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     01/ 予想外の遭遇


 ―――自分なりに、急いで走ってきたつもりだったが、
    どうやら、遅刻は確定したらしい―――。

 時刻は八時半ば……ごく一般的な、SHR(ショートホームルーム)開始時間。
 酸素を求めて喘ぐ息と、激しく跳ねまわる心臓をどうにか宥めながら、岸波白野は現在の状況にそう諦めた。
 なぜなら目の前には、鮮血のように紅い髪を靡かせる少女――ランサーの白い背中があり、
 その向こうには、しなやかに引き締まった肉体を青い戦装束に包んだ男――ランサーの姿があったからだ。


      †


 アーチャーと思われるサーヴァントの狙撃を振り切ってから、岸波白野はそのまま学校への道を急いでいた。
 理由は主に三つ。
 一つ目は、学生ならば学校に行くべきだ、という、NPCだったころの名残から。
 二つ目は、NPCの多い学校ならば、いきなり襲われることは低いだろうという保身から。
 三つ目は、もし学校にマスターがいた場合、同盟を組めるようなマスターがいるかもしれないという打算からだ。

 だが実のところ、自分が学校へと急いでいた理由は、先の光線によって生じた、もう一つの理由からだった。
 そしてその理由とは、

 先ほどからずっと騒ぎ続けているこの心を、どうにか紛らわせるため。

 というものだ。


 既視感(デジャヴ)、とでも言うのだろうか。
 あの戦法を……剣を矢とした狙撃を、自分は知らないはずなのに知っていると感じた。
 その理由、その心当たりが、自分には一つだけあった。

 自分の欠けた記憶。自分が取り戻そうとしている絆。
 月の聖杯戦争において、岸波白野とともに戦い続けてくれた掛け替えのない存在。
 あのサーヴァントが、一向に思い出すことの出来ないその「 (くうはく)」ならば、この既視感は解決されるのだ。

 …………だがしかし、それは同時に、この聖杯戦争において岸波白野は、その掛け替えのない存在と殺し合わなければならない、という事でもあるのだ。

 ――――――――。
 その事実から、堪らず目を背ける。
 背けるために、一心不乱に走り続けている。

 ………なのにこの心は、気が付けば、あのサーヴァントの事を考えている。
 その残酷な事実を、まっすぐに見つめようとしている。
 目を背けるな、と訴え続けている。
 それは何故――――


「――――マスター!」

 ランサーのその声に我に返り、咄嗟に脚を止める。
 乱れた息を整えつつ前を向けば、いつの間にか実体化した彼女が、前方を鋭く睨み付けていた。
 その視線が指す方へと顔を向ければ、そこには青い戦装束の男――サーヴァントだと即座に理解する。

 彼を見て自分が最初に思ったことは、ああ、これは完全に遅刻だな、というものだった。
 次に、そのサーヴァントの事に関して考えを巡らせる。
―――欠けた記憶から、その情報を拾い上げる。

 クラス、ランサー。真名、クー・フーリン。
 月の聖杯戦争において、遠坂凛のサーヴァントだった英霊だ。

 それを思い出すと同時に、一気に精神の糸が引き締まる。
 あのサーヴァントは、間違いなく強敵だ。
 その一撃必殺の宝具、ゲイ・ボルクを使われては、間違いなくランサーは倒される。
 戦うのであれば、その一撃だけは避けなければならない。

 ……だが待て、何か様子がおかしい気がする。
 ふとそう思い、改めて相手のランサーの姿を確認する。

「……………………」
 こちらの様子を窺っているのか、相手のランサーは沈黙している。
 だがその顔からは、どこか憔悴しているような様子が見て取れた。
 それに何より、彼の象徴である赤い槍を、彼はその手に握っていなかった。
 それで気か付いた。おそらく彼は、戦うために姿を現したのではないのだと。
 そんなランサーに対し、自分は―――


   サーヴァントは敵だ。彼にその気がなくても、この場で倒すべきだ。
   罠かもしれない。彼の思惑がわからない以上、ここは警戒して逃げるべきだ。
  >その行動の理由が気になる。敵対する意思がないのなら、話を聞いてみるべきだ。


「え、こ、子ブタ!?」

 ランサーの前へと、一歩足を踏み出す。
 ランサーは驚いた顔をするが、それは相手のランサーも同じだ。
 当然だろう。普通に考えれば、危険に身を晒したも同然なのだから。
 だが、きっと彼は攻撃してこない。
 彼に関する記憶があったからなのか、そんな確信が不思議とあった。

