時は春、
 日は朝、
 朝は七時、
 片岡に露みちて、
 揚雲雀なのりいで、
 蝸牛枝に這ひ、
 神、そらに知ろしめす。

 ――なべて世は事も無し。

(ロバート・ブラウニング『春の朝』)


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「アハハ、こっちだよ、ベティ!」
「ふふ、待ってちょうだいよアッシュ。そんなに急がれたら追いつけないわ」

 柔らかな日差しが注ぐ岡の上に、はしゃいで駆け回る少年が一人。
 そしてその後から、純白のブラウスに風を孕ませて彼を追いかける少女がいた。

 春。フランスはブラントルシュ家の広大な敷地に咲く花々は、彼らの足元で朝露に濡れ、青い空へふうわりと香気を昇らせている。
 一人の執事が馬車から降りて、眼下に遊ぶ二人の子供へ、半ば不安げに、半ば微笑ましげに声をかけていた。

「――アッシュ様、エリザベート様、あまり遠くまで行かれませぬよう!」
「ハハッ、わかってるって! ベティ、こっちこっち!」
「もぉ、今日はどうしたのよアッシュ、そんなに嬉しそうに」

 アッシュと呼ばれた少年は、満面の笑みを浮かべて少女に振り返る。
 年の頃は10にも満たないような幼い顔立ちが、華やかに花畑の景色に映えた。


「ふふふ、ベティ、ここにすわって、目ぇとじてて! そうしたら教えてあげる!」
「……うん。わかったわ」


 少女は白いズボンのしわを膝下で丁寧に揃え、腕をまっすぐに膝へおろして花の中へ座り込む。
 短く切りそろえた黒髪と合わさり美男子のようにも思える佇まいだったが、彼女――エリザベートの眦に浮かぶ微笑みは、間違いなく年頃の少女のそれだった。

「ベティはいつもピシッとしてるんだネ」
「なぁにアッシュ。何かご不満?」
「ううん、ベティはカッコいいよ。でも、いつもいつもがんばってるから……」

 目を閉じたまま笑いかけるエリザベートに、少年はかぶりを振る。
 白いシャツの上から、赤いベストとキュロットを合わせたその少年アッシュは、花々に隠れた地面から何かを取り上げ、ちょうど視線の高さに合ったエリザベートの頭へ、それをそっと載せた。


「たまには、ゆっくりしてもいいんじゃないカナ、って」
「……これは」


 エリザベートが目を開けて、アッシュの載せてくれたものを見やる。
 それはこの岡に咲く色とりどりの花を使って編まれた、一輪の花冠だった。

「あなた……、これ、私のために?」
「うん。ベティにナイショで、朝早く来て作ってたんだ。ベティがずーっと、元気でいてくれますように! って」
「……嬉しいわ、アッシュ。ありがとう」

 エリザベートは、熱が胸からこみ上げたように、アッシュへと笑いかけた。
 アッシュの銀色の髪へ手を伸ばし、彼女は彼をそっと撫で続ける。
 エリザベートの目には、涙が溜まっていた。


「あれ、どうしたのベティ? どこか痛いの?」
「いいえ……。本当に、本当に、私は嬉しいのよ」

 一語一語を呟くように絞り出し、彼女の体は震えていた。
 戸惑うアッシュに向け、一筋の涙を頬に伝わせてエリザベートは微笑む。


「私は覚えているもの。あなたのことを。『なかったこと』になんて、絶対にしないもの」


 エリザベートが膝元で握り締めたもう片方の手には、古びた一枚の木片が掴まれている。
 彼女は、目の前の少年の髪を指先に何度も感じながら俯き、強く、強く噛み締めるように叫んだ。


「……我が心は、決して折れません!!」


 その瞬間、辺りを覆い尽くしていた幸せな時代の夢は、始めから何もなかったかのように消え去っていた。


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 閉じていた目を開ければ、彼女は実家であるブラントルシュの館のような、古びた屋敷の一室に座り込んでいた。
 片手には、ここに来るための片道切符であった『ゴフェルの木片』の代わりに、一つのカチューシャが握られている。

