一ノ瀬晴&キャスター ◆BL5cVXUqNc


―――――Recovery――――――









 記憶の復旧を完了しました。


 再起動まで



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―――――Reboot――――――










 ノイズの洪水に冒された脳が機能を取り戻す。
 一ノ瀬晴の視界に飛び込んだのは人気のないどこかの学校の教室だった。

「ここ、は――ミョウジョウ学園じゃない……あれ……晴は卒業証書をみんなに――熱っ」

 右手に焼きごてを押し付けられたような熱い感覚。
 だがそれは一瞬のことで、右手の甲には奇妙な紋様が刻まれていた。

「なんだろう……これ……晴は――そうだ兎角さん!?」

 誰もいない教室に向かって大切な人の名を叫ぶ。
 と、同時に教室に入る人影の姿があった。

「兎角――!?」
「悪いが妾はそのような名ではないな」
「あっすみません! 晴は……一ノ瀬晴と言います」

 晴の視界に現れたのはまだ年端もいかぬ幼い少女。
 薄い紫色の髪と白いフリルをあしらった衣に身を包んだその姿は神秘的でどこか人を超えた存在のよう。

 例えるなら妖精――


「えっと……妖精、さん?」

 晴は何故自分がここにいて、そして兎角はどこに行ってしまったのかも忘れ少女の神秘的な容姿に魅了されていた。

「たわけ、妾が妖精などという下等なモノと一緒にするでない。汝も聖杯戦争に参加する魔術師なら妾が如何に優れたサーヴァントか一目でわかりそうなものよってに……」

 どうも気分を害してしまったようだ。
 いや、そんなことよりも聖杯戦争と少女は言った。


 聖杯戦争ってあの――?


 都市伝説として囁かれる程度の与太話。
 前に鳰がそんなことをちらっと口にしていた気がする。
 単なる怪談の一つとして晴も兎角も聞き流す程度のものだったはずなのに。




 ■





 ミョウジョウ学園10年黒組。それが一ノ瀬晴が編入してきた学園だった。
 この学園には特別な時期に開講する奇妙なクラス・10年黒組があった。
 そこは一人の生徒を暗殺すべく様々な人間が集まる監獄。
 晴は黒組にて暗殺対象に選ばれた少女であった。

 生きているだけで命を狙われる運命の下に生まれた晴。家族も全て晴を守るために死んでいった。
 それでも絶望せずに希望を持ち続けた。たとえ自分を殺そうとする黒組の暗殺者たちにも普通のクラスメイトとして接した。
 そして黒組にて東兎角というかけがえのない人間の出会いを経て晴は黒組でただ一人卒業式を向かえることが出来たのだった。

 そう、今ならはっきり思い出せる。
 晴は『退学』となった黒組メンバーのために兎角と共に卒業証書を渡しにいく最中だった。




 また――皆が傷つけ合うのか。
 そして今度の脱落者は『退学』でなく逃れようのない『死』が待っている。
 そして聖杯を手に入れた者にはあらゆる望みを叶えることができる。



 そう、聖杯があれば家族を生き返らせることができる
 そう、聖杯があれば黒組のみんなだって幸せな人生を歩むことができる。



「その顔――汝にも叶えたい望みがあるようだな?」


 少女の問いに晴はぴくっと肩を震わせる。


「晴は……例え望みがあっても誰も殺されたり殺すのを見たくない。聖杯戦争なんてしたくない。それがとても傲慢なことだってわかっていても」

 きっと望みを叶えたい人間が晴を見るとどこまでも傲慢に映るのだろう。
 望みを願う資格があるにも関わらず、それを願わず今ある世界を受け入れる。
 そんな心の強い人間は弱い人間にとって正視に耐えられない。

 それでも晴は『方舟』という監獄の理を否定したかった。

「くっくっく……ふっ……ふはははは! その心意気やよし! ならばこのキャスター、アブドゥル・アルハザードによって記された世界最強の魔導書アル・アジフが存分に手を貸そうぞ! その傲慢と勇気を貫き通すが良い一ノ瀬晴! 愛しき我がマスターよ!」

 アル・アジフと名乗った少女は高らかに笑い宣言した。
 晴に手を貸し聖杯戦争を共に生き抜くと。

 だがそんなアル・アジフと対照的に晴の顔は浮かなかった。



 彼女がこんなに友好的なのもきっとプライマーの力――


 晴が意図するしないにも関わらず周囲の人間を魅了し引きつける力。
 それが全ての人間に作用し心まで操る物ではないと兎角の覚悟が証明したものの、
 初対面の人間から好意を向けられるとどうしても意識してしまうのだった。


「ところで――汝はちょいと奇妙な力を持っているな。生来の呪い……一種の魅了<チャーム>の魔術だな?」
「――ッ」
「くくっ図星のようだな。おおかた妾が汝に好意的なのを自らの呪いのせいだと思っておるのだろう? ふん、妾がそのような呪いごときに心を乱されると思ってか。世界最強の魔導書を少し見くびりすぎだのう。良いか、妾は妾の意志をもって汝をマスターと認めたのだ。マスター・オブ・ネクロノミコンであることを誇るがよい」


