第二次二次キャラ聖杯戦争@ ウィキ
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第二次二次キャラ聖杯戦争@ ウィキ
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2020-02-27T00:33:23+09:00
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ここは様々な作品のキャラクターをマスター及びサーヴァントとして聖杯戦争に参加させるリレー小説企画のまとめwikiです。
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本編SS目次
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if - a fool of loneliness
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*if - a fool of loneliness ◆WRYYYsmO4Y
【4】
どうやら、令呪の影響でマヨナカテレビの外へ飛ばされてしまったらしい。
禍津冬木市とは対照的な風景に囲まれ、ライダーは溜息をついた。
「困ったわね」
早く狭間の元に戻りたい所だが、生憎ライダーの身体能力は極めて低い。
それこそ一般人同然である彼女の脚力では、移動には相当な時間がかかるだろう。
第一、ライダー単独では電脳世界に転移することすらままならない。
出来ることがあるとすれば、自宅でマスターの帰りを待つ事くらいだ。
とはいえ、ライダーは特に焦燥感を抱いている訳でもなかった。
マスターがサーヴァント並みの能力を所有している事は、これまでで十分解らされている。
よほどのハプニングが起こらない限り、彼が斃れる事はないだろう。
しかし、問題は彼が元の世界に帰還した後である。
怪物と対峙していた時のマスターは、見るからに多大な精神ダメージを受けていた。
あの様子から察するに、戦闘後もしばらく引き摺るのは間違いないだろう。
それこそ、今後の立ち回りに影響を及ぼすおそれさえある。
(……悪い事しちゃったわね、拒むのも無理ないわ)
狭間がどうしてセックスを拒んでいたのか、今のライダーには理解できた。
あの反応からして、自分の前に現れた子供は過去の彼自身で間違いないのだろう。
幼少期に母親と別離したという経験から、彼は心のどこかで愛情に飢えていたのだ。
実を言うと、狭間を探している最中に目撃してしまったのだ。
、「ぴちぴちビッチ」越しに、"影"の見せる幻影に怯える自分のマスターの姿を。
勿論、彼がひた隠しにする過去も知ってしまったし、愛を嫌悪する理由も概ね察しがついた。
狭間がそれを知ったら、烈火の如く怒り狂うのは容易に想像できる。
最悪の場合狂乱した彼に殺されかねないし、恐らくそうなるだろう。
だから、この事実はライダーの胸中に秘蔵されてそれっきりだ。
けれども、ライダーは解っている。
狭間偉出夫は、深層心理では愛を求めている。
愛を求め、愛に裏切られ、愛を憎み、愛を嫌悪し。
だがそれでも、今もなお心の何処かで愛を欲しているのだ。
そうと決まれば、今後の立ち振る舞いも考えなければならない。
狭間は恐ろしく強いのだから、自分が下手を打たない限り敗退はあり得ないだろう。
時間はたっぷりあるのだ。ゆっくり手間暇かけて彼の心を氷解させればいい。
セックスは本番だけが重要ではない。しっかり濡らす為の前戯だって同じ位大切なのだから。
「それじゃ、早く帰らないと……」
そういえば、この街並みは「ぴちぴちビッチ」越しに見た事があったか。
錯刃大学――以前ライダーは、この大学の生徒を何人か絶頂に導いた事がある。
あの大学の付近が現在位置という事は、マスターの住居とそれほど離れていない筈だ。
この程度の距離なら移動にさして時間はかからないだろうと、ライダーは家の方向に振り返って、
そこでライダーは、はっきりと視た。
こちらを見据える、暗殺者の英霊を。
咄嗟に手鏡を手にして、自分の力を行使する。
「ぴちぴちビッチ」を介した性技の前では、大抵の英霊は無力だ。
なにせケルトの大英雄すら屈する程なのだから、こと性に関してライダーは無敵だろう。
性技それ自体を無力化する力を持つ――そのたった1つのケースを除けば。
手鏡に触れようとした瞬間、ライダーは自分の性欲がかつてなく昂ぶるのを感じた。
覚えのある感覚だった。最初に行動を起こした時、大学で感じたものと同一のもの。
つまりそれは、自分の性技自体が反射されているということであり。
「――――ッ!?」
全てを悟った瞬間、手鏡を持つ腕が宙を舞った。
こちらへ肉薄したアサシンに、忍者刀で腕を刎ねられたのである。
残された片腕でどうにか相手に触れようとするが、彼の刃はそれより速い。
ライダーの胸に一文字の傷が走り、血飛沫が吹き上がった。
地面に立つ力を喪い、ライダーは膝から崩れ落ちる。
白む空に血しぶきが上がり、自分の身体はおろか刺客の服すら赤く濡らしていく。
致死量の血液が流れ出ているのは、誰の目から見ても明らかだった。
「見事な性技、だからこそ生かす訳にはいかぬ」
血濡れの刺客が、再度忍者刀を構える。
次の一太刀を以て、ライダーの首を撥ね飛ばす気でいるのだ。
目下の脅威を決して仕損じる事なく、確実に息の根を止めるために。
死が確定したこの瞬間になって、ライダーは思い出す。
あらゆる技を反射するあの魔眼は、以前自分を撃退したアサシンのものではないか。
彼のスキルか宝具の影響だろう。この瞬間に至るまで、その能力はおろか外見すら忘却してしまっていた。
『ピロートークもせずに本番だけで帰っていく謎めいた男』。
以前アサシンをそう評したが、こうして直接対峙すると言い得て妙だと自画自賛したくなる。
己を殺し、常に影の中に潜む忍者の様であり、嗚呼、こういう男は本当に――――。
「相変わらず、クサい男ね」
刃が振り下ろされ、舞台は鮮血に染まる。
一瞬の果し合いは、こうして幕を閉じた。
■ □ ■
まさか、二度目の生でも首を刎ねられるとは思わなかった。
忍者刀が振り下ろされるその瞬間、鏡子は過去を振り返って自嘲した。
一度目の死の時は知覚する時間さえなかったのだから、それよりかはまだマシなのだろうが。
「死の瞬間は周囲の景色がスローモーションになる」という噂を聞いたが、あれはどうやら本当らしい。
事実として、自分の首元に迫る日本刀の速度が酷くゆっくりに感じられるのだ。
最期にこれまでを振り返る位は許してやろうという、神様の傍迷惑な思いやりなのかもしれない。
後悔があると言えば、それはもう山ほどある。
何しろほとんどセックスをし足りないのだ、欲求不満が全く解消されていない。
"本番"は最初のランサー戦だけで後は前戯だけとは。"魔人"の名も涙を流すというものだ。
けれど、中でも一番の後悔は。
狭間偉出夫という少年を、あの世界に独りにさせてしまう事だった。
本当の彼は孤独を恐れていて、誰よりも愛を求めていて。
それなのに、恐怖から愛を遠ざけてしまっていて、そのせいで誰も近寄る事ができなくて。
追いすがる誰かがいないと、きっと彼は本当に独りになってしまう。
この聖杯戦争の舞台で、それが出来るのはきっと自分だけだったのに。
(ごめんなさい、マスター――――)
無意識の内に、残された方の腕を伸ばす。性を貪る為でなく、孤独の皇の手を掴むために。
一人だけではセックスはできない。"つがい"でなければ不可能な愛の証明だ。
だから、孤独なあの手を掴んであげたくて、愛してあげたくて、
(――――抱いて、あげたかったのに)
首元に冷たい感触が刺さり、そこで視界は暗転する。
宙に伸ばした腕は、空を切るだけに終わる。
【5】
首を刎ねられたライダーの消滅を確認し、アサシンは忍者刀を鞘へと収める。
周囲に殺気は感じられず、どうやらこの場にいたのは彼女独りだけだったようだ。
いや、そもそも人の気配を感じていれば、こんな大胆な行動には出ていない。
マスターであるHALからの情報で、性技を扱うサーヴァントの特徴は把握していた。
眼鏡を掛けた平凡な女子高生で、一見すれば性に卓越したとは到底思えぬ少女。
だが実物を目にすると、瞬時に察知する事ができた。あれは紛れもなく毒婦であると。
性に関する技――つまりは房中術の脅威を、アサシンは十分すぎる程に知っていた。
彼が率いた甲賀の忍の中には、発情する事で猛毒を分泌する女忍者がいる位だ。
人間の三大欲求に訴えかける戦術は決して侮れない。事実として、その女忍者が猛毒を以て敵を仕留めた場面もある。
故に、卓越した性技を持つライダーは確実に始末しなければならなかった。
しかし、彼女のマスターがサーヴァントを超える超人であるのが問題だった。
あの魔神の如き力を持つ少年を相手にするのは、アサシンの魔眼を以てしても困難を極めただろう。
だがどういう事情があってか、ライダーはマスターを伴わずアサシンの視界に姿を現した。
周囲を注意深く確認したが、罠の気配もない。これを好機と見ずに何と言うのか。
こうした判断の元、アサシンはライダーを襲撃し、呆気なく打ち取ったのであった。
しばし周囲に気を配るが、それでもなおマスターが姿を見せようとしない。
これは一体どういう事かと疑問が浮かぶが、程なくして理由を推測できた。
恐らく彼女は、マスターに一方的に縁を切られてしまったのだろう。
あの魔神の如き少年の事だ、複数のサーヴァントを従える魔力量を有していても不思議ではない。
何らかの事情でライダーを不要と見なしたマスターは、彼女との縁を切って追放したのだ。
(哀れな)
片手で合掌の形を取り、今しがた葬ったサーヴァントを弔う。
偽善ではある事は承知の上だが、しかし憐れまずにはいられなかった。
それにしても。
あの女が最期に向けた腕は、果たして自分へと向けられたものだったのだろうか。
何らかの攻撃ではないかと一瞬肝を冷やしたが、どうやらそういう訳でもないようだった。
もしや、彼女の差し伸べた先には、そこにはいない何かの影があったのではないか。
「……いや、知る必要もあるまい」
これ以上他者の感情に踏み入る事は、無意味というものだろう。
第一、女を殺したのは他ならぬ自分なのだから、それを知ろうなどとはおこがましい話だ。
ただ、ひとつだけ言える事があるとすれば。
伸ばした手は、もう何も掴めはしないという事だ。
【C-6/錯刃大学周辺/二日目・早朝】
【アサシン(甲賀弦之介)@バジリスク ~甲賀忍法帖~】
[状態]:健康
[装備]:忍者刀
[道具]:なし
[思考・状況]
基本:勝利し、聖杯を得る。
1.HALの戦略に従う。
2.自分たちの脅威となる組は、ルーラーによる抑止が機能するうちに討ち取っておきたい。
3.狂想のバーサーカー(デッドプール)への警戒。
4.戦争を起こす者への嫌悪感と怒り。
5.魔神皇には引き続き警戒。
[備考]
※紅のランサーたち(岸波白野、エリザベート)と赤黒のアサシンたち(足立透、ニンジャスレイヤー)の戦いの前半戦を確認しました。
※狂想のバーサーカー(デッドプール)と交戦し、その能力を確認しました。またそれにより、狂想のバーサーカーを自身の天敵であると判断しました。
※アーチャー(エミヤ)の外見、戦闘を確認済み。
【6】
比喩でもなんでもなく、全てが終わっていた。
禍津冬木市の一角で、魔神皇はぼんやりと立ち尽くしていた。
いつからは解らないが、ライダーとの魔力パスは既に消えていた。
激情で正気を失っていた手前、その異変に気付けなかったのだ。
この事実が何を意味していたかなど、最早説明する必要すらないだろう。
手の甲に目を向けると、使用した令呪の痕跡が跡形もなく消えていくのが分かる。
どうやら、令呪の所有数によって消滅までの速度が変わっていく仕組みになっているらしい。
三画しっかり温存していればある程度の猶予があるだろうが、生憎自分は令呪を全て消費してしまっている。
このままでは、ものの数分程度で自分の肉体は消滅してしまうだろう。
他のサーヴァントと再契約するという選択肢もあったが、不可能だろうとすぐに切り捨てた。
ほんの数分ではぐれサーヴァントを見つけるなど非現実的だし、第一令呪を全て失っているマスターに誰が従うというのか。
別のマスターを殺すという手もあるが、これがより困難な道である事は言うまでもない。
例え魔神皇であっても、聖杯戦争のルールには逆らえない。
これまで脱落したマスター達と同じように電脳死するのは、確定事項だった。
(だから、なんだ)
霧の世界を見つめるのは、どこまでも空虚な瞳。
表情が削ぎ落された今の魔神皇の顔には、焦りも恐怖も示されなかった。
自分でも驚く程に、何も感じなかった。
まるで心臓にぽっかりと穴が開いたようで、そこからびゅうびゅう風が吹いているようだった。
(下らん。此処で消えようが消えまいが、最早どうでもいい話だ)
未練こそあるが、今更悪あがきする気にもならない。
元より、この世界の全てを消し去りたいと願っていたのだ。
誰もいないこの電脳空間で消えるのは、望むところではあった。
けれども、無言を貫いて消え失せるのはあまりに味気ない。
例え消滅する運命だろうと、この身は神の力を宿した魔神皇である。
この世界から消え去る間際、せめて何か一言遺しておくのも悪くない。
そうだ、この聖杯戦争で戦い続けるマスター達にこう言い残そう。
お前たちがどれだけ足掻こうが、この魔神皇の足元にも及ばないと。
ここで消えるのを幸運に思うがいい――こんな台詞を、最期に尊大に吐き出そうとして、
「………………嫌だ」
吐き出して、嘲笑おうとした、筈だったのに。
口から出てきたのは、魔神皇の意思とは正反対のひ弱な言葉。
消え入りそうな程小さなそれは、まだ弱かった頃の自分の声色で。
まだこんな感情が残っているのかと戦慄するのを尻目に、唇は勝手に動き始める。
「こんなの、嫌だ。独りぼっちで消えるなんて、嫌だ」
どれだけ止まれと理性(まじんのう)が望もうとも、本心(はざまいでお)は唇を動かし続ける。
現状への絶望を、迫る死への恐怖、孤独への嘆きを紡いで止まらない。
瞳からは涙がとめどなく溢れ、鼻からは鼻水が垂れ流され続けている。
「こんなの望んでない。僕は、優しくされたかっただけなのに」
違う、こんな言葉は大嘘だ。そう叫ぶ"魔神皇"の言葉はもう届かない。
恐怖する本心が拒絶する理性を圧し潰し、"狭間偉出夫"は独りで泣き叫ぶ。
聖杯戦争からの脱落という事実は、狭間が纏っていた魔神皇の鎧に風穴を開けた。
その穴から本来の弱い自分が溢れ出し、精神が決壊を起こしているのである。
鎧を修復する術を持たない今の狭間は、ただ泣きはらす以外にやれる事など無かった。
"真なる影"を決して認めるようとせず、力づくで拒絶したとしても意味がない。
どこまで行っても"影"とはもう一人の自分であり、消え去る事などあり得ない。
それは神の如き魔神皇とて同じこと。彼の中には、相も変わらず狭間偉出夫が生きていた。
「嫌だ……嫌だよぉ……!誰か、誰かいないの……!」
辺りを駆けずり回っても、人間どころか生物の気配さえ感じない。
今の禍津冬木市に生命など、狭間一人を除いて存在するものか。
マヨナカテレビの世界で、彼は独りぼっちだった。
「誰か、だれか、だれか…………!!」
走っていた最中に小石に躓き、無様に地面に倒れこむ。
狭間は立ち上がろうともせず、そのまますすり泣きを始めた。
そうしている間にも、死へのタイムリミットは迫ってきているというのに。
神の力という強固な鎧を纏う事で、狭間はどうにか冬木の街を歩く事が出来た。
それを取り上げられた以上、最早両の足で地面に立つ事さえままならない。
鎧の中にいたのは、愛を求め、しかし愛に怯えて涙する赤ん坊だった。
「みんなどうしていないの……どうしてぼくをおいていくんだよ……」
肉体が崩壊していく、精神が霧散していく。
たった独りの世界で、誰にも看取られる事なく消えていく。
不気味がる者も、嘲笑する者も、罵倒する者も、呆れる者も存在しない。
かつて拒絶した繋がりの外側で、鳥や虫にさえ気付かれずに生涯を終えようとしている。
「いやだ……いやだよぉ…………」
誰でもいいから、自分の傍にいてほしい。
そう願ったその途端、思い浮かべたのは自分が召喚した少女の面影で。
そこに来てようやく気付いた。あの少女は、一度たりとも自分を否定しなかった事に。
「ぼくを…………あいしてよぉ……いやだ……ぼくを…………」
消滅の間際、虚空に向けて右手を伸ばす。
こうすれば、ライダーが自分の手を掴んでくれるんじゃないかと思えて。
けれど、霧の中に伸ばした手は、なんにも掴めなくて――――。
「ひとりに、しないで――――――――」
霧の中で、少年の慟哭が木霊して、消えた。
&color(red){【狭間偉出夫@真・女神転生if... 消去】}
&color(red){【ライダー(鏡子)@戦闘破壊学園ダンゲロス 消滅】}
※サーヴァント消滅からマスター死亡までの時間は令呪の数に影響します。
3画所有していた場合は1,2時間ほど猶予がありますが、全て使用済みの場合は即座に消滅が開始します。
【0】
自分の名を呼ぶ少女の声で、少年は夢から醒める。
「大丈夫?すごく苦しそうだったけど……」
彼女の言う通り、少年は寝ている間ずっとうなされていた。
しかし、少女の柔らかな視線を受けた途端、彼はみるみるうちに落ち着きを取り戻したのである。
寝汗で濡れた額を手で拭いながら、少年は恐る恐る口を開く。
「怖い夢を見たんだ。僕が何もかも拒んで、独りぼっちで消えていくんだ」
その夢は、きっと少年がこれまで見た中でも一番の悪夢だった。
自分の願いを知らないまま戦って、ありもしない尊大な人格を組み立てて。
身に纏う鎧を護る為に全てを喪って、鎧の中で泣きじゃくりながら死んでいく。
それはきっと、あり得たかもしれない少年の未来だった。
「ねえ、レイコは此処にいてくれるよね?僕を独りにしないよね?
