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A_Fool_or_Clown? ◆HOMU.DM5Ns




「ど―――うしてくれるんだよっ!!」

絶叫。叫喚。
不安に焦燥に恐怖に怒り。
それらが纏めてない混ぜになった、そう呼ぶのに相応しい声だった。

乱れ切った髪を手で掻き、立ち止まって落ち着くことが出来ず同じ場所を何度もせわしなく往復する。
現実のマンションとは空間が隔てられた魔術神殿の内部。
他者の目を気にする必要のない自分だけの陣地で、足立透は思うまま唾が飛ぶ勢いで声を荒げる。



正午に通達されたルーラーからの定時報告。
新たな情報は、方舟に集ったマスターとサーヴァントの数。
二十八組という多さだけでも気を揉む事実だというのに、追い打ちをかけたのは警告の旨。
B-4地区で起きた重大な違反行為を犯した主従への最後通牒。
どう考えても、自分達の「魂喰い」―――正確には行ったキャスターだが―――に対しての宣言だ。
マンション住人全員を一度に捉え、魔力炉の餌に変える。外に知れれば処罰の対象にされるのは必然。
徹夜の朝帰りの疲れを取るため昼まで惰眠を貪っていた中で聞こえた『声』。
足立の目を覚醒させるには十分過ぎた内容だった。


「もう完全バレれてるじゃないか、なにが心配はないだよあのブタ野郎!とんだ詐欺だよ!
 違う、僕じゃないぞ、やったのは僕じゃない。アレはキャスターが勝手にやったことなんだ。
 責任は全部あいつにあるんだ。僕はこの件に一切関わってない。だから罰を受けるのは僕じゃない!
 ああくそ、くそくそクソクソクソクソ……!」


飢えた肉食獣に飛びかかれたような、猛烈なストレスが足立の全身を襲う。
これから先、ルーラーや他の参加者がよってたかって自分を糾弾に来るかと思うと苛立ちで胃が捻じれて痛む。
現実で追い詰められたことでテレビに逃げ、知らぬ間に着いた月の中ですら自分の居場所が潰される。
そんなのには耐えられない。耐えたいとすら思えない。
誰に向けたわけでもない言い訳を並べるほどに足立の精神は急速に磨り減らされていった。



ルーラーの通達に対し憐れな程狼狽する足立だが、苛立ちの原因はそれとは別にもうひとつあった。
情報と違い目に見えてこの場にいる分、感情の発露はむしろより際立っていた。

「それでさあ……おたくはなに優雅やってんのかなあキャスター!
 あのさ、放送聞いたよね?状況わかってるよね?
 そっちの不手際のせいで、僕までとんだ問題抱えることになっちゃったじゃんか!?」

すぐ傍で悠然と玉座に腰かけているローブを纏う老体。
自分の目の前で慌てふためく足立をいないものとして扱うかのように。
どこから調達してきたのか、グラスに注がれた葡萄酒を優雅に仰いでいる。
足立のサーヴァント―――キャスターは、今までと変わらぬ極めて落ち着き払った様子で足立へと目線を移した。

「騒ぐなアダチよ。酒が不味くなる。
 不様な立ち居振る舞いはサーヴァントである余の沽券にも関わる。
 余のマスターであるからには、貴様にも相応の度量と慎みを保ってもらわねばならない」
「飲んでる場合かよこの状況でェ―――!?」

常ならばその絶対的な力に安心感を覚える所であるが、今ばかりは尚更足立の神経を逆撫でさせる結果にしかならないでいた。
いったいどうしてここまで落ち着いていられるのか。
もしや放送を聞きそびれたのではないのか。
己と対照的に余裕の姿勢を崩さないキャスターの存在が、逆に自分を卑小に映させているからだ。

今すぐ詰め寄り手に持つグラスを叩き落としたい衝動に駆られかけるが、すんでの所で自制する。
マスターとサーヴァントの力の差は歴然だ。足立などその気になれば瞬きの内に始末されるだろう。
生命線である自分を害する真似などしないと信じているが、不安はあった。
何より今の状況はまったく安心できない。文句のひとつも言いたくはなっていた。



