絆‐Speckled Band‐ ◆A23CJmo9LE




『話がある……俺様とな』

夜の教会への来訪者。
姿の見えない何者かに対しても、カレン・オルテンシアは冷静に答えた。

「ようこそおいでくださいました。キャスターのサーヴァント…ですね?
 何の持て成しもできませんが、どうか御身を現されるよう。
 お話があるというならば面と向き合うのが礼儀かと思いますよ」

虚空に響いた声に呼びかける。
その要請に数瞬の沈黙が下りたが、すぐに礼拝堂の中央付近に緑色の光が像を結び始める。
骸骨よりも白い顔、細長く真っ赤に光る眼、蛇のように平らな鼻、切れ込みのような鼻腔。
痩せた体躯に黒いローブを纏い、蒼白い蜘蛛のような手をした醜悪な男。

「おお、なんともその通りだな。礼節は尊ばねばならぬ。
 参加者相手に身を潜め続けて、そのようなことまで忘れてしまっていた。
 ましてや“監督役”相手に顔を隠す必要などありもしない」

なんとなく申し訳なさげな――同時に芝居がかった――笑いを浮かべながら姿を現したヴォルデモート。
そして室内を見渡し、懺悔室や奥のスペースにまで意識を向けて、僅かに残念そうにかぶりを振る。

「やはり先ほど出て行ったのは“裁定者”か。あの者とも話したかったのだがな」
「彼女は丁度今しがた職務を果たしに出たところです。
 通達でも申し上げたように出払っていることも多々ありますので。
 …話がある、とのことでしたら私で可能な限り対応しますが」

ルーラーがいなければできないこと、というのもそうそうないだろう。
魂の改竄に一段落付け、窓を閉じて向き合う。

「褒章を受け取りに来たのだ」
「褒章?いったい何の?」

唐突な、無礼ともいえる要求にわずかに目を細める。
思い当たる節となると……大魔王バーンの暴走。
かの闘争においてはランサー、アサシン、バーサーカーに対し令呪による援護をルーラーが行った。ある種の褒章と言える。
しかしもし万一このキャスターがあの闘争に関わっていたとしても、仮面のバーサーカーのように直接対峙しなかった者もいる。
もしそうならかの者同様に、報いるにはあたわずと答えようと決める。

「月海原学園の事件について、よもや知らんなどということはなかろう?」
「爆発事故として報じられた一件の事なら、監督役として真摯に対処を終えたところです」
「うむ、では俺様のマスターの事は?」
「あなたの?ええ、たしか……」

僅かに思考し、思い当たった人物に思わず失笑を浮かべる。

「ケイネス・エルメロイ・アーチボルト。優秀な魔術師でしょうね。ええ、優秀な魔術師……」

優秀なマスターとは限らないでしょうが、とは口にせず思うのみ。
彼の聖杯戦争はいかなるカタチとなろうと、その生涯と同様に滑稽だ。
あらゆる歴史で弟子に触媒を奪われ、挙句にその地位までも取って代わられる。
弟子の想いはそう悪辣なものではないだろうが、それでも傍から見てはそう解釈するのが多数だろう。
掌の上で転がし、舌の上で転がせばさぞや甘露であろうが……それはまたの機会にしなければならない。
衝動を抑えて言葉を促す。

「そう、ケイネスだ。あいつはよく働いていたぞ。
 月海原学園の一教師として、そして神秘に携わるものとして。
 俺様に加えてセイバー、アーチャー、ランサー、もう一騎の蟲の…キャスターか。
 それにランサーに討たれた者もいたな。合計六騎のサーヴァントの関わった騒動。
 その隠蔽に俺様とケイネスもまた奔走したのだ」

苦心した故か、侮蔑するマスターや蟲使いのことを思い返した故か、苛立ったポーズを見せるが……
せいぜい苦労のアピール程度にとどめ、話を続ける。

「俺様は裏から聖杯戦争に関わりないものの記憶を操作し、人払いをかけ、神秘の漏洩を防いだ。
 ケイネスは教師として学園の、ひいてはこの聖杯戦争の治安維持に全力を尽くした。
 他の参加者の尻拭いをした。もっと言うなら貴様ら裁定者たちのサポートをしたのだ。
 ……多少の見返りは期待しても罪ではないだろう?」

キャスターが武功を誇る将のように殊勲を語るのを聞き、改竄した魂のいくつかに僅かな変調があったのを思い返す。
事件の認識についてはともかく、その復興に関してこの主従の影響は決して小さくないだろう。
少なくとも学園の閉鎖などの大事にならずにいるのには、中の魔術師の影響が大きい。
NPCに蔓延する不安を和らげることができるのは、そこに直接触れているものだけ。
その実績は事実。ならばそれに報いるのは

「あなたとそのマスターの協力に感謝を。お二人にはきっと天国への門が開かれることでしょう」

両の手を合わせ、女神像の前で心よりの感謝と祝福を。
修道女にできるのは、それだけだ。

「…………俺様は英霊だ。行きつく果ては天国ではなく英霊の座だぞ」
「主はすべてをご存知です。あなたにもきっと何らかの救いが訪れるでしょう」

憮然とするサーヴァントに対して、小さく笑みを浮かべて答える。
そこにあるのは明確な拒絶の意。
監督役として不用意に特定の参加者に対して肩入れはしない、と。
その意をくみ取ったか、蛇のようにつぶれた鼻を鳴らし、新たな功を約束する。

「なんともしたたかな小娘よ。監督役を任されるだけの事はある。
 よかろう、これまでだけではない。今後も望むのなら俺様たちはお前たちに協力しよう。
 戦闘の痕跡を嗅ぎつけ、抹消し、隠蔽する。
 事前に火種を見つけ出すこともできるだろう。望むなら足も提供する。
 不確定な情報をもとに足で探すよりもよほど効率的だぞ?
 すでに違反者も出ているのだ。不埒者どもを誅するのに俺様の力を使ってみる気はないか?」

今後もよい関係を保っていきたい、そう申し出る。
本題はこちらだ。
褒章をよこせという無理な要求に比べればまだ現実味のあろう提案。
その提案を聞き、カレンは一つの協力関係を思い出す。
そういえばあの男は群像のアサシンを使って、不正に監督役と師匠を繋げていたか、と。
地上の聖杯戦争と違って聖堂協会の助力がない現状、手があれば使いたいのは事実。

「明確な協力関係を築くことは私の一存では難しいですね。
 しかし、違反者やその候補などの情報提供ということでしたらお聞きしましょう。
 学園の闘争をある程度把握しているようですが、学外の情報についてはどの程度信憑性があるものかは分りかねますし、その正確さを計る意味でも」

違反者がいるならば、より正確にその情報がほしい監督役。
違反者も含め、敵対する者を排除したい参加者。
その程度の利害関係は結べるだろうというのは予測した通り。
それ以上踏み込めるかは情報の質によるか。
そう考えたキャスターはシューシューと奇怪な音のような声を発する。
するとそれに引き寄せられたように、教会内にまで一匹の大きな蛇が入り込んできた。
それにはさすがにカレンもいい顔をしない。

「よりによって教会に蛇を招き入れますか」
「俺様のかわいい家族よ。神というのは家族同伴で訪れるのを拒むほど狭量ではなかろう?
 物の分からぬ赤子ですら受け入れるというのに、言葉の通じるこやつめを受け入れんでどうする」

カレンの嫌味を聞き流し、肩に上らせた蛇にまた奇妙なシューシューという音で……呼びかける。
蛇もまたそれに答えるように、キャスターと同じような鳴き声を発する。

「あなた、動物会話のスキルを持ち合わせていたのですか?」
「ステータスに表示されない技能の一つや二つ、持っていてもおかしくはあるまい。
 魔術や剣術くらいなら多くの英霊が習得しているだろう。
 それに言語など訓練次第でどうとでもなる。蛇でなくとも、トロールやマーピープルの言語を操るものくらいならいくらでもおったわ。
 貴様とてこの極東の地の言語やクイーンズ以外にも一つや二つ、話せる言語はあるだろう?
 ………おう、そうか」