 おもむろに立ち上がった彼女は、正面の大きな机の上に腰かけ、気だるそうに組んだ脚を宙に遊ばせている一人の男に目をやる。
 誰に言われずともわかる。
 彼が、エリザベートのサーヴァントたる救世の英霊だった。

 彼はそばかすの浮いた顔を微笑ませ、ネイルアートを施した手を、親しげにエリザベートに向けて打ち振る。


「やぁ♪ ベティ、久しぶりだネ」
「――ええ。本当に、久しぶりね。アッシュ・クリムゾン……」


 上着から長ズボンまで、全身を炎のような真っ赤な衣服に身を包み、捉えどころのない霞のような笑みを浮かべる男は、まさしくエリザベートがかつて故郷で幼少期を共に過ごしたあの少年であった。
 彼は自分の艶やかな前髪をくるくると指に遊ばせながら、目の前のエリザベートに向けて口を開く。

「まー、それにしてもボクにもあんなに殊勝な時代があったんだネ~。ベティの夢を覗いてて爆笑しちゃったよ」
「……今でも変わってないじゃない。私にはわかるわ」
「……ベティ、聖杯戦争に来る前に何か悪いものでも食べた? キミがボクにそんな優しそうな口調で話しかけるなんてここ数年なかったことだよ」

 飄々とした口調だったアッシュの口ぶりが、知人の違和感に気付いて怪訝なものに変わる。
 エリザベートは、凛々しい自身の衣装とは裏腹に、慈母のような穏やかな眼差しでアッシュの元に歩み寄っていた。

「ずっと……、ずっと探したわ。先の『キング・オブ・ファイターズ』で、『彼の者』を道連れに消滅してしまったあなたを、連れ戻す方法を」
「それで、ボクの英霊としての記録を呼び出せるかもしれない聖杯戦争に賭けたっていうの?
 アハハハハッ! 頑張りすぎだってベティ! ボクが召喚されるかどうかもわかんないし、他のサーヴァントたちを蹴散らして優勝できるかもわかんないじゃないか!」

 アッシュは噴き出していた。
 机を叩いて笑う彼の髪にそっと、エリザベートの指がかかる。

「いいえ。わかっていたわ。必ずやあなたが来てくれるだろうことは」
「……これは」

 アッシュが目を開けて、エリザベートの載せてくれたものを見やる。
 それは彼がタイムパラドックスにより消滅した際、唯一現世に残った、彼のカチューシャだった。

「……後生大事にとっといたのかい。フフ、『聖遺物』っていうのもおこがましい、ただのカチューシャだよ?」

 頭にかけられたカチューシャをいじり、アッシュは呆れたように腕を開く。
 それでも、エリザベートの柔らかな眼差しは変わらない。
 アッシュは全身がむず痒くなったかのように身じろぎして、彼女から目を逸らす。

「だいたいねぇ。ボクみたいなただの美男子が、英霊サマの列に並ぶなんてこと事態からしておかしいんだよ。案の定、クラスは最弱と名高いキャスターだよ?
 こんなザマで、聖杯戦争を勝ち抜けるわけないじゃん。さっさと現世に帰んなよベティ」
「相変わらず優しいのねアッシュ。私の身を案じてくれているんでしょう?」

 エリザベートが穏やかに呟いた瞬間、アッシュの耳元に一筋の風切り音が迫った。


「ひゃいっ!?」


 アッシュが驚きに身を引いたその直後、アッシュの乗っていた机の角が、エリザベートの振り下ろした乗馬鞭で叩き折られていた。
 エリザベートは依然として微笑んだまま、床におりたアッシュの方へ歩み寄り始める。

「……でも大丈夫よ。この通り、私の光拳の腕はちっとも落ちていないし、むしろあなたに会えてより一層輝きを増している。
 あの『キング・オブ・ファイターズ』で優勝した私とあなたなら、もう一度優勝するくらい簡単よ。なにより、あなたは間違いなく、『遥けし彼の地より出ずる者たち』から世界を救った英霊なんですもの」
「ちょっとタンマタンマタンマ! ベティ恐い! あのプンスカしてた、しかめっ面の時より怖いから!
 消滅してから知る幼馴染の新境地ってなにこれ、怖いよ! そうまでして、聖杯に何を求めるのさ!」
「もちろん、あなたの受肉よ。それで、一緒に現世の、みんなの元へ帰るの」

