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迷い無き覚悟を貫くことができれば、世界だってきっと変えられる。


戦争の夢を見る。

100年前に端を発した民族対立は、長く続いた王朝を崩壊させて大陸全土に及んだ。
大陸に住まう雑多な民族は、その全てが民族自決の意識を持つに至り、かつての隣人との分裂、そして闘争を決意する。
そして100年の時を経ても、その争いは終わらなかった。
いや、むしろ更に重篤な症状として大陸を包んでいたと言っていい。
滅亡と分裂、そして一種の冷戦状態を経て、更に異常な状態となった民族的感情は、ある一つの切欠によって爆発し、大陸全土を争乱の渦へと巻き込んだのだ。

――その対立する民族意識の中で、ひとつの理想を抱いた少女がいた。

「百年も前の事ってそんなに大事なのかな……生まれた時から、殺し合い、憎み合うことが決められてるなんて……」
「ボクは、それが当たり前の事だとは思えない……そんな世界を……変えたい……ッ!」

普通ならば、それは単なる夢想でしかない。
報われる事のない、実現されることのない絵空事でしかないだろう。
けれど、少女には、理想を達成する為の下地があった。
個人と国家の努力を、同じ方向へと進めることができる立場が。

だから少女は、世界を変える為の戦いを始める。
その戦いで多くの血が流されると知って尚、理想を求めて。


「……また、あの夢か」

そう呟くと、恵は突っ伏していた机から身を起こした。
城鐘恵(しろがねけい)。
月海原学園の大学部に併設された、大学院。そこに通う学生の一人だった。
工学系の科目を専科にしている。
所謂インドア――悪い言い方をすれば、部屋に引き籠りがち――志向で、趣味はゲーム。
特にMMORPG、<エ■■■――

「――ぃつっ……」
頭に鈍い痛みを感じて、恵は眉を顰めた。

(……最近、いつもこうだなぁ)
なにかを忘れている。
そんな気がしてならないのに、それを思い出そうと頭の中を探ると頭痛が邪魔をする。

(でも、なんだろう……なにか違和感がある、よな)
繰り返す日々の内に、違和感は強くなり続けている。

(ここはアキ■の街じゃない)
それは町並みへの違和感であり、

(パソコンだって、随分長い間触ってなかった気がする)
生活への違和感であり、そして――

(……ここには直■も、■カ■キも、■ゃん■班長も、ミノ■も、■ウヤもいない)
――仲間への違和感、だった。

(……仲間? 今、仲間って考えたか、僕は)
仲間。
それは日常生活を送る上では、少なくとも頻繁に使うような言葉ではないだろう。
けれど恵には、その言葉がとても――そう、とても親しみやすい言葉であるように思えてならなかった。

(……そうだ。僕は最近は、仲間って呼べる間柄の皆と……一緒に……)
ズキズキと頭が痛む。
頭の中は暗い雲で覆われ、手繰り寄せようとする記憶は手の中から滑り落ちて行く。

「どうした、城鐘」
――様子を見かねたか、近くにいた院生が自分の名前を呼ぶ。その呼び名にさえ、恵は違和感を覚えた。
確かに、城鐘恵は自分の名前だ。それに違いはない。
けれども、

(……けれども?)
なにがけれども、なのか恵にはわからない。

「すいません。ちょっと気分が悪くて……家で休みます」
それでも、その得体の知れない衝動に突き動かされて。
恵は大学を飛び出していた。

(確かに、僕は。城鐘恵じゃない名前で、呼ばれていた筈なんだ)
その名前がなんだったのか。どうして違う名前で呼ばれていたのか。
今の恵にはわからない。けれど、

(忘れちゃいけないことだったよな)
絶対に忘れてはいけないことを忘れている。
そんな予感は、数日前から恵の頭の中でどんよりと曇った空のように具体性なく漂っていた。

(……数日前から? じゃあ、その前はどうだったんだ?)
もちろん、恵には数日前より以前の記憶が存在しない――なんてことはない。
この街で過ごした記憶は、きちんと頭の中に入っている。
けれども城鐘恵には、それが赤の他人の思い出話を聞かされているような感覚になってしまう。

(そう、ひどく現実味がないんだ……まるで、つい数日前にこの世界が生まれたみたいに)
世界が数日前に、全ての人間が全ての記憶を「覚えさせられて」突然始まったとして――
誰もそれを否定できないし、また肯定できもしない。

(……まるで、チャチなSFみたいだな)
いや、直継ならむしろ「よくあるファンタジー物だ、ありきたり祭りだぜ」とでも――

(……あ、そうだ。直継。直継だ)
自分の数少ない友人。
おぱんつを愛する、気のいい「守護騎士〈ガーディアン〉」。
――彼とは、何処で知り合ったんだっけ?

