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テレビとか新聞とかちゃんと見ないとダメだって ◆IbPU6nWySo


「ジナコや……おきなさい、ジナコや…」
「う、ううーん…?」

謎の声に呼びかけられる。
確か自分はかわいい少女と共にお昼寝していたはず……
まさか再びあの気味の悪い夢を見るのだろうか…

ジナコは恐る恐る目を開けた。
そこには肥満体質な男性がはぁーはぁーと息を荒げながらフワフワと浮いている。
まったくもって信じがたい光景が広がっている。
ジナコは怖い夢ではないと分かると安堵はしたが…
男に対してはギョッとして、嫌な汗を浮かべながら訊ねた。

「だ………誰ッスか……?」
「私はあなたの剣『魔剣アヴェンジャー』の精です(ネットで装備しているでしょ?)」

………

「擬人化したらこんなおっさんになるとか嘘ッス~!!!!!!」
「あぁっ!逃げないで!!逃げないでっ、っていうか引かないで!!お願い!」

自称:『魔剣アヴェンジャー』の精を名乗る男性は話を続けた。

「今日は毎日使ってくれたお礼に応援をしに参りました。
 さぁ、この精霊様になんでも言ってみなさい」
「ん?今、なんでもって言ったッスね!?なんでも……」

ジナコは夢だと分かっていながらも真剣に問うた。

「ボク…死ぬのが怖いッス……死ぬって分かってても、それでも聖杯戦争を生き残りたいッス…
 あのょぅι゙ょちゃんを殺したくないッス……」
「ふーん?でも君、ショタコンでしょ?」(鼻ホジ)
「今はどうでもいいでしょうがっ!!精霊さん!ボク、あのょぅι゙ょちゃんと一緒なら大丈夫な気がするッス。
 あの子もボクと一緒で死ぬのが怖くて…生き残りたいはずッス……ボク……ょぅι゙ょちゃんと一緒なら不幸にならないッスよね?
 あの子を守り続ければ、元の世界に帰れますよね?」
「……………そうでもないんだけど」

………

「うわああああああああああああああああああああああああああああああああああ」
「ま。待って!ジナコ!!今のナシ!ノーカン!ノーカン!!
 そんな事によりジナコ!よくお聞き。君、寝ている場合じゃないのよ。
 君には今ゴイスー(※スゴイ)でデンジャーなことが迫っているのだよ」
「……へ?」
「さ、早く起きなさい。アーチャー=サンが待ってるから」
「は……はぁ…」


「ようやく起きたか、駄肉」

ジナコが目を覚ますと見知らぬ男性がいた。
夢で見た自称:『魔剣アヴェンジャー』の精よりは断然若く、いい顔の方に近いだろうが
果たしてこの状況はどういうことなのか……
ふと体を起こすと、もう一人。
赤いコートの男性…いや、サーヴァントの姿を見た。
ジナコは途端に焦りが沸騰した。

「ああああああぁぁああぁあああぁっ!!!ごめんなさいいぃぃぃいぃいぃぃ!!!
 ロリコンじゃないのぉぉおーー!!ショタコンなのぉおぉおぉっ!!!」
「おい」
「もう駄目だ、あたし終わった、死ぬんだ。殺される。こ、ころ、し、死ぬし、死んじゃ……」
「黙れ」
「……」

はぁと男性――ジョンス・リーが溜息をついて改めて話をする。

「いいか、お前がサーヴァントを呼び出すより先に俺とアーチャーは
 お前にトドメをさせる。分かったな」

ジナコはただ頷くしかなかった。
ちらりとジョンスの手の甲にある令呪を見る。
どうやらすでに二画ほど消費しているようだが、間違いはない。この男はマスター。
状況がうまく飲み込めずジナコはただ話を聞くだけであった。

「この戦争をどうするつもりだ」
「し…死にたくないッス……」
「…聖杯は」
「そんなのどうでもいい!ま、まだやっぱり死にたくないッス…」
「れんげを殺すつもりないってなら、それでいい」

れんげ?
あ、あぁ、…ょぅι゙ょちゃんのこと……?

