遊佐こずえ&ライダー ◆5FR2vTtitI



彼女はアイドルなので、ロケくらいはする。
それがいけなかった。


 ◇ ◇ ◇


NPC達が闊歩する街の中、彼女は記憶を取り戻した。
彼女の名は遊佐こずえ。齢11歳にして名の知れたアイドルとなった少女である。
そんな彼女が聖杯戦争のまっただ中にいるのは、一体どういう風の吹き回しなのか。
答えは単純。こずえはロケ地で見つけた不思議な破片を拾ってしまったため、この場に召喚されたのだ。
つまり、狙って参加したわけではなかった。彼女に戦う気は無かったのだ。

「ぷろでゅーさー……どこにも……いないー?」

現在、彼女はプロデューサーを探し、名も知らぬ自然公園へと足を運んでいた。
プロデューサーとは、こずえのマネージャー的立場でもある大切な人だ。
こずえを見つけ出してくれた、凄い人なのである。

「ことりさんにきいたらー……わかるー?」

近くを飛んでいた小鳥を見つけ、緩慢な動作で腕を上げる。
どうやらこずえ的には手に止まって欲しいらしい。
するとその思いに答えるように、複数の小鳥たちがこずえの元へやってきた。
常に眠そうなこずえの瞳が、少し反応を起こす。そして期待と共に腕の角度を維持していると……。

「……あれぇー? どこいくのー」

小鳥たちはこずえを無視し、彼女の背後へと飛び去った。
腕を止まり木にするつもりはないらしい。がっかりだ。
ならばせめて、小鳥たちがどこに向かうのかを目で追おう。
そう考えたこずえは、またもや緩慢な動きで背後へと振り返った。

「……ふわぁ……だぁれぇー?」

するとこずえの視界に、見慣れぬ人物が入る。
彼女の背後に、杖と紫色のマントが印象的な優男が立っていたのだ。
しかもなんとその手には、先程こずえを無視した小鳥達が止まっているではないか。
いや、それだけではない。更に別の小鳥たちが加わっていく。
みんな、彼のことを怖がっていないようだ。

「ライダーだよ。君のサーヴァントだ」
「えぇー……? こずえ……かえりたいだけ……なのにぃー」

不意に、優男が話しかけてきた。どうやら先程のこずえの問いに答えてくれたらしい。
そのことに気付いたこずえは、すぐに自己紹介をした。緩慢だったが。

「やはり戦うつもりはないのか。そんな気はしていたけれど」
「……こずえはねー……ここじゃないところからー……きたんだってぇ」
「僕もだよ。ところで君は、いくつだい?」
「こずえ……11さい……だっけー……?」

そして、質問に答える。

「……なんてことだ。僕の子供達に近いじゃないか」
「えぇー……こどもがいるように……みえないねぇー……」
「参ったな。幼い子が戦いに巻き込まれるのだけは勘弁したかったのだけれど……」

すると何にがっかりしたのか、ライダーは大きくため息をついて肩をすくめた。
手に止まっている小鳥たちは、そんな彼を心配そうに見つめて歌う。
こずえも同じだった。失意にうなだれているらしいライダーを、じっと見つめていた。

「一応だけど尋ねよう。君はこれからどうする?」

すると、ようやく立ち直ったらしいライダーから問われた。

「……ぷろでゅーさーのところ……かえるからー……つれてってー?」

答えるこずえ。
ライダーは「分かった」とゆっくり頷くと、こずえを安心させるためか笑顔を浮かべた。
そして小鳥が止まったままの手を、彼女の小さな肩へと触れさせる。

「……ふわぁ……すごぉーい」

ライダーの手からこずえの肩へと、小鳥たちが場を移す。
警戒心の一切が感じられない。すっかりこずえのことを信頼しているようだ。
思わず「どうしてー……?」と尋ねると、ライダーは「君が優しい子だと教えてあげたからだよ」と答えた。
どうやらライダーも、こずえの事を信用してくれたようだ。

「自己紹介が遅れたね。周りに気配を感じない間に名乗っておこう」
「そうしてー……」
「僕はリュカ。グランバニア王国のリュカだ」
「……らいだーのほうが……よびやすいー……」
「そうだね。実際、そう呼んでくれた方が良い。そして……」

自己紹介をした彼は、指をパチンと鳴らした。
瞬間、彼の背後に馬車が現れる。もちろん、馬付きで。

「これが僕の宝具となった内の一つだよ」
「ふわぁ……ばしゃー……らいだーは……おうじさまぁー?」
「昔はそうだったね。大人になるまで知らなかったけれど。そして今は、王様」
「わかったー……」

小鳥を肩に乗せたまま、こずえが頷く。
するとライダーは満足したのか、彼女を馬車へと誘った。
これがこずえのいた世界ならば誘拐事件と見紛う光景だが、こずえはちっとも気にしない。
それは彼女が〝ライダーは信用に足る人物である〟と本能で判別したからだ。
故にこずえは、躊躇いなく馬車へと足を運ぶ。

「……おや? 大丈夫かい?」
「ふわぁー?」

だが不意に彼女は呼び止められた。見ればライダーが、こずえの膝を注視している。
どうしたのかと視線を向けると、こずえの膝に少し切り傷が出来ていた。
じわりと血が滲んでいる。どうやら自然公園を歩いていたとき、怪我をしてしまったらしい。
大方、木の枝に引っかかれてしまったのだろう。

「じっとしていてね」

それに気付くやいなや、ライダーがしゃがみ込んだ。
そしてこずえの膝に手を当て、小さく「ホイミ」と呟く。
すると彼の手から淡い光が浮かび……切り傷をきれいさっぱり消してしまった。

