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――――僕は、武器商人と旅をした。








◆◆◆◆



俺の名は雷電。
セイバーのサーヴァントとしてこの聖杯戦争に召喚された。
そしてマスターのヨナと主従の契約を交わしてから数日が過ぎた。
とあるマンションの一室で、今日もヨナはトレーニングを繰り返す。
銃の手入れと分解整備。筋力トレーニング。そして本人は嫌がっているが、学校の勉強。
ヨナは、どうせ偽の学校なんだからと行きたがらなかった。
だが学校の制服を試しに着てみろと言ったときのソワソワした態度は可愛いものだった。
本当は学校というものに憧れていたのだ。俺もその気持ちは良く分かる。
俺は気が向いたときに勉強を見てやり、時折愚痴も聞いてやる。
なんだか息子か弟ができたようで、中々会う機会がなかった妻と子供のことを懐かしく思い出す。
俺がかつて片腕を切り落としてしまったジョージ少年のことも。
俺たちは似たもの同士。元少年兵。
睡眠時の無意識の共有によって、ある程度マスターの事情は把握している。
そしてそれは向こうも同じだ。
物心ついたときには戦争というあまりに巨大な怪物に多くのものを奪われて、それを取り返すために、さらなる搾取に耐え忍ぶ人生。
もし最初からこんな生活を送ることができていたら、どうなっていただろう。
仕方ないと理解していても考えざるを得ない。
それほどまでに俺は、俺たちは戦争に多くのものを奪われすぎた。

「できたよ雷電。オムレツ」
「ありがとうヨナ。では、いただきます」

今日の晩飯はヨナが作ってくれた。
普通のオムレツだ。
普通に美味い。
初めて作ったときは部隊の仲間全員をダウンさせたらしいが、それを踏まえれば格段の進歩だ。
美味いよ、といってやると、彼は気恥ずかしそうに笑った。
普段は滅多に表情を崩さないヨナにしては珍しい。
こういうところは年相応、いやそれ以上に無邪気で可愛いものだ。

「それにしてもサイボーグでもご飯食べるんだね」
「ああ。脳は生身だから、甘いものが欲しくなることがよくある」
「そうなんだ」
「サーヴァントになってから別に食事は必要ないんだが……まあそれでモノを食べなくなるかというと話は別だ。もちろん歯も磨く」

俺がへたくそな冗談のつもりで言うと、ヨナはまた笑ってくれた。


◆◆◆◆



いろんな話をした。

記憶の共有で大まかに知ってはいるが、その上で当事者の口から直接語られるものは無視できない。

まずは俺の過去のこと。

リベリアの白い悪魔と呼ばれた白人少年兵。

俺を洗脳したソリダス・スネークとの決着。

迷い続けた果てに、さらに現れる新たな迷い道のような人生。

サイボーグに改造され、そして戦い勝ち取ったもの。

ローズと出会い、そして一度は別れたこと。

そして、リヴェンジェンス-REVENGEANCE-

人斬りの本性。


◆◆◆◆



ヨナのことも聞いた。

武器によって殺された家族。

武器によって奪われ続けた何か。

それゆえに武器を憎み、でも武器がなければ生き延びることができなかった二律背反。

武器商人ココ・ヘクマティアルとの出会い。

レーム、バルメ、ルツ、マオ、ウゴ、トージョ、ワイリ、そして……アール。

個性的な仲間の話をするときのヨナは楽しそうだった。

そしてココが発動させようとした「計画」。

それをヨナが拒絶したこと。

それから二年がたったこと。

そして世界は――――、


◆◆◆◆



「――どうすれば世界は平和になるんだろう」


成長して、やがて世の中の戦争のことを考える機会を与えられた子供は、多かれ少なかれそんなことを考えるのではないだろうか。
世界は戦争に溢れている。その疑問に誰もがたどり着くほどに。
だが、ヨナがそれを口にしたときの重みは桁違いだ。
それはヨナの人生から戦争が奪ったものの重さ。
俺たちは心の底から世界の平和を願う。
俺たちのような戦争に搾取される子供たちを、これ以上生まないように。
そしてもし実現できたとしたら、俺たちは聖杯に平和を願う。
そのことを既に俺とマスターは確認し合っている。

「もし本当に、奇跡のような完全平和が実現すればそれでいい。だがもしそうでなかったら――」
「そうでない平和って……?」
「世界の九割が平和で、残り一割の犠牲によって、その平和が維持されるとしたら? たぶんそれは九割の人間が平和であると認めるだろう」
「でも残りの一割は……」
「そうだ。何よりも誰よりも、俺たちがその一割だったからこそ受け入れ難い。だから俺はその一割のために戦ってきた」
「雷電――」