徐々に落ち着いてきたジナコが整理していく。
どうやらこの男(ジョンス)はれんげを保護しているようだった。
もしかしたら家族か何かかもしれないし、とにかく事情があるのだろう。
口ぶりからして聖杯戦争にも積極的ではないのかもしれない。
もし聖杯を狙っているなら、れんげもジナコも殺しているはず。
ジョンスは続けて言う。

「何もするつもりねェなら、れんげを保護してろ」
「え……っとぉ…このょぅι゙ょちゃん?れんげちゃんを…ッスか?」
「あぁ」
「なんで…?」
「…」
「あっ、すいません!聞きません!!何でもアリマセン!!」
「とにかく、れんげは状況を理解してねェ。かといって状況を教えたら何をしでかすかわからねェ
 適当に遊んでやれ。わかったな」
「わ、わかったッス!それで見逃してくれるならっ……」

沈黙していたサーヴァント・アーカードが口を開いた。

「迷いはないのだな?我が主」
「二度も言わせるな」

ジョンスが下した決断は――れんげを置いて行く事だった。
ジナコに任せる不安要素があるものの。
彼女の態度を見てハッキリと、これならいいと判断した。

理由としては、やはり二人で闘争を行うとなればれんげを守ることに集中できないからだ。
れんげの存在はそれなりに重要だが、かといってジョンスたちの一番の目的。
闘争そのものを捨てるのならば――彼女はやはり切り捨てなければならない。
戦意のないジナコの意思を確認したところでジョンスの決断は決定されたのだ。

「で、後はだな……」

計画は完璧に通ったものの。
問題はアサシン――カッツェの詳細を掴み、闘争するとなった場合。
奴をすぐに捕捉することであった。
簡単な方法はアサシンをれんげが令呪で呼び出す。
もしくは、あえてれんげを危険に晒す。
これでアサシンがれんげの元へ現れざるおえないだろう。
他には――

「アーチャー」
「?」
「もしカッツェがお前のところに現れたらすぐ知らせろ。いいな」
「了解した。しかし、それはあるだろうか?」
「大いにある。かなり気にいられてるぞ、お前」

お世辞として受け止めているのか、アーチャーはくっくっと笑う。
ジョンスが冷たくあしらっているからこそ、アーチャーの方へアサシンの意識が向かうのは必然であった。
逆にジョンスのことは避けている態度がある。
その程度のことはジョンスにも感じられた。
だからこそ、ジョンスが目を離した隙にアサシンがアーチャーへ接触することは十分ある。

次はアサシンがれんげの元へ向かった場合。

「おい、駄肉」
「あのー…さすがにいいッスか。ボク、ジナコです。ジナコ・カリギリッス」
「電話番号教えろ」
「はい?」
「ここの。携帯でもいい」
「わっ、わかりました……」

これでれんげの所在が掴めればいい。
いっそこのことアサシンのように携帯を盗んでしまうのも手だったが
ルーラーの一件がある以上、ジョンスは目立つ行動を控えようと用心していた。

唯一気になるのはアサシンの行動……
何かしらやっているかもしれないのはジョンスも分かっているものの。
具体的に何をやらかすのかは…ジョンスよりもアーチャーの方が理解しているかもしれない。

「か、書き終わりましたっ!これでいいッスよね!?」
「あぁ」

それは別にいいか。ジョンスは思考放棄した。

ジナコから電話番号が書かれた紙を受け取ると、ジョンスはそれ以上は何も語らず立ち去る。
同時にアーチャーも霊体化した。
ジナコはポカンとジョンスを見送り、玄関が閉まる音をハッキリと聞いた後
れんげを剥がし、普段は見られない俊敏な動きで鍵をかけた。

