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末‐apocalypsis‐世 ◆HOMU.DM5Ns



私達はあらゆる人間に平等な世界をもたらす為
未来を読んで世界を運営する
配点(世界の滅び)
――――――――




「――――――ふぅ」

「大丈夫かね」

「心配無用だ。まだ保ちはするさ」

ソファに座るなり、正純は大きく息を吐いた。
背を包む柔らかい質感にそのままもたれかかりたい衝動に駆られるのがなんとか耐えた。
眠気も疲労も限界だが、今すぐ眠りこけるというわけにはいかない。

対面のソファに座り労いをかけるのはシャアだ。
正純達は飛行船をハイアットホテル付近で霊体化した後、シャアが予約しているフロアに戻っていた。
自宅やシャアの自宅に寄る選択肢もあったが、ここは一時の仮住まいだ。引き払うのも容易と考えた故だ。

「傍観者の立場を取っていた身で恐縮だが、よくもあの局面を切り抜けられたものだな」

「気にする事はない。それを望んだのは私の方だ」

「そうだな。君の交渉人としての手並み、しかと拝見させてもらった」

……協力を拒んでおいて、これ以上失点は見せられないものな。
一度引き入れた側として正純は有用性を示し続けなければならない。
シャアは最後までルーラーとの交渉に介入しないでくれた。
それは正純の、正純の能力への期待と信頼だ。裏切るわけにはいかなかった。

「さて。危うくもあったが、これで君達と私達は聖杯に対し明確な方針を示した事になる。
 しかしルーラーを救うというが、具体的に何を成すかのプランはあるのか?」

シャアの言う通り、ひとまずだが窮地は脱した。
ルーラーと対峙しながらも敵に回さず、論を折られず、こちら側に正はあるという"解釈"を打ち立てる事ができた。
しかし理解している。こんなものは氷山の一角でしかない、
時を進める度、場を重ねる毎、次々に障害は表れるだろう。

「基本的には今までと変わりない。交渉で同志を増やし、戦力を集める。
 必要なのは、"我々に聖杯戦争の動きに干渉できる力があるか"という証明だ。
 聖女を救うというのは、従来の指針に新たな方向性を加える意味での裏付けの意味もあるのだからな」

座る姿勢を正し、正純は続ける。

「聖杯と戦争をしよう、などというのは我々ぐらいしかいないにしても、無理に連れ込まれた者なら少なからず反抗は持っていて然るべきだ。
 そんな者達を聖杯に対抗する集団として一丸にまとめる。
 身の保証や元の世界の生還などを条件に説得して陣営に引き入れ力を着ける」

裁定者に収まる聖女を解放するという旨の声。
動かすに足る動機だとシャアは思う。
裁定者というシステムの改変。それはマスターが方舟に対し干渉を可能にするという正純の"解釈"にも現実味が出てくる。
それを以て、戦いを未然に収束させる未来への光も差すのだ。
しかし理想ばかりが先行し足元の闇に気付かぬまま進むようであれば、徒に混沌を生むだけだ。
そうした時代のうねりを知るシャアでなくとも、誰しもが分かる事だろう。

「考えはある。危険もあるし、細かな軌道修正は必要となるだろうが……無理やりシステムを改竄するよりは、
 ルーラーの存在が無意味になるような展開に持ち込む方が効果的だと私は思っている」

理想は折り合うのは困難な事だ。正純もそれは知っている。
無理だ。不可能だ。諦めるしかない。それが共通の見解だろう。シャア宇宙の争いの節目に何度もその問題を前にした。
だが―――正純にとってのそれは困難なだけだと捉えるものだ。
難しい。大変だ。手間がかかる。そんなものは当然だとしている。
それは強大な武器であり―――同時に危うい弱点でもある。

「……夜も深い。一端ここでお開きとしよう。
 戦いはこれからも続く。話す議題は多いが、今は体を厭いたまえ」

「……その通りか」

戦闘。同盟。交渉。相対。
濃厚な時間だった。
最初の夜から僅か一日とは思えないほど多くの出来事が起きた。
今後についての話し合う内容は尽きないが人は無限永久に動けはしない。
今は気力で堪えられても、その気力は削がれればタガが外れたように一気に落ちる。
明日起こる新たな戦いに祭し少しでも万全を期するためにも、ここで腰を下ろすのは間違いではあるまい。

「何となれば一緒に来るかね?ここでなくとも部屋は貸せると思うが」

「……ご厚意感謝するがそれには及ばない」

……女子高生を自室に連れ込む議員とか事案すぎるだろう……。
分かってるんだろうか。分かってるとは思うが……たぶんそういう発想に行き着かないんだろうなあ。
未来人ゆえの感覚の違いなのだろうか。正純は訝しんだ。