怖い、怖いよ。眠っている内に、またいなくなっちゃうかもしれないって……!」
少年の声色はおろか、痩せた身体さえも小刻みに震えていた。
彼の体格は高校生のそれだったが、これではまるで小学生の様である。
しかし、少女は何を言うまでもなく、少年の背中に手を回して、
「大丈夫、私はずっと此処にいるわ。貴方を独りになんてさせない」
少女はそう言って、少年を優しく抱きしめた。
何も知らない者がその光景を見れば、彼女を母親だと見紛うことだろう。
少年を宥める少女の声と仕草は、それくらい温和で母性的だった。
彼女の容貌は、それこそ抱きしめている少年とさほど変わらない位若々しいというのに。
「……悪い夢だったのよ。そんなの、"もしも"の話でしかないわ」
少女の愛を受け入れて、少年の震えが止まる。
それから少しして、彼女の腕の中から小さな寝息が聞こえてきた。
酷く疲れていたようで、再び眠り込んでしまったらしい。
「……おやすみなさい、イデオ」
少女は眠りに就いた少年を、ずっと抱きしめていた。
彼氏を抱きしめる恋人の様に、赤子を抱える母親の様に。
"if(もしも)"なんてありえない、永久に変わらぬ殻の中。
少年と少女の"つがい"は、今日も幸せな夢を見続ける。
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|165:[[The DAWN]]|アサシン([[甲賀弦之介]])|169[[発覚]]|
2019-11-27T01:00:19+09:00
1574784019
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追跡表
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*追跡表
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|~|8|[[衛宮切嗣]]|[[008>衛宮切嗣&アーチャー]]|BGCOLOR(maroon):||[[034>既視の剣]]|[[048>戦争考察 NPC編]]&br()[[061>戦場に立つ英雄/台所という名の戦場]]&br()[[076>衛宮とエミヤ]]|BGCOLOR(maroon):|[[092>同じことか]]|[[097>近似値]]&br()[[106>闘争弓兵クロニクル]]&br()[[110>標的を斬る]]|[[139>私ではなく、オレが殺す]]|[[148a>[忍【ころすべきもの】]][[b>殺【ほろびゆくもの】]]|[[165>The DAWN]]||BGCOLOR(maroon):||||
|~|~|[[エミヤシロウ]]|~|~|~|~|~|~|~|~|~|~|~|~|~|~|~|~|
|ランサー|9|[[アレクサンド・アンデルセン]]|[[009>アレクサンド・アンデルセン&ランサー]]|BGCOLOR(maroon):|[[052>国と力と栄えとは限りなく汝のものなればなり]]|[[069>あなたのお家はどこですか?]]|[[074>善悪アポトーシス]]|BGCOLOR(maroon):||[[103>大人と子供]]&br()[[115>俺はお前で、私はあなた]]&br()[[122>『主はまたつむじ風の中からヨブに答えられた』]]|[[141a>we are not alone]][[b>そう鳥のように]][[c>crowds are calling my name]]|[[146a>Festival]][[b>Insight]][[c>祭りのあとには]]&br()[[156a>話【こうしょうのじかん】]][[b>話【これからのはなし】]]&br()[[161a>狂い咲く人間の証明(前編)]][[b>狂い咲く人間の証明(中編)]][[c>狂い咲く人間の証明(後編)]]|||BGCOLOR(maroon):||||
|~|~|[[ヴラド三世]]|~|~|~|~|~|~|~|~||~|~|~|~|~|~|~|
|~|10|[[岸波白野]]|[[010>岸波白野・ランサー]]|BGCOLOR(maroon):||[[034>既視の剣]]|[[055a>diverging point]][[b>Moondive Meltout]]&br()[[078a>aeriality]][[b>心の在処]]|BGCOLOR(maroon):|[[087>卓袱台会議]]&br()[[113b>角笛(確かに)]]|[[116a>導火線に火が灯る]][[b>凛として散る戦士の如く]]|[[121>selector infected N.A.R.A.K.U]]&br()[[140>Fly into the night]]|[[142a>remorse]][[b>クレイジー・コースター]][[c>メモリー・オブ・シー]][[d>Heaven's Fall Blank moon]]&br()[[144>明日への飛翔]]&br()[[158>EX:tella]]&br()[[163>ウェイバー・ベルベットの憂鬱(何度目)]]|||BGCOLOR(maroon):||||
|~|~|[[エリザベート・バートリー]]|~|~|~|~|~|~|~|~|~|~|~|~|~|~|~|~|
|~|11|[[遠坂凛]]|[[011>遠坂凛&ランサー]]|BGCOLOR(maroon):||[[044>POINT OF VIEW]]|[[049>シンデレランサー]]&br()[[055a>diverging point]][[b>Moondive Meltout]]&br()[[078a>aeriality]][[b>心の在処]]|BGCOLOR(maroon):|[[087>卓袱台会議]]&br()[[113b>角笛(確かに)]]|[[116a>導火線に火が灯る]][[b>凛として散る戦士の如く]]|[[121>selector infected N.A.R.A.K.U]]||||BGCOLOR(maroon):||||
|~|~|[[クー・フーリン]]|~|~|~|~|~|~|~|~||~|~|~|~|~|~|~|
|~|12|[[ミカサ・アッカーマン]]|[[012>ミカサ・アッカーマン&ランサー]]|BGCOLOR(maroon):||[[038>母なる海]]|[[071>days/only illusion]]|BGCOLOR(maroon):|[[094>蟲のキャスターは餌を撒く]]|[[114a>days/bugs disillusion]][[b>days/knights of holy lance]]&br()[[130b>原罪-Mudblood-]]&br()[[136>スカイ・イクリプス Sky Eclipse]]|[[150b>だから、みんな死んでしまえばいいのに]]|[[160>蒼銀のフラグメンツ]]|[[167>グッドモーニングFUYUKI]]||BGCOLOR(maroon):||||
|~|~|[[セルベリア・ブレス]]|~|~|~|~|~|~|~|~|~|~|~|~|~|~|~|~|
|~|13|[[寒河江春紀]]|[[013>寒河江春紀&ランサー]]|BGCOLOR(maroon):|[[029>初陣]]|[[053>落とし穴の底はこんな世界]]|[[066>テレビとか新聞とかちゃんと見ないとダメだって]]|BGCOLOR(maroon):|[[086>槍は甘さを持つ必要はない]]|[[101>めんかい]]&br()[[127>籠を出た鳥の行方は?]]&br()[[130a>失楽園-Paradise Lost-]]&br()[[133>クラスメイト]]&br()[[136>スカイ・イクリプス Sky Eclipse]]|[[141b>そう鳥のように]][[c>crowds are calling my name]]|[[154a>たぶん自分自身のために]][[b>生きる意味、終わる意味]]|||BGCOLOR(maroon):||||
|~|~|[[佐倉杏子]]|~|~|~|~|~|~|~|~|~|~|~|~|~|~|~|~|
|ライダー|14|[[ホシノ・ルリ]]|[[014>ホシノ・ルリ&ライダー]]|BGCOLOR(maroon):|[[029>初陣]]|[[046>何万光年先のDream land]]|[[062>再現された仮想現実世界]]|BGCOLOR(maroon):|[[083>end of hypnosis 「Standing for Defend You」]]|[[097>近似値]]&br()[[101>めんかい]]&br()[[103>大人と子供]]|[[132>名探偵れんちょん/迷宮の聖杯戦争]]&br()[[141a>we are not alone]][[b>そう鳥のように]][[c>crowds are calling my name]]|[[154a>たぶん自分自身のために]][[b>生きる意味、終わる意味]]&br()[[164>路地裏ミッドナイト]]|[[167>グッドモーニングFUYUKI]]||BGCOLOR(maroon):||||
|~|~|[[キリコ・キュービィー]]|~|~|~|~|~|~|~|~|~|~|~|~|~|~|~|~|
|~|15|[[本多・正純]]|[[015>本多正純&ライダー]]|BGCOLOR(maroon):||[[045>戦中の登校者]]|[[070>ソラの政治家達]]|BGCOLOR(maroon):|[[082>最初の使者]] [[090>健全ロボダイミダラー 第X話 悲劇! 生徒会副会長の真実!]]&br()[[113a>角笛(届かず)]]|[[119>会談場の決意者]]|[[134>Gのレコンギスタ]]|[[146c>祭りのあとには]]&br()[[156a>話【こうしょうのじかん】]][[b>話【これからのはなし】]]&br()[[157a>聖‐judgement‐罰]][[b>聖‐testament‐譜]][[c>末‐apocalypsis‐世]]|||BGCOLOR(maroon):||||
|~|~|[[少佐]]|~|~|~|~|~|~|[[082>最初の使者]]|[[109>ライク・トイ・ソルジャーズ]]&br()[[119>会談場の決意者]]|~|~|~|~|~|~|~|~|
|~|16|[[狭間偉出夫]]|[[016>狭間偉出夫@真・女神転生if...、ライダー]]|BGCOLOR(maroon):||[[044>POINT OF VIEW]]|[[056>電脳淫法帖]]|BGCOLOR(maroon):|[[099>HIDE & LEAK]]|[[106>闘争弓兵クロニクル]]&br()[[117>DANGEROUS]]|[[147>体調管理には注意しよう]]&br()[[151b>アトラスの子ら(U)]]|[[159a>いいから、みつげ]]|[[159b>バーチャルリアリティ・バトルロワイアル]]&br()[[168a>if - a king of loneliness]][[b>if - a fool of loneliness]]||BGCOLOR(maroon):||||
|~|~|[[鏡子]]|~|~|~|~|~|~|~|~|~|~|~|~|~|~|~|~|
|BGCOLOR(dimgray):CENTER:クラス|BGCOLOR(dimgray):CENTER:No.|BGCOLOR(dimgray):CENTER:名前|>|BGCOLOR(dimgray):CENTER:[[【OP】>【オープニング】]]|>|>|>|>|>|>|BGCOLOR(dimgray):CENTER:[[【1日目】]]|>|>|>|>|>|>|BGCOLOR(dimgray):CENTER:[[【2日目】]]|
|~|~|~|BGCOLOR(silver):予選|BGCOLOR(maroon):|BGCOLOR(silver):未明|BGCOLOR(silver):早朝|BGCOLOR(silver):午前|BGCOLOR(maroon):|BGCOLOR(silver):午後|BGCOLOR(silver):夕方|BGCOLOR(silver):夜間|BGCOLOR(silver):未明|BGCOLOR(silver):早朝|BGCOLOR(silver):午前|BGCOLOR(maroon):|BGCOLOR(silver):午後|BGCOLOR(silver):夕方|BGCOLOR(silver):夜間|
|キャスター|17|[[暁美ほむら]]|[[017>暁美ほむら・キャスター]]|BGCOLOR(maroon):||[[039>ウーマン・イン・ザ・ミラー]]|[[042>鋏とおさげ]]|BGCOLOR(maroon):|[[081>そして、もう誰にも頼らないのか?]]|[[114a>days/bugs disillusion]][[b>days/knights of holy lance]][[c>days/best friend]]|||||BGCOLOR(maroon):||||
|~|~|[[暁美ほむら(叛逆の物語)]]|~|~|~|~|~|~|~|~|~|~|~|~|~|~|~|~|
|~|18|[[間桐桜]]|[[018>真理は魂と数理に]]|BGCOLOR(maroon):|[[037>冬木市学生諜報記録]]||[[059>何処までも暗い闇の中]]&br()[[071>days/only illusion]]|BGCOLOR(maroon):|[[094>蟲のキャスターは餌を撒く]]||[[124>interval]]&br()[[134>Gのレコンギスタ]]&br()[[149>甘い水を運ぶ蟲]]||[[167>グッドモーニングFUYUKI]]||BGCOLOR(maroon):||||
|~|~|[[シアン・シンジョーネ]]|~|~|~|~|~|~|~|[[114a>days/bugs disillusion]][[b>days/knights of holy lance]]|~|[[160>蒼銀のフラグメンツ]]|~|~|~|~|~|~|
|~|19|[[ケイネス・エルメロイ・アーチボルト]]|[[019>ケイネス&キャスター]]|BGCOLOR(maroon):||[[035>トモダチヒャクニンデキルカナ]]|[[063>notice]]|BGCOLOR(maroon):|[[085>シオン・エルトナムと純血のロード]]|[[114b>days/knights of holy lance]]&br()[[130a>失楽園-Paradise Lost-]][[b>原罪-Mudblood-]][[c>蛇の誘惑-Allure of Darkness-]]|[[143>天国にそっくりな星]]&br()[[155>絆‐Speckled Band‐]]|[[160>蒼銀のフラグメンツ]]|[[167>グッドモーニングFUYUKI]]||BGCOLOR(maroon):||||
|~|~|[[ヴォルデモート]]|~|~|~|~|~|~|~|~|~|~|~|~|~|~|~|~|
|~|20|[[足立透]]|[[020>足立透&キャスター]]|BGCOLOR(maroon):||[[030>ザ・ムーン・イズ・ア・ハーシュ・エンペラー]]|[[065>喰らう者たち 喰われる者たち]]|BGCOLOR(maroon):|[[102>A_Fool_or_Clown?]]|[[108>ゼア・イズ・ア・ライト]]&br()[[116a>導火線に火が灯る]][[b>凛として散る戦士の如く]]|[[121>selector infected N.A.R.A.K.U]]&br()[[138>フー・キルド・ニンジャスレイヤー?]]|[[142a>remorse]][[b>クレイジー・コースター]][[c>メモリー・オブ・シー]][[d>Heaven's Fall Blank moon]]&br()[[148a>忍【ころすべきもの】]]|||BGCOLOR(maroon):||||
|~|~|[[大魔王バーン]]|~|~|~|~|~|~|~|~|[[121>selector infected N.A.R.A.K.U]]||||~||||
|アサシン|21|[[野原しんのすけ]]|[[021>野原しんのすけ&アサシン]]|BGCOLOR(maroon):||[[030>ザ・ムーン・イズ・ア・ハーシュ・エンペラー]]|[[049>シンデレランサー]]&br()[[054>伝説を呼ぶマジカル聖杯戦争!]] [[077>アサシン・オブ・アンタイ・オバケ・ニンジャ]]|BGCOLOR(maroon):|[[088>ヒーローズ・オン・ザ・マッポー・ワールド]]|[[108>ゼア・イズ・ア・ライト]]|||||BGCOLOR(maroon):||||
|~|~|[[ニンジャスレイヤー]]|~|~|~|~|[[049>シンデレランサー]]&br()[[077>アサシン・オブ・アンタイ・オバケ・ニンジャ]]|~|~|[[108>ゼア・イズ・ア・ライト]]&br()[[112>スタンド・アップ・フォー・リベンジ]]&br()[[116a>導火線に火が灯る]][[b>凛として散る戦士の如く]]|[[121>selector infected N.A.R.A.K.U]] [[138>フー・キルド・ニンジャスレイヤー?]]&br()[[141b>そう鳥のように]][[c>crowds are calling my name]]|[[142a>remorse]][[b>クレイジー・コースター]][[c>メモリー・オブ・シー]][[d>Heaven's Fall Blank moon]]&br()[[148a>忍【ころすべきもの】]][[b>殺【ほろびゆくもの】]]||~|~|~|~|~|
|~|22|[[宮内れんげ]]|[[022>宮内れんげ+アサシン]]|BGCOLOR(maroon):|[[031>せんそうびより]]|[[047>形なき悪意]]|[[060>Imitation/午前9時52分]]&br()[[066>テレビとか新聞とかちゃんと見ないとダメだって]]|BGCOLOR(maroon):|[[086>槍は甘さを持つ必要はない]]|[[101>めんかい]]&br()[[103>大人と子供]]|[[132>名探偵れんちょん/迷宮の聖杯戦争]]&br()[[141a>we are not alone]][[b>そう鳥のように]][[c>crowds are calling my name]]|[[146a>Festival]][[b>Insight]][[c>祭りのあとには]]&br()[[156a>話【こうしょうのじかん】]][[b>話【これからのはなし】]]&br()[[161a>狂い咲く人間の証明(前編)]][[c>狂い咲く人間の証明(後編)]]&br()[[162>リブート]]|||BGCOLOR(maroon):||||
|~|~|[[ベルク・カッツェ]]|~|~|~|~|[[060>Imitation/午前9時52分]]|~|[[098>人の不幸は蜜の味]]|[[108>ゼア・イズ・ア・ライト]]&br()[[111>シュレディンガーの性別]]|[[131>悪意の所在]] [[137>Q【くえすちょん】]]&br()[[141a>we are not alone]][[b>そう鳥のように]][[c>crowds are calling my name]]|[[146a>Festival]][[b>Insight]]|~|~|~|~|~|~|
|~|23|[[ジナコ・カリギリ]]|[[023>ジナコ=カリギリ・アサシン]]|BGCOLOR(maroon):|[[036>働け]]|[[047>形なき悪意]]|[[060>Imitation/午前9時52分]]&br()[[066>テレビとか新聞とかちゃんと見ないとダメだって]]|BGCOLOR(maroon):|[[091>ひとりぼっち]]|[[107>戦争考察]]&br()[[115>俺はお前で、私はあなた]]&br()[[122>『主はまたつむじ風の中からヨブに答えられた』]]|[[141a>we are not alone]]|[[146a>Festival]][[b>Insight]]|||BGCOLOR(maroon):||||
|~|~|[[ゴルゴ13]]|~|~|~|[[064>報復の追跡]]| |~|~|[[107>戦争考察]]|[[126a>俺とお前はよく似てる/少年よ我に帰れ]][[b>俺とお前はよく似てる/アリアドネの幸運]]&br()[[141a>we are not alone]][[b>そう鳥のように]][[c>crowds are calling my name]]|~|~|~|~|~|~|~|
|~|24|[[電人HAL]]|[[024>電人HAL&アサシン]]|BGCOLOR(maroon):||[[041>破戒すべき全ての電人(ルールブレイカー)]]|[[056>電脳淫法帖]]|BGCOLOR(maroon):|[[096>忍音]]|[[107>戦争考察]]&br()[[115>俺はお前で、私はあなた]]|[[131>悪意の所在]] [[137>Q【くえすちょん】]]&br()[[141a>we are not alone]][[b>そう鳥のように]][[c>crowds are calling my name]]|[[146c>祭りのあとには]]&br()[[156b>話【これからのはなし】]]|[[159b>バーチャルリアリティ・バトルロワイアル]]&br()[[165>The DAWN]]||BGCOLOR(maroon):||||