「よし!これでよし!!………はぁぁあぁぁあぁ~~~~……」

壮大な溜息をついたジナコだったが
冷静になればあの赤いサーヴァントはれんげのサーヴァントではないということに気づく。

じゃあ……れんげちゃんのサーヴァントは…?
なんだろう…思い出したくない……

何か忘れている気がするが、彼女は体の痛みと吐き気を催したので思考を止めた。
部屋に戻るとまだれんげはスヤスヤと眠りについている。

「…ま、いっか。れんげちゃんから後で聞けばいいッス
 あの人たちも悪い人じゃなさそうッス!……怖かったケド」

この程度ならアサシン(ゴルゴ)に怒られる事態には陥らないだろうとジナコは慢心する。

「あーあ!完全に目が覚めちゃったし、ネトゲやろーっと」

建前としてはれんげを起こさない為と評して。
カチャカチャとジナコがパソコンを操作し始めた……が。
どうしても気になったのでジナコは交流サイトで月海原の様子を確かめた。

確か、ヤクザさんも調べてたみたいッスけど……どうなっているんだろ…
どっか建物でも壊れたり、物騒な事あるんスかね…

カチッ


「え……なに…ヤダ、これ…………嘘…」






『なんだこりゃ…』

ランサーの呻きは春紀の思いと重なった。
春紀のバイト先であるケーキ屋が野次馬に囲まれていたのである。
そして、警察の姿。
パトカー。
何もかもか無茶苦茶だ。
茫然とする彼女のところにケーキ屋の店長が姿を現した。

「あっ!春紀ちゃん!!」
「店長…これ、何があったんですか?」
「そ、それが…」

興奮する店長から何とか聞きだしたのは妙な女性が鉄パイプを手に、店内を荒したという。
彼女は駆けつけた警察官にも喧嘩を吹っ掛け
あげく、女性は混乱に乗じて逃亡したらしい。
春紀の隣では、その警察官が刑事らしい男性に叱られていた。

「犯人の挑発に乗るなんて、頭に血が昇りすぎだ。現場では冷静になれ」
「は、はい!申し訳ありませんでした!堂島刑事っ!!」
「ったく…あー、そこの――店長さんか?犯人の特徴を知りたいんだが、詳しく話してくれるか?」
「じゃあ、春紀ちゃん。今日のバイトなしってことで…また後で連絡するよ」
「はい。……店長!ちょっと荷物取って行きたいんで店内に入って良いですか?」

店長は返事を堂島と呼ばれた刑事に頼んだ。
堂島は軽く店内を覗いてから

「現場検証は大体終わった。邪魔にならない程度なら構わない」
「ありがとうございます」

春紀が直接店内を見ると、確かに酷い有様だ。
元の店内を知る春紀だからこそ被害を親身になって受け止められる。
しかし、ここが襲撃されたということは――

(まさか……サーヴァント?)

ランサーは不満げな声で返事をした。

『さぁ、どうだろうね……あたしらを知っているのはせいぜいライダーたちだけだ。
 女性って言うからには可能性としては十分あるけど…こんなことするか?普通』
(他のサーヴァントの可能性もある、か)
『少なくともあのライダーのマスターは、こんな手使う奴には見えなかったけどな』

春紀は調理場へ移動すると、そこには作りかけのケーキや出来たてのものまで放置されているのを発見する。

(どうせ捨てられるんだ。杏子、これも貰っていこう)
『お!ケーキ!!いいところバイトしてんじゃん♪』
(バイトに来たのって、そもそもコレ目的だしな)

ランサーの魔力回復にはもって来いである。
ケーキを回収した後、バイトの時間を何に潰そうか春紀は考える。

春紀は念の為、ケーキ屋を襲撃した犯人の情報収集をした。
移動しながら最低限の情報をと春紀は携帯を開いた。
するとすぐに犯人の顔写真、犯行現場を捉えた写真などが交流サイト、掲示板にある。
しかも本名も割れている。
ジナコ・カリギリ……
ランサーもそれを見て悪態をついた。

『おいおい、いくらなんでも酷ぇな……』
(あぁ)