 故に彼をまっすぐに見つめ返し、問いを投げかけた。
 ―――なぜ、武器を構えていないのか、と。

「………へ。和平の使者は、槍を持たないってな」
 それに対し相手のランサーは、張り詰めた空気を解き解す様に小さく笑い、そう返答した。

 和平の使者?
 それは一体、どういう意味なのだろう。

「おいマスター、もう出てきても大丈夫だぜ。こいつ等は信用できる」

 岸波白野がそう首を傾げていると、相手のランサーは背後の物陰へと声をかけた。
 その声に応じて物陰から姿を現す、小さな少女。

「え、うそ!」
 ランサーが驚きに声を上げ、自分も同じように目を見張る。
 それも当然だ。現れた少女の風貌は、初対面でありながらあまりにも見覚えがあった。

 ―――遠坂……凛!?
 と。驚きのあまり、思わずその名を口にする。
 すると当然、今度は少女たちの方が驚いた顔を見せた。

「え? あなた、どうしてわたしの事を知ってるの?」

 疑念が確信に至る。
 この少女は、間違いなく遠坂凛なのだと。

「こりゃあ、厄介な連中を引き当てちまったかもしれねえな」

 相手のランサーの呟きが、緋に照らされた路上に静かに響き渡った。


     02/ 同盟締結


 ―――私に勝利を捧げなさい、と少女は言った。
 そのためなら、苦しいことも痛いことも、何だって我慢する、と。

 覚悟と決意を秘めたその言葉に、ランサーもまた覚悟を決めた。
 己が主のために、己が望み――心ゆく戦いと、戦士としての誇りを封じることを。

 ガキはガキらしくしといた方がいい、と己は言った。
 だが目の前の少女にはもはや子供らしさなど垣間見えなかった。
 そうさせたのは己だ。己の不甲斐なさが、少女を子供でいられなくさせたのだ。

 ならば己も、それ相応のものを差し出さねばならない。
 それが自身の願いと誇り。
 たとえそれがどのような命令であっても、少女がそう命じたのなら、全力を尽くしてそれに従うと誓ったのだ。


「マスター。アンタには今、四つの道がある」

 故に、ランサーは己がマスターへと道を指し示す。
 自分たちがこの状況を打破し、聖杯戦争に勝利するための指針を。

「四つの道?」
「ああ、そうだ。
 まず前提として、オレ達は日が変わるまでに足立透とキャスターを殺さなきゃならねえ。
 令呪で縛られている以上、こいつは基本的に絶対だ」
「……ころ……す………」

 ランサーの言葉に、少女は息を呑む。
 それも当然だろう。覚悟を決めたといっても、少女は人としても魔術師としてもまだまだ未熟。
 親しい者の「死」こそ経験したが、他者を己が手で殺めることなどまず想像に至らない。
 だがランサーは、敢えて少女の様子に構わず言葉を続ける。

「しかし、だ。オレ達はどっちも、最初の戦い……あれを戦いとは言いたくねえが……とにかくあのライダーのせいで、魔力がほぼ枯渇している。
 こんな状態じゃあ、アサシンの時のようにまともな戦闘にはならねぇ。それは理解できるな」
「――――――――」

 一瞬顔を赤く染めた少女は、すぐに頭を振って顔を引き締め、ランサーの言葉に肯く。
 先ほどから体に残る倦怠感は、魔力が足りていない証拠だ。
 いくらサーヴァントの維持に聖杯の補助を受けているといっても、その回復にはマスターの魔力が必要となる。
 しかし今の自分達は、その肝心な魔力が圧倒的に不足していた。魔力は生成する端から消費され、現状維持が精一杯だった。
 そんな魔力が枯渇した状況でありながらランサーの実体化が可能なのは、遠坂邸の霊地としての効果によるものでしかなかった。

「そしてただ戦うだけじゃなく、確実に相手を殺さなきゃならねぇ以上、最低限戦闘が可能な程度には魔力を回復する必要がある。
 だが、このまま自然に回復するのを待っていても、まともに戦えるようになるころには間違いなく日が変わっちまう」

 そう言いつつもランサーは、もしここが“本来の遠坂邸”だったなら、夜までにはある程度の回復が可能だっただろうと思っていた。
 それが不可能だったのは、この遠坂邸は仮想世界における再現データに過ぎず、また本来の立地とも大きくズレていたからだ。
 そのため、本来の遠坂邸にはあった霊地としての質は大きく損なわれており、ほとんど機能していなかったのだ。
 地主である遠坂凛へとかかる負担が軽減されることぐらいが、この遠坂邸に残された数少ない優位性だった。

「故に、今のオレ達に残された選択肢は、大きく分けて四つしかない」
 ランサーの言葉に、少女は顔だけでなく心も引き締める。
 それを待って、ランサーは少女へと道を示した。