「それでは聞くが。いったいどの点が問題だというのだ?」
「は?」

キャスターはしかし、相変わらず冷静なままで質問を返してきた。
その一言は、まるで魔法のように足立の耳に入り込み、加熱した脳を急速に冷ましていく。

「此度の放送で伝えられた事項。それらが我々にもたらすものを今一度考えてみよ。
 少しは冷えたその頭ならば、なにか見えるものがあるであろう」
「なにって、そりゃあさ……」



恐怖も焦りもまったく感じられない不動の王を見て、ようやく足立も激情が沸点を下回り始める。
毒気を抜かれ、先程とはうってかわって足立は黙り込む。
公開された参加者の人数。
ルール違反者への勧告。
今し方明かされた悩みの種について、改めて考えを巡らせひとつひとつを確かめるようにキャスターへと問いかける。

大魔王の言葉に耳を貸しているうちに、足立の精神は元の平静さを取り戻していた。


「……あの警告は、間違いなく僕らに向けられたものだよな?」
「明言はしておらぬが十中八九そうだ。この地区で余以外に大規模な違反行為の気配は感じ取れん。
 「たかだか」二百五十人を挿げ替えたに過ぎないというのに律儀な話だ。
 ではなぜ明言を、違反者である我々を名指しすることをしなかったのか。
 全体への通達ゆえに詳細は伏せると言ったが、ではなぜ即刻取り締まらずに警告だけで済ませているのか。
 貴様の立場から見て、どう判断する」
「僕の立場、って……」

些か以上に物騒な台詞が聴こえたが今は流す。
足立の立場、即ちは警察官という職務。
街で起きた事件を調査し、犯人を突き止め捕縛し、その存在を世間に公表する。
その役目の観点から事態を俯瞰すれば、ひとつの結論が導かれる。


「あいつら……ひょっとして違反者が誰かって、いや何をやったかまでは知らないのか?」

重大なルール違反を犯した。
その意味するところは大きいが、逆に放送で公にされた情報は結局はそれのみだ。
当事者であるキャスター達だからこそ詳細を知り得ているのであり、他のマスターはその内実の殆どを把握してないはずだ。
そもそも、そこにいるサーヴァントの名すら知らないだろう。せいぜいが朝方での赤黒のアサシンだ。

ルールを破る者には処罰がかからなければならない。
でなくば法という抑止は形骸化する。裁定者の存在が意味をなさない。
「大量無差別に一般NPCを襲うことは禁則事項」と強調しておきながら、それに抵触した相手に諌言だけで留めているのは不自然だ。

「違反行為を犯した事には確信があるが、犯行や犯人は特定できていない」という、ちぐはぐな状況。
つまりルーラー側はまだ、キャスターが犯人であると突き止めてはいない。
調査中の折に通達の時間が迫ってきたため、どこか中途半端な情報のまま踏み切るしかなかったのだ。



「さよう。おそらくはルーラーの有する特権とやらだろう。街を監視する方舟そのものからの受信を貰っているのか、
 ともかく規範を超えた事態については自動的に発覚する仕組みである可能性が高い」

我が意を得たりとキャスターが頷く。
放送を聞き終えた時点で老魔術師はその可能性に思い当たっていたのだろう。
拭い切れぬ違和感、自分達を追い切れていない裁定者を。


ひとまず今すぐ責められるという確証を抱いて、僅かながらでも足立から重しになっていた肩の荷が下りる。
所詮引き伸ばしだ。時が経てばいずれ気づかれるかもしれない。
だが今はそうではない。それが足立にはなにより安心だった。
今すぐでなければいい。それでいい。