最後に二言三言シューシューと加えると、蛇はするすると夜の闇に消えていった。
それを見送り、視線を上げて改めてカレンの方を向く。

「あやつには図書館を見張らせていてな。そこで起きたごたごたの事を聞いていたのよ。
 いくつかの参加者について知らせてきたが、そうだな。
 問題行動と言えそうなのはせいぜいが蒼い剣士と、朱いサーヴァントの闘争くらいか。
 あれは、なんといったか…そう、銃だ。銃を持っていたな、朱い方は。
 朱いサーヴァントは神秘の秘匿など微塵も考えない振る舞いでな、道を壊し、乗り物を振り回し、召喚術を多用し、だ」

朱い外観に、粗野なふるまいに、銃を持ち、召喚術。
それに当てはまるサーヴァントは一騎。
初っ端からルーラーに令呪を使わせた、あの問題児だろう。

「そのサーヴァントは確かに、まかり間違っても優等生とは呼べませんね。
 こちらでもある程度把握しています」
「しかし、あれは恐らくは吸血鬼だろう?“監督役”としてはともかく、信徒としては構わんのか?
 アレが聖杯を手にすることになっても。そもそも聖杯戦争に参戦していても」
「サーヴァントを選んだのは方舟の、ひいては聖杯の采配。
 私のような一修道女が口出しすることではありません」

それをいうならあなただって、聖杯にふさわしいかは怪しいものだ、とは言わないが。
それを読み取ったか、キャスターはにやりと笑う。

「俺様以上にこの戦争を勝ち抜くに相応しいものはいないぞ。
 この格式ある儀式への敬意、その一点においては俺様に並ぶ者はいない。
 ましてや、この儀式の在り方を疑うだの、聖杯の機能を調べるなどという不遜な者などもってのほかではないか」
「誰が聖杯に相応しいのか、いずれそれは分かるでしょう。
 ……他に話がないのなら、私も職務に戻りたいのですが」

参加者へならともかく、監督役と行う情報交換としてはモノが足りない。
監視網や手は多少なり欲しくはあるが、ルーラーの啓示で間に合わなくはない。
つまるところ、このサーヴァントはかの百貌のハサンのように、リスクを負ってまで使うほどではない。

「あとは、そうだな。俺様の持つ、裁定者たちに有用そうな情報はそのくらいだ。
 足もいらぬ、となれば仕方ない。
 では一参加者としていくつか聞いておきたいことがあるのだが」
「いいでしょう。迷える仔羊を導くのもまた役目です」

その返事を聞くと、少し待て、と前置きをしてキャスターが懐から手帳を取り出す。
それに杖――魔術礼装らしい――を使ってなにやら書き込んだかと思うとすぐにしまいなおして、話を再開する。

「確認するが、今後も俺様からの情報提供は受けてもらえるとみてよいな?
 その場合、またここに来いということか?」
「ええ、もし話したいことがあるならご足労いただければ」
「そうか……ふむ、では次の問いだ」
「なんでしょう?」
「汝、神を信じるか?」

キャスターの口から出たのは、修道女に対するにはあまりにも愚問。
歪んだ笑みと共に放たれた問いに堂々と答える。

「もちろんです。主が人々を愛するように、私も主を愛しています」
「では改めて問おう。神への愛を語るその口で、よもや虚言など語るまい?
 ……夕刻ここを小娘が訪れ、立ち去って行ったのは知っているのだ。
 あの足取りは意図あって訪れ、そして新たな目的地を得ての歩みだ。何か、教えたのだろう?」

東風谷早苗の来訪を知っている。
そしてその行動の意図も察している、か。

「教会まで覗いているとはあまりいい趣味ではありませんね」
「参加者が訪れる可能性の高い施設だ。敵を知るためには当然だろう。
 だが誤魔化すな。やはりあの小娘に何か教えたのは事実か」
「監督役として他の参加者の情報をみだりに伝えることはできません。
 それに修道女としても、異教の者とはいえ、告解の内容を漏らすことなどもってのほかです」
「ああ、そこまで聞けるとは思ってはおらん。しかし、だ」

参加者への情報提供があった。
それも恐らくは監督役たちへ協力の意を見せるどころか、聖杯戦争に反意を見せる者に。
対応の差に不満を憶えないかと問われれば、そんなはずはないと答えるだろう。

「通達の前後にはB-4に裁定者と共にいたそうだな。
 そこで参加者と接触を持ったとも聞いている。違反者への対応だな?
 そのために参加者に何らかの施しもしただろう。
 神は善なる者にも悪なる者にも、分け隔てなく祝福の恵みを与える、というのはお前たちの主の言葉であろう。
 救いの手を求める者が異なる道を歩むならば、手を差し伸べないのは大罪ではないか?傲慢ではないのか?」
「……なるほど。言わんとすることは分ります」

よりにもよってサーヴァント、それも魔術師のクラスに『説教』をされるのは不愉快だが。
岸波白野に関することで参加者に干渉があったのは事実。
彼に情報を提供し、彼の名を東風谷早苗に伝えたことを察しているのならば引き下がりはしないだろう。
となると

「そこで少しお待ちを」

礼拝堂の裏手、私室にいったん下がる。
目当てのものを引っ張り出してすぐに戻る。

「お待たせしました。そこまで言うのならば、これをお渡ししておきましょう」

岸波白野に渡したものと同様の携帯端末。
こちらから通話やメッセージの送受信はできるが、向こうからはメッセージへの返信しかできない。
そもそも、この魔術師がこれを使いこなせるとも思えないが。

「必要になればこれにこちらから連絡を入れます。あくまで受信専用機ですので、そちらからの連絡はできません。
 しかし、その時の協力、功績によってはルーラーから改めて何らかの褒章があるかもしれません。
 確約はしかねますが、期待はしてもいいかと思いますよ」
「これに……か」

手渡された端末をじっと見る。
受信のみ、というのは些かと言わず不便だが、それ以上に大きな問題がある。
どう見てもマグルの用いるような機械製品。
俺様は勿論、恐らくはケイネスもまともに扱うことはできまい。
おまけに工房に持ち帰ればその瞬間に、館にかけた防衛呪文により機能を停止するだろう。
……あらゆる意味で、使えん。
とは言えこれ以上の妥協は引き出せんか。
これだけでも、一応の使いようはある。

「うむ。心遣いに感謝する。あとは……」

懐から再び手帳を取り出しめくる。
その中の一節に目を止めると

「遠坂時臣、という参加者はいるのか?」
「遠坂時臣?」

地上の聖杯戦争ではまず聞かれることのない問いだろう。
冬木の御三家頭首が聖杯戦争にいないなど、まずありえない。
この聖杯戦争には、参加していないが……
ケイネス・エルメロイ・アーチボルトが警戒するマスター候補として伝えていたのだろうか。
無用の長物となりかねない端末だけで帰すのもなんではあるし、NPCのことくらいは話しても構わない…はず。
しかし彼の名前の影響は小さくない。
娘が二人に、不出来な弟子が一人参戦している。
家族構成や邸宅などには触れてはまずい。

「遠坂時臣ですね?永人ではなく。
 私の知る限りではマスターとしてそのような名前の人物は存在しません。
 NPCであるならば、そのような名前の人物の葬儀をこの教会で執り行った記録があります」
「おうおう、故人であったか。ならばこれは杞憂よな。
 ……用事はこのくらいだ。いずれ連絡が来ることを期待している。
 それと、最後に一つ贈り物をしよう。ポータス〈移動キーよ〉」