「一つ。二画目の令呪を使って、令呪による縛りを打ち消す。
 これが最も簡単で安全な手段で、当面の危機も避けられはする。
 だが同時に切り札を一つ失うことになり、加えてあのアサシンが再び襲って来る可能性も高い。
 二つ。NPCを襲い、その魂を喰らう事で魔力を回復する。いわゆる魂喰いだな。
 ただ魔力を回復するだけなら一番手っ取り早い方法だが、同時にルーラーや他のサーヴァントに目を付けられる可能性もある。
 三つ。オレ達がそうされたように、他のサーヴァントのマスターを人質に取る。
 それが出来れば、あのアサシンとは条件を対等に出来る。アサシンのマスターを捕まえられればなお良しだ。
 ただし、残された時間でマスターを見つけ出し、サーヴァントの守りを掻い潜った上で捕まえる必要がある。
 四つ。他のマスターに、協力を願い出る。
 もし運よく協力を得られれば、キャスターを倒すことや、アサシンに一矢報いることが出来るかもしれねえ」

 二つ目、三つ目の選択肢に顔を青ざめさせていた少女は、四つ目の選択肢を聞いて僅かに表情を明るくする。
 覚悟を決めたとは言っても、やはり非道な手段は執りたくないのだろう。
 だがその仄かな期待を、ランサーはザッパリと切って捨てる。

「ただし、協力を得られなかった場合、今のオレ達はいいカモだ。
 良くてその場で殺されて、悪けりゃアサシンの時のようにいいように使われるだけだ。
 そして、聖杯戦争に参加している以上、大半のマスターは聖杯を狙う敵同士だ。
 弱ったオレ達に手を貸してくれるようなお人好しは、そうそういる筈がねえ」

 ランサーが思い出すのは、自分が知る遠坂凛の恋人であり、セイバーのマスターであった少年、衛宮士郎だ。
 もしこの場に彼がいれば、一も似もなく協力してくれたであろうことは、想像に難くない。
 だが彼ほどのお人好しなどそうそういるはずがないし、そもそもそんな人物を探している余裕はない。

「っ………!」
 その無情な言葉を聞いて、少女は再び息を呑む。
 二つ目と三つ目が非道なら、四つ目はもはや道ですらない。
 周り全員が敵という状況で、よく知りもしない他人に自分の命を預ける。
 それが自殺行為であることくらいは、少女にも理解できる。ただその事に思い至ったという明けの事だ。

「さあマスター、道は示したぜ。四つの内、どれを選ぶかはアンタ次第だ。たとえどれを選ぼうと、オレはその選択に従う」
 ランサーとしては四つ目の選択が一番好ましいが、この選択はほぼ一発勝負。最初に遭遇するマスターに賭けるしかない。
 そして何より、どの道を選ぶかはマスターである少女だ。彼女に従うと決めた以上、己はその選択を待つだけだ。

「わ、わたしは……」
 少女は戸惑い、思わずその手に刻まれた令呪を見つめる。

 一つ目の選択肢、令呪の行使。
 残り二画となったそれを使えば、当面の危機は避けられる。
 だがそれは結局、ランサーが言ったように一時凌ぎでしかない。
 どうにかして対策を練らない限りは、再び追いつめられるだけだろう。

 ならば残された選択は、二つ目か三つ目、あるいは四つ目だ。
 無関係な他者を犠牲にする道か、まずあり得ない可能性に賭ける道。
 自分達が勝つためには、そのどちらかを選ぶしかない。

 残された四つの道のどれを選ぶのか。
 僅かな逡巡の後、少女――遠坂凛は令呪から視線を放し、まっすぐにランサーを見つめ、答えた。


      †


 そうして現在、遠坂凛は岸波白野とともに遠坂邸へと戻っていた。

 そう。少女が選んだのは四つ目の選択肢――最も可能性の低いとされた、協力の道だった。
 彼女は遠坂の魔術師として、逃げることも、外道に堕ちることも、アサシンと同じ方法をとることも嫌った。
 故に少女は、残された四つ目の道を選んだ。
 縁(えん)も縁(ゆかり)もない全くの他人に、己が命運を預けることを選んだのだ。
 その結果として、少女は少年と相対するに至った。

 彼らも自分たちの状態を多少は察しているはずだ。その上で彼等はこちらの誘いに応じてくれた。
 なら、後はどうにかして、彼らの協力を得るだけだ。
 そのために少女は、少年を自らの拠点へと招き入れた。



「それで、なんでアンタは私の名前を知ってんの?」
 目の前に座る少年へと向けて、わたしはそう質問する。

 わたしが姿を現した瞬間、彼とそのサーヴァントは驚きに目を見開き、そしてわたしの名前を口にしたのだ。
 もちろん名乗った覚えはないし、わたし達は初対面のはずだ。
 だが少年は、精確にわたしの名前を言い当ててきたのだ。何かあると考えるのが当然だろう。