「な、なぁんだビビらせやがって……じゃあ全然大したことないじゃないか。
 警告とか裁定者とか言っといて、とんだヘボサーヴァントなんだなぁあの女」
「それが過信であると言っている。
 アレとて愚鈍ではない。余が犯人であること自体は、因果関係を積み重ねた上で気づいているだろう。
 現にルーラーは余の陣地に既に足を踏み入れておる。
 だが余が違反を犯した証拠を掴めていないがために、直談判する手段を省いておるのだ。 
 見上げた清廉潔白さだが、裁定者の目に留められている事実に変わりはない」

キャスターもそのマスターたる足立も、マンションの周囲を探り回っているルーラーの姿を使い魔を通して見ていた。
気配遮断を持たないサーヴァントならばキャスターが気づくのは容易だ。
向こうも目には気づいていたが、自陣内にいる別のサーヴァントを監視するのは当然の選択。特別怪しまれる道理でもない。
尤も、ルーラーだと確信したのは放送後だ。
表向きは何事も起きてないマンションを嗅ぎ回る動きから予想はしていたのが、放送で裏が取れたというわけだ。

「現状、我らに気づき刃向う敵は四騎いる。
 ルーラーが一騎。赤黒の「忍び」のアサシンが一騎。
 アサシンが呼び込んだ青のランサーが一騎。
 同じくアサシンのマスターの危機に割り込んできた、剣と「銃」とやらを使う覆面が一騎。クラスはセイバーか、アーチャーか」
「は?アサシンが呼び込んだって何よ。あいつは僕らのパシリでしょ?」

自分の知らぬ新たな推移に足立は再び当惑する。

「それは既に切れている。奴は余の目を盗み叛逆の機を育てていた。
 故にマスターを始末するように部下に命じてある」
「はあぁ?もうかよマジ使えねーなあのニンジャ。
 ……って、つまりあのガキまだ生きてるってこと?」



アサシンのマスター、野原しんのすけは明らかな非力の存在だ。
年齢は十にも満たず異能の才を隠し持っているとも思えない。
キャスターの魔物の軍勢に襲われればひとたまりもないはずだ。
だがアサシンの度重なる妨害。折角見つけた好機も乱入した覆面のサーヴァントに阻まれ始末できずにいるという。
力はない癖に幸運だけは恵まれているようだ。足立にとっても気に喰わないタイプといえる。

「仔細ない。あの小僧はマスターとしても人としても脆弱極まりない。
 昼夜を問わずに襲い続ければ、いずれサーヴァントの消耗する魔力が供給される魔力と釣り合わなくなる。
 それより前に小僧の精神が保てなくなることもあろう。このまま継続的に手勢を送っていれば事は足りる。
 過程はどうあれ、消滅は時間の問題よ」

昼も夜も関わらずマスターを襲い掛かる魔物。
切迫した魔力の中で撃退するサーヴァント。
それは、確かに恐るべき光景だ。幼稚園児のマスターにはとても耐えられまい。
サーヴァントは強大だが無敵の存在ではない。
肉体を維持する糧たる魔力が無ければ、十全の能力を発揮することはできない。
だからこそキャスターは多々のリスクを棚上げにしてまで大量の魂喰いを敢行したのだ。
こちらの消耗は最低限。それでいて向こうは命の危機に晒される。先に崩れる方は明白だ。

「……ははあ。
 キャスター、あんた怒ってるでしょ?」
「ほう、そう見えるか」
「うん見える見える。自分をコケにした奴は絶対に許さないタイプでしょ?
 すまし顔した裏でやり口が容赦なくてさ。偉い人にはありがちだよねぇそういうの」

情というものが取り払われた冷酷な追い詰め方。
それはこの王にとっては変化のない、いつも下す手段であった。
しかし足立は見逃さない。
僅かでも共にいれば分かる、このサーヴァントの気位の高さ。
一日と経たず反故にされた盟。
差し伸べた手を握っておいてその手に唾吐く真似をされて、大人しくしていられるはずがない。