(おかしい……眩暈が、止まらない)
くらくらと、くるくると。
恵の頭の中を、ノイズと眩暈が回っている。
駆け抜けていく街並みは、もはや違和感だらけで紙芝居のようだ。

(……そう、だ。行かないと)
何処に、という答えもわからない。
ただ、贋物の街の中をひたすらに走った。

走って、走って、走って、走る。
――辿り着いたのは、月海原学園の高等部校舎だった。

息を切らしてやってきた恵を気にもせず、生徒達は横を通り過ぎていく。
恵の方も、生徒達をすり抜け校舎へと駆け込んだ。

(名前……そうだ。僕の、名前)
手がかりのないジグソーパズルみたいにバラバラになった思考が、目的地に近付くにつれて段々と研ぎ澄まされていく。
単語が泡のように頭の中に浮かび上がっては、城鐘恵――いや、〈付与術師〉シロエの脳内ではじけた。

――〈エルダー・テイル〉。
                                ――聖杯戦争。
     ――〈放蕩者の茶会〉(ディボーチェリ・ティーパーティー)。
                          ――ムーンセル。
 ――異世界〈セルデシア〉。
                                        ――サーヴァント。
   ――記録の地平線(ログ・ホライズン)。
                            ――マスターと令呪。



「――そう、だ。僕は――」
MMORPG〈エルダー・テイル〉。
〈エルダー・テイル〉12番目の拡張パック――「ノウアスフィアの開墾」。
それが導入されたその日、ログインしていたプレイヤーの全ては異世界〈セルデシア〉へと転移してしまった。
プレイヤー――〈冒険者〉達を否応なく巻き込んだ〈大災害〉と呼ばれたあの事件で、城鐘恵――〈エルダー・テイル〉の付与術師(エンチャンター)、シロエもまた異世界へと漂流した。

「――そう。僕は〈冒険者〉のシロエだ」
意思の言葉と共に、シロエを取り巻く世界が変化する。
現代に合わせて再構成されていた服は、白いコートを纏った〈付与術師〉の装備へと変わった。
同時にその手に現れた杖を握り締めながら、シロエは回想する。

(……そうだ。今なら思い出せる、なんでこんなことになったのか)



発端は、直継やアカツキに連れ出された狩りでの出来事だった。

(確か、僕が書類仕事であんまりにも部屋に籠ってたから気分転換に連れて行ってくれたんだっけな)
アキバの街に近い、レベルのそこまで高くない狩り場だった。
シロエの役職――アキバの街の治安維持と対外交渉を行う〈円卓会議〉の参謀役――から考えれば街からあまり離れた場所には行けなかったし、軽い気分転換が目的である以上それでよかったのだ。

そのレベルの高くない、言うなれば「わかりきった」狩り場で、その「未知のドロップアイテム」はシロエの目の前に姿を現した。

「ゴフェルの木片」。

インベントリでのアイテム説明に曰く――「願いを叶える」アイテム。
これもアップデートで追加されたアイテムの一つなのか? 見慣れないアイテムにそう考えながら、シロエは懐にそれを仕舞い込んだ。
そしてアキバの街に戻って仕事をこなした後に就寝し――今に至る。


(もう一度考えよう。これは、「ノウアスフィアの開墾」で追加されたアイテムなのか?)
シロエは走りながら、手の中に握っていた木片を見つめる。
過去――〈エルダー・テイル〉がMMORPGだった時代には、こんなアイテムの噂は聞いたことがなかった。
それは〈大災害〉の後も同様だ。
そもそも今の状況は〈エルダー・テイル〉から乖離しすぎている。

