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むかしむかし、おとことおんながいました。


おとこのからだは、かいぶつのようにみにくかったのでした。


おんなのかみはながれるようにうつくしいくろいかみでした。


◆◇◆◇ ◆◇◆◇


頬を掠める弾丸の感覚に、千反田えるの心は恐怖で張り裂けそうになる。
いつものように休日を利用して図書館で勉強していたら、突然見知らぬ男女が押し入り、襲い掛かってきたのだ。

「アーチャー、必ず仕留めなさい!」

女の怒声が静寂な建物内に響き渡る。アーチャーと呼ばれた男の持つものは、自分の知る限り銃と呼ばれるものだったはずだ。
やがて怒声よりも大きな銃声が二つ続けて鳴り、えるの前にあった本棚が倒れこむ。退路が塞がれてしまった。
ひっ、と恐怖が悲鳴という形で自分の口から漏れる。走り疲れてもうまともな言葉が出せなくなっていたらしい。
長い黒髪を揺らしながらえるは跪き、目を閉じる。その姿は、さながら神に祈る信者のようであった。

(私はここまでみたいです、ごめんなさい……■■さん――――折木、さん!)

思い出した名前は、大切な文芸部の友人のもの。
今まで忘れていた名前が、腕に現れた令呪の輝きと共に蘇った。

「お前、マスターだったのか――――がっ」

驚愕に歪んだアーチャーの首が、その表情のまま宙に舞う。
崩れ落ちる男の前には、二振りの刃を構える緑色の異形が、えるを守るように立っていた。

「……ぁ、ぁり……」
「大丈夫、話さなくてもいいよ。」

掠れる喉で述べようとした礼を、異形は片手で制止する。

「君は……僕が守る。誰にも、やらせはしない……ッ!」


◆◇◆◇ ◆◇◆◇


むかしむかし、おとことおんながいました。


おとこのからだは、かいぶつのようにみにくくかったのでした。


おんなのかみはながれるようにうつくしいくろいかみでした。


しかしおとこはおんなにこうかたるのでした。


「ぼくはにんげんだったころのこころをもっている」のだと。


◆◇◆◇ ◆◇◆◇


「ハローっ☆ えるちゃん、落ち着いた?」
「はい……あのっ、本当にありがとうございました!」

がばりと音を立てるくらいに腰を曲げ、えるは彼にお礼を述べた。
襲撃者は、アサシンと名乗るこの男が瞬く間に倒してしまった。人の首が刎ねられた時は驚いたが、その身体が黒い靄に包まれて消滅してしまったことにはさらに驚いた。
アサシンはえるにこの世界……月の聖杯戦争についての説明をした。
にわかに信じられなかったが、ここは電子の中で、今のえるはデータだけの存在だというのだ。
さっきまでの自分なら信じられなかったろうが、現に偽りの記憶を植えつけられて、目の前でサーヴァント同士の戦いを見せられてしまっては信じざるをえない。
……それに。

「えるちゃん、えっと……なんだかすっごく目がキラキラしてるよ?
 そんな目で見つめられると、僕でも照れちゃうなあ。」
「えっ!? あっ、ごめんなさい、私つい!」

いつの間にか、二人の距離は少し近づくだけでくっ付きそうなまでになっていた。
あわてて離れたえるに、アサシンは帽子の位置を直しながら再び話しかける。

「えるちゃんってさ、不思議だよね。」
「そうですか?」
「さっきの僕の姿、みたよね?」

えるの脳裏に、先ほどまでのアサシンの姿が浮かぶ。
アサシンは、あれはファントムという戦うための姿で、本当の自分の姿ではないといった。
だがむしろ、それを語るアサシンの寂しそうな顔の方が強く記憶に残っていた。

