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呉キリカ&アサシン ◆Vj6e1anjAc


「いやぁしかし、驚いたよ」
 からからと笑い声を上げるのは、黒髪をショートヘアにした少女だ。
 ネコ科の獣のような金眼には、恐怖や緊張の色はない。この状況下で平然としていられるのは、大した器だと言えるだろう。
「聖杯戦争なんてのもそうだし、まさか私のサーヴァントとやらが、君のような奴だったとはね」
「ああ、それは同感だ。おれだってお前のようなやつと、言葉が通じるようになるとは思わなかった」
 何よりその光景を、異様なものとして印象づけるのは、彼女の傍らに立った存在だ。
 驚くなかれ、ライオンである。
 浅黒い体毛を全身に纏い、緑の瞳を怪しく光らす、雄のライオンがいたのである。
 しかもそれが黒髪の少女と、人間の言葉を使いながら、平然と談笑しているのだ。
 そんな光景が成立するのは、彼らが戦争のルールに定められた、主君と従者の間柄だからだ。
 アサシンのサーヴァント・スカー――この1頭の獅子こそが、呉キリカという少女に与えられた手札だった。
「人間の言葉を話すライオンなんて、どんなサーカスでも見られないだろうねぇ。それも方舟とやらの力なのかな?」
「おれに聞いてくれるなよ、マスター殿。所詮は草原暮らしのけだものなんだ。人間様の文明のことなど、知る由もない」
「まぁいいか。大事なのは君が強いかどうかだ。そこのところはどうなんだい?」
「知恵比べなら自信はあるが、直接戦えと言われれば……まぁ、まず勝ち目はないだろうな。
 神にも悪魔にも縁遠い身だ。ライオンの領分以上のことはできん」
「なーんだ、そうなの」
 果たして知恵比べというものは、その「ライオンの領分」に当たることなのだろうか。
 それだけは気になったものの、すぐに落胆の方が勝った。
 一応キリカは魔法少女なのだから、自分で戦うこともできる。
 しかしそれでも、サーヴァントとのタッグを組めた方が、より勝利は確実なものとなったはずだ。
 それがかなわないとなれば、どうしてもがっかりしてしまう。
「おいおいそう落ち込むなよ、マスター。爪と牙が役に立たずとも、頭を使えば勝機はある。
 他の参加者は大勢いるんだ。だったらそいつらを潰し合わせれば、おれが弱くとも問題はあるまい?」
「潰し合わせる? そんなことができるのかい?」
「ちょっと頭を使えばいい。人の心を操ることなど、コツさえ掴めば簡単なことだ」
 本当にそんなことができるのだろうか。
 自信げに語るアサシンの言葉に、キリカはすっかり聞き入っていた。
 ライオンが人を操るなど、眉唾ものとしか思えなかったが、なるほど確かに、こいつは非常に口が上手い。
 こうして耳を傾けていると、あるいはそんなことすらも、可能なのではとすら思えてくる。
「まぁそっちはおれに任せておけ。おれはマスターの忠実な下僕だ。
 言うとおりにしていれば悪いようにはしない。必ず聖杯をプレゼントしてやるとも」
「そうだね……まぁ駄目で元々だ。君に任せてみることにするよ」
 上手くいったらお立ち会い。駄目なら自分で戦うまで。
 元より自分は考えるのが苦手だ。だったらここは無い知恵を絞るより、アサシンに賭けてみた方が気も楽だろう。
(待っててね、織莉子。必ず聖杯を持って帰るよ)
 そう心に決心を固め、キリカは行動を開始した。
 実のところ、彼女には、聖杯を使うつもりはなかった。
 願望器の力を必要としているのは、自分ではなく友人の方だ。
 ここにはいない親愛なる友――世界の救済者・美国織莉子。
 世界を滅亡から救わんとする彼女には、聖杯の願いを叶える力が、きっと助けになることだろう。
 どうせ自分が使おうとしても、大金や山盛りのお菓子くらいしか、願いのレパートリーはないのだ。
 だったら自分が使うより、相応しい使い手の元に持ち帰って、プレゼントした方が万倍いい。
 忠実なる愛の下僕・キリカは、獣の従者を伴って、愛する者のために歩みを進めた。


