勇者の邂逅、聖者の会合 ◆HOMU.DM5Ns


―――滅び往く、夢を見る。



その国は炎に包まれていた。
戦火ではない。戦の炎はこの国で一度として上がる事はなかった。
そもそれは戦争などではない。国と国、人と人との争いとは違う。
ひとつの国が、たった一人の男によって滅ぼされていく光景を、戦争とは断じて呼べまい。

蹂躙、虐殺、一方的な事の流れに付く単語(ワード)。
これはそれらと同じ、ただの痕跡。
男を支配した昏き憎悪がその土地を通過した「結果」に過ぎない。

故に。戦争ではないソレが滅ぼしたのは国家ではなく、国そのものだった。
利潤、独立、権威、宗教、あらゆるイデオロギーを含まないないソレは。
何も得ず、何も奪うことなく、ただ終わらせに一切を灰塵に変えた。
迫りくる兵隊を斬り伏せ。
命を乞う大臣の首を落とし。
逃げ惑う領民を無慈悲に焼いた。
国家という概念を司る人を残らず殺し、最後には国の置かれた土地すらも時空の彼方へと閉じ込めた。

「魔王を倒す」。
勇者の存在意義とはつまるところその一点に尽きる。
世に害為す者が現れればこれを討ち、「それ以上」の世界の荒廃を防ぐ者。
起きるのは常に魔王の側が先。それに呼応して勇者は目覚め、魔王の台頭を抑止する。
まるで世界に定められた一種のシステムのように、善(勇者)と悪(魔王)は相克する。
彼もまたその為に生まれ、その為に生き、その為に戦い―――――――――肝心の、倒すとこに行き着く前で終わってしまった。
魔王などどこにもいなかった。相対する敵が生まれないまま、先に勇者が作られてしまった。
歯車はそこで狂った。役割は逆転し、欠けた穴を埋め合わせようと因果は渦を巻き、悲劇は起きた。
勇者と呼ばれていただけの男は、この時、誰もが認めざるを得ない魔王へと変生したのだ。
一国を骸が築く死都へと変えた、嘘なき証を代償に。

そして全てが消えた場所で、男は立ち尽くす。
達成の喜びも、勝利の凱歌も、今の彼にはあまりにも遠い。
戦いですらなかったソレに、そもそも勝利などはじめからない。
全てを喪った彼に帰るものなどない。
敗北もなく、勝利しか収めてこなかったにも関わらず、いつの間にか男には何もなかった。
彼はただ、役目を果たしただけだというのに。望まれた行いを為したに過ぎないのに。

今あるのは、その時に新たに生まれた心のみ。
誰に願われた希望でもなく、何に与えられた使命でもない、
己の内から生まれた彼だけの絶望。彼だけの怒り。彼だけの憎悪。



新たな魔王の誕生を、嗤い声の吹き荒ぶ東の山が見下ろしていた。






   ■          ■



朝靄も晴れぬ早朝、通勤する学生や会社員もまばらなコンクリートの舗装路を言峰綺礼は黙々と進んでいた。
深山町に入るにあたって、服装は普段の僧衣でなく私服に着替えてきた。
早朝の、人通りの少ない道を選んでいるとはいえいつもの黒衣では流石に悪目立ちしてしまう。
防弾繊維・呪札防護仕様の代行者としての戦闘着を脱いだ姿であるが、気の緩み等の邪念とは無縁だ。
町に出たのは気分転換のためなどではなく、れっきとした聖杯戦争に向けての戦術構築の一環なのだから。
袖口やポケットには刀身を霊体化した黒鍵を複数仕込み、慮外の奇襲にも対応できる準備はしてある。
それでいて無闇に殺気を放出しないよう気を静めながら、細心の注意をもって歩いていた。

『セイバー。傷の具合はどうだ?』
『今はもう落ち着いている。キレイの治癒魔術が効いたようだ。これなら通常戦闘にも耐え得るだろう』

黒甲冑のバーサーカーから離脱して帰宅した後、綺礼は早急にセイバーに対しての治療を施していた。
修行期間は三年余りの俄仕立ての魔術師である綺礼だが、こと治療魔術においては際立った適正を発揮し、師である時臣すら超える腕前にまで成長を遂げていた。
時臣曰く、魔術の適性には属性や術毎の特性よりもその人の奥に根ざす『起源』、いわば前世を極限まで遡った果てにある魂の方向性に左右されるという。
治癒に際立った成長を見せたのを時臣は聖職者に相応しい適性だと褒めそやしたが、当の綺礼は相変わらず虚しさを覚えるばかりだった。
才能に奉仕することが人間の悦びならば、いっそ医療部隊にでも転属してみるかなど益体もない考えを持った程度だ。

ともかく、セイバーの傷は見かけほど重傷ではなく、治癒そのものは速やかに完了した。
一方的に打ちのめされながらも、致命傷となるべき一撃は常にかわしきっていた証拠だ。相性で不利な相手にもそこは流石最優のクラスといったところか。
重く見られたのは左肩の脱臼だが、霊体であるサーヴァントなら一度はめなおせば然程支障の出るものではないらしい。
霊体化して休息に努め一夜を越えた時には、通常戦闘なら問題ないレベルにまで回復を遂げていた。

