志筑 仁美&キャスター ◆QyqHxdxfPY


―――大切なお友達がいました。

毎日三人で学校に通って。
昼休みには仲良くお話しして。
帰り道では笑顔で別れの言葉を言って。
また明日会えるなんて、わくわくしながら寝床に着いて。
穏やかで特に変化のない、だからこそ幸せな日々。
でも、そんな当たり前の日常はもう存在しない。
死んでしまえば、幸せなんていとも簡単に終わってしまう。


『あなたは――――――本当の気持ちと向き合えますか?』


全部、私のせい。
私が『友達』を、追い詰めてしまったから。
私が『あの娘』、を死に追いやってしまったのだから。

何もかも、やり直せれば良いのに。
無かったことに出来れば良いのに。
また、会いたい。

美樹さんと――――会いたい。

そう願った私を導いたのは、お父様のお知り合いから貰った古びたお土産。
ただの変わった人形でしかないと思っていました。
だけどそれは、私を戦いへと誘う『道しるべ』でした。

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「――――――あああぁあァァァァァァアアアアアアアッ!!!!!!!!!!!!」


彼は、怒り狂っていた。
何度も何度も慟哭し、何度も何度も壁を殴り。
その拳を紅く滲ませながらも、憤怒の表情で叫び続ける。

「おのれェ!!赦さん…決して赦さぬぞッ!!!」
「…キャスター、さん?」
「おのれ神よ!おのれ聖杯よッ!!『彼女』をまだ罪に縛り続けるのかッ!!?
 決して赦すものか!『あの御方』を解き放てるのは私しかいないッ!!」

歯軋りをし、天へ向かって『彼』は、サーヴァントは罵声を上げ続ける。
怒りに震える『彼』を傍で驚きつつも心配する様に見ているのは、緑色の髪の少女――――『志筑 仁美(しづき ひとみ)』。
その手の甲には紅い紋様―――令呪が浮かんでいる。
そう、彼女もまたこの聖杯戦争に召還されたマスターの一人。
願いを抱え、何の力も持たないまま、偶然のきっかけでこの世界へと召還されてしまった少女。
怒りによって狂う自らのサーヴァントを動揺しつつ見ている。
表情には僅かに恐怖も混じっている。
しかし、それと同時に――――どこかサーヴァントを案じているかのような様子も見せていた。
そんな彼女が、問いを投げかける。

「そうだ、取り戻せるのは――――――」
「貴方も……大切な人を、取り戻したいんですか?」



「ええ、その通りです!私はこの目で確かに見た!聖処女ジャンヌ・ダルクの御姿を!
 だがあろうことか傲岸なる神はジャンヌを未だ天より苛め続けている!!
 あの御方は『裁定者』の役目を与えられ、聖杯によって束縛されているのですッ!!」


彼は――――キャスターは、捲し立てる様に叫ぶ。
ぎょろりと飛び出た目に宿るのは熱意。
自らの呪われし使命感に囚われてしまった狂気。
そして、死後も尚敬愛する者に対して貫き通す殉教。
その姿からは狂気さえ感じられる。
その使命は、彼を縛り続ける呪いの様にさえ見える。


「…私も、同じですわ」


――――そんな彼に対し、彼女は言葉を紡ぎ出す。


「私もあなたと同じ。失ってしまった『大切な人』を取り戻す為に、此処に来ました。
 …全て、私のエゴだということも解っています。それでも、私はあの娘に…美樹さんとまた、会いたい」


どこか異常なキャスターに対する恐怖は確かにあった。
箍が外れた様に喋り続けるキャスターからは狂気さえ感じた。
しかし、それと同時に感じたのは『共感』。
ジャンヌ・ダルクのことは知っている。
神の啓示を受け、フランスの英雄として戦ったという聖人。
最後には異端審問に掛けられ、魔女として処刑された悲劇の人物。
サーヴァントは古今東西の英雄が再現された―――とは、予選を勝ち抜いた瞬間から理解している。
恐らくこのキャスターは、彼女と縁がある人物なのだろう。
死を迎えた彼女を、大切な者を求めて彷徨い続ける。
キャスターに対して抱いたのは、同情のような哀れみ。
どこか私と似ている。少なからず彼女はそう感じていた。
尤も―――――彼と違い、私は大切な者を『自ら死に追いやってしまっている』。
そう、私は狡い人間だ。


「そう!私があなたの召還に応じたのはその為です!!
 大切な者を、敬愛する者を取り戻すという願いを抱えた貴女ならばと感じ、馳せ参じたのです!