|~|~|[[甲賀弦之介]]|~|~|~|~|~|~|~|~|~|[[142b>クレイジー・コースター]][[c>メモリー・オブ・シー]][[d>Heaven's Fall Blank moon]]&br()[[148b>殺【ほろびゆくもの】]]&br()[[156b>話【これからのはなし】]]|[[165>The DAWN]]&br()[[168b>if - a fool of loneliness]]&br()[[169>発覚]]|~|~|~|~|~|
|~|25|[[武智乙哉]]|[[025>武智乙哉&アサシン]]|BGCOLOR(maroon):||[[033>新しい朝が来た、戦争の朝だ]]|[[042>鋏とおさげ]]|BGCOLOR(maroon):|[[081>そして、もう誰にも頼らないのか?]]&br()[[095>吉良吉影/武智乙哉は動かない]]|[[114c>days/best friend]]&br()[[130a>失楽園-Paradise Lost-]]&br()[[133>クラスメイト]]&br()[[145>カイロスの前髪は掴むべきか?]]|[[150b>だから、みんな死んでしまえばいいのに]]&br()[[152>命蓮寺肝試しツアー]]||[[167>グッドモーニングFUYUKI]]||BGCOLOR(maroon):||||
|~|~|[[吉良吉影]]|~|~|~|~|[[042>鋏とおさげ]]&br()[[061>戦場に立つ英雄/台所という名の戦場]]|~|~|[[104>殺人考察(前兆)]]&br()[[114c>days/best friend]]&br()[[130a>失楽園-Paradise Lost-]]&br()[[133>クラスメイト]]&br()[[145>カイロスの前髪は掴むべきか?]]&br()[[152>命蓮寺肝試しツアー]]|~|~|~|~|~|~|~|~|
|バーサーカー|26|[[美遊・エーデルフェルト]]|[[026>美遊・エーデルフェルト&バーサーカー(2)]]|BGCOLOR(maroon):|[[051>夜の始まり]]|[[069>あなたのお家はどこですか?]]|[[074>善悪アポトーシス]]|BGCOLOR(maroon):|[[083>end of hypnosis 「Standing for Defend You」]]|[[097>近似値]]&br()[[105>サツバツ・ナイト・バイ・ナイト]]|[[128>少女時代「Not Alone」]]|[[129>犯行(反攻)]]|[[166>『ただいま』はまだ言えない]]||BGCOLOR(maroon):||||
|~|~|[[黒崎一護]]|~|~|~|~|~|~|~|[[097>近似値]]&br()[[105>サツバツ・ナイト・バイ・ナイト]]&br()[[110>標的を斬る]] [[116a>導火線に火が灯る]][[b>凛として散る戦士の如く]]|[[121>selector infected N.A.R.A.K.U]]&br()[[128>少女時代「Not Alone」]]|~|~|~|~|~|~|~|
|~|27|[[ウェイバー・ベルベット]]|[[027>ウェイバー・ベルベット&バーサーカー]]|BGCOLOR(maroon):||[[040>故郷とおっぱいは遠くにありて思うもの]]|[[057>機動戦士ガンダムデップー ”逆襲のウェイバー”]]|BGCOLOR(maroon):|[[088>ヒーローズ・オン・ザ・マッポー・ワールド]]|[[108>ゼア・イズ・ア・ライト]]&br()[[112>スタンド・アップ・フォー・リベンジ]]&br()[[116a>導火線に火が灯る]][[b>凛として散る戦士の如く]]|[[121>selector infected N.A.R.A.K.U]]&br()[[140>Fly into the night]]|[[142a>remorse]][[c>メモリー・オブ・シー]][[d>Heaven's Fall Blank moon]]&br()[[144>明日への飛翔]]&br()[[158>EX:tella]]&br()[[163>ウェイバー・ベルベットの憂鬱(何度目)]]|||BGCOLOR(maroon):||||
|~|~|[[デッドプール]]|~|~|~|~|~|~|~|~|~|~|~|~|~|~|~|~|
|~|28|[[テンカワ・アキト]]|[[028>テンカワ・アキト&バーサーカー]]|BGCOLOR(maroon):|[[032>凛然たる戦い]]|[[050>主よ、我らを憐れみ給うな]]&br()[[053>落とし穴の底はこんな世界]]|[[074>善悪アポトーシス]]|BGCOLOR(maroon):|[[084>信じる]]&br()[[089>バカばっか]]|[[105>サツバツ・ナイト・バイ・ナイト]]|[[125>ほんの少しの休息]]|[[129>犯行(反攻)]]|[[153a>うまくはいかない『聖杯戦争』]][[b>君の思い出に『さよなら』]]&br()[[159b>バーチャルリアリティ・バトルロワイアル]]&br()[[165>The DAWN]]&br()[[169>発覚]]||BGCOLOR(maroon):||||
|~|~|[[ガッツ]]|~|~|~|~|~|~|~|~|~|~|~|~|~|~|~|~|
|その他||[[カレン・オルテンシア]]|[[OP2>月を望む聖杯戦争]]|BGCOLOR(maroon):||[[050>主よ、我らを憐れみ給うな]]|[[073>ルーラーのB-4調査報告:衝撃の――――]]&br()[[078a>aeriality]][[b>心の在処]]|BGCOLOR(maroon):[[079>第一回定時通達]]|[[113a>角笛(届かず)]][[b>角笛(確かに)]]|[[116a>導火線に火が灯る]][[b>凛として散る戦士の如く]]|[[121>selector infected N.A.R.A.K.U]]|[[140>Fly into the night]]&br()[[143>天国にそっくりな星]]&br()[[155>絆‐Speckled Band‐]]&br()[[162>リブート]]|||BGCOLOR(maroon):||||
|~|~|[[ジャンヌ・ダルク]]|~|~|[[029>初陣]]|[[046>何万光年先のDream land]]|~|~||[[108>ゼア・イズ・ア・ライト]]&br()[[116a>導火線に火が灯る]][[b>凛として散る戦士の如く]]&br()[[140>Fly into the night]]|~|[[140>Fly into the night]]&br()[[143>天国にそっくりな星]]&br()[[156b>話【これからのはなし】]]&br()[[157-a>聖‐judgement‐罰]][[b>聖‐testament‐譜]]&br()[[161c>狂い咲く人間の証明(後編)]]&br()[[162>リブート]]|~|~|~|~|~|~|
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2019-07-07T21:22:02+09:00
1562502122
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THE DAWN
https://w.atwiki.jp/2jiseihaisennsou2nd/pages/641.html
* THE DAWN ◆HOMU.DM5Ns
春川英輔の知識と知能をクローニングした人格プログラム。
それがHALの正体だ。
零からアメーバ一匹も創造できない21世紀の黎明において、プログラム上とはいえ自身の完全なる模倣を造り出す、当時からすれば途方もない偉業。
日本有数の天才である春川のデータを精密に模倣(コピー)し、思考と記憶を寸分違わず再現されている。
その意味ではまさしくHALこそは春川英輔の「もう一人の自分」だといえよう。
しかし春川はHALだが、HALは春川ではない。
国内のあらゆるサーバーにアクセスして瞬く間に掌握し、去った後は尻尾を掴む痕跡も残さない。
電脳空間で最適された意志持つプログラムによる、他と隔絶したハッキング能力。
これは電子上に住まうHALであるが故に獲得した能力であり、同等の頭脳を持つ春川であっても人間である限り、同様の成果を出す事は不可能に近い。
さらに寿命という概念の消失。あくまでデータの塊であり自己変革を繰り返すHALに肉体の生存限界は存在しない。
自らの手で消滅する、人間でいう自死の選択肢は春川から与えらておらず、外部の手で破壊されなければ幾らでもHALは存続できる。
永遠の計算。無制限の自己改革。それがHALに課せられた最大の、そして唯一の意義だ。
春川が死すともHALは消えず、その逆も然り。
これだけでも、既に二者は完全な同一個体とはいえないだけの差異が生じている。
『電人HAL』と自ら称したプログラムとは、いわば宿主が消えても地に残り続ける陽炎。人の背に張り付く影(シャドウ)でありながら個別した人格(ペルソナ)だ。
「……だが私と春川の目的は変わらない。
その為の私であり、その為のHALだ。それを成す事のみこそ私は生きる。1ビットたりとも変化してはいない」
研究室。
最低限の明かりがあり、大型の冷蔵庫が稼働しているような音が鳴る暗い部屋で、いまや一人であるHALはいる。
春川として個人の身分と研究室を得ている現在、ここはHALの手で日々改造を施されている。
物理的にではない。春川の地位とマスターである能力を用いれば幾らかの資材を投入する事は可能かもしれないが、科学、物理を用いた防備がサーヴァントに有効になり得はしない。
コンクリートであろうがカーボンであろうが、霊体化なり、あるいはもっと直接的な攻撃なりで容易く陥落する他ない淡い砦だ。
ならばHALが行える、霊子の海におけるマスターの備えとは即ち―――
光の線が、部屋の壁から天井にかけてまで走った。
電灯は点いていない。この部屋を照らすのはコンピューターのスイッチや画面から出る光と、時折走る光条のみだ。
幾つかの光条が駆け巡り、暗闇に沈む部屋の内部を露わにする。
人の形はやはりHALのひとつのみ。それ以外には気配もない。
光が途絶える。部屋は再び闇に溶ける。光は循環しておりそう遠くない内にまた光条が走ってくる。
その僅かな間に、影も形も見えない中から声がした。
「儂を伴わずに敵方との交渉を済ませるとは、我が主も剛毅なものよ」
視覚無き世界で聞こえた、木の葉がこすれるような男の声。気配を察知させず存在のみを誇示するさまはアサシンのサーヴァントの見本となるべき手並みだ。
そのサーヴァント・甲賀弦之介のマスター、HALは当然驚くことなく従者の帰還を迎え入れた。
「裏の空間での私の性能は証明された。あそこでならサーヴァントをも凌ぐ相手に対しても私は優位に立てるよ」
「それほどに摩訶不思議なる空間が用意されてるとはな。不安要素はまだ残るが、使わぬ手はあるまい」
「ああ、侵入経路は限定されているが、ここに引き込めればより確実に勝利をものにできる。
私の存在を嗅ぎつけ迂闊に近づいた者ほど罠に嵌め易くなる」
"噂"を元に見つけた、影の冬木市とでもいうべき空間。
その侵入を果たしたHALは独り精査をしている最中にも、アサシンに命じ表の冬木市で間諜の任を続行させ、こうして報告を届けに来たのだ。
「案の定、幾らか制御を外れた者がおる。完全に意識を取り戻さずとも、指令を忘れ無差別に破壊を振り撒く例が散見された。
書面にあった者共の処理は終えたが、少数は握り潰す前に御用になってしまっている」
「あの英霊の性質に中てられたが故の暴走だからな。それも当然の理だ」
ベルク・カッツェの起こした騒動、その後処理である。
そもそも一連の騒動の発端とは、あの扇動のサーヴァントと接触したHALが彼の排除を目論んだ事が始まりとなる。
結果としてカッツェの討伐は成ったものの、その過程で生じた様々なトラブルの弊害はHALの戦略にも少なからず影響を及ぼした。
その最たるものこそ、カッツェの能力による電子ドラッグ感染者の暴走だ。
電子ドラッグの元の構造は犯罪願望の表層化。感情(それ)を暴き立てるカッツェとの相性は格別に悪かった。
能力は元より性格が致命的に尽きる。保身を捨てた子供の癇癪じみた感情でHALの兵隊は狙いに定められ、その統制を大いに乱された。
その可能性を当然考慮していたHALだ。直後から手を走らせ迅速にネットワークを再構築してある。
けれどもどうしても取りこぼしは否めない。手が及ぶ前に異常行動に出る輩を握り潰す事はかなわない。
憂慮すべきは、その他のマスターに目撃される事。
あれだけ派手に騒いだ事態だ。直接関わらずとも遠巻きに見ていた陣営は何処にでもいたはず。
そうした相手にこそ俄然見つかる危険がある。
だからこそのアサシンの単独行動だった。本流の忍の英霊はHALよりもずっと速く現実での状況把握に向いてる。
兵隊の情報を握らせた上で、大学付近の一帯を走らせて虱潰しに監視させたのだ。
それによってHALも兵達の動きを完全把握し、被害を最小限に抑えることが出来た。
もっとも問題は。
その最小限こそ、芽生えた最大の被害となったことだったが。
「そうか、ホシノルリが気づいたか」
電子の妖精と名高い、女性警視のマスターが電子ドラッグにたどり着いた事についても、HALに冷静さを奪うには及ばなかった。
むしろ順当な結果ともいえよう。警察の身分とカッツェのマスターを保護しているという二点からカッツェを追い詰めるのに選出した相手だが、第二の狙いは彼女の品定めでもあった。
早期からターゲットとしていた、HALを上回る情報処理能力の正体。警視という権限ある立場。
宮内れんげというイレギュラーがなければ恙無くカッツェを仕留められていただろう。
その優秀さを鑑みれば、混沌下した街中で不審な兵に気づき電子ドラッグを解析する……という結果も予測の範疇だ。
「加えて、同様の能力を持つと思しき"ますたあ"と盟を結んだ様子。そちらも我らの兵を抑えており、傍らの英霊共々油断がならぬ」
シオン・エルトナム・アトラシアとの接触の場面も、弦之介は余さず観察していた。
HALの尖兵の安否の確認の為に街中を馳せていたのだから、そのうち二名も確保していた者に行き着くのは自明の理だ。
驚異を見つけたならば、更なる解析が及ぶ前に芽を潰すのがHALの従者としては常套であるが、そこは甲賀の忍、獲物を前に迂闊を見せる愚は犯さない。
呑気にも会話しているだけのようでいたシオンのサーヴァントが、周囲を取り囲む結界を糸で編んでいたのを看破していた。
触れれば絡め取られるか、鳴子の要領で敵を感知するか。張り巡らされた隙のない配置。抜け目のない切れ者だ。
さらに敵は一騎ではない。必殺の瞳術といえど弱卒でもない猛者相手に軽率に使うべきではない。よって強襲は避け監視に留めていた。
「手を出す事を控えた君の慧眼に感謝しよう、アサシン。確かにホシノルリは難敵となる。同じくシオン・エルトナムについても油断を許されない相手となるだろう」
シオンの情報は、学生の身でありながら錯刃とは別の大学の研究室にも出入りするほどの才女という線から引き出せた。
穂群原学園はいまやHALも手が伸ばせない魔境と化している。あそこから生き延びているだけでも手練れには違いない。あるいは元凶そのものか。
「だがそれでも、今の私の優位を崩すには届かない。
リカバーは充分聞く範囲であり、巻き返しを許さぬ準備も整えてある」
「……捕らえられた兵から、此方の所在が割れる心配も無いのだな?」
「一人はランダムに選んだ人間。片方はうちの生徒だがそこからここに行き着くには理論の飛躍が過ぎる。
あの二人の頭をどこまで洗おうと私と犯人を結ぶ線が伸びるのはあり得ない――――――とは言い切れないのが、聖杯戦争の恐ろしさだな」
見破られるのはまだ先の時間と豪語していた昼にも、HALの予想もつかない方法から正確に位置を見破られた出来事を思い出す。
電脳冬木市には古今東西の英霊の奇手妙手が揃っている。どれひとつとってもHALの牙城を飲み込む恐るべき津波。
「やはり、引きこもっているのはこの辺りが限界のようだな」
どの道、いつまでも穴蔵のまま勝てるなどとは思ってない。
情報収集は勝利の為の策の一環。来る攻め時に確実な道程を築く方策。
見に徹し過ぎればいずれ機を見失い、受け身にならざるを得なくなる。
「―――いいだろう。ホシノルリ。シオン・エルトナム・アトラシア。魔神皇。まだ見ぬ数多のマスターよ。
ここからは第二局面だ。0と1の世界の住人、電人HALの真髄を披露しよう」
静かなる宣言に呼応するように、床、壁、天井を伝う光条が一斉に励起した。
黒の空間を埋め尽くして流れる無数の光は、さながら宙を星々が舞う構図を思わせる。
あるいは魔術師の称するところの、『魔術回路』と呼ばれる小宇宙のイメージか。
これこそが、HALの施した改造の全容だった。
禍津冬木市にて試行し、採集したデータを元にした法則。これを表の冬木市でも再現が可能な空間の構築。
限定的だが、裏で示した能力の数割をここでなら引き出す事ができる。
これは驚くべき領域に指をかけた行為。遠く隔てた異邦の世界の法則をも学習し始めた、人工知能の進化過程。
いわばHAL流の魔術工房。電人本来の能力を現実でも発揮する術をHALは手にしたのだ。
ここでなら魔神皇やサーヴァント相手ならともかく、マスターを相手にまず遅れを取りはしないだろう。
そして兵隊とアサシンとで集めた情報を元に相手を燻り出し、新たな手札をぶつけこれを討つ。
「使える男か、あの引き入れた"ますたあ"は」
「直接戦闘に特化したクラス、殺意の塊のようなサーヴァントだ。加えて社会的立場の不利。
切り捨てるに易く、使うには旨味がある。君にとっては最高の相性であり、私にとっては最適な同盟相手だ」
自らが離れている間にHALが新たに手に入れた"戦力"―――テンカワアキトに、弦之介は怪訝に尋ねた。
NPCを殺傷しお尋ね者となり切迫していたアキトを、保護と引き換えにHALが協力関係を結んだ形だ。
今は適当な配下の一人の家に入れ匿っている。NPCの警察の目をかいくぐるぐらいHALにはわけもない。
アキトの擁するバーサーカーは自陣営に欠けていた破壊力を持つ有用な戦力だ。
裏切りのリスクは常に控えているが、切るタイミングを選べる機会は圧倒的にHALにある。
元より乗らざるを得ない状況だからこそ持ちかけた提案。イニシアティブはこちらが握ってるといっていい。
軽快な電子音が部屋に鳴った。電脳工房の中、指の動きでデータごと手元に引き寄せ内容を解く。
「噂をすれば影だ。早速あちらから要求が来た。
我等の走狗になる気はない、あくまで討つべき敵は自分で決める、か。フッまあいいだろう。有用性を示す為にも少しは好きにやらせておくか」
手早く望むものを仕込んだデータをメールに加工して送り出す。これでまたひとつ盤面が動いた事になる。
データでしかない体に、静かな熱が疼いてるのをHALは知覚した。
生理現象そのものの情報処理が起こす、単なる一時のエラーかもしれない。戦士でも魔術師でもないHALに、戦争に沸き立つという感情はない。
春川であった頃から出会う事のなかった、同じ分野で自分と比肩し、超えさえする天才に興味を覚えこそすれ、目的を傾けるだけの指向が生じるわけもない。
ならばこれは、はじめから胸に抱いていた熱。
強敵を退け、艱難辛苦を乗り越え、聖杯を手にするという、初志の目的を認識したが故。
【刹那】に至る瞬間を想起した、ひとりの男から継いだ夢が生んだ熱(バグ)だった。
◇
眠りを必要としないサーヴァントに、昼夜を通しての行動に支障はない。
魔力さえ足りてれば休息を挟まず連日で街中を駆け巡っていても疲労消耗とは無縁だ。
あるとすれば精神的な疲弊だが、歴戦の英雄が一日二日で音を上げようはずもない。
草木も眠る丑三つ時も超え、間もなく朝日が昇ろうとしてるこの時刻でも哨戒するアーチャー、アシタカもまた例外ではない。
あれから。
岸波白野の戻らぬアパートで待ち続け、流石に周囲の不審の目も出てくるようになって、遂に開かぬ扉をあとにした。
一応玄関には書き込みをしたメモ帳を入れてある。
聖杯戦争だのマスターだのといった内容を大っぴらに書くのははばかられたため、とりあえずは早苗の名前と連絡先、安否の確認を記してある。
帰宅した白野が手紙を読めば、少なくとも早苗の存在には気づきはする。そこから先は未知数だ。
監督役の少女は、聖杯について知りたいのであれば岸波白野を探すといいと伝えた。
けれど白野が味方になるとまでは言っていない。聖杯に詳しい事と好戦的である事は、合わさっても決して矛盾しない要素だ。
むざむざ所在を明かし、かえって襲撃を受けるかもしれない。逆に警戒され避けられてしまうかもしれない。
既に白野は敗退し、倒した方のマスターが戦利品替わりに見つけ、悪用される結果もあり得る。
そうした最悪の可能性を想定した上で、早苗は決めた。悪手でも、愚かでも、迷ったままでも。ひとつの心を決め、その心に従う行いをした。
サーヴァントであるアシタカはその決断をこそ尊ぶ。主が進む道を決めたならば、崖に足を踏み外さないよう眼前の霞を払う。
主従や忠義といった習いに囚われなかった生前だが、サーヴァントとして、傍らに付く隣人として、アシタカは早苗を支えるべく尽力するだけだ。
早苗は既に自室にて眠っている。
目立った傷も霊力の消耗もないが、精神の疲弊は重くのしかかっていたのだろう。
少し横になるだけと言っていたが、一時間も経たないうちに安らかに寝息を立ててしまった。
