神峰翔太&キャスター◆Gc3b00.81E


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音楽とは、原初の力である。



   *   *   *



「神峰ー!」

月海原学園の廊下で女生徒に呼び止められる少年が一人。
彼の名は神峰翔太。
ここ月海原学園の一年生で、吹奏楽部に所属している一見どこにでもいる少年だ。
だが1つ普通と違うのは……彼には特殊な力がある。

――神峰翔太には心が見える。
正確に言えば声が彼の共感覚(シナスタジア)を通じて、擬人化したハートに見えるのだ。
今も目の前の少女の胸の中央――心臓辺りに、そのビジョンが見える。
だが……

(何なんだ……何なんだ、この心は!?)

翔太の瞳に映るその心は異常であった。
擬人化されたハートが『TV画面の中に収まっている』のだ。
ハートは見える、感情もある。
だがそれがまるでTV画面で再生されているかのような――そんな、声をしているのだ。

こんな心は今まで一度もなかった。
これが一人なら変わった心の持ち主だと自分に言い聞かせることもできただろう。
だが――自分以外のみんなが、視界に映る生徒たち全てが、その状態であった。

「なー、吹奏楽部を取材させてくれよー。
 中々お前のところの部長が首を縦に振ってくれなくてさー」
「あ、ああ……」

自分に話しかけてくる日に焼けた肌の少女。
確か新聞部所属のクラスメイトだっただろうか。
勿論この少女の心も『モニタ越し』に見えている。

「なんだよ、気乗りしねーって顔だなぁ」

こちらを訝しんでいるようすが、モニタ越しに見える。
まるで『そうすることを定められた』プログラムのようだ。
こちらのリアクションに対し、反応を返す……まるでビデオゲームのような。
それを確かめるために翔太は口を開く。

「なぁ……ウチの部長ってなんて名前だっけ」
「おまえなー、自分のところの部長ぐらい覚えておけよー。■■■■だろー?」

違う。
何が違うとは具体的に言えないが、その名前にとても強い違和感を感じる。

「……打楽器のパートリーダーは?」
「おやぁ、アタシを試してるのか? 受けて立つぜぇー? 誰にも細やかな対応をする■■■先輩だろ?」

違う。
自分が先導して皆を引っ張る、雷のような力強い音だったような気がする。

「……トランペットパートのリーダーは?」
「おお、確か女だてらに豪快な■■■■先輩だよな?」

違う。
暴君のような、しかしそれでいて繊細な心を持つ音だったような気がする。

「……サックス奏者は?」
「なぁ……お前、大丈夫か? ……お前の親友の■■■だろ?」

ああ、――俺はこの違和感に、とてもじゃないが耐え切れない。

「あっ、オイ! 神峰!」

背中に女生徒の声を受けながら、翔太はその場から逃げ出していた。

目に映る全てが出来の悪い書割のようだ。
耳に聞こえる全てが不快な雑音のようだ。
すれ違う生徒たちが何事かという表情をして自分のほうを見ている。
なのにその心はTV画面に写った偽物のビジョンとしてしか翔太には感じられない。

自分の感じる世界が、いつもと違う。
彼を襲う、自分だけが異分子のようなこの孤独な感覚。
まるで昔に戻ったみたいだ。

(――待て、昔? 昔っていつだ?)

音楽室/掃除/見覚えのない木片。
バチバチと断片的な記憶が脳を焦がす。
だが真理には至らない。
届くようで届かない、そのもどかしさに気が狂いそうになっている。
自分の感じる全てが良く出来た偽物で、自分自身すらもその中に埋没していく……そんな薄ら寒い恐怖が周囲から襲いかかってくる。

(誰か、誰でもいい! 誰か俺に、"本物"を――見せてくれ!)

その時だった。
翔太の耳を震わせたのは、電子の旋律――エレキギターの音色だった。

「――――」

言葉を失った。
繊細かつ大胆なメロディライン。
心臓を震わせる力強いビート。
若さゆえの情熱と、老獪な技巧が入り混じったプロフェッショナルの音。

そして共感覚を持つ翔太の目に映るのは圧倒的な青空のビジョン。
どこまでも澄み渡った、かつ複数の感覚が体の中から弾けるような、今まで感じたことのない鮮烈な感覚。

それはまるで全身を熱く燃やす紅蓮の業火のようで。
それはまるで淀むこと無く流れる清純な水のようで。
それはまるでどこまでも駆け抜けていく風のようで。
それはまるで決して動じることのない大地のようで。