『ならば十分だ。今後も常に最低一撃、サーヴァントの奇襲に即応できるだけの余力は残しておけ』

短く了解したとの声を聞き、綺礼もまた足を進める。
虚構空間で割り振られた「役職」の時間より早めに町に出たのは確認のためだ。
聖杯戦争を行うこの地に抱いていた違和感。電子世界にて構成されたこの土地を。



この場所は、冬木市に酷似し過ぎている。
いや、地図の図面や昨夜から今朝まで実際に見てきた地形からして、ほぼ再現されてると言っていい。


元々綺礼は地上で執り行われる第四次聖杯戦争に向けて訓練を続けていた身だ。
当然その舞台である冬木市の地形についても、差し障りのない部分まで学んでいる。
遠坂や間桐、アインツベルンが邸を構える深山町、近代オフィス街として開発を推し進められている新都、
その中央を流れる運河を繋ぐ大橋、山に建てられた寺院、教会……。
どれも聖杯戦争にあたって下調べをした冬木の地そのままだったのだ。

無論、多くの差異はある。特に大きなものは時代だろう。
ニュースや新聞を読むに、設定された「今」は二十一世紀の初頭、第四次聖杯戦争から十年以上経過した年代だということが判る。
綺礼にとっての当時には開発途中だった新都のビル群も完了したどころか更なる開発が進んでいっている。
立地も変わっており、綺礼も逗留していた遠坂家の屋敷は別の場所に建てられているらしい。
綺礼の知るのとは別の、異なる歴史を辿った冬木市なのか、方舟内の聖杯戦争用に組み替えたのか、それを知る術は今のところなかった。
だが変わりがあるにしてもその程度の誤差で、地形についての概要は記憶にある限りほぼ同様のものだ。
この世界が、冬木をベースにして作られた土地であるのは疑いようがない。

聖杯戦争とは、決して冬木にのみ限定された儀式ではない。
聖堂教会は聖杯と名付けられる神秘あるもの全てを聖杯の候補として調査・回収にあたる。
地上において聖杯を獲得するための争いは無数に点在し、それらは全て「聖杯戦争」と名付けられる。
極論、オークションに出品された聖杯の競り合いも、定義では聖杯戦争に分類されるのだ。
それだけ聖杯という遺物の伝承は各地に現れ、教会にとってその教義を占める比重はとりわけ多いということだ。

数多ある聖遺物の争奪戦。中には正真の聖杯の断片、あるいは願望器の機能を有したものも実在したのだろう。
それでも冬木の聖杯戦争が随一の特異点とされているのは、聖杯降臨の過程にあるサーヴァントの存在あってこそだ。
遠い過去から遥かな未来、あらゆる伝説神話に名を刻むことでその魂をヒトより高位の階梯へと昇華させた英霊の魂。
それを一部とはいえ現世に呼び戻し、使い魔として使役せしめる奇蹟こそが第七百二十六号聖杯、
アインツベルン、マキリ、遠坂の三家の秘術を結晶して降誕した大儀式―――聖杯戦争の際立った点だ。
英霊の力、宝具を使役できるとなれば、更にそれすらも聖杯の機能の一端でしかないのならば、聖杯の真偽はともあれ規格外の魔術礼装だ。



そう。「サーヴァントの召喚」。これは冬木の聖杯戦争にしか実現していない現象だ。
あの場所以外でサーヴァントの戦いは起こり得ず、従って観測もされ得ない。
並行世界をも見渡すムーンセルならばあるいは別の可能性も観測しているのかもしれないが、
今ある現実としてアークセルの舞台は期せずして冬木を舞台としている。


聖杯。サーヴァント。そして冬木。
これだけ符号すれば、如何に愚鈍でも意識せずにはいられない。
この「月を望む聖杯戦争」は、「冬木の聖杯戦争」を再現して行われている。
それが今回からなのか、始めから決まっていたのかは綺礼の与り知らぬところだ。
告白すれば、綺礼にとって、月の聖杯戦争が冬木の聖杯戦争の要素を取り入れてる意味自体に正直興味はない。
任務を受ければその意味を問わず、ただ無心、無情、無感動に事を為し神意を示すのが代行者の条件だ。
疑問があるのは、悩みなのは、この聖杯の参加者に自分がまたしても「選ばれた」という点だった

思えばあの時も、詳細を知った際に始めに脳内に浮かんだのは疑問だった。
情熱もなく信念も持ち得ない、ましてや理想や願いなどという強く求める心を生涯一度として感じた試しがない。
そんな自分が、出現の三年も前に聖杯を手に入れる争いの参加権である令呪を宿すのに、いったいどんな理由があったというのか。

そしてその答えが見えるやもしれなかった戦いを前に、今度はこの月の争いに「選ばれた」。
それが木片の入手という、令呪に比べればまだ偶然性を見いだせる手段だとしても、二度も聖杯の招きを受ける者など自分以外にいるとは思えない。
ただの偶然で片づけるにはあまりに数奇な巡り合わせ。
波にさらわれ身動きがとれぬままどことも知れぬ場所に流されているような、浅い混乱が綺礼の中にはあった。