それでいい。あてもなく彷徨っても焦りばかり募り疲れが嵩むばかりだ。いずれ来るその時まで、休めるうちは休むべきだ。
アシタカも独断で戦火に飛び込む事はせず、斥候の役目に徹する。早苗の住居とは別のマンションの屋上に立ち、河を挟む街を見渡す。
遠方を見渡す千里眼。山を超えたもののけの存在を察する感覚が昇華した気配感知。多くの生命が息づく様をアシタカは見た。
街を祭りの最中であるかのように賑わす熱狂の渦。突如空に出現する船。
南に生い茂る森を焦がすほどの、燃え盛る無数の生命の雀躍。
見てるのみでは会話や表情、事の仔細を掴むまではいかない。しかし凄絶極まる戦いが繰り広げられていたのは違えようもない。
聖杯戦争は着々と進行している。早苗の煩悶など一顧だにせずに。失われる命の是非はともかく、それもまた揺るがぬ事実だ。
―――森から抜ける奇妙な影を捉えたのは、そんな時だ。
精錬な鎧姿の、金の髪の少女。
先日の朝にもその姿は見ていた。監督役を務める裁定者のサーヴァント、ルーラー。
彼女は一人ではなかった。年端もいかない幼い少女を連れている。手を取り歩調を合わせ、気遣う様子を見せながら。
その幼子にも、アシタカは見覚えがあった。早苗が気にかけていた、夜の街で同盟を組んだらしきサーヴァント二騎の傍にいた子供。
その子供がルーラーと一緒に連れられて歩いている。なんとも珍妙な光景だ。アシタカの関心の対象に視線は寄せられていく。
子供の方のサーヴァントはどうしているのか。ここからでは霊体化して付いているか判別がつかない。
二人はどこへ向かうのか。ルーラーの帰る先といえば教会だが、子供もそこに連れる気なのか。
拭えぬ疑問に悩み――――――――――――――――――自らに向けられた視線に総毛立った。
ビルの屋上から躊躇なく飛び降りる。生前騎馬もないままでは肝を冷やしたろう高さもサーヴァントになった今ではおそるるに足らない。
地面に足が着いてすぐさま弓と矢を手元に現出させ、即座に矢を番える準備を終える。歴戦のガンマンの早撃ちに似た、まさに瞬間の切り替えだった。
振り向く先には暗闇と人工の光源。人影は見受けられない。あくまでも視界内においては。
"―――――――――――――いる。"
眼よりなお鋭敏になった感覚が告げている。
この方角の先。姿は見えず、声も届かぬほど遠くの地点から、自分は視線を交差させていると。
おそらくはアーチャークラス。高い視力か、それに変わる感覚を備えた、自分と同系統の能力の持ち主か。
矢が飛んでくる気配はない。あからさまに戦意があるでもない。不気味なほど変化はなく、空は静寂だ。
"――――――――――仕掛ける気はない、か"
向こうが感じた以上、こちらが見返すのも感じてるはず。
自分と同じく、斥候の任を優先としていたのだろう。そして同じ対象を見ていた事でかち合った。
ルーラーの挙動には誰もが注目する。その点を見過ごし関心を傾け疎かにしていた己の落ち度だ。
視線が逸れた気配はない。向こうもどう出るか考えあぐねていると見える。
実体の構成を解れさせる。睨み合いを続けていても埒が明かない、こちらから潔く身を引いておくべきだろう。
第三の観察者が現れないとも限らないのだ。ここで泥沼化は避けたい。
早苗の住むマンションからはやや離れているが、追跡を撒く予防策だ。
風に流されるが如く、霊体化したアシタカは夜気に溶け街に降りていった。
◇
「――――――引いたか。賢明な判断だな」
完全にサーヴァントの気配が絶たれたのを確認してから、矢にかけた指から手を離す。
アシタカが向けていた視線の先。新都と深山町とを繋ぐ赤い大橋の上。鉄骨に立つ赤い外套は、クラスを同じ弓兵とするサーヴァント、エミヤだ。
忍者のサーヴァントを討ち倒した後にも休息を挟まず偵察に出ていた中でのサーヴァントの感知。
姿は確認できずじまいだったが、同じアーチャーのクラスと当たりをつける。
弓兵の鷹の眼から逃れ狙撃のリスクを真っ先に殺した動きは、同じ戦法を用いるが故と思ったからだ。
少なからず消耗の身、事を荒立てる気はなかったが、それはお互い様だったらしい。緊迫した雰囲気は一瞬で、あちらから霊体化して範囲から離脱していった。
状況を読み身を引く冷静さ。共闘する候補に一考しておいてもいいだろう。
とはいえ相手の顔も声も禄に視認出来ていない、通路でたまたま視線が重なった程度の交錯だ。
少なくとも今はまだ、意味を持つ事のない接触だ。
切嗣は先に拠点に帰してある。あそこに潜む別の暗殺者(アサシン)の警戒からだ。
念入りに追跡の可能性を潰し、未だ騒然とする雑踏に紛れ、複数ブラフを撒きもした。令呪も因果線(ライン)の異常もなく、マスターは未だ無事だ。
戦闘中を見計らっていたのなら、アサシンのマスターだけでなく切嗣も闇討ちをかけられてもおかしくなかった。
身を潜めていたのが功を奏して運良く発見されずに済んだか。確率では半々だ。
サーヴァントの守りなきマスターに及ぶ暗殺者の牙がどれだけの驚異となるか。それを承知している切嗣は、夜が明けるまで行動は控える予定だ。
これもまた同一複数のクラスが入り乱れる方舟の聖杯戦争ならではの着眼点だろう。既存の知識を更新しただけでも生き延びた甲斐はあった。
こうして冬木の街を俯瞰していても、戦闘行為は禁じられ偵察のみに留めている。
新都と深山町と結ぶ赤い大橋。その鉄骨の上に立ち街の全景を見渡している。
C-6地区―――大学のある場所で起きた暴動は収まったようだ。生憎切嗣を運ぶ最中だったので、事の成り行きを見届ける事は叶わなかったが。
さぞ複数のサーヴァントがひしめき合う伏魔殿だったろうが、見る限り派手な破壊の跡はなく比較的戦闘の規模は広がらなかったようだ。
破壊の度合いでいえば、南の森林地帯の方こそ甚大そのものだ。
森が丸ごとくり抜かれたような跡。圧倒的に呵責なき破壊。随分と血の気の多い輩もいたものだ。
自分達も知る、図書館で交戦した紅血の吸血鬼。あれだけの戦鬼であれば宝具を開封すれば、この被害も頷けるか。
鬱蒼と生い茂る森林地帯という戦場も、アーチャークラスの千里眼にとって視界の障害にはならない。
二騎の英霊は倒れ、マスターもまた森を出た様子もない。
それはいい。潰し合いの末勝者も敗者も共倒れになった。労せず難敵が落ちた最良の展開だ。
懸念はルーラーに手を引かれていた、年端もいかない少女の存在。
単なる巻き込まれたNPCにしては行き過ぎた保護。マスターだとすれば尚更に平等の立場である裁定者の座が揺れる。
なにがしかの異常。ルールにない不測の事態が発生したか。
「システムの異常。規格外のサーヴァントとらしくもないマスター。
まあ、珍しくもないが」
それ以上の追求もせず、橋から動かずに街を見やる。
方舟のマスターにはNPCの時代から引き継いだ役割がある。学生や公務など制限を受ける職であれば朝に向けて準備をしている時分だ。
ここで派手に事を仕出かす真似もすまい。街の暴動と、森の大戦。一日目に起こる戦いはこれにてお開きとなるだろう。
斥候はここらで終わらせマスターに報告する段だ。切嗣は今も一睡もせず情報の整理作業に没頭しているだろう。
決して無傷の体ではないが行動に問題ない以上、寸暇を惜しんで次の戦略を巡らせてるはずだ。
つまり、自己の思惑に没頭できる時間は、今だけということだ。
――――――――――この聖杯戦争は正常なるか否か。
方舟内に再現された冬木市に召喚されて以来、常に思考の隅に置いていた問題。
ムーンセル。霊子空間。概要こそ召喚直後に書き加えられた基礎知識に入ってるが、確証を得るには心許ない。
しかし自身にはそれを調べる方法も、時間も、多くは残されていない。
唯一といえる手段は、このまま勝ち進み最期の一組に残ること。
優勝者となれば自然聖杯へ繋ぐ扉は開かれ、真実も明らかとなるだろう。地道ではあるが確実だ。
元より勝ち残る気でいるのだから方針を変える事もない。
仮に聖杯に異常があり、悪災を撒き散らす代物だとすれば、その時は破壊すればいい。そこの判断を過つ衛宮切嗣ではない。
多くを救うという正義の為に少数の犠牲を厭わないという裁定は、自身の願いすらも傾く天秤に置く事を選ぶのも躊躇しない。
だからこのまま続ければいい。
敵を出し抜き、慮外から不意打ちを食らわせ、人情の訴えも無視して、速やかに掃討すればいい。
いつもの掃除屋の仕事と同じだ。意思のあるなし程度の差で、血潮にまで染み付いた殺戮の技巧が鈍りはしない。
仮想世界の疑似生命の住人と何処とも知れぬ世界のたかだか二十数名。世界の維持の為には取るに足らない犠牲。
ああ、けど。
全てを殺し尽くして、ただ独り立つ勝利者である彼を待つものが、あの日の地獄に送り出すだけなのだとしたら。
そんなものは始まり(ゼロ)に至るだけで、全ての行いは虚無(ゼロ)でしかない。
元の世界に帰還した切嗣がどのような状況に置かれるかは分からない。
異世界に流れた影響は歴史の流れを歪ませ、世界の修正の利かない事象の変化を及ぼしかねない。
そうなれば、この切嗣の行動で座に刻まれた己がどうなるわけもない。
己が死に、生まれ直した運命の日を回避したとて、還るものはない。
聖杯の力が真実本物であれば、いい。切嗣の願い。どれだけ子供じみた絵空事の理想でも現実に叶うのならば構わない。
英霊エミヤという機構が二度と生まれない世界――――――それは己の願いにも合致する。
「これは奇跡か、迂遠な嫌がらせか、それとも最後のダメ押しのつもりなのか――――――
なんにせよ機会をくれたというのなら利用させてもらうとしようか」
待ち受ける未来、突きつけられる結末を思い描いても、男はいつものように皮肉げに笑った。
◇
奪われたものを取り戻す為に、大切な思い出を捨てた。
悩もうが嘆こうが嗤おうが、自分で切り捨てたものはもう返ってこない。
飼い犬も傀儡も今更だ。どう思われようと、胸の欠けた穴の懊悩に比べれば苦痛にすらならない。
『もう一人の自分に出会わなかったのか』。
表に戻る手段も不明で、戻ったところで逃げ場がない立場にいる中での誘い。
そんな分かりきった答えより前に、提案を持ちかけた相手にそんな問いを投げかけた。
返ってきた答えは要領を得ず曖昧だったが、あの空間が電脳空間であるのを思えば、そこを自在に操る奴はそれこそ誰かの作った"自分"なのかもしれない。
鈍る眼でも感じる光が、夜が明けたのを告げる。
どこの誰とも知らない、自意識が飛んだとしか思えない虚脱した連中が用意した部屋に連れられたから一夜。
つまりはもう、開戦の合図だ。
たが。それより先に。
『………………条件がある』
『今から言う二人の情報を教えろ。特に――――の方は――――――――――』
最初に同盟を組んだ相手。
戦わず、他愛のない話をしただけの少女。
自分を揺さぶる問いを投げかけ、不合理な宣言を目の前で告白した彼女。
これから先、戦うというのなら。
記憶を取り戻してから、自分が最も"自分"らしかった時。
"自分"を殺した自分が持っていてはいけない思い出を、捨てなければならない。
【C-6/錯刃大学・春川研究室/二日目・早朝】
【電人HAL@魔人探偵脳噛ネウロ】
[状態]健康
[令呪]残り三画
[装備]『コードキャスト:電子ドラッグ』
[道具] 研究室のパソコン、洗脳済みの人間が多数(主に大学の人間)
[所持金] 豊富
[思考・状況]
基本:勝利し、聖杯を得る。
1.潜伏しつつ情報収集。この禍津冬木市は特に調べ上げる
2.ルーラーを含む、他の参加者の情報の収集。特にB-4、B-10。
3.他者との同盟,あるいはサーヴァントの同時契約を視野に入れる。
4.ホシノルリを『ハッキングできるマスター』として認識。排除の方法を練る。
5.魔神皇の陣営を警戒
6.テンカワアキトを利用。しばらくは好きにさせる。
[備考]
※洗脳した大学の人間を、不自然で無い程度の数、外部に出して偵察させています。
※大学の人間の他に、一部外部の人間も洗脳しています。(例:C-6の病院に洗脳済みの人間が多数潜伏中)
※ジナコの住所、プロフィール、容姿などを入手済み。別垢や他串を使い、情報を流布しています。
※他人になりすます能力の使い手(ベルク・カッツェ)を警戒しており、現在数人のNPCを通じて監視しています。
また、彼はルーラーによって行動を制限されているのではないかと推察しています。
※サーヴァントに電子ドラッグを使ったら、どのようになるのかを他人になりすます者(カッツェ)を通じて観察しています。
→カッツェの性質から、彼は電子ドラックによる変化は起こらないと判断しました。
一応NPCを同行させていますが、場合によっては切り捨てる事を視野に入れています。
※ヤクザを利用して武器の密輸入を行っています。テンカワ・アキトが強奪したのはそれの一部です。
※コトダマ空間において、HALは“電霊”(援護プログラム)を使えます
※自分の研究室を"工房"に改造しました。この空間内なら限定的にコトダマ空間内での法則を使えます。
※テンカワアキトと協力関係を結びました。適当な配下のNPCの家に匿っています。
【アサシン(甲賀弦之介)@バジリスク ~甲賀忍法帖~】
[状態]:健康
[装備]:忍者刀
[道具]:なし
[思考・状況]
基本:勝利し、聖杯を得る。
1.HALの戦略に従う。
2.自分たちの脅威となる組は、ルーラーによる抑止が機能するうちに討ち取っておきたい。
3.性行為を行うサーヴァント(鏡子)、狂想のバーサーカー(デッドプール)への警戒。
4.戦争を起こす者への嫌悪感と怒り。
[備考]
※紅のランサーたち(岸波白野、エリザベート)と赤黒のアサシンたち(足立透、ニンジャスレイヤー)の戦いの前半戦を確認しました。
※狂想のバーサーカー(デッドプール)と交戦し、その能力を確認しました。またそれにより、狂想のバーサーカーを自身の天敵であると判断しました。
※アーチャー(エミヤ)の外見、戦闘を確認済み。
[共通備考]
※『ルーラーの能力』『聖杯戦争のルール』に関して情報を集め、ルーラーを排除することを選択肢の一つとして考えています。
囮や欺瞞の可能性を考慮しつつも、ルーラーは監視役としては能力不足だと分析しています。
※ルーラーの排除は一旦保留していますが、情報収集は継続しています。
また、ルーラーに関して以下の三つの可能性を挙げています。
1.ルーラーは各陣営が所持している令呪の数を把握している。
2.ルーラーの持つ令呪は通常の令呪よりも強固なものである 。
3.方舟は聖杯戦争の行く末を全て知っており、あえてルーラーに余計な行動をさせないよう縛っている。
※ビルが崩壊するほどの戦闘があり、それにルーラーが介入したことを知っています。ルーラー以外の戦闘の当事者が誰なのかは把握していません。
※性行為を攻撃としてくるサーヴァントが存在することを認識しました。房中術や性技に長けた英霊だと考えています。
※鏡子により洗脳が解かれたNPCが数人外部に出ています。洗脳時の記憶はありませんが、『洗脳時の記憶が無い』ことはわかります。
※ヴォルデモートが大学、病院に放った蛇の使い魔を始末しました。スキル:情報抹消があるので、弦之介の情報を得るのは困難でしょう。
※B-10のジナコ宅の周辺に刑事のNPCを三人ほど設置しており、彼等の報告によりジナコとランサー(ヴラド3世)が交わした内容を把握しました。
※ランサー(ヴラド3世)が『宗教』『風評被害』『アーカード』に関連する英霊であると推測しています。
※ランサー(ヴラド3世)の情報により『アーカード』の存在に確証を持ちました。彼のパラメータとスキル、生前の伝承を把握済みです。
※検索機能を利用する事で『他人になりすます能力のサーヴァント』の真名(ベルク・カッツェ)を入手しました。
【C-7(北西)/民家/二日目・早朝】
【衛宮切嗣@Fate/Zero】
[状態]毛細血管断裂(中)、腹部にダメージ(中)、魔力消費(小)
[令呪]残り二角
[装備]キャリコ、コンテンダー、起源弾
[道具]地図(借り物)
[所持金]豊富、ただし今所持しているのは資材調達に必要な分+α
[思考・状況]
基本:聖杯を勝ち取り、恒久的な平和の実現を
1.他のサーヴァントの情報を得る。
2.他のマスターに同盟、休戦を打診する。
3.使えそうなNPC、および資材の確保のため街を探索する。
4.好戦的なマスター、サーヴァントには注意を払っておく
[備考]
※この街のNPCの幾人かは既に洗脳済みであり、特に学園には多くいると判断しています。
※NPCを操り戦闘に参加させた場合、逆にNPCを操った側にペナルティが課せられるのではないかと考えています。
※この聖杯戦争での役割は『休暇中のフリーランスの傭兵』となっています。
※搬入業者3人に暗示をかけ月海原学園に向かわせました。昼食を学園でとりつつ、情報収集を行うでしょう。
暗示を受けた3人は遠坂時臣という名を聞くと催眠状態になり質問に正直に答えます。
※今まで得た情報を基に、アサシン(吉良)とランサー(エリザ)について図書館で調べました。
アサシンは真名には至ってませんが、ランサーは次に調べれば真名を把握できるでしょう。
※アーチャー(エミヤシロウ)については候補となる英霊をかなり絞り込みました。その中には無銘(の基になった人)も居ます。
※アーチャー(アーカード)のパラメーターを確認しました。
※アーカードを死徒ではないかと推測しています。
そして、そのことにより本人すら気づいていない小さな焦りを感じています。
※NPCから受け取った情報の詳細は、次の書き手に一任します。
【C-7/冬木大橋/二日目・早朝】
【アーチャー(エミヤシロウ)@Fate/Staynight】
[状態]身体の右から左に掛けて裂傷(中)、疲労(中)、魔力消費(大)
[装備]実体化した時のための普段着(家主から失敬してきた)
[道具]なし
[思考・状況]
基本:切嗣の方針に従い、聖杯が汚れていた場合破壊を
1.切嗣の元に戻る。見た内容の報告を。
2.出来れば切嗣とエミヤシロウの関係を知られたくない。
[備考]
※岸波白野、ランサー(エリザ)を視認しました。
※エリザについては竜の血が入っているのではないか、と推測しました。B-4での戦闘を見てその考えを強めました。
※『殺意の女王(キラークイーン)』が触れて爆弾化したものを解析すればそうと判別できます。ただしアーチャーが直接触れなければわかりません。
※バーサーカー(黒崎一護)の仮面の奥を一瞬目撃しました。
※B-4での戦闘(鬼眼王バーン出現以降)とその顛末を目撃しました。
※C-6での暴動、D-9での戦い、そこから出てきたルーラーとれんげを遠巻きに観察しました。C-6は切嗣を帰すタイミングで把握は半端です。
※アシタカの姿は視認出来ていません。
[共通備考]
※C-7にある民家を拠点にしました。
※家主であるNPCには、親戚として居候していると暗示をかけています。
※吉良吉影の姿と宝具『殺意の女王(キラークイーン)』の外観のみ確認しました。
宝具は触れたものを爆弾にする効果で、恐らくアサシンだろうと推察していますが、吉良がマスターでキラークイーンがサーヴァントだと勘違い。
ただし吉良の振る舞いには強い疑念をもっています。
【C-9/マンション(自宅)/二日目 早朝】
【東風谷早苗@東方Project】
[状態]:健康
[令呪]:残り2画
[装備]:なし
[道具]:今日一日の食事、保存食、飲み物、着替えいくつか
[所持金]:一人暮らしには十分な仕送り
[思考・状況]
基本行動方針:誰も殺したくはない。誰にも殺し合いをさせたくない。
1.岸波さんは……
2.岸波白野を探し、聖杯について聞く。
3.少女(れんげ)が心配。
4.聖杯が誤りであると証明し、アキトを説得する。
5.そのために、聖杯戦争について正しく知る。
6.白野の事を、アキトに伝えるかはとりあえず保留。
[備考]
※月海原学園の生徒ですが学校へ行くつもりはありません。
※アシタカからアーカード、ジョンス、カッツェ、れんげの存在を把握しましたが、あくまで外観的情報です。名前は把握していません。
※カレンから岸波白野の名前を聞きました。
岸波白野が自分のクラスメイトであることを思い出しました。容姿などは覚えていません。
※倉庫の火事がサーヴァントの仕業であると把握しました。
※アキト、アンデルセン陣営と同盟を組みました。詳しい内容は後続にお任せします。なお、彼らのスタンスについて、詳しくは知りません。
※バーサーカー(ガッツ)、セイバー(オルステッド)、キャスター(シアン)のパラメータを確認済み。
※アキトの根城、B-9の天河食堂を知りました。
※シオンについては『エジプトからの交換留学生』と言うことと、容姿、ファーストネームしか知らず、面識もありません。
※岸波白野の家の住所(C-8)と家の電話番号を知りました。
※藤村大河の携帯電話の番号を知りました。
※白野の自宅ポストに名前と連絡付きの手紙を入れてあります。(聖杯戦争に関わる内容は書かれていません)
【アーチャー(アシタカ)@もののけ姫】
[状態]:健康
[令呪]
1. 『聖杯戦争が誤りであると証明できなかった場合、私を殺してください』
[装備]:現代風の服
[道具]:現代風の着替え
[思考・状況]
基本行動方針:早苗に従い、早苗を守る。
1.早苗を護る。
2.使い魔などの監視者を警戒する。
[備考]
※アーカード、ジョンス、カッツェ、れんげの存在を把握しました。
※倉庫の火事がサーヴァントの仕業であると把握しました。
※教会の周辺に、複数の魔力を持つモノの気配を感知しました。
※吉良が半径数十メートル内にいることは分かっていますが詳細な位置は把握していません。吉良がアシタカにさらに接近すればはっきりと吉良をサーヴァントと判別できるかもしれません。
※C-6での暴動、D-9での戦い、そこから出てきたルーラーとれんげを遠巻きに観察しました。
※エミヤの姿は視認出来ていません。
[共通備考]