(ふふん、せいぜい図に乗っているがいい)
 そしてそんな背中を見つめて、内心で笑う獣が1頭。
 傷のある目元を妖艶に歪め、嘲笑するかのように見送るのは、アサシンのクラスを冠した獅子だ。
(今はお前に従ってやる。だが然るべき時が来たら……その時に笑うのはこのおれだ)
 アサシンはこのキリカという少女に、聖杯をくれてやるつもりなど毛頭なかった。
 自分にも願望器にかける願いがあり、故に聖杯を使うべきは、マスターではなく自分だと考えていたのだ。
 令呪とやらが自分を縛る限り、キリカを殺すことは許されない。
 それに魔力の供給源を殺せば、自分は体を維持することもできず、立ちどころに消滅するだろう。
 だからこそ、動くべきは最後の最後だ。
 言葉巧みにキリカを騙し、奴が願いを言うよりも早く、自分の願いを聖杯に告げるのだ。
(そしておれは王として、再びプライド・ランドに返り咲く……そうとも、今度こそは上手くやるさ)
 生前追い落とされた地位を、聖杯の力で取り戻す。
 生意気な甥っ子を抹殺し、あのプライド・ロックの頂に、もう一度自分が上り詰める。
 確かに振り返ってみれば、生前の統治は失敗だった。
 甥のシンバを殺し損ねたことも、ハイエナを野放しにしたこともそうだ。
 特に後者はよくなかった。無軌道な馬鹿共の食欲は、たちまち大地を枯れ果てさせてしまった。
 しかしもう一度やり直すからには、二度と愚行は犯さない。自分を殺した裏切り者など、まとめて処分してしまえばい。
(まぁ、確かにおれに力はない。それでもやりようはいくらでもある)
 そしてその願いを叶えるためには、まずこの聖杯戦争を勝ち抜くことだ。
 確かにアサシンたるスカーは、英雄でも神でもないただのライオンである。
 その上老いた身とあれば、直接戦闘で生き残ることは、到底不可能と言っていい。
 だとしても、アサシンに不安はない。
 そんな絶望的な状況だろうと、全く気後れしていない。
(要は余計な戦いなど、残らず捨ててしまえばいい。必要なのはただの一撃……マスターの喉を裂く爪の1本だ)
 アサシンのクラスの基本戦術は、その名の通りの暗殺である。
 相手に気づかれることなく殺す――そのために特化したスキルを駆使し、サーヴァントとの戦闘を避け、直接マスターを抹殺する。
 そしてそれを行うための準備は、もちろん彼にも備わっていた。
 それが他者を利用するための話術であり、彼に授けられた宝具だ。
 対獣宝具「偽・百獣の王(キング・オブ・プライド)」――NPCの獣を洗脳し、支配下に置くための宝具。
 同時に最大50もの動物を、意のままに操ることを可能とする力だ。
 さすがに戦力としてはあてにならないが、小回りが利く上、外から判別もつかない分、使いようはいくらでもある。
 偵察によし、誘導によし。人間であるマスター相手なら、とどめの一撃に使うもよしだ。
(ハイエナを操れないというのは、少しばかり気に食わんがな)
 もっともこの宝具にも弱点はある。ハイエナを含むイヌ科の動物には、効力を発揮しないのだ。
 しかしこの方舟にいるのは、何も犬に限っているわけではない。
 他の動物が使えるのなら、その穴くらい埋めることは容易だ。
(ともあれ、王たる者はこのおれだ。他の奴らに聖杯は渡さん。
 最後に聖杯の前に立つのは……はは、他の誰でもないこのおれなのだ)
 高笑いを上げたくなる衝動を、必死に抑え込みながら。
 野心を己が胸に隠して、アサシンはマスターに付き従う。
 全ては真の王として、あの月に君臨するその時のため。
 万能の願望器の前に立ち、その時にこそ笑うため、アサシンは今はただ静かに、策謀を張り巡らせていた。


【マスター】呉キリカ
【出典】魔法少女おりこ☆マギカ
【性別】女性

【参加方法】
『ゴフェルの木』による召喚。美国邸の庭園にたまたま木があった

【マスターとしての願い】
自分で聖杯を使うのではなく、織莉子にプレゼントしたい

【weapon】
ソウルジェム
 魂を物質化した第三魔法の顕現。
 千歳ゆまを始めとする魔法少女の本体。肉体から離れれば操作はできなくなるし、砕ければ死ぬ。
 濁りがたまると魔法(魔術)が使えなくなり、濁りきると魔女になる。聖杯戦争内では魔女化するかどうかは不明。

【能力・技能】
魔法少女
 ソウルジェムに込められた魔力を使い、戦う力。
 武器は鉤爪で、劇中では主に3×2=6本の爪を展開して戦っていた。
 固有魔法は速度低下。有機物・無機物問わず、あらゆるものに対して発動が可能で、対象の運動速度を低下させられる。
 劇中では魔女結界にこの魔法をかけ、消滅を遅らせるなどしていた。
 反面、攻撃に魔力を割きすぎると、この魔法の制御が難しくなり、視認できる範囲にしか効果を維持できなくなるという欠点がある。
 必殺技は爪を投擲する「ステッピングファング」、膨大な爪を盾に連ねて叩きつける「ヴァンパイアファング」がある。
 爪とキックを交互に繰り出す、アクロバティックな戦闘を得意としている。

【人物背景】
魔法少女・美国織莉子の友人にして、忠実な下僕。
世界を滅ぼす魔女の出現を防ぐため、その元となる魔法少女を殺すべく暗躍している。
キュゥべえの目を逸らすために、他の魔法少女を次々と殺害しており、高い戦闘センスを持っていると推測される。