礼拝堂にある燭台の一つに杖を向け、呪文を唱える。
するとその燭台は青く光り、一瞬カタカタと震えたが、すぐに元通りになった。

「ロコモーター・キャンドルスティック〈燭台よ、動け〉」

その燭台を操作し、みだりに触れれられることないよう部屋の片隅へ。

「その燭台は移動(ポート)キーとなった。触れれば、共に月海原学園の校舎裏に転移が可能だ。
 もう一度触れれば、校舎裏からこの教会に戻ることができる。
 あの学園ではまた騒ぎが起こるだろうからな。有効に使うといい」
「……まあ、一応礼を言っておきましょうか。
 教会の備品に無断で手を加えられたことにも、その騒ぎの主犯候補であることも今は目をつぶります」
「俺様は騒ぎを収める側だ。わかってくれ。
 そうだ、足として呼びつけてくれてもかまわんぞ?
 俺様が行ったことのある場所ならば送ることもできるし、また移動キーを作ってもいい。
 未踏の地であっても、地名さえわかれば転移する道具を提供できる。気軽に、な」

それだけ言って緑の粒子を振りまいて霊体化。
ようやく終わったか、と一息つく。
幾度か参加者と接触はしたが、ああいうタイプの曲者とはそういえば話していない。
負担はさほどではないが、あれを教会に招き入れるのは――

「忘れたていたことがあった。肝心要の件をな」
「…そうですか、なんです?」

再び像を結ぶキャスター。
さすがに応対も丁寧とは言い難くなる。

「もしや名乗った方がいいのかと、思ってな」
「? あなたはキャスターでしょう?」
「ああ、そうだ。まあ、そういうことなら、それでいいのだろう」

ニヤリと笑みを浮かべるヴォルデモート卿。
その笑みの理由に見当がつかず困惑するしかないカレン。

「今度こそ最後の質問だ。これを聞けなければここに来た甲斐がない。
 ……言峰綺礼という男について聞きたいのだ」

その口から紡がれた名前に、平静であった自信は……あるつもりだった。
しかし後から思えばやはりさざ波くらいは立っていたのだろう。

「なぜその男のことを?」
「なぜ?なぜと問うか。遠坂時臣のことにはなぜと聞かなかったお前が、なぜと問うのか?」
 ああ、そうか娘よ。気持ちはわかるぞ。俺様もそうだった!
 父は俺様と母を捨て、のうのうと暮らしていた!
 許し難かった。そうだ、だからだろうな丁度お前くらいの歳の頃に――」

その瞬間は間違いなく平静でなかった。
愉し気に言葉を紡ぐキャスターに武装を突き付ける。

「自分語りに興味はないわ。それともそれは告解のつもり?
 それなら、これで懺悔室まで放り込まれるのがお望みかしら」

ひらりと舞う赤い布、かざされる令呪。
それを見て取ってか、キャスターの興味が移る。

「ほう、それは聖骸布か?いいものを持っているな。伝承保菌者…というほどでもないのか」

自慢の審美眼で聖遺物を見極める。
それとカレンを観察するように幾ばくか眺め、納得したようなそぶりを見せると話を戻す。

「なぜと言われれば、単純なことだ。
 あの男は学園で働いている。ケイネスも学園で働いている。きっかけはその程度よ。
 これより友好的な態度で訪ねようかと思ってな、お薦めの手土産でもあれば教えてもらいたいのだ」
「……そう。今の彼が何を好むかはなんとも言いかねますが。私が昼に食べた中華料理店の麻婆豆腐は好みのはずです」
「む、本当か?ケイネスは無様な悲鳴を上げていたぞ」
「あら、もう体験された方がいらしたのですね。その場に居合わせれば、ラー油の一瓶くらいは差し入れてあげたでしょうに」

残念、と小さくつぶやくのを無視して考える。
悪意が透けては見えるが、虚言はするなと最初に念を押した。
一応は事実だろうか。
……そういえば購買部に一人、あの店の常連がいると話していた気がする。
とはいえこのこの夜遅い時間ではもはや用意できるものでもない。
記憶の片隅にとどめる程度か。

「時間をとらせた。今度こそ失礼する」

今度は霊体化しないままに退出する。
後姿が遠のくのを確かめ、オルガンに着席しながら今度こそ気持ちを落ち着ける。
ルーラーに合流するのも、このことを話すのも一服置いてからにしよう。

(まさか協力関係を結ぼうなどと言いだしてくるのは、さすがに慮外だったわね)

もしこの場にルーラーがいたならさらにややこしくなっていただろう。
岸波白野に、東風寺早苗に、聖杯戦争自体の歪さは指摘されていた。
そこにきて、参加者の在り方。
聖杯に手を伸ばすサーヴァントの中に神の敵たる死徒、アーカードがいるというのは、それを方舟や聖杯自身が選んだというのは教義的には疑問を持つ者もいよう。
そのくらいで彼女は揺らぎはしないだろうが、こういった交渉に臨むしたたかさは足りない。

(あの端末はこちらから連絡しなければ無用の長物。
 遠坂時臣の情報は、すでに遠坂凛が落ちている以上、大きなものではない。そもそも教会近くに墓標もあるのだから調べればすぐわかる。
 あの男の食の好みなど、どうでもいいこと)

実質あのキャスターが得たものはほとんどない。
関係としても今後に期待、程度のものしか匂わせていない。

(ただ、まあ。あのキャスターがあの男に会おうというのが事実なら)

くすり、と笑みがこぼれる。
その出会いは、ぶち壊しにしてみたいと思うほどに面白そうで――――
――――同時にとても不愉快でもあった。




【カレン・オルテンシア@Fate/hollow ataraxia】
[状態]:健康
[令呪]:不明
[装備]:マグダラの聖骸布
[道具]:リターンクリスタル(無駄遣いしても問題ない程度の個数、もしくは使用回数)、移動キー(教会内の燭台、月海原⇔教会の移動可能)、???
[思考・状況]
基本行動方針:聖杯戦争の恙ない進行時々趣味。
1. 一休みしてからルーラーに合流し、キャスター(ヴォルデモート)との会談について話す。必要なら職務の手伝いも。
2. ルーラーの裁定者としての仮面を剥がしてみたい。
3. 言峰綺礼に掛ける言葉はない……があのキャスター(ヴォルデモート)との接触には複雑な感情。
[備考]
※聖杯が望むのは偽りの聖杯戦争、繰り返す四日間ではないようです。
 そのため、時間遡行に関する能力には制限がかかり、万一に備えてその状況を解決しうるカレンが監督役に選ばれたようです。他に理由があるのかは不明。
※管理役として、箱舟内のニュースや噂などで流れる情報を操作する権限を持っています。
 →操作できるのはあくまで「NPCの意識」だけです。報道規制を誘発させることはできますが、流出してしまった情報を消し去ることや、“なかったこと”にすることはできません。





「出来損ないのスクイブめ」

教会から少し離れたところで吐き捨てる。
監督役という役割を持つ娘がどのようなものか、心を開いてみればなんと綺礼めと繋がりがあるとは。
しかし聖骸布を持つ魔術師の子がどの程度かと思えば、魔術師としての才は受け継いでおらんスクイブ。
……種は良い。母胎がまずかったのか。
出来損ないに用はないが、使い道はある。
かつて傀儡とした魔法大臣のように利用できればよし。
少なくともカップやロケットのようにあの聖骸布は手に入れておきたい。
それに俺様の名を聞こうともしなかったあの反応、少なくとも奴は我が名を知らぬ。
28もいるサーヴァント、予選期間も考えればそれ以上いたやもしれぬゆえルーラーからまだ伝え聞いていないだけかもしれんが。
奴から俺様の名を調べようとすることは宝具の効果によりない。
つまり俺様への警戒は他のサーヴァントより落ちるだろう、取り入る隙もありそうだ。
そういうことなら、なおのこと綺礼は放っておけんな。

「遠坂時臣とやらの事は聞いたのだ。報告がてら、訪ねても文句は言うまい」

取り出した手帳に三度目を落とし、短く書き込みながら念話でマスターに呼びかける。

『ケイネス』
『…………んむ。は、はい何でしょう我が君』

念話越しの声からも疲れが伝わる。
たかだか一日の勤務ではあるが、聖杯戦争と並行しての精神的なそれが大きいようだ。

『言峰綺礼の住所は調べがついたか?』
『はい。教会近くに住んでいるようです。位置関係的には我らの館と教会の中間のようですね』
『そうか。ご苦労、ひとまず休め。日付が変わるころには合流する。
 自己暗示によるショートスリープくらいは行使できるだろう?宿直室で仮眠をとるがよい』
『お心遣いに感謝いたします』