確かに酷い…
ネットでの誹謗中傷は常識の範囲だが、これは…
死ねだの、デブ女だの、ただの悪口まで書かれている。

だが春紀は画像を確かめて行く内にジナコという女性の手に令呪があるのが分かった。
マスター!?
こんな目立つことして何がしたい訳!?
それとも他のマスターたちをおびき寄せる…為……?
なんだか罠くさい…

「…?」

その時、春紀の令呪が強く反応を示した。
感覚は魔術師の才がない春紀にも感じられるほどだった。

(杏子、今のって――)
『…こっちだ、あたしも魔力を感じた』

「ああ……ああぁあぁっ……う、あぁ……イヤ…何これ……何これ!」

ジナコはパソコンを叩きつけてしまった。
彼女にとって命より重いかもしれないソレを、思い切り。

何故だが知らないが自分が犯罪を行う写真や動画が出回っている。
よく分からないが、自分が犯罪者だと誹謗中傷されている。
さらには彼女がNPC時代の知り合いの誰かがプライベートな写真が。

どうして?
どうして!?
どうしてっ!!?

このままじゃ無実の罪で警察に捕まる。
そしてそのまま犯罪者のレッテルを永遠に貼られる。
たとえここが方舟だろうが、どこだろうが。
これほどまでに絶望的な状況はない。

「や、ヤクザさん…」

アサシンを呼んだところで何になる?
ジナコは途方に暮れた。
何をどうすればいいのか分からない。

「あたし……アタシ…これ……」

ジナコは死ぬのが恐ろしかった。
なのに
あれほど死を身近に感じていたのに、恐ろしかったのに。


今は、信じられないほど――死にたいと思えた。


「はは……ははは…はははは……」

彼女は全てから裏切られた。
知り合いからも、知らぬ人間からも、社会からも
この世の全てから。

もう、どうでもいいや…こうなったら本当にどうでもいい。
…どうせ皆死ぬ。殺されてもいい。死ぬのは怖い。生きていたい。
でも

「んー……」

れんげが目を覚ました。
混乱しているジナコの前に無垢な少女は周囲を見回した。
カッツェも、アーカードも、ジョンスもいない。
いたのは、カッツェが連れてきたあの女性だけである。

「あの、かっちゃんたちどこですか?」
「…」

ジナコもれんげに気づくと、冷えた目で彼女を見下した。
露知らず、れんげはのんびりと話す。

「どうしたん?気分悪いん??」
「…まさか……あの赤い人のせいなの…?」
「赤い?あっちゃんのことなん?」
「…アタシをこんな目に合わせたの……」

ジナコはれんげに近付く。
どことなくその雰囲気でれんげは悪寒を感じた。
恐怖が生まれ、彼女から後ずさると、栓が抜かれたかの勢いでジナコがれんげを掴もうとする。
何故、彼女がこのような行為をするのか。
れんげにはまったく理解できない。
襲いかかろうとするのを見て、いよいよれんげは逃げた。
初めて見る家だったが、居間を挟んだ先に玄関があったのが幸運である。
礼儀よく靴を履いている暇はない。
靴を掴んで、靴下だけの状態でれんげは外を飛び出した。

「う……」

同時に呻いた。
恐怖で呻いた。
誰もいない、一人ぼっち。
アーカードもジョンスも、カッツェすらいない孤独の彼女に希望はなかった。

「うぅううぅっ……!!」

れんげは必死に走った。
一方のジナコは放心した状態で、玄関で立ちつくしていた。
れんげの悲痛な叫びを聞いて、ジナコは正気を取り戻している。

「あ…アタシ……」

何を考えていたのか。
あんな少女が自分を陥れる訳がない。
少女を守るよう頼んだあの男がこんなことする訳がない。
なのにどうして信じなかったのか。疑ってしまったのか。
ジナコは涙を流す。

「アタシのこと心配してたじゃない…れんげちゃん……
 れんげちゃんのこと、強引だけど頼まれたじゃない……!
 なのに、なんで…アタシッ……!!こんなことも出来ないの…」