願いを成就させる願望器。宙を見渡す月。招き使わす英霊。想起させられた過去の記憶。見たことのないはずの女。
こうも自分を引き合わせる"聖杯"は、いったい己に何を見せようというのか?
数多のマスターを討ち尽くし、聖杯をその手に収めた瞬間に邂逅するものとはなんなのか?
今の綺礼に強いて願いがあるとするならば、その疑問の答えを得るぐらいだ。
安穏に勝ち抜けるはずもない。道半ばで果てることも十分あり得る。最後の一人になったとて、何も得ない終わりもあろう。
これは願いなどとは程遠い、ただの小さな疑問の払拭だ。何かを置いて優先すべきものでは決してない。
あくまで至上とするのは任務の達成。月であろうと聖杯を回収しあるべき元に帰す。この意識には一片の揺らぎもない。
それは今まで培ってきた言峰綺礼の人生を賭してでも、崩してはならないものなのだから。



『―――キレイ。目指していた場所に着いたようだが』

セイバーからの念話でようやく、目的地に着いたことを確認する。自分らしくもない散漫さだった。
それほど考え込むだけの疑問だったのだろうか。雑念を切り捨て当初の行動に意識をすぐさま切り替える。
町を練り歩いていたのは決して偵察のためだけではない。
土地の霊脈を精確に探り当て把握するだけの腕は綺礼にはない。故に足を使って、再現された冬木市を探り回っていた。
態勢が整った朝になり最初に向かったのが、深山町西側に位置する円蔵山の中腹に建てられた寺院だ。
本物の冬木市では柳洞寺となっているそこは、冬木市最大で聖杯降臨に最も相応しい霊脈の要の土地であるとされている。

この場所を調べることで、綺礼の思う「再現」の度合いを見るというのもある。
だがそこには歴とした聖杯戦争を戦うにあたっての理由も存在している。
もしここが本物同様、でなくともそれに準じる程度に霊脈として機能しているのなら、マスターにとってこれほど有利な要害の地はない。
魔力の流入に富んだ土地は魔術師に活力を与え、同時にサーヴァントへの魔力供給も存分に行える。
加えて立地的にも正面の門以外からの侵入を拒む設計で、まさに攻めに難く守り易い理想的な陣地だ。

無論それだけの好物件が今も手放しにされてるとは思うほど綺礼も呑気ではない。
もしこの寺をキャスターにでも押さえられているなら、早急に叩きたいというのが綺礼の方針だ。
直接的な戦闘力ではサーヴァント中でも下位のキャスタークラスだが、魔術師の英霊が魔力を充溢に蓄えた時は一気に手の付けられない脅威と化す。
持久戦になるにつれ真価を発揮するキャスターは是が非でも優先して仕留めたい対象だ。
幸いにもこちらは高い近接戦能力と対魔力を併せ持つセイバーだ。開始して間もない今が好機、攻め入るにも不足はない。
誰もいないとしたらここが形ばかりの、霊脈とズレた地点ということ。単にひとつ見当が外れただけで、然程問題はない。

いづれにしても無駄な不利益を被ることはない。そう思う綺礼は参道に何十何百と積み重なった石段を昇り始めた。
平日の早朝に足繁く通う参拝客もいないだろうが、既に起きている僧侶が掃除に精を出しているだろう。
仏院に神父が出向けば当然視線が集まる。そう思ってこその私服だ。派手に存在を誇示するだけの旨みは今の所ないのだから。
僧の反応によっては、ここが魔術師の陣に変容しているかを計る材料にもなるだろう。戦いの駆け引きは既に始まっている。

『セイバー。霊体化のままで可能な範囲で構わん、索敵を―――』

そこまで言いかけて、綺礼は異変に気付いた。先程までひとつだった階段を昇る足跡が、ふたつに増えている。
加えて回路から奪われる魔力の増加。それが意味するものは即ち、己のサーヴァントが顕現しているという事実―――。

「……セイバー?」

金色の鎧を纏う騎士、セイバーは綺礼の声を待たぬまま実体化し、その隣に立っていた。

「問題ないマスター。周囲に無関係の人間はいないし、この先に待つ者も我々に悪意を放ってはいない。
 そこで立つ者も含めて例外なくな」

顔を上げたセイバーの目線に続くその像に、綺礼もまた遅まきに気づいた。
いや、気づかなかったわけではない。寺院内に通じる唯一の入り口である正門に人影は一切なかった。
セイバーが実体化し綺礼がそこに意識を向けた数秒の最中に、霊体と化していた魂は肉ある生前のカタチを取り戻していただけのことだった。



現れた姿は、綺礼に部屋の中央に飾られた美術品を想起させた。
頭部から爪先までくまなく覆われた、全身甲冑(フルプレート)の騎士。
陽の光も恥じらうとばかりに青く輝く鎧兜には、培った武勲を知らしめる傷跡はどこにも見られない。
一度として戦場を駆けぬまま倉庫に追いやられた、時代の流れに取り残された骨董品かと見紛う清白さ。
そんな旧き遺物の翳りを、しかしこの鎧は些かも持ってはいなかった。
照り返す鎧の光が、あまりにも眩いからだろう。天よりの祝福をあらん限り受け止めた勇壮なる武具。
反射ではなく鎧そのものが発しているかのような蒼穹の煌めき。
一度も言葉を出すことなく、それらが何よりも雄弁にこの英霊が築いた伝説を物語っていると理解してしまったのだ。

