならば、わが愛するアイガモも入るのかというのが、問いだ. 入る---して、月の警備料金は・・・60万円は下らない. 田の境界線220メートルのどこからもタヌキ・テンは来襲する.4P、4人で足りるかといえば足りない. けど、軟弱な警備会社が見積もりはたったが、警備が可能かということだ. 夜一睡もできないのである. ならば、ひとりでやろうというのが趣旨、体はガタガタになった.なんせ犬と田んぼで半年くらしたわけである.田圃には水がはられ、アイガモが8羽いる. 命は守った.それだけで満足である.柴犬・・・アイガモ犬・・・というべきだろう. 彼も泥田の中で、彼の方向からくる、犬猫と狸の襲来を止めた. もう少し説明がいるかも・・・いずれまた追記します.

関連:拡張的あいがも農法

これらのかつての仲間がいまなにをやっているか?

ひとりとして警備なんぞをやっている人はいなかった.

この61歳の抵抗 さらにつづく


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