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スタンド・アップ・フォー・リベンジ ◆7DVSWG.5BE


「すまない……」

ウェイバー・ベルベットは俯きながらニンジャスレイヤーに謝罪の言葉を述べた。別にウェイバーにしんのすけを助ける義理はない。しかし彼の善良さがしんのすけを助け、彼の善良さがしんのすけを助けられなかったことに対して謝っていた。

「そこのオッサンがしんのすけを殴っているのを見かけたので魔術を使って動きを止めたんだが……オッサンの影にモンスターが潜んでいてしんのすけに魔術を使った……それを喰らって……」

しかしニンジャスレイヤー、いやフジキド・ケンジにはウェイバーの言葉はまるで耳に入っておらず、しんのすけが消えゆく瞬間と最後の言葉が脳内で再生し続けていた。

「と……ちゃ……」「と……ちゃ……」「と……ちゃ……」

「イヤーッ!」

フジキドはカラテシャウトを発しながら突如アスファルトにチョップを打ち付ける!

「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」
「アイエー!!!アイエー!!!」

ニンジャスレイヤーがチョップを打つ姿をみたNPCはさらなるニンジャリアリティ・ショックを発症し泡を吐いて失神!

「おい!あのアサシン何をしているんだ!?」

ウェイバーはニンジャスレイヤーの突然の行動に驚きの声をあげるが、かまわずチョップを打ち続ける!アスファルトは蜘蛛の巣状にひび割れ、手はチョップの連打により傷つき血が滴っているが構わず打ち続ける!目には血の涙が流れていた。

(((私はあの時とまるで変わっていない!また救えなかった!)))

ニンジャスレイヤーがニンジャになっていない、まだフジキド・ケンジだった頃。クリスマスにフジキドの妻であるフユコ、息子のトチノキと三人はマルノウチ・スゴイタカイビルの中にあるセルフテンプラ・レストランで食事を楽しんでいた。

マケグミは暗黒メガコーポに搾取され、カチグミは些細なミスでセプクやケジメを強いられ、ストレスで心身を壊してしまう。そんなマッポー都市ネオサイタマで上手く立ち回り、家族とレストランで食事を楽しむという細やかな幸せを得ていた。

「こうして今年もここに来れてよかったわね」「ニンジャだぞー!ニンジャー!」

狂ったようにジャンプしてニンジャの真似をする幼いトチノキの様子をフユコとフジキドは微笑ましく見ている。フジキドはカチグミにならずともこの生活を維持できれば十分と考えていた。しかしそんな細やかな幸せを得ることはなかった。

KA-DOOOOM!!「ラオモト=サンまだ生存者が居ますがどうされますか?」「構わん殺せ。ここにいる人間はカチグミでもなくネオサイタマの経済に何も影響もないクズだ」
「はい」

爆炎が漂う店内でフユコとトチノキは無慈悲にもフジキドの目の前でニンジャによって心臓をカタナで貫かれ生涯を終える。フジキドは身動きがとれずその光景を目に焼き付けることしかできなかった。そしてその後、フジキドの憎悪に呼応したようにナラク・ニンジャが憑依、こうしてマルノウチ・スゴイタカイビルでニンジャを殺すもの「ニンジャスレイヤー」が誕生する。

◆ ◆ ◆◆ ◆ ◆◆ ◆ ◆◆ ◆ ◆◆ ◆ ◆

ニンジャスレイヤーがチョップを打ち続ける姿をウェイバーとデッドプールは見続けている。

「あのアサシン、バーサーカーじゃないよな?」


ウェイバーはもちろんニンジャスレイヤーがバーサーカーのクラスではないことは勿論知っている。だがチョップを打ち続ける姿に狂気を感じられずにいられなかった。


「まあ、トチノキと近い年齢のマスターが目の前で消えたんだ。トラウマピンポイントすぎて、ああなるのもしょうがないと俺ちゃんは思うのよ」


デッドプールは意味が分からないことを述べ、ウェイバーはまたいつもの意味不明な発言と決め無視。


(((グググ……なんという無様!あのアサシンもスレイせずにノコノコと逃げおって!さらにあの貧弱な小僧を失うなど愚の極み!)))


