――汝、自らを以って最強を証明せよ


   *    *    *


――負ける要素はなかった。

自身はアトラス院最後にして最高傑作である錬金術士。
サーヴァントは最強の一角である呂布奉先。
そしてバーサーカー化により一層のステータスアップが図られている。

だが膝を付いているのは私のバーサーカーだった。
そして目の前にいるのは"あの人"とそのサーヴァントだった。
そう、私はあの人達に負けたのだ。

でも、何故だろう。
こちらに勝ったのに笑顔を浮かべていない。
かと言って私のように何も感じていないわけではない。
むしろ辛そうな、今にも泣きそうな顔をしている。

何故だろう、という疑問符が浮かぶがそれを遮るようにあの人達との間に光の壁が走る。

「おしまい、ですね」

口をついて出たのはそれだけ。
消えていく手足。剥がれていくテクスチャ。
0と1の海に、すべての意識が消えていく。
そこで、終わるはずだった。


――《GOFER》


 *   *   *


「ようこそ、ラニ=Ⅷ。あなたの知らない――方舟の聖杯戦争へ」


 *   *   *


そして、ラニ=Ⅷはここにいる。
ここ、アークセルにおけるもう一つの聖杯戦争。
ありえるはずのなかった敗者復活戦の権利を手に入れた。
だとすれば彼女のやることは一つしかない。

銀髪のシスターは言っていた。

『ハッキングは表向き禁止されてはいますしやり過ぎるとペナルティを課しますが、ね。
 どこまで方舟やムーンセルが許可するかは私の知った限りではありませんし』

ハッキングで自身で英霊やクラスを選択するぐらいは許容範囲内であろう。

ラニが選ぶのは以前の聖杯戦争でサーヴァントであった呂布奉先。
しかし彼には『反骨の相』というスキルがある。
バーサーカー以外では操りにくいという特殊なスキル。
だがバーサーカーでは負けてしまった。
ならば、別のクラスで呼び出す他ない。

そして、テクスチャじみた風景が割れ、そこから何かが現れる。
私が引き当てたのは呂布奉先。それだけは間違いない。
だが、そこにいたのはかつて行動を共にした見上げるほどの巨漢の姿ではなかった。

「……機械、人形?」

身の丈は自分より少し大きい程度。
金と黒の鎧に身を包んだ三頭身の機械人形。
そうとしか表現できない風貌を持っていた。

「――女、俺を呼んだのは貴様か」
「はい、此度の聖杯戦争に貴方を呼び出しました。貴方の、真名は――」
「我が名は呂布、呂布奉先。ライダーのクラスとやらで現界した」

感情の起伏が少ないラニの顔に驚きの色が浮かぶ。
だが英霊というものは幻想によって構築された存在だ。
恐らくは我々と別の世界の呂布奉先――その一つの可能性なのだろう。
その証拠にバイザー越しに見える獰猛な瞳が自分の知っているサーヴァントと源を同じくするものだと直感した。

「貴様が俺のマスターとやらか。だが――」

その手に出現した巨大な三叉戟がラニの喉元につきつけられる。

「戦いの邪魔をすれば貴様といえど、命はないものと思え」

その手が数ミリでも動けば細い首は断たれるだろう。
だが命の危機にあるというのにラニの表情はぴくりとも動かない。

「……人形風情か」

ライダーはつまらなそうに矛を収め、マスターに背を向ける。
そしてそのまま重量感のある足音を立てながら玄関へと向かっていく。

「――どこへ?」
「決まっている――俺が赴くのは唯一つ……戦場よ!」

そのまま蹴破るようにして、ドアを開く。
彼の目前に広がるのはアークセル内部に再現された架空の街。
彼の見たことのない石造りの塔の群れ、
緑色の葉をつけた木々、
バランスの悪い異様な建物の数々――その中に"気配"を感じる。

「フフフ……感じるぞ、強者の臭いを!」

街に充満する強力なサーヴァントの気配。
己に拮抗する、あるいは凌駕するような強大な気配の数々。
それらをライダーの硬質の肌は痛いほどに感じ取っていた。
そしてそれに呼応するような自身の血潮の熱も。
これが何度目の生だったとしても、たとえ百万回生まれ変わろうともそのあり方が変わることはないだろう。

「滾る! 滾るぞ我が魂が!
 魂ィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィ!!!」



「――なるほど、一筋縄ではいかないサーヴァント、ということですか」

猛る自分のサーヴァントを見ながらラニは呟く。
アトラス院最後の生き残り、シリアル・エルトナムによって作成された最高傑作。
彼女のやることはただひとつ。
サーヴァントがなんであれ、場所がどうであれ、師から命じられた聖杯戦争の勝利を目指すだけ。