※キャスター(暁美ほむら)、武智乙哉の姿は見ていません。
※キャスター(ヴォルデモート)の工房である、リドルの館の存在に気付いていません。
※リドルの館付近に使い魔はいません。
※『方舟』の『行き止まり』について、確認していません。
※セイバー(オルステッド)、キャスター(シアン)、シオンとそのサーヴァントの存在を把握しました。また、キャスター(シアン)を攻撃した別のサーヴァントが存在する可能性も念頭に置いています。
※キャスター(シアン)はまだ脱落していない可能性も念頭に置いています。
【?-?/(HAL配下の家)二日目・早朝】
【テンカワ・アキト@劇場版機動戦艦ナデシコ-Theprinceofdarkness-】
[状態]疲労(大)魔力消費(大)、左腕刺し傷(治療済み)、左腿刺し傷(治療済み)、胸部打撲
[令呪]残り二画
[装備]CZ75B(銃弾残り5発)、CZ75B(銃弾残り16発)、バイザー、マント
[道具]背負い袋(デザートイーグル(銃弾残り8発))
[所持金]貧困
[思考・状況]
基本行動方針:誰がなんと言おうとも、優勝する。
1.早苗を――――――
2.五感の異常及び目立つ全身のナノマシンの発光を隠す黒衣も含め、戦うのはできれば夜にしたいが、キレイなどに居場所を察されることも視野に入れる。
3.利用されてると分かっていてもHALに協力。
[備考]
※セイバー(オルステッド)のパラメーターを確認済み。宝具『魔王、山を往く(ブライオン)』を目視済み。
※演算ユニットの存在を確認済み。この聖杯戦争に限り、ボソンジャンプは非ジャンパーを巻き込むことがなく、ランダムジャンプも起きない。
ただし霊体化した自分のサーヴァントだけ同行させることが可能。実体化している時は置いてけぼりになる。
※ボソンジャンプの制限に関する話から、時間を操る敵の存在を警戒。
※割り当てられた家である小さな食堂はNPC時代から休業中。
※寒河江春紀とはNPC時代から会ったら軽く雑談する程度の仲でした。
※D-9墓地にミスマル・ユリカの墓があります。
※アンデルセン、早苗陣営と同盟を組みました。詳しい内容は後続にお任せします。
※美遊が優れた探知能力の使い手であると認識しました。
※児童誘拐、銃刀法違反、殺人、公務執行妨害等の容疑で警察に追われています。
今後指名手配に発展する可能性もあります。
※HALと協力関係を結びました。適当な配下のNPCの家に匿われています。
【バーサーカー(ガッツ)@ベルセルク】
[状態]ダメージ(中)
[装備]『ドラゴンころし』『狂戦士の甲冑』
[道具]義手砲。連射式ボウガン。投げナイフ。炸裂弾。
[所持金]無し。
[思考・状況]
基本行動方針:戦う。
1.戦う。
[備考]
※警官NPCを殺害した際、姿を他のNPCもしくは参加者に目撃されたかもしれません。
|BACK||NEXT|
|164:[[路地裏ミッドナイト]]|[[投下順>本編SS目次・投下順]]|166:[[『ただいま』はまだ言えない]]|
|159:[[いいから、みつげ]]|[[時系列順>本編SS目次・時系列順]]|166:[[『ただいま』はまだ言えない]]|
|BACK|登場キャラ:[[追跡表]]|NEXT|
|159-b[[バーチャルリアリティ・バトルロワイアル]]|[[電人HAL]]&アサシン([[甲賀弦之介]])|169[[発覚]]|
|~|[[テンカワアキト]]&バーサーカー([[ガッツ]])|~|
|150:[[生きろ、そなたは美しい]]|[[東風谷早苗]]&アーチャー([[アシタカ]])||
|148:[[忍【ころすべきもの】]]|[[衛宮切嗣]]&アーチャー([[エミヤシロウ]])||
&link_up(▲上へ)
2019-07-07T21:19:46+09:00
1562501986
-
書き手別SSまとめ
https://w.atwiki.jp/2jiseihaisennsou2nd/pages/397.html
*書き手別SSまとめ(敬称略)
|BGCOLOR(chocolate):CENTER:投下数|BGCOLOR(chocolate):CENTER:トリップ|BGCOLOR(chocolate):CENTER:備考|
|CENTER:18|[[◆OSPfO9RMfA]]||
|~|[[◆Ee.E0P6Y2U]]||
|CENTER:13|[[◆IbPU6nWySo]]||
|CENTER:12|[[◆HOMU.DM5Ns]]||
|CENTER:10|[[◆holyBRftF6]]||
|CENTER:9|[[◆DpgFZhamPE]]||
|CENTER:7|[[◆FFa.GfzI16]]||
|~|[[◆tHX1a.clL.]]|現在のトリップは◆EAUCq9p8Q.|
|CENTER:6|[[◆MQZCGutBfo]]||
|~|[[◆A23CJmo9LE]]||
|~|[[◆WRYYYsmO4Y]]||
|CENTER:5|[[◆TAEv0TJMEI]]||
|~|[[◆ysja5Nyqn6]]||
|CENTER:4|[[◆F3/75Tw8mw]]||
|~|[[◆F61PQYZbCw]]||
|~|[[◆QyqHxdxfPY]]||
|~|[[◆/D9m1nBjFU]]||
|CENTER:3|[[◆ACfa2i33Dc]]||
|CENTER:2|[[◆Y4Dzm5QLvo]]||
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|~|[[◆ZTnr6IpaKg]]||
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|~|[[◆2kaleidoSM]]|旧◆HB/kaleido|
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|CENTER:1|[[◆eBE8HIR9fs]]||
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|~|[[◆vW6RE9FKJg]]||
2019-07-07T21:18:56+09:00
1562501936
-
◆/D9m1nBjFU
https://w.atwiki.jp/2jiseihaisennsou2nd/pages/582.html
*◆/D9m1nBjFU
|No|タイトル|登場キャラクター |場所|時間|
|129|[[犯行(反攻)]]|テンカワ・アキト&バーサーカー&br()美遊・エーデルフェルト&バーサーカー|B-9/路地&br()B-9/上空|二日目 未明|
|139|[[私ではなく、オレが殺す]]|衛宮切嗣&アーチャー|C-8(北)/ビル応接室|一日目 夜間|
|166|[[『ただいま』はまだ言えない]]|美遊・エーデルフェルト&バーサーカー(黒崎一護)|A-3/武家屋敷の土蔵|二日目 早朝|
|169|[[発覚]]|電人HAL&アサシン&br()テンカワ・アキト&バーサーカー|C-6/錯刃大学・春川研究室&br()D-8/(HAL配下の家)|二日目 早朝|
**コメント
#comment
2019-07-07T21:18:11+09:00
1562501891
-
【151~200】
https://w.atwiki.jp/2jiseihaisennsou2nd/pages/617.html
*【151~200】
**■151~200
|BGCOLOR(chocolate):No|BGCOLOR(chocolate):タイトル|BGCOLOR(chocolate):登場キャラクター|BGCOLOR(chocolate):場所|BGCOLOR(chocolate):時間|BGCOLOR(chocolate):作者|h
|151|[[アトラスの子ら(A)]]&br()[[アトラスの子ら(U)]]|シオン・エルトナム・アトラシア&アーチャー&br()狭間偉出夫&ライダー|C-6 / 南部|一日目 夜間|[[◆HOMU.DM5Ns]]|
|152|[[命蓮寺肝試しツアー]]|聖白蓮&セイバー&br()武智乙哉&アサシン|B-1-C-1/命蓮寺|一日目 夜間|[[◆IbPU6nWySo]]|
|153|[[うまくはいかない『聖杯戦争』]]&br()[[君の思い出に『さよなら』]]|テンカワ・アキト&バーサーカー|?-?/電子コトダマ空間・禍津冬木市|二日目 早朝|[[◆Ee.E0P6Y2U]]|
|154|[[たぶん自分自身のために]]&br()[[生きる意味、終わる意味]]|ホシノ・ルリ&ライダー&br()寒河江春紀&ランサー&br()美遊・エーデルフェルト&バーサーカー|D-6/深山町・双子館&br()B-9/アパート|二日目 未明|[[◆Ee.E0P6Y2U]]|
|155|[[絆‐Speckled Band‐]]|言峰綺礼&セイバー&br()ケイネス・エルメロイ・アーチボルト&キャスター&br()カレン・オルテンシア|D-5/教会&br()C-3 /月海原学園&br()C-3 /月海原学園、宿直室|二日目 夜間|[[◆A23CJmo9LE]]|
|156|[[話【こうしょうのじかん】]]&br()[[話【これからのはなし】]]|宮内れんげ&br()アレクサンド・アンデルセン&ランサー&br()ジョンス・リー&アーチャー&br()電人HAL&アサシン&br()シャア・アズナブル&アーチャー&br()本多・正純&ライダー&br()ルーラー|C-6/錯刃大学・近辺|二日目 未明|[[◆WRYYYsmO4Y]]|
|157|[[聖‐judgement‐罰]]&br()[[聖‐testament‐譜]]&br()[[末‐apocalypsis‐世]]|シャア・アズナブル&アーチャー&br()本多・正純&ライダー&br()ルーラー|C-6/錯刃大学・近辺&br()C-6/冬木ハイアットホテル|二日目 未明|[[◆HOMU.DM5Ns]]|
|158|[[EX:tella]]|岸波白野&ランサー&br()ウェイバー・ベルベット&バーサーカー&br()真玉橋孝一&セイバー|C-5/賃貸マンション・ウェイバーの自室|二日目 未明|[[◆Ee.E0P6Y2U]]|
|159|[[いいから、みつげ]]&br()[[バーチャルリアリティ・バトルロワイアル]]|シオン・エルトナム・アトラシア&アーチャー&br()狭間偉出夫&ライダー&br()電人HAL&アサシン&br()テンカワ・アキト&バーサーカー|C-6/南部&br()?-?/電子コトダマ空間・禍津冬木市&br()?-?/電子コトダマ空間・禍津冬木市・月海原学園|二日目 未明/早朝|[[◆Ee.E0P6Y2U]]|
|160|[[蒼銀のフラグメンツ]]|ミカサ・アッカーマン&ランサー&br()キャスター(シアン・シンジョーネ)&br()ケイネス・エルメロイ・アーチボルト&キャスター&br()言峰綺礼&セイバー|C-3/月海原学園|二日目 未明|[[◆Ee.E0P6Y2U]]|
|161|[[狂い咲く人間の証明(前編)]]&br()[[狂い咲く人間の証明(中編)]]&br()[[狂い咲く人間の証明(後編)]]|アレクサンド・アンデルセン&ランサー&br()ジョンス・リー&アーチャー&br()宮内れんげ&br()ルーラー|D-9/廃教会&br()D-9/森林付近|二日目 未明|[[◆WRYYYsmO4Y]]|
|162|[[リブート]]|カレン・オルテンシア&br()宮内れんげ&br()ルーラー|D-5/教会|未明|[[◆HOMU.DM5Ns]]|
|163|[[ウェイバー・ベルベットの憂鬱(何度目)]]|岸波白野&ランサー&br()ウェイバー・ベルベット&バーサーカー&br()真玉橋孝一&セイバー|C-5/賃貸マンション・ウェイバーの自室|二日目 未明|[[◆HOMU.DM5Ns]]|
|164|[[路地裏ミッドナイト]]|ホシノ・ルリ&ライダー&br()シオン・エルトナム・アトラシア&アーチャー|C-6/南部|二日目 未明|[[◆HOMU.DM5Ns]]|
|165|[[The DAWN]]|電人HAL&アサシン&br()テンカワ・アキト&バーサーカー&br()衛宮切嗣&アーチャー&br()東風谷早苗&アーチャー|C-6/錯刃大学・春川研究室&br()C-7(北西)/民家&br()C-7/冬木大橋&br()C-9/マンション(自宅)&br()?-?/(HAL配下の家)|二日目 早朝|[[◆HOMU.DM5Ns]]|
|166|[[『ただいま』はまだ言えない]]|美遊・エーデルフェルト&バーサーカー|A-3/武家屋敷の土蔵|二日目 早朝|[[◆/D9m1nBjFU]]|
|167|[[グッドモーニングFUYUKI]]|武智乙哉&アサシン&br()聖白蓮&セイバー&br()ホシノ・ルリ&ライダー&br()シオン・エルトナム・アトラシア&アーチャー&br()言峰綺礼&セイバー&br()ケイネス・エルメロイ・アーチボルト&キャスター&br()間桐桜&キャスター&br()ミカサ・アッカーマン&ランサー|B-1-C-1/命蓮寺&br()B-9/マンション(ルリ宅)&br()C-3/月海原学園&br()C-1/山小屋&br()B1~C1/大空洞|二日目 早朝|[[◆HOMU.DM5Ns]]|
|168|[[if - a king of loneliness]]&br()[[if - a fool of loneliness]]|狭間偉出夫&ライダー&br()アサシン(甲賀弦之介)|?-?/電子コトダマ空間・禍津冬木市&br()C-6/錯刃大学周辺|二日目 早朝|[[◆WRYYYsmO4Y]]|
|169|[[発覚]]|電人HAL&アサシン&br()テンカワ・アキト&バーサーカー|C-6/錯刃大学・春川研究室&br()D-8/(HAL配下の家)|二日目 早朝|[[◆/D9m1nBjFU]]|
#table_sorter(101~150)
|BGCOLOR(chocolate):[[時間順>本編SS目次・時系列順]]|[[【オープニング】]]|【1日目】|[[【2日目】]]||
|BGCOLOR(chocolate):[[投下順>本編SS目次・投下順]]|[[【001~050】]]|[[【051~100】]]|[[【101~150】]]|【151~200】|
&link_up(▲上へ)
2019-07-07T21:17:40+09:00
1562501860
-
【2日目】
https://w.atwiki.jp/2jiseihaisennsou2nd/pages/580.html
*【時系列順・2日目】
【[[未明>【2日目】#mimei]]】【[[早朝>【2日目】#soutyou]]】【[[午前>【2日目】#gozen]]】【[[正午>【2日目】#syougo]]】【[[午後>【2日目】#gogo]]】【[[夕方>【2日目】#yuugata]]】【[[夜間>【2日目】#yakan]]】
----
**&aname(mimei)[[■未明]]
|BGCOLOR(chocolate):No|BGCOLOR(chocolate):タイトル|BGCOLOR(chocolate):登場キャラクター|BGCOLOR(chocolate):場所|BGCOLOR(chocolate):作者|h
|129|[[犯行(反攻)]]|テンカワ・アキト&バーサーカー&br()美遊・エーデルフェルト&バーサーカー|B-9/路地&br()B-9/上空|[[◆/D9m1nBjFU]]|
|142|[[remorse]]&br()[[クレイジー・コースター]]&br()[[メモリー・オブ・シー]]&br()[[Heaven's Fall Blank moon]]|岸波白野&ランサー&br()ウェイバー・ベルベット&バーサーカー&br()足立透&アサシン&br()アサシン(甲賀弦之介)|C-5/双葉商事ビル周辺&br()?-?/電子コトダマ空間・禍津冬木市|[[◆ysja5Nyqn6]]|
|144|[[明日への飛翔]]|岸波白野&ランサー&br()ウェイバー・ベルベット&バーサーカー|B-5/賃貸マンション ウェイバーの自室|[[◆9F9HQyFIxE]]|
|146|[[Festival]]&br()[[Insight]]&br()[[祭りのあとには]]|宮内れんげ&アサシン&br()アレクサンド・アンデルセン&ランサー&br()ジナコ・カリギリ&アサシン&br()ジョンス・リー&アーチャー&br()電人HAL&br()シャア・アズナブル&アーチャー&br()本多・正純&ライダー|C-6/錯刃大学・近辺|[[◆Ee.E0P6Y2U]]|
|148|[[忍【ころすべきもの】]]&br()[[殺【ほろびゆくもの】]]|衛宮切嗣&アーチャー&br()足立透&アサシン&br()アサシン(甲賀弦之介)|C-5/市街地&br()C-5/路地裏|[[◆WRYYYsmO4Y]]|
|154|[[たぶん自分自身のために]]&br()[[生きる意味、終わる意味]]|ホシノ・ルリ&ライダー&br()寒河江春紀&ランサー&br()美遊・エーデルフェルト&バーサーカー|D-6/深山町・双子館&br()B-9/アパート|[[◆Ee.E0P6Y2U]]|
|156|[[話【こうしょうのじかん】]]&br()[[話【これからのはなし】]]|宮内れんげ&br()アレクサンド・アンデルセン&ランサー&br()ジョンス・リー&アーチャー&br()電人HAL&アサシン&br()シャア・アズナブル&アーチャー&br()本多・正純&ライダー|C-6/錯刃大学・近辺|[[◆WRYYYsmO4Y]]|
|157|[[聖‐judgement‐罰]]&br()[[聖‐testament‐譜]]&br()[[末‐apocalypsis‐世]]|シャア・アズナブル&アーチャー&br()本多・正純&ライダー&br()ルーラー(ジャンヌ・ダルク)|C-6/錯刃大学・近辺&br()C-6/冬木ハイアットホテル|[[◆HOMU.DM5Ns]]|
|158|[[EX:tella]]|岸波白野&ランサー&br()ウェイバー・ベルベット&バーサーカー&br()真玉橋孝一&セイバー|C-5/賃貸マンション・ウェイバーの自室|[[◆Ee.E0P6Y2U]]|
|160|[[蒼銀のフラグメンツ]]|ミカサ・アッカーマン&ランサー&br()キャスター(シアン・シンジョーネ)&br()ケイネス・エルメロイ・アーチボルト&キャスター&br()言峰綺礼&セイバー|C-3/月海原学園|[[◆Ee.E0P6Y2U]]|
|161|[[狂い咲く人間の証明(前編)]]&br()[[狂い咲く人間の証明(中編)]]&br()[[狂い咲く人間の証明(後編)]]|アレクサンド・アンデルセン&ランサー&br()ジョンス・リー&アーチャー&br()宮内れんげ&br()ルーラー|D-9/廃教会&br()D-9/森林付近|[[◆WRYYYsmO4Y]]|
|162|[[リブート]]|カレン・オルテンシア&br()宮内れんげ&br()ルーラー|D-5/教会|[[◆HOMU.DM5Ns]]|
|163|[[ウェイバー・ベルベットの憂鬱(何度目)]]|岸波白野&ランサー&br()ウェイバー・ベルベット&バーサーカー&br()真玉橋孝一&セイバー|C-5/賃貸マンション・ウェイバーの自室|[[◆HOMU.DM5Ns]]|
|164|[[路地裏ミッドナイト]]|ホシノ・ルリ&ライダー&br()シオン・エルトナム・アトラシア&アーチャー|C-6/南部|[[◆HOMU.DM5Ns]]|
#table_sorter(mimei)
**&aname(soutyou)[[■早朝]]
|BGCOLOR(chocolate):No|BGCOLOR(chocolate):タイトル|BGCOLOR(chocolate):登場キャラクター|BGCOLOR(chocolate):場所|BGCOLOR(chocolate):作者|h
|153|[[うまくはいかない『聖杯戦争』]]&br()[[君の思い出に『さよなら』]]|テンカワ・アキト&バーサーカー|?-?/電子コトダマ空間・禍津冬木市|[[◆Ee.E0P6Y2U]]|
|159|[[いいから、みつげ]]&br()[[バーチャルリアリティ・バトルロワイアル]]|シオン・エルトナム・アトラシア&アーチャー&br()狭間偉出夫&ライダー&br()電人HAL&アサシン&br()テンカワ・アキト&バーサーカー|C-6 /南部(未明)&br()?-?/電子コトダマ空間・禍津冬木市&br()?-?/電子コトダマ空間・禍津冬木市・月海原学園|[[◆Ee.E0P6Y2U]]|
|165|[[The DAWN]]|電人HAL&アサシン&br()テンカワ・アキト&バーサーカー&br()衛宮切嗣&アーチャー&br()東風谷早苗&アーチャー|C-6/錯刃大学・春川研究室&br()C-7(北西)/民家&br()C-7/冬木大橋&br()C-9/マンション(自宅)&br()?-?/(HAL配下の家)|[[◆HOMU.DM5Ns]]|
|166|[[『ただいま』はまだ言えない]]|美遊・エーデルフェルト&バーサーカー(黒崎一護)|A-3/武家屋敷の土蔵|[[◆/D9m1nBjFU]]|
|167|[[グッドモーニングFUYUKI]]|武智乙哉&アサシン(吉良吉影)&br()聖白蓮&セイバー(勇者ロト)&br()ホシノ・ルリ&ライダー(キリコ・キュービィー)&br()シオン・エルトナム・アトラシア&アーチャー(ジョセフ・ジョースター)&br()言峰綺礼&セイバー(オルステッド)&br()ケイネス・エルメロイ・アーチボルト&キャスター(ヴォルデモート)&br()間桐桜&キャスター(シアン・シンジョーネ)&br()ミカサ・アッカーマン&ランサー(セルベリア・ブレス)|B-1-C-1/命蓮寺&br()B-9/マンション(ルリ宅)&br()C-3/月海原学園&br()C-1/山小屋&br()B1~C1/大空洞|[[◆HOMU.DM5Ns]]|