仁美に近付き、どこか興奮した様子で語り掛けるキャスター。
『大切な者』を取り戻す―――――彼は仁美の『願い』に引き寄せられる形で召還された。
聖処女ジャンヌ・ダルクの復活という願いを抱え、戦争へと馳せ参じた。
しかし彼はこの地に召還される直前、重大な事実を知ってしまった。

聖処女ジャンヌ・ダルクが方舟にいるということを。
聖処女ジャンヌ・ダルクが『裁定者』として召還されたことを。
聖処女ジャンヌ・ダルクが死後も守護者として縛られ続けていることを。

―――――彼女は未だに、神によって束縛されているということを!

故に彼は聖杯を手に入れることへの執着を更に強めた。
全てはジャンヌを解放する為に。
陵辱の末に殺され、死後も尚傲岸なる神に縛られ続けている聖処女を聖杯より解放する為に。
狂気に囚われていた彼は――――己の使命を妄信していた。
敬愛する英雄を卑しき檻より解放すべく、彼は月の聖杯を掌握すべく。
同じ願いを抱える少女と戦うことを決意していた。


「さあ、共に戦いましょう!私達に出来ることは解放の為の戦いなのですからッ!!
 裁定の座より照覧あれ!聖処女ジャンヌよッ!!
 このジル・ド・レェめが月の聖杯を掌握し――――――貴女を卑しき檻より解放致します!!」


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かくして、私は聖杯戦争へと身を投じました。
だけど、本当の意味で覚悟を決められた――――とは、とても言い難い。
この戦いに勝ち残るということは、他のマスターの願いを踏み躙るということ。
時にはその命を奪うことにさえ繋がる。
私に、それが本当にできるのでしょうか。

本当に、私に戦うことが出来るのか。
本当に、私がキャスターさんと共に聖杯へと至れるのか。
本当に――――他者を踏み台にしてでも、勝ち残ろうとすることが出来るのか。

今はまだ、解りません。
だけど、答えを導き出すべき時は必ず訪れるでしょう。


【マスター】

志筑 仁美(しづき ひとみ)

【出典】

魔法少女まどか☆マギカ

【参加方法】

ムーンセルによる召還。
父親の知り合いから貰った土産物がゴフェルの木片によって作られていた。

【マスターの願い】

美樹さやかとまた会いたい。

【weapon】

なし

【能力・技能】

異能の力を持たない一般人。
お嬢様らしく一通りの習い事はしており、相応の教養は身に付いている。
護身術は習っているようだが実戦でどこまで使えるかは不明。

【人物背景】

見滝原中学に通う中学二年生。
温和な性格のお嬢様であり、親友の鹿目まどかと美樹さやかにも上品なお嬢様言葉で話す。
習い事で非常に忙しいためまどか達と一緒にいられる時間が少ない。
魔法少女ではなく、あくまでまどかとさやかの友人ポジションである。
さやかの想い人である上条恭介に想いを寄せており、作中でさやかに自分の気持ちを吐露する。
その後恭介に告白しなかったさやかの代わりに告白し、恭介と交際。
しかしこのことが魔法少女として心身共に疲弊していたさやかを追い詰める要因となってしまう。
結果としてさやかは魔女化し、魔法少女の存在を知らない仁美は「家出の末の衰弱死」としてさやかの死を知ることになる。