チョップを打つニンジャスレイヤーのニューロンにナラクの罵倒が響く、罵倒はさらに続いていく。


(((お前の脆弱な精神とカラテにはほとほと愛想が尽きたわ!ワシと代われフジキド!ワシがあのアサシンやキャスターを縊り殺してくれるわ!)))

(((できるのか?)))


普段のニンジャスレイヤーなら今のナラクの助言ではない戯言など一蹴する。
しかし目の前でしんのすけを失うという自分にとって最大のトラウマと言える状況に酷似した体験してしまった為精神が傷つき、意志が弱まり、
その結果ナラクの言葉に反応してしまう。


(((そうだ!ワシならできる!あのノートを持った隠れるしか能がないサンシタも!あの小僧を殺したキャスターも全員殺せる。速く身体を渡すのだ)))

(((アサシン!キャスター!)))


しんのすけを殺したモンスターを送り込んだバーン、モンスターにしんのすけを殺せる状況をお膳立てしたベルクカッツェ、その二人をナラクならスレイできる。
フジキドはしんのすけを目の前で失ったことで無力感に打ちひしがれていた。その弱り切った精神ではナラク甘言に抗えないのも仕方ない。


(((ナラクなら……ナラクなら!)))


暗黒の七日間と呼ばれる期間ニンジャスレイヤーはナラクに乗っ取られていた。その凄まじいカラテで次々とニンジャをスレイする圧倒的な力を覚えており、
自分では無理だがナラクならしんのすけの仇を取ってくれるという考えがニューロンの中に満ちていた。ナラクに身体を渡そうとしたその時!


(((ならぬ、フジキド。耳を貸すな)))


突如ナラクとは別の声、老人の声がニンジャスレイヤーのニューロン内に響き渡る!


(((センセイ?)))


ニンジャスレイヤーがセンセイと呼ぶ男性の名前はローシ・ニンジャと呼ばれる現代最後のリアルニンジャ。ドラゴン・ゲンドーソ!
暗黒の七日間、宿敵ダークニンジャとの戦いでナラクに呑み込まれかけていたニンジャスレイヤーを救い、ニンジャのインストラクションを授けた人物でニンジャスレイヤーの師といえる存在である。


(((これが最後のインストラクションだ、フジキド・ケンジ。ニンジャソウルに呑まれるなかれ、手綱を握るのはお前自身だ!)))


ゲンドーソの声はニンジャスレイヤーの記憶の中でその声を再現しているだけの幻聴と言われる類のものだ。しかしその声がナラクに身体を渡そうとしたニンジャスレイヤーを踏みとどまらせた!さらに!


(((……で、まあ色々あったけどよ……俺が学んだのは、私立探偵の世界じゃ、シリアスになり過ぎた奴から死ぬってことだな……)))


この声の主はタカギ・ガンドー、またの名はディテクティブ。キョウトでニンジャスレイヤーと共に行動したニンジャ。
私立探偵としての経験で培われた言動などニンジャスレイヤーに与えた影響は少なくない。


(((ワタシはシリアスになり過ぎていたのか?)))

ニンジャスレイヤーは無力感、そして怒りから復讐に囚われすぎていた。復讐を否定するつもりはない。ただ復讐をするにあたって過程が問題である。

ニンジャスレイヤーは正義の味方ではない。自分のエゴで身勝手にニンジャを殺していく復讐者である。多くのニンジャをスレイし、その過程で多くのモータルに被害を及ぼしてきた。
中にはニンジャに操られたモータルも殺してきた。

ただそれはニンジャをスレイする際に出した被害であり、操られたモータルを殺した際も殺さなければ自分に重大な被害が及ぶときのみだ。
自分の意志で意味もなくモータルに被害を及ぼしたことはない。殺す際にも一瞬ながら感傷する心も持ち合わしている。

被害を受けた関係者はニンジャスレイヤーが感傷を感じるかどうかは知ったことではない。
だがそれはニンジャスレイヤーが自分の人間性を失わないために越えてはならない一線であり頑なに守り続けてきた。

ただナラクに身体を明け渡せばその一線は軽く踏み越える。ニンジャをスレイする際は厄災めいてすべてを破壊し、
モータルも巻き込んでも感傷なども微塵も感じない。
それは人間性を捨て自分が最も憎むべき傲慢で不条理な怪物に成り下がることを意味するからだ!