だから許してほしいと俺は願い出た。
聖杯が示すその平和の形が、限度を超えて弱者を踏みにじる歪なものであったなら、聖杯を拒絶すると。
ヨナはまっすぐに俺を見つめながら、はっきりとこう言った。

「武器を考える奴、作る奴、売りさばく奴、使う奴。僕は永遠に憎む」
「だが、おそらく武器はなくならないよ。それこそ奇跡でも起こらない限り」
「だったら僕は奇跡を望む。そのためならいくら汚れたって構わない。僕は武器を憎む。でも武器を捨てられない。そんな自分すらも憎い」
「ヨナ――」
「どうしようもないんだ。もうそれしかない。僕は雷電みたいに世界と折り合いをつけられない」

少年の純粋さ。
それはもう俺のような大人にどうこうできるものではない。
それはどうしようもなく綺麗で、それゆえに侵しがたいモノ。
それゆえに壊れやすいモノ。それゆえに触れがたいモノ。


「――もし僕と雷電の両方が願う平和のカタチを、聖杯が実現することができなかったなら。もし片方だけしか叶わないなら」
「ヨナ…………もし、そうなったら」
「戦おう雷電。聖杯を賭けて」


◆◆◆◆









――――僕は、切り裂きジャックと旅をする。







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【CLASS】
セイバー

【真名】
雷電

【出展】
メタルギア・ライジング・リヴェンジェンス

【パラメーター】
筋力A 耐久B 敏捷B+ 魔力C 幸運D 宝具B

【属性】
混沌・中立 

【クラススキル】
対魔力:D 一工程(シングルアクション)による魔術行使を無効化する。魔力避けのアミュレット程度の対魔力。
騎乗:C 騎乗の才能。大抵の乗り物、動物なら人並み以上に乗りこなせるが、野獣ランクの獣は乗りこなせない。

【保有スキル】
心眼(偽):A 視覚妨害による補正への耐性。レーダー探知と眼帯型複眼レンズの広範囲探索機能による危険予知。
自己再生:D ボディに内蔵された修復ユニットによる自己再生。電力・魔力を補充することで回復スピードが速まる。
攻防一体・凌:A+ シノギカウンター。研ぎ澄まされた武錬の極み。斬撃戦において雷電が凌げない攻撃はほぼ存在しない。

【宝具】
『斬奪(ジャック・ザ・ライトニングリッパー)』
ランク:B+ 種別:対人宝具 レンジ:1~3 最大補足:5人
原作では切断した敵サイボーグのボディから自己修復装置を「斬奪」する事で、損傷と電力を回復する事ができる機能を持つ。
聖杯戦争では、魔力を大量消費して斬奪状態に突入。周囲の時間の流れが遅く感じ、超高速の斬撃を繰り出すことが可能になる。
斬撃そのものの威力も格段にアップし、通常切り裂けないような物も切断できる。
そして斬った魔術師やサーヴァントの心臓を切り裂き、抉り出して握りつぶすことで自らの魔力とする。
この即座の魔力補給によって連続斬奪を発動させることも可能。
「吸血鬼」「機械の生き血をすする悪魔」などと呼ばれる所以となった、恐ろしくもおぞましい宝具。

『雷忍走(ライトニングボルト・アクション)』
ランク:D 種別:対人宝具 レンジ:1 最大補足:1人
脚部に稲妻を発生させ、高速ダッシュが可能になる。
同時にバリアのようなものが周囲に発生し、銃弾程度はあっさり弾き返す。
バリアを発生させたまま敵に突撃することも可能。