「その、怖くなかったの?」
「うーん、でも、アサシンさんは私を助けてくれましたから!」
「そう、うれしいなあ……それにしても、」

アサシンは、えるの長い黒髪を手に取った。
さらさらと手から零れ落ちる黒は、彼女が着ている白いワンピースによく映えている。

「きれいな髪だなあ。僕も長いこと美容師やっていたけど、こんなに綺麗な髪は見たことがないよ。」
「えっと、ありがとうございます。」

普段なら男性に髪を触られるという事自体えるには縁遠いものだったので、本当ならもっと取り乱してもいいのだが、幸いにして彼女の意識は既に別の方に向いていた。
そわそわと辺りの本を見回し、今にも手当たり次第に物色してしまいそうな雰囲気を纏い、その様はまるで餌を前にした犬のようである。

「えるちゃん、どうかした?」
「えっと……ここって図書館じゃないですか。だったらその、聖杯戦争というもののことが書いてある本もこの中にあるのではと思いまして……」
「聖杯戦争のこと、気になるの?」
「はい、とても!」

えるの目の輝きが、一層強くなった。

「私は聖杯というものにかける願いはありません……ですが、聖杯と言うものに大いに興味はあります。
 だって何でもお願いが叶ってしまうんですよ!? そんなものがどうしてあるのか、だれが作ったのか、どうやって見付かったのか。
 考えたら考えるほど分からないことだらけで、とっても胸がワクワクするんです。何ていうか……私、気になります!!」
「えるちゃん、近い近い!!」
「あっ、すいません!」

またいつの間にか距離を詰めていたえるに、アサシンは笑いかけた。

「じゃあ、えるちゃんはここで調べ物をしているといいよ。僕は外で見張ってるからさ。」
「えっ、いいんですか!?」
「もちろん、僕は君のサーヴァントだからね。」
「でもまたどなたかが襲ってきたら……」
「大丈夫だよ。みただろう、僕強いんだ。」
「そうではなくて……」

相手の方が、と言おうとした唇はアサシンの人差し指で止められる。

「心配しないで、襲ってくるのはデータなんだ。本当に生きているのはえるちゃんと僕だけだよ。」
「……本当、ですか?」
「もちろん。僕を信じて、ね?」

言うが早いか、アサシンは駆け出してしまう。
かと思えば扉からひょっこり顔を出して、無邪気に付け加えた。

「そうそうえるちゃん、僕のことはアサシンじゃなくて――――ソラって、呼んでよ☆」


◆◇◆◇ ◆◇◆◇

むかしむかし、おとことおんながいました。


おとこのからだは、かいぶつのようにみにくかったのでした。


おんなのかみはながれるようにうつくしいくろいかみでした。


しかしおとこはおんなにこうかたるのでした。


「ぼくはにんげんだったころのこころをもっている」のだと。


しかしおんなはおとこにころされてしまいました


ころされてはじめておんなはしるのでした。



◆◇◆◇ ◆◇◆◇


図書館の外に出て、アサシン――――ソラの顔は愉悦に歪んだ。

「きれいな髪だったなあ……本当、嫌になるくらい。」

震える手を無理やり押さえつけて、今にもえるのもとに戻って切り刻みたいという衝動を飲み込む。
せっかく、せっかくやり直す機会が与えられたのだ。今度こそ失敗するわけには行かないのだ。

「そう、僕は今度こそ人間になるんだ。そうしたら――――」

彼は愛用の鋏を月光に翳し、

――――そうしたら、えるちゃん。
――――君は、きっと僕が殺してあげるからね。

と、心の中で囁いた。


◆◇◆◇ ◆◇◆◇


むかしむかし、おとことおんながいました。


おとこのからだは、かいぶつのようにみにくかったのでした。


おんなのかみはながれるようにうつくしいくろいかみでした。


しかしおとこはおんなにこうかたるのでした。


「ぼくはにんげんだったころのこころをもっている」のだと。


しかしおんなはおとこにころされてしまいました


ころされてはじめておんなはしるのでした。





おとこはにんげんのこころをもったままかいぶつになったのではなく


さいしょから、かいぶつのこころしかもっていなかったのだと。




【CLASS】アサシン
【マスター】千反田える
【真名】ソラ(滝川空→グレムリン)@仮面ライダーウィザード
【性別】男性
【属性】混沌・悪
【ステータス】筋力D- 耐久C 敏捷A++ 魔力B 幸運D 宝具A