何よりもその音は強烈なまでに"生きていた"。
この世界のどの人間よりも、いや、むしろこうしている翔太自身よりも命の輝きに満ち溢れた、飽くなき生へのエネルギー。
その声に応えるように、全身の細胞が燃えている。
ああ、世の中にはこんな音があったのか。

気づけばまるでその音に導かれるようにして、翔太は全力で屋上へと駆け上がっていた。
ところどころ錆びた屋上へと続くドアを乱暴に開けた先、屋上にいたのはエレキギターを抱えた一人の男だった。
炎のように逆立った髪に丸メガネ。
彼はただ、一心不乱に大空に向けて歌声を張り上げている。

視線をちらりとこちらに向けるが、その心は翔太の方をを向いていない。
ただ一直線に、ここではないどこかを見つめ続けている。
そしてその心はTVモニタ越しではない、生の色を持っていた。

「なぁ……あんた……」

『アンタは誰だ』『ここはどこなんだ』『どうしてアンタは他のやつと違うのか』『そもそも俺はおかしくなってしまったのか』……いくらでも聞きたいことはあった。
だが口をついて出たのは全く別のことだった。

「アンタのその音――スゲェよ……!」

体の奥底から熱くなってくるような強烈なサウンドだった。
"あいつら"ともまた違う。
全身から力が溢れるような音という力の本流を見た気がした。

「もっと……もっとだ! アンタの音を聞かせて……く……れ……」

そのまま神峰翔太はバタリと倒れた。
三日間何も食べていなかった所に、いきなり豪勢な料理を食わされたようなものだ。
つまり、音に当てられて気絶したのだ。

だが、成果はあった。
神峰翔太の右手にはマスターである証、令呪が刻まれている
彼が本物と偽物の違いを強く認識したせいで、偽りの世界から開放されたのだ。

そんな少年をギターを持った男……キャスターは抱き起こす。
その顔には笑みが浮かんていた。

「へへ……どんなやつかと思ったらおもしれぇ奴じゃねぇか」

最初は呼ばれたところで乗り気ではなかった。
戦いなんてくだらねぇ。
それよりも歌うほうが熱く、心を震わせられるのに。
だからマスターなんざ無視して、遥か宇宙の果てから来たというアーク・セルに歌を聞かせていたのだ。

だが今倒れているコイツは心を震わせる、熱い衝動に従った。
そして俺に熱いハートを叩きつけてきた。
コイツがマスターなら、なにか面白いことが起きるかもしれない。
作り物の青空に向かって、キャスターは大声を上げる。

「さぁ、今日こそ動かしてやるぜムーン・セル! そしてアーク・セル! ――俺の、俺達の歌を聞けぇ!」


【クラス】
キャスター
【真名】
熱気バサラ@マクロス7
【パラメーター】
筋力E 耐久D 敏捷E 魔力E 幸運A 宝具???
【属性】
混沌・善
【クラススキル】
  • 陣地作成:-
 魔術師として自らに有利な陣地な陣地「工房」を作成可能。
 根っからの風来坊であるキャスターは陣地作成が不可能である。

  • 道具作成:-
 魔力を帯びた器具を作成可能。
 キャスターは演奏者であるがゆえに道具を作成できない。

  • 道具調達:D
 『道具作成』の代替スキル。
 自身のアコースティックギターとエレキギターならばどこからとも無く調達可能。
 たとえそれが破壊されたとしても瞬時に調達できる。
 ただし鈍器や盾として使用するなど楽器以外の用途で使用した場合、このスキルは消滅する。

【保有スキル】
  • 楽器演奏:A+
 楽器を演奏する能力。
 A+ともなれば歴史に残る名演奏が可能である。

  • 楽曲作成:EX
 力を持った楽曲を作成する。
 楽曲は原初の力を持ち、世界を動かす力となる。
 EXレベルともなると"歴史を変えた"ほどの楽曲を作成したことがある。
 異次元生命体である"プロトデビルンとの和解"を歌によって成し遂げたキャスターはそれに該当する。

  • 単独行動:E
 マスターからの魔力供給が無くなったとしても現界していられる能力。
 単なる放浪癖である。

  • 騎乗:E
 本来なら演奏しながら高難易度の機動マニューバをこなすことすら可能。
 ただしキャスタークラスで召喚されたため、騎乗スキルは弱体化している。
 バイク等の一部のマシンに騎乗が可能。