『人形にすぎない自身を大切にしてくれる人を探しなさい』

師の残したもう一つの願いが脳裏をよぎる。
その直後によぎったのは"あの人"の顔。
だがそれが何を意味するのか……ラニⅧには理解できない。
今は、まだ。


【クラス】
 ライダー
【真名】
 呂布トールギス@SDガンダム三国志(アニメ版)
【パラメーター】
筋力A 耐久A 敏捷C 魔力D 幸運E 宝具A
【属性】
混沌・悪
【クラススキル】
  • 騎乗:A
 乗り物を乗りこなす能力。「乗り物」という概念に対して発揮されるスキルであるため、生物・非生物を問わない。

  • 対魔力:D
 一工程(シングルアクション)によるものを無効化する。魔力避けのアミュレット程度の対魔力。

【保有スキル】
  • 勇猛:B
 威圧、混乱、幻惑といった精神干渉を無効化する。また、格闘ダメージを向上させる。

  • 無窮の武練:A
 ひとつの時代で無双を誇るまでに到達した武芸の手練。
 心技体の完全な合一により、いかなる精神的制約の影響下にあっても十全の戦闘能力を発揮できる。

  • 反骨の相:B
 一つの場所に留まらず、また、一つの主君を抱かぬ気性。
 自らは王の器ではなく、また、自らの王を見つける事ができない流浪の星。
 同ランクまでのカリスマを無効化する。

  • 神性:D
 その身を犠牲にして邪神を封じ込めた、G記に記されなかった神性"武義"の魂を継ぐもの。
 本人にその自覚が無いためランクダウンしている。

【宝具】
  • 旋風爆裂衝
 ランク:C 種別:対人宝具 レンジ:1~10 最大補足:10人
 呂布トールギスの代名詞的な技が宝具と化したもの。

  • 暴風激烈斬
 ランク:B 種別:対軍宝具 レンジ:1~10 最大補足:10人
 破塵戟の回転によって竜巻を呼び、それに敵を巻き込んでズタズタに切り裂く。
 孫策サイサリスに大怪我を追わせた逸話の顕現。

  • 赤兎馬
 ランク:C 種別:対人宝具 レンジ:- 最大補足:不明
 呂布トールギスの愛馬。
 戦輪形態なるバイク形態への変形機構を持つ。

  • 天玉鎧・真武
 ランク:A++ 種別:対界宝具 レンジ: 最大補足:-
 三璃紗(ミリシャ)において、"天をも動かす力"とも呼ばれる黄金の鎧。
 "玉璽"に認められたものだけが召喚可能な天玉鎧と呼ばれる神造兵装。
 だが、現在の呂布トールギスでは召喚することは不可能である。

【weapon】
  • 破塵戟
 呂布の持つ巨大な三叉戟。

【人物背景】
一騎当千の武勇を誇る武人であり、三璃紗最強の侠(おとこ)。
強者との戦いを求め、そのためならばどの軍にも所属する。
自らの魂が滾る戦いのみを求めるため、戦いを汚すものには自軍の大将といえど容赦しない。
……ある世界で観測された"呂布奉先"という英雄の一つの可能性。

【サーヴァントとしての願い】
魂がたぎる戦いを望む。

【基本戦術、方針、運用法】
聖杯そのものより戦いを求めるので運用には注意が必要。
戦闘能力に限って言えば優れている方だが"血がたぎる戦い"であれば、一体多数であれ突撃する。
マスターの言うことも基本聞かないので、運を天に任せよう。


【マスター】
ラニ=Ⅷ@Fate/EXTRA

【参加方法】
ムーンセルが観測した"ゴフェルの木片"に触れた。

【マスターとしての願い】
勝利し、自分の有用性を示す

【weapon】
とくになし。

【能力・技能】
自身のハッキング能力。
また錬金術および占星術などの魔術的知識。


【人物背景】
エジプトの錬金術研究機関「アトラス院」最後の錬金術師シアリム・エルトナムによって造られたホムンクルス。
褐色肌の眼鏡っ娘であり、自らも錬金術の使い手であるほか、占星術も扱う。
感情の起伏に乏しく、人間味をほとんど感じられない。
製作者である錬金術師を師と呼び、自らを師の命令を遂行するための人形であると認識している。
聖杯戦争に参加しているのも「師の命令だから」という以上の理由はなく、聖杯にかけるべき願いも持ち合わせてはいない。
なお続編のCCCにおいては管理願望・露出癖・最強厨といったダメ人間ぶりが発揮されることとなった。

【方針】
優勝する。
ただ、あの悲しそうなあの人の顔が気になる。