 狼狽えるアッシュを壁際に追い詰めて、それでもエリザベートの微笑みは崩れない。
 熱に浮かされているような様相に見えて、その実、彼女の確固たる信念は深い深いものであり、まったく揺らいではいなかった。
 目前に迫る彼女にアッシュは耐えきれなくなって、身を竦ませて叫んでいた。


「どうせボクのことなんか、現世じゃ誰も覚えてないじゃないか! 来年度の『キング・オブ・ファイターズ』にはボクの穴を埋める新人がでて、それで世界の帳尻は合うんだ!
 いいんだよ、ボクはこのまま消えて! それで、なべて世は事も無し!」
「それは違うわ。私だけじゃない。みんな、あなたのことは覚えている。
 あなたの名前、あなたの姿が思い出せなくとも、みんな心のどこかで、あなたを覚えているのよ」


 壁に寄り掛かるアッシュの頭を掻き撫でて、エリザベートはポケットから『ゴフェルの木片』を取り出す。

「これについての情報は、あなたも良く知っている、デュオロンから知らされたわ。飛賊に伝わっている伝説の一つに『万能の願望器』の存在があると」

 エリザベートと、そしてアッシュとかつてチームを組んでいたデュオロンとシェンの二人は、エリザベートがブラントルシュ家をあげてアッシュの復活の術を模索していることを知るや、直ちに動いていた。

「シェン・ウーは、上海で彼を敗北させた元殺し屋の情報網を頼り、日本に『ゴフェルの木片』が存在することを突き止めてくれた。日本にはKOFの出場者も多かったから、話をつけやすかったわ」

 上海で彼を敗北させた元殺し屋――アッシュとシェンが一度は共に戦った老紳士・オズワルドのことである。

「そして二階堂紅丸から紹介された、麻宮アテナの事務所のツテで、その道では有名なバイヤーの女性から私は『超得』価格でこの木片を譲り受けることができた。本当に手ごろな値段で助かったわ」
「ベ、ベティの『手ごろ』ってどれくらいなんだろう……」

 顔の前の笑顔に口元をひくつかせながら、アッシュは首筋に冷や汗を垂らしていた。
 エリザベートは、そんな彼を諭すように言葉を繋げる。


「……わかったでしょうアッシュ。私だけじゃない。本当のところは、みんなあなたに感謝してるし、また会いたいと、どこかで思っているはずよ」
「……またまた。絶対そんなことないって。覚えてたとしても、キモくてウザい待ちキャラくらいの印象しか残ってないんじゃないの」
「ああ、そうね、八神庵だけはそんなことを言って、『次会ったら殺す』と言っていたわね。戻っても会わない方が良いわ」
「……うへぇ、八神クンかぁ」
「いいのよ、他人が何と言おうと。私はそんなことないと、知っているから」


 エリザベートは、ため息をついたアッシュの頬に、少しだけ背伸びをして口づけした。
 僅かに赤みの増した笑顔を一歩引いて、エリザベートはいたずらっぽく口元に手をやる。


「……でも、アッシュの背がこんなに高くなってたのは、知らなかったわ」


 クスクスと笑いながら、手に持った乗馬鞭を縦横に振り回して、彼女は上機嫌に部屋を出ていこうとする。

「さぁ! あまりここでぼやぼやしてる暇もないわ。行きましょうアッシュ! 遊びではないのよ、この戦いは!」

 言動は夢みる乙女のようでありながら、その鞭や、時折閃く白い光のキレはアッシュの眼をしても全く鈍っていないことがはっきりとわかる。
 むしろ彼が見知っている時分のものよりも、エリザベート自身が言うようにその力は一層強くなっているようにすら思えた。