  • 音楽馬鹿:A
 四六時中音楽のことを考えている。
 同ランク以下の精神汚染を無効化するが、自己の都合を優先する傾向にある。
 つまりかなりの我儘。


【宝具】
  • 炎舞う魂の鼓動(ファイヤーボンバー)
 ランク:C~A+ 種別:対人宝具 レンジ: 最大補足:1~10人
 強力なバフ・デバフ効果を持つ"力ある歌"を演奏・歌唱することができる。
 効果は歌いづづける限り継続する。
 また保有スキルである『楽曲作成:EX』によって曲目が増加する可能性がある。

  • MY SOUL FOR YOU
 恐慌状態などの特殊な精神状態を解除する。

  • SEVENTH MOON
 スキル:直感を一時的に取得させる。
 また幸運のステータスを一時的にランクアップさせることが可能。

  • PLANET DANCE
 スキル:対魔力を一時的に取得させる。
 また魔力のステータスを一時的にランクアップさせることが可能。

  • 突撃ラブハート
 スキル:勇猛を一時的に取得させる。
 また筋力・耐久・敏捷のいずれかを一時的にランクアップさせることが可能。

  • HOLY LONELY LIGHT
 敵ステータスの一部をランダムで一時的にランクダウンさせることが可能。

  • 炎舞う真紅の翼(ファイヤーバルキリー)
 ランク:A 種別:対軍宝具 レンジ: 最大補足:100人以上
 キャスターもう一つの宝具。
 自身の持つ歌スキルを対人から対軍宝具へと変化させる。
 しかし騎乗スキルA++が必要であり、また召喚スキルは消えているため顕現させることすら不可能。

【weapon】
  • アコースティックギター
 何の変哲もないアコースティックギター。

  • エレキギター
 アンプ無しでも音が出る不思議なエレキギター。

【人物背景】
『マクロス7』主人公。
ロックバンド「FIRE BOMBER」のギター兼ボーカル。
自分の歌と音楽に対する並外れた情熱を持ち、規則に縛られること・他人の命令を効くこと、そして暴力で解決することを嫌う。

【サーヴァントとしての願い】
ムーン・セルよ! アーク・セルよ! 俺の歌を聞けぇ!

【基本戦術、方針、運用法】
聖杯戦争なんてくだらねぇぜ! 俺の歌を聞けぇ!


【マスター】
神峰翔太@SOUL CATCHER(S)

【参加方法】
詳細不明。
どうも巻き込まれたようだ。

【マスターとしての願い】
帰還したい。

【weapon】
なし。

【能力・技能】
  • 共感覚(シナスタジア)
 複数の感覚を同一のものとして捕える感覚。
 彼の場合は聴覚を視覚として感じる事ができる。
 その特性から望む望まざるにかかわらず、声色を聞くことで相手の心理状態や嘘を見破ることができる。
 ただし心が「見える」だけで「読める」わけではないので解釈を間違えることもある。
 (多くの場合は擬人化されたハートに見える)
 また、その分悪意にも敏感であり、敵意を向けられた場合は体力・精神力ともに大きく消耗してしまう。

【人物背景】
週刊ジャンプからジャンプNEXTに移籍した吹奏楽漫画『SOUL CATCHER(S)』
(ジャンプNEXT vol4は8/18、待望の単行本最新刊第6巻は8/4発売予定)の主人公。

鋭敏な共感覚を持ち、人の心を鋭敏に感じることができる。
その力があっても口下手故に人の心を変えられず、ただ壊れていくのを見ることしかできなかったトラウマから人と関わるのを避けていたが、ひょんなことから超高校級のサックスプレイヤー・刻阪響と出会い、吹奏楽とそれに関わる人々と関わっていくことになる。

先輩には『~ッス』を語尾につけるやや体育会系の礼儀正しい少年。
前述のトラウマから人と関わることを避けていたが、刻阪という理解者を得て前に進むことを選択したあとは、一度決めたら後には引かない強さも表に出てくるようになった。
基本的に相手を理解するために自分が傷つくことになっても踏み出すことのできる優しい性格だが、同じ力を持ちながら人を壊すことに快感を覚える黒条に対しては激しい敵意を見せるなど強い正義感を持つ。
なお女心には鈍感である。

【方針】
死なず、死なせず、ここから脱出する。