 それに少年は深く逡巡した後、こう質問を返してきた。
 ―――“月の聖杯戦争”を知っているか? と。

「月の聖杯戦争? それってこの聖杯戦争の事じゃないの?」
「いいや、違うぜマスター。この聖杯戦争は“月を望む聖杯戦争”。坊主の口にした聖杯戦争とは別物だ。そうだろ、坊主」

 ランサーの言葉に、少年が肯く。
 ムーン・セルによって作られた霊子虚構世界――SE.RA.PH.で行われる、128人のマスターによってトーナメント方式で行われる聖杯戦争。それが“月の聖杯戦争”だと。
 そして続けて、そこで自分は、“遠坂凛”と出会ったのだ、と彼は口にした。

「ちょっと待って。それってどういう意味よ。わたしが聖杯戦争に参加したのは、これが初めてのはずよ?
 っていうかそれってつまり、アンタは前にも聖杯戦争を経験してるってことよね?
 いえそもそも、箱舟じゃなくて月の方でも聖杯戦争があったっていうの?」

 少年の言葉に混乱する。
 わたしと出会ったという事もそうだが、月でも聖杯戦争があって、それに彼が参加していたという事実に理解が追い付かない。
 だがランサーは、その混乱を軽く笑い飛ばした。

「それは些細なことだぜ、マスター。
 確かにその“月の聖杯戦争”とやらは気になるが、今重要なのは、坊主が俺たちに協力してくれるかどうか、だ」
「あ。そ、そうよね。確かに後回しにするべきだったわ。ありがとうランサー。
 それじゃあ単刀直入に聞くけど、白野、私たちに協力してくれないかしら?」

 その、あまりにもストレートなわたしの要求に、少年は思わず目を見開く。
 そしてどういう意味か、と警戒を籠めて聞き返してきた。

「簡単な話だ。全く以て情けないことに、オレ達は今、早くも切羽詰ってんだわ。
 その状況をどうにかするために、坊主たちの力を借りてえんだよ」
「そういうこと。私が払える代償なら、何でも払うわ。なんなら残りの令呪を全部あげてもいい。

 その言葉に少年が再び目を見開き、本気か? と聞いてくる。

「ええ、もちろん。この状況を切り抜けられなきゃ、どのみち後がないもの」

 それに即座にそう答える。
 後がないのは本当だ。わたし達は今、どうしようもないほどの窮地にいる。なりふり構っている余裕はないのだ。
 すると少年は思案するように若干俯き、どうする? と自分のサーヴァントへと問いかけた。

「どっちでもいいわよ、私は。マスターが望む通りにしたらいいわ」

 彼女がそう答えると、よし、わかった。協力しよう。と彼は口にした。

「へ? え、ええ? ほ、本当にいいの? そんなに簡単に?」
 少年があっさりと了承してくれたことに戸惑い、思わずそう聞き返す。
 だが少年は、ああ、もちろん。と、当然のように頷いた。加えて、代償もいらない、とも。

「ちょ、ちょっと! 何の借りもなしに協力してもらうだなんて、流石にそれはだめよ!」
「別にいいんじゃねえの? 相手がそれでいいって言ってんだから」
「それじゃわたしの気が済まないのよ! 魔術の基本は等価交換。これでも遠坂の魔術師なんだから、そんな借りは作りたくないの!」

 そんな風にランサーと言い争っていると、少年がある提案をしてきた。
 それなら、凛たちの事情が終わったらでいいから、協力して欲しいことがある、と。
 その言葉を聞いて、ほっと胸を撫で下ろす。
 お互いに協力し合うのであれば、一応釣り合いは取れるだろう。
 ……現状では、どう考えてもわたし達の方が重いのが難点だが。

 そう思っていると、そうだ、と何かを思いついたように少年が声をかけてきた。
 なんと、いっそのこと、同盟を結ばないか? と、提案してきたのだ。

「同盟?」
 そう訊き返すと、少年は頷いた。
 自分たちの目的は聖杯じゃない。なら、最後まで協力することも出来るんじゃないか? と。

 聖杯が目的ではない。
 確かにそれなら、“最後”までは協力することもできるだろう。
 だがしかし、この同盟には、その最後のところに問題がある。
 わたし達の目的は聖杯だ。
 つまりわたし達は、最終的には他のサーヴァントをすべて倒さなければならないのだ。
 そこには当然、彼のサーヴァントの事も含まれている。
 そしてサーヴァントを倒すという事は同時に……あまり深く考えていなかったが、マスターを殺す、という事でもある。

「それでもいいの? 結局、最後には殺し合うのよ? 私達」

 その言葉に少年は、ああ、と潔く頷いた。
 その時はお互い、全力で戦おう、と。

 そのあまりの潔さに、思わず息を呑んだ。
 そして同時に理解した。彼は本当に、聖杯戦争を経験していたのだと。
 自分の望みのために誰かを殺す。その覚悟の重さを、彼はわたし以上に理解しているのだと。