そのことを思い出したニンジャスレイヤーはチョップを打つのを止め、その場にアグラ・メディテーションの姿勢を作り呼吸を整える。心をヘイキンテキにするために。


「スゥーッ、ハァーッ、スゥーッ、ハァーッ」

ニンジャスレイヤーはチャド―呼吸をしながら精神統一を行う。


(((何をしておるフジキド!早くワシに身体を渡すのだ!)))
(((ならぬ!)))


ニンジャスレイヤーは即答で否定する。


(((お前の脆弱なカラテ、そしてマスターのあの小僧が居なくて何ができる!アサシンもキャスターもスレイできず野たれ死ぬのが必定ぞ!)))


ナラクの言うことは正しい。スキルの単独行動で2日間は現界できるが、現界するだけであり、長時間戦闘をすれば魔力切れでその体は消え失せてしまうだろう。その状態でバーンやベルクカッツェと戦っても負ける可能性は極めて高い。それのことをニンジャスレイヤーは感じているがナラクを否定する。


(((否、キャスター=サンもアサシン=サンもワタシがスレイする。ニンジャを殺すのもサーヴァントも殺すのもワタシのエゴだ!お前が殺すのではない!ワタシのエゴで殺すのだ!)))


ニンジャスレイヤーはニンジャを殺してきた。妻子の復讐の為、あるいは自分のエゴで殺してきた。しかしナラクに身を任せれば自分のエゴは消え去りナラクのエゴで殺していく。それでは意味がないのである。
自分のエゴで殺すことこそフユコとトチノキの弔い、そして、しんのすけの弔いになる。これは狂人の考えで他の者には理解できないかもしれない。だがこれもニンジャスレイヤーが絶対に譲れない一線なのだ!


(((ナラク!お前に身体は渡さん!おとなしくしておれ!)))
(((グググ……)))

◆ ◆ ◆◆ ◆ ◆◆ ◆ ◆◆ ◆ ◆◆ ◆ ◆

一分間、二分間、時間は分からないが住宅街にはニンジャスレイヤーのチャド―独特の呼吸音だけが響いていた。

「地面にチョップ狂ったように打ったと思ったら、今度はアグラ組んで瞑想。あのアサシンの行動はまるでわからない……」

「え?チャド―もできないの?いつもイライラしてるからやってみれば?マジでチャド―はチートだよな!それか『前後』でもして一回落ち着いたら、ウェイバーちゃんは『上下』されるほうか」

「お前のせいでイライラしているんだよバーサーカー!」

そんないつも通りの会話を続けていると突如ニンジャスレイヤーは立ち上がりウェイバーの元へ歩き始めた。

「くるぞ……バーサーカー」

ウェイバーはしんのすけを助けられなかった。その恨みで襲ってくるのではと考えていた。

アサシンが何か仕掛けてもいつでも動けるように身構えたが、デッドプールはリラックスした状態で立つ。ウェイバーが緊張しているのが面白いのか、ヘラヘラしながらウェイバーを見ている。

ニンジャスレイヤーはウェイバーの目の前に立ち呟いた。

「ウェイバー=サン、しんのすけに身に何が起こったのか教えてくれるか……」
「え?」

ウェイバーは肩透かしを喰らう。


◆ ◆ ◆◆ ◆ ◆◆ ◆ ◆◆ ◆ ◆◆ ◆ ◆


ウェイバーは最初に説明したことをニンジャスレイヤーにまた伝えた。しんのすけに何が起きたのか、どのようにして生涯を終えたのかを。


「そうか……」


ニンジャスレイヤーは悲しみと怒りが混じった複雑な表情をしながらもウェイバーの話を聞いていた。一語一句聞き漏らさらぬように。
話し終った後にウェイバーはふと顔を覗いてみるとニンジャスレイヤーの目には恐ろしいほどの殺意が孕んでいる。
その殺意を感じ取ったウェイバーは失禁しかけるが魔術師としてのプライドかは分からないがなんとか失禁するのを堪える。