そういって念話を切る。
周囲は駒で固めているし、あの蟲以外にケイネスの事を知る者はいまい。
あの蟲も早々に仕掛けてくることはなかろう。
万一来たとしても、俺様とケイネスの礼装なら虫けら程度何でもない。
今は、綺礼のもとへだ。

リドルの館方面に放った蛇が這い戻ってくるのを視界に収める。
それといくつか会話を交わし、笑みを浮かべて手帳に文言を書き込む。
そして霊体化して、歩みを進めていった。

◇  ◇  ◇

あの蛇が監督役と話している。
それはつまりあの教会に訪れるということで、目と鼻の先に彼奴がいるということ。
それを聞きつけたセイバーは離れることを提案したが、やはりこの家を離れる気にはなれなかった。
代わりと言っては何だが、家の電話を使ってある作業を行っている。

遠坂時臣を名乗る何者かに操られた搬入業者。
それと連絡を取っていたのだ。
目的は仮初の業務半分、そして聖杯戦争がらみが半分。
購買の店員としてスタッフと連絡を取り、本日起きた事件の一部始終を伝えていた。
それにより中等部が明日は休講になったが、他は通常通り執り行うので明日もよろしく頼む、と。
そこへ一つ、情報を忍ばせておく。
真玉橋という生徒が、昼頃に騒ぎ立てて以降、姿が見えないから心配している。
昼食を学園でとっていたあなたたちは見なかったか、と。
これが操っていた魔術師に伝われば、動きを予測しやすくなるし、上手くすれば敵同士をぶつけられる。
あまり仕込みすぎても不自然になる。このくらいが限度だろう。

「話は済んだか、キレイ」

がちゃり、と電話を切ったのを見て外を眺めていたセイバーが話しかけてくる。

「うむ。今はまだ師の名を騙る何者かも連絡を入れてなかったらしい。
 来ていれば探りを入れることもできたろうが、これも悪くない」

今この場でやれるのはこのくらいだろう。
新たに得た情報はないが、明朝までにはこの流した情報も伝わるはずだ。
そうでないなら偽時臣は脱落したとみていい。
改めて確認し、探りを入れる必要があるだろう。
屋上に現れた少女や真玉橋については明日学園で調べるしかないか。サーヴァントについても同様。
改めての侵入は、何らかの手引きや協力がなければリスクが高すぎる。

……協力者。
ふと思い立ち、改めて手帳を捲ってみる。
新しいページが熱を持ち、そこに新たな文字が浮かんだ。

―――――――――――――――――――――――――――――――――
先ほど伝えたように、現在監督役と話している最中だ。
残念ながら裁定者とは入れ違ってしまったが。
お前の方から聞いておきたいことはあるか?
伝達くらいなら請け負ってやろう。
―――――――――――――――――――――――――――――――――

あの蛇と、彼女が。
今最も会いたい/遭いたくないと思う人物の筆頭だ。
吐露したい心中はいくらでもある。だが、触れるのが恐ろしいとも思うのだ。

「またあいつが何か言ってきたのか」
「そうだ」

歓喜か恐れか、震える指でペンをとり、つらつらと書き込む。

―――――――――――――――――――――――――――――――――
遠坂時臣という魔術師がいるのか。
それを確かめてもらいたい。
―――――――――――――――――――――――――――――――――

彼女に深く踏み込むのは二の足を踏む…しかし彼を無視はしたくない。
そんな葛藤からきた大して意味のない問い。
しばらくそれを眺め続ける。
クリスマス・イブに聖ニコラスの訪れを待つ幼子のごとく、ひたすらに何かを待った。


……数分して再び文字が浮かんだ。

―――――――――――――――――――――――――――――――――
お前の問いは伝えてやった。
望む回答を得られたかは保証できんがな。
次は、お前と直接話したいと思っている。
これより向かうつもりだ。
今度は直接、俺様も姿を見せよう。
もし俺様との邂逅を僅かにでも望むなら。敵意以外の何かがあるのなら。
お前の自宅に、歓迎してほしい。
―――――――――――――――――――――――――――――――――

ああ。
やはり、来るか。

胸の内にまた、何らかの情動が沸き起こる。
深淵を覗き込むような、いつまでも見つめていると堕ちてしまいそうな感覚。
その衝動のままに

―――――――――――――――――――――――――――――――――
待っている。
―――――――――――――――――――――――――――――――――

短く返信した。

「セイバー……あの蛇が来る」
「そうか。拒まないんだな、それを」

窓辺に立ったセイバーは瞑想するように目を閉じ、外に意識を向けた。

「悪意とは違う、魔力の気配だ。奴の放った使い魔だろう。
 もう、間もなくだな。あいつが来るのは」

そうか、と返して椅子に腰かけるキレイ。
悪と向き合う、悪を認識する。
それはかつて、多くの勇者に魔王として突き付けた現実だ。
そして、7人の英雄は憎悪(オディオ)を乗り越えた。
キレイの悪性は類を見ないものだが、もしあの蛇と向き合い、なお善性を保てるのならば。
人の本質は、きっと善であろう。
だが、堕ちるのならば。
人とはやはり、その程度なのだ。




…………暫く経った。
コンコン、と扉をたたく音が響く。
二人してそちらを向き、意識を集中する。

「あの蛇使いの悪意だ」

セイバーが唇をかみながら伝える。
同時に本当に入れるのだな、と睨みつけるが言峰はそれを真っ直ぐに見返すのみ。
セイバーが出向き、扉を開く。

「よい夜だな、綺礼、それにセイバー。邪魔するぞ」

姿は初めて見る。
しかしその悍ましい気配は体が覚えている。
昼間真玉橋と話している最中に僅かに感じた邪気、先ほど校門近くでねめつけてきた深淵。

「ふむ、お前はあまり歓迎してくれないようだなセイバー。
 しかし暖かく家に招き入れられた、ということにしておこう。
 治安のよくないご時世だ、玄関先でぐずぐずしているのは賢明ではあるまい?」

妙な真似をすれば切ると態度で語るセイバーを前にキャスターは涼しい顔だ。
室内に一歩踏み込み、右手をかざして杖を振るうと扉が閉じる。

「思えばこうして直接顔を突き合わせるのは初めてよな。
 先ほど監督役と話して、こうして面と向き合あうのもまた大切である、と実感したわ。
 改めて自己紹介しておこう。キャスターのサーヴァントだ、よろしく頼む。勇者たるセイバーに、代行者言峰綺礼よ」

そちらの紹介はいらんぞ、と言わんばかりに冠をつけて呼ぶ。
それに僅かに驚く二人を尻目に居間へと歩んでいくキャスター。
今の中央に置かれたテーブルの一番奥の席に勝手につき、二人を促す。

「普通なら茶菓の一つでも出るのだろうが、そうはいかんか?
 手土産代わりにこちらが振る舞おうか」

そういってまた杖を振るうと、空中にグラスが三つと古ぼけた瓶が一つ現れる。
瓶が傾き、グラスの中にルビー色の液体を並々と注ぎ、テーブルの各所に配置する。

「この地の館にあった酒の中で一番の上物だ。マグルにも酒を楽しむ趣味はあると見える」

二人に向けてグラスを上げ、一口すする。
対する二人は席には着くもののグラスには手を付けない。

「敵の、それも魔術師が用意した飲み物を口にしろというのか?
 セイバーはともかく、対魔力など持ちえない私に?」
「ああ、そう警戒しないでくれ綺礼。話に来ただけだ。
 だがもっともだな。それでは、そちらはそちらで一献口にするといい」