 彼はそんなマスターの様子に暫く唖然としていたが、その後おかしそうに肩を揺らして、彼女の後についてゆっくりと部屋を後にした。


「『愛を取り去れ、そうしたら、我らの地は墓となる』ってことだったのかい、ベティ。
 ……本当、昔っから変わってないネ、あの頑張り屋さんは」


 前を行く少女の凛々しく青い衣装の背に、アッシュは笑みを零す。
 彼女とともに自分の最期の瞬間に居合わせた、二人の男たちの姿がふと、エリザベートの隣に映ったような気がした。


「そういや、蟹。おごってもらう約束だったっけ――」


 貴族然とした正攻法をキュロットと共に脱ぎ捨てた一人の火影が、嘲笑ではない感情に唇を歪め、今、懐かしい家族とともに家路に就く。

「メルスィ♪ みんな――」


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 私の太陽が沈む、
 再び上るために。

(ロバート・ブラウニング『人魚亭にて』)


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【マスター】エリザベート・ブラントルシュ@ザ・キング・オブ・ファイターズXIII

【参加方法】アッシュを復活させる方法を模索し、ゴフェルの木片を取り寄せた。

【マスターとしての願い】アッシュを受肉させ、共に現世に帰る。

【weapon】
 『ブラン流格闘術+光拳術』
  ブラントルシュ家に伝わる、光を攻撃に特化させた武術を自在に操る。ブラントルシュ家の魔術刻印とも言える技術であり、属性では『空』属性に相当する。
  エリザベートの豊かな魔術回路・才能と合わさり、サーヴァントに対してもそこそこ有用な対抗手段になると思われる。

 『乗馬鞭』
  エリザベートが武器として活用する乗馬用の鞭。ブラン流格闘術の武装のようであるが、神秘性を有さない単なる鞭である。

【能力・技能】
 光拳術による、魔術と格闘技を組み合わせた変幻自在の戦闘を行なうことができる。
 光を直接光弾として相手に叩き込む他、フラッシュによる眩惑・迷彩、エーテルの流れを利用していると思われる高速移動などに活用できる。
 KOF11~13までの技は、問題なく全て使用可能。
 また、実家での移動手段はもっぱら馬であり、騎乗の技術は高い。
 聖アストライオスという総合病院で天才外科医をしていたという経歴があるようなないようなこともあり、医学的な知識・技術も有していると思われる。

【人物背景】
 「光拳術」という光を攻撃に特化した武術を自在に操る、ブラントルシュ家の末裔。家の伝統をも引き継いでいるせいか、21世紀になっても移動に車ではなく馬を用いている。
 戦いの時も乗馬鞭を常備。高貴な生まれのため、性格は非常に生真面目かつ高飛車で、プライドが高い。
 西洋の「オロチ」ともいえる「遙けし彼の地より出ずる者たち」と相対する関係にあり、アッシュらとともに何らかの使命を持っていたようだ。
 オロチを封印した三種の神器(草薙京・神楽ちづる・八神庵)の存在を知っている。
 幼馴染みであるアッシュからは「ベティ」と呼ばれ、幼い頃は仲が良かった模様。
 『ザ・キング・オブ・ファイターズXIII』では、自分たちと決別したアッシュの真意を知り連れ戻す為に参加したが、アッシュ消滅と共にその願いは叶わなくなった。
 しかしアッシュが消えた後でも彼のことを覚えており、エリザベートチームのエンディングのラストでは涙を流していた。

【方針】
 アッシュ第一。他の参加者が敵対するならば容赦なく排除する。
 ただし、相手がそれ相応の礼節を弁えているならば、自身も誇りと礼を以て応対する。


【クラス】キャスター

【真名】アッシュ・クリムゾン@ザ・キング・オブ・ファイターズXIII

【パラメータ】筋力D 耐久D 敏捷D 魔力A 幸運C 宝具A++

【属性】混沌・中庸

【クラス別スキル】
 陣地作成:B
  魔術師として自らに有利な陣地を作成可能。
  アッシュの場合、自らの魔術による炎の存在地点から自身の存在地点までの空間に『トリカゴ』と呼ばれる概念を成立させる。
  この空間内では、あらゆる空中での防御魔術・防御手段が無効化され、飛(跳)んでいる対象は容易く対空攻撃で撃墜されるようになってしまう。
  つまるところ、アッシュの炎による対空攻撃を空中でガードする手段は『ザ・キング・オブ・ファイターズXIII』のシステム通り、存在しない。