ただニンジャスレイヤーが発する威圧感に耐えきれなくなったのか場の空気を変える為にデッドプールに質問をなげる。


「しかし、あのNPCの異変は何だったんだ?NPCがしんのすけに襲い掛かっていたが、あれはバグか何かなのか?」


ちゃんとした答えは期待していない。むしろバーサーカーが支離滅裂なことを言って質問に答えないことを期待していたが、意外にもニンジャスレイヤーから質問の答えが返ってきた。


「あれはアサシン=サンのジツだ。アサシン=サンのジツは他人に何かしらの干渉を行い、NPCを操作するようだ」


ニンジャスレイヤーはベルクカッツェの宝具『形無き悪意の体現者』の能力をすべて理解していないが先ほどの別れ際の「親子喧嘩させたかった」という言葉、ウェイバーの話と気絶している野原ひろし。
その姿はニンジャスレイヤーが見かけた姿に似ていた。この情報から相手の憎しみや何かを増幅させていると仮定した。


「別のアサシンと交戦したのか?」「そうだ」


ニンジャスレイヤーはウェイバーにベルクカッツェの容姿や戦闘の際にどのようなジツを使用したかなどを簡潔に伝える。


「そんなサーヴァントがいるのか……」


ウェイバーはベルクカッツェの危険性を感じていた。NPCを操作できるということはこの聖杯戦争ではかなりのアドバンテージである。
もし日常生活の中で突如ひろしのように自分を襲ってきたら、さきほどは一人だから対応できたが大人数のNPCが襲い掛かってきたら対応できないかもしれない。
普通のサーヴァントなら自分の傍にいるので問題ないがバーサーカーは違う。独断で単独行動を取り自分の傍にいないこともしばしば有る。

ウェイバーがベルクカッツェの対応策に頭を抱えているなか、ニンジャスレイヤーは野原ひろしを悲痛な顔で見下ろす。

しんのすけの様子を見ている限り両親は善良な人間であり、その両親の教育がしんのすけを育てたのだろう。元気が良く、純粋で真っ直ぐ。
そんなしんのすけを育てた善良な父親の想いを捻じ曲げてしんのすけに暴力をふるわせた。もし自分が無理矢理にトチノキに暴力をふるわせられる状況になったら。
フジキド・ケンジはセプクしているだろう。

そして自分の両親に理不尽な暴力をふるわれ、絶望の中で息を引き取ったしんのすけの心情は計り知れない。

ベルク・カッツェと対峙してニンジャスレイヤーは理解した。あれは人の不幸で好きで好きで溜まらない、他人を不幸にして自分が楽しむためなら、ありとあらゆる手段をとる輩であると。それは自分のためにモータルを踏みにじり搾取するニンジャそのものだ。

またそんな毒虫のような性質を持つベルク・カッツェを自分の目的の為に平然と利用できるバーンも同じ穴のムジナと言えるだろう。


「アサシン=サン、キャスター=サン殺すべし!」


ニンジャスレイヤーは自分のエゴを再確認するように小声でつぶやく。


「ウェイバー=サン、バーサーカー=サン前にも頼んだが、一緒にキャスター=サンを討伐してくれるか?」


ベルク・カッツェとバーン。この二人をスレイするとしてどちらがやりやすいかといえばバーンだろう。ベルク・カッツェはアサシンのクラスだけあり隠密性が高く、すぐに見つけるのは困難だ。だがバーンの居場所は知っており恐らく自分の陣地からは動いてはいない。ならバーンからスレイすべし。

ニンジャスレイヤーの提案をするがウェイバーの反応は良いものではない。


「マスターを失ったアサシンとバーサーカーでキャスターの陣地に乗り込む。そんなの僕たちリスクが高すぎる」


ウェイバーの言うことは最もだ。ただでさえ多くの戦闘で魔力を消費している中でキャスターの陣地に乗り込んで戦闘。多くの戦いが予想され魔力消費は増加、下手したら魔力切れでバーサーカーが現界できない可能性がある。
仮に攻める場合でもウェイバーは足手まといになるため、デッドプール一人で行くことになる。あの制御困難なバーサーカーを一人で敵陣ど真ん中に向かわせるなど何がおこるか分からないのでとてもできない。