「これが、聖杯戦争――――――ではないんだろうな」

……聖杯に挑む組とかそう何度も出てきやしないだろうなぁ。
そんな風に考えてると、台所で作業をしていたアーチャーがトレイを持って出てきた。

「お茶を淹れたわマスター!飲むでしょ?」

「ああ、ありがとう」

慣れた所作で湯気の上がるカップをテーブルに置き、それを手に取るシャア。
……なんだこの所帯じみてる感じは。
やっぱ危ない人なのかなぁと忘れかけていた危機感を感じ始めた正純の前にも、同じカップが丁寧に置かれた。

「あなたもお疲れ様!頑張ったわね!」

「あ、あぁ。ありがとう」

受け取ったカップを口につけ傾ける。
……口内を満たす柔らかい甘さ。温かさが固くなっていた体をほぐすのが感じられる。
そこにきてようやく正純は、自分の喉の渇きを自覚した。

「ゆっくりしていってね?おかわりあるわよ?」

最初の交渉に始まり今に至るまで、アーチャー個人とやり取りをした事は無かった。
子供らしさはあるが自己主張をせず常にマスターを立てる、出来た娘という印象だったが……こんな表情もできるのか。

「大変よねあなたも。あんなに必死な交渉って初めて見たわ」

どこか、その目は正純ではなく遠い郷愁に思いを馳せるような目をしていた。
艦娘であるアーチャーにとって祖国とは造船所のある場所である。
戦争に敗北した国。シャアや正純の両名にも無縁の繋がりではない。

「最初は聖杯と戦争するだなんて言うからどうしようと思ったけど……
 聖女を助ける……うん、さっきのは素敵な言葉だったわ。
 敵を倒すんじゃなくて、誰かを助ける。そういう戦いなら―――私も頑張れるもの。
 もちろん一番はマスターだけど、これからはあなたも私をいっぱい頼っていいわよ!」

小さく胸を張り、花咲く笑顔を向ける。
戦場にあって敵の兵を救う逸話を持つ軍艦は、正純の意思を善しと認める。
一見頼りなく見えても彼女は魂ある英霊だ。頼もしい支持者を得た正純の中に新しい感情の萌芽が生まれ出す。

……いや、耐えろ。耐えるんだ正純。ここで言葉では言い表せない「ときめき」のようなものを感じてしまえば敗北だ。もう帰ってこられなくなるぞ!
光の向こうで手を広げて見覚えのある顔が広い男が迎えに来ている。
くそ、そんな「ついに生命礼賛の同志を見つけましたよ!」みたいな目で見つめるのはやめろこのロリコン……!



「失礼―――おや、お楽しみだったかな副会長?」

「は……っ!?」

第三者の声で我に返る。
冷や汗と共に未知の感情も流れ落ちてくれた。

「いや何でもない。それと助かったライダー」

「何もないのに助かったとはおかしなものだ。まあ感謝は貰っておこう。
 ルーラーと引き合わせてくれた事についてはこちらが感謝したいところだ。彼女は実にいい敵になれそうだった」

不穏な発言をするライダーに、その時かける声があった。
部屋に入るなりライダーが籠もっていた別室から現れた、痩せぎすの男だ。

「少佐ー、頼まれたもの持ってきましたよー」

「おお、ご苦労ドク」

当然だがシャアが招いた者ではない。
ホテル屋上での『中尉』のように、ライダーが宝具で呼び出した配下だろう。

「もう苦労しましたよ。他の人に運ばせればいいじゃないですか」

「はははすまない。だが我々もからっけつでね。そこは割り切りたまえ」

「……ライダー、何故、彼をここに?」

博士(ドク)と呼ばれた男。
多重レンズ付きの眼鏡で目線を隠し、血に汚れた白衣は、見事にマッドサイエンティスト然としている。
呼び名からして恐らくは技術系の役職だろうとあたりをつける正純だが、今はそんな役を必要とした憶えはない。
そもそも、彼を呼び出す為の魔力はどうやって徴収したのか?