 道具作成:C
  魔力を帯びた器具を作成可能。
  アッシュの場合、炎によってランタンや暖炉、コンロなどを形作り、用立てることができる。

【保有スキル】
 魔力放出(炎):A
  武器・自身の肉体に魔力を帯びさせ、瞬間的に放出する事によって能力を向上させるスキル。
  アッシュの場合、特徴的な緑色の炎が生成・投射される。
  彼の我流の格闘スタイルは、この特殊な炎を用いたものである。

 芸術審美:C
  芸術品・美術品への執着心。芸能面の逸話を持つ宝具を目にした場合、そこそこの確率で真名を看破できる。
  趣味のネイルアートと独特の美的センスによる。ファッションデザイナーを目指していたことがあるようなないようなこともあり、その知識は意外と広いかもしれない。

 高速詠唱:C
  後述の宝具『サン・キュロット』発動時にのみ有効となる、魔術の詠唱を高速化するスキル。
  アッシュの場合、魔術・魔力放出の行使に必要な『タメ』時間がなくなり、一瞬で如何なる魔術攻撃も可能となる上、行使後の隙を即座に中断して次の動作に移ることができる。


【宝具】
『サン・キュロット』
ランク:A++ 種別:対人宝具 レンジ:1~5 最大捕捉:10人
  自分のまわりに瞬間的に炎を発生させて攻撃を行い、同時に自分の魔力・幸運を除く全ステータスのランクをアップさせる宝具。
  『リベルテ(自由)』『エガリテ(平等)』『フラテルニーテ(友愛)』という3段階を選択して解放することができ、それぞれステータスを1~3ランクアップさせる。同じく解放段階によって、ランクアップの持続時間、炎の範囲・威力と消費魔力も爆発的に上昇してゆく。

『エスプワール(希望)』
 ランク:A++ 種別:対軍宝具 レンジ:1~50 最大捕捉:500人
 自分の周囲の広範な空間に大きな爆炎の渦を発生させて攻撃する。
  上記の宝具『サン・キュロット』の効果時間中にのみ真名解放することができる、アッシュの最大攻撃宝具。強大な威力を持つが、『サン・キュロット』による消費魔力を合わせて考えると、その発動に要する魔力は膨大なものになる。

『レコルテ(収穫する)』
ランク:A 種別:対人宝具 レンジ:1 最大捕捉:1人
  手刀を突き刺して、相手の持つ能力を吸収する宝具。
  相手の対魔力に打ち勝てば、対象の魔力・スキル・宝具を任意に奪い取ることができる。恐らく「遥けし彼の地より出ずる者たち」に対抗するカギとなっていたのであろうアッシュの能力である。
  八咫の鏡、八尺瓊の炎、オロチの力など数多くの能力を吸収してきたため、その活用範囲は広い。
  ただし、斎祀を吸収しようとして逆に乗っ取られた例もあり、相手の対魔力やランク、奪い取る能力の範囲次第ではうまく機能しないことが考えられる。


【weapon】
 魔術によって生成した、特殊な緑色の炎を使う我流の武術で戦闘する。自分の展開を良くするような技・相手を翻弄するような技が非常に多い。
 ヴァントーズ、ニヴォーズといったフランス革命歴にちなんだ名称を多くの技につけている。
 KOF2003、11~13、MIAの技の全てを使用可能であるが、八咫と八尺瓊、オロチの力は失っているため、ジェルミナール及びエスプワールにスキル・宝具封印の効果はなく、フリュティドールをしても紫の炎は出ない。ただし、改めて宝具『レコルテ』で類似した能力を奪った場合、性能が強化される可能性がある。
 もちろん斎祀の力も失っている。

