彼女は数百年も暗い地下室の中に閉じ込められていた。
普通の人間なら発狂してもおかしくないが、彼女は人間でもなかったし最初から狂っていた。
そもそも、閉じ込められていたが、出ようと思えばでれた。ただ、出ようと思うことすらなかったのだ。

彼女の名はフランドール・スカーレット。幼く可愛らしい少女の姿をした吸血鬼である。


「きゅっとしてドカーン」

笑いながら手をにぎる。
次の瞬間、フランドール……フランの呼び出したサーヴァントは木っ端微塵に砕け散った。

それが彼女の力、ありとあらゆるものを破壊する程度の能力である。
全ての物質には「目」という最も緊張している部分があり、そこを攻撃することで対象を破壊する事ができる。
しかし彼女は、その「目」を自分の手の中に移動させることができ、手を握り締めて「目」を壊せば無条件で対象を破壊できる。
無論、「目」は物質だけでなく人間にも妖怪にも存在する。……と、いう物騒なものだ。


「え?コレで終わり?つまんない」

屋敷の宝物庫で偶然見つけたゴフェルの木片でできた杖を掴みながら言った。
フランは見た目こそか弱い子供の姿ながらも、高い身体能力、魔力、特殊能力をもつサーヴァントクラスの存在。
この聖杯戦争でトップクラスの実力をもつになマスター候補なのだ。
召喚され実体化する隙にいきなり攻撃されれば、いくら歴戦のサーヴァントであろうとも反撃なく倒れるだろう。


マスター予選。
元から狂っていたせいなのか。そもそも、屋敷の外を出歩いた経験が殆どなかったせいかわからない。
目に映るものすべてに、如何しようもないほどの違和感を得てしまう。
「おかしいな~」と、しばらく考え込むと、30秒で本来の記憶を取り戻した。

聖杯戦争のルールにしたがって、サーヴァントが召喚の準備に取り掛かる。
方法は記憶が戻った時に、箱舟から頭にインストールされている。魔力量の大きいフランにはサーヴァントを呼び出すなど簡単なことであった。

さて、彼女は現れた人物を見て思う。
サーヴァントはこの聖杯戦争でのパートナーである。そして、歴史上の英雄。
自分が呼び出したんだもん。ものすごく強く壊れにくい存在のはずだ。そうに違いない。

(どれくらい壊れにくいんだろう、
 きっと、英雄っていうくらいなんだから、すっごく、すっごく、壊れにくいんだよね)

フランは目の前の人間が一体どれだけ壊れにくいか試してみることにした。
好奇心に負けた結果がこれである。

「ううっ、コレからどうすればいいんだろう」

フランは頭を抱えた。
サーヴァントと共に月の聖杯を手に入れる。でも、自分のサーヴァントはもう壊れて動かなくなってしまったのだ。
最初から『全てを破壊する程度の能力』を使うなんて、よくよく考えてみれば試し方を間違えていた。全然楽しくない方法だ。
なんという失敗を犯したの。いや、まだ予選なのよ。手は他にもあるわ。
新しくサーヴァントを手に入れる方法はあるかもしれない。


「大丈夫よ。きっと大丈夫」

フランは自分に言い聞かせるように口にした。

「ええ、大丈夫です。問題はありませんよ」

そして、返事が帰ってきた。

「なせばなる」

「そう、本人の気持ち。勝ち残れるかは本人の意思次第です。
 最終的には意志の強さこそ、この情報世界で行われる聖杯戦争ではもっとも必要な要素と言えますね」

「ねーねー、私フランドールっていうの、一つ聞いてもいいかしら?」

「フランドールさん。よろしいですよ、お聞きしたいことがあるならいくらでも」

全身黒ずくめの衣装に身を包んだ長身の男。
先ほど木端微塵に砕け散ったはずの彼は、あくまでも平然とフランドールの質問に答えた。

「フランて呼んでいいから、あなたのお名前おしえてくれる?あと、何で壊れていないの」

「まずは名前から、私は赤屍蔵人ともうすものです。このたびはアサシンのサーヴァントとして呼び出されました。
 最も暗殺者ではなく、医師や運び屋として働いていますが、ね」

フランに対して赤屍は帽子を脱いで頭を下げた。

「次に、なぜ、壊れていないか?と聞かれたなら、聖杯戦争はフランさんと相性のいいサーヴァントが呼び出される。
 すなわち、この私みたいにフランさんがすぐ聖杯戦争に負けてしまわないサーヴァントが呼び出されるということです」

「本当にそうなの?禁忌「レーヴァテイン」、えい、や」

フランの炎をまとった杖が赤屍蔵人の胸に突き刺さった。
その杖はボキボキと鈍い音を立てながらアバラを砕き、肉を焼きながら心臓へと到達。そこで一旦、フランドールはグリグリとねじり込んだあと引き抜いた。
ぽっかりと穴のあいた胸元から大量の赤い血が吹き出したが、すぐに血は止まり傷はふさがっていく。