だが何よりも奇妙なのは、相対した今でもこの英霊の"顔"を窺えないことだ。
兜が頭部全体を隠しているのだから当然ではあるのだが、名のある英霊となればただ立つだけでも自然とその性質を醸し出す。
勇猛さで知られた英雄では叩きつけるような覇気、冷酷さが有名なら身も凍る殺気というような。
人々の信仰で形作られた彼らは存在そのものが幻想であり、大小善悪を問わずそうして要素は強く表に表れる。
ましてこれだけ清廉かつ豪奢な輝きを発揮する英雄なら、それに相応しいだけの信仰と憧憬を集めたはずだ。
なのに露わとなっているのは積み上げた偉業を示す輝きのみで、その英雄の人格を知らしめる要素は一片たりとも感じないのだ。
それはまるで功績だけを望まれる機械のような、人ではなく社会の機構(システム)の一部を見ている錯誤感を与えた。



内心の疑念をよそにして、綺礼は目前の状況への対処法を思考する。
ともあれこの相手はサーヴァント。ならば自分の敵である事実はまず不変だ。
加えて腰だめにした右手に握られた西洋式の両刃剣、左手の紋章を刻んだ盾。
まさに中世の騎士物語から抜け出てきたような、てらいのない正純極まる立ち姿。
こうまで堂々と「らしい」形を見せられれば、偽装の罠を勘繰るのも馬鹿らしくなる。
己が従えるサーヴァントと同様の『剣士』のクラス―――セイバー。
古今の英雄が並び立つ聖杯戦争で最優の二文字を賜った、聖杯戦争の花形とでもいうべき相手がこのサーヴァントというわけだ。

柳洞寺の侵入を拒むように出現した以上、この寺にマスターが潜んでいるのは確実と見ていいだろう。
つまり当初の目的はほぼ達成したことになる。ならば徒に戦う必要性もない。まだ朝靄も残るとはいえ今は朝だ。
仮想世界では神秘の秘匿に気を遣うこともないようだが、衆目に晒されて得があるわけもない。
その場合、初手の内に高所を取られているのが懸念材料だが、向こうに明確な敵対の行動は見られずマスターの気配もない。
朝に剣を交わすのはあちらも理解しているのか。侵入を拒む門番のように最上段で佇むのみだ。
かといって無防備に背中を見せるほど綺礼も愚鈍ではない。実体化した蒼鎧のセイバーはそれ以降身じろぎもせず殊更出方を予想できない。
膠着し動きあぐねていたところに、淀みなく歩を進めたのは綺礼のセイバー、オルステッドだった。

「マスター。この場は私に任せてもらえないだろうか。
 差し出がましいようだが、事を荒立てるつもりはない。上手く収めてみよう」


常に己の行動をまず綺礼に委ねるオルステッドらしくもない、積極的な意思表明だった。
問い返す暇も与えず、オルステッドは緩慢かつも歩調を崩さず蒼鎧のセイバーに近付いていく。
蒼のセイバーは依然として動かず、武器を持つ手を掲げることもなく騎士の到来を待っていた。
幾ら人智の及ばぬ超然の英霊といえど、地の利の有無とは決して無視できない要素のはずだ。
むしろ伯仲した実力差であるほど、微細な差が勝負の名案を分けるのも往々にしてある。
戦場で戦ってきた者ならば自然とその差を理解しているだろうに、蒼鎧のセイバーは一向に構えを取ろうともしない。
とうとうオルステッドは最上段を昇り終え、蒼のセイバーと並び立つ正門前にまで肉薄していた。
もはや彼我の距離は十歩に満たない。常人にはまだ遠くとも英霊にとっては十分すぎる間合いの位置だ。

鎧と同じ金色の光がオルステッドの右手に集中する。
瞬きの内に、五指に握られた彼の半身とも言える魔剣が現界を果たす。
そこから発散される膨大な魔力、伝播するエーテルの波に、彫像のように微動だにしなかった蒼鎧のセイバーが遂に動いた。
それは漣と変わりない、武器を握る指に力みが入るだけのごく僅かな変化でしかない。

しかしその瞬間、静謐に沈んでいた鎧を纏う五体は眼前の敵を討ち滅ぼすだけの戦闘機械に変貌しており―――。
オルステッドが片足を地面から離したとまったく同時のタイミングで、疾風の如き俊敏さを伴って前進し―――。







激突、炸裂、そして鮮烈。

示し合わせたわけでもなく十字を重ねた剣と剣の交差点は、一瞬だけ何も存在しない"無"へと引き戻された。
質を異とするふたつの濃密な魔力の正面衝突。初撃でありながら様子見のない、必殺の意志が込められた互いにとって最強の斬閃がぶつかり合う。
宝具とは単なるマジックアイテムに非ず、英霊の誇り、人生、その全てが集約され信仰という研磨で昇華された"貴き幻想"(ノウブル・ファンタズム)。
英霊の一部、半身に等しいそれは英霊の内に住まう小宇宙、世界も同然となる。
その極小の世界の衝突に両端から押し潰された空間は行き場を失い超圧縮された状態に陥る。
結果引き起こされるのは、目に映らない薄さ、アークセルにもコンマ十八桁以下でしか観測されない時間でのみ発生した原初の宇宙。
あらゆる生命の存在を許さない天地開闢の折がここに再現されていた。

真空化した空間の膨張で豪風が巻き起こり、物理の断末魔が激しく火花を散らしていく。
人間の形をしたモノ同士が剣を重ねただけで、世界の震撼が垣間見える。
時代と世界を超えた英霊の対決―――聖杯戦争の意味を、この二剣は燦然と有り示していた。