|168|[[if - a king of loneliness]]&br()[[if - a fool of loneliness]]|狭間偉出夫&ライダー&br()アサシン(甲賀弦之介)|?-?/電子コトダマ空間・禍津冬木市&br()C-6/錯刃大学周辺|[[◆WRYYYsmO4Y]]|
|169|[[発覚]]|電人HAL&アサシン&br()テンカワ・アキト&バーサーカー|C-6/錯刃大学・春川研究室&br()D-8/(HAL配下の家)|[[◆/D9m1nBjFU]]|
#table_sorter(soutyou)
///||[[]]|&br()|&br()|[[]]|
///↑雛形でゴンス
本編SS目次
|BGCOLOR(chocolate):[[時間順>本編SS目次・時系列順]]|[[【オープニング】]]|[[【1日目】]]|【2日目】||
|BGCOLOR(chocolate):[[投下順>本編SS目次・投下順]]|[[【001~050】]]|[[【051~100】]]|[[【101~150】]]|[[【151~200】]]|
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2019-07-07T21:16:54+09:00
1562501814
-
発覚
https://w.atwiki.jp/2jiseihaisennsou2nd/pages/646.html
* 発覚 ◆/D9m1nBjFU
―――全くもって情けないことに。
―――俺という人間はこうなる事態を毛ほども想像していなかったらしい。
◆ ◆ ◆
チクタクチクタク、と時計が秒針を刻む音が聞こえてくる。
朝陽が昇りはじめ、誰もが今日の仕事の、学生であれば登校の準備をしはじめてもおかしくない時間帯だ。
もっともテンカワ・アキトにとってはそういった喧騒は指名手配となった今もそれ以前も関係のないことだった。
NPC時代は食堂を休業にしていたし、犯罪者として追われる身となった今は言うまでもない。
そしてこれからは過去の思い出に浸るようなこともない。
そのために方舟におけるアキトの過去の象徴とも言える少女、東風谷早苗を殺す。
そうして初めて己は失うもののない一匹の修羅として聖杯戦争を勝ち抜く資格を得る。言わば通過儀礼だ。
アキトを保護している同盟者、HALの情報網を通じて早苗の居場所は既に掴んでいる。
コンディションには些かの不安もあるが、テロリストであるアキトは常に万全の態勢でのみ臨めるほど戦争というものが甘くないことを知っている。
武装。もとよりヤクザの事務所から盗んできた銃があったがここにきてHALから予想外の武器の供給があった。
サブマシンガン・MAC10にアサルトライフル・AK47がそれぞれ予備弾倉つきで一丁ずつ、それに手榴弾が三つ。配下と思われるNPCを介して届けられていた。
HALにメールで尋ねると、どうやら奴は予選の頃から来るべき時に備えて銃火器の密輸を配下にさせていたらしく、アキトがヤクザから盗んだ銃も元々はHALが仕入れたものだった。
手付金のつもりかは知らないが寄越すというのなら有難く使わせてもらうまでの話だ。
―――と、ここまで来たところで極めて現実的な問題がアキトの前に立ち塞がっていた。
『続いてのニュースです。昨夜未明、B-9で美遊・エーデルフェルトさんと思われる十歳の女の子が銃撃された事件について、警視庁はテンカワ・アキト容疑者を指名手配とする方針を明らかにしました。
テンカワ容疑者は現在も逃走を続けており、警察が今も厳戒態勢を敷いて捜査にあたると同時に、近隣住民へ不用意な外出を控えるよう呼び掛けております』
テレビから流れるニュース番組では新都エリアを厳重に捜査する刑事たちの雄姿が映されている。
これこそがアキトの障害として在る警察NPCという存在だった。
HALの調べでは早苗は現在C-9にあるマンション、つまり彼女の自宅にいるという。住人の中にマンションに戻る早苗を目撃したHALの配下がいたのだ。
マンションというだけでも即座に突入するのは躊躇われる場所だが問題はそれだけに留まらない。
C-9と言えば事件の起きたB-9にほど近いエリアであり、それ故警察NPCたちが多数動員され血眼になってアキトの行方を追っている。
アキトの現在地は新都中心部の喧騒からやや離れたD-8、物理的な距離はさほどでもないがやはり指名手配という身分が大幅に動きを制限してくる。
はっきりと言って警察が大勢いる状況を何とかしない限り早苗に接近するのはおよそ不可能に近い。
……が、HALにはこの状況を打破する用意があるのだという。
しかしそのためには今少し時間がかかるらしく、故にアキトはこの家の家主が使っているパソコンを通してHALとメールで会話することになっていた。
『何の用だ?走狗になる気はないと言ったはずだが?』
『そう構える必要はない。君の邪魔をするつもりもね。
今のうちに同盟者として情報交換をしておきたいと思ったまでだ』
情報交換。確かに同盟を結んだはいいがそういったことはまだしていない。
確かに期せずして待ちに徹するしかない時間が生じた以上情報交換に使うのも一つの手ではあるか。
もっともHALをどこまで信用するかという問題は付随するが。
『良いだろう、付き合ってやる。
俺が見たマスターとサーヴァントの特徴を送るから少し待て』
覚えている限りの参加者たちの情報をまとめてHALに送信する。
奴の飼い犬同然の立場である現状、慣れていることとはいえ思うこともある。
とはいえ既に隠れ家に情報、武器を提供されている以上こちらも情報程度は送らなければ同盟の体裁を保てない。
当然アンデルセンや早苗の情報も送ってある。こうなった以上彼らとの同盟など消えたも同然だからだ。
『キレイなるマスターとそのサーヴァント、セイバーは厄介ではあるがサーヴァント間の相性で優位に立てるのならば彼らの相手は君に頼みたい。
私はキレイを君に近付けないよう最大限バックアップさせてもらう』
最初に遭遇した主従、キレイとセイバー。
サーヴァント同士の戦闘であればまず負けはないがマスターの戦闘力が厄介極まる。
銃弾を平然と避ける身体能力はアキトに対処できるものではない。
HALから新たに送られた装備を使ってもアキト単独ではまず勝ち目がないだろう。
そうなるとHALの言う通り奴からの支援を受けてキレイをアキトに接近させないよう立ち回る他ない。
『そして美遊・エーデルフェルトと高い再生能力を持つバーサーカー。
優先的に対策すべきは君を陥れた彼女たちだろう。能力や行動にも不可解な点がある』
やはりと言うべきか、HALも美遊主従を危険視しているようだった。アキトにとってもそれは同じだ。
早苗を決着を着けるべき相手とするなら美遊は対策を講じておくべき相手だ。
一度は奪い、そして奪還されたステッキが関わっていると思しき魔力供給能力とそれに支えられたバーサーカーの再生能力に任せた正攻法。
さらには先ほどアキトを罠にかけた際に見せた銃弾の直撃をものともしないふざけた衣装にバーサーカーだけでなく美遊自身も持っていた飛行能力、そしてアキトの居場所を的確に突き止めた探知術。
美遊の攻撃面での性能は不明だが、何かしらはあると想定しておいた方が良い。
アキトには結局何なのかわからなかった、剣士が描かれたカードにしても持ち主である美遊なら十全に扱えるのだろう。
認めるのは少々苦々しいが、美遊とバーサーカーというコンビはおよそアキトとガッツの上位互換と言えた。
サーヴァント戦では美遊のバーサーカーに対して決め手を欠く上に自分では美遊ほどのバックアップができない。
昨日の戦いではその地力の差を埋め合わせるべく隙を突いてボソンジャンプを使い美遊を取り押さえた。
そこまでは良かったが取り押さえた後の対処を致命的に誤った結果、後に逆襲に転じた美遊に嵌められ追われる身になった。
仮に手元にチューリップクリスタルが残っていたとしても二度と美遊には通用しまい。実際アキトを陥れた時の美遊はボソンジャンプへの対策を打っていた。
おまけに最低でも拳銃弾ならば確実に防げるボディアーマーめいた衣装を纏っているときた。
対策もなくもう一度彼女らと相対すれば確実にアキトとガッツは殺されるだろう。
『美遊の行方は追えていないのか?お前のサーヴァントはアサシンあたりだろう?
そうでなければバーサーカーを従える俺に同盟を打診するはずがない』
『流石にその程度は察しがついていたか。隠し立てしようと思っていたわけではないが確かに私のサーヴァントのクラスはアサシンだ。
そして残念ながら美遊・エーデルフェルトの行方に関してはまだ掴めていない。主従揃って空を自在に飛ばれてはこちらの情報網でも追いきれない』
仕方ないことではある。何が起きても不思議ではない聖杯戦争といえども、まさかマスターとサーヴァントが揃って空を飛ぶなど予め念頭に入れておけるものではない。
『所在が分からない以上詰めるべきは他の部分だ。
君は彼女について探知能力を持っていると言ったが、私はこの可能性は低いと見ている』
『何故だ?』
『あくまで君が齎した情報を基にした判断だが、ただ君の位置を探ったにしては行動が的確すぎる。
君の不在の隙を突いて天河食堂に侵入し、恐らくは内部を物色して身分証を探し出し、そこにあることを知っていたかのように君が置いていったステッキとカードを奪い返した。
君の銃撃を敢えて誘ったかのような行動も然り。彼女は君が銃器を補充し残弾が十分にあることを予め知っていたのではないか?』
『つまり美遊と別れてからの俺の行動が全て筒抜けになっていたとでも?』
『可能性の一つとしては考慮しておくべきだろう。
恐らく彼女は魔術側の人間。どのような手管を使うか推し量ることは難しい。
だがそれを差し引いても彼女の行動には不可解な点がある』
不可解な点、とは何か。アキトには咄嗟に思いつかなかった。
考えているうちにHALから矢継ぎ早に新たなメールが届いた。
『最初は堂々と正攻法で戦いを挑み、敗れた後は徹底した搦め手で君を社会的に抹殺しようとした。
私はこの心理的な動きに違和感を覚えた』
『それほど不自然なのか?正面から戦って負けたから戦略を切り替えただけだろう』
『年齢の割に切り替えが上手すぎる。それに君の不在の間にステッキとカードを取り戻していたのならもう一度決戦を挑む手もあったはずだ。
実際に彼女は全力を投じれば最低でも銃で武装した君とも渡り合えるだけの力を持っていたにも関わらず策の完遂にのみ専念した。
思考様式が別人のそれに切り替わったかのような印象を受ける。あるいは何者かの指示を受けたか』
『彼女が他のマスターの指示を受けて行動したということか?』
『いや、その可能性は低い。サーヴァントが離れた状況下で他のマスターと接触していたなら殺されている可能性の方が高い。
私が憂慮するのは美遊・エーデルフェルトが方舟外部との通信手段を持っている可能性だ』
果たしてそんなことが可能なのか、アキトとしては首を傾げざるを得ない。
何しろ今のアキトはラピスとの接続を絶たれている。
魔術師といえど方舟のセキュリティを掻い潜って外部と通信するなど可能なのか?
『後でデータを送るがこちらでは既に外部から演算装置のバックアップを受けているマスターを特定している。
魔術的なアプローチによって同等ないし準じるバックアップを得た可能性は否定できるものではない。
とはいえ全ては可能性だ。今は頭に置いておくだけで構わない。
それに、今しがた準備が終わったところだ。これで警察の目に留まるリスクは下がるはずだ』
◆ ◆ ◆
空が白んでくる時間帯になっても警察官の仕事に終わりはない。
銃器を所持したまま逃走を続ける凶悪犯、テンカワ・アキトを追う刑事たちは強い使命感を胸に捜査を続けていた。
署の方針としては本来ならテンカワ・アキトの追跡に人員をフルに割きたかったのだがそうもいかない事情があった。
深夜の住宅街に突然響いた少女の悲鳴と銃声は近隣住民の不安を煽るには十分過ぎた。
それ故現場検証に加えて、住民の不安を抑えつつ聞き込みを行うため少なからぬ数の刑事が事件現場である天河食堂とその周辺に駆り出されていた。
「天河食堂の主人とはそれなりに付き合いがありますが、とてもあんなことをする人だとは思えませんでした。
奥さんを亡くして自分も障害を負って、それでも店を開けるためにリハビリを頑張ってきた真面目な人ですよ」
「なるほど…わかりました。ご協力感謝します」
現在キッチン・タムラのオーナーシェフに聞き込みを行っている刑事も聞き込みに動員された者の一人だった。
事件発生の報せを受け、何故痛むのか心当たりのない後頭部をさすりながら現場にやって来ていた。
小学生女児に性的暴行を働いたと見られ、さらに拳銃を持って逃走している凶悪犯は近所では好青年として通っていたようだった。
とはいえ検挙された犯罪者が普段は良い人として通っている事例など刑事はこれまで何件も見てきているのだが。
しかし気になるのがこのタムラのシェフを含めた複数の人間からテンカワ・アキトが五感に障害を負って通院していたという証言があることだ。
まだ病院に裏は取れていないが、事実だとすればそんな人間がどうやって女児誘拐に加え銃器を手に入れさらに今なお警察の捜査から逃げ果せているのだ?
「そういえば…昨日の夕方に警察の服を着た銀髪の綺麗な子が春紀ちゃんたちと一緒にうちに来ましたね。
他にも春紀ちゃんより少し年下っぽい中学生ぐらいの赤毛の女の子や怖そうなお兄さん、小学校低学年くらいの小さい子も一緒だったかなあ……。
それで、料理を作ってたんで直接見たわけじゃありませんが、その子の声でテンカワさんについて春紀ちゃんに尋ねてたのを覚えてますよ。
ああ、春紀ちゃんっていうのは近所に住んでる子のことなんですけどね」
(ホシノ警視か……事件の前からテンカワをマークしてたってことか?流石だな)
店主の証言をNPCらしい大雑把さで解釈しながら刑事は次の聞き込み先へ向かった。
裁定者サイドの意識操作もあってホシノ・ルリは顔に見合わず現場主義、気まぐれに事件を追っては立ち去る、文字通りの妖精警視と専らの評判であった。
数件の聞き込みを終えて刑事は一息ついていた。
もっとも休憩する暇などないので本当に一息ついただけなのだが。
やはりテンカワ・アキトについては近隣住民の中では概ね「真面目な好青年で、妻を亡くして身体に障害を負っている」という評価だったようだ。
また直接関係はない話だが天河食堂にほど近い位置にある喫茶店の店主からホシノ・ルリらしき人物が薄紫色の頭髪の幼女と共に20時半から約三時間滞在していたという証言があった。
その幼女について刑事には一つ思い当たる節があった。
恐らくルリが警察署の方に調査を依頼していたという身元不明の子どもだろう。
署や近場の交番に預けなかったことが気にならないでもなかったが、まあ他の人員の誰よりも年齢の近いルリの方が接しやすかったということだろう。
NPCらしく、さして気に留めず仕事を続けようとしていた刑事のところへテンションの低い別の刑事が現れた。
「悪い堂島さん、遅くなった」
「どうした笹塚?現場に遅れるなんてお前らしくもない」
「……署から出ようとしたところにエーデルフェルトの当主が怒鳴り込んできたもんでその対応に時間を取られた」
「ああ、あのお嬢さんか……。そいつは災難だったな」
堂島と呼ばれた刑事は地元の名士として良くも悪くも有名な、エーデルフェルトの当主の対応を押しつけられた同僚に心底から同情した。
住民の目撃情報からテンカワ・アキトに銃撃された女児は昨日の朝方から行方不明になっていた美遊・エーデルフェルトと見られており、その家の当主も独自に美遊を捜索していたらしい。
美遊は事件当初は生存を絶望視されていたが、現場から彼女の血痕が見つからなかったこと、住民から「銃撃された美遊が立ち上がって逃げた」という目撃情報が寄せられたこともあって今は懸命の捜索態勢が敷かれていた。
恐らくテンカワ・アキトの撃った銃弾が運良く命中しなかったのだろう、というのが警察の見解だった。
とはいえ当主の怒りももっともだろう。警察の威信にかけても犯人を逮捕し行方不明の少女を保護しなければ。
「で、その前に金庫持ってうろついてた藤村組の連中を見つけて職質しようとしたら逃げようとしたんで捕まえた。
取り調べで全部吐いたよ。奴らCZ75Bにデザートイーグルを盗まれたんだと」
「CZ75Bか……現場から出た線条痕と一致するな。
となると銃の出どころは藤村組ってことか」
「ただ気にかかるのが盗まれた銃が入ってたっていう金庫が有り得ない壊され方をしてたことだ。
道具を使ったにしてもあんな壊れ方は有り得ない」
「共犯者がいたのかもしれないな……。
近所の住民の話じゃテンカワは身体を悪くしていて通院もしていたらしい。
カルテの確認はこれからだが複数の証言がある以上ほぼ間違いはないだろう。
障害のある料理店の店主がエーデルフェルトの養子を誘拐してヤクザの事務所から銃を盗み出すなんて単独でできるもんじゃない」
堂島は考える。
美遊・エーデルフェルトに発砲し現場から逃走したのは目撃情報やテンカワ・アキトが一人暮らしであることを踏まえればほぼ確実にアキトで間違いない。
しかしそこに至るまでには共犯者の存在があったように思えてならない。
警察学校での訓練を潜り抜けたはずの警察官数名が殺傷されたことも含めると共犯者は意外な大物かもしれない。
「警視はここまで予期して予め店の前に張り込んでたのかもな」
「ん?警視が何だって?」
「?…藤村組の連中を見つけたのも警視の指示なんじゃないのか?」
「いや、この件に関して警視からは何の指示も受けてないが……どうしてそんなことを?」
「………何だって?」
同僚の発言によって、流れが変わった。
ホシノ・ルリ警視は事件が起こる可能性を予期して天河食堂近辺に張り込んでいたのではないのか?
藤村組事務所からの銃の窃盗と事件に使われた事実をルリが今も把握していないとすれば、彼女の輝かしい経歴に似合わぬ失態だ。
……もしや彼女の行動には何か違う意図や理由があったとでもいうのだろうか?
「……笹塚、お前さっきまで署にいたんだよな?
警視か誰かが例の身元不明の少女を預けに来なかったか?もしくは親御さんが見つかったとか」
「いや、そんな話は全く。……そういえば樋口のやつがそのことでぼやいてたな。
調べさせるだけ調べさせておいて一言も進展の報告がないのはいくら階級が高いからってどうなんだーとか」
「何だと!?」
ルリからは件の身元不明の少女について、堂島たち現場の刑事たちに何の報告もない。
そもそも彼女が夜も遅い時間帯に件の少女と共に喫茶店にいたということ自体アキトが起こした事件の聞き込みで偶然わかったことだ。
やむを得ない事情があって一時的に一緒にいたのだとばかり思っていたが、日を跨いでも署や交番に預けず両親が見つかったかどうかの報告さえないとなれば話は変わってくる。
警察機構に属する人間の取る行動としては、NPCといえど流せないほどに不審だった。
「堂島さん、さっきからどうした?」
「ああ、実はな……」
同僚、笹塚の問いに歯切れ悪く先ほどの聞き込みで得た情報を話す堂島。
話を聞くうちに普段あまり表情の変わらない笹塚も些か深刻に考え込む素振りを見せた。
「警視がそんなことを、ね……。
確かに臭うな。少なくともテンカワが事件を起こすことを予期してたって線は薄そうだ」
「ああ、恐らく警視の行動とテンカワの事件は直接は繋がってない。
だとしたら何だって子供連れでこんなところをうろつきながら、テンカワについて住人に聞いてたのかって話だ」
つい今しがたまでは信じきっていたホシノ・ルリ警視。
その評価が二人の刑事の中で少しずつ揺らぎ始めていた。
そこへ別の刑事がおずおずといった様子で堂島と笹塚に近付いてきた。
「あのー……実はさっき孤児院から署の方に目撃情報が寄せられたそうなんですが……。
何でも深夜の少し前にホシノ警視らしき人物が六歳前後の女の子を連れて現れ、『ここを襲撃すると犯行予告がありました。子供たちとこの子を連れて避難してください』と言われたそうです。
それから孤児院に入っていくジナコ・カリギリの姿を見たとも話しているらしく、正直信憑性に欠ける話だとは思ったのですが一応堂島さんの耳に入れておこうかと……」
「……その話、本当か?」
刑事が持ってきた話は堂島と笹塚にとって初耳だった。
恐らくそれ単体ではあまりにも突拍子がないため信憑性に欠けると判断され、今までこちらに入ってこなかったのだろう。
実際先ほどまでの堂島なら信用しなかっただろう。だが今は違う。
何の意図で行動していたのか些か不透明になってきた警視に関わる市民の目撃情報だ。最早聞き逃すべきではない。
「はい、ただその預けられた子供というのがいつの間にか抜け出してしまい行方がわからなくなったそうで……。
大きな物音がした後警視と孤児院の院長であるアンデルセンという神父が未だに戻ってこないらしく、かなり困惑しているそうです」
「何だそりゃ、どういうことだ?」
何もかもが寝耳に水だった。
その話が事実ならルリは何らかの事件性を確信して孤児院に向かったのだろうが、犯行予告とやらが自分たちに一切知らされていないのは何故だ。
事件性があるとわかっていながら署や現場への報告もなく、警官を連れて行くこともせず代わりに件の少女を連れて行く?
常識的に考えて、せめて少女だけでも警察署なり交番なりの安全な場所に預けてから行くべきであるにも関わらず?
その上現場に現れたというジナコのことすらこちらに何も伝えないだと?