今度の一振りでは空間が歪むでなく、キャビネットと食器棚が開く。
そこからワインが一瓶と新しいグラスが二つ、宙を舞いテーブルに鎮座した。

「淡白に見えて上等な逸品だな。お前の趣味か?
 ……どうした、一人酒もなんだ。ともに杯を傾けようではないか」
「いい加減にしろキャスター。キレイに話があるというならさっさとすればいい!」

ギラリとにらまれ、杯を置くキャスター。

「まずは頼まれごとから済ませてしまおうか。
 遠坂時臣、であったな?監督役の把握する限りで、マスターにはいないそうだ。
 だがNPCならば先日教会で葬儀をあげた者にいる、と言っておった」
「やはり時臣師は参加しておられないか」

当然と言えば当然だ。
彼は私と違い、冬木の聖杯が本命中の本命。
聖杯とあればどこにでもいく教会のものとはあまりに事情が違う。
ゴフェルの木片を手にしても臨むことはあるまい。

「それだけか?」
「お前が聞いてきたことはそれだけだったな、そうだろう?
 ここから先言うことは先刻学園の帰り道に伝えた通りよ。俺様と組まんか、とな。
 手帳に返事を書き込み、それにこうして迎えてくれたのだ。
 お前も乗り気なのではないかと期待するが?」

言峰綺礼は沈黙する。
拒絶か、受諾か、何か言葉を吐いてしまうのを恐れ、杯を手にしてワインと一緒に言葉も一息に飲み干す。
――アルコールが喉を焦がす不快な感覚がした。

「ふむ、語る言葉を持たぬか。是非もないな。
 今の俺様は無力なキャスターが三騎士に縋っているだけに見えよう、物乞いでは一蹴されても仕方あるまい。
 いくつか情報を提供しよう」

空になった綺礼のグラスに改めてワインを注ぎながら、情報を反芻する。
どれを伝えるのがよいか、と。

「察していようが俺様の拠点は学園だ。
 屋上に姿を見せた女マスター、シオン・エルトナム・アトラシアについてはある程度把握している。
 他にマスターの情報を一つ。候補にすぎんものならいくつか。
 学園内の情報はほぼ把握しているからな。例えば先ほど、俺様がお前と話し込んでいる隙に検索施設で騒いだ不埒者がいることも知っている。
 時間をかければより他のマスターも確実に絞り出せよう。
 そして検索施設の一つをうまくすれば独占できるやもしれん」

まずは地の利。
魔術師として構える陣地の強み。

「察していようが、俺様は蛇を従える。
 綺礼、お前ほどの実力者なら敵ではないが、低俗なマグルどころか、そこらの魔術師ならばかみ殺すのも容易い。
 そして奴らの耳目は貴重だ。
 様々な事象を俺様に伝えてくれる。お前という存在を教えてくれたのもかわいい蛇たちよ」

次に人の、ならぬ蛇の和。
そこまで言うといったん言葉を切り、懐に手をやるが

「む、地図は預けたままだったか。まあよかろう。
 …蛇を配置していたのは五ヶ所。
 学園に多くを見張りとして、図書館、大学病院の検索施設近く、その大学のキャンパス、教会に斥候としてだ。
 大学病院と大学の蛇は殺されてしまったがな。その際一切痕跡を伝えずに殺したことからアサシンのクラス、あるいは獣殺しのサーヴァントとみている。
 それとは別に大学には淫魔のような、性行為を得意とするものも目をつけているようだ。
 他に学外で確認した参加者は三組。教会に訪れた者どもは容姿程度しかわからんが、図書館近くで交戦していた二組を見かけた。
 その間は図書館内や他の事象の監視はおざなりになってしまったのは蛇の不手際だが……それでも十分意義のある情報だと思うぞ。
 特にお前たち二人にはな」

勇者の剣を持つセイバーと、死徒狩りの代行者たるマスターに語る。

「蒼のセイバー。掲げた剣は、ああ見間違えるはずもない。刻まれたその名はロト。
 勇者伝説、その始まりを築いた伝説の英霊だ。
 セイバー、お前とて一筋縄でいく相手ではあるまい?
 朱のサーヴァント…アーチャーかと思う。下賤な銃をもっていたからな。無限の再生と無数の魔を従える男。
 かつて吸血鬼をも部下にした俺様だからわかるぞ、あれも同類、死徒の類よ。
 ニュースは伝え聞いているな?学園の補欠教員が暴行事件を起こしたのだからそこの職員のお前も小耳にはさんではいるはずだ。
 その教員が呼んでいた名がある。
 …アーカード。おそらくアレがドラキュラの逆綴り『ARUCARD』であろう。
 綺礼、放っておいていいのか?聖なる杯に、カインの子が手を伸ばしているぞ?」

蛇を通じて伝え聞いた闘争。
その思考を覗き、盗み見た情報ともろもろを合わせ、二騎のサーヴァントの真名を報告する。

「……蒼のセイバー、ロトのマスターについてはわかるか?」
「む?マスターか」

オルステッドが口を挟む。
かの勇者がいるのは知っている。
しかし出まかせの可能性も否定はできない。

「女だ。紫がかった金髪に、ゴシック風のドレス。
 吸血鬼の方のマスターと闘う、腕に覚えのある性質らしい。負けたそうだが」
「目撃したのはいつごろだ?」
「昼過ぎ。通達の後だ」

寺で会ったのは朝方。
交通機関を利用すれば移動範疇か。
容姿も一致する。

『キレイ、どう思う?』
『情報に偽りはないだろう。学園で勝手がきくならあの真玉橋という生徒の事も調べられる。
 私情だが、死徒というのも気にかかるところだ。話自体はそう悪くない』
『……私は君に従おう、キレイ』

念話でやり取り。
相談、というよりは分り切ったことを確認するようなものでしかなかったが。
なぜ自らが招かれたのか。なぜ死徒が聖杯戦争にいるのかは、それに近似する疑問だ。

「死徒を狙うのを優先するならば、そのための協力関係は結んでもいい」
「ほう、勇者より吸血鬼を優先するか。あちらのほうが難敵だと思うがな。
 まあよい。職務に忠実なのはいいことだ。受けよう、その提案。
 そちらから他に何かあるか?話すだけならば、いくらでも構わんぞ。こちらからもいくつか頼みたいしな」

前向きな答えを聞けて喜びを露にする。
盟を結ぶなら、具体的に話を詰めようと。

「ロトとそのマスターについてだが。
 私たちは彼女らと不戦協定を結んでいる。手を出すつもりはない」
「今のところは、だろう?だがそういうことなら構わん。
 優先順位が吸血鬼狙いなら、当面は変わらんからな。
 それに俺様もシオン・エルトナム・アトラシアと接触を持っていてな。あれから連絡が来る可能性に多少は期待したい」

一日あれば多少なり関係はできてくる。
その全てを清算しようなどとは言わない。
むしろお互い、利用できるところは利用したいのが当然だろう。

「アトラシア……アトラスの錬金術師。それがあの屋上にいたマスターか。
 わかった。それはひとまず後だ。
 ロトたちは寺院を拠点にしていた。そこに手を伸ばすのは控えてもらおう。
 それと一応伝えておくと、真玉橋という男子生徒はマスターだ。優先順位は下がるが、警戒対象としては憶えておけ」
「寺か。霊地として使えるなら拠点移しも考えるつもりだったが。
 まだしばしは学園といくつかの家屋で妥協するとしよう。
 それにマスターの情報か。調べさせておく」

そういうと念話を送ろうとして……やめる。

「おっと我がマスターは今頃眠りの中だ。まだ起こすわけにはいかんな」
「そうだ、お前のマスターは顔を出すつもりはないのか?
 こちらの事ばかり漁っておいて、肝心のマスターは隠れたままか?」

激しい口調のセイバーだが、それをなだめるようにキャスターが答える。

「もちろん引きあわせるつもりであった。
 俺様がこうして顔を出した時点でそのくらいには誠意を見せる覚悟は示せたと思っていたが。
 ただ、あやつ…ケイネスは少々疲れておってな。仮眠をとっている。
 日付が変わるころには起きてくる。そうしたら四人肩を並べて展望を語ろうではないか」