キャスターは喋らない。
皺の刻まれた口角を皮肉げに上げるのみだった。





「それでさ、最初の話に戻るけどこれからどうすんの?
 アサシンはこのまま追い詰めて行っちゃえばいいけどさ、まだまだ敵は多いジャン?
 ルーラーちゃんだってしつこく嗅ぎ回ってくるだろうしさぁ」

さっきまで怒鳴り散らしていた情けない姿はどこへやら。
玉座の肘掛けに腰を据え馴れ馴れしい態度でキャスターへとすり寄る。
精神を均衡に戻した代償にキャスターの気を害していることに気づかない。

「……魔力炉は十分に回っている。魂喰いはもはや必要ない。
 住民に化けさせたマネマネには元の生活をトレースするよう厳命してある。
 なるべく速やかに家に帰らせ露呈を防ぐ。ルーラーが手緩い内に堀を埋めるとしよう。
 アサシンには随時マスターを襲わせ、策を練る暇を与えぬよう余裕を削ぐ。
 覆面の男は情報が足らぬが恐らく攻めて来る。悪魔の目玉につけさせてあるから居場所も割れよう」

情報をひとつひとつ咀嚼して練り上げる。
三騎には効果のある策を施した。よって残るは一騎。


「ランサーのサーヴァント。
 最も早くぶつかるのはこの相手になるであろう」

使い魔の目玉をプロジェクターとして、青い装束の男が映し出される。
野性的。好戦的。足立にも感じ取れる戦人の臭いを視覚だけで理解した。
男に護られるように傍にいるのは小学生程と見られる少女だ。

「この男はもう一騎のサーヴァントとも手を結んでいる。
 身なりは宮廷の淑女だが、余と同様の魔族かもしれん」

目玉が切り替わり別の風景が表れる。
いるのはランサーとそのマスターと思しき少女。
そして隣り合って歩く一組の男女が増えていた。
一見愛らしい少女に見える外見だが、キャスターの言の通り、そこには人とはかけ離れた異形が取り付けられていた。
頭部には二本の渦巻いた角。トカゲめいた尻尾を衆目に惜しげもなく披露していた。

「うっわあ見せつけてるわ……絶対頭悪いよこの女。格好も下品だしさ。
 んで、こっちのガキがマスター?こっちはこっちでなんか地味だねえ。
 印象が薄いっていうの?どこにでもいそうな負け組(いっぱんじん)っぽいし」

紅色のランサーのマスターは学生服を着ていた。
あれは確か、月海原学園の指定制服だ。
この時間はとっくに学校でも授業が始まっているはず。授業を休んであのランサー主従に肩入れしているわけか。



「二組共同じ拠点に籠もり、その上結界も張って防備を固めている。
 ランサーのクラスであるにも関わらず魔術もこなすとは、中々の多芸だな。
 ああいう者こそ余の配下に欲しいのだが……」

それは叶わぬなと、心底残念そうに呟いた。

「じきに奴らは攻めて来る。
 早急に余を仕留めたいアサシンにけしかけられたなら、向こうも同様の要請を求められているはず。
 最悪令呪による服従を強いられている可能性もある。そうとなれば相手も必死よ」
「偉そうに解説するのも結構だけどさ、勝てるんだよな?
 二対一になるって分かってて戦えるって自信あんの?」

安心を得たくて、挑発を交えて問いかける。
舐めた調子の足立の目を、キャスターは刺し貫く威厳で迎え撃ち。



「愚問だなマスター。自分が何者と契約したのか、まだ分かっていないようだな。
 ―――余を本気にさせたくば、せめてサーヴァントを五騎揃えてかかってこいというものだ」



そう、言ってのけた。

驕り昂った、不遜極まりない言葉。
だが真実に相応しいと思えるほど、声には絶対の自負が込められていた。




「―――ハ」

足立は笑った。
いつになく朗らかで、同時に腐り満ちた顔をして。



―――どうしてこいつは、そんなに自分を誇れるのか。
―――サーヴァントは再現された存在だ。つまり既に終わったモノだ。
―――こいつだって、どうせ戦いに負けて死んだんだろうに。
―――死んだ後も未練がましく半端に蘇って、生前と同じ目的のために戦うだなんて。