【weapon】
特殊合金製高周波ブレード。脚部に装着して蹴りながら斬ることもできる。


【人物背景】
雷電はコードネームであり、本名はジャック。
英雄として戦い続けた雷電と、忌むべき殺人者のジャック、二つの側面を持つ。
今回は前者として現界したので、雷電が真名となっている。
リベリアの白い悪魔、またの異名をジャック・ザ・リッパー。幼い頃に両親を殺され、その犯人に誘拐・洗脳され少年兵となる。
リベリア内戦を戦い抜き、六歳で銃をもち、十歳で部隊を率いるなど、人殺しに関して天性の才能を持つ。
後に人権団体によって救出されてアメリカで平和な生活を送るが、不要となった戦いの記憶と人殺しの才能が彼の人格を蝕んでいく。
リベリアで生き残った仲間たちが平和に馴染むなかで、雷電だけは戦場から離れることができなかった。
自分を少年兵に仕立てた両親の仇を殺し、身体がサイボーグとなり、妻と子ができても、その過去から完全に逃れることはできずにいた。
戦い続けるうちに日本の新陰流の理念、一人の悪を斬り多くの人を救うという「活人剣」に出会い、それを是として戦っている。
だが民間軍事会社にSPとして勤めていたアフリカでの業務中、同業であるデスペラード社の介入により警護対象の首相は殺されてしまう。
雷電自身もデスペラード社の用心棒サムに敗北。目と左腕を失う。その際「お前の剣は快楽を恐れている」と看破される。
数ヶ月後、デスペラード社によって首都を占拠された東欧アブハジアの政府は、事態の解決を雷電の勤務する社に依頼。
因縁の相手に、雷電は外見を度外視した戦闘特化の新義体でリベンジを果たすため戦地に赴く。
敵の奇怪で残忍なサイボーグ達と対峙すると同時に、少年兵時代に捕虜や民間人を殺害した事や、人を斬る事に快楽を得る本性など、
自己が内面に抱える大きな闇と、ついに雷電は正面から対峙する事になる。
登場人物達が雷電にもたらすそれらによって、過去と自己の本質を恐れ「活人剣」の題目によって欺いてきた彼の心境は変化して行く。
最後の戦いにおいて「気に入らない相手は実力行使で押し退ける」というアームストロングの流儀には少なからぬ感化を受けた模様。
かつての己のように搾取される弱者の救済という雷電の目的の前に、法的な制約が付きまとう民間軍事会社での活動は既に限界に達し、退社。
昔の仲間からはマヴェリック社復帰を期待されるが、「己の闘争を続ける」としてそれを断っている。

【サーヴァントとしての願い】
世界平和。ただし、聖杯のもたらすソレが弱者を搾取することで維持されるものであったら斬る。

【基本戦術、方針、運用法】
白兵戦に特化した戦闘能力。
斬り殺して魔力を奪い、奪った魔力でまた斬り殺していく。


【マスター】
ヨナ(ジョナサン・マル)

【出展】
ヨルムンガンド

【参加方法】
世界を巡り歩くうち、願いが叶うお守りという売り文句に引かれ、雑貨屋で大金を払ってゴフェルの木片を手に入れる。
半ばジョークのつもりだったが、本物だと判明したことで真に聖杯を望む。

【マスターとしての願い】
世界平和。

【weapon】
FN P90短機関銃
シグザウエルP226
サバイバルナイフ
防弾ベストなど

【能力・技能】
たった1人で部隊を全滅させる戦闘能力を持つ人殺しの天才。
学校教育を受けていないため「英語はなかなかのもの」と評される反面、理数系は嫌いで2桁同士の掛け算にも苦戦する。
しかし本来の知能自体は優れていて、敵軍の作戦や練度を即座に見抜く。


【人物背景】
西アジア某国山岳部隊出身の元少年兵。
銀髪と浅黒い肌をしており口数は少ない。左目の下に切り傷の痕がある。
常に無愛想で無表情、むっつりとしていて感情の起伏を示すことは少ないが、稀に子供らしい表情を見せたり笑い声を上げたりする。
過去に両親を殺されたことから、武器とそれに携わる者を激しく憎む。
一方で、武器に頼らなければ生きていけなかった境遇から、その恐ろしさと頼もしさを共に理解している。
戦闘能力・経験値はともに高く、特に山岳戦や夜戦ではその能力をフルに発揮する。
反面、大人の兵達に比べると体格差はカバーしきないため白兵戦には対処出来ず、戦闘要員ではない男にも蹴られて吹っ飛んだりする。
幼くも抜群の戦闘能力を認められ、若き武器商人の女性ココ・ヘクマティアルと、その私兵8人と世界各地を旅する事になる。
武器商人としてのビジネスと、そこに群がる敵の排除を重ねていくが、その裏でココのある「計画」が浮かびあがってくる。
最終的に明かされた「計画」は、ヨナの価値観を激しく揺さぶる。
「計画」について明かされた際はココに銃を向けるほど拒絶を示し、そのまま脱走に近い状態で隊を離脱。
その後2年の間キャスパーのもとに身を寄せる。
武器を憎むヨナが、武器商人を楽しむキャスパーの仕事を受け入れられるはずもなく、ストレスは限界に達しつつあった。
そんな時に彼は聖杯戦争に召喚される。
ヨナが持っている武装は、そのキャスパー部隊の標準装備。

【方針】
戦って勝ち残る。聖杯の奇跡が望むものでなかった場合は……