キリト&キャスター ◆w7FNZrLzJw







これは、ゲームでも遊びでもない。






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死者は蘇らない。起こってしまった事実は変わらない。
桐ヶ谷和人――キリトは否が応でも受け入れざるを得なかった。
アインクラッドという電子世界で行われたデスゲーム。
百階という膨大な階層をクリアしなければ元の現実へと戻れない地獄で、彼は戦った。
周りの憎悪を惹きつけ、たった一人の孤独に苛まれながらも前へ進み続けた。
しかし、限界だった。
誰かを突き放すのも、誰かに突き放されるのも辛くて、痛くて、耐えられない。

「どうして、あいつらが死ななくちゃならない」

故に、磨り減った心は悲鳴を上げ、限界がやってきた。
容量のキャパシティから溢れた人恋しさが、キリトを温もりへと縋らせる結果を起こしたのだ。
月夜の黒猫団。
彼らが主導するギルドへの誘いを、断ることが出来ないままずるずると受け入れてしまった。
テツオ、ササマル、ダッカー、ケイタ、サチ。
全員が良い奴で、後から入ってきたキリトに対しても仲良くしてくれた。
あまり人付き合いが上手でない自分でも、本来の表情を出せるくらいに温かな環境だった。
けれど、そんなひだまりの世界は長くは続かない。
迷宮攻略の際、ちょっとした罠にかかってケイタ以外は全滅した。
自分がついた“嘘”が原因で、彼らは死んでしまった。
そして、ケイタも絶望に耐え切れなかったのか、その身を死へと投げ出した。

「俺が嘘なんてついていなければ、死ななかった。俺が、あいつらを殺したようなものだ」

結局、自分如きが手を伸ばすべきではなかったのだ。
いつだって手にしたものは奪われて、永遠なんて何処にもなくて、手元に残ったものは何一つありやしない。
この常識のタガが外れている世界に希望を願うことは間違いなのだろう。
間違いだったから壊された。嘘をついたから全滅した。

『ありがとう/絶対に許さない』

ソードアート・オンラインというゲームに奪われたものを挙げればきりがないだろう。
抗えば、どうにかなると信じていた。 強くなれば、大切な仲間も護れると考えていた。
そう考えていたから、死んだのだろう。自分の過信が原因で、彼らは電子の海へと藻屑となって消えてしまった。
今も夢に出てくるし、聞こえてくる。
彼らの怨嗟が、絶望が、嘆きが、憎しみが、キリトの心へと掴みかかるのだ。

――お前だけが生きているなんて許さない。

それは、悪夢。それは、罪歌。それは、救済。
死ぬべきは自分だった。彼らに『ビーター』じゃないと嘘をついたキリトが全ての咎を負うべきなのだ。
嘘に殺された彼らの分まで痛みを背負って地獄へと堕ちていく。
弱くて脆いクソッタレな自分にはお似合いの結末だ。
だが、その結末にはまだ早い。
彼らを生き返らせるアイテムを手に入れるまでは絶対に死ねない。

「聖杯を使えば、やり直せる。あいつらを蘇らせることだって出来る。
 それだけじゃない、あのゲームで死んだ人達、今もゲームに囚われている人達も助けることだって不可能じゃないはずだ」

終わらせることができる、全てを。こんなはずじゃなかった過去をやり直せる。
罪を背負った人間は一生許されない、罰を受けた人間は贖うことしか選択を残されていない。
キリトは聖杯戦争の噂を知ってから必死に情報を掻き集め、ゴフェルの木片を探し求めた。
寝ずの探索、精神が崩壊する一歩手前までモンスターを狩り続けた。
願いを叶える一歩を踏み出す為に、キリトは想い続ける。

「傲慢でもいい。俺はやり直したいんだ。どんな犠牲を払っても、あいつらに会いたい。
 その過程に待っているものが何であれ、進むしかないし、後戻りはいらない」

その果てに、彼はチャンスを掴み取り――予選を通過した。
偽りの学園生活は、キリトにとってこんなはずじゃなかった未来そのものだった。
此処では、誰もが笑って過ごしていられる穏やかな日常を自分にも分けてくれるのだ。
けれど、それは真実じゃない。キリトが望んでいた『彼ら』足り得なかった。
自分に対して笑顔を見せてくるクラスメイトも、家族も、記憶を取り戻したキリトにとっては辛いだけだ。
結局、彼らに背を向けてキリトは進むことを選んだ。
何もかもを忘れたままでいられる程、キリトは弱くなれなかったのだ。
そして、自分が抱く本物の願いを叶える為に、闘いへと投じる決意を固めてしまった。

「だから――俺は聖杯が欲しい」

奪われ尽くして空っぽな願いに想いを注ごう。
失ったものはもう戻らないという理屈を否定しよう。
他者の排斥をしてでも、成し遂げなければならない。
賽はとっくに投げられ、選択など最初から一択しかない。
鍛えた剣技を以って――キリトは、願いへの道を切り拓く。

「貴方もそうなんじゃないんですか――キャスター?」

そして、それは彼に呼び出されたサーヴァントも同じだ。
サーヴァントは大抵、叶えたい願いを持っている。
それこそ、奇跡に懸けるしかない程に追い詰められた者こそ英霊となって現れるのだ。