これは〈エルダー・テイル〉とも、〈大災害〉とも関係ない、とんでもないイレギュラーなのではないか?
そうも思う。だが――

(心当たりがあるのも、事実なんだよなぁ)
ムーンセル・オートマトン。
月に設えられた、地球、平行世界に至るまでの全てを記録し演算する自動書記装置。
その在り方を、シロエは一度知ったことがある。

〈Mare Tranquillitatis〉――〈静かの海〉。
〈エルダー・テイル〉の14番目のサーバー。
死した〈冒険者〉が、地球での記憶を捧げる場所。

(……あの〈静かの海〉は、ムーンセルの一部だったんじゃないか?)
確証はない。
けれど、関係がないと言い切るには共通点がありすぎる。

「っ、と……」
そんなことを考える内に、シロエは目的地へと到着する。
月海原学園の一階廊下。
突き当たりのなにもない筈の壁には、両開きの扉が出現していた。


本来存在しないはずの扉。
それをシロエは躊躇無く開け放って、中へと入り込んだ。
奥へと続く暗い一本道を、熱に浮かされたような歩調で進む。

(一体、どこまで続いてるんだ)
光も通らない深海を思わせる、続く先も見えない通路。
その中をひたすら進む。
歩いて、歩いて、帰り道すら見えなくなって、更に歩いた。

――そうして辿り着いたのは、人形が無数に打ち棄てられた一室だった。

(……ここだ。僕はきっと、ここを目指して走って来たんだ)
呆けたように、シロエは部屋の入口で立ち尽くす。
そんなシロエの目の前で、不意に人形が立ち上がった。
手に鈍く輝く刃を握り、人形がシロエへとにじり寄る。
あからさまな危機を前にしても、シロエは動かない。
否、動けない。
何故なら、

「サーヴァント、ランサー。契約に従って参上したよ」

新たに部屋の中に現れた、自らの従者に見惚れていたから。

「キミがボクのマスターだね?」

現れた〈サーヴァント〉――ランサーは、言うが早いか自らの得物を薙いだ。

その一撃で、たった一撃で、主に害を与えようとした人形は吹き飛ばされ、崩れ落ちる。

その仕草にすら見惚れてしまって、シロエはただ頷くことしかできない。

その答えに、ランサー――鉄鎚を構えた女性はにこりと微笑んだ。


「最初に言っておくよ、マスター。ボクには願いがある」
呼び出されたサーヴァント――ランサーは、そう言った。

「ボクは、ボク達が打ち建てた国際秩序を……守り続けなきゃならない。
 そう、また大陸に紛争が起きることがあってはならないんだ」
そのためには聖杯が必要なんだ、と彼女は言った。
聖杯。万能の願望機。
――それがあれば、シロエの願いも叶うのかもしれない。

「……僕にも願いはある」

(そうだ。聖杯を使えば、異世界に流された人達みんなを地球へと戻せる)
アップデートの日に突然、異世界へと連れ去られた人々。
聖杯の力ならば、彼等をそっくりそのまま地球へと帰せるかもしれない。
ムーンセルが〈静かの海〉に関係しているかもしれないとなればなおさらだ。

そう、きっとムーンセルに願えば、〈冒険者〉達は異世界〈セルデシア〉から地球へと帰還するだろう。

元々の住人である〈大地人〉を置いて、〈冒険者〉達が好き勝手に変えていった世界を残して。

(でもそれって、酷く無責任……だよな)
そうだ。それだけは忘れてはならない。
いくらゲームに似ていても、異世界は現実なのだ。
〈冒険者〉達以外にも、ちゃんと生きた人間がいて、〈セルデシア〉で生きているのだ。

(……そして、僕達……〈冒険者〉達は、自分たちの都合で〈大地人〉を巻き込みすぎた)
いきなりいなくなれば、〈大地人〉達の運命を狂わせる程度には。
自分達だって困っている、というのはそうだ。
でもだからと言って、自分達が迷惑をかけて――そして、その迷惑へのツケを払わず勝手にいなくなって、更に迷惑をかけていいわけではない。
少なくとも、シロエにはそう思えた。
だから、