「ふわぁ……すごーい……へへー……」
「これで大丈夫だよ」
「らいだー……ぷろでゅーさーみたいー……」
「へぇ。そのプロデューサーさんという人も、呪文が使えるのかい?」
「じゅもんー……? それはしらないー……」

ライダーの力に助けられたことで、こずえの気分が高揚する。
まるでプロデューサーが近くにいてくれているかのような安心感を得たからだ。
といっても、一般人には表面上目立った変化はないように見えるだろう。
感情表現が乏しすぎる彼女の気持ちを理解出来るのは、家族とプロデューサーくらいのものなのだから。

「君は、プロデューサーさんが大好きなんだね」

だが、どうやらこのライダーにはお見通しであるらしい。

「らいだーにも……わかるー?」
「伝わるよ。言葉にしなくても、ね」

こずえの気分が、また少し高揚した。



【クラス】
ライダー

【真名】
リュカ

【パラメーター】
筋力C 耐久B 敏捷C 魔力B 幸運E 宝具EX

【属性】
秩序・善

【クラススキル】
対魔力:D
一工程(シングルアクション)による魔術行使を無効化する。
魔力避けのアミュレット程度の対魔力。

騎乗:A+
騎乗の才能。獣であるのならば幻獣・神獣のものまで乗りこなせる。
馬車や空飛ぶ絨毯、意外なものでは樽、更には竜種や空に浮かぶ城すら該当する。

【保有スキル】
動物使役:A
生き物から好かれ、心を通わせる天性の才能。
ライダーに従う動物たちの士気を向上させる。
母から受け継ぎ娘にも継承されたこの力は、魔物にすら効果を発揮する。

魔術:B
特に風と癒やしに関する魔術を得意分野とする。

カリスマ:A+
大軍団を指揮・統率する才能。ここまでくると人望ではなく魔力、呪いの類である。

苦難:A+
人生に思いも寄らぬ壁が立ち塞がる確率や回数、及びその壁がどの程度厳しいものであるかという度合いを示したもの。
目の前で父母を失う、奴隷にされ貴重な青春時代を棒に振る、産まれたばかりの子供と生き別れる、約八年間も石像にされるなどといった苦難が由来。
このランクが高いほど、聖杯戦争中に立ち塞がるであろう苦難も苛烈を極める。ここまでくると魔力、呪いの類である。

【宝具】
「300Gの馬車」
ランク:A 種別:対軍宝具 レンジ:1~99 最大補足:8人
眠らない街オラクルベリーでライダーが購入した馬車。
たった300Gの格安商品であること以外はごく普通の代物だが、これがライダーの時間を再び動かし始めることとなる。
仲間の魔物達や家族を運び、険しいダンジョンなどを乗り越えてきたこの馬車も、ライダーの立派な戦友とも言えよう。
一般人を轢殺出来る程度の攻撃力しかないが、この馬車に乗った者は快適に移動することが出来る。
不自然にも思えるランクの高さは、苦難に満ちたライダーの人生を支えた事によるもの。

「神龍(マスタードラゴン)」
ランク:EX 種別:対界宝具 レンジ:1~99 最大補足:1000人
ライダーが住む世界の神。全てを統べる高潔な竜である。
ライダーとマスタードラゴンが認めた者のみ、その背に乗ることが出来る。
別世界の住人、しかも神そのものであるため、聖杯戦争中は余程のことがない限り呼び出せないと思われる。

「天空城」
ランク:EX 種別:対界宝具 レンジ:1~99 最大補足:1000人
遙か昔より天空に浮かんでいたという城。
水底に沈んでいたが、紆余曲折ありライダーの手によって復活した。攻撃するための宝具ではない。
別世界の城、しかも神が関わる建造物であるため、聖杯戦争中は余程のことがない限り呼び出せないと思われる。

【weapon】
今回は何らかの杖を装備しているようだ。

【人物背景】
出展はドラゴンクエスト5 天空の花嫁。
天空の勇者(実の息子)を伴い、世界を闇に閉ざそうとする大魔王を滅ぼした英雄王。
幼い頃から、常人ではすぐさま挫けるであろう困難に晒されながら生きてきた。
だが上述の通り、愛する妻や子供達、そして仲間となった魔物達と共に、全ての元凶を打ち倒すのだった。
全てが終わった後は、自身が治める国グランバニア王国の民にも愛され、静かに暮らしたと思われる。

メタ的な話では、主人公である彼の名を決めるのはプレイヤー自身である。
多数決というわけではないが、今回は小説版とCDシアター(ドラマCD)版でつけられた「リュカ」という名前を採用した。

【サーヴァントとしての願い】
我が子と同じくらいの歳であろうマスターを死なせないようにする。

【基本戦術、方針、運用法】
スキルや宝具のランク及び内容は目を見張るものがあるが、苦難スキルが彼を追い詰める。
あからさまに苦難が立ち塞がるため、マスターは辛抱強く耐えねばならない。
唯一の救いと言えば、このサーヴァントの性格や倫理が至極まともな聖人君子であることか。
スキルのおかげであの遊佐こずえとも容易く意思疎通が出来るため、チームワークを活かしたい。



【マスター】
遊佐こずえ

【参加方法】
ロケ地で偶然発見した木片に触れてしまう。

【マスターとしての願い】
プロデューサーの元へと帰る。

【weapon】
なし。強いて言うならアイドルとしての威力。

【能力・技能】
芸能。

【人物背景】
出展はアイドルマスター シンデレラガールズ。
高知県出身のゆるふわアイドル。だがゆるふわが過ぎて一見何を考えているのか分からない。
本人も自分のことを積極的に語ろうとせず、さながら意志薄弱な人形か小動物の如しである。
実際、11歳の平均身長と比べるとかなり小さいところも小動物チックに拍車をかけているか。

【方針】
帰る。戦うかどうかは……?