ごめんなさい…





【B-10/街外れの一軒家/一日目 午前】

【ジナコ・カリギリ@Fate/EXTRA CCC】
[状態]脇腹に鈍痛、精神消耗(大)、トラウマ抉られて情緒不安定、ストレス性の体調不良(嘔吐、腹痛)
   昼夜逆転、現実逃避、空腹、悲しみと罪悪感
[令呪]残り3画
[装備]なし
[道具]なし
[所持金]ニートの癖して金はある
[思考・状況]
基本行動方針:???
0.どうしよう…
1.れんげやジョンスに謝りたい、でも外に出るのは怖い
[備考]
※彼女のパソコンは破壊され、ネトゲ内の装備も消失しました。
※密林サイトで新作ゲームを注文しました。二日目の昼には着く予定ですが……
※カッツェにトラウマを深く抉られました。ですがトラウマを抉ったのがカッツェだとは知りませんし、忘れようと必死です。
※ジョンスが赤い人(アーチャー・アーカード)のマスターであることを把握しました。
※ジナコ(カッツェ)の起こした事件を把握しました。






(杏子、この反応って何を意味しているんだ?)
『ライダーの時と同じだ…サーヴァントの宝具に反応しているはずだよ』

移動しながら春紀とランサーは念話により会話を続ける。

『しっかし、昼間から宝具を解放してるってのは工房作っているかもしんねーキャスターか…
 せいぜいアサシンってところだな。アサシンだったら厄介だよ。気を引き締めな』
(あぁ)

そう会話している矢先に彼女たちの前に何かが飛びだす。
一人の少女である。しかも小学生くらいの幼い少女だ。
そして、こけた。

「あっ」

思わず春紀は足を止めた。
少女はしばらくじっと動かず、テンポを遅らせてから立ち上がると膝から血が滲み出ている。
ボロボロと涙が溢れだす。
だが、少女は大きく泣き喚く事はなく、声を抑え気味に泣いていた。

「ああぁ……」

春紀は非常に戸惑った。
放っておけない。
しかし、この辺りにはサーヴァントがいるかもしれない。
だけども……

「あーもう!」

春紀は優しく少女に話しかける。

「大丈夫?ちょっと痛いかもしれないけど、傷触るよ。いいか?」

(ランサー、水持ってるだろ?)
『はぁ!?……ったくしょうがねぇな…』

ランサーは少し離れ、突然出現したように見せぬように春紀たちに近付いた。
しぶしぶ貴重な食料の一つを渡す。

「ほらよ」
「ごめんごめん、また後で調達しよ」

水で傷口を最低限に消毒してやる。
だが、春紀はハンカチを忘れたことに気づき、代わりになるものを探した。
ふと、少女の手に巻かれてある包帯に目が魅かれた。

手の甲……嘘だ…まさか……

震える声で春紀は言う。

「ちょっとだけ…この包帯、くれる?」

少女は痛みと悲しみを堪えながら頷いた。
恐る恐る春紀が包帯を解くと――その下から特徴的な痣が露わになった。

この子がマスター…!?

するとまた令呪が反応する。警戒したが、やはりサーヴァントの姿はない。
冷や汗を浮かべながらランサーは呟く。

「どういうことだ…?こいつのサーヴァント、何してやがる……」
「取りあえず――」

包帯の半分で傷を覆い、残りで痣を隠してやる春紀。
少し迷ってから春紀は少女に対してしゃがみ込み、背を向けた。

「おんぶしてやるよ。ホラ」
「…ありがとなん」

初めて少女は言葉を発する。
ランサーは思わず「おい!」と声をあげる。

「こいつマスターだろ!?」
「……ごめん、ちょっとだけ…」
「…好きにしな。あたしはマスターの決定には逆らわないからさ」

幼い少女。
二人はこのキーワードにそれなりの思い当たる部分を抱いているのだ。
春紀は妹。
ランサーは死んだ妹。
少女はその影と重なり合う存在である。
ランサーは霊体化して、周囲の警戒に当たる事にした。