 そう。彼は聖杯戦争を知っている。
 つまり彼は、今のわたしにとって最高の師になり得るのだ。
 ならば彼の戦いぶりをこの目に焼き付け、その経験を自身の力に変えて見せよう。

「わかったわ。これからよろしくね、白野」

 そんな思いとともに、遠坂凛は右手を差し出し、岸波白野とその手を結んだのだった。


     03/ 凜の決断(致命傷)


 ―――遠坂凛に協力する。
 岸波白野には、その事自体に対する否はなかった。

 あったのは僅かな迷い。
 自分が知る“遠坂凛”と彼女は、おそらくは別人だ。
 だが同時に、どちらも紛れもなく“遠坂凛”なのだとも理解していた。
 だからこそ迷いがあった。

 欠けた記憶から、その情報を拾い上げる。

 遠坂凛とラニ=Ⅷ。
 自分がまだ何も知らないマスターだったころ、「 」だけではなく、この二人の少女も自分を助けてくれた。
 いや、最初だけじゃない。聖杯戦争中も、月の裏側でも、彼女たちはいつも自分を助けてくれた。
 彼女たちがいなければ、間違いなく今の自分は存在しなかっただろう。

 ……だが聖杯戦争は、たった一組の生き残りを決める戦いだ。
 岸波白野がここにこうしているという事は、自分は彼女達を倒した、という事になるのだ。
 ……いや、どちらか一方を助けた記憶はある。だが、彼女たちのどっちを助けたのか。その記憶は自分の中から欠け落ちていた。
 もし自分がラニを助けていたのなら、遠坂凛はおそらく自分が倒したのだろう。

 それが迷いの正体だ。
 一度相手を殺しておきながら、あっさりと手を組もうとする虫の良さ。
 それが岸波白野に若干の迷いを残していた。

 その迷いを踏まえた上で、岸波白野は遠坂凛の手を取った。

 聖杯戦争の初め。利などなにもなかったはずなのに、“遠坂凛”は何度も自分を助けてくれた。
 いずれ殺し合うと解っていながら、自分に力を貸してくれた。
 そんな彼女と同じように。
 表側でも裏側でも、いつも自分を助けてくれた彼女の代わりに、
 今度は自分が、彼女と同じ存在である目の前の少女を助けよう。
 そう思ったのだ。

 ―――たとえその最後で、再び殺し合うことになるのだとしても。



 ―――それじゃあ、状況を説明して欲しい。
 正式に味方となった少女へと向けて、そう質問を投げかける。

 それがどんなに些細なものであれ、情報は重要なものだ。
 ほんの小さな違和感から相手の真名に思い至ることなど、聖杯戦争においては少なくない。
 それを受けて凜は、しっかりと頷いて、自身の状況を説明し始めた。

「私たちは聖杯戦争が始まってすぐ、あるサーヴァント――ライダーと遭遇したの。
 それで、その……えっと……」

 が、彼女はすぐに顔を赤らめ、もじもじと言い淀んでしまった。
 その様子に、一体どうしたのだろう、と思っていると、相手のランサーが頭をガシガシと掻いた後、彼女に変わって説明を始めた。

「とにかく、オレ達は一度、ライダーのサーヴァントと接触した。
 そのライダー自身は決して強くはなかった。むしろマスターの方がサーヴァントレベルで強いとオレは思ったぜ。
 だがそれを補って余り有るほど、アイツのスキルは厄介だった。そのせいでオレ達は二人とも、魔力をほとんど奪われちまった」

 ランサーの説明に、ゴクリと喉を鳴らす。
 魔力枯渇。その恐ろしさは、聖杯戦争中に身に染みて理解している。
 ランサーが憔悴していたのも、それが理由なのだろう。
 しかしこのランサーを、ただのスキルのみでここまで追い込むサーヴァントなど想像も付かない。

「だが、問題はここからだ。
 オレ達はどうにかそのライダーから撤退したんだが、そこをアサシンにつけられちまったみたいでな。
 籠城準備を整える前に、アサシンが襲撃してきやがった。しかも魔力の不足したオレはまともな戦いもできず、一瞬の隙にマスターを人質にとられちまってな。
 その結果、オレは令呪の縛りを受けちまったわけさ。全く、情けねえ話だぜ、ホントによ」

 令呪の縛り?