ニンジャスレイヤーはその答えを予想していたのかさらなる情報を加える。


「今日の12時を回るまでにキャスター=サンか足立=サンを殺さなければ自害しろという令呪をランサー=サンに使わせた。ランサー=サンは陣地に襲撃にくる。それに合わしてワタシとバーサーカー=サンが突入すれば3対1の状況を作るのは十分に可能だ」


「それは……」


この情報を聞いて、襲撃しないに傾きかけた天秤は五分に戻る。確かにリスクが大きいが一人のサーヴァントに対して三人で挑める状況は滅多にない。いくら強いと言えど一対三ならかなり有利に進める。
さらに耐魔力が高い三騎士の一人であるランサーならキャスターとはかなり相性が良い。

しかしいくつかの疑問点が浮かび、ニンジャスレイヤーに問いかける。


「でもすでにランサーがキャスターに挑んでやられていたらいる可能性があると思うが?」


「その可能性は低い。ランサー=サンは明らかに消耗していた。襲撃するにしても期限ギリギリまで回復に時間をあてるはずだ」


ニンジャスレイヤーはクーフーリンのカラテは本来の状態とは程遠いことを感じ取っていた。ならばすぐに襲撃はしないはずと推論する。だが短時間で魔力を回復する術があればこの推論は破綻する。


「そしてランサーが令呪を使って自害の命令をキャンセルしていたらどうするんだ?」


「……」


これはニンジャスレイヤーが一番危惧しているところだ。クーフーリンに命令した際はあくまでもバーンは自分がスレイをするつもりであり、クローンヤクザ程度にしか期待していなかった。
ゆえに無意識に令呪をもう一度使えばキャンセルできる命令にしたかもしれない。

しかし現状は変わり、ニンジャスレイヤーの目的を達成するためにはクーフーリンの存在は重要な位置を占めていた。


「そしてランサーが来てもいつ来るんだ?ランサーが来るまでキャスター陣地近くにずっと待つのは無理だからな。あのバカが長時間おとなしくできるわけがない」


そう言いながらウェイバーはデッドプールを指差し、その先のデッドプールは相変わらずあらぬ方向に顔を向け喋りかけている。


「俺ちゃんの日本での知名度が明らかに低いんだよね。おかしいと思いませんか?あなた。だからここは日本のヒーローとクロスオーバー映画を放映すべきだって!
仮面ライダー対デッドプールとかよくね?よしそれやろう!」


「なんかこの作戦穴だらけだな」


作戦の杜撰さに少し落胆しながらも、この作戦に乗るかどうか悩んでいた。キャスターは早めに叩く必要性は理解しており、それにしんのすけのように自分がモンスターに襲われる可能性を危惧していた。
そうなれば24時間休みなしに襲われれば心身は消耗して、今後の展開に重大な支障をきたすからだ。


「どうするのウェイバーちゃん~?俺は魔王ならゾーマ派だけど俺ちゃんとしてはバーン様の名セリフ「これはメラゾーマじゃない、メラだ」も聞きたいけどな~」


デッドプールはまるで自分には関係ないという態度をとりウェイバーを煽り立てる。ウェイバーはリスクとメリットの天秤がどちらに傾くか熟考している。そんな中。


「キャスター=サンの拠点の場所を伝えておく」


考え込む様子を見たニンジャスレイヤーは相手の反応に脈はないと判断し、念のためにバーン達の拠点の場所を伝えた。
デッドプールは当てにできない。その認識を固めバーンの元へ行くために霊体化して姿を消した。それを見たウェイバーは慌てて止める。


「ちょちょっと待てアサシン!アンタ携帯電話持っているか?」


その問いを聞いたニンジャスレイヤーは霊体化を解除する。


「それはIRC通信機めいたものか?持ってはおらぬ」
「じゃあちょっと待ってろ」


ウェイバーはニンジャリアリティ・ショックで失神しているNPCに近づき、ポケットの中に入っていた携帯電話を拝借する。

(すみません、ちょっと借ります)

