後藤&アサシン ◆FbzPVNOXDo


有り得なかった。


俺は魔術の家系としては、そこそこの生まれで才能もあった。
だからこそ、この聖杯戦争にも参加出来た。サーヴァントも最優のセイバーを引き当てた。
既に数組のマスターとサーヴァントを下し、順調に俺は勝ち進んでいる。

そして、一族の悲願を聖杯によって叶える筈だった。


「最優のサーヴァントもこんなものか」


その筈だった。
有り得ない。俺のセイバーはクラスもさることながら、本人の能力も決して低くは無いはずだ。
それは今までの戦績を見ても明らかだ。

なのに、圧倒されていた。ましてや正面からの戦いで、あろうことかサーヴァントも居ないただのマスター如きに。

侮っていた。最初に全力で潰すべきだったんだ。あの奇妙な体を変化させる魔術を使用させる前に殺せておけば……。
最初、過剰なくらい笑顔を浮かべていたあの状態だったのなら、勝てない戦いじゃなかった。
だが今の無表情のあいつは強すぎる。いや、あいつはそもそもマスター、人間なのか……?
まるで、何体ものサーヴァントを相手にしているかのよう―――。

セイバーの首が跳ねられた。
ああ、俺ももう―――



「十……。少し攻撃を貰い過ぎたな」

そのマスターは、変わっていた。
顔と胴体こそは、普通の人間となんら変わりは無い。
ただ変わっているのは、先ず武器らしい武器を持っていないということ。勿論、マスターにもよるが、戦闘時に武器はおろか礼装すらを持たぬ者はあまり多くはないだろう。
そのかわりに、両手両足が人ならざる歪な形へと変わっていた。
両手はナイフのように鋭い刃状のものとなっており、両足は機動性を重視した形となっている。

「急ぐか」

そいつは自らが殺害したサーヴァント、そしてマスターを見た。
消滅が始まっているが、まだ時間は掛かる。そう見積もり、少し急ぎながら捕食を始めた。
文字通り、二人分の食事。特にマスターとサーヴァントともなればかなりのカロリー、――いやここでは魔力というべきか――を得られる。
その分、消滅までの時間以内に食い終わらなければならないという、不便さも残るが。
人が人で無くなり、血、肉、骨に解体されていく姿。それらが後藤、栄養として食される。最早、人としての死に方ではない。
人が定義した理から外れている。これは人間という動物の死であり、自然の理の一部。

「三木、ダメージを受けすぎだ」

愚痴るように、誰に言うでもなくそいつは言葉を発した。
すると、驚いたことにそいつの右腕が変化し、スライムのようにうねうねしながら口の形を構成する。
そして、あろうことか更に言葉まで発し、会話を始めたのだ。

「いやあ、後藤さん。面目ない」
「貰った攻撃の内、七回はお前が受けたものだぞ」
「だって、サーヴァントってのが、あんなにも強いなんて思わないじゃない?」
「黙れ、食事の邪魔だ。暫く眠っていろ」

再び、右手は手の形を取り戻し喋らなくなった。

(やはり、サーヴァントの肉体はかなりの魔力を供給出来るな)

後藤はマスターでありながら、同時にサーヴァントである。
正確に言うのなら、マスターに寄生したサーヴァントと言ったところか。
後藤のマスターが、後藤をアサシンのサーヴァントとして召喚した時、既に彼の命運は尽きていたと言える。
脳を乗っ取られ、精神的には死んだも同然。しかし肉体だけは生きている状態であり、その肉体は魔力の供給と令呪を宿すマスターの役割もこなす。
故に後藤はマスターであり、サーヴァント。

しかし、一騎であるのなら十分に補える魔力供給を受けながらも、後藤はそれだけでは物足りなかった。
何故なら、頭部を乗っ取った後藤以外に、更に四騎のサーヴァント。計五騎のサーヴァントが肉体に同居していたからだ。

(少し、足りんな)

サーヴァント五騎分の魔力の供給など全うな方法では為し得ない。
そこで、後藤が取ったのは捕食だ。生前と変わりなく他者を人間を食う。生命維持の為の食事だ。
だが、NPCだけでは足りない。マスターとそのサーヴァントの魔力は極上のものだ、あれを食べたい。

(だが、連戦は禁物か。こちらの魔力にも限りがある。
 餌欲しさに、魔力切れになっては話にならない。……今日は適当なNPCで補うか)

あまりの虐殺はペナルティに触れるが、ある程度のものならば許容するらしい。
ならば、いつもと変わらない。後藤はそう思った。
人間社会に混じり、影で人を狩りながら生きる。それだけの事だ。

(……動かしづらいな。
 他のサーヴァントとの戦闘の前に、ある程度新しい体にも慣れておかなければ)