「ああ、マスターの命と交換条件でな。
 『日が変わるまでに足立透かそのキャスターを殺せ。出来なければ自害しろ』だとよ」

 なるほど。それで凜は協力を申し出て、交換条件に残りの令呪を、と口にしたのか。

 彼女たちは今魔力が枯渇している。まともな戦いなどできるわけがない。
 だが令呪で縛られている以上、彼女たちはキャスターと戦うか、更なる令呪を以てその縛りを破るしかない。
 となると必然、その命令に従うにしても、逆らうにしても、令呪の行使は避けられないだろう。

「そういうこと。
 どちらにしても後がないのなら、出し惜しみをしている余裕はないでしょ?
 もちろん、令呪の受け渡しはキャスターを倒した後のつもりだったけどね」


 ―――ふむ、と考えを巡らせる。

 聞いた限りでは、彼女たちには本当に余裕がない。
 まず懸念事項が一つある。
 それはランサーに課せられた令呪の内容。その『足立透とそのキャスターを殺せ』という部分だ。
 もし仮に、そのキャスターが他のサーヴァントに殺されてしまえば、凛たちはその命令を果たせなくなり、令呪による解呪が必須となる可能性がある。
 つまり令呪を用いない解呪を試みるのなら、彼女たち自身の手による撃破が必須条件となるのだ。
 しかもこんな消耗しきった状態のまま、ほぼ無傷であろうサーヴァントを相手に、あと約半日以内に、だ。

 いかにランサーが一撃必殺に長けた英霊とはいえ、それは困難を極める。
 加えて相手はキャスター。知略と篭城に長けた、防性のサーヴァントだ。
 唯一の幸いは、聖杯戦争が始まってまだ間もないため、陣地が完成している可能性が低いことぐらいだろう。
 となると必要なのは、相手を陣地から引き出す手段か、陣地そのものを無意味とさせる広域に及ぶ破壊力だ。
 しかし魔力の枯渇した今のランサーに、それは望むべくもない。


 ……だがそれは凜のランサーの場合の話だ。
 岸波白野のランサーの場合、どちらとも問題ではない。
 ランサーの対魔力はAランク。キャスターとはこの上なく相性がいい。
 それに加えて、宝具である“竜鳴雷声(キレンツ・サカーニィ)”を使えば、陣地を破壊、とまではいかなくても、亀裂を入れ歪めることくらいは出来るだろう。
 そうすればキャスターは、まともに機能しない陣地を破棄するか、籠り続けたとしても十分な支援は受けられなくなり、相手の地の利を一つ潰せる。
 可能であればより高威力の“鮮血魔嬢(バートリ・エルジェーベト)”を使いたいところだが、こちらは城の展開に多量の魔力を必要とする。魔力の回復手段が乏しい今、先制で使うには条件が厳しすぎる。

 それに、仮に周辺に一般市民――NPCがいたとしても問題はない。
 おそらくランサーの魔声なら、通常のNPC程度なら催眠誘導できるだろう。
 ―――そうだよな、エリザ。

「え!? も、もちろんその程度は可能よ。でも今私の事なんて呼んだの? エリザって呼んだのかしら!?」

 ? 確かにランサーをエリザと呼んだが、何か問題があっただろうか。
 凜のサーヴァントも同じランサーだ。同盟を組んだ以上、混乱を避けるためにも呼び分けた方がいいと思ったのだが。
 ……ああ、それとも真名がばれることの心配をしているのだろうか。
 確かにその危険性はあるが、サーヴァントとしてのランサーは生前とは懸け離れている。愛称程度なら問題ないだろうと思ったのだが……。
 ランサーが気にするのなら、やはりクラス名で呼んだ方がいいのだろうと思い、彼女へと謝罪する。
 ―――そうだな。ごめん、迂闊だった、ランサー。

「そそ、そんな! 謝る必要なんてないわよ子ブタ。いえ、むしろ呼んで! 親愛を籠めて、私の名前を高らかに呼んでー!!」

 …………よくわからないが。
 ランサーがそう呼んでほしいと言うのなら、これからも彼女の事はエリザと呼ぶことにしよう。


 とまあそういう訳で、キャスターの陣地に攻める分には問題ない。
 あとは凜たちの魔力問題の解決方法だけど………ってどうしたんだ、二人とも?

「はえ~………」
「ほう。たったあれだけの情報で、そこまで作戦を練れるとは驚いたぜ。
 こりゃあ見かけによらず、なかなかの強敵になりそうだな、マスター」

 凜は呆けたように岸波白野を見つめ、ランサーは感心したように笑っている。
 そんなに驚くようなことだろうか。自分のような弱いマスターが勝ち残るには、これくらいは出来なければならなかった、というだけの事なのだが。

