鳴上悠&バーサーカー ◆/k3Q/jYeig
一体、どこで間違ったのか……。
輝かしい日々は過ぎ去り、街は霧の中に沈んでいく。
妹のように可愛がっていた従姉妹は命を落とし、絆で結ばれたはずの仲間たちともよそよそしくなってしまった。
もし、できるなら。
あの日々をもう一度、やり直せるのなら。
そう望んだことは間違いだっただろうか。
しかし、偽りない本心だ。
もしやり直せるのなら、こんな結果にはなりはしない。
今度こそきっと、全てがうまくいく……してみせる。
深夜零時。
自室のテレビが突如点灯した。
俺は、吸い寄せられるように手を触れさせ……吸い込まれた。
「鳴上悠……お前には、機会をやろう」
久々に訪れる、テレビの中の世界。
失ったはずの力……テレビの中に入る力が、何故かその時は復活していた。
だが、そこは見覚えのある世界ではない。仲間であるクマもいない。
いたのは、見上げるほどに巨大な無機質な像。
「我が名はポラリス。すべての世界を管理するもの」
そいつは、俺を見下ろしていた。
圧倒的な存在感。今まで対峙してきたシャドウとは比べ物にならないプレッシャー。
紛れもない……そいつは、神と言ってもいいほどのバケモノなのだろう。
「かつて“希望”であり、今は何者でもなくなった敗北者よ。
お前には機会をやろう。世界をリセットし、全てをやり直す……選択の機会を」
「世界を……リセットする?」
「そうだ。お前の可能性は潰え、世界は霧に沈む。
そのような世界を存続させる意味はない。よって、私はお前達の世界の消去を決定した。
……しかし、お前次第では決定を覆しても良い」
「俺に、何をしろと言うんだ」
「“方舟”に趣き、万能の願望機たる聖杯を回収せよ。
あれは人の世にあってはならない。我らの管理が必要だ」
“神”は、俺に使命を下そうとしている。
だが疑問が涌いた。“神”だというのなら、何故自分でやらないのか。
ペルソナを失った俺に何ができるというのか。
「稼動状態に入った方舟には、私は干渉できない。
あれはもはや独立する“世界”……私の管理の外にある。
ゆえに、私の端末を侵入させて内部より掌握する以外ない」
「それが、俺なのか」
「そうだ。霧に沈む世界で、お前だけが過去から目を逸らしている。
お前の仲間たちはこれからもあの街で生きていくというのに、お前だけは霧の外……安寧へと逃げ出そうとしている」
違う、と言おうとした。
両親の都合だ。元から一年だけの滞在だった。
理由はいくらでもある。が、そんなものは言い訳にしか過ぎない。
鳴上悠は、拭えぬ過去から逃げ出して、忘れ去って、捨て去ろうとしているのだ。
「だからこそ、お前に機会を与える。
我が絶対の剣を従え、聖杯を獲得せよ。
それ以外にお前がやり直す道は……過去に戻る方法は、ない」
利用されるだけだ、と頭ではわかっている。
しかし……抗いがたい。
もし本当に、やり直せるのなら。
菜々子を救い、仲間と笑いあい、事件を解決する。
あの二度とない日々を、今度こそ……
「……わかった。聖杯を手に入れて、あんたに捧げる。
そうすれば、俺の世界をやり直させてくれるんだな」
「保証しよう。我が指を一つお前に遣わす。
そしてお前の力……ペルソナも戻してやろう」
ポラリスから放たれた光が俺を打つ。
体の奥底から漲る力……覚えがある。
叫んだ。
「ペルソナ!」
現れたのは、俺が初めて手に入れた“力”……イザナギだった。
後に俺が手にした数々のペルソナに比べれば未熟で、頼りなく、弱い。
しかし今は、半身が戻ってきたことにたとえようもない高揚感を感じる。
「心せよ。それは私の意思を伝えるライン、失えば我が剣はお前をも喰らうだろう。
そして敗北者たるお前に“希望”の力はもはやない。
それで、お前は勝利せねばならない」
「構わない。チャンスが有るだけで充分だ。
俺は、今度こそ間違わない……やり遂げてみせる。今度こそ……!」
こいつが神なのか、あるいは悪魔なのか、それはわからない。
でもどうでもいいことだ。
俺はもう、一人殺している……なら、二人殺すも百人殺すも一緒だ。
やり直せれば、全てなかったことになる。
「これを持って行くがいい」
目の前にからんと木片が転がる。
俺はそれを拾いポケットに入れた。
代わりに取り出した眼鏡を落とし、踏みつける。
絆の象徴は……粉々になった。
これでいい。
俺はもう決断したのだから。
後戻りはしない。前に進むだけだ。
「行くがいい、我が契約者よ。
立ちふさがる全ての障害を打ち倒し、見事聖杯を持ち帰ってみせよ」
ポラリスの言葉が遠くなる。
視界の全てが光りに包まれる。
俺は、新たな戦場へと旅立っていく――
【クラス】
バーサーカー
【真名】
破軍星・ベネトナシュ
【パラメーター】
筋力C 耐久B 敏捷E 魔力B 幸運C 宝具B