「先ほどの令呪の命令があるだろう。実はあの際に人員をギリギリまで切り詰めていてね。
 ルーラーから完全な撤退が為される間に、彼を招いたというわけさ」

「そういえば……確かに内部の人は殆どいなかったな」

召喚した飛行船は魔力と目立つ都合により撤退後に即座に引き払っていた。
僅かな間しか中にはいなかったが、それでも閑散としていたのは憶えている。
令呪の効果が完全に失効されるまでの時間に、一体分の召喚を滑り込ませたというわけだ。

「中を見たまえ、アズナブル氏、そしてアーチャー」

指を揃えた手を出てきた部屋に向け促すライダー。
名指しされたシャアは立ち上がり、アーチャーもシャアを守るように前に立ち、中に置かれているそれらを見た。


端的に言ってそこは物置だった。
蒐集家がとりあえず集めた物品を適当なスペースに放り込みそのまま年月が過ぎてしまったような雑然な部屋。
ドラム缶に詰められた油とオイル。
ケースにも入れずばら撒かれた銃弾火薬。
ボーキサイト鉱石から鉄板の破片まで。倉庫というより墓場と言った方が適切な具合だ。

「これって……資材?」

誰よりも反応したのはアーチャーだった。

「お目が高い。流石はアーチャー」

アーチャーの呟きに応と言うライダー。

「知っての通り私個人は戦いには向かなくてね。配下を出すにも先立つものがないため軽々には使えない。
 実質戦えるのがお嬢さん一人では心もとなかろう。
 ゆえにせめてもの援助と思ってね。この通り、戦力は出せなくとも物資を出す分ならお安い御用さ」

少女にして軍艦の御霊であるアーチャー、雷。
その身は構成する魔力のみならず現実の軍艦に使用される資源によっても強化が可能という性質を持つ。
戦力はないが財力は有り余るほど持っているライダーは確かに適切な組み合わせだ。

しかしここに問題がひとつ浮上する。
シャアもアーチャーも、まだライダーにはそれを教えた憶えはない、という点だ。

「あなた、私の真名を……?」

「先の蟲との戦闘で見せた武装。戦争の武器には私も鼻が利く。
 駆逐艦の装備を背負う少女となれば、特定の幅は大きく狭まるというものさ」

伊達ではなかった、という事だ。
戦争の英霊。シャアと初めての会談の際ライダーは自らをそう称した。
武装を見せるのはサーヴァント戦で真名を得るのに第一の情報。しかしそれのみで特定に至るには平行世界に及ぶ英霊の数は膨大に過ぎる。
それを補い結論づけたのはライダーの戦争に対する並々ならぬ知識。そして狂気あってこそ。

―――やはり、油断ならない相手だ。
奇しくも正純と同じ感慨をシャアは抱いた。

「マスター……?」

「ライダーや正純の言った通り、戦力の補充は我々にとっては急務だ。
 力がなくば抵抗の資格すらもない。ままならぬものだがな。
 物資の補給、有り難く受けよう」

シャアも、そして正純も抑止としての力の保有には是認している。
提案についてのみならこの状況で、ライダーからの補給は渡りに船だ。
懸念はある。しかしライダーの戦争への熱意は本物だ。この点については逆に信頼できるものがある。

「では好きに厳選するといい。あぁ資材だけでなく武器の類も置いてあるぞ?戦艦の主砲だってある。そこでドクの出番というわけだ。
 用向きがあれば何なりと申し付けてくれ」

「ではそうしよう。ついてきてくれアーチャー。君の意見も参考にする」

「わ、わかったわ」


そうして、彼らの一夜が終わった。
聖杯に挑むという、方舟に集う誰よりも特異な在り方。
しかし紛れもなく彼らは戦争を経ていた。
命を懸け、命に臨む。死を厭い死に懸けんとする。
その姿は紛れもない戦う者の証。
人の歴史の運営に相応しき魂だ。
戦争を行い戦争を知り戦争を喜び戦争を嫌い戦争を目指し戦争を終わらせる。
どこまでも人の身であり続ける業の者の日が、今日も続いていこうとしていた。




「ハァハァ……お嬢ちゃん可愛いねぇ。さてどこから改造(いじ)ろうかなあ……」

「な、なにその手つき……なんか嫌らしいわ……ってきゃー!?どこ触ろうとしてるのよ!
 いやー!助けて司令官(マスター)-!」

「ああ暴れないで!大丈夫ちょっとだけ!さきっちょだけだから!フィーヒヒヒヒ!」



「思った通り仲良くできそうで何よりだ。
 彼女と組むと知って以来、ドクが現世(こっち)に来たいとせがんでいてな」

「まさかそれが目的だったわけではないよな……!」



夜が終わる。
新しい朝と共に。









リフレインする。


"聖杯があなた方に伝えた情報―――それに偽りはありません"


聖女が告げた言葉。
ありとあらゆる種の種を抱えた舟が選ぶ人間の魂。
それに偽りがないとするならば。


シャア・アズナブルは地球を汚染させる人類を粛正しようとした。
少佐は末世を超えた世界の何処かの国を壊滅に追いやった。
そして本多・正純の世界は、遠からず世界の滅びが起きると噂されている。


遍く宇宙には破滅の種が蒔かれている。
滅びの後に生まれ、生まれた後に滅びる。次なるステップに踏み出すサイクル。
では"これ"もまた、その大きなうねりのひとつであるとしたら?