「        !」
「――――――はッ!」

鳴り止まぬ交錯のスパークを打ち破ったのは、気合の方向と共により深く剣を振り下ろしたオルステッドだった。
均衡の崩れを恐れず足を踏み入れての一閃は、見るからにして重厚な鎧を着込んだセイバーを藁人形も同様にこともなげに弾き飛ばしてみせた。
それにより軌道を変えた旋風は飛ばされた蒼鎧のセイバーを後押しして、飛距離を伸ばす一助として機能した。
蒼鎧のセイバーは尻餅をつく醜態をさらすことなく鮮やかに着地してみせる。だがその位置は正門を越え境内に入っていた。
ここまで遠くにいては、さしものサーヴァントも何の補助手段もなしに一足で届く距離ではない。
それはオルステッドのマスターである綺礼の、撤退のお膳立てが済んだことを意味している。


綺礼がマスターの透視能力で確認できるサーヴァントの能力値は、全てのパラメーターがBランク以上。
総合力ならばオルステッドを凌ぐ高水準の値、最優の名に恥じぬ力量だ。
目が眩むばかりの清開な威容からしても、相当に名の知れた英雄であるのが見て取れた。
ひとつの伝説における主役級の活躍を見せた人物。その実像が掴めないのは真名秘匿の効果を持つ礼装によるものか。
だがそんな正統な英霊は、綺礼のサーヴァントにとって圧倒的な優位を得られる組し易い相手に過ぎない。
「対英雄」という希少極まるスキル。これによりオルステッドはおよそ正式な英霊に対して高いアドヴァンテージを確保できる。
先程の一合で蒼鎧のセイバーを一方的に押し返せたのもそれが最たる理由だ。
現に対峙している今も、相手は本来のポテンシャルよりワンランク落ちた状態にまで制限を受けている。
むしろこの場合、その状態でなお拮抗してみせた蒼鎧のセイバーの技量を称えるべきか。
反英雄や狂化された英霊でない限り、白兵戦でオルステッドが後れを取ることはまずない。



故に判断を迫られる。あるいはここで、決めにかかるのも手ではないのかと。
対英雄の判定にかかる以上、こちらが勝利に一歩先んじているのは間違いない。
敵マスターによる援護を鑑みても余程の実力者でない限り、このまま戦闘を続行すれば勝つのは自分達だろう。
だがそれはこの先数分のような短い時間ではない。より長く斬り合いを演じた末での競り勝ちだ。
オルステッドの欠点のひとつに宝具の破壊力の乏しさがある。
戦闘で有用な効果ではあるものの、敵を直接殺傷せしめるだけの一撃の攻撃力に欠けているのだ。
つまり、このまま戦い続けるというのは……いつ部外者が気づくかも知れない場所で数十分にかけて英霊の力を行使するということになる。
身を隠しての暗殺ならともかく、白昼堂々剣を振り回すような真似は尋常な目で見ても犯罪だ。
ルーラーからの懲罰を逃れる釈明は通らない。戦いは夜にするものとは地上の聖杯戦争と共通するセオリーだ。

サーヴァント戦でとりわけ重要なのは、真名の看破と露呈の阻止にある。
生前の正体を知ればその戦術や宝具を推し量れるし、死因となった弱点に付け込むことも可能だ。
既にこちらは対英雄という手札を一枚見せてしまっている。希少なスキルということは、それだけ予測される候補を限定させてしまうこと。
このまま尻尾を巻いて逃げれば、敵に真名に至る情報を与えてしまい、次に攻め込むのが困難となる。
二度正攻法が通用するほど容易な相手とは思わない。何かしらの対策を練る隙を与えてしまう。

言峰綺礼は代行者であり現場での戦闘員だ。
戦場での判断の遅滞は死に直結することを身に染みて実感している。
徒に思考に時間をかけてはならない。事態は刻一刻と変動していくものであり、都合よく相手が待っていることは決してない。
求められるのは迅速な行動。危険性を考慮しつつもそれを跳ね除けられる大胆さだ。
自己を廃棄し、任務を果たすという意志のみを残し、必要な行為を選出する。
神に仕える為の研鑽だけは怠らなかった人生だ。余分なものを切り離して初志に立ち返れば自然と為すべき事は見えてくる。
そうして選んだ行動を即座に実行するため前に立つセイバーに指示の念話を送ろうとした矢先、男のものではない声が境内から奏でるように聞こえてきた。

「そこまでですセイバー。剣を収めなさい。
 ここは仏に祈り、己を精進する霊験あらたかな梵刹の内。天道が見えるこの時分は餓鬼も魍魎も見えぬ光の日です。
 英霊といえどみだりに争いの場にしてはいけませんよ?」


剣を向け合い、命を遣り取りをしていた戦場には似つかわしくない、どこか緊張感のない間の抜けた声だった。
まるで悪戯をして子供を叱る母親のような、窘めつつも愛情のこもった叱責。
だがその音はどこまで柔らかで、全てを受け入れる慈悲の具現のような穏やかさに満ちている。
蒼鎧のセイバーはすぐさま剣を下ろし、後ろを通る女性に僅かに首を下げた。恐らくは謝意の表れだろう。
戦略の一環なのか本人の性質なのか、己のマスターであろう存在にさえこのセイバーは無言を通すらしい。