なんて、それは羨ましい/愚かしい――――――




「………………ま、まあ勝てるっていうならそれでいいさ。頑張ってくれよね。
 つまりさ、サーヴァントが五人以上揃ってきたらヤバイってことなわけ?」
「愚問を重ねるとはやはり人が悪いな貴様は。
 ここに集うマスターとサーヴァントが、揃って余を倒すため団結するのだと本気で思っているのか?」

念を押すように投げかけた質問の答えに、足立は呆けた様子になる。
今日知り合ったばかりのマスターとサーヴァントが、一致団結してキャスターを倒す?
いずれ殺し合うしかない関係で?一組しか勝ち残れない戦いに?



「―――あぁ。ないねそりゃ」

共通の敵がいるから一時休戦、今はその為に手を組もう。
それで穏便に済むなら、地上で争いなど起こらない。

「ガラ空きの背中を見せられて欲が出ない奴なんかいない。だからお互い、簡単に背中を見せようともしない。
 そんな関係で戦いなんてしたら、疑心暗鬼でガタガタのまんま空中分解がオチでしょ」
「よく分かっている。流石は余を召喚したマスターだな」

珍しい王からの忌憚なき賛辞に、足立は肩をすくめて薄ら笑いで応えた。






   ◇     ◇




身を置いた神殿の玉座から、澄み渡る空を眺める。
現実とは切り離された異空間であるが、それ故に創造者次第で如何様にも景色は変ずる。
つまりはこの光景こそが、このサーヴァントの理想の世界なのだろう。

地は遥か遠く。
雲よりも上を飛ぶ大魔宮が、翳りない日差しを浴びて白く照らされる。
太陽。大魔王の超魔力を以てしても造れない奇跡の光。
熾烈な血濡れの闘争を生き抜く魔族、竜族が求めて止まない至上の栄。
それをありふれた日常として享受し、堕落する人間族。
忘れ得ぬ憤り。屈辱の極み。
太古の神々の犯した過ちを、己の手で正す。
道破れ死した後ですら、地獄の如し深さの野望は潰えない。
手に掴んだ光明は逃さない。杯はこの手に必ず手に入れんと虚構の太陽に誓う。


表のマンションに足立が戻り、鎮座するキャスターは独り思考する。
ルーラーにアサシンが取り巻く一行以外にも目を向ける場所はある。

例えば新都を賑わせる連続傷害事件。
明らかにサーヴァントかマスターと思しき犯行。同時にサーヴァントにもマスターにもそぐわない行動。
マスターの職務からもいずれ呼び出しがかかるかもしれない。
こちらも当然ルーラーの目に留まっていることだろう。
傷害犯が暴れているのは新都方面に集中している。キャスターが陣取る深山町とは反対の場所だ。
それはある種僥倖であった。正反対の場所で違反行為が続出すればルーラーも対応が及ぶまい。
謎の犯人にはこのまま、関わりのないまま暴れて欲しいものだ。その方がルーラーの動きを掻き乱せる。





―――そうだ。
ルーラーには限界がある。
ルーラーには思考がある。
ルーラーには選択がある。

ルーラーは決して、単なる審判装置ではない。

キャスターが確かめたいのはそれだ。
違反者を取り締まるのならより厳格な裁定者の方が相応しい。
更に言うならそもそも違反が出来ない仕組みにすればいい。
現にキャスターは大規模な魂喰いを平然と行う英霊であり、疑われてるとはいえ今も処罰を免れている。
これがいったい、何を意味するのか。


『方舟』は、勝者を望んでいる。
強き者。生き残る者を選抜するのがこの戦争だ。
勝者の枠組みに制限はない。目を背ける残虐さも、指を刺される卑劣さも、禁止と定められていても不可能ではない。
裁定者という抑止力がいるからこそ忌避されるのであり、禁忌を恐れなければ実行はできるのだ。