春紀は少女から話を聞きだした。
少女は宮内れんげ。
彼女は怖い女性から逃げてきた。
攻撃してきた事から、その女性はマスターか…あるいはサーヴァントと分かる。

他にも『あっちゃん』と『八極拳』なる人物を知っていた。
二人組なのでそれも聖杯戦争の参加者だろう。
れんげの話によれば、二人はれんげを保護していたらしい。
殺意がないのだろうか……

何より重要な、れんげのサーヴァントについてだが。
そもそも、れんげは聖杯戦争すら理解していなかった。
ルーラーが説明しなかったのか?
いや、もしかしたら彼女には説明を理解できる知力がないのかもしれない。
春紀はあえて聖杯戦争には触れずにサーヴァントらしき存在を聞き出そうと試みた。
するとそれらしい『かっちゃん』と呼ばれる存在がいた。

『かっちゃん』は宇宙人で性別はよく分からない?、れんげの親友。
れんげが楽しそうに話す内容から仲の良さは十分伝わった。

「それじゃあ、れんげの家はどこ?」
「うち、家は村にあります」
「えっと…そうじゃなくってだな。ここで住んでる家みたいなの、あるだろ?」
「……?よく分からないん…それ八極拳も聞かれたん……うちの家は、村にしかないん」
「…家。ないのか?まさか――」
「ここには家ありません!いつの間にかここにいました!」

『おいおい…マジかよ……』

さすがにランサーも驚いていた。
きっと八極拳といった人物も苦労しただろう。
春紀は非常に悩む。
ここは警察に保護を頼むのもありだろうか?
春紀たちが見知らぬ少女を連れているのは、周囲の目がどのように見るか分からない。
れんげは春紀の思考を知らずに訊ねた。

「はるるん……かっちゃんたち、探して欲しいんな。
 かっちゃん、いつも一緒にいてくれたん。だけど、今はどこにもいないん。
 かっちゃん。大丈夫なんな?」
「大丈夫だって。探してやるから」
「会ったら、はるるんもかっちゃんと友達!
 かっちゃん。ほたるんたちと友達になってないん、でもここで友達沢山できるん!」
「…そうだな」
「かっちゃん…ちょっと恥ずかしがり屋みたいなん。うちの村で皆と会おうとしなかったん」
「へーそうなんだ」

何気なく春紀は話を受け流していた。
が、ただ一人。
ランサーはある事に気づく。


こいつ…今、『村』で……そう言ったよな?
サーヴァントは――『ここ』で召喚されるんだ。
だけどこいつ。『自分のいた村』でサーヴァントを呼び出したって、そう話してねぇか……
大体、NPC時代もないし家もないと来たもんだ。色々変だぞ?こいつ……


異端。
イレギュラー。
予想外の存在。
普通には存在しえない存在。
いるはずのない参加者。

…いいや、まさかなとランサーは
れんげの言いまわしのせいかとマスターである春紀には告げないでおいた。


【B-10/町はずれの住宅地/一日目 午前】

【寒河江春紀@悪魔のリドル】
[状態]健康 れんげをおんぶ
[令呪]残り3画
[装備]ガントレット&ナックルガード、仕込みワイヤー付きシュシュ
[道具]携帯電話(木片ストラップ付き)、マニキュア、Rocky、うんまい棒、ケーキ
[所持金]貧困レベル
[思考・状況]
基本行動方針:聖杯戦争を勝ち抜く。一人ずつ着実に落としていく。
1.れんげをどうするか考える。
2.食料調達をする。
[備考]
※ライダー(キリコ・キュービィー)のパラメーター及び宝具『棺たる鉄騎兵(スコープドッグ)』を確認済。
※テンカワ・アキトとはNPC時代から会ったら軽く雑談する程度の仲でした。
※春紀の住むアパートは天河食堂の横です。
※定時制の高校(月海原に定時制があるかは不明、別の高校かもしれません)に通っています。
※昼はB-10のケーキ屋でバイトをしています。アサシン(カッツェ)の襲撃により当分の開業はありません。
※ジナコ(カッツェ)が起こした事件を把握しました。事件は罠と判断し、無視するつもりです。
※ジョンスとアーチャー(アーカード)の情報を入手しました。
 ただし本名は把握していません。二人に戦意がないと判断しています。
※アサシン(カッツェ)の情報を入手しました。
 尻尾や変身能力などれんげの知る限りの能力を把握しています。