現れたのは少女とも婦人ともつかぬ妙齢の美女であった。
腰まで届く長髪は頭頂部には紫紺色が差しているが、毛先に行くに従って茶金色に変わる奇妙な配色をしていた。
服装もまた浮世離れした白と黒を基調としたドレスのような意向で、寺から出てきた人物としては一見不釣り合いこの上ない格好だ。
しかしそれが女の纏う雰囲気と一緒にすれば、不思議とまったく違和感のない。それほどこの女性の持つの空気はここと馴染んでいた。

未だ戦闘態勢を解かぬ綺礼とセイバーに、女は恐れもせず前に立ち、さらには柔らかな所作で丁寧にお辞儀まで返してきた。

「お初にお目にかかります。この度は私の同志が至らぬ真似をしてしまったようで。
 互いに譲れぬ願いを持ち闘争に臨む者とはいえ、争いにも守るべき法はあります。どうかここは剣を収めくださらないでしょうか」

謝意を示しつつも不用意にへりくだらない態度で停戦を申し入れる。
隣にセイバーがいるからとはいえ、そのまま首を落とされても言い訳できない無防備さに両者は隙を突く考えさえも浮かばなかった。

「私の名は聖白蓮。この命蓮寺を預かる住職の身として、此度の聖杯戦争に参じましたマスターでございます。
 此の度の不作法の礼もありますし、一度中でお話をしませんか?」

張り詰めた空気を解かす声と共に、尼僧は蓮の花を思わせるたおやかな微笑みを見せた。




   ◆          ◆




外で起きた一悶着にも、命蓮寺本堂の内部は動じることなく静かな空気を携えたままでいた。
香の匂いが漂うほの暗い本殿で厳かに立つ財を司る神、毘沙門天像の存在感が嫌が応にも大気を引き締めている。
だが並み居る僧侶が委縮する武神の威圧の中にあっても、なお揺るがぬ泰然としているふたつの像がある。

二者ともこの建築には似つかわしくない、異端の装いだった。
鎧姿は威厳を示す武神のそれとは趣を別とし、華やかさを強調する陸を隔てた技師による業だった。
木材が、空気が、寺院を形作るすべてが二人を異物として認識していた。
自らの教えと違った神の教義に従う者であると、望まざる異分子を排斥しようと圧しにかかる。
それでも騎士は揺るがない。本堂に続く扉の前の両端にそれぞれ立つ姿はまるで元からそこにあった彫像のように違和感がない。
時代や土地柄、風習でなく、守護者としての気勢で二人の騎士は寺院に存在を許されていた。

ふたりのマスターはこの先の本堂で対峙している。
戦いの気配は感じられない。同盟か会合か、なんにせよ交わされるのは拳でなく言葉の応酬だろう。
彼らは共にマスターの力量を知っている。一対一なら後れを取ることは早々ないという信頼があってこそ単独を認めた。
同時にサーヴァントはサーヴァント同士で押さえさせれば邪魔も入らない。

なるほど何も出会う相手を全て敵として見境なしに戦いを挑む必要はない。それでは遠からず息切れをする。
二十騎以上のサーヴァントが入り乱れるバトルロワイヤルである聖杯戦争では、他陣営との連携が必要不可欠だ。
戦う相手を限定し、協力してより確実に数を減らしに行く。一騎より二騎の方が効率で勝るのは至極当然の帰結である。
そうして然る後に互いに決着をつける。当然正面から向き合った正々堂々の決闘になるはずもない。だが出し抜くチャンスがあるという点では限りなく平等だ。
情報戦の重要性は時に実戦よりも優先される。仲間(パーティー)を組んで冒険した両者はそのことを良く理解している。
セイバーという最優のサーヴァント同士による共同戦線。実現すればこの上ない最良のパーティーとなるだろう。
その提案を受けるか否かの決定権はマスター達に委ねてる。彼らは今生の主の意志のままに沿うだけだ。

「      」
「――――――」

言葉は交わされず、目線はそもそも片方は見えない。
共に無闇に口を開く性分ではない。ただただ無言で佇み合い互いに無関心でいる様子だ。


しかしルクレチアの勇者であり、魔王として人の憎悪を知り尽くしたオルステッドは、蒼鎧の騎士の苦悩を誰よりも深く理解し。
アリアハンの勇者であり、伝説の始祖として世界に称号を刻んだロトは、金色の騎士の苦悩を誰よりも深く理解していた。


目にした瞬間に分かっていた。我々は同じものだと。
共に天命を受け、期待を背負い、望まれるままに諸人の望みを叶え続けた勇者という名前の機構(システム)に囚われた者同士なのだと。
あまりに似通った運命を辿った二人は、邂逅した時点からその心象を等しく共有させていた。
違うのはオルステッドは生前の悲劇で心を堕として魔王に変じ。
ロトは死後に永劫に続く輪廻に精神を摩耗させた点だろう。
故に互いは互いの身の上を同情し、憐れみ、そして敬意を表す。
同じ道を歩みながら、片方は役目を全うし、片方は役目に反旗を翻した。
そして対極の位置に置かれることになった二者が、因果の終えた死後に至って顔を合わすことになろうとは。