「すごいや、せんせー。本当に壊れないや」

フランドールは自分の攻撃を受け全く変わらずたたずむ赤屍に感心して言った。その顔は返り血まみれながらも微笑みが浮かんでいる。
赤屍は「少々、お待ちを」と、コートのポケットから取り出したハンカチでフランドールの顔の返り血を拭き取る。

「ところで、フランさん。先生というのは?」

「ん。だって、お医者さんなんでしょ。だったら、せんせーって呼ぶんだよね。お本で読んだよ。
 でも、挿絵にかいてあったのは真っ白な服をきていたような?まあ、いいや」

「先生と言われてみれば先生ですね。
 では、私からも伺いたいことがまだ2つほど」

血で汚れたハンカチをポケットの中にしまい込んだ。

「なんでもフランに聞いていいよ。せんせー」

フランは任せなさいと、胸を拳で軽く叩いた。

「では、フランさん。あなたがこの聖杯戦争を参加した目的とこれからの方針を」

「フランはいっぱい遊ぶために参加しました。あと、方針~、方針って言われても、なんだろ?」

フランは首を傾げた。
この聖杯戦争という遊びのルールは頭の中に入っている。ルーラーというサーヴァントには逆らうな、NPCという人の姿をしたものは壊しすぎるな、そして、生き残った者が優勝して何でもかなえるという聖杯を手にする。
そういう遊びならとりあえず、全部壊すのではいけないのだろうか。他にも別の遊び方が有るのだろうか?

「記録では聖杯の破壊。聖杯の奪取など、管理者への反逆が行われたと言われます。
 この戦いも過去の聖杯戦争をモデルに作られているとしたら」

「そういうことをやっても構わないってことだね」

「基本的にルールは守るべきものですが今回の聖杯戦争は奇妙な点が多い。そもそもルーラーという存在そのものが必要とすら思えません」

『ルーラー』などと言われるサーヴァントが本当に必要であるか、それが疑問である。
かつて、月で行われた聖杯戦争では『ルーラー』などという抑止力がなくとも争いが行われていた。
方舟と月の聖杯戦争が同質と仮定するなら、ルールに違反したマスターたちはプログラム消去を行えばいいのだから。
付け加えるなら、フランドール同様に、たまたま巻き込まれた人間。そのなかでも、殺し合いに乗りたくない人々は分かりやすい敵役である『ルーラー』を倒すために一致団結しないだろうか?
まるで『ルーラー』は倒されるために存在しているように思えてしまう。

裏があるのは確実だろう。

「また、純粋に聖杯戦争のルール通り動くとしても、まずは情報収集に徹する。
 強者限定で戦う、弱者を助けるために動く。無差別に襲う、同盟を組む、積極的に動かず籠城するなど方針は数多くあります」

「せんせー。質問。
たくさん方針あるけど、どれが一番面白い遊びなの」

フランドールが手を上げて赤屍へと疑問を問いかける。
同盟ってどんな感じなんだろう?管理者への反逆というのも琴線に触れた、胸が熱くなりそう。強者……、つまり楽しい相手と遊ぶんだよね、これも楽しみ。
無差別、……ただただ破壊し続けるっていうのもシンプルで悪くないなあ、他にも楽しそうなものはたくさんある。でも、どれが一番かは分からない。

「どれを楽しいと思うか、ですか。
それは人それぞれ違います。フランさんにあった方針はフランさんが見つけるしかありません」

自分で見つける。フランは赤屍のことばを頭の中で反芻する。

「ん~。そうだ、いいこと思いついちゃった。







一つずつ試していけばいいんだ」

【クラス】アサシン
【真名】赤屍蔵人@ゲットバッカーズ~奪還屋
【パラメーター】
筋力C 耐久D 敏捷A+ 魔力E 幸運D 宝具EX
【属性】
 中立・悪 

【クラススキル】
気配遮断:B
 サーヴァントとしての気配を絶つ。
 完全に気配を絶てば発見することは非常に難しい。

【保有スキル】
血液操作:A+
 血や血と混ざり合った物体がメスや剣などになる能力。
 創りだした武器はアサシンの意思で動かすことができる
 また、毒物などの状態異常を無効化する。

投擲(短刀):B
 医療用メスを弾丸として放つ能力。

心眼(真):B
 戦場にて培った洞察力。
 対象の能力と状況を冷静に把握し、次の動きを予測する医師特有の経験則。
 逆転の可能性が1%でもあるのなら、その作戦を実行に移せるチャンスを手繰り寄せられる。