心の中で謝りながら拝借した携帯をニンジャスレイヤーに渡す。


「もしランサーがキャスターの陣地に襲撃したら僕のケイタイに電話してくれ、キャスターの拠点からそこまで離れていない場所に待機している」


ウェイバーはリスクとリターンを吟味した結果、ランサーが現われたらキャスター襲撃の作戦に参加する決意をする。ただ。


「だが18時までにランサーが来なかったら、僕は自分の自宅に帰る。その後連絡が来ても、場所の都合で駆けつけるのが遅くなるけど、それでいいな?」


キャスターを早期に潰す必要性は理解しているが、もう一つ自分がマスターと知られないことも重要である。NPCの時は夜に外出することはなく自宅に居ることが多かった。
何がきっかけでばれるか分からない。ランサーを来るのを待って帰宅するのが遅くなり怪しまれることは極力避けたかった。


「了解した」


ニンジャスレイヤーもウェイバーの反応からバーン襲撃に参加しないと思っていただけに時間が掛かっても参加してくれるだけでも充分だった。

ウェイバーから自分のケイタイに電話できるように調整された電話を手に取り、この場を離れようとするが、ふとしんのすけの身体に手を伸ばし掴み取れなかった地点に目線を移す。
その目には怒り、悲しみ、後悔など様々な感情が映し出されていた。



(((しんのすけ……オヌシを守れなくてすまなかった。そしてしんのすけのオトウサン、オカアサン。
オヌシらの息子を守れなくてすまなかった。ワタシがオヌシのためにしてやれることはアサシン=サンとキャスター=サンの首をお前の墓前に捧げることしかできぬ。
だが必ず二人の首を持ってここに帰ってくる!まずキャスター=サンの陣地を奴のオブツダンにしてくれる!)))


「WASSHOI!!」


自分を大きな困難の前に自分を鼓舞する独特のシャウトを発し、夕焼けがまぶしい住宅街から消えた。ニンジャスレイヤーが消えた街中に残されたウェイバーは。


「どこで待機するかな」


待機できる場所がないか探すために住宅街を後にする。

【B-4 野原家周辺/一日目/夕方】

【ウェイバー・ベルベット@Fate/zero】
[状態]魔力消費(大・食事を取って回復中)、心労(中)
[令呪]残り2画
[装備]なし
[道具]仕事道具
[所持金]通勤に困らない程度
[思考・状況]
基本行動方針:現状把握を優先したい
1.キャスター(大魔王バーン)の陣地に乗り込む。だが18時までに連絡が来なかったら自宅に帰る
2.バーサーカーの対応を最優先でどうにかするが、これ以上、令呪を使用するのは……
3.B-4地区のキャスター(大魔王バーン)は要警戒。要警戒だぞ! わかってるな、バーサーカー!!
4.バーサーカーはやっぱり理解できない
[備考]
※勤務先の英会話教室は月海原学園の近くにあります。
※シャア・アズナブルの名前はTVか新聞のどちらかで知っていたようです。
※バーサーカー(デッドプール)の情報により、シャアがマスターだと聞かされましたが半信半疑です。
※午前の授業を欠勤しました。他のNPCが代わりに授業を行いました。
※野原しんのすけ組について把握しました。
※アサシンからキャスター(大魔王バーン)とそのマスター(足立)、あくまのめだま・きめんどうし・オーク・マドハンド・うごくせきぞうの外見・能力を聞きました(じんめんちょうについては知りません)
  また、B-4倉庫の一件がきめんどうしをニンジャが倒したときの話だと理解しました。
※キャスター(大魔王バーン)の『陣地構成』を『魔力を元に使い魔(モンスター)の量産を行う場所を生成する』であると推察しています。
  また、『時間が経てば経つほど陣地が強固になる』というキャスターの性質上、時間経過によってさらに強靭なモンスターが生み出されるのではとも考えています。
  結果としてキャスター(大魔王バーン)を『できる限り早いうちに倒す・陣地を崩す必要がある存在』と認識しました。
※アサシン(ベルク・カッツェ)の外見と能力をニンジャスレイヤーから聞きました。
※ランサー(クーフーリン)が。令呪で「日が変わるまでにキャスター、足立透を殺さなければ自害」という命令がされていることを知りました
※足立透とキャスターの陣地の住所を聞きました。
※バーサーカーから『モンスターを倒せば魔力が回復する』と聞きましたが半信半疑です。
※放送を聞き逃しました


