「聖杯戦争……」

黒羽寧子は魔法使いだ。
研究所と呼ばれる場所で身体を改造され、異能を持ってしまった少女の一人。
その対価として、彼女は鎮死剤を服用しなければ生きていけず。
更に研究所を抜け、自由の身となった今も研究所からの追っ手に命を狙われる日々を送る。

「聖杯を勝ち取れば、どんな願いも叶う?」
「ああ」

偽りの生活から予選を勝ち抜き、寧子は天文学部の部室でサーヴァントの召喚に成功していた。
召喚に応じたのはアサシン、暗殺を得意とするサーヴァント。
比較的魔力の消費は低く、Bクラスの寧子でもやりようによっては優勝も夢ではない。

「聖杯があれば」

死の未来しかないと思っていた。
けれど、ある日出会った少年のお陰で生き長らえ。
本来経験することのなかった人並みの幸せな日々を送れた。
出来るならば、あの日々がずっと続けばいい。
いや、聖杯があればあの日々を終わらせなくて済む。

「お前が望むのなら、俺は聖杯の為に戦う」

選択を委ねられていた。
この黒の暗殺者は、マスターの方針に全て付き従うのだろう。
主と認められている分、その選択には責任が宿る。
悩みを吹っ切るように寧子は一度息を吸い込む。

「やっぱり、誰かを殺して得る願いなんて私にはない」

叶えたい願いはある。それでも寧子には、誰かを犠牲にしてまで生き延びようとする気は無かった。
ここに来る前も、ここに来て経験した偽りの生活も楽しかった。
昼は学校で勉学に励みながら、クラスメイト達と青春を送る。
夜はこの天文学部の部室に仲間達と集まり、星を見る。
こんな人並みで平凡で幸せな、望んだ日常が欲しくないなんて嘘だ。
けれども、寧子は自分に嘘を吐く。
誰も殺したくない。自分の願いの為に誰かの血を流さないように。

「アサシン、私は聖杯の為に戦わない」
「お前には時間がないと言っていたな。……いいのか?」

寧子の持つ鎮死剤は残り少ない。
その命は一週間もしない内に尽きてしまう。
だが、まだ命は続いている。死ぬ前に延命を聖杯に託すという選択も出来る。

「だから、私が死ぬ前に死んでしまいそうな人を、望まない戦いに巻き込まれてしまった人を助けたい」
「……そうか」

死を承知の上で誰かを助ける。寧子の意思は揺るがない。
アサシンはそれ以上は何も聞かなかった。
ただ、従者として主に従う。それだけのことだ。

「アサシン、あなたに願いはないの?」

アサシンの願い。
アサシンの生涯は人殺しを繰り返す、血塗られたものだった。
理由はあれど、彼は何度も戦い続け殺し続けた。
それでも、アサシンは選んだ道に、その選択に後悔はない。
ただその一生の内、アサシンが住んでいた街がある。
ほどほどにに余所余所しく、ほどほどに温かい。自分がこの場所に居られればと思っていた。
それが、アサシンが意図せず抱いた願い。寧子と同じく平穏で平和な日常だった。
その願いが、寧子の望む日常と重なり、アサシンは召喚に応じてしまったのかもしれない。

「俺に願いなんてない」

だが、アサシンはその願いを叶えない。
自身が選んだ選択、それを否定することだけはしない。

「ただ……」

一つだけ。
たった一つだけアサシンは叶えたいものがある。

「もう一度、本物の星空が見たい」

もう二度と見れないと思っていた本物の星空。
生前は偽りの空に隠されてしまったそれをアサシンはもう一度見たい。
聖杯に託すまでもない。上を見上げれば叶う。それだけの願い。