「……運命とは、こういう時にこそ名づける言葉だろうか」
「             ?」

正面の騎士でなく自分に言い聞かせるように呟かれた言葉を、蒼の勇者は聞きとめ首を傾げる。

「なに。悪として扱われた「我々」が、全き善の担い手であるお前たちと肩を並べている事態に皮肉を感じただけのことだ」
「            。」

オルステッドの言葉に言外の意味を感じ取ったロトは、やはり沈黙で返す。
正義の化身たる彼も気づいていた。この魔道に落ちた勇者の主は、ともすればそれよりなお救いがたい魂を抱える者なのだと。
それならば人妖平等を謳う己が主の説き伏せは、その魂にどのような刺激を与えるのか。
微かな不安を抱いていた最中、重く閉ざされていた本堂の扉が開かれた。
出てきたのはオルステッドが主、言峰綺礼だ。

「……行くぞ、セイバー」

短く、だがそこに僅かな感情の乱れがあるのを感じ取り、そこを指摘することなくオルステッドは付き従った。
ふと扉の奥を見やると、姿勢を崩れが微塵もなく正座した聖白蓮と目線が合った。綺礼共々、荒事に発展することはなかったようだ。
小さく目礼を返すと、向こうも尼公に相応しい微笑みと眼差しで応えた。
最後に、傍らの勇者へは―――今更言葉を送るまでもなく、霊体化して先を行く綺礼を追った。


『結果はどうだった、キレイ』

綺礼の傍に付き、同盟の締結が成ったかどうかを訊ねてみる。

「どうもしない。とりあえず結んだのは休戦と今までの情報の共有までだ。
 霊地の貸し付けや戦力の提供まで申し出されたが、そこまで甘えた厚意を受ける義理はない」

憮然とした面持ちのままやや口早に結果を語る綺礼。
どうやらあの尼公の説法はよほど気に障るものがあったのだろう。
宗教観でも、傍目で見ても感じられる気質を鑑みても無理からぬことだが。
その詳細に何があったのかまでは問い質すことはしない。それは言峰綺礼が一人と対峙し、向き合わねば解決しない問題だ。
オルステッドはそれを見届け、背を押す程度の手助けをするのみ。
たとえその末路がどのようなものでも、その果てに至るまで付き従うだけだ。

「……まずは割り振られた役職に当たる。細かな戦略はそれからだ」
『そうだな。―――時にキレイ。あなたのこの空間での役職はどのようなものなのだ?』

アークセルでは予選で記憶を失いNPCとしえ過ごす間の役職をそのまま引き継ぐ仕組みになっている。
綺礼の出自からして安直なのは神父だが、教会には裁定者となる上級AIの管轄になっているはずだ。そこと同職ではあるまい

「購買だ」
『―――は?』

それがまったく慮外の答えだった故に、セイバーの声はこれまでにないほど間の抜けたものだった。
自覚はあるのか、不敬を咎めることなく綺礼は詳細を告げる。

「月海原学園内の購買部の店員だ。これから品の搬入へと向かう」

陳列席に商品を並べる代行者。
カウンターで無言で直立不動して客を待つ代行者。
客に品物を「あたためますか」と問い返す代行者。

あまりに、あまりにも、想像の範疇を越えた光景だ。

「そうか。………………………………………………………………それは、難儀だな」
「まったくだ。だが職務放棄するわけにもいかんだろう。今の時期に姿を眩ませては他のマスターに公表しているようなものだ。
 せめて学生からマスターの噂を聞けるのに期待するしかあるまい」

文句は出ているが、サボタージュするという選択肢は彼に始めからないようだ。
例えその性根はどうあろうと、与えられた職務には真摯かつ実直にあたるのが、言峰綺礼という男だった。




   ✚          ✚




来客が去り元の空気を取り戻した命蓮寺の境内で、蒼鎧のセイバー、ロトは虚空を見上げていた。

「彼が、気になりますか?」

いつの間に居たのか、マスターである聖白蓮はサーヴァントへと問いかける。
彼、とはどちらのことなのかと一考して、マスターの方だろうと結論する。
あの勇者のマスターであるだけあって、その内面の複雑さには注意を抱いたのは確かだ。
しかしそれを言うなら、マスターこそ彼を気に留めているのではないだろうか?

「あ……っ、やはりそう見えますか?
 そうですね。気になる、といえばそうです。私と語らう間も、彼は虚の中にいるようでしたから」

マスターとして方舟に参じた理由。人生において理念として掲げるもの。信仰と宗教への観念。
多くを問いかけた彼女だが、男の方は殆ど答えを返すことはしなかったという。
尼公から語った願いへの反応からして、彼もまた宗教の信徒であるらしいことのみ。

「異教との和合は難しいですね。自らの信仰を崩すものに人は過激に反抗する。
 私の願いも稚児の理想論と一蹴されてしまいました」

人と魔を分かつことなく同じ輪の中に住まわす。
異端を排斥する組織の人間にとって、これほど鼻持ちならない理念もないだろう。
それでも彼女は眉も顰めず、理想を諦める気持ちなど毛頭もないようだ。

「ですが、彼とはまた話をしてみたいですね。
 言峰神父。異なる神を信じる彼のような者とも理解を深めねばなりませんと」

心を新たする尼公を見て、その心得違いの心境に苦々しさを覚える。
彼が彼女の思想に反感を抱いたのは教義のためだけなどではない。
伝説の終焉に討ち滅ぼした闇の魔王の心。
本人すらも自覚のない底の底に淀むモノこそが、その根源だ。