【バーサーカー(デッドプール)@X-MEN】
[状態]魔力消費(小)、全身にスリケンが突き刺さってできた傷(ほぼ完治)、腕がズタズタ(ほぼ完治)、満腹
[装備]ライフゲージとスパコンゲージ(ひしゃげてるし傷だらけだけどほっときゃそのうち直る)
[道具]なし
[思考・状況]
基本行動方針: 一応優勝狙いなんだけどウェイバーたんがなぁー
1. 絶対に俺ちゃんと仮面ライダーとのクロスオーバー映画を放送したほうが良い!
[備考]
※真玉橋孝一組、シャア・アズナブル組、野原しんのすけ組を把握しました。
※『機動戦士ガンダム』のファンらしいですが、真相は不明です。嘘の可能性も。
※『クレヨンしんちゃん』を知っているようです。
※モンスターを倒したので魔力が回復しました。本人が気づいているかどうかは不明です。
※悪魔の目玉はその場のノリ(地の文を読んだ結果)話しかけてからブチ殺しました。
 しかし宝具の性質と彼の性格上話しかけた理由を後々の話で覚えてない可能性は高いです。
※作中特定の人物を示唆するような発言をしましたが実際に知っているかどうかは不明です。
※放送を聞き逃しました。


ニンジャスレイヤーは全速力のスプリントでキャスターの陣地があるマンションに向かっていた。
そのスピードはモータルには色の着いた風にしか見えないほどだ。そんな中ナラクがニンジャスレイヤーに語りかける。


(((フジキド。これからどうするのだ?お前の貧弱なカラテではキャスターをスレイすることは夢のまた夢ぞ)))
(((足立=サンをマスターにする)))
(((ほう)))


ニンジャスレイヤーがバーンとベルク・カッツェをスレイする為にしなければならないことは早急に新たなマスターを探すことであった。
スキルの単独行動で二日間現界できる。しかし突発的な戦闘などで魔力を消費してしまえば、限界可能時間はさらに短くなる。
だがこの広いフィールドで誰がマスターか手がかりが無い状態で探すことは現界が可能な2日間でも探し出せない可能性は低くない。
さらにマスターの数は時間が経てば確実に減っていく、悠長にしている暇はない。

ならば面識があり所在がある程度分かるマスターを新たなマスターにすべきである。
候補としてウェイバー・ベルベット、遠坂凛、足立透の三人。

まずウェイバーだが、ウェイバーのサーヴァントになるためにはデッドプールを殺さなければならない。
あの圧倒的な回復力の前では長期戦に持ち込まれ魔力が枯渇して消えてしまうので除外。

足立透と遠坂凛。ランサーが令呪によって日が経つまでにキャスターか足立を殺さなければならず、
ランサーとキャスターの戦闘はどちらかが死亡する可能性は極めて高い。
ならば足立か凛の近くに潜み、どちらかのサーヴァントが死亡した瞬間にニンジャスレイヤーが再契約を迫れば楽にことが運べる。

ではどちらに近くに潜むか?凛をマスターにする場合だが、まず凛の所在を探さなければならない。
凛と最後に出会った場所は遠坂邸で会ったのが最後で、そこから足取りは不明。他のマスターを探すよりかは簡単だが探すのに時間がかかるだろう。

一方、足立の所在はニンジャスレイヤーの知るところであり見つけることは容易である。
ただし傍に潜むにはバーンの陣地に入らなければならず、
陣地内の索敵装置は強力なものを置いているはずでありアサシンの気配遮断スキルでも見つかる可能性もある。
それにもし陣地内で見つかれば逃走は難しくなる。

リスクを考えれば凛を探したほうが楽かもしれないがニンジャスレイヤーはあえて足立の傍に潜むことを選択する。
その理由としてはバーンをスレイする機会が増えるからだ。

クーフーリンがバーンの陣地に侵入した後にどさくさに紛れればクーフーリンに注目が集まり陣地内に索敵装置があったとしても侵入しやくなる。

そして侵入が成功し、クーフーリンとバーンの戦闘、もしくはクーフーリン&デッドプール対バーンの戦闘が始まればますますニンジャスレイヤーを見つけることは困難。

バーンをアンブッシュ攻撃で殺害する。または足立を見つけ脅迫し令呪を使わせて自害させるなどバーンをスレイできる可能性は高くなる。

足立の傍に潜めばバーンをスレイし、足立という新しいマスターを得ることができる。まさにアブハチトラズ!