【属性】
秩序・神
【クラススキル】
狂化:C 人類を殲滅するために遣わされた「絶対の剣」。生物というより意思を持たない兵器に近く、対話も交渉も不可能。
セプテントリオンが従うのは創造主であるポラリスのみであるため、マスターの指示は一切受け付けない。
ただし、マスターである悠のイザナギを通してポラリスとリンクしているため、イザナギを召喚していない間はベネトナシュを待機状態に置ける。
【保有スキル】
龍の眼光:B 一時的に敏捷を2ランクアップさせる。
【宝具】
「人間不可侵」
ランク:A 種別:対人(自身)宝具 レンジ:0 最大補足:自分
マスター・サーヴァント問わず種族:人間からの攻撃の一切を無効化する、常時発動型の宝具。
これは物理・魔術双方に適用され、人間であるかぎりはどんな英霊であろうとベネトナシュを傷つけることは不可能。
「神性」スキルを所持しているか、人間由来ではない宝具・武器を所持しているか、あるいは人間以外の存在か。
ベネトナシュを傷つけ得るのはこの三種類の方法に限られる。
【weapon】
アルカイド…敵全体に、万能属性による大ダメージを与える。
届かない祈り…敵1チームに対して、回復効果を受ける事ができない状態にする。
【人物背景】
あらゆる世界を管理する存在「ポラリス」によって生み出され、人類を殲滅すべく襲いかかる「絶対の剣」。
人間の世界に一日ごとに送り込まれるセプテントリオンの内の最後の一体。世界崩壊七日目、土曜の侵略者。
セプテントリオンは人間と人間が使役する悪魔によって倒される度、つまり一日ごとに対人間に向けて特化していく。
最後のセプテントリオンであるベネトナシュは人間からの干渉を、手段を問わ全て無効化する。
つまりベネトナシュは人間ではなく悪魔の力を用いて打倒しなければならないのだが、さらに人間が召喚した悪魔を強制的に送還する能力も備えている。
これによって人間・悪魔双方の攻撃を封じ、効率的に人類を殲滅する恐るべき敵である。
本来は英霊ではなく、そもそも地球上の生命体ですらないため、サーヴァントとして召喚された際は能力が減殺される。
物理反射・他のセプテントリオンの能力の模倣・子機の召喚・悪魔の送還、この四つの能力が失われている。
【サーヴァントとしての願い】
人類殲滅
【基本戦術、方針、運用法】
ベネトナシュは大半のサーヴァントに圧倒的なアドバンテージを持つ。
ただし相応に魔力消費も激しいので、無駄に戦闘を重ねるのではなく複数のサーヴァントが争っているところに放り込み、一網打尽を狙うのがいい。
【マスター】
鳴上悠@ペルソナ4
【参加方法】
ポラリス@デビルサバイバー2によって送り込まれる。
【マスターとしての願い】
聖杯を手に入れてポラリスに献上し、その報酬として一年をやり直す
【weapon】
日本刀
【能力・技能】
ペルソナ「イザナギ」
誰しも持っている、心に秘めた「もう一人の自分」のこと。
人が事物と関わる時、面(おもて)に現れる相。神話的な由来を持ち、力の覚醒者のみ使役できる。
特性は電撃耐性、疾風(風)弱点。外見は黒コートをまとった人型であり、薙刀のような長刀を装備する。
ジオ 敵一体に電撃小ダメージを与える。
スラッシュ 敵一体に物理小ダメージを与える。
タルカジャ 次回の攻撃時のみ、自分もしくは味方一体の筋力・魔力を1ランクアップさせる。
ラクカジャ 次回の被攻撃時のみ、自分もしくは味方一体の耐久・魔力を1ランクアップさせる。
ラクンダ 次回の被攻撃時のみ、敵一体の耐久・魔力を1ランクダウンさせる。対象に対魔力スキルが有れば無効化される。
【人物背景】
両親が海外出張の為、1年間、母方の叔父が住む田舎町である稲羽市八十稲羽(いなばしやそいなば)に越してきた。
引越し早々発生した連続殺人事件に身近な人達が巻き込まれるのを防ぐために、陽介と特別捜査隊を結成し、事件解決に挑んでゆく。
クールな風貌と、時折見せるくだけた言動から人気を集めていくカリスマ性を持つ。
ワイルドという能力によって複数のペルソナを使いこなすことができ、冒険中に戦闘を通じて獲得したり、
複数のペルソナを素材とする「ペルソナ合体」で生み出したりして収集したペルソナを、状況に応じて自在に付け替えることができる。
が、運命に負けた彼はペルソナとワイルド能力を失っている。今聖杯戦争でイザナギを使えるのはポラリスの祝福を受けたため。
イザナギはそのままポラリスの意思受諾装置でもあるため、イザナギを失った瞬間ベネトナシュは人間の無差別殺戮を開始する。
これはマスターとて例外ではなく、令呪を以ってしても制御できない。
【方針】
イザナギを出さなければベネトナシュも活動しないので、できるだけ潜伏して他のマスターの脱落を待つ。
最終更新:2014年07月06日 19:54