明るく社交性の高い少女だが、全ての価値判断は、あくまで織莉子最優先。
織莉子に捧げる「愛」を神聖視しており、半端に口出ししようものなら、激昂し物凄い勢いでまくし立ててくる。
戦闘中にも狂っているかのような言動が多く、対戦した巴マミからは、「壊れている」と評されていた。
もっとも、何もない時には、冷静に戦況を分析したりもしており、全くの狂人というわけではない。

本来は過去のトラウマから、人間不信に陥っていたこともあり、他人と打ち解けられない内向的な性格だった。
しかし、偶然織莉子と出会った時に、彼女に惹かれる何かを感じ、彼女に声をかけられるようになるため契約。
「違う自分に変わりたい」という願いで、現在の性格へと変貌を遂げた。
この時「変わる前の自分」が持っていた願いを忘れてしまったのだが、この聖杯戦争に参加した時点では、何らかのきっかけにより思い出している。
本人はこの契約に対して、「織莉子を自分のウソに付き合わせた」と語っており、ある程度の負い目を感じていたものと思われる。

【方針】
優勝狙い。細かい作戦はアサシンに任せてみる

【クラス】アサシン
【真名】スカー
【出典】ライオン・キング
【性別】男性
【属性】混沌・悪

【パラメーター】
筋力:D 耐久:E 敏捷:D+ 魔力:E 幸運:E 宝具:C

【クラススキル】
気配遮断:B
 サーヴァントとしての気配を断つ。隠密行動に適している。
 完全に気配を絶てば発見することは非常に難しい。

【保有スキル】
話術:B
 言論にて人を動かせる才。
 国政から詐略・口論まで幅広く有利な補正が与えられる。
 弁論において、窮地にあっても挽回の可能性を手繰り寄せる。

心眼(偽):B
 直感・第六感による危険回避。
 視覚妨害による補正への耐性も併せ持つ。

カリスマ:E
 軍団を指揮する天性の才能。統率力こそ上がるものの、兵の士気は極度に減少する。

【宝具】
『偽・百獣の王(キング・オブ・プライド)』
ランク:C 種別:対獣宝具 レンジ:1 最大補足:50匹
 一時とはいえ、プライドランドの王として君臨した、その生き様が宝具と化したもの。世にも珍しい対獣宝具。
 NPCの動物を、話術をもって洗脳し、自らの一部として操ることができる。
 サーヴァントの一部であるため、他のサーヴァントを攻撃できるだけの神性も付与される。
 ただしスカーの王としての器は、名君と呼べるほどのものではなく、その効力は半減している。
 (然るべき王者が『百獣の王(キング・オブ・プライド)』を備えていた場合、操れる最大数は100匹となる)
 また、スカーはハイエナに恨まれながら死んでいったため、同じイヌ科の動物を操ることはできない。

【weapon】
なし

【人物背景】
サバンナに存在する動物達の王国「プライド・ランド」の王族で、ムファサ王の弟でもあった雄ライオン。
狡猾な野心家であり、王の地位を狙っていたのだが、ムファサに王子・シンバが生まれたことによって、王位継承のチャンスが遠のいてしまう。
これを快く思わなかったスカーは、蛮族であるハイエナ達と結託し、ムファサを暗殺。
シンバをも始末するよう仕向けたことにより、ムファサの王位を継承し、プライド・ランドを治める暴君となった。
しかしシンバは生きており、成長した姿でプライド・ランドへと舞い戻ってくる。
スカーは敗北しプライド・ランドを追いやられ、
最期には「ハイエナが全てを企んだのだ」と言い訳したのを聞かれていたことがきっかけとなり、そのハイエナ達によって殺されてしまった。

獣でありながら策を弄し、身内の殺害にまで及んだ、狡猾さと残忍性を併せ持つ反英霊。
その悪知恵と人心掌握術は獣の領域を超えており、他種族であるはずのハイエナの群れを、意のままに操ったと言われている。
反面、彼らを継続的に管理することは難しかったらしく、プライド・ランドを荒廃させており、王の資質はややマイナスに傾いている。
本人の戦闘能力は、ただのライオンであることもあり、ライオンなりのものしか持たない。
そもそも生前にムファサに対して、「爪と牙を使った戦いではムファサに勝てない」と語っており、
あまり力には恵まれていなかったものと考えられる。

【サーヴァントとしての願い】
プライド・ランドの王として再び返り咲く。そのためにキリカを利用する

【基本戦術、方針、運用法】
さすがに人間よりは強いが、本人の戦闘能力は底辺に近い。
そのためマスター自身や、宝具で操ったNPCを利用し、敵マスターを暗殺するのが基本方針となるだろう。
更には生前の手並みもあり、他のサーヴァントと同盟を組んで、ライバルを減らすよう仕向けるという選択肢もある。
アサシンでありながら自ら手を汚さず、手駒を使って相手を追い詰めるという、珍しい運用法を要求するサーヴァントである。