親友を死に追いやってしまったことを自覚し、後悔と贖罪の念を抱いたことで仁美は方舟に召還されることになる。
美樹さやかを追い詰めた全ての真相を知らぬまま。

【方針】

聖杯の力で美樹さやかとまた会いたい。
自らの願いが独り善がりなエゴであることも自覚しているが、それでも親友を取り戻したい。
ただし心の底で戦いに対する迷いはある。


【クラス】

キャスター

【真名】

ジル・ド・レェ

【出典】

Fate/Zero

【パラメーター】

筋力:D 耐久:E 敏捷:E 魔力:D 幸運:E 宝具:A

【属性】

混沌・悪

【クラス別スキル】

陣地作成:C
工房の形成が可能。

道具作成:-
宝具による召喚能力を得た代償に道具作成スキルは失われている。

【保有スキル】

精神汚染:A
精神が錯乱している為、他の精神干渉系魔術を一定の確率でシャットアウトする。
ただし同ランクの精神汚染がない人物とは意思疎通が成立しない。

芸術審美:E-
芸術作品、美術品への執着心。芸能面における逸話を持つ宝具を目にすれば低確率で真名を看破する。

【宝具】

「螺湮城教本(プレラーティーズ・スペルブック)」
ランク:A 種別:対軍宝具 レンジ:1~10 最大捕捉:100人
それ自体が魔力炉を内蔵した魔導書。
キャスター自身は正規の魔術師ではなく魔術の素養も無いのだが、代わりにこの魔導書が魔術を行使している。
言うなれば、「ジル専属の魔術師」である「宝具」。
所有者の技量に関係なく魔導書そのものが大魔術・儀礼呪法を代行し、具え持つ属性に従って深海系の水魔の召喚を行う。
このためキャスター本人は呼び出した海魔を使役するだけで良い。
海魔の一体一体の戦闘力はサーヴァントと比べるべくもない弱さだが、種別が対軍宝具であるのは伊達ではなく数十体を召喚可能。さらに倒された海魔自体を媒体に新たな海魔を召喚可能であり燃費も良い。また、使役することを度外視すれば超巨大な海魔を召喚可能(制御は出来ない)。
ただし、あくまでも「魔導書が行っている召喚魔術」であり、召喚そのものは「宝具の奇跡」ではない。召喚中の魔物は常時魔導書からの魔力供給がなければ現界を保ってはいられず、一瞬でも供給が途切れると消滅する。

【weapon】

なし

【人物背景】

百年戦争でフランス軍元帥を務め、救国の英雄とまでいわれた騎士。
しかし敬愛する聖処女ジャンヌ・ダルクの死をきっかけに狂気に囚われ、領民を虐殺する悪鬼へと墜ちた。
生前は深い信仰心の持ち主であったが、ジャンヌが異端として処刑されたことで深い絶望を味わい、神を見失う。
彼の残虐行為は、悪徳を罰する筈の神の不在を証明する手段でもあった。
残忍・狡猾な性格であるが、慎重とは言い難い。
聖処女ジャンヌ・ダルクが聖杯の裁定者として縛られ続けている(少なくともジルはそう捉えた)ことを知り、彼女を解放する為に召還に応じる。
尚、マスターが魔力回路を持たない為ステータスに多少弱体化が見られる。

【サーヴァントの願い】

聖杯を掌握し、ジャンヌを裁定者の座から解放する。

【基本戦術、方針、運用法】

方針に関しては一先ず優勝狙い。
ほぼ無限に召喚が可能な海魔による物量作戦が基本戦術。
シンプルな戦法ながら圧倒的な数の利を誇り、対人宝具しか持たない相手への効果は絶大。
海魔自体の強さはそれほどではなく、対軍宝具を抱える相手に対しては不利。
ただし制御を度外視して召還した大海魔ならばその限りではない。
能力は宝具頼りの為当人の実力は低いが、かつて一軍を率いた将としての戦術眼は持ち合わせている。
宝具の特性によってマスターへの負担が小さいので、戦闘時はキャスター自らが打って出て数の力でガンガン押し切ろう。