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槍は甘さを持つ必要はない ◆y0PHxpnZqw


アパートの一室で春紀達は盗んだお菓子で一足早いティータイムを過ごしていた。
テーブルに広がっているのは、ポテチにチョコレート、菓子パンなど多種多様だ。
それらを乱雑に掴み取り、噛み砕く。三人はガツガツと食事に集中しきっていた。

「はるるん、これ全部食べていいん!?」
「おう。でも、食べ過ぎない程度にしとけよ。食べ過ぎたら身体に毒だからな」

そう言って、春紀はペットボトルのコーラをゴクゴクと飲みながら、ポテチをつまむ。
れんげも真似してか、同じくポテチを口に含み、コーラを口に注ぎ込む。
傍から見ると、聖杯戦争中とは思えない気の抜けっぷりだ。

「とりあえず、これ食べたら……その、かっちゃん探しにいこうな」
「うん!!」

満面の笑みでお菓子を食べるれんげを見て、春紀も薄く笑みを見せる。
いつの時だって、子供の笑みは卑怯だ。こんなにも気分を暖かくするのだから。

「おいおい、お菓子は逃げねぇんだ。落ち着いて食えって」

こうして、世話を焼いてしまうのもれんげを妹とダブらせてるのもあるのだろう。
幼い弟妹を養うべく、笑顔を見るべく生きてきた今までと何ら変わりもない。
頭の中に想起される幸せだったひだまりが、春紀を強くする。

『それにしても、さっきの定時連絡を信じると28人もいんのな、マスター。最初に出会った奴とこいつ。そんで、マスターを入れて三人。残り24人は依然として不明。
 はー、大変なこった。道程は険しく長いねぇ』
(あぁ、どいつもこいつも譲れねえ願いがあるんだろ)
『そうかい? このガキはそうとは思えねぇけど? 頭はとことん抜けてんし、定時連絡を聞いても、神様からのお告げなのん! って言いやがる。
 よくもまあ、生き残れてるもんだよ、信じられねぇ』

溜息をつきながら、横目でれんげを見る杏子に、春紀は苦笑する。
平和だ。戦争に身を投じているというのに、こんなにも穏やかでいいのだろうか。
まるで自宅にいるような安心感を覚えていたその時、杏子が念話で会話を切り出した。

『なぁ、マスター』
(何だよ。菓子なら腹八分程度に)
『そうじゃねぇよ。そいつ、そのままにしていいのか?』

目線の先にはニコニコとお菓子を頬張っているれんげの姿が映る。
見ているだけで和む有り様だが、何か杏子の機嫌を損ねることでもしたのだろうかと記憶を辿ったが、特には思い当たらない。
それとも、食い意地の張った嫉妬心をぶつけるつもりなのだろうかとつらつらと考えた。

『考えたんだが、そいつよぉ。ここで殺した方がいいんじゃねぇか』

だが、流れてきた言葉はどの予想とも違う物騒なものだった。
危うく春紀は表情を崩しそうになったが、暗殺者として培ってきたポーカーフェイスからか、持ち直す。

(はぁ!? そんなこと!)
『できねぇってか? 優勝を目指してるんだ、殺すのが先か後か。それだけだろう?
 あたしとしてはここいらで一人蹴散らして勢いをつけておきたいんだけど、どうだい?』

現実的に考えると、れんげを生かしておく理由なんて一つもない。
非力で聖杯戦争を理解できない参加者など足手まといだ。
加えて、こんな幼い少女を一人にするサーヴァントも信用に値しなかった。
杏子の価値観からすると、同盟の範疇にすら入らない。

(…………駄目だ)
『明確な理由があるなら言ってみなよ。そいつを生かすメリットってやつをさ』
(だって、何も知らない子供なんだぞ!?)
『そんなの、理解できないそいつがわりぃじゃん? 悔やむべくはこんな戦争に参加しちまった不運だねぇ』

皮肉げに嗤いながら論調を強くしていく杏子に、春紀は押されていた。
彼女を論破する理由が見当たらない。そして、れんげをこのままにすることがどれだけ足枷になることか。

(それでも、ここで殺す必要はない。急いては事を仕損じるってよく言うだろ?)
『…………まーね。この場はそういうことにしておいてやるよ』

絶好のチャンスから目を背け、殺す覚悟が定まらない彼女は未だノースコア。
夜闇に紛れて敵を討つことが信条の暗殺者であるから、行動に移せないのは幾分か杏子も理解している。
だが、今は違う。自分のテリトリーに無力な参加者がほいほいと来ているのだから殺すべきだ。
本気で勝ち抜く気があるならば、躊躇なく殺るべきだ。

『だけど、その矛盾がいつかお前を殺すぜ?』

春紀は暗殺においてもどっしりと構え、確実性を求めるタイプだ。
何か、急がざるを得ない事態が来ない限りは攻めの姿勢に移らない。
だから、彼女はれんげを殺さないし、殺すつもりもなかった。
優勝するという決意が揺らいでることはありえない。ありえないはずなのだ。
それがただの現実逃避とも気付かずに。