ノアの方舟。





種の保存。




、、、、、、、、、、、、、、、
いずれ来たる大災厄から救うもの。





「……まさか、な」

本人すらも気づかぬ呟きは誰も聞き咎める事もなく。
そして数多ある無意味な記録として現象の海に溶けていった……。



【C-6/冬木ハイアットホテル/二日目 未明】
【シャア・アズナブル@機動戦士ガンダム 逆襲のシャア】
[状態]:健康
[令呪]:残り三画
[装備]:無し
[道具]:シャア専用オーリスカスタム(防弾加工)
[所持金]:父の莫大な遺産あり。
[思考・状況]
基本:聖杯戦争によって人類の行方を見極める。
 0.アーチャーを強化し、今後に備える。
 1.本多・正純と同盟を組み協力し、彼女を見極める。
 2.赤のバーサーカー(デッドプール)を危険視。
 3.サーヴァント同士の戦闘での、力不足を痛感。
 4.ミカサが気になる。
[備考]
※ミカサをマスターであると認識しました。
※バーサーカー(デッドプール)、『戦鬼の徒(ヴォアウルフ)』(シュレディンガー准尉)、ライダー(少佐)のパラメーターを確認しました。
※目立つ存在のため色々噂になっているようです。
※少佐をナチスの英霊と推測しています。
※車はちゃっかり飛行船に載せて回収しています。
※少佐から艦娘の強化に使えそうな大量の資材(判断は少佐好み)が譲渡されました。

【アーチャー(雷)@艦隊これくしょん】
[状態]:健康、魔力充実(小)
[装備]:12.7cm連装砲
[道具]:無し
[思考・状況]
基本:マスターに全てを捧げる。
 0.資材によって能力を強化。
 1.シャア・アズナブルを守る。
 2.バーサーカー(デッドプール)を危険視。
 3.正純を信頼。もっと頼ってもいいのよ!
[備考]
※バーサーカー(デッドプール)、『戦鬼の徒(ヴォアウルフ)』(シュレディンガー准尉)、ライダー(少佐)の姿を確認しました。



【本多・正純@境界線上のホライゾン】
[状態]:ひとまず空腹は脱した
[令呪]:残り二画
[装備]:学生服(月見原学園)、ツキノワ
[道具]:学生鞄、各種学業用品
[所持金]:さらに極貧
[思考・状況]
基本:他参加者と交渉することで聖杯戦争を解釈し、聖杯とも交渉し、場合によっては聖杯と戦争し、失われようとする命を救う。
 1.ジャンヌ・ダルクを救うという大義の元、聖杯との交渉をする。
 2.マスターを捜索し、交渉を行う。その為の情報収集も同時に行う。
 3.遠坂凛の事が気になる。
 4.聖杯戦争についての情報を集める。特に裁定者に関する情報が欲しい。
 5.可能ならば、魔力不足を解決する方法も探したい。
 6.シャアと同盟を組み、協力する。
 7.方舟は大災厄から救うもの……?
[備考]
※少佐から送られてきた資料データである程度の目立つ事件は把握しています。
※武蔵住民かつ戦争に関わるものとして、アーチャー(雷)に朧気ながら武蔵(戦艦及び統括する自動人形)に近いものを感じ取っています。
※アーカードがこの『方舟』内に居る可能性が極めて高いと知りました。
※孝一を気になるところのある武蔵寄りのノリの人間と捉えましたがマスターとは断定できていません。
※柳洞一成から岸波白野の住所を聞きました(【B-8】の住宅街)。
※遠坂凛の電話越しの応答に違和感を覚えました。
※岸波白野がまだ生きているならば、マスターである可能性が高いと考えています。
※アーチャー(雷)のパラメータを確認しました。
※ルーラーの役目は聖杯戦争の監督のみではない、と考えています。

【ライダー(少佐)@HELLSING】
[状態]魔力消費(大) 、博士(ドク)召喚中
[装備]拳銃
[道具]不明
[所持金]莫大(ただし、そのほとんどは『最後の大隊(ミレニアム)』の飛行船の中)
[思考・状況]
基本:聖杯と戦争する。
 1.???
 2.通神帯による情報収集も続ける。
 3.シャア及び雷と同盟関係を取る。雷に興味。
 4.ルーラーはいい敵だ。実にいい。
[備考]
※アーカードが『方舟』の中に居る可能性が高いと思っています。
※正純より『アーカードとの交戦は必ず回避せよ』と命じられています。令呪のような強制性はありませんが、遵守するつもりです。
※アーチャー(雷)を『駆逐艦の艦娘』とまで特定しました。



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