 尊大に、傲岸不遜にアル・アジフは笑う。
 だがその瞳に宿るは優しさと信頼。




「ゆくぞ我がマスター。この戦に幸あれ」




 願わぬ願いを胸に秘め一ノ瀬晴の聖杯戦争は静かに幕を開けた。









―――――Start――――――


【クラス】
 キャスター
【真名】
 アル・アジフ@機神咆哮デモンベイン
【パラメーター】
 筋力E 耐久E 敏捷E 魔力A++ 幸運C 宝具EX

【属性】
 秩序 ・ 善

【クラススキル】
 陣地作成 E…本来マスターである魔術師によって使用される魔導書のため単独での陣地作成は苦手

【保有スキル】
 対魔力 A…その身に旧支配者や外なる神々等人智を越えた外道の知識を内包してるがゆえ高い対魔力性能を持つ。同等の外道の魔術以外は無効化する

 精神耐性 A…常人なら一目見ただけで発狂する魔の存在を滅ぼすため生み出されたものがゆえおおよそ人間が扱う精神干渉術はほぼ無効化する

 魔術礼装(マギウス・スタイル) EX…自らの持つ魔力によってマスターを超人形態に変身させる。変身中のアルは二頭身程度の「ちびアル」となってマスターに付き従う

【宝具】『機神咆哮(デモンベイン)』
 ランク:A+ 種別:対神宝具 レンジ:使用兵装による 最大補足:使用兵装による
 人が造りし神の模造品たる「デモンベイン」を召喚するアルの主武装。
 その巨体とアル自身のページに記された兵装をもってあらゆる魔を粉砕するまさに魔を断つ剣(デモンベイン)の名に相応しい存在である。
 本来なら動力を別宇宙から取り出す永久機関を内蔵しているため魔力消費は極力抑えられているのだが、
 ムーンセルのレギュレーションに抵触したためか魔力消費は莫大なものになりマスターの命をも削り動力に変える仕様となってしまっている。

『光差す世界に汝ら暗黒住まう場所無し、渇かず飢えず無に還れ(レムリア・インパクト)』
 ランク:EX 種別:対神宝具 レンジ:1 最大捕捉1
 デモンベイン召喚時に使用できる第一近接昇華呪法。別宇宙より取り出された無限熱量をデモンベインの右掌に集め対象に叩き込む。
 その威力は旧支配者ですら一撃で「昇滅」させる凄まじいものである。
 ムーンセルによる仕様変更のため並みの術者ではその命と引き換えに放つことを覚悟しなければならない


【weapon】
『バルザイの偃月刀』
 アルに記されたページから召喚される武器の一つ。魔法使いの杖でもある大剣。手に持って使用するだけでなく投擲武器や盾としても使用できる

『アトラック=ナチャ』
 アルに記されたページより召喚される武器の一つ。魔力で編んだビーム状の糸を蜘蛛の糸のように絡め取り捕縛する

『ニトクリスの鏡』
 アルに記されたページより召喚される武器の一つ。自らの幻影を生み出す言わば分身の術

『クトゥグァ』
 アルに記されたページより召喚される武器の一つ。炎を司る旧支配者の力を秘めた自動式拳銃。見た目はモーゼルC96

『イタクァ』
アルに記されたページより召喚される武器の一つ。冷気を司る旧支配者の力を秘めたリボルバー式拳銃。見た目はマテバ6ウニカ

【人物背景】
 見た目は幼い少女だが、その正体は狂えるアラブ人アブドゥル・アルハザードによって書かれた魔導書『ネクロノミコン』原典『アル。アジフ』の精霊。
 あらゆる魔導書の中でも最高位の力を持っており、そのせいか性格は正義感が強いも非常に尊大かつ傲岸不遜。
 秘密結社ブラックロッジに追われる最中、主人公大十字九郎と出会い契約を結ぶ


【サーヴァントとしての願い】
 特に無し。強いて言うなら人類に仇なす魔の討滅だが聖杯の手に負える存在ではないので聖杯には期待していない

【基本戦術、方針、運用法】
 アル本体は戦闘力が皆無なためマスターをマギウススタイルに変身させてマスター自ら戦うのが基本戦術である。
 デモンベイン召喚は莫大な魔力消費を伴うが、マギウススタイルによる戦闘は魔力消費も少なく、
 またアル自身に記されたページの武器を使用することにより継戦能力と手数に優れる。
 欠点としては戦闘力がマスターの戦闘能力に依存するため、マスター本人が戦闘力に乏しい場合、
 いくらマギウススタイルによる底上げがあっても戦闘の達人クラスのサーヴァント相手には苦戦するだろう


【マスター】
 一ノ瀬晴@悪魔のリドル
【参加方法】
 ゴフェルの木片による召喚。
 百合目一が持ち物に忍ばせていた。

【マスターとしての願い】
 聖杯に願いをかけない。皆が死ぬことなく方舟から脱出したい。

【weapon】
 なし

【能力・技能】
『プライマー』
 晴の一族の女性に稀に発現する呪いにも似た能力。
 本人が意図するもしないにも関わらず他者を引きつけ魅了し支配する。
 本人は能力の存在は知っていたが自分がプライマーだとは思っていなかった。

 幼いころから命を狙われ続けていたため荒事に慣れており、また薬物等の耐性も高い。
 特別な戦闘訓練は受けていないものの身体能力はそれなりにあり、
 ピンチの際異常な機転の良さと判断力を利かせるため生存能力は高い

【人物背景】
 ミョウジョウ学園10年黒組出席番号13番。一人称は「晴」
 黒組の暗殺対象となった少女。明るく天真爛漫な性格で自身がクラスメイトたちに命を狙われていても臆することなく皆で一緒に卒業しようと笑顔で接する芯の強い心の持ち主。

 彼女は世界を影から支配する一族の傍流であり、生まれた時から常に命を狙われ家族は彼女を守るために犠牲となった。
 彼女の全身に刻まれた無数の傷痕がその生い立ちの壮絶さを物語っている


【方針】
 極力戦闘は避けて生還の方法を模索する。
 皆で生還したいため殺人はしたくないが、殺人という行為への忌避感は一般人より薄い。