「ええ、そうよ。私にも叶えたい願いがある。貴方と同じく過去の過ちをやり直したい、喪った人を蘇らせたいのよ」

そのサーヴァントはキリトと同じく黒だった。
大きく胸元が開いた黒のドレス、腰にまでかかる艶やかな黒髪、黒のマント。
全身を黒に染めたサーヴァント、キャスターは怜悧な目を鋭く尖らせ、言葉を紡ぐ。

「願いを叶えるまで、私は死ねない」
「奇遇ですね、俺も同じく死ねない」
「それなら――」
「――選択肢は一つだけしかない」

皮肉げに笑う二人の間には奇妙な繋がりがあった。
同じ願いに、過ち、苦しみ。
着ている服の色まで合わせてくれるといったご都合主義には思わず笑いが出てしまう。

「聖杯、奪い取りに行きましょうか。誰よりも早く」
「当然。こんなはずじゃなかった全てをやり直す為にも、ね」

だが、今だけはこの数奇な運命に感謝しよう。
願いを絶対に叶える覚悟を持った相棒を引き当て、奇跡を掴むチャンスをくれた月へと。

「頼りにしてますよ、キャスター。いや、最初ぐらいは名前で呼びましょうか、プレシアさん」

待っていても、奇跡はやってこないことは嫌という程、理解している。
ならば、自分自身で奇跡を掴むしかない。
迅速に、貪欲に。
立ち塞がるエネミーがどんな人であろうとも、キリトは願いを叶えることでしか救われないのだから。

「ええ、キリト。私達が勝者になるべく、他の全てを塵芥に還しましょう」

キャスター――プレシアは誰よりも聖杯を欲していると自負していた。
あの幸せだった日常を取り戻す為なら、何でもしてやろう。
濁った瞳に意志を宿し、彼女は魔杖を取る。
大切な愛娘は、理不尽に奪われてしまった。
許せない、認めない、そんな馬鹿げた世界――願い下げだ。
だから、願うしかない。理想郷の泡沫へと想いを焦がす他、彼女は前へと進む術を知らないのだ。

「勝つのは――」 「――俺達だ」

黒の両翼が、聖杯戦争へと飛び込んでいく。



【クラス】キャスター

【真名】プレシア・テスタロッサ

【出典】魔法少女リリカルなのは

【性別】女性

【属性】混沌・悪

【パラメーター】
筋力:E 耐久:E 敏捷:D 魔力:A++ 幸運:E 宝具:C+

【クラススキル】

陣地作成:A+…次元の狭間に拠点を作っていたことから陣地作成は手慣れたもの。

道具作成:A…魔導師、技術者の両方の観点から顧みて天才。魔法に関連したものであれば、何でも作れるだろう。

【保有スキル】

病魔:B…不治の病に侵されており、長期戦になると、徐々に陰りが見られる。

魔法:A++…次元を超えて砲撃を放つことが出来るといった超絶技巧。大抵の魔法は使えると言っていいだろう。

【宝具】
『八賢者の杖』
ランク:C+ 種別:対人宝具 レンジ:0 最大補足:1個
プレシア・テスタロッサが魔法を使う過程で触媒とする杖。
本来、このようなものを経由しなくても十分なのだが、病魔に蝕まれた身体の負担を避ける為にも使用している。

【人物背景】
フェイトの「母親」。若々しい見た目だが、59歳。
元々は優しい人物であったが、愛娘であるアリシアを事故で亡くしてからは、狂気的な思考が目立つようになる。
その果てに、アリシアの記憶などを移植したクローン、フェイトを生み出すが、本物との相違に絶望。
以後は、本物のアリシアの蘇生を求め、研究に没頭する。

【サーヴァントとしての願い】
 大切な愛娘だったアリシアの蘇生。こんなはずじゃなかった全てをやり直す。

【基本戦術、方針、運用法】
基本的に魔導師なので後衛。前線で戦えるレベルに至っているが、病魔の影響もあって前線に出ることは滅多にない。
故に、戦闘経験が豊富なキリトに強化魔法といったものをかけて、前衛を任せるのが主だろう。
同じスタイルで例えを挙げると、Fate本編のキャスター組である。


【マスター】キリト(桐ヶ谷和人)@ソードアート・オンライン

【参加方法】アイテム――ゴフェルの木片を使用。

【マスターとしての願い】ソードアート・オンラインのクリア、及び死んでしまった人達の蘇生。

【weapon】片手剣…キリトが戦闘で愛用していた片手剣。

【能力・技能】剣技…どんな苦境でも決して諦めずに研鑽を続けてきた賜物。
          二刀流は発現前なので使用不可。

【人物背景】
 女性と見間違うような顔立ちの黒髪の少年。落ち着いた雰囲気は歳相応に見られない。
 家庭環境が複雑で、人付き合いが不得手。他者との距離感を掴みにくいといった所謂コミュ障。
 PCに関する知識と技術、洞察力、精神力はピカイチ。

【方針】絶対に勝ち残る。他者を殺すことも、利用することも厭わない。

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最終更新:2014年07月06日 09:20