『…………やっぱ似てるよ、お前は』

最後に呟いた言葉の意味を理解できず、春紀はれんげへと顔を向き直した。






(こりゃ駄目だね。口では悪ぶっておきながら結局は甘ったれた情を捨て切れねぇ)

春紀とれんげが仲良く会話している光景を、杏子は醒めた目つきで見ていた。
本気で勝ち抜くなら、ここで殺すべきだった。少なくとも、杏子はれんげのことを生かすメリットはないと考えている。

(別にいいんだけどさ、春紀がそれで満足なら。何処の世界でも、馬鹿は死んでも治らないし)

今回はお節介含め助言程度に言ったが、深くは踏み込む気はさらさらない。
どこぞの騎士のように忠節がある訳でもなし、彼女の考えを無理矢理に変えることを杏子はしなかった。

(ただ、こいつが死ぬとあたしも死んじゃうんだよねぇ。今のままだと、どう考えても途中で頓挫すんね。
 自滅パターンに入ってやがる。
 一度は死んだ命だし、そこまでマジになってねーけど……このままこいつの甘さに足引っ張られて死ぬのは癪に障る)

春紀がどんな死に様を晒すも勝手だが、聖杯戦争は相方と一蓮托生なのだ。よって、春紀のミスは杏子にも繋がる。
相方の勝手な想いに殉じて無駄死するのは、杏子としても好ましくない。
第二の人生とやらも興味はさらさらないが、縛られてすっ転ぶのは御免だ。

(誰かの為に自分を殺すなんざ――不幸しか呼ばねーってのに)



【B-9/アパート/一日目 午後】

【寒河江春紀@悪魔のリドル】
[状態]健康
[令呪]残り3画
[装備]ガントレット&ナックルガード、仕込みワイヤー付きシュシュ
[道具]携帯電話(木片ストラップ付き)、マニキュア、Rocky、うんまい棒、ケーキ
[所持金]貧困レベル
[思考・状況]
基本行動方針:聖杯戦争を勝ち抜く。一人ずつ着実に落としていく。
1.れんげは殺せない。お菓子を食べた後は、かっちゃんを捜しに行く。
2.食料調達をする。
[備考]
※ライダー(キリコ・キュービィー)のパラメーター及び宝具『棺たる鉄騎兵(スコープドッグ)』を確認済。
※テンカワ・アキトとはNPC時代から会ったら軽く雑談する程度の仲でした。
※春紀の住むアパートは天河食堂の横です。
※定時制の高校(月海原に定時制があるかは不明、別の高校かもしれません)に通っています。
※昼はB-10のケーキ屋でバイトをしています。アサシン(カッツェ)の襲撃により当分の開業はありません。
※ジナコ(カッツェ)が起こした事件を把握しました。事件は罠と判断し、無視するつもりです。
※ジョンスとアーチャー(アーカード)の情報を入手しました。
 ただし本名は把握していません。二人に戦意がないと判断しています。
※アサシン(カッツェ)の情報を入手しました。
 尻尾や変身能力などれんげの知る限りの能力を把握しています。

【ランサー(佐倉杏子)@魔法少女まどか☆マギカ】
[状態]健康
[装備]多節槍
[道具]Rocky、ポテチ、チョコビ、ペットボトル(中身は水、半分ほど消費)、ケーキ
[思考・状況]
基本行動方針:寒河江春紀を守りつつ、色々たべものを食う。
1.春紀の護衛。 彼女の甘さに辟易。共倒れは御免被る。
2.宮内れんげは、役にも立ちそうにないから始末しておきたい。
3.食料調達をする。
[備考]
※ジナコ(カッツェ)が起こした事件を把握しました。
※ジョンスとアーチャー(アーカード)の情報を入手しました。
 ただし本名は把握していません。二人に戦意がないと判断しています。
※アサシン(カッツェ)の情報を入手しました。
 尻尾や変身能力などれんげの知る限りの能力を把握しています。
※れんげの証言から彼女とそのサーヴァントの存在に違和感を覚えています。
 れんげをルーラーがどのように判断しているかは後の書き手様に任せます。


【宮内れんげ@のんのんびより】
[状態]魔力消費(小)(睡眠により回復) ジナコへの恐怖 左膝に擦り傷(治療済み)
[令呪]残り3画
[装備]包帯(右手の甲の令呪隠し) 
[道具]なし
[所持金]十円
[思考・状況]
基本行動方針:かっちゃんたち探すん! でも、その前にお菓子食べるん!
1.はるるんと友達なん!
2.はるるんとかっちゃんを友達にしたいん!
3.怖かったん……
[備考]
※定時連絡を聞きましたが、聖杯戦争のシステムを理解していません。
※カッツェにキスで魔力を供給しましたが、本人は気付いていません。
※昼寝したので今日の夜は少し眠れないかもしれません。
※ジナコを危険人物と判断しています。



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宮内れんげ