方舟は認めている。
ルールの目を抜け、裁定者を出し抜き、幾つもの反則を使っても勝つ者を許容している。
弱肉強食。
それは単なる力量の差ではなく、生きる術を持つ者だけが肉を食らえるという摂理だ。


キャスターは攻めの手を緩めはしない。
地上を文字通り破壊し、地底に眠る魔界を呼び起こすため君臨した大魔王バーン。
その写し身が現界を許された以上、悪辣さを阻む倫理など持ち合わせていない。
方舟が、聖杯が、自らが勝ち抜く道を可能性として認めているのだ。
ならばどうして、己らしからぬ方法で勝ちを狙えよう。

魔王は魔王らしく。
恐怖と混沌をもって奇跡を手にするべきだ。





「その為には……もう二、三、種が要るな」

ルーラーを単なる障害物とは見做さない。
あれは強大な壁であり、またそれ以外の意味を持ち得る希少体だ。
何故ルーラーは呼び出されたのか。
その真意を見切るには、今少し揺さぶりがあるといい。




悪魔の単眼が見せる映像。
満天に照らされる月海原学園は、いつもと変わらぬ姿で平穏の時を過ごしていた。



【B-4/マンション個室・足立の部屋/一日目 午後】


【足立透@ペルソナ4 THE ANIMATION】
[状態]健康
[令呪]残り三画
[装備]なし
[道具]なし
[所持金]刑事としての給金(総額は不明)
[思考・状況]
基本行動方針:聖杯を手に入れる。
1.迎撃の準備を整える。
2.魂喰いがルーラーにバレないか心配。こぞってサーヴァントが攻めて来るのも心配。
[備考]
※ニンジャスレイヤーの裏切りを把握しました。
※野原しんのすけをマスターと認識しました、また、自宅を把握しています。
※護衛として影の中にモンスター『まおうのかげ』が潜伏しています。


【B-4/大魔宮・玉座の間/一日目 午後】
【キャスター(大魔王バーン)@DRAGON QUEST -ダイの大冒険-】
[状態]魔力消耗(小)
[装備]なし
[道具]なし
[思考・状況]
基本行動方針:あらゆる手を用い、聖杯を手に入れる。
1.迎撃の準備を整える。
2.ルーラーの『意味』を知る。その為にも幾つか火種を蒔く。
3.しんのすけは継続的に襲い続け、アサシンの魔力を削ぐ。
4.謎のサーヴァントと白ランの少年マスターをどう扱うか考える。
[備考]
※狭間&鏡子ペアを脅威として認識しました。
※足立の自室を中心に高層マンションに陣地を作成しています。
 半日が経過した現在、玉座の間と魔力炉の間以外は主城が半分程しか完成していません。
 その為、大神殿の効果は半分ほどしか引き出せません。
 できている部分の広間や回廊には爆弾岩が多数設置されています。
※しんのすけ、遠坂凛とランサー、ウェイバーとデッドプールを悪魔の目玉で監視しています。
※魔力炉に約250人分のNPCを魂喰いさせました。それにより膨大な魔力が炉に貯蔵されています。
 魔力炉の管理者としてドラムーンのゴロアを配置しています。
 一日目終了時に主城と中庭園その下の天魔の塔上層ホールが完成し、この時に完全な大神殿の効果が発揮されます。
 二日目終了時に天魔の塔と白い庭園(ホワイトガーデン)含む中央城塞が完成。
 三日目終了時に大魔宮の全体が、四日目終了時に各翼の基地が完成し飛行可能になります。
※足立の高層マンションの住民は全てマネマネが擬態しています。
 彼らは普通に幼稚園、学園、会社へと通うことでしょう。
※現在の仮想敵は以下の四組。
 第一候補:凜&クーフリンと白野&エリザベートのコンビ。
 第二候補:ルーラー。
 第三候補:ニンジャスレイヤー。
 第四候補:ウェイバー&デッドプール。



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