【クラススキル】
気配遮断:B
サーヴァントとしての気配を断つ。
このアサシンの場合、気配を断つことよりも一瞬で間合いを詰めたり離したりすることに特化しており、
隠密行動のランクは落ちるが奇襲・離脱に関してはEXランクに相当する。



【保有スキル】
精神汚染:D
意思の疎通は可能だが常人には理解し得ない価値観をもつ。
多少の精神攻撃ならキャンセルできる。
特定の条件を持つ女性にのみ殺人衝動を抑えられないという故事から。


単独行動:B
マスターからの魔力供給を断ってもしばらくは自立できる能力。ランクBならば、マスターを失っても二日間現界可能。
生前人間からも同族からも疎まれ単独で暗躍していたという故事から。


仕切り直し:C
戦闘から離脱する能力。見切りが早く、戦闘中でも即座に離脱行動に移ることが可能。
何度も指輪の魔法使いと対峙しながら、賢者の石を手に入れるその時まで逃げ延びたという故事から。


瞬間移動:A++
壁抜け、完全な死角への移動、瞬間的な回避などあらゆる場面で発動できる。
これを用いて相手を翻弄し消耗したところを仕留める戦法を得意とする。
本聖杯戦争においては『自身が把握している空間』内のみでの移動が可能となっている。
例えば部屋で戦闘になった場合、部屋全体を把握していれば見えていない背後への移動も可能であるが
把握していない部屋の外や隣の部屋への移動は封じられるということである。

しかしもしもアサシンが一つの建物の構造を全て把握した状態で戦闘になれば、その中においてのみ彼は自由自在に動き回ることが出来る。


【宝具】

『迫りくる絶望の化身』(ファントム)
ランク:A 種別:対人宝具 レンジ:- 最大補足:一人
ファントムであるグレムリン特有の能力が宝具として顕現したもの。
魔力の素質のある人間(ゲートと呼ばれる)の生きる希望を失わせることで絶望させた場合に限り、対象をファントムに変えることが出来る。
ファントム化には想像を絶する苦痛と絶望が伴い、人間としての人格は消失しファントムとして生まれ変わる。
ファントム化が始まってしまったら救う手立ては二つしかない。
自力でファントムを押さえ込み魔法使いの資格を勝ち取るか、魔法使いが精神世界に入り込みファントムを直接退治するのみである。
但し後者の場合ファントムが死ぬということはすなわち対象者の魔力を殺すということを意味し、聖杯戦争においてそれが何を指すかは言うまでも無い。
特定の形を持たず条件さえ揃えば勝手に発動する自動型の宝具であるが、魔力がCランク以上のサーヴァントにしか発動しない(マスターは魔力量による)



『賢者の石』
ランク:A++ 種別:対人宝具 レンジ:- 最大補足:一人
本編終盤手に入れた、奇跡を起こすといわれる魔宝石。
白い魔法使いが娘を蘇らせるべく用意したものだが操真晴人、仁藤功介らの妨害に遭い儀式は失敗。
その混乱に乗じ手に入れたのがこの賢者の石である。グレムリンはこの石を持って人間になろうと目論んでいたが魔力が足りず、逆にファントム化を加速させることとなった。

……という記録から生み出された贋物であり、偽・賢者の石とも呼ぶべき代物。
グレムリンの体内に存在しており、発動することでグレムリン(進化態)へと変貌する。すべての出力が桁違いに上がるがその分魔力消費も膨大なことになるため多用は出来ない。
また他者から魔力を吸い上げ自身の力とすることが出来るが、贋作のためオリジナルと違いいくら魔力を注ごうとその身が人間になることは決してない。
ちなみにオリジナルの賢者の石は、彼を打ち倒した指輪の魔法使いが誰にも奪われることの無いどこかへ収めたという。