【ランサー(佐倉杏子)@魔法少女まどか☆マギカ】
[状態]健康 魔力補充(おにぎりとパンを消費)
[装備]多節槍
[道具]Rocky、ポテチ、チョコビ、ペットボトル(中身は水、半分ほど消費)、ケーキ
[思考・状況]
基本行動方針:寒河江春紀を守りつつ、色々たべものを食う。
1.春紀の護衛。
[備考]
※ジナコ(カッツェ)が起こした事件を把握しました。
※ジョンスとアーチャー(アーカード)の情報を入手しました。
 ただし本名は把握していません。二人に戦意がないと判断しています。
※アサシン(カッツェ)の情報を入手しました。
 尻尾や変身能力などれんげの知る限りの能力を把握しています。
※れんげの証言から彼女とそのサーヴァントの存在に違和感を覚えています。
 れんげをルーラーがどのように判断しているかは後の書き手様に任せます。


【宮内れんげ@のんのんびより】
[状態]魔力消費(小)(睡眠により回復) ジナコへの恐怖 左膝に擦り傷(治療済み)
[令呪]残り3画
[装備]包帯(右手の甲の令呪隠し) 
[道具]なし
[所持金]十円
[思考・状況]
基本行動方針:かっちゃんたち探すん!
1.はるるんと友達なん!
2.はるるんとかっちゃんを友達にしたいん!
3.怖かったん……
[備考]
※聖杯戦争のシステムを理解していません。
※カッツェにキスで魔力を供給しましたが、本人は気付いていません。
※昼寝したので今日の夜は少し眠れないかもしれません。
※ジナコを危険人物と判断しています。




【B-10/図書館へ移動中/一日目 午前】

【ジョンス・リー@エアマスター】
[状態]健康、アサシン(カッツェ)に対する苛立ち
[令呪]残り1画
[装備]なし
[道具]ジナコの自宅の電話番号を書いた紙
[所持金]そこそこある
[思考・状況]
基本行動方針:闘える奴(主にマスターの方)と戦う
1.アサシン(カッツェ)を八極拳で倒す方法を探す
2.基本行動方針と行動方針1.を叶えるため、図書館へ向かう
3.ある程度したらジナコに連絡をする
[備考]
※先のNPCの暴走は十中八九アサシン(カッツェ)が関係していると考えています。
※現在、アサシン(カッツェ)が一人でなにかやっている可能性が高いと考えています。
※宝具の発動と令呪の関係に気付きました。索敵に使えるのではないかと考えています。

【アーチャー(アーカード)@HELLSING】
[状態]健康
[装備]なし
[道具]なし
[思考・状況]
基本行動方針:主(ジョンス・リー)に従う
1.新たな闘争のために図書館へ向かう。
2.アサシン(カッツェ)が起こそうとしている戦争には興味がある。
3.アサシン(カッツェ)が接触してきた場合、ジョンスに念話で連絡する。
[備考]
※野次馬(NPC)に違和感を感じています。
※現在、アサシン(カッツェ)が一人で何かしている可能性が高いと考えています。



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065:喰らう者たち 喰われる者たち 時系列順 068:異邦の地で生きるということ


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053:落とし穴の底はこんな世界 寒河江春紀&ランサー(佐倉杏子 086:槍は甘さを持つ必要はない
060:Imitation/午前9時52分 宮内れんげ
ジョンス・リー&アーチャー(アーカード 080:対話(物理)
ジナコ・カリギリ 091:ひとりぼっち