「あなたも星が好きなのね。……村上くんみたい」

恐らく、もう二度と会えないだろう思い人の姿が脳裏を掠める。
気付けば、目頭が熱くなり頬を涙が伝っていた。

「ごめんなさい、アサシン。大丈夫だから」

やっぱり、死にたくない。
これが本心だ。
それを隠すように無理やり涙を腕で拭う、

「星が見たいなら、天文学部の設備を使えば良いわ。
 私は良く分からないけど」

そのまま顔を逸らし、アサシンに設備の場所を教える。
アサシンは寧子が指差す場所へと向かう。一度も寧子を見ずに。
ただ、この場に広がる星空もまた偽りと知りながら。


【CLASS】
アサシン
【真名】
黒(ヘイ)@DARKER THAN BLACK -黒の契約者-
【パラメーター】
筋力C 耐久E 敏捷B 魔力E 幸運A 宝具C
【属性】
 秩序・悪 
【クラススキル】
気配遮断:C
自身の気配を断つ。隠密行動に適している。
完全に気配を断てば発見する事は難しい。

【保有スキル】
生存:A
自身の幸運もさることながら、戦場にて生還する事に長けている。

超感覚:B
相手の仕草、目の動き、重心の位置、光・影・音。
感覚を研ぎ澄まし、あらゆる情報から動きを先読みし行動できる。
生前のアサシンが戦場で得たスキル。

演技:C
NPCとして自身の正体を隠せる。

【宝具】

『白(パイ)』
ランク:C 種別:対人宝具 レンジ:1~99 最大補足:99
アサシンの中で眠る妹。
契約者と呼ばれる能力者である。
彼女がアサシンの中に居るお陰で、本来契約者に必要な対価を払わずアサシンは能力を使用できる。
能力は電子を操る能力。アサシンが主に使用するのは、その応用の電流を操る能力だが、使い方によっては物質を自由に変換できる。
しかし、その為にはかなりの集中が必要で実戦向きではない。

【weapon】
『ナイフ』『ワイヤー』『黒のコート』『仮面』
黒のコートはアサシンが着た時のみ防弾機能を発揮する。
仮面は良く割れるが、銃弾一発を割れながら防ぐ程度には硬い。

【人物背景】
「BK201」またの名を「黒の死神」と呼ばれる凄腕の契約者。
妹を探すため組織に所属し任務をこなす内、契約者を消し去ろうという組織の企み、それに対抗する者達との戦いに巻き込まれていく。
最後は組織を抜け、一人の少女と共に追われる身となる。

【サーヴァントとしての願い】
聖杯に託す願いはない。

【基本戦術、方針、運用法】
生き残るという事に長けており、強いのではなく戦い方が上手い。
アサシンというだけあり、マスター狙いに特化すればかなりの活躍が見込める。
しかし、マスターの方針が人を助けるという物なので正面からの戦闘を強いられてしまう事も多くなってしまう。
その為、生存と超感覚のスキルを最大限使って行き、キリの良い撤退が求められる。

【マスター】
黒羽寧子@極黒のブリュンヒルデ
【参加方法】
木片を意図せず入手してしまった。
【マスターとしての願い】
人を殺めて叶えるつもりはない。
【weapon】
ネコサンダーのマスク

【能力・技能】
自らの周辺に力を伝えて大きな物体をも一瞬で破壊する、「破撃」の魔法を使う。
ただし、細かい調節はできず小さなものには向かない。
基本的に生き物には通じないが、腕相撲など人間に直接触れた場合には自らの腕力を一時的に強化することができる。
応用もそこそこ効き、くにある物体を操作して飛ばすことも可能。
だが、能力の使用の度に記憶がランダムに消えるというデメリットがある。
実は元Sクラスであり、最強の「破撃」魔法を持っているが記憶と共に失っている。

【人物背景】
極黒のブリュンヒルデのメインヒロイン。良太のクラスに転校してきた美少女。
身体を改造された「魔法使い」であり、実験台として10年間研究所にいたが移送中に脱走し、捕まると殺されるという状況に追い込まれている。
後に出会う村上良太に救われ、それ以降村上に好意を抱く。
歌が好きなのか、よく変な歌を歌っては村上に聞かれる。

【方針】
困っている人を助ける。