【weapon】
ラプチャー
  • 鎌のような一対の剣。組み合わせて鋏のようにも使える他、投擲武器にもなる。


ハーメルケイン
  • グレムリン(進化態)の使用武器。フルートと剣を組み合わせたような形状で、元は白い魔法使いのもの。


ハサミ
  • 美容師時代から愛用しているもの。


【人物背景】
人の絶望から生まれた魔力の怪物、ファントム。その中でもかなりの異端児であり、本来失われるはずの人間の自我を残しているという。
同じファントムを元となったゲートの名前で呼び、魔法使いに魔宝石を届けるなど一人同族と離れ謎の暗躍をしていた。
その理由は、無理やりファントムにされた身体を忌み嫌っているが故の『人間になりたい』という願いからだった。
人の心を宿したファントムということもあって一時は人とファントムとの架け橋になれるのではと期待もされたが
実はグレムリンの元となった人間・滝川空は、かつて自分を捨てた『白い服を着た長い黒髪の女性』を見かけてしまうと殺人衝動を抑えきれなくなり
働く美容室を転々としながら殺害を繰り返し、判明しているだけでも三十人以上を手にかけた本物のサイコキラーであった。
人間からもファントムからも受け入れられなかったグレムリンは独自の行動を続け、ついに賢者の石を使えば人間になれるという所まで突き止めた。
白い魔法使いとその娘を殺し賢者の石を手に入れたグレムリンは足りない魔力を補うべく無差別に人を襲い始めるが、指輪の魔法使い=ウィザードによりその野望は食い止められ
最後は人間への渇望を抑えられないまま無念のうちに消滅した。

おどけた調子で馴れ馴れしく接してくるがその実頭が切れ、内心でファントムに強い嫌悪感を抱いている。
グレムリンとファントムの名で呼ばれることを嫌い、ソラと人間だった頃の名前で呼ぶよう相手に求めている。
しかし今回はファントムとしての召喚のため、滝川空ではなくグレムリンが真名としてムーンセルに登録されている。


【サーヴァントとしての願い】
人間になる。
願いが叶った暁には千反田えるを自らの手で殺害する


【基本戦術、方針、運用法】
えるを極力危険の及ばないよう図書館に閉じ込め、自身が積極的に動くことで勝利を目指す異色のアサシン。
可能ならばファントムを生み出して使役するのも悪くない。
戦闘においてはせいぜい中堅に手が届くかといったところであるが、チート染みた瞬間移動と進化態を駆使すれば格上相手でも十分立ち回れる?


【マスター】千反田える@氷菓(古典部シリーズ)


【参加方法】家にあった何か(不明)が木片だった


【マスターとしての願い】なし。聖杯戦争に関することは自分で集める。


【weapon】
なし。普通の女子高生でしかない。


【能力・技能】
成績優秀品行方正料理上手で五感、特に嗅覚に優れている。ただし鈍感な面も。


【人物背景】
古典部シリーズヒロイン。「私、気になります!」でお馴染み。
絵に描いたようなお嬢様で誰にでも物腰柔らかく接するが一度知識欲、好奇心といった彼女の興味を引くものがあれば梃子でも動かず全てを探ろうと奔走する。
ただし踏み込まれたくない一線は弁えているようで節度を保った距離の詰め方をする。
その一方で恋愛方面には疎く無自覚だがパーソナルスペースが狭いため奉太郎(古典部シリーズ主役)によく男女としてはいささか不味い距離の詰め方をする。
長い黒髪が特徴的。今回は私服での召喚のため白のワンピースと桃色のカーディガン着用(アニメ三話参照)。


【方針】
図書館で知識を集める。外のことはとりあえずアサシンに一任。
ただし、襲ってくるものはすべてNPCだと教えられています。