そういいながら時計に目をやる。
移動や監督役との会談に多少は時間を使ったが、まだ今少しの間がある。

「しばし手持無沙汰になるが、今宵はどうするつもりであった?」
「聖杯戦争は夜が本番だ。NPCへの影響を考えるにそれはこちらでも同様だろう」

まだ動くつもりだとそう述べる。
それを聞いてキャスターの蛇のような笑みが深まる。

「ロト。アーカード。サーヴァントの情報はある。
 そしてお前から学園に所属するマスターの情報も入った。
 これより再び学園に赴き、それらの情報を精査しようと思う。
 俺様とケイネスならば、この時間学園にいても何らおかしくはないし、あそこはもはや俺様の庭だ」
「では行くか」
「まあそうあわてるな。ここで歓談を肴にグラスを空にしてからでも遅くあるまい」

立ち上がろうとする言峰を引き留める。
そして何を思ったか、変幻自在手帳を取り出してめくり始めるキャスター。

「なんだ?言いたいことがあるなら私に直接言えばいいだろう」
「無論だ。遠坂時臣というのはお前の師なのだな?」
「そうだが」

そういえばその名を騙る何者かがいることをまだ話してなかった。
もしやこの魔術師ならあの暗示を破り、さらに深く情報を引き出せるやもしれん。
そう思い返し、改めて問おうとするが、されより先にキャスターの方がしゃべり始める。

「俺様が仮に師と呼ぶ者がいるとするならば、忌々しいがこの杖に所縁ある老魔術師になる。
 あの男が教鞭を振るう学園で7年学び、そして――ああ、悔しいが認めよう――俺様よりも優れた魔術の腕を、ある一面では持つ男だった。
 仮に俺様が恐れる存在がいるとするならば、それは奴を置いて他ない」

脳裏に浮かぶは銀色の髪とブルーの瞳。
アルバス・ダンブルドア。
この杖の芯に用いられているのは奴の従える不死鳥の尾羽だし、そして宝具『死の秘宝が一、ニワトコの杖(エルダー・ワンド)』をかつて所有した魔術師。

「難敵であった。障害であった。故に、殺そうとした。
 計略を練り、忍ばせた我が部下により息の根を止めさせた。
 ……結果奴は死んだ。俺様の部下と、俺様の計略に殺されたのだ。
 と、思っていた。どうやら部下の裏切りにより、死は事実であってもそれは奴の自殺と考えるモノもおるようだが」

そのせいで『死の秘宝が一、ニワトコの杖(エルダー・ワンド)』は忠誠を誓わない。
そのせいでハリー・ポッターに敗北する羽目になった。
忌々しさに顔をしかめるが、本題はそこではないと戒める。

「何が言いたい?」
「俺様も、師を失っているというだけの事だ。そしてな、悔しいのだよ。
 この手で師を殺め、超えることができなかったのが。奴は最期まで俺様の上を行ったのか、と。
 お前はどうだ綺礼?師がすでに故人であると聞いて何を思った?」
「何を馬鹿な……」

そもそもここで命を落としたのはNPCだろう。
本物の時臣師は今も冬木で聖杯戦争に臨む準備をしているはずだ。

そう口にするだけでよかった。
だが仮初であっても身近なものの死というものは、かつての経験を想起させた。

何よりも■■したいと思った、銀色の髪の――――


「――――ヵ、ァ…! ハァッ、ハァ……!」

思考に靄がかかり、呼吸と鼓動が乱れる。
その様を見て心配どころか笑みを深めるキャスター。

「……」

セイバーもまた沈黙を保つ。
その苦しみの理由を理解するがゆえに、彼は何も語ることはできない。

「悩むか、はたまた惜しむか、綺礼。虚無が訪れたのは事実であろう。
 では何を惜しんだのか、それがお前を悩ませる因子よな。
 ……二つ、贈り物がある」

くるり、と杖を振りテーブルの上に物を並べる。
一つは携帯端末、もう一つは何かが書かれた紙だ。
紙の方に手を伸ばし、何が書いてあるのか確かめる。
いくつかの名前と、住所。
どうやら学園で調べた生徒や教師のもののようだが……

「マスターらしきものについて調べた。
 真玉橋というのはないが、少し気になる名があったぞ」

シオン・エルトナム・アトラシア。
ジナコ・カリギリ。
美遊・エーデルフェルト。
他に欠席者の名前らしいものがいくつかあり、そこにある名に目が留まる。
遠坂凛。
時臣師の、娘御だ。

「その遠坂というのは本日学園を無断欠席した者らしい。
 小等部の生徒らしいが、心当たりがあるのではないか?」

字も年のころも間違いない。
NPCである可能性もあるが……マスターではないかと言われれば確かに疑わしい。

「師はいないだろうが、その親族…娘か?それがいるかもしれんぞ。
 マスターとしてな。庇護するのか?それとも――――
 いやいや、もしかするとこの地の遠坂時臣のようにすでに命を落としているかもしれんか。
 そうなると、どうするのだ?どうしたいのだ?」

どうするべきが、それは問われるまでもない。
だが、どうしたいかと問われれば、それは――――

「いるのならば、庇護を優先する。妹弟子を傷つけるわけにはいかない」
「すでに殺されていたなら?」
「その時は――――ッ!そんな仮定の話に意味があるのか!?」

思わず怒鳴り散らす。
そもそもそれを調べるのも、貴様がなすことではないのか。

「確かに無意味だったな。忘れてくれ。
 ……そちらの機械だが。あの監督役に渡されたものでな、一応の協力関係の証といったところか。
 あいつらから必要に応じて連絡をとれるよう渡されたものだ。お前が持っていてくれ」
「……あの、女の?そんな重要なものをなぜ私に渡す?」

再び思考に靄がかかりそうになるが、それを払い話し続ける。

「恥ずかしながら、俺様もマスターも機械に疎い。
 誤って壊しては大変だ。お前なら心配ないだろう、綺礼?
 もし何か連絡が来たら教えてくれ」

理には、適っている。
察した通りこの主従は生粋の魔術師なのだ。
ならば戦略上、私が持つのも仕方ない……のか。
あの女とつながる、端末を。

「…わかった。いいだろう」

震える声と手で、端末と、マスタ―候補の情報が書かれた紙をしまう。
再びキャスターが時計に目をやるが、当然まだ時間はある。
ようやく移動をはじめるのかと思いきや、まだ何か話すようだ。

「一応は俺様なりの気遣いでもあるのだ」
「気遣いだと?」
「そうだ。師を超え損ねた男で、かつ肉親を殺めた先達のな」

蛇のようなキャスターの目と、濁った綺礼の目が合う。

「あの監督役にも話したのだがな、俺様の父は母を捨てた。
 そして、母の兄、つまり俺様にとっての伯父もまた母を助けようとはせなんだ。
 俺様を孤児院に放り込んですぐに母は命を落としたそうだ。
 ……殺してやった。父とその一族は苦しめ、辱め、無残に殺してやった。
 伯父はあれで母に一応の愛情を持っていたらしいのでな、殺しはしなかった。
 功績を与えてやったよ。妹の仇をとったという功をな!」

高らかに笑いだすキャスター。
それに閉口し、さっさと終わらせようとグラスに手を伸ばし、それを空にする。

「役人に向けて、俺様の為した殺戮を自ら為したかのように謳ったそうだ。
 最期まで自らが何もしていないことに気付かず、獄中で狂い死んだよ、我が伯父は!
 植え付けられた偽の記憶を誇り続けたのだ、あの男は!」

語るのは一人、魔術師のみ。
母の復讐という大義のある行動ではある……が。
それを愉しむ感性は尋常ではない、悪であると言わざるを得ない。
言峰綺礼も、オルステッドもそう感じている。
オルステッドは、それに眉をしかめていた。
言峰綺礼は、口にしたワインの芳醇な味に驚いていた。