「……でも、聖杯でそれを叶えるわけにはいかない」
そう言い切った。

「いや。願いなんてものを、聖杯で叶えようとするのが間違っているんだ」
「――どういうコトだい、マスター」
ランサーの目が、シロエを射竦める。
一度ランサーがその鉄槌を振るえば、シロエは抵抗する暇も無く死ぬだろう。
それはシロエが、一人では何もできない〈付与術師〉だから、というわけではない。
たとえシロエが魔法攻撃職で最大のダメージを叩き出す〈妖術師(ソーサラー)〉でも、
武器攻撃職でもっとも鋭い一撃を放つ〈暗殺者(アサシン)〉でも、
戦士職でもっとも堅い防御を持つ〈守護騎士(ガーディアン)〉でもそうだろう。
それほどまでに、マスターとサーヴァントの差は絶望的だ。

「……ランサーには、すまないと思う。
 でも、僕には『他人を犠牲にして願いを叶える』という聖杯ってカタチが、正しいとはどうしても思えない」

人殺しを一概に否定するわけではない。
命を奪うようなことでなくても、他人を押し退けなければ叶わない願いもあるだろう。
けれど、『最初から殺し合うことでしか、願いを完成させない』というのは、間違っているんじゃないかと思う。

そう。

(奇跡って、そんな格好悪いものじゃないはずだ)

そんな奇跡は、格好が悪い。
綺麗事かもしれない。理想論かもしれない。
でも、

「誰かを犠牲にすることでしか叶わない奇跡なんて、それはもう奇跡じゃない」

それだけは、確実に思うのだ。

「それに。ここにやって来た人たちにだって、思うことはある。
 確かに、聖杯でないと叶わない願いだってあると思う。
 でも、聖杯になんて頼らなくても、達成できた願いだってあるはずなんだ」

それもまた、シロエにとっては真実だった。
人間はそこまで、弱い生き物ではないと思う。
確かに不可能な願いだってあるだろう。けれど、こんなところに来なくとも叶う願いはあったはずなのだ。

聖杯でないと不可能な願いを抱いた者だって同じだ。
聖杯なんてモノがあるから、彼等は願いを抱き、そして戦ってしまう。

だからシロエは、人間を本来「そうではなかった」運命に巻き込む聖杯戦争というカタチも、それの原因であるムーンセルも許せない。

「――キミは、自分が何を言ってるかわかってる? マスター」
対峙するランサーは、シロエから目を離さず言い放つ。

「キミのその考えは、他人の願いを踏み躙ることだ。
 キミがムーンセルを否定し、破壊しようとするならば、ムーンセルに願いをかける全ての人間は敵になるかもしれない。
 彼らの願いも、同時に踏み躙って、犠牲にしていくことになる」

それを許せるのか。
ランサーは、シロエに言外にそう問うた。

「……わからない」
シロエは、ぽつりとそう呟く。

〈エルダー・テイル〉に歪に似た〈セルデシア〉では、〈冒険者〉に死は存在しない。
ゲーム時代のように、大神殿に戻されてリスポーンするだけだ。
死を奪われた牢獄。そう評したのは、昔の仲間だったか。

だが、この聖杯戦争で奪われるのは、紛れも無く生だ。
シロエが戦って勝利すれば、命を奪うことになる。

それが正しいのか。命を奪い、願いを踏み躙ってまでそれを為すべきなのかはわからない。

「……けれど、聖杯戦争というシステムを許すことはできない。
 我侭かもしれない。
 でも、間違った奇跡のために、巻き込まれた人間や、頑張れたはずの人間が殺し合うなんて、――そんなのは、厭だ。
 僕は、そんな奇跡よりも、人間を信じたい」

そう言って、シロエは真っ直ぐにランサーを見た。

数瞬。
張り詰めた空気が流れた後、ランサーは構えた鉄槌を下ろした。

「……キミのその目は、言っても聞かない目だ」
かつて自分がそうだったから、とランサーは言った。
かつて自分が『世界を変えたい』と願った時。
シロエとランサー――キノは、同じ目をしていたから。

だからキノは、シロエに自分を見て、そして自分と同じ理想を抱いてくれた同朋を見た。

「人間を信じたい、か。……そうだね。ボクもそうしよう」


「現状、ボク達の目標の最大の妨げになっているのはルーラー、そして管理者NPCのカレン・オルテンシアだ」
月海原学園からの帰り道。
霊体化したランサーが、シロエに語りかける。