外科手術:C
 戦場で受けた傷に対して、応急処置を施すことが出来る。
 本業ではないが、産婦人科や内科の技術も会得している。


【宝具】
『死の純度(量子力学不確定性原理」)』
ランク:EX 種別:対人宝具 レンジ:- 最大補足:1
万物は赤屍蔵人に認識されて初めて存在する。
赤屍は自身の死を想像できないために死ぬことはない、死は他人ごとである。
不死殺しや再生阻害に構わず肉体は再生するが、一定ダメージで戦闘不能になる。
サーヴァントであるため魔力を消費しすぎると限界できない。
ただし、攻撃のランクに応じて再生スピードは上昇、再生のために必要な魔力は減少する。
EXクラスの攻撃ならば、宇宙が消滅しても魔力の消費なく一瞬で復活するだろう。

【weapon】
『メス』
磁石につかないチタン合金製や電気を通さないセラミック製のメス。
アサシンはそのメスを体内に隠し持っている。

『ブラッディソード』
血液で創りだした西洋風の剣。
敵が一定以上の実力を持っている時に好んで使用する。

【人物背景】
通称「Dr.ジャッカル。殺人が趣味という史上最低・最悪の運び屋。 
黒い帽子にラテックスの手袋、黒衣に身を包み、涼しげな風貌には常に微笑を浮かべる。
格下相手でも紙クズのように切り刻む冷酷さをみせ、人を殺すことを愉しむ殺人嗜好者として知られる。
基本的に一対一のシンプルな戦いを好んでいる。
また、結果より過程を好み、そのために「いつか背後から命を絶たれる」と友人から忠告を受けている。
実際に、攻撃を見守っていたら体中が穴だらけになったり、味方の美しい戦いに見惚れている間に刀で全身メッタ斬りにされた。
相手の実力を引き出すための舐めプもよくやっている。
戦闘狂で殺人狂ながらも戦う意志を持たない非戦闘員を殺すことはまずない。
病気になった主人公のお見舞いに果物持参で訪れ、
女子高生にメールアドレスを聞かれたら素直に教え ファミレスで破水していた妊婦を偶然見つけて赤ん坊取り上げたこともある。
また、「か弱い人間はこりごり」と漏らすが、女・子どもに甘いところもある。

元は戦場医で、とても大切に思っていた少年を救えず、戦場の忌まわしく悲しい現実を前にして、
神を呪い絶望に沈み殺戮に至る力を求め、意志の力を知り生死を越えた超越者となった。

実力は蟲偏くらいまでしか出せない。
不死殺し、ゼロ秒行動、時間無視、次元切断、次元移動、完全無限増殖、完全消滅攻撃などは魔力不足で使用不可。


【サーヴァントとしての願い】
無し、マスターの意思に従う。

【基本戦術、方針、運用法】
速さと不死性、毒物耐性、経験則による高い技量によって撃破が困難なサーヴァントといえるだろう。
中距離や近距離をまんべんなく戦え、医術など補助に適したスキルを持つため穴は極めて少ない。弱点といえるのは火力の少なさと常時発動するEX宝具による魔力消費だろうか。
ただし、一時的に戦闘不能にはできるため油断は禁物である。

宝具の性質上、チートクラスの強さや宝具を持つ相手には撃破できなくなる。チートキラー。

【マスター】フランドール・スカーレット@東方紅魔郷
【参加方法】紅魔館の宝物庫でゴフェルの杖を見つけた。
【マスターとしての願い】いっぱい遊ぶよー
【weapon】
ゴフェルの杖。魔術の補助程度にはなるだろう。

【能力・技能】
吸血鬼であり、眼にも止まらぬスピード、岩をも砕くパワー、強力な魔法力と言った高い身体能力を持ち、小手先のテクニックを無視する。
日光に弱くても、肉体も非常に頑丈に出来ており、高い再生能力を持つ。
また、ありとあらゆるものを破壊する程度の能力を保有している。
魔力で弾幕を放ったり、炎をまとった杖で攻撃などをする。
ひとえに燃費が最悪の赤屍を現界できるもの彼女の潜在能力会ってのこと。

ただし、引きこもりであったため、戦闘経験や駆け引きなどには期待できない。
日光への弱さゆえに昼間は太陽の隠れた場所でしか移動できない。流水、煎った豆など弱点も豊富である。

【人物背景】
七色に光る特徴的な形状の翼を持つ吸血鬼。
本人曰く495年間一度も外に出ておらず、ずっと地下に居たという。少々気がふれていためあまり屋敷の外に出してもらえず、
また彼女自身も外に出る気がなかった。紅魔館を訪れた者がまれに見かける程度で、滅多に紅魔館から出て来ず、
幽閉、もしくは引き籠もりの噂があるとなっている。

【方針】無差別