「フフ、すまないな。家族の事を話すとは。なんと俺様も感傷的になったものよ。
 綺礼、憶えておくといい。父に捨てられた子は、何をしでかすかわからんぞ」
「それが言いたかったことか」

自然と端末へと意識が向く。
もし、そこから流れる声の主が――――
それも一つの結末となりえるだろう、そう考える。

「もう一つ。父の一族を殺し、伯父を貶めたのは俺様にとっても大きな経験だった。
 思えばあれが一つの転機だったかもしれん。死への飛翔よ、生まれ変わったのだ」

『トム・マールヴォロ・リドル』を捨てて、『ヴォルデモート卿』に。
口は出さずそう思う。
あの殺人により分霊箱を一つ作ったという意味でも、肉親を捨て俗世との繋がりを断ったという意味でも。
それに力を手にするために、セブルスの願いも命も捨てた。
未練が全くなかったわけではない。
だが魔術の基本は等価交換。何かを得たくば、何かを捨てねば。

「身近な存在を切り捨てるのは、己を成長させるかもしれんな、綺礼。
 師を超えるのは弟子の宿命であり、父を超えるのは子の宿命だ。
 その壁を超え損ねても、お前にとってのその在り方を引き継ぐものはいるはずだ」

殺し損ねた男の在り方を受け継いだ子が。
殺し損ねた女の面影を残した子が。

「……さて悪くない時間だ。そろそろ学園へ向かうぞ。
 俺様の手を取れ、綺礼。それにセイバー。〈姿くらまし〉、いや空間転移を行う」
「そんなことまでできるのか」

不穏な呟きを無視し、キャスターの手を眺める。
同じようにセイバーも悩んでいるようだった。

「どうした?何をためらう。さあ、俺様の手を取れ二人とも」

セイバーの対魔力は高位のものだが、治癒や転移など己にとって都合のいいものは受け入れることもできる。
多少の呪いならば弾ける。
迷いながらも、オルステッドはヴォルデモートの左腕をつかんだ。
それより少しだけ長い時間、言峰綺礼はその手をじっと見つめ、ついにはヴォルデモートの手を取った。

「では、いくか」

杖を右手に構え、回転。
すると綺礼、オルステッドお二人ともに太いゴム管の中に押し込められるような感覚を覚えた。
全身が圧縮され、息が詰まるかと思ったが、すぐに解放される。
目の前の景色は、狭い家屋から広大な学園の敷地内に変わっていた。

「俺様たちは図書室の検索施設だ。生徒に関しては目についたものに調べさせよう」

先行するキャスターに続く。
堂々と晒されたその背中はセイバーの手を借りずとも、黒鍵で貫くだけで殺めることができそうだ。
セイバーなら隙を突く必要もなく、対峙した時点で勝利が決まるといっても過言ではない。
ほどほどに有能であり、切り捨てるのは容易い。
バトルロイヤルの協力者としては申し分ない。

(そう。それだけだ。死徒の情報含め、扱いやすいものと組むのが常道)

情報の収集に関して、足と拙い暗示で探すよりは効率的だ。
……そうだ、暗示の事をまた忘れそうになっていた。

「キャスター」
「なんだ」
「言い忘れていたが、遠坂時臣を名乗る何者かが、搬入業者に暗示をかけてここに探りを入れていたのだ。
 一応こちらで暗示を重ね掛けして放ったが、相手の正体はつかめていない。
 あちらにつながる情報は一切残さない、やり手だ」

加えて先ほど彼らに連絡を入れたことと、その内容も伝える。
なぜ遠坂時臣について聞いたのかも納得したようだ。

「その業者と接触するかもしれん、というわけか。
 よかろう。蛇どもに気に留めるよう伝えておく」

「死徒を見かけた図書館を中心に、何らかの騒ぎが起きている区画に追加だ。
 ジナコ・カリギリの誘いに乗って現れるかもしれんからな。
 何匹かはルーラーを尾ける。あれが見つけてくれるかもしれんからな」

改めて図書室へ向かう。
その道中で接触した教師に生徒の情報の事を指示するキャスター。
……暗示の深さ。
私など目でなく、時臣師すらしのぐか。さすがにサーヴァント。

「真玉橋という男子生徒について調べておけ。
 俺様たちと会ったことは忘れろ。これは校長の指示だ、いいな?」
「はい。承りました。
 ああそうだ。伺っておきたいのですが、高等部の間桐桜さんとの連絡はつきませんか?
 欠席連絡は受け取っているのですが、そのあと自宅に連絡しても留守のようでして」
「ほう」

暗示を受けた教師が同僚に持ち掛けたつもりの相談。
その生徒の連絡先も伝えておけば対処するとだけ答え、別れる。
言峰ともすれ違ったが、視界に入らなかったように――すでに忘れたように、目礼もなく去っていった。

(間桐桜……マキリの者か?頭首の老人については聞いているが、それ以外は……
 話題に上がったことがなかったな。避けていたのか、見限っていたのか)

一応候補として抑えるようだ。
必要ならマキリの事も話すが、後でいいだろう。
まずは検索施設。
そこで一応ロトと、アーカードについて調べる。

(しかし強大な死徒、それもサーヴァントの感知を潜り抜けて使い魔を回収できるものなのか?
 それほどにこのキャスターができるということなのか?)

言峰の脳裏に僅かな疑問が走る。
近似する内容をオルステッドも考える。
かの天空の勇者が使い魔を取り逃がすことがあろうか、と。
そして彼らはあずかり知らないことだが、図書館の周りには数多の強者が他にもいた。
魔術師殺しの異名をとる魔術使い。
かつて神を下した魔神皇。
千里を見通す鷹の目を持つ正義の味方。
脆弱な憑依霊の霊絡すら掴む死神代行。

彼らがいくらちっぽけは言え、揃って魔術師の使い魔を見落とすなどということがあり得るのか。
取り逃された蛇は、天空の勇者と死なずの君の情報を闇の帝王に伝えた。
その結果は死徒を狩る代行者言峰綺礼と、勇者への強い警戒を持った闇の帝王の盟だ。
そして彼らが今いる学園には、魔王復活を掲げるレブナントが向かっている。
彼女との対立もまた、闇の帝王の憂いの一つ。

オルステッド。
ヴォルデモート。
シアン・シンジョーネ。
蟲毒のごとく、交わり、噛み合い、紡がれるは英雄譚ならぬ魔王譚。

世界が求めたのでなかろうか。
数多の英雄の手から蛇を逃すことで新たな魔王の誕生を。
『勇者』の対峙するべき『魔王』が現れ、新たな勇者の物語が紡がれることを。
――――魔王などどこにもいなかった、その物語の果てに魔王(オディオ)が生まれたように。

勇者と魔王は知っている。
光ある限り、闇もまたあることを。
魔王からは逃げられないことを。
そして憎しみがある限り、いつの世も、誰しもが魔王になり得ることを。


【C-3 /月海原学園/一日目 夜間】


【言峰綺礼@Fate/zero】
[状態]健康
[令呪]残り三画
[装備]黒鍵
[道具]変幻自在手帳、携帯端末機
[所持金]質素
[思考・状況]
基本行動方針:優勝する。
0.???
1.キャスター(ヴォルデモート)を利用し、死徒アーカードに対処する。
2.黒衣の男とそのバーサーカーには近づかない。
3.検索施設を使って、サーヴァントの情報を得る。
4.トオサカトキオミと接触する手段を考える。
5.真玉橋やシオンの住所を突き止め、可能なら夜襲するが、無理はしない。
6.この聖杯戦争に自分が招かれた意味とは、何か―――?
7.憎悪の蟲に対しては慎重に対応。
[備考]
※設定された役割は『月海原学園内の購買部の店員』。
※バーサーカー(ガッツ)、セイバー(ロト)のパラメーターを確認済み。宝具『ドラゴンころし』『狂戦士の甲冑』を目視済み。
※『月を望む聖杯戦争』が『冬木の聖杯戦争』を何らかの参考にした可能性を考えています。
※聖陣営と同盟を結びました。内容は今の所、休戦協定と情報の共有のみです。
 聖側からは霊地や戦力の提供も提示されてるが突っぱねてます。
※学園の校門に設置された蟲がサーヴァントであるという推論を聞きました。
 彼自身は蟲を目視していません。
※トオサカトキオミが暗示を掛けた男達の携帯電話の番号を入手しています。
→彼らに中等部で爆発事故が起こったこと、中等部が休講になったこと、真玉橋という男子生徒が騒ぎの前後に見えなくなったことを伝えました。
※真玉橋がマスターだと認識しました。
※寺の地下に大空洞がある可能性とそこに蟲の主(シアン)がいる可能性を考えています。
※キャスター(ヴォルデモート)陣営と同盟を結びました。
 アーカードへの対処を優先事項とし、マスターやサーヴァントについての情報を共有しています。