「ムーンセルはルーラーと管理者NPCに聖杯戦争の管理を委託している以上、余程のことがない限りその管理能を使ってプレイヤーを罰することはないだろう。
 もちろん、ルーラーと管理者NPCが倒れればどうなるかはわからないけれど」
「全てのサーヴァントに対する2画の令呪……だっけ」
「そう。ルーラーが命じれば、ボクは容易く自害してしまう。
 対魔力次第では抗せる確率はあるけれど、ボクでは到底無理だろう」
与えられた戦況分析は絶望的。
当然か。管理役が簡単に不正や反逆行為を許すとは思えない。

「……まあ、真っ当に戦闘行為が行われている内はこちらにペナルティを与えに来ることはないだろうね。
 余りにも目に余るようであれば、違うだろうけど」
それもある種の当然ではあった。
公平を期する監督役ならば、重大なルール違反がない限り手を出してくることはない。

「だから問題は、他のマスターとサーヴァントだ。
 もちろん同盟できる相手なら同盟したいけれど、譲れない願いを持った相手だっている」
「……そうだね。
 そういう相手と出会った時、どう対応……いや、戦うか、か」
できるだけ、殺さずに済ませたい。
けれど、シロエが聖杯の破壊を願うならば。命を懸けて願いを叶える相手には、命を以って答えなければならない。

「……鉢合わせの遭遇戦は避けたいね。
 ボクの戦法と噛み合わない。ボクのスキルで拠点を組んで篭もるのも手だけど……」
「それは避けたいかな。
 勝利は目的ではないし、引き篭もっている間にこちらに同調してくれる主従が脱落してしまうような事態は避けたい」
「そうだね。
 とはいえ、休息の為に拠点は一つ作っておきたいかな。
 キャスターのサーヴァントと同盟できるなら、陣地と塹壕を組み合わせてかなり堅い陣地を作れる」
「それを言うなら、偵察を行えるアサシンも欲しいけれどね。
 現状で無い物ねだりをしてもよくはないけれど」
シロエの住居――現状の『拠点』への道を急ぎながら、シロエとランサーは即席の作戦会議を交わす。
ランサーは得手不得手がはっきりしているサーヴァントだ。
その不得手を補える、シロエと同じ目的を持ってくれる相手が、どうしても欲しかった。

(とはいえ、僕達と同じ考えを持ってくれる相手がどこまでいるか……)
できれば殺し合いをしたくない、という者は、幾らか数がいるかもしれない。
ただ、聖杯を破壊する、とまで決意した者は、もしかしたら殆どいないのではないか。
いや、この聖杯戦争に招聘される条件が「願いを持つ事」である以上、全ての相手に拒否されてもおかしくはない。

(でも、やるって決めたからな)

一度決意したならば、それを貫き通す。
それはシロエの性分でもあり、そしてランサーのそれでもある。

だから、彼等は戦う。
世界を変えるために。





【クラス】

ランサー

【真名】

キノ・ポゥ・コルーム

【出典】

きのこたけのこ戦争if

【パラメーター】

筋力C 耐久C 敏捷C 魔力D 幸運B 宝具B

【属性】

秩序・善

【クラススキル】

対魔力:D
 一工程(シングルアクション)による魔術行使を無効化する。
 魔力避けのアミュレット程度の対魔力。

【保有スキル】

迷いなき覚悟:B
 自らの意思で誇りの道を貫き、その理想を実現した者に付与されるスキル。
 ランサーが「混沌」あるいは「悪」の属性を持つ者と戦う際、幸運以外のステータスを1ランク上昇させる。
 更に精神攻撃を受けた際の抵抗判定の成功率を上昇させ、同時に同ランクのカリスマを兼ねる。
近代塹壕戦:B
 ランサーの率いた国が得意とした戦術。
 魔力を消費することで塹壕とそれに伴う土嚢の障害物と魔力を消費することで自動で動作する機関銃を作成できる。
 作成にかかる時間は一瞬だが、連続作成にはクールタイムとして3時間が必要。
 また、機関銃の殺傷力は低く、サーヴァントは元よりマスター相手でも殺すのは難しい。
 その代わり銃弾は足止め・吹き飛ばしの効果を持つ。
 また、クールタイムさえ守れば複数作成して維持することも可能だが、維持にも魔力を消費する為、増やせば増やすほど魔力の負担は大きくなる。
その血の運命:E(B)
 もはや呪いの域に近い、争いの血統。
 「たけのこ」「ドリル」「パイルバンカー」のいずれかの属性を持つ者と戦闘する際、判定に微小の有利を得る。
 本来はBランク相当のスキルだが、彼女が血統による対立を否定したためにランクが著しく低下している。
神殺し:D
 神を名乗る旧世代の管理システムと古代兵器を破壊した故の称号。
 「神」「巨大兵器」「古代兵器」のいずれかの属性を持つ者への攻撃のダメージを有効化する。