八苦を滅した尼公は果たして、それに気づく日が来るのか。
勇者は語らず、ただ守護の剣として有るのみだった。






「あ、忘れてました。セイバー。あなたにはこれを」

唐突に、思い出したとばかりに差し出したのは、境内の埃を掃うのに使われる箒だった。
これは、いったいどういうことだろうか。

「私のサーヴァントである以上、あなたもここの一員です。
 それならここの僧侶と同じ勤めを果たさなければね」

微笑む僧侶は相も変らぬ可憐さで、だからこそ何か有無を言わせない迫力を感じさせた。
しかし、鎧も脱げないこの姿で掃除をするのはかなり無理があるのだが。

「裏庭の方にしますのでそれは大丈夫です。普段は他の人も使わない場所ですからね。
 それとまた思い出したのですが、セイバー、あなた最近寺中の棚や壺を探り回っていませんか?」

気づかれてしまった。別に隠してたわけではないのだが。
これはまだ装備に乏しかった頃からの習性のようなもので、何か隠してありそうなタンスや壺を見つけると中身を返したくなって仕様がないのだ
それに意外と貴重なアイテムが手に入ることも、場合によってはそれなりにあるのだから一概に否定できたものではない。
今の所、若い修行僧の隠していた成人雑誌しかないが。性格が変わりそうなほど衝撃的な内容だった。

「駄目です。勇者様ともあろうものが盗みを働いていてはバチが当たってしまいます。
 さあ、お掃除です!早くしないと朝餉に間に合いませんからね?」

その時、英雄として積んだ冒険からの経験則から悟った。
思い出したというが、始めから彼女はこちらの不貞を察知した上であると。
ここで逃れようとすれば更なる思い罰が待つのだと、勇者の直感は結果を弾き出してしまったのだ。
こうなればもう観念する他なく、大人しく微笑む尼僧の手から箒を取った。



【B-1-C-1 /命蓮寺/一日目 早朝】

【聖白蓮@東方Project】
[状態]健康
[令呪]残り三画
[装備]魔人経巻、独鈷
[道具]
[所持金] 富豪並(ただし本人の生活は質素)
[思考・状況]
基本行動方針:人も妖怪も平等に生きられる世界の実現。
1.さあ、お掃除です!
2.来る者は拒まず。まずは話し合いで相互の理解を。ただし戦う時は>ガンガンいこうぜ。
3.言峰神父とは、また話がしたい。
[備考]
•設定された役割は『命蓮寺の住職』。
•セイバー(オルステッド)のパラメーターを確認済み。
•言峰陣営と同盟を結びました。内容は今の所、休戦協定と情報の共有のみです。

【セイバー(ロト)@DRAGON QUESTⅢ ~そして伝説へ~】
[状態]健康
[装備]王者の剣(ソード・オブ・ロト)、箒
[道具]寺院内で物色した品(エッチな本他)
[思考・状況]
基本行動方針:永劫に続く“勇者と魔王”の物語を終結させる。
1.>そうじをする。
2.>白蓮の指示に従う。戦う時は>ガンガンいこうぜ。
3.>「勇者であり魔王である者」のセイバー(オルステッド)に強い興味。
4.>言峰綺礼には若干の警戒。
[備考]
•命蓮寺内の棚や壺をつい物色してなんらかの品を入手しています。
 怪しい場所を見ると衝動的に手が出てしまうようだ。
•全ての勇者の始祖としての出自から、オルステッドの正体をほぼ把握しました。



【言峰綺礼@Fate/zero】
[状態]健康、魔力消費(微)
[令呪]残り三画
[装備]黒鍵
[道具]特に無し。
[所持金]質素
[思考・状況]
基本行動方針:優勝する。
1.学校に行き購買部の店員役に努める。
2.黒衣の男とそのバーサーカーには近づかない。
3.白蓮には理由の見えない不快感。
4.この聖杯戦争に自分が招かれた意味とは、何か―――?
[備考]
•設定された役割は『月海原学園内の購買部の店員』。
•バーサーカー(ガッツ)のパラメーターを確認済み。宝具『ドラゴンころし』『狂戦士の甲冑』を目視済み。
•セイバー(ロト)のパラメーターを確認済み。
•『月を望む聖杯戦争』が『冬木の聖杯戦争』を何らかの参考にした可能性を考えています。
•聖陣営と同盟を結びました。内容は今の所、休戦協定と情報の共有のみです。
 聖側からは霊地や戦力の提供も提示されてるが突っぱねてます。

【セイバー(オルステッド)@LIVE A LIVE】
[状態]通常戦闘に支障なし
[装備]『魔王、山を往く(ブライオン)』
[道具]特になし。
[所持金]無し。
[思考・状況]
基本行動方針:綺礼の指示に従い、綺礼が己の中の魔王に打ち勝てるか見届ける。
1.綺礼の指示に従う。
2.「勇者の典型であり極地の者」のセイバー(ロト)に強い興味。
[備考]
•半径300m以内に存在する『憎悪』を宝具『憎悪の名を持つ魔王(オディオ)』にて感知している。
•アキトの『憎悪』を特定済み。
•勇者にして魔王という出自から、ロトの正体をほぼ把握しています。



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066:テレビとか新聞とかちゃんと見ないとダメだって 投下順 068:異邦の地で生きるということ
064:報復の追跡 時系列順 069:あなたのお家はどこですか?


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032:凛然たる戦い 言峰綺礼&セイバー(オルステッド 075:『憎悪の魔王』/『敗者の王』
003:序曲 聖白蓮&セイバー(勇者ロト 072:Devil Flamingo