【人物背景】
 『ザ・キング・オブ・ファイターズ2003』から登場した、新たなる主人公。『2003』からのストーリーは彼の名前を取って「アッシュ編」と銘打たれている。前主人公の草薙京やK'とは違い、アンチヒーローとして活躍している。
 常に飄々とした性格だが、言動や態度は子供っぽく、他人の不幸をヘラヘラと嘲笑って平然としていたり、馬鹿にするような発言を平気でするなど冷酷な面を持ち合わせている。また相当な面倒臭がりで、自分が興味のある物にしか目を向けない。
 シェン・ウーとは香港滞在の際に知り合った旧知の仲。デュオロンとも『2003』の時点では知り合いのようだが、その経緯は不明。
 エリザベート・ブラントルシュとは幼馴染みで、家柄から姉弟のように付き合っていた模様。名前を呼ばれ慌てる一面もある。アッシュはエリザベートを「ベティ」と呼んでいる。また彼女同様「遙けし彼の地より出ずる者たち」と相対する関係にあり、何らかの使命を持っていたが、自らに与えられた使命を放棄し、三種の神器(草薙京・神楽ちづる・八神庵)の能力を執拗に狙い、手中に収めようと企んでいた。
 『2003』ではちづるから八咫の力を奪い、更に『XI』では庵から八尺瓊とオロチの力を奪った後、エリザベートの前で蒼い炎を出してみせた。
 『XIII』で明らかになった彼の真の目的は「遥けし彼の地より出ずる者たち」を自らの手で壊滅させ、目的達成を阻む事であり、三種の神器の力を集めようとしたのも、最初から「遥けし彼の地より出ずる者たち」をおびき寄せるために仕組んだ行為であった。
 また『XIII』では彼の直系の祖先である斎祀(サイキ)がボスとして登場する。全てのエンディングでアッシュは斎祀の過去への帰還を阻止する事に成功するが、「ご先祖様を消しちゃった」為にタイムパラドックスが発生。この世界に祖先共々「初めから存在しなかった」事になり、自身も消滅してしまった。
 アッシュは己の全てを犠牲にして世界を守ったことになる。
 なお彼と面識のある全ての人物の記憶から「アッシュの存在」が断片的に消滅したが、エリザベートの記憶からは消滅しておらず、アッシュの形見ともいえるカチューシャを手に涙を流していた。

【サーヴァントとしての願い】
上海蟹をおごってもらう約束を果たす。

【基本戦術、方針、運用法】
原作と変わらず『トリカゴ』による、跳ばせて落とす待ち戦法を得意とする。
 炎の魔術の射程は長く、遠隔地に設置することもできるため、自身の移動に合わせて陣地を自在に展開でき、『トリカゴ』の効果が適用される範囲はかなり広くなるだろう。
 普通のサーヴァントならば苦戦するであろう飛行する者や、空中要塞といった頑健な構造物を相手にしても、アッシュの作成した陣地内では、あらゆる攻撃を無防備に喰らってしまう良い的となる。

 地上からサーヴァントの接近を許した場合でも、のらりくらりと逃げるような立ち回りでそこそこ格闘もできる上、きちんと投げ技のようなサブミッション技術も習得しているため、並のキャスターほどの打たれ弱さはない。
 むしろ『サン・キュロット』を密着で発動することができれば、強化したステータスにモノを言わせ、横やりが入らない限り大抵のサーヴァント相手に即死コンボを完走することもできてしまうだろう。
 マスターであるエリザベートと協力すれば、彼女の光拳術による眩惑とともにあえて高速接近し、タッグで相手を封殺しにかかったり、『浮かし』を得意とするブラン流格闘術の技に合わせて、相手を二度と地に帰すことなく『トリカゴ』の中で弄ぶことも可能となる。

 宝具『レコルテ』は、相手の隙さえつければ戦闘に一方的に勝てる上に自己強化をすることができるので、敵サーヴァントにあたったときは、いかなる勝ち方をするにせよ、持っている方が危険なスキル保持者などでない限りは、最終的に『レコルテ』を欠かさず行使していきたい。