有り得ない、警察機構に属する者としてそのような行為は断じて有り得ないことだ。
「少なくとも警視に俺たちに何かを隠したいって意図があったのは間違いなさそうだ。
これだけの独断行動があって報告がない以上、故意でないってことはない」
「……おい笹塚、お前自分が何言ってるのかわかってんのか?」
煙草を燻らせながら不穏な言葉を放つ笹塚を堂島が窘める。
確かに気持ちはわかる。多くの捜査情報を隠蔽し、年端もいかない少女を危険が予測される場所に連れ回すなどルリには不審な行動が多すぎる。
だがそれでも彼女はこちら側の、警察組織の一員だ。身内を疑うような発言はさすがに聞き逃せない。
堂島に睨まれた笹塚はと言うと、普段通りの気怠げな顔のままだった。
「堂島さんこそわかってるはずだ。
確かに彼女はいくつもの事件を解決に導いた天才なんだろう。
その実績を疑うわけじゃないが……逆に言えば俺たちは彼女についてその輝かしい経歴しか知らないってことだ。
昔からここで一緒にやってきた仲間ってわけじゃない」
笹塚の反論に堂島は咄嗟に言葉を紡げない。
確かにそうなのだ。自分たちが知るホシノ・ルリ警視とは経歴に載っていることが全てだ。
その人となりについて確信を持って述べられることなど何一つとしてない。
「加えて昨日警視が着任したのとタイミングを同じくして事件に次ぐ事件ときた。
もちろんその全てに彼女が関与しているなんて馬鹿なことは考えちゃいないが、少なくとも昨日の時点で彼女は現場から上がった情報の全てを知り得る立場にいた。
その上で様々な指示を飛ばし、自分は不都合な情報を隠蔽しようとした。まずこれは事実だろ?」
これだけ怪しい情報が上がれば少なからずルリへの見方も変わる。
彼女の下に現場からのあらゆる情報が集まるということは、その気になれば都合の良いように指示を送ることも可能だったとも言える。
無論そんな証拠はどこにもない。だが実際にルリが一部の情報を隠蔽していたことがわかった以上可能性の一つとして疑わないわけにはいかない。
疑うことこそが刑事の仕事であり本分だからだ。
「……引っかかってたことはあったんだ」
バツが悪そうに黙っていた堂島が重苦しく口を開いた。
言ってしまえば取り返しのつかない領域に足を踏み入れてしまうのではないか。そう自問自答しながら絞り出した言葉だった。
「D-6の洋館で起きた火事に警視がいち早く気づいて消防に通報したらしいってことなんだが……。
あそこは地図にも載ってない幽霊屋敷で昔からここに住んでる土地勘のある人間でもない限りまず見つけられないはずだ。
最初に聞いた時はてっきり警視がこの町に赴任するにあたって相当念入りに下調べしてきたんだろうとばかり思ってたが………」
「今となってはその下調べとやらにも別の意味があったのかもな」
「それにさっきはああ言ったが、テンカワの件にも奴単独の犯行とするには腑に落ちない点が多い。
奴は車も持ってないし、身体に障害を抱えてるって証言がある。美遊・エーデルフェルトに悲鳴を出されるまで住民に目撃されないほど緻密な犯行が可能だったとは思えん。
そこの問題を解消したとしても、だ。養子とはいえ名家のエーデルフェルトの令嬢なんて容易く誘拐できる相手じゃない。
身代金目的の誘拐をやるにしたってさすがに相手が悪い。
だがもし……もし警察内部の人間が共犯者であるとすれば、美遊・エーデルフェルトの拉致・監禁も不可能じゃなくなる」
ホシノ・ルリとテンカワ・アキトの二人には接点らしい接点はない。それが堂島の考える一つの前提だったが、もしそうでないとすれば。
二人が堂島たちや地元住人ですら知らないところで何らかの接点を持っていたとすれば、アキトの犯行は不可能事ではなくなるし、ルリの不審な行動のいくつかにも説明がつく。
サイバー犯罪の専門家であるルリなら直接・間接を問わずアキトに対して様々な支援を行えただろう。
実際ルリが出した指示によって捜査員たちは誰一人アキトをマークすることなく、犯行の予兆や痕跡を事件発生まで見出すことができなかったのだから。
……堂島としてはあまり考えたくないことだが、ルリは警視の階級にあるエリートとはいえ年齢的にはまだまだ多感な年頃の未成年の少女だ。
この町に赴任する前にアキトに誑かされた可能性さえ事ここに至っては完全には否定しきれない。
洋館炎上の件にしても、第一発見者がルリというのは何とも怪しいものだ。
この町を襲う一連の事件の数々と何の関係もない幽霊屋敷に何の用があったというのか。火事ということは何らかの物的証拠の隠蔽を試みたのではないか?
「身内を疑うなんてやってられんが、こうなると昨日の警視の足取りを徹底的に洗う必要があるな」
「捜査本部に報告しないとな。銃を持ってるテンカワの追跡ももちろん大事だが内側に犯人に通じてる人間がいるかもしれないんじゃ捜査が立ち行かない。
幸いと言っちゃ失礼だが警視はここじゃ外様で明確な支持基盤はない。上の方の政治とやらで疑惑を握り潰すなんて可能性は低いだろ」
◆ ◆ ◆
こうして「警視の妖精」と呼ばれたホシノ・ルリは一転、一部警察NPCの間で疑惑の人となった。
裁定者サイドによるNPCへの意識操作があったにも関わらず何故こうも急に事態が変化したのか。
その要因を大雑把に、一言で言ってしまえば「間が悪かった」のだ。
刑事たちが疑念を抱いたようにホシノ・ルリが宮内れんげを連れたまま行動し続けたことは確かに警察の一員として問題があった。
普通の役職(ロール)を割り当てられたマスターであれば問題ない行為であっても、警察の制服を着ている以上その人間の行動には普通以上の規範が求められる。
とはいえ本来ならルリとれんげの行動の足跡は警察NPCに露見しないはずだった。
そんなことがあったとしてもせいぜい断片的な情報が上がる程度で、「信憑性に欠ける」の一言とともに切り捨てられ埋もれていくはずだった。
そうはならなかった原因はルリの行動に起因するものではなく、ある不幸な偶然にあった。
ルリがれんげを伴って孤児院に出向いてから少し経った頃、ルリがマークしていた天河食堂で事件が起こった。
言うまでもなくマジカルサファイアと合流した美遊がアキトを陥れるために起こした事件だ。
ただの通り魔程度ならまだしも銃を使った凶悪犯罪となれば事件現場とその付近に多数の警官が動員されるのは自明の理。
そしてある程度時間が経ち、近隣住民の動揺が落ち着いてくれば警察による聞き込みが行われることもまた自明だった。
これにより天河食堂付近で行動していたルリの足跡が警察NPCに拾われることとなり、さらに本来無関係であるはずのアキトを探すルリの行動とアキトが陥れられた事件が一本の線で結ばれてしまった。
さらに悪いことにルリは予選を経験しておらず、その辻褄合わせとして「本選開始と同日に赴任した警視」の役割(ロール)を割り振られた。
つまり日常を過ごすと同時に培われるNPCたちとの交流や絆が存在しないということ。
故に一度でも強く疑われればそれで終わりという脆さも孕んでいた。
礼
◆ ◆ ◆
「戻ったぞ、ますたあ」
錯刃大学にある研究室に男の声が一つ。
アサシンのサーヴァント、甲賀弦之介が性技のライダーを仕留め主の下に戻って来ていた。
「ライダーは仕留めた。だが彼奴のますたあの姿が見えぬ。
恐らくあのライダーに見切りをつけ別の英霊と契約を結んだのであろう」
己がサーヴァントの報告を受け、弦之介のマスター、電人HALは即座に裏の空間―――禍津冬木市へとアクセスし情報を精査する。
あの空間を認識し、この研究室の工房を形成した時点で何時でも禍津冬木市の情報を調べられる仕組みを作り上げていたのだ。
その手腕によってHALは禍津冬木市で起きた破壊の痕跡を数秒と経たずに見つけた。
とある巨大な情報圧、霊基の消滅をも。
「いや……そうではないな。
彼のライダーのマスターである魔神皇はサーヴァントの消滅に従ってアークセルに消去されたようだ。
あの空間からの退去ではなく電脳死だ。ログから閲覧できる情報からしてもそれは間違いない。
どのような経過を経てそうなったかまでは確認できない以上推測する他ないが」
「ライダーがこちら側に戻って来ていたこともそうだが、何とも面妖なことだ」
「………そういえば」
またも思い出す。
テンカワ・アキトが口にしていた「もう一人の自分」なる存在。
あの魔神皇ももう一人の彼に出くわし、恐らくは戦闘行為を含めた過程を経て電脳死を遂げたのだろうか。
もう一人の魔神皇などという存在があったのであれば、彼ほどのマスターが斃れるのも無理からぬ話ではあるが。
しかし、もしそうであれば。HALのような例外存在でない限りマスターが禍津冬木市に踏み入れば「もう一人の自分」とやらが出現するということになるのか?
データの不足した仮説に過ぎないが、機会があれば他のマスターを禍津冬木市に誘い込み経過を観察するすべきかもしれない。
「………いや」
と、そこまで考えたところでHALは一度ここまでの思考を凍結することにした。
どうあれ魔神皇と性技のライダーは脱落した。であれば彼らについて長々と考え時間を費やすのは得策ではない。
今は生きている強敵たちへの対処こそを第一とするべき時だ。
「アサシン、ホシノ・ルリの地盤を切り崩す目途が立った。
戻ってきて早々すまないが新たな仕事を頼むことになるだろう」
そう言ってHALはB-9で捜査をしていた刑事たちがルリに疑念を抱いたことを語った。
何故それをHALが知っているのか?問うまでもない。天河食堂周辺の聞き込みに当たっていた刑事たちの中にHALの配下がいたからだ。
「―――つまり、ホシノ・ルリはマスターとしての活動に傾倒しすぎた。
その結果として日常における立ち回りに隙が生じた、ということだ」
警察NPCの動向を一通り弦之介へ説明し強敵ホシノ・ルリをそう評した。
聖杯戦争である以上現実逃避し自らの役割(ロール)にのみ没頭するのは論外だが、さりとて日常を度外視しすぎても綻びが生じ破滅に繋がり得る。
違反行為を犯したB-4のキャスターのマスターがそうであったように。
「彼女はマスターとしては強敵だが、警察に属する者としては少々迂闊だったと言える。
恐らく元の世界でも日本で言うところの飛び級制度のようなシステムで何らかの公職、それも高い地位にいたのだろう。
しかしそういった若き天才は得てして得意分野に特化する分社会的な経験が不足しやすい。年齢からすれば彼女もそういった手合いなのだろう」
結論から先に述べれば、警察NPCのルリへの急速な嫌疑の浸透・拡大にはHALも一枚噛んでいた。
電子ドラッグで洗脳した刑事からある程度の捜査情報は送られていたし、そもそもがルリを孤児院に誘導したのはHAL自身だ。
タイミングを見計らって配下の刑事を孤児院に派遣しルリがそこにれんげと共に来ていたという証言を取っておいたのだ。
聖杯戦争とは情報戦。警察官として不適切な行動の記録・証言を取っておけばいずれ有用に使えると判断してのことだ。
とはいえこうも早く有効活用できたのは幸運が味方した部分が大きい。
ルリがB-9の喫茶店を離れてから少し遅れて美遊・エーデルフェルトが起こした冤罪事件によって天河食堂周辺に警察の手が入った。
さらに電子ドラッグに支配されていない、正常なNPCが現場周辺の聞き込み捜査という正当な手段によってルリへの疑念を抱いた。
HALの見立てではルリの不審な行動に気づいた刑事は警察NPC全体でも比較的に能力が高かったのだろう。NPCといえど個性や性能は全て均一というわけではなく、能力に劣る者もいれば優れた者もいる。
HALといえどこれだけの幸運が重ならなければルーラーにNPCを支配している事実を察知させないという制約下でルリを社会的に追い込むことは無理だった。
確かにルリは警察として不審を抱かれるに足る行動を取ってはいたが、HALが知る他の多くのマスターと比べて極端に迂闊な行動を取っていたわけではないのだから。
HALはルリに疑念を抱き始めた警察NPCの背中をほんの少し押しただけに過ぎない。
そしてこの後ルリが取るであろう行動についてHALは予測を立てていた。最初から注目していただけに彼女に関するデータは揃っているからだ。
まず第一に彼女は宮内れんげと行動を共にしていた。警察として不審な行動を取ってでもれんげを手元に置いていたのはそこに利益や有用性を見出したためであろう。
第二に彼女は自身に与えられた権限を利用することに積極的だ。市内の情報の多くを集められる役職にいるのだからこれは当然ではある。
つまり彼女は警視という立場に価値を見出している。突くべきはそこだ。
既に電子ドラッグの支配下にある警察NPCをホシノ・ルリの自宅付近、検問が設置された冬木大橋の両側に固めさせている。
恐らく次にルリが取る行動は宮内れんげの所在を確認することだ。
その上で最も確実性が高くリスクが小さいのはルーラー、監督役が拠点にしているD-5の教会を訪ねることだ。
彼女は可能な限り戦闘を避けようとする傾向にあるため最初に向かう先はそこだと見て間違いない。
故に教会に辿り着く前に彼女の自宅近辺か交通の要所である大橋の検問で彼女を捕らえる。
堂々と警察の制服を着て行動する彼女のことだ。大橋を避けて別の移動手段で川を渡ったり変装をするという線は薄い。
そして警察官に警察署までの同行を求められた場合ルリがどう動くかを予想することは難しくない。
警察NPCへの殺傷行為は直ちに監督役の沙汰が及ぶ可能性がある以上暴力による排除はまず有り得ない。
また彼女にしてみればれんげの件はともかくアキトと共謀したという嫌疑など事実無根の疑いだ。
キッチンタムラでアキトのことを調べていた件にしても大方独自の情報網で早期にアキトがマスターだと知っていただけの話だろう。
であれば彼女は自身の手腕によって、正攻法で捜査員たちの矛盾を突き自らの冤罪を証明しようと考える。実際それが可能なだけの頭脳の持ち主だ。
警察から逃亡することにより社会的地位を失うことと天秤にかければ、自ら疑いを晴らすため敢えて警察署に同行する可能性が高い。
その時こそが最大の好機だ。それにこの手段であれば確実にシオンとも分断できる。
「警察署という公的なスペースではホシノ・ルリは自身のサーヴァントを常時実体化させておくような真似はできない。疑われている状況ならば尚更だ。
加えて、彼女は女性でサーヴァントは男性。一般心理としてどこにでも侍らせておく、とはいかない。霊体化させるとしても、だ。
サーヴァントが霊体化を解き実体化するには僅かながら確実なタイムラグがあることはわかっている。
つまり、屋内という限られたスペースにあって実体化を保ったまま気配を消せる君の独壇場ということだ」
「なるほどな。つまりホシノ・ルリを暗殺せよ、と?」
「そうだ。既に彼女を泳がせる段階は過ぎた。
現時点では彼女たちの持つ情報では我々が持つ優位性を崩すには足りない……が、近い未来に崩される可能性を否定することもまたできない。
ホシノ・ルリとシオン・エルトナムは共に聖杯戦争からの脱出を目論んでいる、ということだったな?」
「然り。確かにこの耳で聞き届けた」
弦之介は超高ランクの気配遮断を持つ熟練のアサシンだ。
周囲に張り巡らされた糸によって強襲を仕掛けることは叶わずとも彼女らの会話に聞き耳を立てられる位置を確保する程度のことは出来ていた。
そうでなければルリとシオンが同盟を組んだと確信を持ってHALに報告することなどできはしない。
「聖杯戦争への反抗を掲げる本多・正純。脱出を目的とするホシノ・ルリとシオン・エルトナム。
加え、つい先ほどテンカワ・アキトから東風谷早苗もまた聖杯戦争を否定するスタンスであるという情報もあった。
どうやら私が想定していた以上に聖杯戦争のルールに従わない参加者は多いらしい。
これ以上見に徹していては彼女らの合流、ひいては聖杯戦争そのものの瓦解を目的とした一大勢力の結成という事態を招く恐れがある。
故にこそ、彼女らが結びつく前に、こちらの情報アドバンテージが機能しているうちに各個撃破しなければならない」
本多・正純だけならさしたる脅威ではなかった。
だがそこに聖杯戦争に対して否定的な陣営が三組も加わるなどということになればその影響は甚大だ。
四組以上もの大同盟などを組まれ、聖杯戦争の打破を喧伝でもされようものなら聖杯獲得を狙うマスターたちであっても考えを変えないと断言することは難しい。
明らかに勝ち目のない集団に挑むぐらいならその集団の軍門に下り元の世界への帰還を優先する思考に至るマスターは必ず出てくる。
そうなれば如何に電脳世界で強力無比な力を誇るHALでも手がつけられない。
そんな最悪の状況に陥る前にこれまで手に入れた情報をフルに活用し、積極策を以ってホシノ・ルリらを早期に撃滅しなければならない。
幸いアキトは早苗を排除するつもりのようだ。支援しつつこのまま好きにやらせるのが得策だろう。
「君には先に警察署に向かい、そこで網を張りホシノ・ルリを暗殺してもらいたい」
「それは構わぬが、少々ばかり皮算用が過ぎるのではないか?