【宝具】

『アメイジング・デストラクティブ・インパクト』
ランク:D 種別:対軍宝具 レンジ:1~30 最大補足:100人
 地面を叩き割り、発生する莫大な衝撃波と瓦礫で敵を攻撃する。
 衝撃波と瓦礫には相殺判定があり、飛び道具の類をある程度相殺する。
『騎兵隊登場』
ランク:B 種別:対軍宝具 レンジ:- 最大補足:-人
 ランサーの友邦が危機に陥った際、空挺降下を用いて一軍を率いて救援に現れた逸話からの宝具。
 ランサーが『仲間』や『同盟相手』と認識した相手が窮地に陥った際、その相手がいる場所へと瞬時に移動することができる。
 移動の際はランサーの周囲にいる『仲間』や『同盟相手』と認識した相手を一緒に移動させることが可能。
 また移動の際には、空挺降下のエフェクトが発生する。

【weapon】

「アメイジングトレンチメイス」
インパクト時に火薬のカートリッジが起爆し、瞬間的に衝撃を増大させる機構を持つ最新式ハンマー。
「ヘミバファピストル」
山岳兵に配布される副武装用の拳銃。
41口径アマニタ弾を使用し高火力。騎乗している対象に対して特効が発生する。
「胞子箱」
着弾後に神経系のガスを放出するタイプの手榴弾。

【人物背景】

大陸中央部の山岳地に位置する、ハゥンマー民族代表院の国家代表。
ハゥンマー民族は100年前からドゥリル民族と対立紛争を起こしており、紛争地帯が特別保護区に指定された今でも機会を狙い地力を増やしている。
かつて大陸を統治した旧メイズ公国指導者と百年前の民族運動指導者の直系であり、20歳という若さで国家代表に就任したのもその血統に由来する。
やや根暗で冷めた性格だが責任感は人一倍強く、積極的な戦争はしたくはないと考える一方、
現実的にハゥンマー人のドウリル人に対する嫌悪感情を抑えられないことも良く分かっているため、不本意ながら国民感情を優先し敵対路線を取っていた。
内心では国家による連合組織を作り、安全保障の形態を集団安全保障化する事で戦乱を未然に防ぐ機構の実現を理想としており、周辺諸国の属国化もその一端であった。
最終的にその理想は、古代兵器という共通の敵の出現により実現することになる。

また、何故か男性よりも女性に縁がある。

シロエに召喚された理由は、ひとえにその秩序を願い連盟を打ち建てた姿勢が、混沌としたアキバの街に〈円卓会議〉を作り上げたシロエと似ていたからかもしれない。

【サーヴァントとしての願い】

打ち建てた国際秩序の維持。

【基本方針】

聖杯の破壊を目指す。
できれば同盟相手を探したいが、敵対する相手に容赦するつもりはない。

【戦術】

このランサーの基本戦術はひとつ。
塹壕と機関銃を展開し、塹壕(と土嚢)を盾にして機関銃で牽制と足止め。
そこにランサーが近付き、ハンマーの一撃を加える。
単純な戦術ではあるが、それ故に効果は高い。

苦手な相手は当然この基本戦術が通用しない敵。
飛行し塹壕を無視して突っ込んで来る相手、塹壕や機関銃を苦にしない速度で機動する相手には塹壕戦が機能しない為苦戦を強いられるだろう。

ただし逆に陣地に籠もるタイプの相手に対しては、胞子箱を投げ込んだり『アメイジング・デストラクティブ・インパクト』で陣地ごと砕いたりの対策ができる。

苦手な相手と有利な相手が非常にはっきりしたタイプの為、シロエの目標と合わせても協力する仲間は欲しいところ。

シロエのメイン職である〈付与術師〉は非常にMPの多い職業であるため、普通に戦う限りは魔力供給の心配はない。
ただし、宝具の連発は勿論、塹壕の複数展開や維持を行えばその限りではない。
塹壕が生命線でこそあるが、どう使っていくかは考えるべきだろう。