【セイバー(オルステッド)@LIVE A LIVE】
[状態]通常戦闘に支障なし
[装備]『魔王、山を往く(ブライオン)』
[道具]特になし。
[所持金]無し。
[思考・状況]
基本行動方針:綺礼の指示に従い、綺礼が己の中の魔王に打ち勝てるか見届ける。
1.綺礼の指示に従う。
2.「勇者の典型であり極地の者」のセイバー(ロト)に強い興味。
3.憎悪を抱く蟲(シアン)に強い興味。
[備考]
※半径300m以内に存在する『憎悪』を宝具『憎悪の名を持つ魔王(オディオ)』にて感知している。
※アキト、シアンの『憎悪』を特定済み。
※勇者にして魔王という出自から、ロトの正体をほぼ把握しています。
※生前に起きた出来事、自身が行った行為は、自身の中で全て決着を付けています。その為、『過去を改修する』『アリシア姫の汚名を雪ぐ』『真実を探求する』『ルクレチアの民を蘇らせる』などの願いを聖杯に望む気はありません。
※B-4におけるルール違反の犯人はキャスターかアサシンだと予想しています。が、単なる予想なので他のクラスの可能性も十分に考えています。
※真玉橋の救われぬ乳への『悲しみ』を感知しました。
※ヴォルデモートの悪意を認識しました。ただし気配遮断している場合捉えるのは難しいです。


【キャスター(ヴォルデモート)@ハリーポッターシリーズ】
[状態]健康、魔力消費(中)
[装備] イチイの木に不死鳥の尾羽の芯の杖
[道具]盾の指輪(破損)、箒、変幻自在手帳
[所持金]ケイネスの所持金に準拠
[思考・状況]
基本行動方針:聖杯をとる
1.綺礼と協力し、アーカードに対処する。
2.綺礼を通じてカレンを利用できないか考える。
3.シオンからの連絡に期待はするが、アーチャーには警戒。
4.ケイネスが起きたら一応合流して面通しくらいはする。
5.〈服従の呪文〉により手駒を増やし勝利を狙う。
6.ケイネスの近くにつき、状況に応じて様々な術を行使する。
7.ただし積極的な戦闘をするつもりはなくいざとなったら〈姿くらまし〉で主従共々館に逃げ込む
8.戦況が進んできたら工房に手を加え、もっと排他的なものにしたい


[備考]
※D-3にリドルの館@ハリーポッターシリーズがあり、そこを工房(未完成)にしました。一晩かけて捜査した結果魔術的なアイテムは一切ないことが分かっています。
 また防衛呪文の効果により夕方の時点で何者か(早苗およびアシタカ)が接近したことを把握、警戒しています。
※教会、錯刃大学、病院、図書館、学園内に使い魔の蛇を向かわせました。検索施設は重点的に見張っています。
 この使い魔を通じて錯刃大学での鏡子の行為を視認しました。
 また教会を早苗が訪れたこと、彼女が厭戦的であることを把握しました。
 病院、大学、学園図書室の使い魔は殺されました。そのことを把握しています。
 使い魔との感覚共有可能な距離は月海原学園から大学のあたりまでです。
→現在学園と教会とルーラーの近くに監視を残し、他は図書館と暴動の起きているところを探らせ、アーカードとついでに搬入業者を探しています。
※ジナコ(カッツェ)が起こした暴行事件を把握しました。
※洗脳した教師にここ数日欠席した生徒や職員の情報提供をさせています。
→小当部の出欠状況を把握(美遊、凛含む)、加えてジナコ、白野、狭間の欠席を確認。学園は忙しく、これ以上の情報提供は別の手段を講じる必要があるでしょう。
→新たに真玉橋、間桐桜について調べさせています。上記の欠席者の個人情報も入ってくるでしょう。
※資料室にある生徒名簿を確認、何者かがシオンなどの情報を調べたと推察しています。
※生徒名簿のシオン、および適当に他の数名の個人情報を焼印で焦がし解読不能にしました。
※NPCの教師に〈服従の呪文〉をかけ、さらにスキル:変化により憑りつくことでマスターに見せかけていました。
 この教師がシオンから連絡を受けた場合、他の洗脳しているNPC数人にも連絡がいきヴォルデモートに伝わるようにしています。
※シオンの姿、ジョセフの姿を確認。〈開心術〉により願いとクラスも確認。
※ミカサの姿、セルベリアの姿を確認。〈開心術〉によりクラスとミカサが非魔法族であることも確認。
 ケイネスの名を知っていたこと、暁美ほむらの名に反応を見せたことから蟲(シアン)の協力者と判断。
※言峰の姿、オルステッドの姿を確認。〈開心術〉によりクラスと言峰の本性も確認。
※魔王、山を往く(ブライオン)の外観と効果の一部を確認。スキル:芸術審美により真名看破には至らないが、オルステッドが勇者であると確信。
※ケイネスに真名を教えていません。
※カレンはヴォルデモートの真名を知らないと推察しています。
※図書館に放った蛇を通じてロトとアーカードの戦闘を目撃しました。
 それとジナコの暴行事件から得た情報によりほぼ真名を確信しています。
※言峰陣営と同盟を結びました。
 アーカードへの対処を優先事項とし、マスターやサーヴァントについての情報を共有しています。
 それによりいったん勇者ロトへの対処は後回しにするつもりです。


【C-3 /月海原学園、宿直室/一日目 夜間】


【ケイネス・エルメロイ・アーチボルト@Fate/Zero】
[状態]睡眠、健康、ただし〈服従の呪文〉にかかっている
[令呪]残り3画
[装備] 月霊髄液(ヴォールメン・ハイドラグラム)、盾の指輪
[道具]地図 、自動筆記四色ボールペン
[所持金]教師としての収入、クラス担任のため他の教師よりは気持ち多め?
[思考・状況]
基本行動方針:我が君の御心のままに
0.仮眠中。零時には目覚めるよう自己暗示済み。
1.起きたらキャスターの指示に従い、合流する。
2.他のマスターに疑われるのを防ぐため、引き続き教師として振る舞う
3.教師としての立場を利用し、多くの生徒や教師と接触、情報収集や〈服従の呪文〉による支配を行う
[備考]
※〈服従の呪文〉による洗脳が解ける様子はまだありません。
※C-3、月海原学園歩いて5分ほどの一軒家に住んでいることになっていますが、拠点はD-3の館にするつもりです。変化がないように見せるため登下校先はこの家にするつもりです。
※シオンのクラスを担当しています。
※ジナコ(カッツェ)が起こした暴行事件を把握しました。
※B-4近辺の中華料理店に麻婆豆腐を注文しました。
→配達してきた店員の記憶を覗き、ルーラーがB-4で調査をしていたのを確認。改めて〈服従の呪文〉をかけ、B-4に戻しています。
※マスター候補の個人情報をいくつかメモしました。少なくともジナコ、シオン、美遊のものは写してあります。





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ケイネス・エルメロイ・アーチボルト&キャスター(ヴォルデモート
カレン・オルテンシア

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最終更新:2017年02月24日 21:55