しかしあくまでも足立をマスターにすることが理想であり、状況によってはバーンの陣地に凛も侵入しておりランサーが死んだ場合は遠坂凛と再契約する。
知らないマスターとサーヴァントが侵入してサーヴァントを失ったならそのマスターと再契約する。状況判断が重要だ。

そんなことを考えているうちにニンジャスレイヤーは足立とバーンの陣地近くにたどり着く。
ニンジャスレイヤーは足立のマンションから直線距離数百M離れている別のマンションの屋上に座り込む。
屋上につくと床に携帯電をを置き、体を霊体化し身を隠し出入り口などの周辺の監視を始める。

屋上までの道のりに悪魔の目玉に見られないように細心の注意を払っていた。
もともと悪魔の目玉を知っていたこと、アサシンの気配遮断スキルを擁していたことにより悪魔の目玉に見つかることなくたどり着くことに成功する。

攻勢に回ったニンジャスレイヤーは驚異だ。
かつてネオサイタマにソウカイヤ、キョートにはザイバツと呼ばれる政府より力を持つ巨大企業を裏から操っている二大ニンジャ組織があった。
しかしその二大ニンジャ組織はニンジャスレイヤーほぼ一人に壊滅させられた。そんな与太話めいたことを攻勢に回ったニンジャスレイヤーはできるのだ!

こうして生き残ったニンジャスレイヤーは攻勢に回りバーンの陣地を襲撃する計画を立てバーンに牙を向く。
それすらバーンにとって取るに足らないことであり計画ごとニンジャスレイヤーを粉砕するのか。

それともソウカイヤやザイバツと同じように小蠅と侮ったことで壊滅させられたようにバーンも致命的な傷を負ってしまうのか。

しかし現時点ではニンジャスレイヤーの不利と言える。コンディションの面では、マスターの不在。
バーン陣地襲撃作戦もクーフーリンの行動による不確定要素が多く、実際状況は芳しくない。
しかし平安時代に活躍した稀代の哲学剣士ミヤモト・マサシのコトワザにこのようなものがある。

『環境に文句を言うものに晴れ舞台は一生来ない』

不利な状況でも今現在で自分にとっての最善の手を打たない限り勝利はこない。
今の行動が最善手とニンジャスレイヤーは信じ、息を殺しクーフーリンが襲撃するのを待ち続ける。





B-4 足立宅マンション近く周辺/一日目/夕方
【アサシン(ニンジャスレイヤー)@ニンジャスレイヤー】
[状態]魔力消耗(中)、全身に擦り傷、マスター喪失
[装備]なし
[道具]なし
[思考・状況]
基本行動方針:しんのすけを弔うためにキャスター=サン(バーン)アサシン=サン(ベルク・カッツェ)殺すべし!
1.新しいマスターを探す。第一候補、足立透、第二候補、遠坂凛
2.:ランサーの襲撃に乗じてバーンパレスに忍び込む。状況判断でバーンに足立を見つけ確保。その後に令呪でバーンを自害させる
3.隙あらばアンブッシュでキャスター=サン(バーン)をスレイする



[備考]
※放送を聞き逃しています。
※足立とキャスターが住んでいるマンション付近に潜伏していますが、二日目の0時を過ぎれば次の行動に移るつもりです。
※ウェイバーからNPCの携帯電話を借りました。



BACK NEXT
111:シュレディンガーの性別 投下順 113:角笛(届かず)
111:シュレディンガーの性別 時系列順 114:days/bugs disillusion

BACK 登場キャラ:追跡表 NEXT
108:ゼア・イズ・ア・ライト ウェイバー・ベルベット&バーサーカー(デッドプール 116:導火線に火が灯る
アサシン(ニンジャスレイヤー