「だからそれがスゲェんだよ坊主。やるべき事をきっちりやり遂げるってのは、意外と難しいもんなんだぜ?
 ま、それはそれとしてだ。
 オレ達の魔力回復の方法だが、坊主が協力してくれるんなら、方法がない訳じゃねぇ」
「ランサー、それ本当?」
「ああ。坊主とマスターの間にパスを通して、チョイと魔力を拝借すればいいだけの事だからな。
 マスターの魔力が回復するまでは坊主に負担をかけちまうが、ある程度回復すれば、むしろ坊主の助けになるだろうぜ。
 練度はともかく、魔術回路の質だけなら、今のマスターでも十分以上だからな」

 なるほど。岸波白野が知る“遠坂凛”は、確かに凄腕の魔術師(ウィザード)だった。
 ならば同じ存在であるこの遠坂凛が、同レベルの素養を持っていたとしても不思議ではないだろう。

「そう。なら早くそのパスっていうのを―――」
「ただし、この方法にはちょっとばかし問題があんだよ」

 凜の言葉を遮って、ランサーはそう言葉を続けた。

「問題? 問題ってどんなのよ」
「いや、なんつうか、そのな。さすがにマスターがガキ過ぎんだよ」
「む。なによ、わたしが子供だと何がいけないのよ」
 ランサーの言葉に、凛は不思議そうに首を傾げる。

 その様子を見て、ふと思い出す。
 ユリウスとの戦いで岸波白野とのラインを絶たれ、「 」が魔力枯渇に陥った時、一体どのようにそれを解決したのかを。

 あの時はたしか、割込回路(バイパス)を使って凜……それともラニだったか? ……と「 」が仮契約を結んだのだ。
 その際彼女は「 」と保健室に籠って、魔力を供給するための儀式をしていた。
 結局何が行われていたのかを確認することは出来なかったが―――
 あの時見えた細い足……それにあの甘い香り……一体、保健室で何をしていたというのだろう。

 そんな疑問が鎌首を上げ、ついランサーに問いかけてしまった。
 ―――ランサー。一体、どうやってラインを結ぶんだ?

「パスの通し方はいくつかあるんだが、即効性があって魔力の融通が可能な方法はそう多くはねえ。
 その内で一番有効なのは、魔術回路をお互いに移植することなんだが、この方法だと現状唯一と言っていいマスターの武器を削ることになっちまう。
 それじゃあ本末転倒だ。他にも手札になるモノがあれば良かったんだが、今のマスターには望むべくもねえからな」

 ランサーの言葉に肯く。
 確かに凛はまだ子供だ。“遠坂凛”のような、卓越した魔術を使うことは出来ないだろう。
 だがそれでも、魔術師としては今の岸波白野よりも優れているだろうことは想像が付く。
 その数少ない有利を捨てるなど、現状では自殺行為にも等しい。

「あとはマスターの魔術刻印の一部を移植して、受信装置にするっつう方法もあるが、同じ理由でこれも却下だ」
「そうね。私に受け継がれている遠坂の魔術刻印は、全体の一割だけ。すぐに使えるのは初等呪術の“ガンド”くらいかな?
 けどこれ以上刻印が少なくなると、今の私じゃそれも難しくなると思う」
「となると、オレが知る限りで、即効でパスを通せる確実な方法は一つだけしかない。
 マスターと坊主の精神を同調させて、二人の間に直接霊脈を繋ぐっつう方法だ」

 自分と凜の間に霊脈を繋ぐ? それは一体どうやって。

「まあぶっちゃけ、ヤるんだよ」
「やる?」
「性行為って言えばわかるか?」

 ぶっ…………!!????
「せ、せっ――、せぇ―――ッ!?」
「あわ、あわわ、あわわわわ………!」

 なんと! あの時の保健室ではそんな事が行われていたのか!
 というか凛。ちゃんと意味が解っているのだろうか。だとしたら単なる耳年増なのか、それとも魔術師としての教養の一つなのか、少し気になるところだ。
 それにエリザも。いくら最盛期の姿――処女の頃に呼ばれたといっても、仮にも結婚経験がある筈なのだから、そこまで取り乱すのもどうかと思うぞ。

「せ、せせ、性行為ってあああれよね。アンタがライダーとやってた……」
「あれは不本意だったと切に反論したいところだが、まあそうだ。そしてあのサーヴァントは“そういう系統”の英霊だ。
 加えて性行為ってのは魔力を効率よくやり取りするための手段の一つだ。だからオレは、ほとんどの魔力をヤツに奪われちまったのさ」

 なるほど。ランサーの魔力が枯渇していたのは、そういう理由からだったのか。
 そのライダー……実に恐ろしい……っ! 
 真正面から相対して勝てる男は、あのセイヴァーくらいじゃないだろうか。

「素肌を密着させることでも一応魔力供給は出来るんだが、現状それでは効率が悪すぎる。
 となると、ちゃんと霊脈を繋げてパスを通し、少しでも多くの魔力を融通するしかねえ。
 他には坊主がオレに直接魔力供給するって方法もあるにはあるが」

 それは御免被る!