また、マスターであるシロエは付与術師の中でも「マナコントローラー」と呼ばれるパーティ全員のMPを管理・回復させるビルドに長じている。
これにより、ランサーの魔力が枯渇した際の魔力の急速増加・回復が可能であり、ランサーの継戦能力を向上させられる。
さらに、他のマスターと同盟を組んだ際は魔力の乏しいマスターにシロエの魔力を譲渡することも可能である。
とはいえ、ランサーがその戦力の発揮に魔力を食いやすいサーヴァントであることを考えればあまり過剰な魔力の譲渡は自重した方が無難。



【マスター】
シロエ(城鐘恵)
【出典】
ログ・ホライズン
【参加方法】
狩り場でドロップしたゴフェルの木片を手に入れた。
【マスターとしての願い】
異世界〈セルデシア〉からのプレイヤー全員の脱出?
【weapon】
〈滅びたる翼の白杖〉
所有者の支援魔法の効果範囲を拡大する効果がある長杖。
普段は何の変哲もない古木の杖だが、起動状態では翼型の力場が先端から展開され所有者の支援魔法の効果範囲が拡張される。
〈賢人の外套〉
装備者に、その智慧に応じた守りの加護を与えるとされる幻想級防具。
精神的なバッドステータスへの高い耐性を誇る。
〈月桂の華護り〉
月に咲くという伝説の華を模した幻想級護符。
魂の移ろいを祝福するとされ、死亡からの復活時に失われる経験値を減少させる。
精神属性の攻撃魔法や防御魔法を強化する効果がある。

その他にも〈エルダー・テイル〉時代の装備やアイテムを多数所持しているが、今回の聖杯戦争では所持していない。
【能力・技能】
 MMORPG〈エルダー・テイル〉の魔法攻撃職の一つ、〈付与術師(エンチャンター)〉としての技能を使用できる。
魔法攻撃職の一種でありながら付与術師の攻撃能力は非常に低く、パーティの能力上昇や戦場操作に特化している。
支援や妨害においては随一の能力を持つ職業だが、その単体ではなにもできないという特性と、実力を発揮するには相当の熟練が必要なことから一番の不人気職でもある。

 とはいえシロエの技量は高く、特にレイド(大規模戦闘)にてその能力を発揮する。
戦闘におけるシロエの役目は不世出のマナコントローラー(PT全体のMP管理を行う長期戦・大規模戦闘特化ビルド)であり、PT全体の状態、敵の配置、行動を逐一把握することで適切な指示とMP回復・敵の妨害を行う前線指揮官である。

【人物背景】
 20年続く老舗MMORPG「エルダー・テイル」のプレイヤー。工学系の大学院生。
中学生の頃から8年間プレイしている古参プレイヤーで、俗に言う「廃人」。
周到な計画立てを好む参謀タイプのプレイヤーであり、一度決めたらどんな手でも使う実行力や、自問自答を多用して状況を分析し作戦を練る癖(そのため、周囲にはシロエの思考の過程が読めない)などから、周囲には「腹ぐろ眼鏡」とあだ名されている。
エルダー・テイルに慣れて来た頃の厭な思い出や、人に頼るのが苦手な悪癖などから人付き合いが苦手で、目つきの悪さもあって誤解されやすいのも原因である。
かつて存在した伝説的なプレイヤー集団「放蕩者の茶会(デボーチェリ・ティーパーティー)」の元メンバーで、プレイ動画やログを分析し、ダンジョンマップを作成したり戦闘時の作戦を練るなどもっぱら参謀役を務めていた。

エルダー・テイルのプレイヤーが異世界に転移させられた「大災害」では、当初は自分のことでいっぱいだったが、様々な出来事を経て「このままでは取り返しが付かなくなる」と発起。
アキバに治安維持組織「円卓会議」を発足させ、自身もその参謀役となっている。
【方針】
 聖杯を破壊する。
まずは街を偵察し、同盟相手を見つけたい。