如何に我らに地の利があると言えどあちらの英霊次第では失敗に終わるやもしれぬ」
弦之介が懸念するのはルリのサーヴァントの能力だ。
無論、サーヴァント戦に移行する前に一撃でルリを暗殺してみせるという自負はあるが、それとは別に戦争には相手がいるもの。
思わぬスキルないし宝具によって目論見が外れないとも限らない。
「確かに君の言う通り、どれほど事前に策を整えようと不測の事態は常に起こり得る。
しかし今回に関しては失敗したとしても容易にリカバリーできる。
そもそも彼女は現在事件の容疑者になりつつある。これまでならばいざ知らず、警察から不審を抱かれた状況で謎の襲撃事件が起こればまず彼女の方が注目される。
まして君のスキルならば最悪ホシノ・ルリを取り逃がし目撃者が出たとしてもその記憶は一切残らない。
後は社会的に彼女を追い詰めていく方策に切り替えれば良い」
それに、HALと弦之介の力でルリを暗殺するにあたって今以上に良い条件を揃える機会は来ない可能性が高い。
何しろルリとシオンは既に電子ドラッグによりNPCを支配する存在を把握している。
時間が経てばHALの手が警察内部にまで伸びていることにも必ず気づく。
そこまで考え至る前に警察に嫌疑を掛けられた事実を突きつけ彼女の思考を電子ドラッグから逸らし、かつ警察署で暗殺する必要がある。
そしてホシノ・ルリに関する情報は今しがたアキトに送信した。
これからHALが行う暗殺計画を除いた、HALが知り得る限りのルリの能力やサーヴァントの特徴、ルリの住所とシオンとルリの同盟についても知らせている。
弦之介が懸念する通り、万全を期してもルリの暗殺に失敗する可能性はある。そうなればアキトと合力して改めてルリを仕留めなければならない。
故にHAL、アキトの同盟間の駆け引きを抜きにしてこの情報共有は必須と言えた。
「ともあれ準備は整った。人員の再配置とホシノ・ルリの捜査のためにB-9周辺の警察はその数を減じている。
これならば彼も警察の目を掻い潜って動けるだろう。
成功は確実とは言えないまでも、打てる限りの手は打った。後は成功させるのみだ」
気づけば弦之介は既にいなくなっていた。警察署へと向かったのだろう。
ここまで手筈を進めた以上後は弦之介とアキトがそれぞれ首尾よくルリと早苗を仕留めることを期待するのみだ。
となれば思考するべきは他のまだ見ぬマスターについてだ。
アキトから聞いた美遊・エーデルフェルトについては、現状では対策を用意する必要はあるが積極的に敵対する必要もその余裕もない。
確かに高い戦闘力を持つバーサーカーに潤沢な魔力提供が出来るマスターの組み合わせは戦力的に見て厄介だ。
また通常なら致命傷になるダメージからも再生するという異能は、弦之介の瞳術と比較的に相性が悪いと言える。
加えてサーヴァントのみならずマスター自身も飛行能力を有し、行動パターンも不明瞭な点がある。
アキトにも伝えたことだがもし彼女が方舟の外の何者かの指示を受けているとしたら、ホシノ・ルリとはまた違うベクトルの脅威になり得る。
だが現時点で明確にHALと敵対しているわけでもない以上、わざわざこちらから仕掛ける必要性はない。
今はホシノ・ルリや本多・正純など聖杯戦争に対し否定的な勢力を各個撃破することが至上命題でこの上美遊まで敵に回しているほど余裕はない。
「…とはいえ出来ることがないというわけでもない、か」
如何なる理由か美遊は小学生という役割(ロール)を放棄して単独行動を取っている。昨日エーデルフェルト家から警察に捜索願いが出されていたことからも明らかだ。
だがアキトとは意味合いが違うがテレビで素顔が晒された女子小学生が目立たず動き続けることは難しいと思われる。空を飛べるといっても限界はあるはずだ。
その上で現在目撃情報が入ってこないということは人目につかない場所に潜伏していると考えられる。
潜伏場所を探るのであればHALにもある程度の検討がつけられる。
比較的警察が少ない深山町、大きな森があるD-1、命蓮寺があるC-1周辺、あとは田園地帯や廃屋が多いA-1からA-4までの北部エリアあたりが有力候補か。
配下のNPCに探らせつつ、独自に美遊を探しているらしいエーデルフェルトの当主にもリークしておくか。
もっとも釣り出して位置を捕捉できれば御の字程度のささやかな策だ。別段期待はしない。
次に同じくアキトから聞いたキレイなるマスターとセイバーのサーヴァント。
戦力として特筆するほどの情報はないが、気になるのは調べたところ月海原学園に「言峰綺礼」という青年が勤務しているという情報だ。
男性で「キレイ」などという名前がそうあるとも思えない。
あの火薬庫と化した学園にいるマスターとなればそれだけで注意が必要だ。
「……ほう」
ちょうどシオン・エルトナムについて思考を巡らせた瞬間、配下からシオンの目撃情報が入ってきた。
ホシノ・ルリと同盟を組んだ、糸を操るサーヴァントを従える才女にして電子ドラッグに気づいた強敵。
その彼女が一人で大橋を渡って深山町へと入っていったという。恐らく普通の学生を装い学園に登校するためだ。
好都合だ。まさかこちらが何をするでもなく勝手にホシノ・ルリと別行動を取ってくれるとは。
とはいえその分学園の状況に気を配る必要性が増したともいえる。どうあれ油断は厳禁だ。
―――けれど、油断はしていないという思考そのものが油断である可能性に、電人HALはまだ気づいていなかったのだ。
◆ ◆ ◆
HALは知らなかった。
同盟を組んだテンカワ・アキトと今まさに抹殺せんとしているホシノ・ルリ、両者の関係を知らなかった。
同じ世界から方舟に招かれた家族に等しい間柄であるとは知らなかったのだ。
HALは元の世界における職業がある程度方舟における身分と関連していると考察していた。
例えば大学教授である春川の身分がHALの役割(ロール)としてそのまま割り振られていたこと。
元の世界で名前を春川とHALが名前を認知していた一部の人物がそのままの職業でNPCとして過ごしていたことも判断材料となっていた。
だからこそ異例の若さで警視の職にいるルリと小さな料理店の店長であるアキトに接点を見出さなかった。
ルリが天河食堂周辺を嗅ぎまわっていたことも、彼女がいち早くアキトをマスターと特定したとしか判断できなかった。
あるいはアキトの動向にもっと注意を払っていれば、それこそ弦之介を派遣してアキトを探らせていれば。
HALからルリに関する情報を送られてきた時のアキトの表情を確認できたであろうに。
◆ ◆ ◆
聖杯戦争とはある意味非常に公平な殺し合いだ。テンカワ・アキトはそう考えてきた。
確かにゴフェルの木片を手にしただけで無作為にマスターとして選出されるその経緯は理不尽であるかもしれない。
しかし逆に言えば全てのマスターが同じ方法で方舟に呼ばれているのは公平、平等と取れなくもない。悪平等とも言うのだろうが。
サーヴァントと令呪にしてもそうだ。性能やクラス等個性に違いはあっても全てのマスターに令呪とサーヴァントが配されるという点では最低限の公平性は確保されている。
だからこそアキトは聖杯戦争という殺し合いにも納得していた。少なくともマスターの誰にとってもスタートラインは同じなのだから。
聖杯戦争には戦いの結果としての死はあっても無人兵器による一方的な虐殺も悪辣なテロ行為もない。
虐殺同然に殺されるマスターがいたとしても、言っては何だがそれは与えられた武器を満足に扱えなかった当人の不備でしかない。
願いがある、あるいは死ねない理由があるのは誰でも同じ。早苗のような戦いを止めるという願いでさえある種のエゴに過ぎない。
誰もがマスターの一人としてサーヴァントと共に最後の一組を目指して戦い抜く。火星の後継者相手に暗闘を繰り返していた頃よりよほど上等な戦いだった。
……ここまでの経緯こそは情けない限りではあったが。
勝ち残り、ユリカを救う。そして火星の後継者を殲滅する。
願いを叶えたいという一点については一度もブレたことはないと自認している。
もう一人の自分。復讐に身を窶しても残り続けていた「自分らしさ」さえも切り捨てて、ただ一つの地点へと走り続けようとしていた。
だからだろうか。敢えて置き去りにした大切なものが、己の願いと反対側の天秤に載せられていたことに気づかなかったのは。
その文字列の羅列と顔写真の画像を見た時の自分は一体どんな顔をしていたかわからない。少なくとも人に見せられるような顔ではなかっただろう。
HALの配下らしいNPCが同じ部屋にいないタイミングで助かった。
ホシノ・ルリ。彼女がアキトと同じくマスターになっていたなど悪辣な偶然にもほどがある。
しかも裏の空間では無敵に近い力を持つHALから随分と警戒されているようだった。やけに詳しくルリの危険性を説くHALのメールからそれは容易に読み取れる。
つまり彼女は今HALに命を狙われている。ハンマーで頭を横殴りにされた気分だ。
大切なものを取り戻したいと願った。相手が火星の後継者どもから自分以外のマスターに代わっただけだと思っていた。
だがそうではなかった、なかったのだ。
最後に生き残るのはただ一組。他のマスターとサーヴァント全てを殺さなければ聖杯に辿り着くことも生還することもない。
アキトとルリが同時に生き残ることは、ない。
聖杯戦争に勝ってユリカを救うということはルリを殺すということで。
ルリを助けるということはユリカの救出と火星の後継者への復讐、己の命を諦めるということ。
吐き気がするような二者択一。これが聖杯戦争を良しとした報いだというのならこんなに効果的な罰もない。
―――嗚呼、全くもって情けないことに。
―――俺という人間はこうなる事態を毛ほども想像していなかったらしい。
【C-6/錯刃大学・春川研究室/二日目・早朝】
【電人HAL@魔人探偵脳噛ネウロ】
[状態]健康
[令呪]残り三画
[装備]『コードキャスト:電子ドラッグ』
[道具] 研究室のパソコン、洗脳済みの人間が多数(主に大学の人間)
[所持金] 豊富
[思考・状況]
基本:勝利し、聖杯を得る。
1.ホシノ・ルリを警察署に向かわせ排除する。
2.潜伏しつつ情報収集。この禍津冬木市は特に調べ上げる
3.ルーラーを含む、他の参加者の情報の収集。特にB-4、B-10。
4.他者との同盟,あるいはサーヴァントの同時契約を視野に入れる。
5.テンカワ・アキトを利用して 東風谷早苗を排除させる。
6. 聖杯戦争に対し否定的な主従を各個撃破し一大勢力の形成を阻止する。
[備考]
※洗脳した大学の人間を、不自然で無い程度の数、外部に出して偵察させています。
※大学の人間の他に、一部外部の人間も洗脳しています。(例:C-6の病院に洗脳済みの人間が多数潜伏中)
※ジナコの住所、プロフィール、容姿などを入手済み。別垢や他串を使い、情報を流布しています。
※他人になりすます能力の使い手(ベルク・カッツェ)を警戒しており、現在数人のNPCを通じて監視しています。
また、彼はルーラーによって行動を制限されているのではないかと推察しています。
※サーヴァントに電子ドラッグを使ったら、どのようになるのかを他人になりすます者(カッツェ)を通じて観察しています。
→カッツェの性質から、彼は電子ドラックによる変化は起こらないと判断しました。
一応NPCを同行させていますが、場合によっては切り捨てる事を視野に入れています。
※ヤクザを利用して武器の密輸入を行っています。テンカワ・アキトが強奪したのはそれの一部です。
※コトダマ空間において、HALは“電霊”(援護プログラム)を使えます
※自分の研究室を"工房"に改造しました。この空間内なら限定的にコトダマ空間内での法則を使えます。
※テンカワ・アキトと協力関係を結びました。適当な配下のNPCの家に匿っています。また密輸した銃火器を供与しました。
※テンカワ・アキトとホシノ・ルリが知り合いであることに気づいていません。
※アキトから美遊、早苗、言峰、アンデルセンの情報を聞きました。
※D-1、C-1、A-1からA-4を配下のNPCに探らせていますがあまり力を入れていません。またエーデルフェルト家に目撃情報と称してリークしました。
【アサシン(甲賀弦之介)@バジリスク ~甲賀忍法帖~】
[状態]:健康
[装備]:忍者刀
[道具]:なし
[思考・状況]
基本:勝利し、聖杯を得る。
0.警察署に赴きホシノ・ルリを待ち伏せする。
1.HALの戦略に従う。
2.自分たちの脅威となる組は、ルーラーによる抑止が機能するうちに討ち取っておきたい。
3.狂想のバーサーカー(デッドプール)への警戒。
4.戦争を起こす者への嫌悪感と怒り。
[備考]
※紅のランサーたち(岸波白野、エリザベート)と赤黒のアサシンたち(足立透、ニンジャスレイヤー)の戦いの前半戦を確認しました。
※狂想のバーサーカー(デッドプール)と交戦し、その能力を確認しました。またそれにより、狂想のバーサーカーを自身の天敵であると判断しました。
※アーチャー(エミヤ)の外見、戦闘を確認済み。
[共通備考]
※『ルーラーの能力』『聖杯戦争のルール』に関して情報を集め、ルーラーを排除することを選択肢の一つとして考えています。
囮や欺瞞の可能性を考慮しつつも、ルーラーは監視役としては能力不足だと分析しています。
※ルーラーの排除は一旦保留していますが、情報収集は継続しています。
また、ルーラーに関して以下の三つの可能性を挙げています。
1.ルーラーは各陣営が所持している令呪の数を把握している。
2.ルーラーの持つ令呪は通常の令呪よりも強固なものである 。
3.方舟は聖杯戦争の行く末を全て知っており、あえてルーラーに余計な行動をさせないよう縛っている。
※ビルが崩壊するほどの戦闘があり、それにルーラーが介入したことを知っています。ルーラー以外の戦闘の当事者が誰なのかは把握していません。
※性行為を攻撃としてくるサーヴァントが存在することを認識しました。房中術や性技に長けた英霊だと考えています。
※鏡子により洗脳が解かれたNPCが数人外部に出ています。洗脳時の記憶はありませんが、『洗脳時の記憶が無い』ことはわかります。
※ヴォルデモートが大学、病院に放った蛇の使い魔を始末しました。スキル:情報抹消があるので、弦之介の情報を得るのは困難でしょう。
※B-10のジナコ宅の周辺に刑事のNPCを三人ほど設置しており、彼等の報告によりジナコとランサー(ヴラド3世)が交わした内容を把握しました。
※ランサー(ヴラド3世)が『宗教』『風評被害』『アーカード』に関連する英霊であると推測しています。
※ランサー(ヴラド3世)の情報により『アーカード』の存在に確証を持ちました。彼のパラメータとスキル、生前の伝承を把握済みです。
※検索機能を利用する事で『他人になりすます能力のサーヴァント』の真名(ベルク・カッツェ)を入手しました。
【D-8/(HAL配下の家)二日目・早朝】
【テンカワ・アキト@劇場版機動戦艦ナデシコ-Theprinceofdarkness-】
[状態]疲労(中)魔力消費(大)、左腕刺し傷(治療済み)、左腿刺し傷(治療済み)、胸部打撲
[令呪]残り二画
[装備]CZ75B(銃弾残り5発)、CZ75B(銃弾残り16発)、バイザー、マント
[道具]背負い袋(デザートイーグル(銃弾残り8発))、MAC10(マガジン2つ分の残弾)、AK47(マガジン2つ分の残弾)、手榴弾×3
[所持金]貧困
[思考・状況]
基本行動方針:???
0.ルリちゃんを――――――?
1.早苗を―――――― ?
2.五感の異常及び目立つ全身のナノマシンの発光を隠す黒衣も含め、戦うのはできれば夜にしたいが、キレイなどに居場所を察されることも視野に入れる。
3.利用されてると分かっていてもHALに協力する――――――?
[備考]
※セイバー(オルステッド)のパラメーターを確認済み。宝具『魔王、山を往く(ブライオン)』を目視済み。
※演算ユニットの存在を確認済み。この聖杯戦争に限り、ボソンジャンプは非ジャンパーを巻き込むことがなく、ランダムジャンプも起きない。
ただし霊体化した自分のサーヴァントだけ同行させることが可能。実体化している時は置いてけぼりになる。
※ボソンジャンプの制限に関する話から、時間を操る敵の存在を警戒。
※割り当てられた家である小さな食堂はNPC時代から休業中。
※寒河江春紀とはNPC時代から会ったら軽く雑談する程度の仲でした。
※D-9墓地にミスマル・ユリカの墓があります。
※アンデルセン、早苗陣営と同盟を組みました。詳しい内容は後続にお任せします。
※美遊が優れた探知能力の使い手であると認識しました。
→HALとの情報交換でいくらか認識を改めました。
※児童誘拐、銃刀法違反、殺人、公務執行妨害等の容疑で警察に追われています。
今後指名手配に発展する可能性もあります。
※HALと協力関係を結びました。適当な配下のNPCの家に匿われています。またHALが密輸した銃火器を供与されました。
※HALからホシノ・ルリとライダー(キリコ)に関する情報を得ました。
少なくともルリの住所の情報は含まれています。
【バーサーカー(ガッツ)@ベルセルク】
[状態]ダメージ(中)
[装備]『ドラゴンころし』『狂戦士の甲冑』
[道具]義手砲。連射式ボウガン。投げナイフ。炸裂弾。
[所持金]無し。
[思考・状況]
基本行動方針:戦う。
1.戦う。
[備考]
※警官NPCを殺害した際、姿を他のNPCもしくは参加者に目撃されたかもしれません。
[全体備考]
※冬木大橋の両側に検問が設置されています。
警察にマークされている人物は呼び止められます。
※天河食堂周辺の聞き込み捜査とHALの介入により一部の警察NPCがホシノ・ルリに対し疑念を抱きました。
その場にルリが居合わせなかったため疑惑の払拭判定に失敗、ルリの足跡の捜査が行われ自宅付近に警察NPCが派遣されます。
この疑惑は払拭が為されるまで時間の経過とともに拡大し続けます。
※B-9の厳戒態勢は維持されていますが、美遊・エーデルフェルトの捜索とルリの捜査のために人員の再配置が行われたため一時的にこのエリア周辺の捜査員の数が減少しています。
|BACK||NEXT|
|168a:[[if - a king of loneliness]]|[[投下順>本編SS目次・投下順]]||
|168a:[[if - a king of loneliness]]|[[時系列順>本編SS目次・時系列順]]||
|BACK|登場キャラ:[[追跡表]]|NEXT|
|165:[[The DAWN]]|[[テンカワアキト]]&バーサーカー([[ガッツ]])||
|168b:[[if - a fool of loneliness]]|アサシン([[甲賀弦之介]])||
2019-07-07T21:13:49+09:00
1562501629
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【2日目の脱落者】
https://w.atwiki.jp/2jiseihaisennsou2nd/pages/606.html
*【2日目の脱落者】
|時間|場所|脱落者|加害者|退場作品|死因|凶器|
|未明|C-6/錯刃大学・近辺|ジナコ・カリギリ|ゴルゴ13|146:[[Festival]]&br()146:[[Insight]]&br()146:[[祭りのあとには]]|射殺|何らかの銃器|
|~|~|ゴルゴ13|----|~|消滅&small(){※1}|----|
|~|~|ベルク・カッツェ|アーカード(ゴルゴ13)|~|NOTE狙撃&br()捕食による吸収|M16+牙|
|~|B-5/路地裏|足立透|甲賀弦之介|148:[[忍【ころすべきもの】]]&br()148:[[殺【ほろびゆくもの】]]|斬首|忍者刀|
|~|~|ニンジャスレイヤー|~|~|自害|『瞳術』|
|~|D-6/深山町・双子館|佐倉杏子|キリコ・キュービィー|154:[[たぶん自分自身の為に]]&br()154:[[生きる意味、終わる意味]]|ソウルジェム破壊|ヘビィマシンガン|
|~|B-9/アパート|寒河江春紀|(キリコ・キュービィー)|~|消滅&small(){※2}|----|
|~|D-9/廃教会|アーカード|ヴラド三世|161:[[狂い咲く人間の証明(前編)]]&br()161:[[狂い咲く人間の証明(中編)]]&br()161:[[狂い咲く人間の証明(後編)]]|心臓破壊|『極刑王』|
|~|~|ジョンス・リー|アレクサンド・アンデルセン|~|刺殺|素手|
|~|~|ヴラド三世|アーカード|~|射殺|ジャッカル|
|~|~|アレクサンド・アンデルセン|(アーカード)|~|消滅&small(){※2}|----|
|早朝|C-6/錯刃大学周辺|鏡子|甲賀弦之介|168:[[if - a king of loneliness]]&br()168:[[if - a fool of loneliness]]|斬殺|忍者刀|
|~|?-?/電子コトダマ空間・禍津冬木市|狭間偉出夫|(甲賀弦之介)|~|消滅&small(){※2}|----|
※1.マスター死亡に伴う消滅。
※2.サーヴァント消滅に伴う消滅
**&COLOR(red){脱落者数:13名(総計20名)}
**&COLOR(red){残り参加者数:37/56名}
**&COLOR(red){残り主従数:18/28組+1人}
**最期の言葉
|脱落者|最期の言葉|
|ジナコ・カリギリ|「アタシはこれでいい。ニートでいい。&br()……でもこれだけは平等なの……ニートも“プロ”も“死の呪い”からは逃げられないって……本当、おかしいよ。&br()アタシ、やっぱり怖い。怖い。アタシ、うそつきだけど、これだけは本当。ニートでいい。ひとりぼっちでいい。でも死ぬのはいや。だっておかしいから。&br()でもしぬのはこわい。ねえそうでしょ――」|
|ゴルゴ13|「…………」|
|ベルク・カッツェ| 「ジョンスりぃんwwwwwwwたはっ八極拳見せて見せてwwwwwwwwwww」&small(){※3}|
|足立透|(見なよ、やっぱりこの世界なんて――――)|
|ニンジャスレイヤー|「イイイイイイヤアァァァーーーーッッ!」|
|佐倉杏子|「――――」|
|寒河江春紀|「……はは」|
|アーカード|「さよならだ、"伯爵"」|
|ジョンス・リー|――約束なんか、するもんじゃねえな。|
|ヴラド三世|「…………ああ…………良い夢、だった…………」|
|アレクサンド・アンデルセン|「―――Amen」|
|鏡子|(――――抱いて、あげたかったのに)|
|狭間偉出夫|「ひとりに、しないで――――――――」|
※3.アーカードに捕食される前の時点(脱落直前)の発言を最期の言葉とする。
**殺害数ランキング
|順位|名前|殺害人数|被害者|スタンス|生存状況|
|1位|電人HAL&甲賀弦之介|4人|足立透&ニンジャスレイヤー、狭間偉出夫&鏡子|聖杯狙い|生存中|
|2位|ジョンス・リー&アーカード|3人|ベルク・カッツェ、アンデルセン&ヴラド三世|中立|&color(red){脱落}|
|3位|足立透&ニンジャスレイヤー|2人|遠坂凛、大魔王バーン|聖杯狙い|&color(red){脱落}|
|~|ミカサ・アッカーマン&セルベリア・ブレス|2人|暁美ほむら&暁美ほむら(叛逆の物語)|聖杯狙い|生存中|
|~|ホシノ・ルリ&キリコ・キュービィー|2人|寒河江春紀&佐倉杏子|中立|生存中|
|~|アレクサンド・アンデルセン&ヴラド三世|2人|ジョンス・リー&アーカード|中立|&color(red){脱落}|
|7位|美遊・エーデルフェルト&黒崎一護|1人|クー・フーリン|聖杯狙い|生存中|
|~|足立透&大魔王バーン|1人|野原しんのすけ|聖杯狙い|&color(orange){サーヴァント消滅}|
|~|ジナコ・カリギリ&ゴルゴ13|1人(+α)|ジナコ・カリギリ、(ベルク・カッツェ)|聖杯狙い|&color(red){脱落}|
**[[【2日目の脱落者名鑑】]]
2019-06-23T21:19:14+09:00
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