戦いこそが自分の存在意義である。
そう自覚している後藤にとって、体の不慣れで死ぬという事は避けたいところだった。
相手がただの人間ならば、ある程度のハンデになりそこそこ楽しめるかも知れないが、ここではそうもいかない。
今の内に戦闘、体の動かし方の練習もしておくべきだろう。

(何とか、消滅前に食い終えたか……。今度からは、半分生かしたまま食うのもありかもしれんな)

食事を終え、後藤は手足の姿を人間の物へと戻す。
そのまま、夜の街へと消えていく。そして今宵、また一人NPCが消えた。

聖杯戦争。
後藤にとっては、そんなもの興味は無かった。
あるのは、生存本能による「食事」と殺戮本能による「戦い」だけ。
聖杯に願いを託す者、それを止めたいと思う者。あるいはそのどちらでもない者。
何にせよ。後藤にとっては等しく、餌であり敵であり、また他者からすれば等しく立ち塞がる壁になりうるだろう。
彼はサーヴァント、人間。そういう些細な違いではなく。人とは違う別の生物なのだから。

殺戮の先にある願いなど、寄生生物である後藤には何もなかった。


【CLASS】
アサシン
【真名】
後藤@寄生獣
【パラメーター】
筋力B 耐久B 敏捷B 魔力D 幸運C 宝具C
【属性】
 中立・中庸
【クラススキル】
気配遮断:D
サーヴァントとしての気配を断つ。隠密行動に適している。
特にNPCに紛れれば、ほぼ区別がつかない。
ただし、自らが攻撃態勢に移ると気配遮断は解ける。

【保有スキル】
捕食:B
NPC、マスター、サーヴァント関係なく肉体を捕食する事で魔力を得られる。
アサシンにとっては魂喰いよりも魔力を良く供給出来る。
これは生前の「この種(寄生した生物、後藤ならば人間)を食い殺せ」という本能から生まれたスキルであるが、単純な人間の食事でも魔力の供給は減るものの同様の効果は得られる。

精神汚染:A
人とは異なった生物、精神なので精神干渉系魔術を高確率でシャットアウトする。


【宝具】

『寄生獣(パラサイト)』
後藤と三木の使役するサーヴァント達は宝具扱いであり、また後藤と三木も宝具扱いになる場合がある。
ステータスは以下の通りになる。

『後藤』
ランク:C 種別:対人宝具 レンジ:0~10 最大補足:10
三木が統率者になった場合のみ宝具の扱いになる。

『三木』
ランク:C 種別:対人宝具 レンジ:0~10 最大補足:10
後藤が統率者になった場合のみ宝具扱いになる。
更に三木は統率者になった場合、同時に二体までしかパラサイトを操れず、戦闘力が落ちるので結果として魔力、幸運、スキルを除いた全てのランクが一下がる。

『寄生獣(パラサイト)×3』
ランク:C 種別:対人宝具 レンジ:0~10 最大補足:10
常に後藤、三木の宝具扱いである。
彼らが統率者として表にでることはない。

【weapon】
なし

【人物背景】
後藤、三木。
彼らは人の体を乗っ取り生きる、パラサイトと呼ばれる生き物である。
この生き物に関して謎は多い。
強いて、共通するのは脳を乗っ取り、戦闘時は頭を触手や刃状に変化させて戦うといったところか。
そして取り付いた生物を食い殺せという欲求に従い、基本は人を襲い食べている。
幾つか例外がおり、彼らもその内の一つであると言える。
特に後藤達は、他に三体のパラサイト。計五体が同じ体を有し同居しており。
その為か殺戮本能が高く「戦いこそが自分の存在意義である」と自覚している。

【サーヴァントとしての願い】
なし。ただ欲求に従うだけ。

【基本戦術、方針、運用法】
母体である人体の大半がパラサイトに置き換わっているために、かなりの自由度でその姿を変える事ができる。
時として盾として、時として剣に体を変えるなど多彩な戦闘が可能だろう。
しかし、毒や火に弱いという弱点もある。生前の敗因でもあるので注意が必要になる。
当面の方針としては、サーヴァント5騎分の魔力が必要なので適度な食事をしつつ、無理な戦闘は控えめにいき。
NPCに混じりつつ、気を見て他の組を狩っていくのが堅実だろう。



【マスター】
不明
【参加方法】
不明
【マスターとしての願い】
不明
【weapon】
ある意味、後藤
【能力・技能】
不明
【人物背景】
後藤を引いた結果、令呪を使うまでもなく体を乗っ取られたかわいそうな人。
体格は以前の後藤の体とあまり変わらない。
肉体的には生きているが、精神的には死亡も同然。

【方針】
なし