「だろ? やると言われたら困ったところだ。オレだって男と裸で抱き合うのは勘弁して欲しいからな」

 だったらなぜ口にしたのか。思わず鳥肌が立ってしまったではないか。
 ……しかし、これが魔術師の世界というものか……恐ろしい世界だ。

 まあそれはそうと、凛、やはり他の方法を考えよう。
 こんな方法は倫理的にも、情操教育的にも、精神衛生的にも宜しくない。

「…………わかった……やるわ」

 そうそう。凜もこう言っていることだし……ってええ!?

「おいおい、本気かマスター?」
「ほ、本気よ! 言ったはずよランサー。私に勝利を捧げなさいって」
「…………ああ、そうだったな。わかった」

 ちょ、ちょっと待って欲しい! いくらなんでも、それはいろいろとマズいのではないだろうか!?
 そ、そうだ。エリザ、君からもなに何か言ってくれ……って。

「あわわわわわわわわわわわわわわわ――――!!??」

 だめだ。エリザは完全に混乱している……!
 彼女のスイーツ&ロマンスな脳内では、一体どんな化学変化が起きているというのか……考えるだに恐ろしい。
 しかしこれは非常にマズい。このままでは岸波白野は、社会的に脱落してしまう……!

「白野」

 ―――は、はい!
 と、凛の声にビクンと反応してしまう。
 恐る恐る彼女の方へと振り返れば、凜は真剣な瞳で岸波白野を見つめていた。

「ねえ白野、私たちは仲間……お互いに助け合う関係よね」

 その言葉に、恐る恐る頷く。
 確かに自分たちは同盟を結び、仲間になった。その事実には間違いない。
 当然、彼女に協力し、その手助けをすることに異論はない。
 だけど、それとこれとは別問題だ。と言おうとして、

「私はね、絶対に聖杯戦争に勝ち残って聖杯を手に入れるって、お父様とお母様に誓ったの。
 そのためなら何でもするって。苦しいことも痛いことも、どんなことでも我慢するって決めたの」

 その声に―――覚悟と決意、強い意志を秘めた瞳に引き込まれる。
 ああ―――何という事だろう。
 未だ幼い少女でありながら、遠坂凛の魂は、こんなにも鮮烈に輝いている。
 己が望みのために、その小さな命の炎を高らかに掲げている。
 その、あまりにも眩い輝きに魅せられて―――

「だから………お願い白野、私に力を貸して」

 ―――わ、わかった。
 と、気が付けば自分は頷いていた。
 ………頷いて……しまっていた…………。

「よし、そうと決まれば善は急げだ。
 おい、そっちの赤いの。アンタも手伝いな」
「へ!? て、手伝うって、な、ななな、何をよ」
「おいおい、話聞いてなかったのか? 俺のマスターとアンタのマスターの間にパスを通すんだよ。
 オレが陣を張るから、アンタは精神の同調・融和を補助してくれ。NPCを操れるってことは、一応は魔術の素養もあるんだろ?」
「けけ、けど、けどけどけど………っ!」
「ん? なんだ? もしかしておまえ、自分のマスターに気があんのか?」
「んなっ!? ななな、なあ――――――――ッッッ!!!???」
「違ったか? けど、もしそうなら丁度いいじゃねぇか。アンタが主導を握って、ついでに一緒にヤっちまえって。
 そうすりゃ、次にヤる時の敷居も低くなってる筈だぜ?
 いやあ、オレもさすがに他人の情事を覗くのは気が引けてよ。アンタが変わってくれるなら願ったりかなったりってわけだ」
「わわ、わわわわ、私が子ブタと私が子ブタと私が子ブタと――――!!!???」
「ま、そういう訳だからよろしく頼んだぜ、嬢ちゃん」
「あうあうあうあう~~~~っっっ!!!」

 ―――はっ、しまった!
 茫然自失としている間に、事態が引っ込みの付かない所まで来てしまっている!?
 しかも頼みのエリザは、ランサーの度重なるセクハラ発言でショートしてしまい、彼の言い成りになってしまっている。もはや自分の声など届かないだろう。

 恐る恐る、といった風に、正面の凜へと向き直る。
 するとそこには、その幼い相貌を若干赤く染めつつも、まっすぐに岸波白野を睨み付ける少女の姿があった。

「ま……ま、まあそういう訳だから、よろしくお願いするわ」

 ――――――――。
 ああ……さようなら、普通のマスターだった自分。
 そしてこんにちは。変態(ロリコン)マスターの新しい自分。
 君はこれから、社会の底辺で生きていくんだよ。

 と。そんな終わりを告げるテロップが、岸波白野の脳裏を過ぎっていった………。


後半「Moondive Meltout」に続く




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最終更新:2014年09月03日 20:11